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2006年3月27日
MotoGP2006年シーズンの開幕レースが3月26日、超満員のスペイン、ヘレスサーキットで行われた。夏を思わせるスペイン独特の明るい祭日的な雰囲気の中、日曜日に押し寄せた観客数は13万1千162人。2005年シーズンの年間の観戦者数は200万人に上ったが、今年はさらに記録的な一年となりそうだ。
世代交代とタイヤ戦争の激化
今年はマックス・ビアッジやアレックス・バロスと言ったベテラン勢がGPを去った代りに、ダニ・ペドロサやケーシー・ストーナー、ランディー・ド・ピュニエといった250ccからのステップアップ組に加え、昨年はトロイ・ベイリスの代役としてホンダ・ポンスからスポット参戦を果たしたSBK出身の有力ライダー、クリス・バーミューレンがリズラ・スズキから参戦する等、今後のGP界の勢力図を占う上で見所の多いレース展開が期待される。
来年からのF1行きも噂されるバレンティーノ・ロッシの最高峰クラス6連覇達成も気になる所だ。例年通り好調にプレシーズンテストを終えたロッシだが、ここヘレスでのテストだけはマシンの振動問題を解決する事が出来ておらず、開幕戦連覇を危ぶむ声も聞こえるだけにロッシの状況からも目が離せない。
また、年々熟成の進むブリヂストンタイヤがミシュランタイヤの牙城を切り崩す最初の年になる可能性や、カルロス・チェカという経験豊富なライダーを手に入れたダンロップタイヤの最高峰クラスにおける開発動向も見所の一つだろう。タイヤ競争はさらに激化の一途を辿る事が予想される。
フロントローに並ぶブリヂストン勢
予選当日、午前中のウォームアップ時の気温は15度、路面温度が16度というMotoGPクラスのテスト走行では最も低い温度状況となったが、午後の決勝時に気温は22度、路面温度は33度まで上昇した。この極端な温度差により、ウォームアップで新たなセッティングを施した一部のライダーにとっては裏目となる状況だったと言えるだろう。
フロントローにはブリヂストンを履く3名、ドゥカティーのロリス・カピロッシとセテ・ジベルナウ、カワサキの中野真矢選手が並び、セカンドローはIRTAテスト(公式テスト)中不調だった筈のホンダ・ミシュラン勢が独占した(予選結果を参照)。ディフェンディング・チャンピオン、キャメル・ヤマハのバレンティーノ・ロッシは予選当日にマシンの振動に悩まされ、3列目9番グリッドまでスターティングポジションを落としている。
昨年からブリヂストンからミシュランに転向したコニカ・ミノルタ・ホンダの玉田誠選手は冬季テスト中にマシンの開発が思うように進まなかったが、予選中も多くの問題が解決しないまま、不本意な16番グリッドからのスタート。決勝での巻き返しが期待される。
波乱のファーストラップ第一コーナー
決勝開始直後は波乱の幕開けとなった。3列目から好調なスタートを切ったバレンティーノ・ロッシだったが、1コーナーでフォルツナ・ホンダのトニ・エリアスに追突されてマシンは横転、ロッシ本人は前転するような形でアスファルトに転がった。エリアスが横に接近してくる事を確認していたロッシだが、他のバイクがひしめく1コーナーは全く逃げ場の無い状態だった。拳を振り下ろして抑えきれない怒りを顕にするロッシ。
この追突劇の影響は他のライダーにも大きかった。中野選手はマルコ・メランドリとトニ・エリアスの挟み撃ち状態に合い、ロッシとの接触直前のトニ・エリアスを避ける形でせっかくの好スタートで得たポジションを5番手まで落としてしまう。同様にロッシを跳ねる寸前だったスズキのジョン・ホプキンスも大きく順位を落とし、ロッシのチームメイト、コーリン・エドワーズも倒れたロッシのバイクを避けて最後尾からのレース開始となってしまった。一時期は優勝候補とされたキャメル・ヤマハ勢にとってこれ以上に最悪な事態はないだろう。
玉田選手は後方内側を走行していた為、このトラブルの影響は受けていない。
ファーストラップ、1コーナーを抜けた段階での順位はホールショットを奪ったロリス・カピロッシ、2番手はマルコ・メランドリ、3番手はセテ・ジベルナウ、4番手はIRTAテスト中は不調だったレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデン、5番手には中野選手、6番手には古傷の悪化でIRTAテストを全てキャンセルしたLCRホンダのルーキー、ケーシー・ストーナーが続いた。
セテ・ジベルナウ、ドゥカティーでも電気系トラブル
3周目には3番手を行くセテ・ジベルナウが突如失速。セテは昨年はホンダのバイクのメカニカル・トラブルに悩まされて今期からドゥカティーに乗り換えたが、皮肉にも今期も電気系トラブルによるリタイアを初戦に喫してしまう。
