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2008年10月23日
2008年シーズンの最後から2戦目となるMotoGP第17戦マレーシアGPが、10月19日午後に熱帯のセパン・サーキットにて決勝レースの開始を迎えた。当初心配された雨を免れ、ドライ・コンディションに恵まれたセパンでのMotoGPクラスのレースを制したのは、今期9回目の勝利を飾った2008年度チャンピオン、フィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシだった。
ここでは、MotoGP最高峰クラスのマレーシアGP決勝レースの概況と主要ライダーのコメント、ならびに小排気量クラスのレース結果などを、セパンでのレースウイーク中の新着トピックなどと合わせて紹介する。
■マレーシアGPレースウイーク中の新着トピック
まず初めに、セパンでのレースウイーク中に公式発表されたレース内容以外の情報を、2点ほどまとめて紹介しておく。
■来期以降のタイヤ・サプライヤーがブリヂストンに正式決定
マレーシアGPの予選が行われた10月18日、FIM(国際モータサイクリズム連盟)は来期からMotoGPクラスにおいて施行されるシングル・タイヤ・ルールを前提としたタイヤ・サプライヤーが、日本のタイヤメーカーであるブリヂストンに決定した事を正式に発表している。
2009年度からのシングル・タイヤ・ルール導入の決定を受け、フランスのタイヤメーカーであるミシュランがその入札を辞退し、今期をもってグランプリ活動から撤退する意向を表明した事はすでに10月4日に報じた通りだが、今回のFIMの発表により、MotoGP最高峰クラスも4輪ロードレースの最高峰である現在のF1と同様に、日本のタイヤメーカーであるブリヂストン1社がタイヤサプライヤーを担当する事が正式に判明した。
■今回の契約は2011年までの3年間
今回ブリヂストンがMotoGPクラスのタイヤ・サプライヤーとして契約した期間は2009年から2011年までの3年間。なお、新しく導入されるシングル・タイヤ・ルールの詳細については、来シーズンの開幕に向けてグランプリ・コミッションなどが今後検討を重ねる予定だ。
■プラマック・レーシングが来期体制を発表、新ライダーはカネパとカリオ
ドゥカティーのサテライト・チームであるプラマック・レーシング(現アリーチェ・チーム)は、マレーシアGP決勝レース当日だった10月19日に、来期となる2009年度のレギュラー・ライダー体制として、現在250ccクラスのランキング3位につける現KTMのミカ・カリオと、今期は主にブリヂストン・ドゥカティーの開発ライダーとして活動していたドゥカティー・ゼロックス・ジュニア・チーム出身のニッコロ・カネパ(写真上は今期のSBKブルノ戦にスポット参戦した時のカネパ)の2名を起用する事を公式発表している。
■ミカ・カリオのMotoGPクラス昇格も同時決定
なお、今期のレギュラー・ライダーであるトニ・エリアスは来期からグレッシーニ・ホンダ・チームに復帰、シルバン・ギントーリはBSBのスズキ・ワークスに活動の場を移す事がすでに決定しているが、今回の発表によりプラマック・レーシングはMotoGPルーキー2名の体制で2009年シーズンを戦う事が判明し、同時にミカ・カリオの来期からのMotoGPクラス昇格も決定した。
■現行チームの来期体制が全て出揃っても終わらないストーブリーグ?
