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フランスGP決勝、ロッシ「アンヘル・ニエトの待機がプレッシャー」
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インテリマーク編集部
  2008年5月24日

2008年MotoGPシーズンのヨーロッパ・ラウンド最初の戦いとなる第5戦フランスGPが、7万4千602人の観衆が集まったフランスのルマン・ブガッティ・サーキットにて5月18日に決勝レースの日を迎えた。ここでは、レースの途中でフラッグ・トゥ・フラッグの宣言がなされたMotoGPクラスの決勝レース内容、ならびに小排気量クラスのレース結果などを、MotoGPクラスの各ライダーやチーム関係者のコメントなどと合わせて紹介する。
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■3日間を通してドライ・コンディションに恵まれたMotoGPクラス

レースウイークの前から3日間を通して悪天候になる事も一部の天気予報では伝えられていた今回のフランスGPだが、幸いMotoGPクラスは3日間の全セッションを通してのドライ・コンディションに恵まれている。直前に行われた250ccクラスのレースはウェット宣言で開始されたが、MotoGPクラスのライダーがスターティング・グリッドにつくまでには路面が乾き、ウォームアップ・ラップが開始されるまでにはドライ宣言がなされた。
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路面温度については、予選のあった2日目の午後よりは4度低い26度と、ほぼ初日の午後のフリー・プラクティスと同等の条件となったが、直前の雨によりグリップ・レベルなどのアスファルトの状況が変化している事などから、各チームは前回の中国GPと同様にレースの開始直前にはタイヤの選択に関して悩ましい思いをした様子だ。


■スターティング・グリッド、ポールポジションはペドロサ

レース前日となる2日目午後の予選でポールシッターとなったのはレプソル・ホンダのダニ・ペドロサ。MotoGPクラスのポイントリーダーとして挑んだルマンでの予選において、ペドロサは今期初のポールポジションを獲得している。
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■初勝利を狙うエドワーズと復調のストーナーも1列目を確保

1列目2番グリッドはTECH3ヤマハのコーリン・エドワーズ。中国GPに続き今期2回連続、および昨年のルマンに引き続き2年連続のポールポジションを狙っていたエドワーズだが、予選では最後のタイムアタック中にトラフィックにひっかかり、惜しくもその希望は叶わなかった。今期はポルトガルの一戦を除き常に予選では1列目を確保するとおいう好調さを見せているものの、まだ今年のレースでは一度も表彰台に辿り着けていないエドワーズは、今回のルマンではMotoGPでの初優勝を本気で狙っていくとしており、自身とマシンの仕上がりには大きな自信を示している。
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1列目最後の3番グリッドは、今年は開幕戦で勝利を果たしたものの、第2戦スペインGPからはドゥカティーのマシンのセッティング上の問題が解決できずに各セッションで苦しむ事の多かった昨年度チャンピオンのケーシー・ストーナー。復調の兆しを見せた前回の中国GPでは2戦ぶりに表彰台に復帰し、今回のルマンからはドゥカティーらしいセッティングの方向性も決まった事から、この時点のランキング4位につけるストーナーはタイトル防衛をかけてヨーロッパ・ラウンドでの快勝と年間ランキングトップ争いへの復帰を目指す。

■90勝目に大手のロッシ、両足の痛むロレンソ、中国から不調のヘイデンは2列目
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2列目4番グリッドは、前回の中国ではブリヂストンに履き替えてからの初勝利を獲得、今回のルマンでの目標は3位以上と、やや彼にしては控えめなコメントを決勝レース前に述べていたフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシ。中国GPでの勝利においてグランプリ通算89勝を数えるロッシが今回のレースに勝てばアンヘル・ニエトが保持する90回の勝利記録に並び、ジャコモ・アゴスチーニに次ぐグランプリ歴代2番目の勝利回数を保持する事になる。なお、この時点におけるロッシのランキングはポイントリーダーのペドロサと9ポイント差の3位。

2列目5番グリッドは、ポール・トゥ・ウインを第3戦のポルトガルGPで達成した直後となる前回の中国GP初日、フリー・プラクティスにおいて両足のくるぶしを骨折したものの決勝レースでは4位を獲得、今回のフランスでは初日と2日目に転倒して痛みが悪化する中の予選で堂々の2列目を確保、今回の決勝では6位以上を狙うスーパールーキー、フィアット・ヤマハのホルヘ・ロレンソ。
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2列目最後となる6番グリッドは、今年は今回を含み中国GP以外の予選で2列目以上を確保しているが未だに表彰台がなく、今年の最高位はスペインGPでの4位という2006年度チャンピオンのニッキー・ヘイデン。中国からマシンのフロントまわりのセッティングが定まらなくなり、今回のルマンではレースウイーク中に大きくバイクへの変更を施したヘイデンのこの時点の年間ランキングは8位。

■スペシャル・カラーのマシンに跨る地元の2名、中野選手は5列目スタート
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3列目7番グリッドはTECH3ヤマハのジェームス・トーズランド、8番グリッドはリズラ・スズキのクリス・バーミューレン、3列目最後の9番グリッドはカワサキのジョン・ホプキンス。4列目10番グリッドはJiRチームスコットのアンドレア・ドヴィツィオーゾ、11番グリッドはリズラ・スズキのロリス・カピロッシ、4列目最後の12番グリッドは地元フランス人ライダーであるホンダLCRのランディ・ド・プニエ。
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5列目13番グリッドはサンカルロ・ホンダ・グレッシーニの中野真矢選手、5列目14番グリッドはアリーチェ・チームのトニ・エリアス、5列目15番グリッドはサンカルロ・ホンダ・グレッシーニのアレックス・デ・アンジェリス。6列目16番グリッドはアリーチェ・チームの地元フランス人ライダーであるシルバン・ギントーリ、6列目17番グリッドはドゥカティーのマルコ・メランドリ、最後尾の6列目18番グリッドはカワサキのアンソニー・ウエスト。
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■サイティング・ラップ中にエンジンが停止していたメランドリ

なお、中国での復調宣言もむなしく今回のフランスではレースウイークを通してセッティングの決まらないメランドリが乗るドゥカティー・デスモセディチGP8は、今回のサイティング・ラップ(ライダーがピットから出て最初にグリッドに付くまでの周回)においてエンジンが一度停止しているが、すぐに再びエンジンがかかった事からメランドリは一時的な問題だと判断、大きくは気にせずそのままスターティング・グリッドに付いている。
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■レース開始、好スタートのエドワーズとペドロサを抜き去るストーナー

