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2008年1月18日
2008年に入って最初のF1公式テストが、スペインのヘレス・サーキットにおいて1月16日に最終日の3日目を迎えている。ここでは、2008年シーズン開幕に向けての年明け6回の公式プレシーズン・テストの内の1回目となるヘレス合同テスト最終日の状況を紹介する。
■8チームが走行、スーパーアグリはこの日も走行を断念
この最終日となる3日目にも、並行してバレンシアで単独テストを実施しているBMWザウバーと、2008年度車両のお披露目を月末に控えたホンダの2チームを除く合計9チームがスペインのヘレス・サーキットに集結したが、初日に新型パーツが大きなトラブルに見舞われたスーパーアグリF1チームは2日目に引き続きこの日もスペアパーツの到着が遅れ、結局ヘレスでの最終日にコースに出て走行を行ったのは合計8チームとなる14人のドライバーだった。
■飛行機と陸路のトラブルにより届かなかったスペア・パーツ
スーパーアグリの公式発表によれば、初日に10周回のみ行ったテスト・ドライバーのジェームス・ロシターに代わり、昨年に引き続き2008年度の正ドライバーとなる事が予定されているアンソニー・デビッドソンが3日目のテストを実施する計画だったが、問題のスペア・パーツを積んだ飛行機は前日の正午までにはジブラルタルの空港に到着する予定だったにもかかわらず、運悪く飛行中にトラブルを抱えてマラガに着陸してしまったという。
チームはマラガから陸路を使ってスペアパーツを懸命にヘレスに向かって運んだが、さらに運の悪い事に途中の道路が工事により閉鎖されていた事から、結局3日間の参加を予定していた今回のヘレス合同テストは初日午前のロシターによる走行のみとなってしまった。
■レッドブルは最終日に新型マシンのシェイクダウン
今回のテストでは、初日からフェラーリがF2008、マクラーレンがMP4-23、トヨタがTF108という2008年仕様の新型車両における初走行を披露しており、その他のチームは一部のパーツを2008年仕様にした2007年モデルベースの車両でテストを実施しているが、最終日にはレッドブルも2008年型車両を持ち込み、そのシェイクダウンテストを行った。
この日に新たにその2008年型車両であるRB4を持ち込んだレッドブルは、あいにくの雨の天候の中、今年も同チームの正ドライバーを務めるデビッド・クルサードに、まだ一部のパーツが整わない状態の新車RB4を託し、RB3にてテストを続けるチームメイトのマーク・ウェバーと並行してシェイクダウンを終日実施している(RB4での初のテストを終えてのチームの技術関係者のコメントなどは本記事の最後を参照)。
■全体の概況やテスト3日目の天候など
昨年末の2回の合同テストでは、各チームは2008年に使用が義務付けられる標準ECUのテストを中心的に行っていたが、今回の年明け最初の合同テストでは、それに加えて2008年度の新レギュレーションとなる4戦連続の耐久性能が要求される新型トランスミッションのテストを中心的に行った様子だ。
なお、今回の3日間は全体を通してあまり良い走行条件だっとは言えず、初日は正午すぎには路面がドライになったものの朝方に豪雨、2日目は終日晴天となったが、この日の3日目となるテスト最終日は午後2時過ぎまで断続的な雨に見舞われ、路面がドライになったのは夕方のセッション残り1時間の夕方4時近くだった。
3日目は悪天候の影響もありレッドフラッグの提示も多く、ドライバーたちはウェットタイヤを装着してドライバー・アシスト機能が今年から外された電子制御システムを搭載したマシンの挙動確認を中心的に行っている。この事から、タイムは2日目と比較して全体的にあまり伸びなかった。
■ヘレス合同テスト3日目の走行結果
以下に、朝方の気温は比較的にやや暖かめの15度となり、日中の気温は18度まで上昇、路面温度は15度から20度近辺となったヘレス合同テスト3日目の走行結果を、各ドライバーのこの日の自己ベスト順に示す。