今回のアリーチェ・チームの体制発表をもって、2009年度のMotoGPクラスへのフル参戦を現時点において正式表明している全チームのライダー体制がこれで判明した事になるが、その他にもセテ・ジベルナウの起用が噂されているアンヘル・ニエト(写真下)の新しいドゥカティー・サテライト・チーム発足の噂や、カワサキが3台目のワークス・マシン投入に向けて、来期のMotoGPクラス参戦を断念したアスパル・チームに代わる何らかの形を模索しているとの噂もある事から、もうしばらく今期のストーブリーグが続く可能性もある。
■MotoGPクラスのマレーシアGP結果と概況
続いて、マレーシアGPにおけるMotoGPクラスの決勝レース結果と概況、続いて上位6名のライダーのコメントなどを紹介する。
10月17日から3日間の日程で開催された今年のマレーシアGPは、初日午前中のフリー・プラクティス1がフルウェット、2日目午後に行われた予選がウェット-ドライ、その合間の全てのセッションがドライ・コンディションという、熱帯のマレーシア独特の変わりやすい気象条件の中での戦いとなったが、決勝レースの行われた最終日は曇り空にはなったものの、終日のドライ・コンディションに恵まれている。
■決勝レース結果
気温39度、路面42度、湿度25%、レース残り6周のところでフラッグ・トゥ・グラッグの宣言は行われたが最後までドライ路面が保たれたMotoGPクラスのマレーシアGP決勝レース結果は以下に示す通り。
1) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 43分06秒007(21周)
2) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 43分10秒015(21周)
3) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiRチーム・スコット RC212V 43分14秒543(21周)
4) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 43分14秒865(21周)
5) 中野真矢 JPN サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 43分16秒590(21周)
6) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 43分19秒647(21周)
7) ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキMotoGP GSV-R 43分21秒943(21周)
8) コーリン・エドワーズ USA ヤマハTech3 YZR-M1 43分24秒809(21周)
9) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキMotoGP GSV-R 43分29秒181(21周)
10) ランディ・ド・プニエ FRA ホンダLCR RC212V 43分31秒523(21周)
11) ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 43分33秒616(21周)
12) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 43分47秒406(21周)
13) シルバン・ギントーリ FRA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 43分51秒624(21周)
14) アレックス・デ・アンジェリス RSM サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 43分55秒010(21周)
15) トニ・エリアス SPA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 44分05秒146(21周)
16) マルコ・メランドリ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 44分09秒335(21周)
17) 青木宣篤 JPN リズラ・スズキMotoGP GSV-R 44分54秒370(21周)
-) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 25分38秒557(12周)
-) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハTech3 YZR-M1 4分19秒122(2周)
セパンのサーキットレコード(レース中)は2007年にケーシー・ストーナーが記録した2分02秒108、ベストラップレコード(予選タイヤ)は2006年にバレンティーノ・ロッシが記録した2分00秒605。
■マレーシアGP終了時点のポイントランキング、ストーナーのランキング2位が確定
優勝したフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシの2008年度年間タイトルは日本GPの終了と同時にすでに決定しているが、今回のマレーシアGPではロッシに次ぐ年間ランキングの2位と3位の順位が確定している。
