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2008年9月17日
ここでは、イタリアGP決勝レースの結果とその概況を紹介する。
■ベッテルが初の勝利!予選に続き決勝レースでも最年少勝利記録を樹立
9月14日(日)に行われたF1グランプリ第14戦目となるイタリアGP決勝レースを制したのは、地元イタリアのプライベーター・チームであるトロ・ロッソに所属する現在ランキング9位(23pt)のセバスチャン・ベッテルだった。
前日の予選においてポールポジション最年少記録を樹立していたこの21歳のドイツ人ドライバーは、今回の決勝レースにおいてもフェルナンド・アロンソの最年少勝利記録を塗り替え、自身とチームにとって初となるF1での初優勝を獲得した。
■イタリアGP決勝結果とレース直後のポイントランキング
以下に、イタリアのモンツァ・サーキットにて9月14日に行われたイタリアGP決勝レースの結果、ならびにポイントランキングの一覧を示す。
●レース結果
1) セバスチャン・ベッテル GER トロ・ロッソ STR3 1:26:47.494(53周)
2) ヘイキ・コバライネン FIN マクラーレン・メルセデス MP4-23 1:27:00.006(53周)
3) ロバート・クビサ POL BMWザウバー F1.08 1:27:07.965(53周)
4) フェルナンド・アロンソ ESP ルノー R28 1:27:11.397(53周)
5) ニック・ハイドフェルド GER BMWザウバー F1.08 1:27:15.242(53周)
6) フェリペ・マッサ BRA フェラーリ F2008 1:27:16.310(53周)
7) ルイス・ハミルトン GBR マクラーレン・メルセデス MP4-23 1:27:17.406(53周)
8) マーク・ウェバー AUS レッドブル RB4 1:27:19.542(53周)
9) キミ・ライコネン FIN フェラーリ F2008 1:27:26.962(53周)
10) ネルソン・ピケ BRA ルノー R28 1:27:41.939(53周)
11) ティモ・グロック GER トヨタ TF108 1:27:46.382(53周)
12) 中嶋一貴 JPN ウィリアムズ FW30 1:27:49.509(53周)
13) ヤルノ・トゥルーリ ITA トヨタ TF108 1:27:53.448(53周)
14) ニコ・ロズベルグ GER ウィリアムズ FW30 1:27:56.129(53周)
15) ジェンソン・バトン GBR ホンダ RA108 1:28:00.864(53周)
16) デビッド・クルサード GBR レッドブル RB4 1:27:09.395(52周)
17) ルーベンス・バリチェロ BRA ホンダ RA108 1:27:37.452(52周)
18) セバスチャン・ブルデー FRA トロ・ロッソ STR3 1:27:57.260(52周)
19) エイドリアン・スーティル GER フォース・インディア VJM01 1:27:45.015(51周)
-) ジャンカルロ・フィジケラ ITA フォース・インディア VJM01 20:05.808(11周)
●ドライバーズ・ランキング
1) ルイス・ハミルトン [GBR] [マクラーレン・メルセデス] 78
2) フェリペ・マッサ [BRA] [フェラーリ] 77
3) ロバート・クビサ [POL] [BMWザウバー] 64
4) キミ・ライコネン [FIN] [フェラーリ] 57
5) ニック・ハイドフェルド [GER] [BMWザウバー] 53
6) ヘイキ・コバライネン [FIN] [マクラーレン・メルセデス] 51
7) フェルナンド・アロンソ [ESP] [ルノー] 28
8) ヤルノ・トゥルーリ [ITA] [トヨタ] 26
9) セバスチャン・ベッテル [GER] [トロ・ロッソ] 23
10) マーク・ウェバー [AUS] [レッドブル] 20
11) ティモ・グロック [GER] [トヨタ] 15
12) ネルソン・ピケ [BRA] [ルノー] 13
13) ルーベンス・バリチェロ [BRA] [ホンダ] 11
14) ニコ・ロズベルグ [GER] [ウィリアムズ] 9
15) 中嶋一貴 [JPN] [ウィリアムズ] 8
16) デビッド・クルサード [GBR] [レッドブル] 6
17) セバスチャン・ブルデー [FRA] [トロ・ロッソ] 4
18) ジェンソン・バトン [GBR] [ホンダ] 3