1) ティモ・グロック GER トヨタ 1分19秒779(96周)
2) ルイス・ハミルトン GBR マクラーレン・メルセデス 1分20秒099(73周)
3) フェルナンド・アロンソ ESP ルノー 1分20秒363(49周)
4) セバスチャン・ボーデ FRA トロ・ロッソ 1分20秒407(61周)
5) フェリペ・マッサ BRA フェラーリ 1分20秒500(85周)
6) ヘイキ・コバライネン FIN マクラーレン・メルセデス 1分20秒535(79周)
7) 小林可夢偉 JPN トヨタ 1分20秒577(53周)
8) キミ・ライコネン FIN フェラーリ 1分20秒646(88周)
9) 中嶋一貴 JPN ウィリアムズ 1分20秒758(57周)
10) エイドリアン・スーティル GER フォース・インディア 1分21秒705(71周)
11) マーク・ウェバー AUS レッドブル 1分22秒275(53周)
12) デビッド・クルサード GBR レッドブル 1分22秒581(54周)
13) ニコ・ヒュルケンベルグ GER ウィリアムズ 1分24秒023(65周)
14) セバスチャン・ベッテル GER トロ・ロッソ 1分24秒873(50周)
■最終日の各チームの状況やコメント
最終日の3日目のテストを終えた各チームの概況、ならびにドライバーや関係者のコメントは以下の通り。
■TF108の高い信頼性に今後への自身を示すトヨタ
年明け合同テストの最終日にトップタイムを飾ったのは、昨年度のGP2チャンピオンであり、今年からトヨタの正ドライバーとしてF1へのフル参戦が決定した2008年度ルーキーのティモ・グロックだった。
グロックは午前の雨の中、2日目にトゥルーリから引き継いだ2008年マシンのTF108で走行を開始した。初日のTF107の時と同じく正午近くにスピンを喫してグラベルに飛び込んでいるが幸い今回は車にダメージはなく、グロックはすぐに走行を再開してメカニカル・パーツの様々なセッティングの比較検証を行って最終日のテストを終えている。
この日のTF108もまったくメカニカル・トラブルなどの問題は発生しておらず、トヨタが今年の車両に期待する通りの信頼性を見せており、日曜日とテスト初日のトゥルーリによるシェイクダウンおよび2日目以降のグロックの走行の合計4日間において、すでにTF108は1,500kmを走り込んだという。
また、2日目からトゥルーリと入れ替わってテストに参加した小林可夢偉選手は、最終日も標準ECUと新型ギアボックスを搭載したTF107で走行。最終日にはより多くの周回を走り込みたいと2日目にコメントしていた小林選手だが、午前の2時間は雨により作業を進める事ができなかった。なお、小林選手のこの日の順位は7番手。
■グロック「今日もマシンの信頼性は素晴らしく高かった」
最終日にTF108でトップタイムを記録したティモ・グロックは、「今日の進歩はとても嬉しかった。まちがいなく車には大きな改善を施す事ができた。今日のファーステストラップは今後の励みになるし、このまま前進していけると思う」と述べ、今回の結果には大満足の様子だ。
またTF108についてグロックは「今日も車の信頼性は高く素晴らしかった。おかげで多くの周回数を走りきる事ができたしデータもたくさん収集できた。TF107とは完全に別の車と言える。まだ改善には多くの作業が必要なのは分かっているが、これから更なる進化を続けていく上でいいスタートが切れた」とその感想を述べた。
「午前は濡れたコースで小さなミスを犯し、リアをロックさせてスピンしたが、それほど時間を無駄にしないで済んだ。チームは今週を通して車の改善に励み、本当に良く頑張っていたので、とても満足している」とグロック。
■小林選手「次回はTF108に乗れるので楽しみ」