4周目に入るとカピロッシが2番手のマルコ・メランドリを引き離し、独走態勢に入るかと思われたが、5周目にはレプソル・ホンダの2名、ニッキー・ヘイデンとダニ・ペドロサがフォルツナ・ホンダのマルコ・メランドリを交わし、カピロッシ追撃体制に入った。好調に見えたメランドリは、午前のウォームアップ時にマシン・セッティングを変更した事が裏目に出て、思うようにプッシュ出来なくなっていた。
ペドロサは中野選手を交わし、続けてケーシー・ストーナーをパスして4番手に浮上。
好調のレプソル勢
6周目、カピロッシの各コーナーでのスライドが顕著になってくるが、危なげなく走り続ける。3秒程後ろで2番手を行くニッキー・ヘイデンにはチームメイトのルーキー、ダニエル・ペドロサがニッキーの2006年型最新RCVにぴったりと密着し、チームメイトの様子を窺っていた。
怪我により走行を断念するド・ピュニエ
同じ頃、中野選手はブレーキの不調を訴えコーナーで速度が出せず、ケーシー・ストーナーに5番手ポジションを奪われてしまう。6番手となった中野選手の後ろにはスズキのジョン・ホプキンスが3秒遅れて続く。
8週目に入ると、中野真矢選手のチームメイト、ランディー・ド・ピュニエがレース継続を断念しリタイア。ド・ピュニエは午前のウォームアップ中にハイサイドを起こして大クラッシュを喫しており、右腕を打撲していた。トップスピードが240Km/hに達した時点で、ブレーキを握る事が困難な状態でのレース継続は危険と判断したようだ。
走行を諦めないロッシ
確実にレース継続を断念すると思われたバレンティーノ・ロッシは、1コーナーのクラッシュ後も走行を続けており、最後尾の17番手を先頭のカピロッシから51秒遅れで走行。3周目からマシントラブルで速度を落としていたダンティーン・プラマックのホセ・ルイス・カルドソは途中で走行を断念しリタイア。
9週目、チームメイトのニッキー・ヘイデンを交わしたペドロサはカピロッシの猛追撃に入っていた。3秒あった差は1.3秒まで縮まり、スペインの観衆は地元天才ルーキーの
期待通りの活躍に大歓声を送る。11周目にその差は0.9秒まで縮まり、ルーキーのデビュー戦での優勝に期待が高まる。
ダンロップタイヤでの初のレースとなるカルロス・チェカは10番手を走行しているが、以前から心配されたタイヤの耐久性問題が見え隠れするようになる。その後ろでは玉田誠選手が11番手までポジションアップし、チェカの様子を窺っている。チェカの前では7番手のホッパーをトニ・エリアスが狙う。続いて9番手にはチーム・ロバーツでの初戦となるケニー・ロバーツのKR211Vがつけていた。
ブレーキの不調から追い抜きが出来ない中野選手
ブレーキに問題を抱えている中野選手は直線では問題なくマルコ・メランドリ、ケーシー・ストーナーを追い上げるものの、コーナーでは離されるという一進一退の状態を続けていた。ヘレスでの強風も影響して全く無理ができない。後ろではトニ・エリアスがホッパーを交わし、中野選手の追撃を開始。
先頭のカピロッシを捕らえるルーキーペドロサ
17週目に入るとついにペドロサがトップのカピロッシを0.2秒差まで追い詰めた。コーナーではすでに殆ど2台の差は無い。初戦からここまでのペドロサの活躍を予想したファンもそれ程多くはないだろう。スライドで荒れ狂うコーナリングのカピロッシと、グリップ走行を基本として安定した姿勢を崩さないペドロサとのライディングスタイルが対照的だ。
トニ・エリアスは中野選手とメランドリを交わして4位に浮上。表彰台を狙ってペドロサの5秒後ろを走るホンダ・ワークスのニッキー・ヘイデンの追撃を開始する。
20周目、ロッシはTECH3ヤマハのエリソンを交わしてようやくポイント圏内の15位に到達している。玉田誠選手はタイヤの続かなくなったチェカを交わして10位に。チェカはペースを落とし、11番手のクリス・バーミューレン、12番手までポジションアップしたコーリン・エドワーズに続く13番手を走行。
温存したタイヤを後半に使うカピロッシ
ペドロサがグリップを失い始めた20周目以降、それまで1分42秒台前半で走行していたカピロッシが1分41秒台後半に入れて走り始める。ペドロサもそれに合わせて1分41秒台での走行を開始。24周目にその差は0.5秒、25周目には1秒近く開き始める。レース中の体力面を心配されていたペドロサだが、自身の体力に限界を感じて2位キープの方向に戦略を変更。
ラストラップ手前の26週目には1.3秒の差をカピロッシが取り戻し、最終ラップには1分42秒002のハイペースで突入し、2番手のペドロサを引き離し続けた。コーナーで荒れ狂うバイクを完全にコントロール下におき走行するカピロッシ。手堅い走行に徹するペドロサ。
ドゥカティー、カピロッシの圧勝