この日のレース結果により今期のランキング2位が決定したのは昨年度のチャンピオンであるドゥカティーのケーシー・ストーナー、昨年度はランキング2位だったレプソル・ホンダのダニ・ペドロサは今期のランキング3位に決定した。以下に、マレーシアGP決勝レース終了時点のポイントランキングを示す。
1) バレンティーノ・ロッシ [ITA] [フィアット・ヤマハ・チーム] 357
2) ケーシー・ストーナー [AUS] [ドゥカティ・マルボロ・チーム] 255
3) ダニ・ペドロサ [SPA] [レプソル・ホンダ・チーム] 229
4) ホルヘ・ロレンソ [SPA] [フィアット・ヤマハ・チーム] 182
5) アンドレア・ドヴィツィオーゾ [ITA] [JiRチーム・スコット] 161
6) ニッキー・ヘイデン [USA] [レプソル・ホンダ・チーム] 144
7) コーリン・エドワーズ [USA] [ヤマハTech3] 134
8) クリス・バーミューレン [AUS] [リズラ・スズキMotoGP] 125
9) 中野真矢 [JPN] [サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ] 117
10) ロリス・カピロッシ [ITA] [リズラ・スズキMotoGP] 111
11) ジェームス・トーズランド [GBR] [ヤマハTech3] 100
12) トニ・エリアス [SPA] [アリーチェ・チーム] 92
13) シルバン・ギントーリ [FRA] [アリーチェ・チーム] 63
14) ランディ・ド・プニエ [FRA] [ホンダLCR] 60
15) アレックス・デ・アンジェリス [RSM] [サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ] 57
16) ジョン・ホプキンス [USA] [カワサキ・レーシング・チーム] 55
17) マルコ・メランドリ [ITA] [ドゥカティ・マルボロ・チーム] 51
18) アンソニー・ウエスト [AUS] [カワサキ・レーシング・チーム] 50
19) ベン・スピーズ [USA] [リズラ・スズキMotoGP] 20
20) ジェイミー・ハッキング [GBR] [カワサキ・レーシング・チーム] 5
21) 岡田忠之 [JPN] [レプソル・ホンダ・チーム] 2
■ルーキー・オブ・ザ・イヤーの決着は最終戦に持ち越し
なお、2008年度ルーキー・オブ・ザ・イヤーは今回のマレーシアGPでは決定しておらず、現時点のランキング4位につけるフィアット・ヤマハのホルヘ・ロレンソが今回の12ラップ目に転倒してノーポイント、現時点のランキング5位につけるJiRチーム・スコットのアンドレア・ドヴィツィオーゾがMotoGPクラスにおける初表彰台を獲得して16ポイントを獲得した事から、この2名のポイント差は21に縮まっており、この結果として今年のルーキー戦の決着は最終戦のバレンシアに持ち越される事となった。
■MotoGPクラスのレース概況、ホールショットはペドロサ
全21周回のレース開始と同時にホールショットを奪ったのはポールポジションからスタートしたダニ・ペドロサ。その背後の2番手には2列目6番グリッドからスタートしたアンドレア・ドヴィツィオーゾ、3番手には1列目2番グリッド・スタートのバレンティーノ・ロッシがつけ、4番手には2列目4番グリッドからスタートしたニッキー・ヘイデン、5番手には3列目7番グリッドからスタートしたケーシー・ストーナーが続く。
■15番グリッドから一気に6番手に浮上した中野選手
このスタートの時点において最も飛躍的に順位を挽回したのは中野真矢選手だ。中野選手は5列目15番グリッド・スタートだったポジションを一気に9つ挽回して6番手に浮上すると、ストーナーの背後につけてオープニング・ラップの1コーナーを通過、その後はストーナーの後方から追い抜きのタイミングをうかがい続ける。
■トーズランドが3ラップ目に転倒「もう1周タイヤが温まるのを待つべきだった」
3ラップ目には16番手付近を走行していたジェームス・トーズランドが転倒、マシンは激しい勢いでグラベルに飛び込んだが、トーズランド本人に怪我はなかった。この時点でレースをリタイアする事になったトーズランドは「今週は改善がほとんど進まなかった。午前中にはフロントに大きな変更を加え、少しトンネルから抜け出せるような気はしたが、日曜日の朝ではすでに時間が足りなかった。レースはド・プニエやウエストとの接近戦になったが、その中で走行ペースを上げた途端に転んでしまった。今回はレースの距離を考慮して硬めのタイヤを装着していたが、もう1周タイヤが温まるのを待つべきだったと思う。6コーナーで攻め込みすぎてフロントを失ってしまった」と今回の転倒までの経緯を説明している。
■ペドロサを追い続けたロッシが11ラップ目にはトップに浮上