MotoGPクラスのレース開始直前の気温は20度、路面温度は26度、湿度は38%。250ccクラスのレース序盤に降っていた雨はあがり路面も完全に乾いた事から、ウォームアップ・ラップの開始をグリッド上で各ライダーが待つ中、今回の28周回のレースにはドライ宣言がなされた。全ライダーがウォームアップ・ラップを終えて再びグリッドにつき、そこでシグナルが点灯する。
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シグナルが消えた瞬間にレースがスタート。ここでスターティング・グリッドからの好調な瞬発加速を見せたのはポールポジションのエドワーズと2番グリッドスタートのペドロサだが、1コーナー直後のシケイン進入までに伸びやかな加速を見せたのは3番グリッドからスタートしたドゥカティーのケーシー・ストーナーだった。先頭のストーナー、2番手のペドロサ、3番手のエドワーズの背後には、今期はスタート・ダッシュの鋭さが目立つレプソル勢のヘイデンがつける。


■シケイン出口でロレンソに押し出されるド・プニエ

ライダーが一斉に最初のシケイン内を通り抜ける中、ここで11番手付近を走行していた地元のド・プニエは、シケインからの脱出加速に入った直後に左後方から来たロレンソに背後から押されてコースの外側に押し出されてしまう。
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■ポジション挽回もつかの間、今度はホプキンスに進路を奪われたド・プニエ

不幸中の幸い、ド・プニエが押し出されたのは舗装されたエスケープゾーンの範囲内だったため、彼はそのままコースに添ってアップヒルを加速。7番手〜9番手付近を走行していたリズラ・スズキ・ペアとカワサキのジョン・ホプキンスの横からコースへ無事に復帰したドプニエは4コーナーに向けてのダウンヒルを下り始めるが、この瞬間ド・プニエは内側に来たホプキンスに並ばれてコースからはみ出しそうになり、せっかく挽回したポジションを中野選手の背後となる14番手に落としてしまう。

■ド・プニエ「やっといいスタートが決まったのに・・・」

シーズンが開幕してからの課題としていたスタートをやっと地元では成功させたのに、チャペルコーナーまでにポジションを落とす事になったド・プニエは「やっといいスタートができたのにシケインで誰かに外へ押し出されてしまった。すぐにコースには9番手のポジションから復帰したが、ホプキンスがダウンヒルのとこで内側から自分を抜きにかかり、そこで一緒に大回りになった事から自分は5つポジションを落として14番手に下がってしまった」とコメント。


■メランドリはレース開始直後にエンジン・ストール
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写真レース開始直後に不運に見舞われたのはこのド・プニエだけではない。ストーナー、ペドロサ、エドワーズ、ヘイデンが4コーナーのチャペル・コーナーを通り抜ける背後でトーズランド、ロッシ、バーミューレン、カピロッシが前を奪い合うオープニングラップの序盤、まだスターティング・グリッド上には発進できずに独り寂しく取り残されているライダーが1名いた。メランドリのマシンはスタート直後に完全にストールしており、レース開始から30秒が経過してようやくメランドリも発進。

■メランドリ「一時的な問題だと思っていた」

サイティング・ラップの時からエンジンの様子がおかしかったメランドリは「今回のレースはスタート直後に台無しになった。サイティング・ラップの時にエンジンが一度停止したが、あの時は一時的な問題だと思っていた。が、スタートの時にクラッチをつないだ瞬間マシンは完全にストールしてしまい、大きくタイムをロスしてしまった」と今回のレースでの出遅れを説明している。


■1ラップ目終了時点の順位
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最終コーナーを先頭のストーナー、2番手のペドロサ、3番手のエドワーズ、4番手のヘイデン、5番手のロッシ、6番手のバーミューレン、7番手のトーズランド、8番手のカピロッシ、9番手のホプキンス、10番手のロレンソ、11番手のエリアス、12番手のドヴィツィオーゾ、13番手の中野選手、14番手のド・プニエ、15番手のデ・アンジェリス、16番手のギントーリ、17番手のウエストが通過し、全員がシケインの彼方に消えてから大きく遅れて最後尾のメランドリもメインストレートに進入。
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■ロッシがヘイデンを交わし4番手に

2ラップ目のシケインに進入するストーナーのインをペドロサはうかがうが、ストーナーは脱出加速でこれを阻止。ストーナー、ペドロサ、エドワーズの3台が集団から抜け出してトップ集団を形成しつつある中、6コーナーではロッシがヘイデンを交わして4番手に浮上し、3番手のエドワーズの後方につける。
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■ペドロサから逃げ続けるストーナー、エドワーズの背後に迫るロッシ

3ラップ目の8コーナー、3番手のエドワーズをやや引き離してストーナーとペドロサの先頭2台が熾烈なポジション争いを見せるが、ここでもストーナーはペドロサを抑えてトップのままバックストレートを加速。背後ではエドワーズの真後ろに4番手のロッシが迫る。
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■ドヴィツィオーゾに背後から接触したトーズランドが転倒
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5番手以下、ヘイデン、バーミューレン、カピロッシ、ホプキンスの後方では、トーズランドとドヴィツィオーゾの2台が激しく9番手を奪い合っていたが、4コーナーへの進入時にドヴィツィオーゾの背後にやや強引に並びかけたトーズランドは、ドヴィツィオーゾのマシンと身体にフロントタイヤを接触。トーズランドはバランスを崩してそのまま転倒、3ラップ目にして戦列から離れる結果に終わった。転倒を免れたドヴィツィオーゾの方は、マシンとライディング・スーツにトーズランドのタイヤの跡がくっきりと残っている。
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■トーズランド「SBKみたいにレース2があればいいのに!」

「本当に残念。少しのミスでチームと自分のここまでの作業が台無しになってしまった。SBKみたいにレース2があればいいのに!」と述べるトーズランドは、今回の転倒までの経緯について以下の通り語った。
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「スタートが本当にうまくいったので、トップ集団にそのままついて行きたかったが、ジョン・ホプキンスにフェアな形で激しく前に入り込まれてポジションを2つほど落としてしまった。その後、4コーナーでアンドレアが小さなミスをして若干膨らんだのでそこから抜いて行こうとしたが、彼がラインに戻ってきて自分のフロントタイヤに当たった。これはレースアクシデントに過ぎないが、いいスタートができて高い成績が望めるレースだっただけに本当にがっかり」とトーズランド。