●コンストラクターズ・ランキング
1) フェラーリ 134
2) マクラーレン・メルセデス 129
3) BMWザウバー 117
4) トヨタ 41
5) ルノー 41
6) トロ・ロッソ 27
7) レッドブル 26
8) ウィリアムズ 17
9) ホンダ 14
■レースの概況、セーフティーカー先導によるフルウェットのスタート
前日の2日目は時折の豪雨により予選順位が走行タイミングに大きく左右された今回のイタリアGP(予選の概況とスターティング・グリッドはこちらの記事を参照)、3日間を通して引き続きの雨天となったこの日の決勝レース中の気象条件は気温が15度から16度、路面温度は17度。朝からの断続的な雨のためにレース開始時の路面コンディションはフルウェットとなり、スタートは昨年の日本GPなどと同じくセーフティー・カー先導の形式が取られる事となった。
■中嶋選手とバトンはピットレーンスタートに
なお、18番グリッドからスタートする予定だったウィリアムズの中嶋一貴選手、ならびに19番グリッドからのスタート予定だったホンダのジェンソン・バトンは、それぞれに2日目の状態からマシンのセッティングを変更した為、ピットレーンからのスタートとなっている。
■4番グリッドのブルデーがエンジン・ストール、無念の最後尾に
全53周回のレース開始と同時に全ドライバーがエクストリーム・ウェットタイヤを装着して先頭のセーフティーカーを追う中、予選での自己最高位となる4番グリッドを獲得していたトロ・ロッソのセバスチャン・ブルデーがここでエンジン・ストール。1人グリッド上に取り残されたブルデーは、慌てて駆けつけたチーム・スタッフのマシン調整後に何とかスタートはできたものの、セーフティー・カーがコースを外れる前からいきなり最後尾に後退してしまう。
■序盤から一気に後続を引き離しにかかるベッテル
2周の先導走行を終えたセーフティーカーがコースから外れた3ラップ目の開始と同時に、後続に大量の水しぶきを浴びせながら猛烈な加速を見せたのは、予選で初のポールポジションを獲得して先頭につけるトロ・ロッソのセバスチャン・ベッテル。2番手にはマクラーレンのヘイキ・コバライネン、3番手にレッドブルのマーク・ウェバー、4番手にウィリアムズのニコ・ロズベルグ、5番手にフェラーリのフェリペ・マッサ、6番手にトヨタのヤルノ・トゥルーリ、7番手にルノーのフェルナンド・アロンソ、8番手にはトヨタのティモ・グロックが続いた。
■フィジケラを交わすのに苦戦するライコネンとハミルトン
5ラップ目、予選でQ2敗退を喫したフェラーリのキミ・ライコネンは12番手、同じくQ2敗退のマクラーレンのルイス・ハミルトンは13番手につけるが、11番手を行くフォース・インディアのジャンカルロ・フィジケラが壁となり2台は簡単に前へ抜け出す事ができない。
ベッテルが2番手のコバライネンを5秒引き離した7ラップ目、ここで7番手に浮上しかけていたグロックがスピン。すぐにコースには復帰したもののグロックはBMWザウバーのロバート・クビサに交わされ9番手に後退。その背後には10番手につけるBMWザウバーのニック・ハイドフェルドがつける。
10ラップ目までにライコネンとハミルトンはブロックを繰り返すフィジケラをそれぞれ順番に交わし、続く11ラップ目にはハミルトンがライコネンを交わして11番手に浮上。ライコネンは12番手に。
■フィジケラがクルサードに追突、そのまま泥沼と化したグラベルに突入
13ラップ目、レッドブルのデビッド・クルサードにも交わされて14番手に後退したフィジケラがブレーキング時にクルサードのリアに追突。フロントウイングを失ったフィジケラはコーナーを曲がりきれずに直行、泥沼と化したグラベルに沈み、今回のレースにおける1名のみのリタイアとなった。なお、クルサードはピットに戻る事なくそのままレースを続行している。
■ベッテルが19ラップ目に最初のピットストップ
先頭のベッテルが2番手のコバライネンと3番手のウェバーから大量リードを奪う中、マッサがロズベルグを交わして4番手、ハミルトンがハイドフェルドとグロックとクビサ、ならびにアロンソの4台を続け様に交わして7位に浮上した19ラップ目、ここでベッテルが1回目のピットストップを行い再びエクストリーム・ウェットタイヤを選択して4番手からコースに復帰。
続いて23ラップ目にはコバライネン、ウェバー、マッサの上位陣がピットストップを実施。この3名もベッテルと同様にエクストリーム・ウェットタイヤを装着し、ここでベッテルは再びトップに。
■激しい追い上げを見せるハミルトンは一時的にはコース上の2番手に