最終日はあまり思い通りに周回数を増やせなかったとする小林可夢偉選手は「午前の雨の中をTF107で走る事にはあまり意味はなかった。あの走行条件ではセッティングの精度に正確な判断を下す事ができない。だから路面が乾くまで待ち、その後は作業メニューを再開できるようになった」と述べ、TF107での不安定な走行条件下でのテストは回避した事を明かした。
またテスト全体の感想について小林選手は「全体的に順調だったし、いいテストができたと思う。この2日間でいくつか学ぶ事ができたので、今は次のテストでTF108に乗れるのが楽しみ。ティモもヤルノもTF108ですごく好調だったので、今から待ちきれない気分」とコメントし、次回のバレンシアで初めて乗る事になるTF108への期待感を示している。
■ゲルト・プファイファー「期待の持てるシーズンのスタート」
トヨタのテスト・チーム・マネージャーを務めるゲルト・プファイファーは、合同テスト前日のTF108のシェイクダウンからここまでの4日間を通しての感想を、以下の通りコメントしている。
「シェイクダウン・テストも含み、今回のヘレスでは新車の調整作業が大変にはかどった。今年は期待の持てるスタートが切れたと思う。TF108への理解も深まったし、改善も見られた。ただ、まだ最初の一歩を踏んだにすぎないし、残る5回のプレシーズンテストの間に車の性能を上げていくには更なる多くの作業が残っている。」とプファイファー。
「今日もティモにとっては新しい車でも2日目となる忙しい1日だった。彼は非常に重要なセッティング作業を済ませ、午後には素晴らしいラップタイムも記録した。可夢偉は路面が濡れていた為に走行周回は少なめになったが、予定していた作業メニューは全て終わらせてくれた」
■マクレーレンは最終日にハミルトンがテストに復帰
先週のヘレスでのプライベート・テストから数えて合計6日間という長丁場のテストを、この日にボーダフォン・マクラーレン・メルセデス・チームは終えている。
最終日となるこの日にはルイス・ハミルトンもテスト・ドライバーのペドロ・デ・ラ・ロサに代わってテストに復帰し、トヨタのグロックに次ぐ2番手タイムを記録。また、今週の合同テスト初日から3日間を通してテストを担当したヘイキ・コバライネンの最終日のタイムは6番手だった。
ちなみにハミルトンとコバライネン、ならびにデ・ラ・ロサは、先週のヘレスでのプライベート・テストでは2台のMP4-23を使用して1分19秒台前半の好タイムを記録していたが、他のチームが加わった今週の合同テストに入ってからは、悪天候の影響もあってかややタイムの出し方は控え目だったと言える。
この日にマクラーレン正ドライバーの2名は、雨の中でMP4-23に搭載された標準ECUのセッティングに集中し、ウェット路面でのMP4-23のエンジンの扱いやすさの追求と、ハンドリングまわりの調整を主な作業メニューとしたようだ。
プライベートテストの時から数えて5日ぶりにヘレスのコースに復帰したハミルトンは、不安定な湿った路面で数回の軽いコースオフを喫しているが、幸い車にダメージはなく、この日に予定されていた全ての作業を終えている。
■マーティン・ウイットマーシュ「MP4-23はすでに4千キロ以上走り込んだ」
マクラーレン・チームの管理責任者を務めるマーティン・ウイットマーシュは、MP4-23での年明け初のテストを終えて以下の通りコメントしている。
「MP4-23での6日間の走行予定を全て終えた。2008年に入りすでにおよそ(2台合計して)4,193kmもの距離を走り込む事ができており、その内の1,000kmは昨日の1日で走った」とウイットマーシュ。
「まだ1月の3週目が終わろうとしているに過ぎないが、プレシーズンのテストメニューを最初から非常に効率良く進める事ができている。これはチームが今後頑張り続ける上で大変な励みとなるに違いない。まだ新しい車の開発は初期段階にすぎないので、マシンの戦闘力について評価するには早すぎるが、ドライバーたちやチームの印象は非常に良かった。これからの開発プログラムを進める上で有益なデータを大量に収集する事もできている」