■ドヴィツィオーゾ「背後から追突された」
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その一方、トーズランドとの接触によりタイムをロスしたドヴィツィオーゾは「今日はスタートがうまくいかず、序盤はポジションを挽回するのが大変だったが、ジェームス・トーズランドにつかまるまでは順調に前に出て来られた。何度か彼とはポジションを奪い合ったが、ダウンヒル下のコーナーで加速に入ったところでジェームスが激しく後ろから追突してきた。幸い転倒は免れたが、彼のタイヤが自分の身体にあたり、レザースーツとバイクのリアまわりには彼のタイヤの黒いゴムの後がくっきり残った。おかげで大きくタイムをロスする事になったが、これがなければレースの後半はもっといい結果が狙えたと思う」と、背後から突然トーズランドに追突された事を主張している。
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■ロッシがエドワーズとペドロサを交わして2番手に浮上

4ラップ目、6コーナーの入り口でペドロサはストーナーの前に出てトップに浮上するが、直後にリアタイヤが暴れてペドロサは失速、再びストーナーがトップに立った。2番手に戻ったペドロサは慌てて加速するが、続く7コーナーではエドワーズを交わしたロッシがペドロサに並びかける。8コーナーからバックストレートにかけて2番手につけたのはロッシだ。3番手に後退したペドロサは9コーナー入り口でロッシに食い下がる。
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■ロッシに食い下がるが前には出られないペドロサ

9コーナー出口からはロッシとペドロサがほぼ横並びとなるが、11コーナーでロッシはペドロサを抑えて2番手のポジションを確保、そのまま最終コーナーに向かう。ここで先頭集団は完全に後続を引き離して4台となり、ストーナー、ロッシ、ペドロサ、エドワーズが等間隔をなして最終コーナーを通り抜ける。

先頭を行くストーナーの背後にロッシが迫った7ラップ目の1コーナー、3番手のペドロサはロッシのインに入り込むが、ロッシはブレーキを遅らせてペドロサよりも深くシケインに飛び込む。ペドロサはロッシに前に出る事ができない。

■ついに先頭に立ったロッシ、ストーナーとペドロサを背後に猛烈加速

8ラップ目、先頭のストーナー、2番手のロッシ、3番手のペドロサが団子状態となって4コーナーの入り口を奪い合う。4番手のエドワーズがこのトップ3台のペースにはついて行けずに若干遅れる中、続く6コーナー、ロッシがついにストーナーから前を奪いトップに浮上した。
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ここでトップに立ったロッシのYZR-M1はバックストレートで猛烈な伸びの加速を見せる。2番手に後退したストーナーがそれを必死に追うが、ロッシの背後につける事ができない。ゆっくりとロッシはストーナーとペドロサを引き離し単独走行に移行。ペドロサはストーナーが壁となりロッシを追いかける事ができない。


■10ラップ目の順位、トップ集団に接近するバーミューレンとロレンソ
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第2集団を抜け出した5番手のバーミューレンがトップの4台に接近し、ロレンソがその後方6番手に浮上した10ラップ目突入時点の順位は、先頭がロッシ、0.8秒後方に2番手のストーナー、その0.2秒後方には3番手のペドロサ、さらに0.5秒後方には4番手のエドワーズが続き、約2秒後方に5番手のバーミューレン、さらに2秒後方には6番手のロレンソがつける。
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ロレンソから遅れて7番手のヘイデン、8番手のカピロッシ、9番手のホプキンス、10番手のドヴィツィオーゾが中間グループを形成し、その後方には11番手の中野選手、12番手のデ・アンジェリス、13番手のド・プニエ、14番手のエリアス、15番手のギントーリ、16番手のウエスト、17番手のメランドリが続いた。
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■ペドロサがストーナーを交わし2番手に浮上

11ラップ目の最終区間、ペドロサは11コーナーからストーナーに並びかけ、最終カーブの13コーナーではついにストーナーを交わして2番手に浮上、メインストレートで加速する先頭のロッシを追う。先頭のロッシと2番手のペドロサのペースについて行けなくなった3番手のストーナーの背後には4番手のエドワーズが迫る。
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■ストーナーに仕掛けるエドワーズ

トップのロッシが2番手のペドロサを大きく引き離し始める13ラップ目、3番手のポジションを守りたいストーナーに4番手のエドワーズがアタックを開始。エドワーズは1コーナーからシケインの進入にかけてストーナーのインを狙うが、脱出加速でストーナーはこれを阻止。
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6コーナーではエドワーズは完全にストーナーの横に並びかけるが、ここでエドワーズはミスをして大回りとなり、そのイン側をストーナーが悠々と通過。焦るエドワーズの後方にはバーミューレンが1.1秒差にまで迫り、さらにその0.5秒後方にはロレンソも接近。


■カピロッシを押し出すホプキンス
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ロッシがペドロサを3秒引き離した14ラップ目、ここで9番手を走行していたホプキンスは、強引に8番手のカピロッシの内側に入り込み、コース脇の草の上にカピロッシを押し出してしまう。カピロッシは転倒は免れすぐにコースには復帰したが、ホプキンスとドヴィツィオーゾにポジションを奪われ9番手に後退してしまう。

■カピロッシ「謝ってくれたからいい」
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この出来事についてレース後にカピロッシは「昨日はセッティング変更のおかげで少しマシンの調子が良くなっていたが、今朝のウォームアップではまた苦しんだ。レースでは1人のライダーに草の上に押し出されてしまったが、あれさえなければもう少し上の結果が狙えたと思う。ただ、レースにはそういう場面も当然あるし、彼はレース後すぐに自分のところに謝りに来てくれたから全く問題ない」とコメントしている。


■ヘイデンがオーバーランを喫し10番手に後退

同じ頃、その前方となる7番手を走行していたヘイデンは6コーナーを曲がりきれずにオーバーラン。ヘイデンはすぐにコースには復帰したものの、真後ろにつけていたホプキンス、ドヴィツィオーゾ、カピロッシの3台に先行されポジションを10番手に落とした。
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■ヘイデン「少し熱くなりすぎた」

ここで中間グループの争いから脱落する事になったヘイデンは「今週はずっと何かが欠けていた。スタートはうまくいってポジションを2つか3つ程そこで挽回できたが、自分が入りたかったグループについて行く事はできなかった。必死にその場所で頑張り続けたが、少し熱くなりすぎて6コーナーでコースアウトをしてしまった」とコメントしている。


