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BMWザウバーが新型車両のF1.08を発表「すでに期待が持てる状態」
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インテリワン編集部
  2008年1月15日

年明けとほぼ同時に新型車両を発表したフェラーリ、マクラーレンおよびトヨタの3チームに続き、BMWザウバーF1チームも1月14日に2008年型マシンとなるF1.08の発表式典を行っている。


■BMWが誇る巨大新車展示場でF1車両を公開
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BMW社が新車発表式典などを行う事でも有名なドイツのミュンヘンにある巨大パビリオン、BMWヴェルトにおいて、BMWザウバーF1チームは1月14日、2008年のF1グランプリを戦う新型車両のF1.08を数百人のメディア関係者が見守る中で盛大に初披露した。

■チームの首脳陣ならびに正ドライバーの2名が同席

この公開式典にはチームの首脳陣、ならびに2007年シーズンと同じ正ドライバー体制となるドイツ人ドライバーのニック・ハイドフェルドとポーランド人ドライバーのロバート・クビサの2名も同席しており、F1.08からベールが取り除かれる様子をその場で一緒に見守っている。
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■2008年度のテストドライバーは現在も不明

ちなみに、チームはこれまでに2008年度の正ドライバーがこの2名である事は公式に認めているが、今年のテスト・ドライバーの顔ぶれについてはまだ明らかにしておらず、今回の発表の場でもそれについて触れる事はなかった。


■昨年度マシンよりもスリム化が図られたF1.08
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今年もBMWザウバーのチーム代表を務めるマリオ・タイセンの簡単なスピーチの後、ようやくベールを脱いだF1.08は昨年のF1.07をベースとする進化形マシンだが、空力特性の大幅な向上や新型ECUの搭載義務などの新レギュレーションに対応したこのマシンは、見るからに外観の印象が昨年よりも精悍なものとなった。ボディーワーク以外にも、リムシールドのハブキャップが昨年とは異なる印象を醸し出している。

■参戦3年目となる2008年度の目標はレースでの初勝利
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特に式典の出席者の目を引いたのはフロント・ウイングからリアにかけて全体的にスリムになったボディー形状だ。ここまでのシミュレーションなどから高いコーナーリング性能の改善が見込めるというこの新型車両を使ってBMWザウバーF1チームは、グランプリ参戦3年目にして初のレースでの優勝獲得をその目標に掲げているという。


■初参戦の2006年から現在までのチームの流れ
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F1に初めて参戦を開始してからの過去2年間、BMWザウバーF1チームは2006年と2007にそれぞれ2回、合計4回の表彰台(1回の2位と3回の3位)を獲得している。2年目の2007年には1年間を通して一貫して全チームの中の3番手に相当する高い走りを見せ、マクラーレンが昨年の騒動でコンストラクターズ・ポイントを剥奪された事から年間ランキングはフェラーリに次ぐ2位を記録した。

2006年の1月に現在のチーム体制を引き継いで以来、ドイツのチューリッヒに近いヒンビルに拠点を設けるBMWザウバー・チームは、ここまでにレースとテストを重ねる中で人材開発とレース戦略の強化を行ってきており、現在チームに関係する従業員は150人にまで拡大したという。
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なお、2007年末にはスイスにもワークエリアを拡大しているが、マシン設計やパワートレインの開発拠点は、BMW研究開発センターの側にあり、マルクス・ドゥエスマンが指揮するミュンヘンに現在も位置する。

■サーキットでの初テストは式典翌日となる1月15日のバレンシア

チームはこの式典の翌日となる1月15日には新車のF1.08と共にスペインのバレンシア・サーキットに移動し、他の多くのチームが現在新車の初走行を披露しているスペインのヘレス・サーキットでの公式合同テストとは別に、BMWF1チームとしての2008年シーズンに向けての初のシェイクダウンテストを行う予定だ。


■マリオ・タイセン(BMWザウバーF1チーム代表)

写真BMWザウバーのチーム代表であるマリオ・タイセンは今回の発表式典において、2008年シーズンはF1.08の性能と2名のドライバーの力により、昨年よりも高い目標を達成する事が可能だと以下の通り語った。

「今期は目標を高く設定していますし、今年の車には自分たちが望むだけの大きな改善を全ての分野に成し遂げるつもりでいます」とタイセン代表。

「ここまでの過去2年間の活動を通し、チームには自信が浸透しました。2006年と2007年にはそれぞれに設定していた年間目標に到達しましたので、わたしたちには正しい方向性が得られていると自負しています」

「すでにミュンヘンとヒンビルのメンバー全員が、それぞれの任務に集中していますよ。今後もこれまで通りの改善を進める事ができれば、2008年も自分たちの年間目標を達成する事ができる筈です」

「わたしたちにはニックとロバートという、揃って質が高く強力な2名のドライバーがいます。このチーム自体はまだ若く、2006年と2007年にはシーズンを通してチームの体制強化や人材面での育成が必要でしたし、一貫性も大きな課題の1つと言えましたが、マシンに関して言えばこの2名のドライバーが性能を最大限に引き出してくれる事は間違いありません」
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「F1.07もいい車でしたので、これをベースに考えればF1.08はさらに良くなる筈です」