その後の先頭争いは、16ラップ目に入ると先頭のペドロサとロッシが後続のドヴィツィオーゾを2秒引き離し、ハイペースで逃げるペドロサをロッシが追い続けるというトップ2台によるマッチレースの展開となった。2台が後続グループを約5秒引き離した11ラップ目、ペドロサに背後からのプレッシャーを与え続けたロッシは9コーナーへの飛び込みで一気にペドロサの前を奪うとその後のレースをリード、力尽きた様子のペドロサはロッシの後ろにつけて追い続ける事ができない。
■ロレンソが転倒リタイア「最近はスタートがうまくいかない」
トップ2後方の第2グループは3番手のドヴィツィオーゾ、4番手のヘイデン、5番手のストーナー、6番手の中野選手の4台が形成。3番グリッドからのスタートに失敗したホルヘ・ロレンソも10ラップ目にはこの第2グループに完全に追いつき集団は5台構成となったが、中野選手を交わした直後となる12ラップ目の1コーナーでロレンソはマシンを倒し込むと同時に転倒、すぐにコースには復帰したが9ラップ目にはピットに自ら戻りリタイアした。
「今日はあまりいい感触が得られず、昨日よりもだいぶ悪い走りになっていたと思う。ブレーキングと加速の面で問題点をいくつか抱えていた。今日は表彰台に乗るチャンスもあった筈なので本当に残念。序盤の数周はタイヤに問題が多く、実際のところ何度も転びそうな目に会っていたが、結局のところ、最後にはそれを避ける事ができなかった」とロレンソ。
「今回もスタートがうまくいかなかったが、レースをする度に毎回その分野がどんどん難しくなるように感じる。スタートさえもっとうまく決める事ができればバレンティーノとペドロサについていく事も可能だったと思うが、今日はとにかくひどい内容だった。今は(スタートを)改善するのがかなり難しい状況なので、すぐに何か調整を加えていく必要があると思っている」
「ただ、今日は自分の中にも昨日まであった感触が見つからない状態だったので、いずれにしろあんまりいい日じゃなかった。年間ランキングが4位しか狙えない状況になり悲しいが、まだルーキー・オブ・ザ・イヤーは大丈夫なので、今はそれを目標にしたい。チームにとっては非常に重要な事なので、今からバレンシアに気持ちを集中していく」
■中野選手がストーナーを交わし5番手に浮上
16ラップ目にはフラッグ・トゥ・フラッグを宣言する白旗が提示されるが、特に路面が雨に濡れた様子はなく、誰1人ウェット用のバイクに乗り換える事なくレースはペドロサを2秒引き離したロッシがリードする中続行。この時に中野選手はストーナーを交わして5番手に浮上し、古傷の左手首に力が入らず右手が疲労により硬直してしまったというストーナーがその後はペースを維持できなくなり後退を開始した。ストーナーの背後には7番手のロリス・カピロッシが迫るが、カピロッシの終盤のミスもありストーナーはこれを最後まで抑えきる。
■新旧ホンダ・ワークス・バトルが勃発、激しく表彰台圏内を奪い合う2名
同じ頃、来期からホンダ・ワークスに移籍するドヴィツィオーゾと、今期をもってホンダ・ワークスを離れるヘイデンの2名による3位表彰台争いが激化。ヘイデンがドヴィツィオーゾを交わすと、やや大回りになったヘイデンのインをすぐにドヴィツィオーゾが奪い返し、それをまたヘイデンが抜き返すという光景が18ラップ目以降には繰り返されるが、コントロールラインを常に表彰台圏内の3番手で通過するのはドヴィツィオーゾの方だ。
■最終ラップまで粘り続けるヘイデンと逃げるドヴィツィオーゾ
最終ラップ、ロッシがペドロサを4秒以上引き離し、後ろを振り返りながら今期9回目となる勝利にウイリーで向かう中、2番手を走行するペドロサの5秒後方では、逃げるドヴィツィオーゾを粘るヘイデンが必死に追い続けるという息詰まるバトルが展開。
■ロッシが優勝、ペドロサが2位、3位は初表彰台のドヴィツィオーゾ
バレンティーノ・ロッシが通算150回目の表彰台を優勝で飾り、続いてペドロサがブリヂストン装着後のレース最高位となる2位でチェッカーを受けた後、最終的に3位でコントロールラインを抜けたのは、念願だったMotoGPルーキーイヤーにおける初表彰台を獲得したアンドレア・ドヴィツィオーゾだった。
続くニッキー・ヘイデンは惜しくも表彰台を逃し4位、中野真矢選手は前回のオーストラリアGPに続く2回連続の5位を獲得、ケーシー・ストーナーは中野選手から3秒遅れて2008年度年間ランキングの2位を決定付ける6位を確保した。
■ワイルドカード出場の青木選手は17位「雨が降ってくれれば良かったのに!」
また、リズラ・スズキから2009年型GSV-R用の新型パーツ開発を目的に今回のマレーシアGPにワイルドカード出場し、17位でチェッカーを受けた青木宣篤選手は、「レース終盤までマシンの調子は良かったが、その後にフロントの接地感とエンジン出力に問題が発生した事からポイント獲得はならなかった。雨さえ降ってくれればピットに戻ってマシンを交換できたのに!」とレース後にコメントしている。
■マレーシアGP決勝上位6名のライダーコメント
以下に、マレーシアGP決勝上位6名のレース終了直後の詳細コメントを紹介する。
■優勝)バレンティーノ・ロッシ「今年も9勝できた!」
今日の優勝はとても嬉しいです。これで2004年のヤマハでの初年度も含み、自分のここまでのレース経歴における年間タイトルの全ては、1シーズンに9回の勝利で決めた事になりますからね。もちろん、だからと言って来週は勝ちたくないという意味じゃありませんよ。でも今はこの数字がすごく気に入っているんです!