■暗雲立ちこめるルマンにフラッグ・トゥ・フラッグ宣言

15ラップ目にロレンソが1コーナー後のシケインでバーミューレンを交わして5番手に浮上した頃、レース開始時には雲の合間から見えていた青空が消え、空には分厚い雲が立ちこめ、コースの一部区間では小雨が振り始めた。
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先頭のロッシが2番手のペドロサを約4秒引き離した16ラップ目、運営側から白旗が提示されレースはフラッグ・トゥ・フラッグに移行。各チームがピットガレージ前にウェット・セッティングを施したセカンドマシンを並べるが、この時点では誰もピットに戻る様子は見せない。


■ホプキンスのチェーンが突如脱落
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ド・プニエがデ・アンジェリスを交わして中野選手の背後となる11番手に浮上した17ラップ目の最終コーナー、ここで7番手を走行していたホプキンスのマシンのチェーンが突然抜け落ち、失速するホプキンスを残してチェーンだけがコース上を滑走。

■リタイアしたホプキンス「チェーンは不運。それより、ごめんねロリス」
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その場で不運のリタイアを喫する事になったホプキンスは「今日はスタートが好調だったし、その後もブレーキングでポジションを上げていく事はできたが、まだコーナー脱出時の加速力など不足している部分も多く、追い抜きをそのまま続けていく事は難しかった。例えばロレンソがそうだが、彼のようなライダーをずっと抑えていても、ストレートに入った途端に彼のマシンにおいて行かれるような状況は本当に面白くないし、すぐに改善を進めなければいけない分野だと思う。チェーンに関しては運がなかったとしか言えないが、これから原因を調査して今後の再発を防止する必要がある。最後に、ロリスを追い抜こうとした時の事を謝りたい。あれは少しばかり強引すぎた。ごめんねロリス!(Sorry Loris!)」と、現時点のNinja ZX-RRの加速力不足の問題、チェーン脱落の再発防止についてのコメントに加えて、14ラップ目にコースから押し出してしまったカピロッシへの謝罪を述べた。


■カワサキ、ウエストのマシン・セッティングにミス
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なお、ホプキンスのチームメイトである今期不調のアンソニー・ウエストは、やや自信を回復していた筈の今回のルマンでも、最初から大きく出遅れた最後尾のマルコ・メランドリの前を辛うじて走るという状況が続いていたが、どうやら今回のレースでの走りの不調はウエスト自身の問題だけではなかった様子だ。

■ウエスト「何かがおかしいのはすぐに分かった」
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ウエストはレース後、「今週末はシーズン開幕当初から全てのサーキットで経験しているリアのトラクションの問題に苦しみ続けた。レースではリアのグリップが全くなくなってしまい、スロットルを開けようとするだけでホイールスピンが発生するので、走り始めた瞬間に何かがおかしい事は分かった。最終的には何とか終わりまで走り切れたが、今日はチェッカーを見ても嬉しくは思えなかった」と述べ、マシンにレース開始時から問題があった事を説明している。

■バルトレミーがウエストに謝罪

なお、今回のホプキンスのチェーン脱落とウエストのマシンの問題について、カワサキのコンペティション・マネージャーを務めるミハエル・バルトレミーは以下の通りコメントしている。バルトレミーはウエストのマシンにセッティング上の問題があった事を明かし、ウエストに謝罪した。
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「ジョンはスタートに成功し5番手を争えるポジションに迫ったが、そこでチェーンがちぎれてリタイアする事になってしまった。わたしたちが今回の問題の原因を究明しなければならないのは明白であり、同様の問題が今後は発生しないように備える必要がある」とバルトレミー。

「またアンソニーには謝罪したい。チームの計算ミスにより、今日は彼に大変な思いをさせてしまった。彼が完走への強い決意を示し、その問題を抱えながらも最後まで走りきった事は称賛に値する」

「今週は非常に重要なレッスンを受ける事になり多くを学んだ。大変に辛い学習内容ではあったが、この経験がチームをさらに強くしていく事と思う」


■ギャンブルも裏目に出るメランドリ
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白旗は提示されたものの、雨が本格的に降る事はなく全員がスリックタイヤのまま走り続けていた20ラップ目、ここで最後尾のメランドリのみがギャンブルに出てピットに戻りウェット・セッティングのマシンに交換するが、その後も雨が降る様子は一向に見られず、メランドリはさらにペースを落としてしまう。


■20ラップ目の順位、慎重に走り続けるロッシ
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少し湿った路面に危険を感じた先頭のロッシは白旗提示後に若干ペースを落とし、2番手のペドロサとの差は1秒縮まり3秒差となった。ペドロサの後方ではペースの伸びなくなった3番手のストーナーに、4番手のエドワーズがコーナー進入の度に執拗なアタックを繰り返すが、ストーナーは脱出加速で逃げ続ける。5番手のロレンソはエドワーズの後方0.9秒差にまで迫り、6番手のバーミューレンはその3.5秒後方に後退。
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この時点の順位は先頭にロッシ、2番手がペドロサ、3番手がストーナー、4番手がエドワーズ、5番手がロレンソ、6番手がバーミューレン、7番手がドヴィツィオーゾ、8番手がカピロッシ、9番手がヘイデン、10番手が中野選手、11番手がド・プニエ、12番手がエリアス、13番手がデ・アンジェリス、14番手がギントーリ、15番手がウエスト、16番手が周回遅れとなったメランドリ。


■ロレンソがエドワーズを交わした直後、ストーナーが突然失速
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ロレンソがエドワーズを交わして4番手に浮上した21ラップ目のメインストレート、ここでストーナーが突然失速、ロレンソ、エドワーズの2台に交わされるとそのまま大きく順位を後退し、バーミューレンにも交わされてストーナーの姿は完全に先頭集団から見えなくなった。

■マシンを足でこいでピットに戻ったストーナーは2周回遅れに
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この後、見る間に最後尾にまでポジションを落としたストーナーは、動かなくなったデスモセディチGP8を足でこぎながらピットに戻り、周回遅れとなったチームメイトのメランドリと同様にフラッグ・トゥ・フラッグのルールを利用してマシンを交換。メランドリからも大きく遅れて2周回遅れの最後尾となる16番手のポジションからコースに復帰した。

■ストーナー「数周前からエンジンのパワーが落ち始めていた」

写真最終的には最後尾のままでレースを終える事になるストーナーは、今回のレーススタート時からのマシンの調子について「今日はスタートがうまくいったが、残念ながらフロントタイヤの右側面にまったく接地感が得られなかった。深くバイクを倒し込むとグリップがなくなるので大きな不安感があり、ブレーキングもプラクティスの時のように遅らせる事ができなかったので、大きくタイムをロスする事になった」とコメントしており、常にコーナー進入時にはやや大回りのライン取りにならざるを得なかった事を説明している。