■ウェット路面を最大限に活用したルノーとアロンソ
今年のチームメイトとなるネルソン・ピケJrから暫定テスト仕様のR27を引き継ぎ、テスト2日目から初めての経験となる標準ECUでの走行を終えたフェルナンド・アロンソは、1年ぶりに戻ってきた古巣のルノーでの今年2日目のテストを終えた。
終日不安定な路面条件となったこの日、アロンソは午前の雨のウェット路面において、ドライバー・アシスト機能の存在しないマシンの挙動を確認するために数周回の走行を実施し、その後は路面が落ち着くまでしばらくガレージの中での作業に集中。再びコースに戻ったアロンソは、空力バランスの調整とエンジン・マッピングに取り組み、この日の合計46周回の終盤に3番手タイムを記録している。
なお、チームはこの翌日の1月17日もヘレス・サーキットに残り、ルノー世界シリーズの2007年度チャンピオンであるポルトガル人ドライバー、アルバロ・パレンテ(写真下)を迎えて、R27でのテストを実施する予定だという。
■アロンソ「新レギュレーションはもっと大変かと思っていた」
来週のバレンシア合同テストで新しい車に乗る前のいい経験になったとするフェルナンド・アロンソは、「今日の内容にはかなり満足している。作業ははかどったし、進展も大きかった。1日の終わりまでにはセッティングの変更を身体で体感できるようになったし、結果も悪くない」と述べ、ルノーの昨年度マシンと2008年度仕様の標準ECUへの素早い適応能力を示した。
また、2008年度レギュレーションに沿った新型パーツを試した感想としてアロンソは、「レギュレーション変更の影響はもっと大変かと思っていたが、全てがスムーズに進み順調だった。これから多くの作業が待ちかまえているのは分かっているが、いいスタートが切れたので嬉しい」とコメント。
■シルク「新車が来週届く前のいい事前準備になった」
ルノーのテスト・チーフ・エンジニアを務めるクリスチャン・シルクは、改めてアロンソのルノー復帰を喜びながら、以下の通りコメントしている。
「大変に作業のはかどる1日だったし、路面状況の悪さにもかかわらず良い進展が得られた。ウェットの路面を最大限に活用する事ができたと思う」とシルク。
「フェルナンドはこれで2日目の作業を終えたが、彼にとってはいい復帰の日になったと思う。車は雨の中でもトラブルは発生しなかったので、フェルナンドは復帰して最初の2日間を有効に活用できたし、来週届く新しい車に向けての事前準備を進める事ができた」
■3日間を通して新型ギアボックスのテストに集中したトロ・ロッソ
今回は標準ECUの調整と並行して新しいギアボックスのテストを中心的に行ったというトロ・ロッソの2名のドライバー、セバスチャン・ベッテルとセバスチャン・ボーデは、この日の悪条件を利用してウェットタイヤのテストも精力的に行ったとしている。ベッテルの最終日の順位は4番手、ボーデは14番手だった。
なお、この日のセッション終盤、ベッテルは乾きかけた路面でスピンを起こしてコースアウトを喫し、そこからは作業を再開する事なく早めにテストを終える事になった。
■ローレン・メキーズ「今回の目標は新型ギアボックスの正常動作」
トロ・ロッソのチーフ・エンジニアを務めるローレン・メキーズは、今回から本格的にテストを開始した新型ギアボックスについて「今回の主な作業目標は新しいギアボックスのテストだったが、全体的にいいテストができたと思う。4戦連続対応のギアボックスを実際にサーキットで試したのは今回が初めてだが、それを正常に機能させられるよう作業に集中し、ここまでにいい方向性が得られていると思う」と述べている。
またテスト全体を通しての感想としてメキーズは、「初日と最終日は乾きかけの路面という難しい走行条件になったが、2名のドライバーはエンジン・ブレーキ制御とトラクション・コントロールがないマシンでウェットとエクストリーム・ウェットの両方のタイヤを試すチャンスになった。また、今回は新しいエアロパーツを何点か試す事もできたし、期待の持てる結果が得られている」とコメントした。