写真■ハイドフェルド「マシンの信頼性向上に期待」

最もBMWでの活動経歴が長いF1ドライバーとなったニック・ハイドフェルドは、2008年はマシントラブルが少ない車でレースでの勝利を狙いたいと述べる。

「シーズンの流れを予想する事は一般的に考えて非常に難しいです」とハイド・フェルド。

「しかしながら、計画が順調に進み、今年の2008年は自分たちにとって初のレースでの勝利が達成できる事を願っています。過去の失敗から学び、特にマシンの信頼性など全ての分野に前進が見られる事を期待したいです」

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写真■ロバート・クビサ「今年は一貫した高い成績を狙う」

ジャック・ビルヌーブからシートを引き継ぎ、今年は2年目のF1フル参戦となるロバート・クビサは、発表しれた新型車両を前に、2008年は一貫しての高い成績を目指すと以下の通りコメントした。

「自分にとってフォーミュラワンへのフル参戦2年目となる今年は、安定して高い成績が残せるようにしたいと考えています」とクビサ。

「昨年は何回かのリタイヤとカナダでの事故がアメリカからの調子を妨げ、2007年のポイント獲得に悪影響を及ぼし増したが、2008年は常に全てのチャンスが最大限に活かせるように大きく前進を遂げたいですね」



■2007年度マシンからの改善点など
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記事の冒頭で説明した通り、今年のBMWザウバーのマシンはフロントノーズからリアにかけてのスリム化やリムシールドなどの違いが目を引くが、チームのテクニカル・ディレクターを務めるウィリー・ランプは、今年のF1.08の事を「進化形を狙った新開発マシン」として説明している。

開発の過程において、F1.08は昨年のF1.07の基本性能を引き継いだ車両となっているため、基本的な部分の設計ミスなどを改めて見直す必要はなかったようだ。その代わりにエンジニアたちは高いレベルで安定した空力バランスの実現に取り組んでおり、この結果、コーナリング中のダウンフォースの低減を防ぎ、ドライバーがより安心して速く走れる基本性能を提供する事に力を注いだという。
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スリム化が施されたフロント・ウイングや幅の狭くなったエンジン・カバーがその成果の現れであり、その他にもMES製の標準ECU、ならびにギアボックスの4戦連続使用などの今年の新F1レギュレーションに沿う形で、ミュンヘンのエンジニアたちはエンジンならびにトランスミッションなどに代表されるメカニカル部分の最適化にも努力を積み重ねたとしている。

■ウィリー・ランプ「サーキット走行を前に期待できる状態」

写真標準ECUの採用により、今年のF1マシンには電子制御によるトラクション・コントロールやエンジン・ブレーキ制御などのドライバー・アシスト機能が取り除かれる事になったが、この影響により今後は機械的なグリップ性能の向上や、ドライバーによる繊細なアクセル・コントロールが要求されるようになる。

これらの要素を見越した上でF1.08の設計開発作業を1年に渡り指揮してきたテクニカル・ディレクターのウィリー・ランプは、シェイクダウンを前に、既に新型マシンは期待の持てる状態にあると以下の通り説明した。

「シェイクダウンを目前にしたF1.08は大変に素晴らしいデータを記録しています」とウィリー・ランプ。

「開発作業は新しいシーズンの開幕戦を目指してさらにスピードアップが図られます。次のテストまでにもう1種類のエアロパッケージがF1.08に追加される予定ですが、これによりマシンの外観はさらに変わる事になります」


■BMWザウバーF1.08の主要諸元

最後に、1月14日にBMWザウバーF1チームが公開した2008年型F1マシンであるF1.08の主要諸元を掲載する。
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シャシー

・モノコック:カーボンファイバー製
・サスペンション:ダブル・ウイッシュボーン(フロントとリア共に)、ザックス・レース・エンジニアリング(Sachs)製プッシュロッド作動式内蔵スプリングとダンパー
・ブレーキ:ブレンボ(Brembo)製6ピストン・ブレーキ・キャリパー、カーボン・インダストリー(Carbone Industrie)製パッドとディスク
・トランスミッション:縦置き7速クイック・シフト・ギアボックス
・クラッチ:AP製カーボンファイバー・クラッチ
・シャシー電子制御部品:MES
・ステアリング・ホイール:BMWザウバーF1チーム製
・タイヤ:ブリヂストン・ポテンザ
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シャシー寸法および重量

・全長:4,600mm
・全幅:1,800mm
・全高:1,000mm
・ホイールベース:3,130mm
・車軸長:フロント1470mm、リア1410mm
・乾燥重量:605kg(ドライバー含む)
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エンジン

・型式名称:BMW P86/8
・形式:V型(90°)8気筒自然吸気エンジン
・排気量:2400cc
・最大回転数:19,000rpm
・バルブ数:4バルブ/1気筒
・バルブトレイン:ニューマチック
・エンジンブロック:アルミニウム製
・シリンダーヘッド:アルミニウム製
・ピストン:アルミニウム製
・コネクティング・ロッド:チタニウム製
・クランクシャフト:スチール製
・オイルシステム:ドライサンプ方式
・エンジン制御:MES製スタンダードECU
・スパークプラグ:NGK製
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エンジン寸法および重量

・全長:518mm
・全幅:555mm
・全高:595mm
・重量:95kg

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