|
2007年1月29日
今期からV型4気筒エンジンとなったホンダRC212Vの開発主導権を握るレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンとダニ・ペドロサは、冬季テストが解禁となった直後の1月22日から3日間を通して行われたセパンでの合同テストにおいて、ホンダ勢の中では常にトップと2番手のポジションをキープしている。
このセパン合同テスト終了時の2名の自己ベストラップは、ダニ・ペドロサは総合4番手タイムとなる2分01秒664、ニッキー・ヘイデンは総合7番手タイムの2分01秒884だった。なお、タイムアタック時には両名ともミシュランの予選タイヤを装着している。
■順調に年始のテストを終えたペドロサ
2006年最後の合同テストとなったスペインのヘレスでは、ペドロサが最終日に当日参加していたヤマハ・ワークスのバレンティーノ・ロッシを抑えてタイムシート上のトップに立ったが、先週のセパンでの初日はマイペースで身体を慣らす事から始めて、2日目に入り本格的なシャシーとサスペンションの調整に集中するなど、あまりタイムを意識しすぎる様子はない。
この日の最終日、ペドロサは予選タイヤでの総合4番手タイムの他に、レースタイヤでは2分02秒146を記録している。慣れない新型マシンのポジション設定などに時間をかける傾向にあるホンダ勢だが、ペドロサの現在までの仕上がりに大きな問題はなさそうだ。
なお、年末に行われたセパンでの合同テストにペドロサは参加していないため、彼が800ccマシンとなったRC212Vでセパンを走るのは先週が初めてだった。
■ヘイデンは右肩を意識し限界アタックは自粛
ダニ・ペドロサのチームメイトであり、激戦となった2006年シーズンのチャンピオンとなったレプソル・ホンダ5年目のニッキー・ヘイデンは、去年のラスト2戦目のポルトガルで右肩を骨折し、2ヶ月前にその手術を受けたばかりの身体だ。
まだ肩に力が完全には入らないというヘイデンだが、先週のセパンでの初日に複数のエンジン仕様の比較を行い、2日目にはフロントまわりの調整を中心に、ホイールベースなどの基本的なセッティグに集中したようだ。
最終日の3日目に、予選タイヤのテストを兼ねたタイムアタックを行って総合7番手タイムを記録したヘイデンは、レースタイヤでも2分2秒7を記録して2日目の自己ベストタイムを約0.3秒上回っている。
また、ヘイデンは医者から調子に乗りすぎないように注意を受けており、今回のセパンでは、限界まで攻めるような走り方は一切していないという。
■次回は今週火曜日のフィリップ・アイランド
レプソル・ホンダをはじめとするホンダの各チームは、今週の1月30日(火)から行われる年明け2度目の合同テストにも続けて参加するため、今はすでにオーストラリアのフィリップ・アイランドに移動している。
■ペドロサ「フィリップまでにデータの分析が必要」
ダニ・ペドロサは、好調だった年末のヘレスでのテストと比較すると、セパンはコースの特性や温度が異なることからライディング時に違和感がいくつかあった事を明らかにしており、今週のフィリップ・アイランドまでに分析しなければならない点があると述べた。
「今日(最終日)は何段階かテストを進める事ができて、バイクの感触は少し良くなりました。」とペドロサ。
「いくつかの部分で自信を持つことができましたし、その部分についてもまだ改善の幅が大きく残っているのがわかって良かったです。」
「ミシュランの新しいタイヤのテストを何種類か行いました。16インチタイヤについては、2日目はフロント、最終日にはリアを試しています。まだ感想を述べるには時期尚早ですが、感触は悪くないので、多分将来的には使えるのかもしれませんね。」
「年末のヘレスではトップタイムを出しましたが、ここはコースの特性が違うし路面温度も高かった事から、以前とは違う点が多くありましたので、フィリップ・アイランドでは改善できるように、これからデータの分析作業をする予定です。」
■ヘイデン「肩に力が入らないのでロングランは断念」
右肩の手術後初となるサーキット走行を先週のセパンで終えたニッキー・ヘイデンは、本当はレースシミュレーションも行いたかったが、肩に力が入らなかったので今回は断念したと語る。
「今回(先週)のテストではバイクについて多く学ぶ事ができました。」とヘイデン。
「自分のチーフ・クルーであるピート・ベンソンや、チームの他のみんなにも有益な情報を提供できたのは間違いないですね。それに自分にとっては、去年ここで800ccに乗った時よりもいい感触がつかめました。」
「トップの連中との差がもっと縮まれば良かったのは確かですが、まだ自分たちが絶好調じゃない事はわかっていましたからね。ただ、それでも明るい材料はいくつか得られましたよ。SHOWA製のフォークの中に何本か気に入ったのを見つけましたし、いいセッティング方法もいくつか分かりました。それに、ミシュランの持ち込んだ16インチタイヤの感触も良かったです。」
「ストレートを走っている時に、少し身体に風があたるのを感じます。ストレートの終盤にタイムが落ちるようですが、これがエンジン性能の問題なのか、空力の問題なのか今ははっきり分かりません。フィリップ・アイランドは全くセパンとは違うタイプのサーキットですから、今回ここで試した内容を来週またあそこでテストできるのは有り難いですね。」
「本当はもっとロングランがやりたかったんですが、残念ながら肩に力が入らないので今回は断念しました。せいぜい10ラップ程度しか連続して走りませんでしたが、肩が全治するまでにはもう少し時間がかかります。医者は自分が調子に乗らないか心配みたいですけど。」
「フィリップはハードブレーキングが必要な部分はあまり多くないので、今から楽しみです。」
|
|