今日はひどく暑かったのでレースは信じられないほどきつかったですよ。ダニの後ろについてからは何度も彼を交わそうと試みましたが、彼は本当に速かった上に安定していましたね。だからその後は彼といいバトルをする事になりました周回を重ねるうちに、どこなら抜き易いかが段々分かってきて、最終的にはうまく彼を交わして引き離しにかかる事ができました。
こんなに厳しいコンディションの中でも今日は全てがうまくいきました。M1とブリヂストンタイヤの調子もすごく良かったので、週末を通して常に自分を速く走らせてくれたスタッフの全員に感謝したいと思います。
素晴らしいサーキットですから、ここで優勝できるのは本当に嬉しいです。ただ、今日は本当に耐久テストのような内容でしたね。特に最後の5周回は厳しい暑さのせいで集中力を切らさずに走るのが本当に大変でしたし、努力が必要でした。
いずれにしても、セパンでの勝利はとても重要でした。冬季シーズン中にここでレース・シミュレーションを行った時にもすごい速さで走れていたので、自分の新しいタイヤ技術者になったばかりだったブリヂストンのピーターには、ここでは優勝して見せるとその時に断言していましたからね!2月にはそんな賭けをしたので、その意味でも今日は勝たなきゃいけなかったんです!
最後に、友人のマルコ・シモンチェリが250ccの年間タイトルを今日ついに獲得した事を祝福したいと思います。彼がチャンピオンの座に辿り着くまでにどれだけの努力を重ねてきたかをよく知っていますから、本当に相応しい結果だと思いますし、心から彼の勝利を嬉しく思っています。
■2位)ダニ・ペドロサ「もてぎの時よりもロッシとの差が縮まったので満足」
すごく厳しいレースでしたが、この結果にはとても満足していますし、全セッションを通して改善を進めてくれたチームの頑張りに感謝しています。
金曜日の午前中は17位でしたから、あれから大きな進歩が得られたと思っています。昨日はポールを獲得して今日のレースは2位ですから、やっと自分とチームの両方にとっていい週末が戻ってきました。フィリップ・アイランドではレース中に転倒して左のひざを痛める事になりましたが、あれからここまでに重要な進展を得る事ができました。
今日のレースの終盤はバレンティーノの方が自分よりも速かったです。最後まですごいプレッシャーをかけ続けられていましたから、交わされてから彼を追いかけるのはもう難しい状況でした。でも、3位だったもてぎの時よりも彼との差は縮まっていますし、新しいバイクとタイヤの両方に改善を進めてこられたと思うので満足です。
シーズンの終盤に入ってからの今の新しいパッケージに慣れるのに自分もチームも少し苦戦してきましたが、レースの度に速く走れるようになっていますから、今はそれが重要だと思っています。次のレースでもっと差を縮める事ができれば、自分たちの作業の方向性が間違っていなかった事を確認できるでしょうね。
多くのスペインのファンが待っていてくれるでしょうから、来週のバレンシアGPが今から楽しみです。
■3位)アンドレア・ドヴィツィオーゾ「大満足!全くミスが許されない状況だった」
今日はすごく嬉しいです!シーズンを通して本当に多くの作業をこなしてきた後の初表彰台ですから本当に満足ですし、自分とチームの両方にとって非常に重要な結果だったと思います。
チームに何とか表彰台をプレゼントしたいとここまで思い続けてきましたが、今回の表彰台が彼らの今シーズン中の努力への恩返しになっただけではなく、一緒に戦ってきた過去7年間を通しての自分の感謝の気持ちが表現できた事を願っています。
チームスコットとは125cc時代に年間タイトルを一緒に獲得しましたが、来年には自分がHCRレプソル・ホンダ・チームに移籍する事が決定しているので、その前にもう一度何かすごい事を一緒に成し遂げたいと思っていました。