エンジンの調子が悪くなり始めたタイミンについては、「なんとかまだ表彰台圏内は維持できていたし、そこで雨が降り出した時にはチャンスだと思ったが、不幸にしてエンジンの調子がその頃から悪くなり、低速域でパワーが足りず、誰を追い抜く事もできなくなってしまった。そこから数周走り続けた後、そのエンジンの問題が原因で自分たちのレースは終わりを迎えてしまった」とストーナー。

■ドゥカティー、2日後のテスト中にエンジン故障の原因を発表

なお、2名のワークス・ライダーがフランスGPでは揃ってエンジンの不調に苦しむ事になったドゥカティー・コルセは、レース翌日から2日間の日程で行われたルマン合同テストの2日目、エンジンの一部のパーツに今回の故障を引き起こす原因が認められた事をその後の調査結果として発表しており、そのまま走行を続けると他のエンジンも同様に壊れてしまう可能性が高い事からその日のテストを午前中のみでキャンセルしている。当然ながら、ドゥカティーは次戦のムジェロまでには問題のパーツを改良するとの事だ。


■ロレンソが2番手に浮上、ペドロサはエドワーズにも交わされ4番手に後退
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21ラップ目の6コーナー、ロレンソはやや強引にペドロサからインを奪うとついに2番手に浮上。続く22ラップ目にはエドワーズもペドロサを交わし、先頭のロッシから10秒後方の2位集団はロレンソ、エドワーズ、ペドロサの順に。ペドロサはエドワーズから離されずに距離を保つが、背後に接近する事ができない。


■最終ラップ直前の順位、デ・アンジェリスはサイレンサーが脱落
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その後は24ラップ目にド・プニエが中野選手を交わして9番手に浮上するが、それ以外には全く順位変動はなくレースは28周目の最終ラップを迎える。
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先頭のロッシがメインストレートに入って最終ラップを開始し、その8秒後方からは2番手のロレンソ、3番手のエドワーズ、4番手のペドロサが0.5秒間隔の1列となって最終コーナーから加速する。
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上位4名から大きく後れて5番手のバーミューレン、6番手のドヴィツィオーゾ、7番手のカピロッシ、8番手のヘイデン、9番手のド・プニエ、10番手の中野選手、11番手のエリアス、12番手のデ・アンジェリス、13番手のギントーリ、14番手のウエストが続くが、ここでも残るドゥカティーの2名、ポイント圏内最後の15番手となるメランドリは1周回遅れ、16番手のストーナーは2周回遅れのままだ。
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■バレンティーノ・ロッシが中国GPに引き続き今期2度目の勝利

12番手のデ・アンジェリスのマシンからサイレンサーが外れるというアクシデントはあったものの、最後まで順位に変動はなく、ルマンで最初にチェッカーを受けたのは、8ラップ目からレースをリードし、前回の中国GPに続き2度目の勝利を手にしたフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシだった。
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■ロレンソは大健闘の2位、エドワーズも今期初の表彰台を獲得

そして大健闘の2位は、両方のくるぶしを骨折という中国GPでの重傷を負いながら、10番手以下のポジションからの激しい追い上げで2位にまで辿り着いたフィアット・ヤマハのホルヘ・ロレンソ。続く3位は狙い通りの優勝とはならなかったものの、今期初の表彰台を獲得する事に成功したTECH3ヤマハのコーリン・エドワーズ。

■ペドロサは表彰台を逃し4位、バーミューレンは今期最高位の5位チェッカー
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レース序盤から最後までトップ集団の中で戦ったレプソル・ホンダのダニ・ペドロサは今年初めて表彰台を逃し4位。昨年のルマンの覇者であり、一時的にはトップ集団に合流しかけたリズラ・スズキのクリス・バーミューレンは、今期の自身最高位となる5位でチェッカーを受けている。
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■今期絶好調のヤマハが表彰台を独占
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こうして2008年のフランスGPは、フィアット・ヤマハがワンツー・フィニッシュを飾り、3台のヤマハが表彰台を初めて独占するという、過去2年間の不調が嘘のような今年のヤマハの好調さを象徴する結果となった。なお、地元フランスのタイヤメーカーであるミシュランにとっては、2年連続してホームグランプリでの勝利をブリヂストンに奪われるという結果には終わったが、上位4名のライダーはロッシを除けば全員がミシュラン・ユーザーであり、昨年のような地元表彰台を全てブリヂストンに奪われるという惨事は免れ、全体的に見れば好調なレースウイークを過ごしたと言えそうだ。


■ニエト&ロッシ、グランプリ通算勝利数90回コンビがタンデム走行を開始
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グランプリ歴代2位となる通算90勝を今回の勝利で達成したバレンティーノ・ロッシは、レース開始時からレザースーツを来て待ち構えていた同じく90勝のタイ記録保持者である往年の小排気量クラス連続王者、現在はスペインのテレビ番組などでMotoGPレポーターとしても活躍中のアンヘル・ニエトにYZR-M1のシートを譲り、自分はバイクのリア側に座ってのタンデム走行で、合計180勝のウイニングランを開始した。
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■ロッシは久しぶりのポイントリーダーに、ロレンソとペドロサは同ポイントの2位

ロッシは今回の勝利で25ポイントを獲得、中国GP後のポイントリーダーだったペドロサが4位の13ポイントに終わった事から、今期初めてランキングのトップ(97pt)に浮上している。また、今回のレースで2位の20ポイントを獲得したチームメイトのホルヘ・ロレンソ(94pt)はペドロサと再び同ポイントとなり、ポイントリーダーのロッシとは3ポイント差のランキング2位につけた。
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■90勝達成のロッシ「アンヘルが待っているのがプレッシャーだった」

レース前には表彰台圏内が目標と述べていたロッシだが、実際にはアンヘル・ニエトが90勝祝いのレザー・スーツを着込んで待っているのを知っていたため、優勝への義務感が生じロッシはプレッシャーを感じていたという。
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「アンヘルの記録と並ぶ90勝を今回のような形で達成できるなんて本当に夢のよう。今回はかなりのプレッシャーだった。なぜなら、アンヘルが特別なレザー・スーツを着込んで自分のバイクに加わるのを最初から待ち構えていたからね。だから今回は勝たなきゃいけなかった!」とロッシ。