アロンソに続いてトゥルーリも交わすなど激しい追い上げを見せるハミルトンは、上位陣のタイヤ交換によりコース上の3番手に浮上、24ラップ目にはロズベルグを交わしてベッテルの後方となる2番手につけた。
グロック、トゥルーリ、ライコネンが1回目のピットストップを済ませた27ラップ目、ハミルトンは先頭のベッテルの真後ろにまで迫るが、28ラップ目に入ったところでピットストップを実施。他のドライバーと同じくエクストリーム・ウェットタイヤを選択したハミルトンはマッサの背後からコースに復帰している。
■ルノーとBMWザウバーは1ストップ作戦
雨がやや弱まり、ロズベルグがエクストリーム・ウェット、1ストップ作戦を取るアロンソがスタンダード・ウェットに交換した直後の32ラップ目の上位ドライバーの順位は、先頭がベッテル、その13秒後方の2番手にはコバライネン、3番手にはまだ一度もピットストップを行っていないクビサ、4番手にはウェバー、5番手にはマッサ、6番手はハミルトン、7番手にはピットストップを行っていないルノーのネルソン・ピケ、8番手にはライコネン、9番手にはトゥルーリ、10番手はグロック。
■バリチェロとスーティル以外の全員は最後にスタンダード・ウェットを装着
残り20周の34ラップ目にはマッサが2度目のピットストップを行いタイヤをアロンソと同じくスタンダード・ウェットに交換。続く35ラップ目にはコバライネンが2度目のピットストップ、1ストップ作戦を取るBMWザウバーのクビサは1回目のピットストップを行い、やはりこの2台もスタンダードウェットを選択した。
その後の37ラップ目までにライコネン、トゥルーリ、ベッテル、ハミルトンの4名が2度目のピットストップ、チームメイトのアロンソやBMW勢と同じく1ストップ作戦を取るピケが1度目のピットストップを実施し、この全員がスタンダード・ウェットに交換。
ポイント圏内となる上位8名の全員が計画ピットストップを終えた残り16周、38ラップ目突入時点の8番手までの順位は、先頭がベッテル、その13秒後方となる2番手がコバライネン、3番手がクビサ、4番手がアロンソ、5番手がハイドフェルド、6番手がマッサ、7番手がハミルトン、8番手が途中でスピンを喫したウェバー。
なお、17番手を走行するホンダのルーベンス・バリチェロと最後尾の19番手につけるフォース・インディアのエイドリアン・スーティルは、最後のピットストップ時にドライのソフトタイヤを装着しているが、それ以外のドライバーは全員が最終的にはスタンダード・ウェットを装着した。
■最後まで逃げ切ったベッテル、堂々のF1初勝利!
トロ・ロッソのスタッフがガレージ内で心配そうにベッテルの走りを見守る中、残り3周のところでコーナーアウト側からクルサードに接触した中嶋一貴選手を除き、特にアクシデントもなくレースは最終ラップに突入。上位8名の順位に変動は一切なく、セバスチャン・ベッテルは大量リードを失う事なく最終ラップを順調に走りきると誰よりも先にチェッカーを受け、自身とトロ・ロッソの両方にとってのF1初優勝を獲得した。
■コバライネンとクビサも表彰台を獲得
ベッテルに次ぐ2位表彰台はマクラーレン・メルセデスに所属する現在ランキング6位のヘイキ・コバライネン(51pt)、3位表彰台はBMWザウバーに所属する現在ランキング3位のロバート・クビサ(64pt)が獲得。
■低いスターティング・グリッドに苦戦した他のランキング上位陣
ポイントリーダーであるマクラーレン・メルセデスのルイス・ハミルトン(78pt)は今回のレースを7位、ハミルトンを1ポイント差のランキング2位で追うフェラーリのフェリペ・マッサ(77pt)はレースを6位、ランキング4位につけるフェラーリのキミ・ライコネン(57pt)はチームの地元でのレースをノーポイントの9位で終える結果となっており、ライコネンの自力でのタイトル連覇は事実上困難な状況となっている。
■トロ・ロッソがレッドブルを追い抜きランキング6位に浮上
コンストラクターズ・ランキングではフェラーリ(134pt)が現在トップ、2位はマクラーレン(129pt)、3位はBMWザウバー(117pt)、4位はトヨタ(41pt)、5位は今回トヨタと同ポイントに追いついたルノー(41pt)。なお、レッドブル(26pt)のジュニア・チームの位置づけでF1を戦うトロ・ロッソ(27pt)は今回のベッテルの勝利によりレッドブルを追い抜きランキング6位につけ、レッドブルはランキング7位に後退している。
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