スタートはうまくいきましたがレースは厳しい展開でしたね。バレンティーノとダニに引き離された後は自分の走りにとにかく集中しようと頑張りました。ニッキーがコーナーを通過する度に距離を詰めてきているのが分かりましたからね!それに後ろの集団を振り返って確認した時には、全くミスが許されない状況に自分がおかれているのを深く理解しました。
タイヤはすごく滑りやすい状況でしたがなんとか性能を使い切り、コーナーからの脱出時には常に早めに加速を開始するようにしていました。レース終盤にはニッキーに何度か交わされましたが、最終的には彼の前でチェッカーを受ける事ができて、やっと念願の表彰台を獲得しました。
ここまで自分と密接に働き、サポートをしてくれたチームのスタッフ全員のひとり残らずに、感謝の気持ちを伝えたいと思います。
■4位)ニッキー・ヘイデン「今晩は自分を責める事になりそう」
週末を通して6番手か7番手タイムだったので、レースが簡単じゃない事は分かっていました。天気がずっと不安定だった影響もあり、セッティング面についても決して納得できる状況じゃありませんでしたからね。
おまけに今回は午前のウォームアップが良くなかったんです。いくつかの事を夜通し試しましたが少し手戻りが生じてしまったので、レースで実際に走ってみてどうなるか確証のない状態でした。バイクは昨日の午前の感触にはだいたい戻りましたが、それでも何かが不足しているような感じでした。ただ、レースは自分が予想していたよりはずっといい内容でしたよ。もっとひどい状況だってあり得ましたからね。
レース中は激しく攻め込んで何回かドヴィの前を奪う事はできましたが、その後も彼は強かったです。だってね・・・全然諦めてくれないんですよ。でもバトルは面白かったですよ。レースの序盤に集団を抜け出して表彰台を争うのは本当に楽しい事ですからね。全てを出し切って戦い、特に3コーナーではフロントから激しく攻め込みました。
レースが終わってから言っても仕方ありませんが、恐らく最終ラップの時にはもう少し馬鹿げた事をしでかすくらいの走りが必要だったのかもしれませんね。あの時に何回かチャンスを逃した事について今晩は自分を責める事になるでしょうが、でも、常に激しく攻め込んでいたのは事実なんですよ。
今回はドヴィの初表彰台を祝福したいと思います。
■5位)中野真矢「スタートが最高にうまくいった」
今回のレース内容には満足しています。スタートがうまくいき、15番グリッドから6番手にまで一気に浮上する事ができました。
しばらくはストーナーを追いかけて何回か追い抜きを試みましたが、彼はとても速い上にブレーキングがものすごく深かったので簡単にはいきませんでしたね。でも、すぐに彼がバイクのフロントに何か問題をいくつか抱えている事が分かり、その後に彼を交わしてからは、最後まで5位のポジションを維持する事ができました。
■6位)ケーシー・ストーナー「手が硬直しスロットル操作が難しくなった」
今日は負傷している左手に感覚が全くなく、うまく動いてくれませんでした。そのために今日は全ての力を右手に集中しなければならず、今回のような体力の要求されるレースの条件下ではかなり難しい状況でした。
手が硬直し始めてからはストレートでさえスロットルをオープンする事ができなくなりました。正直言って今週はバイクをあまり完璧には仕上げる事ができていませんでしたが、今日は自分が限界まで攻め込むような走りを一切できていなかったので、バイクに不満を言えるような状態ではありません。
今週は厳しいレースウイークでしたが、まだバレンシアの最終戦があるので、あそこでは激しく攻め込んで今シーズンを乗り切りたいと思っています。やっと手術を受けられますが、その前に可能な限りいい結果を残しておきたいですからね。
少なくとも、年間ランキングの2位はこれで確定しましたから、自分自身としてもチーム全体としても、今シーズンを振り返ればその年間成績については誇りに思えます。
■250ccクラスのレース結果、シモンチェリの年間タイトルが決定