「彼と一緒に走れるなんて素晴らしい経験だった。彼は恐らく少し練習するだけで自分たちと同じくらいの速さで走れるようになると思う。合計180回の勝利が一台のバイクで一緒に走ったなんて、とにかくすごい事だった!」
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「正直、今日はここまでの速さで走れるとは思っていなかったが、午前中にジェレミー(バージェス)と他のスタッフがセッティングに少し調整を加える決断を下したおかげで、レースの序盤から最後までM1とブリヂストンタイヤの両方が素晴らしい状態だった」

「雨が少し降り始めた時には『勘弁して!』と思った。そこからはおとなしい走りに切り替えて、ものすごく優しい乗り方をしてみた。すごくいい走行リズムがつかめていたのに、バイクを交換したくはなかったからね。でも、運良くすぐに雨はやみ、そのまま走り続ける事ができた」
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「初の表彰台独占はヤマハにとって素晴らしい事だと思う。特にあの体調で素晴らしい活躍を見せたホルヘを称えたい。また、ここまでの3ヶ月間を通して素晴らしい仕事を続けてくれているヤマハとチームのスタッフ全員に感謝している」

「ガレージの雰囲気も完璧だったし、今日は本当に自分自身が楽しめる1日だった。これから2日間の重要なテストもあるので、ムジェロに向けてさらに改善が進められるように頑張りたい」


■2位のロレンソ「6位か7位で十分だと思っていた!」
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中国GPでは両足のくるぶしに骨折を負い、今回のルマンではフリー・プラクティス中に2回の転倒を喫しその痛みが悪化したというホルヘ・ロレンソだが、見事にこのレースでは2位表彰台を獲得しており、中国GPでの4位以外はここまでの全てレースで表彰台を獲得するという快挙を見せている。

「まず最初に、3つの表彰台を独占するという偉業を成し遂げたヤマハを祝福したい。この結果は自分たちのバイクがいかに強いかを証明している」とロレンソ。
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「今週末は数回の転倒があり痛みが激しくなったので、ここにいる事が今でも信じられない。すごく辛い戦いになると思っていたので、昨晩はずっとレースの事が心配だった。午前のウォームアップでは11番手タイムだったし、レースでは6位か7位になれれば十分夢のようだと思っていた。頑張ろうとは最初から思っていたが、メカニックの1人からポルトガルの時(ポール・トゥ・ウインを達成)と今回のライバルたちの顔ぶれが全く同じだとグリッド上で聞かされて、さらに意欲が高まった」

「スタートには若干の問題があり、この分野については今後も改善を進めなければいけない事は明白だが、しばらく走ってからはリズムがつかめるようになり、何人かのライダーを交わして再び前に出ていけるようになった」

「雨が見方してくれたのは自分の経歴の中では今回が最初だと思う。なぜなら全員が数周の間はペースを少し落とす事になったから。いずれにしても2位は信じられないほどの結果だし、今日はしばらく気分がいいと思う。今からはできる限り怪我を癒せるように努力し、体調を回復してムジェロではベストの状態で戦えるようにしたい」


■チームの地元での表彰台を喜ぶエドワーズ「本当は優勝できると思っていた」

フランスのチームであるTECH3に、2003年以来となる地元での表象台をプレゼントするという念願が叶ったコーリン・エドワーズは、今回のレースではMotoGPでの初優勝も内心狙っていたが、熟練ライダーとしての配慮から無茶な走りは控えたとコメントしている。
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「実は今日の主役は自分になるんじゃないかと考えていた。レースウイーク中の走行ペースを考えればね。フリー・プラクティスでもウォームアップでも誰よりも速かったし、2番グリッドからのスタートだったし、期待はかなり高かった。ここでは本当に初優勝ができると思っていたのに、実際のレースは厳しく3位に終わってしまった」とエドワーズ。

「スタートがとてもうまくいったのに、すぐにケーシーとダニにすごい速さで交わされてしまい、抜き返す事は不可能だった。全力で頑張ったが、彼らは全くミスをしないし、十分に近づく事さえできなかった。自分のラップタイムがいい事は分かっていたし、まだ余裕もあったので何とか追いつこうとしたが、交わす事はできなかった」

「彼らはものすごい加速でコーナーから脱出していたが、自分が同じようにそれに加わるのはリスクが高かった。自分は多くの経験をしてきたライダーだが、彼らは今世界タイトルをかけて戦っている・・・一方今の自分はランキング5位だし、あんまり馬鹿な事はできないと思った」

「それからバレンティーノがカウボーイみたいに銃を打ち鳴らしながら稲妻のように通り過ぎた時には、彼が激しい攻めの走りをしている事がすぐに分かったが、あれについて行くのは難しいと思った」

「ケーシーがトラブルを抱えたので交わし、その後はダニも交わしたが、あの時のダニは1コーナーで雨の状況を確認しながら走っているように見えた。自分は今回の雨は大した事ないと思っていたし、ラップタイムにそれほど影響があるとも思わなかった」

「チームには本当に心から感謝したい。彼らのホームレースで表彰台をプレゼントできればこの上なく最高だと思っていた。チームの全員が本当に必死に頑張っているし、表彰台を実現できて本当に嬉しかった。また、ヤマハのワン・ツー・スリー・フィニッシュを同様に祝福したい。ミシュランタイヤの調子も素晴らしかったので、次戦もまたさらに優勝に近づければ嬉しい」


■今期初めて表彰台を逃したペドロサ「レース開始直後からタイヤに問題」

今回は表彰台を惜しくも逃して4位となり、ポイントリーダーの座をロッシに奪われる事になったダニ・ペドロサは、レースの序盤からフロントタイヤに問題があり、ポジションをロレンソやエドワーズに上ばれた中盤以降はグリップが得られず思うように走れなかったと説明している。
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「表彰台を狙えると思っていたのに残念。レースではプラクティスの時のようなペースでは走れなかった。レースの開始直後からフロントタイヤに少し問題を抱えていて、思い通りにブレーキをかける事ができなかった」とペドロサ。

「レースに向けて正しいタイヤを選択できるように必死に頑張ってきたので、こういう結果が待っているとは思いもしなかった。レースの後半がグリップが不足するようになり、ロレンソに交わされた後は引き離されずについて行こうと頑張ったがダメだった」