■フェラーリはF2008での予定作業を全て完了
この3日間を通してテストを担当したフェラーリのキミ・ライコネンとフェリペ・マッサは、予定していた今回のF2008の開発作業を全て終える事ができたとしている。
今回のヘレスでの目標は様々なセッティングを通しての電子制御に関係する全体の信頼性評価と、2008年シーズンに向けての新型車両であるF2008の特性を、ドライバーを含めたチームの全員が深く理解する事が目的だったとフェラーリF1チームは説明している。
初日にはワンツータイムを独占していたフェラーリ勢のこの日のタイムシート上の順位は、マッサが5番手タイム、ライコネンは8番手タイムだった。
■FW30の到着を待ちわびるウィリアムズ
ウィリアムズは、この3日間を通してテストを実施している中嶋一貴選手と共に、2008年度の同チームのテスト・ドライバーに正式決定したニコ・ヒュルケンベルグが、2日目までのニコ・ロズベルグからマシンを引き継いで最終日のテストに参加している。中嶋選手の最終日の順位は9番手、ニコ・ヒュルケンベルグは13番手だった。
この日までウィリアムズは標準ECUと2008年型ギアボックスを搭載した暫定マシンであるFW29Bでのテストを行ってきたが、来週のバレンシア合同テストからは2008年F1グランプリを戦う新型マシンのFW30を投入する予定だとしている。
■中嶋選手「新型マシンが今から楽しみ」
3日間を通してのテスト作業を終えた中嶋一貴選手は、「今週のテストは気象条件にかなり悪影響を受ける事になった。大半は路面が濡れていたし、今日のセッションも半分はウェットだった。ただ、それを除けば3日間を通して作業は順調だったと思う」と、雨の多かったヘレスでの3日間を振り返った。
また、マシンに関して中嶋選手は「FW30になる前の暫定カーを使って色々な新しい事を試したが、まだ全てを正常に機能させられるようにするには今後もまだ作業が必要になるが、来週は新しい車に乗れるので、初めての新型マシンが今から楽しみ」とコメントしている。
■サム・マイケル「今回は標準ECUとトランスミッションのテスト」
ウィリアムズのテクニカル・ディレクターを務めるサム・マイケルは、「わたしたちのドライバーは標準ECUのセッティング作業を続ける中で、2008年型トランスミッションの耐久性試験を行い、3日間のテスト作業を全て終えている。来週はバレンシアでチームの新型マシンを試す予定」と述べ、この3日間のテスト内容を説明した。
■雨を恨むフォース・インディア
初日は今年からチームのテスト・ドライバーになった元トロ・ロッソのビタントニオ・リウッツィ、2日目は正ドライバーに正式決定した元ルノーのジャンカルロ・フィジケラを今回のテストに起用したフォース・インディアは、最終日には昨年に引き続きチームの正ドライバーを務めるエイドリアン・スーティルにテスト作業を託している。
先週の金曜日に25歳になったばかりのスーティルは、燃料タンクのテスト、ならびに標準ECUに様々なセッティングを施してのマシンの比較検証テストを実施しているが、断続的な雨と頻発するレッドフラッグの影響から、希望していた多くの周回数を走り込む事はできなかったとチームは説明している。スーティルのこの日の順位は10番手だった。
なお、チームはこのままスペインに残り、他のチームと同様に来週の1月22日から24日に開催されるバレンシア合同テストにも参加する。22日はリウッツィ、23日はスーティル、24日にはフィジケラがテストを担当する予定だ。
■スーティル「最終的にはドライを経験できて良かった」
この日に今年初めてF1のコックピットに腰をおろしたスーティルは、「雨のために最高の1日目とは言えなかったが、少なくとも午前中にはウェットでの多くの周回をこなす事ができたので、色々なセッティングを試す事ができている」と走行後にコメント。