以下に、気温41度、路面温度48度、湿度21%のドライ・コンディションの中で行われた250ccクラスのレース結果を示す。マレーシアGPの決勝レースを制したのは、今期のランキング2位が確定しているマプフレ・アスパル・チームのアルバロ・バウティスタだった。2位表彰台は昨年度のマレーシアGP優勝者であり現在のランキング7位につけるKTMの青山博一選手が獲得。
そして今回3位表彰台を獲得したメティス・ジレラのマルコ・シモンチェリは、最終戦のバレンシアを前にしてバウティスタとのポイント差を28とした事から、2008年度の250ccクラス世界チャンピオンに輝いている。また、来期からのMotoGPクラス昇格が確定している現在ランキング5位につけるJiRチーム・スコットの高橋裕紀選手は、惜しくも表彰台を逃す4位だった。
1) アルバロ・バウティスタ SPA マプフレ・アスパル・チーム アプリリア 42分56秒428(20周)
2) 青山博一 JPN レッドブルKTM 250 KTM 42分59秒014(20周)
3) マルコ・シモンチェリ ITA メティス・ジレラ ジレラ 43分04秒771(20周)
4) 高橋裕紀 JPN JiRチーム・スコット250 ホンダ 43分07秒460(20周)
5) アレイックス・エスパルガロ SPA ロータス・アプリリア アプリリア 43分10秒274(20周)
6) アレックス・デボン SPA ロータス・アプリリア アプリリア 43分10秒702(20周)
7) ロベルト・ロカテリ ITA メティス・ジレラ ジレラ 43分11秒529(20周)
8) ラタパー・ウィライロー THA タイ・ホンダPTT SAG ホンダ 43分13秒415(20周)
9) トーマス・ルティ SWI エミー・カフェラテ アプリリア 43分21秒784(20周)
10) ルーカス・ペセック CZE オート・ケリー-CP アプリリア 43分23秒274(20周)
11) ファブリツィオ・ライ ITA カンペテーラ・レーシング ジレラ 43分46秒335(20周)
12) カレル・アブラハム CZE カルディオンABモーターレーシング アプリリア 43分46秒516(20周)
13) アレックス・バルドリーニ ITA マテオーニ・レーシング アプリリア 44分02秒244(20周)
14) シモーネ・グロティスキ ITA カンペテーラ・レーシング ジレラ 44分11秒972(20周)
15) イムレ・トース HUN チーム・トース・アプリリア アプリリア 44分16秒333(20周)
16) マヌエル・エルナンデス SPA ブルセンス・アプリリア アプリリア 44分32秒318(20周)
17) ダニエル・アルカス SPA ブルセンス・アプリリア アプリリア 44分57秒145(20周)
18) ドニ・タタ・プラディタ INA ヤマハ・プルタミナ・インドネシア ヤマハ 45分25秒270(20周)
-) マティア・パッシーニ ITA ポラリス・ワールド アプリリア 32分46秒743(15周)
-) フリアン・シモン SPA レプソルKTM 250cc KTM 23分41秒346(11周)
-) ミカ・カリオ FIN レッドブルKTM 250 KTM 11分13秒043(5周)
-) エクトル・ファウベル SPA マプフレ・アスパル・チーム アプリリア 8分46秒498(4周)
■125ccクラスのレース結果
以下に、気温38度、路面温度44度、湿度28%のドライ・コンディションの中で行われた125ccクラスのレース結果を示す。優勝は昨年度のチャンピオンであり、来期は250ccクラスへの昇格が決定している現時点のランキング2位につけるガボール・タルマクシが獲得。今期の年間タイトルを前回のオーストラリアGPで決めたマイク・ディ・メッリオは5位だった。
今回のマレーシアGPを含むシーズン残りの2戦をKTMワークスで戦う事になった小山知良選手は11位。I.C.チームの中上貴晶選手はオープニングラップ中にハイサイドを喫して転倒、そのままリタイアしたが、特に大きな怪我は負わなかった。
1) ガボール・タルマクシ HUN バンカハ・アスパル・チーム アプリリア 43分00秒716(19周)