「問題を抱えながらも全力を出し切って4位には入ったので、これはそんなに悪い結果ではないと思う。ランキングは同点の2位だし、次戦以降のレースではさらに高い結果が狙えるように作業を頑張り続けるつもり。明日もここに残って1日テストを行うので、今日の問題点をしっかり把握して今後に備えたい」

なお、開幕後はペドロサとヘイデンの両方が揃って使用を拒み続けている様子のホンダの新型ニューマチック・バルブ・エンジンだが、MotoGP公式の発表によれば、次戦のムジェロでは開発ライダーの岡田忠之選手がニューマチック・バルブ・エンジンを搭載したRC212Vに乗ってのスポット参戦を行い、その開発状況をアピールする様子だ。


■5位のバーミューレン「中国の時の問題は全て解消」
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得意のルマンで今期の自己最高位となる5位を獲得したクリス・バーミューレンは、フランスでのレースウイーク中のチーム・スタッフの活躍に感謝している様子だ。中国ではマシン・トラブルに苦しんだバーミューレンだが、フランスでは全ての問題が解決しておりGSV-Rの調子は週末を通して良好だったという。

「結構いい内容だったよね!いくつか進展も得られたし今週の結果には満足。それにやっと高いポイントを獲得する事もできた」とバーミューレン。

「上位集団ともう少し戦えるペースで走りたかったので、5位という成績は少し残念。少しタイムが足りていない感じがしたし、ギャップを縮める事はできなかった。明日はここでテストをするので、バイクのいくつかの点をもう少し改善できるように頑張るつもり。次戦のムジェロではさらに調子を上げたい」

「自分のクルーたちに感謝の気持ちを伝えたい。彼らは中国で自分が抱えていた問題を全て解決してくれた。週末を通してリズラ・スズキGSV-Rは最高に調子が良かったし、問題は何一つ発生しなかった」


■10位には満足できない中野選手「期待通りの展開にはならなかった」
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サンカルロ・ホンダ・グレッシーニの中野真矢選手は、5列目13番グリッドからスタートした今回のレースでは3戦連続となる10位を確保し、開幕以後の5戦を通してポイントを獲得し続けてはいるものの、中野選手本人はこの結果には全く満足できていない様子だ。

「残念ながら、今日は自分の思うようなレースを組み立てる事はできなかった。5列目からのスタートが状況を難しくしたのは確かだが、レース開始からの数周は自分の前にいる集団について行く事すら難しい状態だった」

「レースの中盤に雨が降り始めてからはいいペースがつかめて速く走れるようになったので、そこからポジションを挽回して前方の集団にも追いついたが、最終的にはド・プニエにブレーキングで交わされてしまい9位を維持する事ができなかった。ここではバイクの感触を改善する事はできたが、それでも10位という成績には満足できない」

「チームがサスペンションに調整を加えてくれたおかげで、今日はバイクのバランスが安定して乗りやすかった。明日はここでテストがあるので、次戦に備えて頑張って作業を進めておきたい。ムジェロはチームのホーム・レースになるので、彼らが喜べる結果を狙っていきたいと思う」
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■グレッシーニ監督「プラクティス中の好調さを発揮できなかった」

また、サンカルロ・ホンダ・グレッシーニのチーム監督を務めるファウスト・グレッシーニは、今回のルマンでのレース結果について「今回も難しい内容のレースになり、あまり満足はできない。残念ながら前日までの2日間に見せたペースをレースでは十分に発揮する事ができなかった。自分たちの本来能力はもっと高いが、今日はそれを示す事ができていない。今日はチーム全体としてもっと上の結果が狙える状況にあっただけに本当に残念だが、真矢とアレックスがさらに満足できる結果に辿り着けるように全員で戦い続けたい」とコメントしている。


MotoGPクラスのレース結果
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以下に、気温20度、路面温度26度、湿度38%のドライ路面(レース中盤にフラッグ・トゥ・フラッグ宣言あり)で行われたMotoGPクラス決勝レースの全結果を示す。

1) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 44分30秒799(28周)
2) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 44分35秒796(28周)
3) コーリン・エドワーズ USA ヤマハTech3 YZR-M1 44分37秒604(28周)
4) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 44分40秒956(28周)
5) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキMotoGP GSV-R 44分52秒561(28周)
6) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiRチーム・スコット RC212V 44分53秒194(28周)
7) ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキMotoGP GSV-R 44分58秒605(28周)
8) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 44分58秒794(28周)
9) ランディ・ド・プニエ FRA ホンダLCR RC212V 45分00秒143(28周)
10) 中野真矢 JPN サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 45分01秒621(28周)
11) トニ・エリアス SPA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 45分05秒953(28周)
12) アレックス・デ・アンジェリス RSM サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 45分07秒015(28周)
13) シルバン・ギントーリ FRA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 45分22秒837(28周)
14) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 46分00秒106(28周)
15) マルコ・メランドリ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 46分10秒422(27周)
16) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 44分47秒085(26周)
-) ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 25分36秒029(16周)
-) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハTech3 YZR-M1 3分19秒828(2周)


■250ccクラスのレース結果
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以下に、気温15度、路面温度15度、湿度50%のウェット路面(レース中にアスファルトが乾き終盤には完全ドライ路面)で行われた250ccクラス決勝レースの全結果を示す。
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多くのライダーがインターミディエットなどのウェットタイヤを履いて乾き始めた路面に苦しむ中、グランプリ初優勝を果たしたデボンと3位のパッシーニは最初からスリックタイヤを装着。レース開始時のタイヤ選択が明暗を分けるレースとなった。