またスーティルは、「まだやるべき事だらけだが、夕方近くに路面が乾き始めてドライでの走行もできたので最終的にはすごく満足できた。ここはフォミューラ3で3年前か4年前に走って以来なので自分にとっては新しいサーキットと同じだから、どうしてもドライを経験しておきたかった。ここはそれほど攻略が難しいサーキットではないが、トリッキーな部分も何ヶ所か存在する。ドライになっても濡れた場所が少し残っていたが、とにかく車にまた乗れた事は嬉しい」と述べ、最終的にはドライ路面が得られた事に満足している。
■マイク・ガスコイン「悪天候に作業を邪魔された」
フォース・インディアのチーフ・テクニカル・オフィサーを務めるマイク・ガスコインは最終日について、「今日のエイドリアンとチームの作業が雨に邪魔されたのは明らか。最後の残り1時間になるまで路面のコンディションはすごく不安定だった」と、悪天候によりこの日は予定通りに作業が進まなかった事を述べている。
また、全体的な感想としてガスコインは、「ただ、最後はドライ路面も得られたし、いずれにしてもエイドリアンがクリスマスからの長い休暇から仕事に復帰できたのは確か。3日間を通して断続的な作業にはなったが、新しいドライバーたちは効率的にテストをこなしてくれた」と述べ、リウッツィやフィジケラへの感謝の言葉もつけ加えている。
■レッドブルが2008年型マシンのRB4を最終日に投入
テストの最終日、レッドブルは2008年型車両のRB4(写真上)をこの日に初めてヘレス・サーキットに持ち込み、他のチームの走行する中に混じってシェイクダウンを実施している。
2日目に引き続きマーク・ウェバーがテスト仕様のRB3で走行する中、チームメイトのデビッド・クルサードは新車のRB4に乗り、午前のウェット路面での慎重な走行とドライになってからの軽いロングランを経て54周回を走り混んだ。この日のマークウェバーのRB4での順位は11番手、RB3でのテストを続けたウェバーはそれに次ぐ12番手タイムだった。
チームは来週のバレンシアまでにはRB4の全てのパーツが整うとこの日に説明している(上がクルサードの乗るRB4、下がウェバーの乗るRB3)。
■エイドリアン・ニューウェイ「次回のバレンシアが楽しみ」
レッドブルのチーフ・テクニカル・オフィサーを務めるエイドリアン・ニューウェイは、今回のRB4の初走行について、「今日は新しい車のシェイクダウンに時間を費やし、何マイルかを走らせる事ができた。今は次回のバレンシアから正しく性能が発揮できる事を願うだけ」と、次回のバレンシア合同テストに向けての期待感を示している。
また、マシン性能に関する質問に対しては、「マシンの性能?まだちょっとコメントを出す段階じゃないね」と回答を控えた。
■ジェフリー・ウィリス「システム全体の検証結果は順調」
チームのテクニカル・ディレクターを務めるジェフリー・ウィリスは、今回RB4で行った作業内容を以下の通り説明している。
「シェイクダウンを行った初日としては多くの周回を走り込む事ができたので期待も持てるスタートとなった。システムの大半を確認し、性能検証として必要な作業は全て終える事ができている。冷却システムとか、その他のパーツに関するデータなどもいくつか確認したが全て順調だった」とウィリス。
■イアン・モーガン「3日間の主な作業はECUまわりのチューニング」
また、チーフ・テスト・エンジニアのイアン・モーガンは、この3日間のテストの総括として「テストはうまくいったし進展もあったのでここまでの内容には満足している。今回の主な作業は電子制御システムのチューニングだったが、特にスタートに関するものをはじめ、自分たちが用意していたプログラムを一通り確認する事ができた」と述べ、2008年シーズンに向けて標準ECUまわりの作業が順調に進んでいる事を説明している。
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