2) ブラッドリー・スミス GBR ポラリス・ワールド アプリリア 43分04秒132(19周)
3) シモーネ・コルシ ITA ジャック&ジョーンズWRB アプリリア 43分07秒612(19周)
4) サンドロ・コルテセ GER エミー・カフェラテ アプリリア 43分07秒641(19周)
5) マイク・ディ・メッリオ FRA アジョ・モータースポーツ デルビ 43分07秒831(19周)
6) ポル・エスパルガロ SPA ベルソン・デルビ デルビ 43分15秒838(19周)
7) ジョアン・オリベ SPA ベルソン・デルビ デルビ 43分22秒521(19周)
8) ドミニク・エジャーター SWI アジョ・モータースポーツ デルビ 43分22秒585(19周)
9) ニコラス・テロール SPA ジャック&ジョーンズWRB アプリリア 43分22秒674(19周)
10) アンドレア・イアンノーネ ITA I.C.チーム アプリリア 43分24秒331(19周)
11) 小山知良 JPN レッドブルKTM 125 KTM 43分24秒367(19周)
12) セルジオ・ガデア SPA バンカハ・アスパル・チーム アプリリア 43分35秒940(19周)
13) ロレンソ・サネティ ITA ISPA KTMアラン KTM 43分41秒218(19周)
14) パブロ・ニエト SPA オンデ2000KTM KTM 43分52秒120(19周)
15) Adrian Martin SPA バンカハ・アスパル・チーム アプリリア 43分56秒442(19周)
16) ジュール・クルーセル FRA ロンシン・レーシング ロンシン 43分57秒253(19周)
17) Jonas Folger GER レッドブルMotoGPアカデミー KTM 44分07秒856(19周)
18) Marco Ravaioli ITA マテオーニ・レーシング アプリリア 44分08秒289(19周)
19) ランディ・クルメンナッハ SWI レッドブルKTM 125 KTM 44分08秒457(19周)
20) ロビン・ラッサー GER グリズリー・ガス・キーファー・レーシング アプリリア 44分09秒565(19周)
21) Bastien Chesaux SWI WTRサンマリノ・チーム アプリリア 44分47秒325(19周)
22) ロベルト・ミュアサン ROU グリズリー・ガス・キーファー・レーシング アプリリア 43分37秒123(18周)
-) エステベ・ラバト SPA レプソルKTM 125cc KTM 40分01秒949(17周)
-) スティーヴィー・ボンセー USA デグラーフ・グランプリ アプリリア 27分34秒736(12周)
-) ステファン・ブラドル GER グリズリー・ガス・キーファー・レーシング アプリリア 25分01秒751(11周)
-) スコット・レディング GBR ブルセンス・アプリリア・ジュニア アプリリア 25分50秒174(11周)
-) ヒューゴ・バン・デン・ベルグ NED デグラーフ・グランプリ アプリリア 25分52秒641(11周)
-) ラファエレ・デ・ロサ ITA オンデ2000KTM KTM 18分37秒134(8周)
-) ダニー・ウェッブ GBR デグラーフ・グランプリ アプリリア 19分13秒445(8周)
-) エンリケ・ヘレス SPA ISPA KTMアラン KTM 19分26秒771(8周)
-) アレックス・マスボー FRA ロンシン・レーシング ロンシン 14分16秒538(6周)
-) 中上貴晶 JPN I.C.チーム アプリリア -分-秒-(0周)
-) エフレン・ヴァスケス SPA ブルセンス・アプリリア・ジュニア アプリリア ※Not Starting
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