1) アレックス・デボン SPA ロータス・アプリリア アプリリア 47分27秒406(26周)
2) マルコ・シモンチェリ ITA メティス・ジレラ ジレラ 47分32秒222(26周)
3) マティア・パッシーニ ITA ポラリス・ワールド アプリリア 47分32秒404(26周)
4) 高橋裕紀 JPN JiRチーム・スコット250 ホンダ 47分33秒176(26周)
5) ミカ・カリオ FIN レッドブルKTM 250 KTM 47分33秒603(26周)
6) マヌエル・ポッジャーリ RSM カンペテーラ・レーシング ジレラ 47分33秒880(26周)
7) 青山博一 JPN レッドブルKTM 250 KTM 47分42秒315(26周)
8) フリアン・シモン SPA レプソルKTM 250cc KTM 47分44秒932(26周)
9) アレイックス・エスパルガロ SPA ロータス・アプリリア アプリリア 48分00秒331(26周)
10) エクトル・ファウベル SPA マプフレ・アスパル・チーム アプリリア 48分04秒125(26周)
11) トーマス・ルティ SWI エミー・カフェラテ アプリリア 48分16秒374(26周)
12) エクトル・バルベラ SPA チーム・トース・アプリリア アプリリア 48分24秒243(26周)
13) ロベルト・ロカテリ ITA メティス・ジレラ ジレラ 48分25秒233(26周)
14) アルバロ・バウティスタ SPA マプフレ・アスパル・チーム アプリリア 48分32秒813(26周)
15) ラタパー・ウィライロー THA タイ・ホンダPTT SAG  ホンダ 48分51秒742(26周)
16) アレックス・バルドリーニ ITA マテオーニ・レーシング アプリリア 48分51秒983(26周)
17) フェデリコ・サンディ ITA Zongshen Team of China アプリリア 47分37秒804(25周)
18) イムレ・トース HUN チーム・トース・アプリリア アプリリア 47分58秒293(25周)
19) ルッセル・ゴメス SPA ブルセンス・アプリリア アプリリア 48分05秒598(25周)
-) カレル・アブラハム CZE カルディオンABモーターレーシング アプリリア 45分35秒682(24周)
-) ドニ・タタ・プラディタ INA ヤマハ・プルタミナ・インドネシア ヤマハ 46分19秒577(24周)
-) ルーカス・ペセック CZE オート・ケリー-CP アプリリア 41分01秒055(21周)
-) ファブリツィオ・ライ ITA カンペテーラ・レーシング ジレラ 28分39秒003(13周)
-) ユージェーヌ・ラバティ IRL ブルセンス・アプリリア アプリリア 22分27秒532(11周)
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■125ccクラスのレース結果

開始時は気温15度、路面温度21度、湿度42%のドライ・コンディションとしてスタートした今回の125ccクラスのレースだが、14周回を終えたところで雨のためにレースは一時中断しており、その後は気温15度、路面温度16度、湿度51%の中で5周回のみのウェット・レースが行われている。2ヒートとなった125ccクラスのレース結果は以下の通り。
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なお、ISPA KTMアランの小山選手は1ヒート目の6周目に10位を走行していたところ、前方を走行していたマルク・マルケスの転倒に巻き込まれて転倒しリタイア。小山選手に怪我はなかった。I.C.チームの中上選手は1ヒート目の赤旗中断直前、第2集団のトップとなる11番手を走行している時に雨のために転倒しているが、リタイア扱いにはならず無事に2ヒート目には出場している。
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1) マイク・ディ・メッリオ FRA アジョ・モータースポーツ デルビ 10分08秒574(05周)
2) ブラッドリー・スミス GBR ポラリス・ワールド アプリリア 10分09秒374(05周)
3) ニコラス・テロール SPA ジャック&ジョーンズWRB アプリリア 10分11秒651(05周)
4) ポル・エスパルガロ SPA ベルソン・デルビ デルビ 10分18秒981(05周)
5) アンドレア・イアンノーネ ITA I.C.チーム アプリリア 10分20秒271(05周)
6) ステファン・ブラドル GER グリズリー・ガス・キーファー・レーシング アプリリア 10分20秒455(05周)
7) ロレンソ・サネティ ITA ISPA KTMアラン KTM 10分24秒946(05周)
8) ジョアン・オリベ SPA ベルソン・デルビ デルビ 10分25秒119(05周)
9) ラファエレ・デ・ロサ ITA オンデ2000KTM KTM 10分27秒737(05周)
10) ランディ・クルメンナッハ SWI レッドブルKTM 125 KTM 10分30秒965(05周)
11) サンドロ・コルテセ GER エミー・カフェラテ アプリリア 10分31秒421(05周)
12) ペレ・トゥトゥサウス SPA バンカハ・アスパル・チーム アプリリア 10分31秒769(05周)
13) シモーネ・コルシ ITA ジャック&ジョーンズWRB アプリリア 10分32秒127(05周)
14) ガボール・タルマクシ HUN バンカハ・アスパル・チーム アプリリア 10分32秒269(05周)
15) アレックス・マスボー FRA ロンシン・レーシング ロンシン 10分32秒814(05周)
16) 中上貴晶 JPN I.C.チーム アプリリア 10分34秒770(05周)
17) エステベ・ラバト SPA レプソルKTM 125cc KTM 10分34秒985(05周)
18) ロベルト・ラカレンドーラ ITA マテオーニ・レーシング アプリリア 10分35秒469(05周)
19) ルイ・ロッシ FRA FFMホンダGP125 ホンダ 10分36秒020(05周)
20) セルジオ・ガデア SPA バンカハ・アスパル・チーム アプリリア 10分40秒403(05周)
21) ダニー・ウェッブ GBR デグラーフ・グランプリ アプリリア 10分43秒384(05周)
22) ロベルト・ミュアサン ROU グリズリー・ガス・キーファー・レーシング アプリリア 10分43秒764(05周)
23) ドミニク・エジャーター SWI アジョ・モータースポーツ デルビ 10分56秒414(05周)
-) ミヒャエル・ランセデール AUT I.C.チーム アプリリア 9分09秒512(4周)
-) ロビン・ラッサー GER グリズリー・ガス・キーファー・レーシング アプリリア 4分26秒111(2周)
-) Steven Le Coquen FRA Villiers Team Competition ホンダ 2分17秒200(1周)
-) Gioele Pellino ITA ロンシン・レーシング ロンシン 3分20秒911(1周)
-) ステファノ・ビアンコ ITA S3+WTRサンマリノ・チーム アプリリア -分-秒-(0周)
-) エフレン・ヴァスケス SPA ブルセンス・アプリリア・ジュニア アプリリア ※パート1でリタイア
-) パブロ・ニエト SPA オンデ2000KTM KTM ※パート1でリタイア
-) Cyril Carrillo FRA FFMホンダGP125 ホンダ ※パート1でリタイア
-) トビアス・シーゲルト GER Adac Nordbayern e.v. アプリリア ※パート1でリタイア
-) スコット・レディング GBR ブルセンス・アプリリア・ジュニア アプリリア ※パート1でリタイア
-) スティーヴィー・ボンセー USA デグラーフ・グランプリ アプリリア ※パート1でリタイア
-) ヒューゴ・バン・デン・ベルグ NED デグラーフ・グランプリ アプリリア ※パート1でリタイア
-) 小山知良 JPN ISPA KTMアラン KTM ※パート1でリタイア
-) マルク・マルケス SPA レプソルKTM 125cc KTM ※パート1でリタイア

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