27周目のチェッカーを余裕で受けるカピロッシ。そこから4.3秒遅れで手堅くデビューレース2位を獲得したペドロサに沸き返る地元スペインの大観衆。
3位表彰台をあやうくトニ・エリアスに奪われそうになりながらコントロールラインを通りぬけるニッキー・ヘイデンと、惜しくも表彰台を逃したトニ・エリアスとの差は僅か0.331秒。
5番手にはトニ・エリアスのチームメイトのマルコメランドリが続き、6番手はデビューイヤーのケーシー・ストーナー、7番手は最後まで悔しいレースとなったカワサキの中野真矢選手、8番手はケニー・ロバーツ、9番手にはジョン・ホプキンス、10番手は16番グリッドから順位を上げてきた玉田誠選手が続いた。
優勝が期待されたキャメル・ヤマハチーム、コーリン・エドワーズとバレンティーノ・ロッシは11番手と14番手でポイントを獲得。SBKから転向して初のフル参戦レースとなったクリス・バーミューレンは12番手、ダンロップ期待のカルロス・チェカは13番手となり、15番手と16番手にはプラマック・ダンティーンのアレックス・ホフマン、TECH3ヤマハのジェームス・エリソンが最後の完走者となった。
ロッシにすがるトニ・エリアス
カピロッシのウイニングラップ中、トニ・エリアスは必死にバレンティーノ・ロッシの腕を掴み、謝罪の言葉を繰り返したようだ。憮然とした態度のロッシだが、「これもレース」と特に事を荒立てる様子はない。トニ・エリアスはレース後に、「中野選手との接触を避けようとしてロッシに追突してしまった。」とコメントしている。
キャメルヤマハにとっては厳しい開幕レースとなり、昨シーズンは不調だったホンダ勢、およびミシュラン勢にとっては今期に期待の持てるレース展開となった。
以下にレース後の各ライダーのコメントを紹介する。
■マルボロ・ドゥカティー
ロリス・カピロッシ(1位)
今年はマルボロ・ドゥカティーで4年目の年になりますが、過去最高のスタートになりました。今日の勝利は今までの中で最高です。
チームは冬季シーズン中頑張りましたし、特に二週間前のここでのテストは凄かったですよ。その時に勝利のチャンスを信じましたし、予選の後は絶対の自信がありましたね。
今日の目標は序盤からあまりプッシュし過ぎない事でしたが、最初から先頭に立ってしまったので少し後続との差を開こうと考えました。最初はニッキーが追いかけてきて、その後ペドロサが来ましたからね。
タイヤに負担をかけすぎないように良いリズムをキープするよう心がけました。最後の残り6周か7周には再度プッシュして、もう一度差を開く事ができました。
ブリヂストンとの二期目の成果ですね。彼らとの協力体制は非常に上手くいっていますよ。今回の結果を今後も継続させるつもりですが、簡単ではないでしょうね!
セテ・ジベルナウ(DNF)
言葉もありません。ここまでの数ヶ月をチームで頑張ってきたのに、初戦は結果を残せませんでした。ここまで全部うまくいっていたのに、本当に惨めな状態です。
ロリスとブリヂストンの素晴らしい勝利を祝福したいと思います。今は2週間後のカタールのレースを楽しみにしたいと思います。
■レプソル・ホンダ
ダニ・ペドロサ(2位)
自分にとっては凄すぎる初戦ですよ!
今週末、それとプレシーズン中にチームが凄く頑張ってくれたので、本当に感謝したいです。また、凄く良いタイヤを用意してくれたミシュランにも御礼が言いたいです。
終盤には疲れきってしまったし、タイヤも滑りやすくなって本当に大変なレースでした。だからこの結果は本当に良かったですよ。スタートに少し失敗したので多くのライダーを時間をかけて抜く羽目になりました。
ロリスはかなり先に逃げてしまったので、追いついた時にはもう疲れすぎていました。彼がタイヤを温存しているのは知っていたので、勝てるとは本当に最初から思っていませんでしたが。
ロリスが終盤は凄くプッシュしていた時、自分のフロントタイヤは少し滑り始めていました。そんなに自信もありませんでしたので、追走するのを諦め、完走を優先しました。でも、今日の結果は本当に嬉しいです。
ニッキー・ヘイデン(3位)
最初のトラブルの何人かは気の毒だけど、なんとか表彰台と16ポイントは獲得できました。去年はここで転倒してるから、最後まで走りきれた事は嬉しいね。
2週間前にここでテストしていた時は勝ち目がないと思いましたが、よくここまで進歩したと思います。チームとホンダと冬季中に働いてくれた皆に感謝したいです。それとレプソルと、今日のタイヤは凄く良かったのでミシュランにも感謝します。
明日の朝にはここでテストがありますし、まだ多くの改善作業は残っ ています。
最初は先頭集団について行けましたが、ペースを持続する事ができませんでした。1コーナーではトラクション不足でインを閉められなかったので、バイクをもっと良くしないとね。
まだまだ成長過程だし、1ラウンドを終えたばかりですので、もっと強くします。
■フォルツナ・ホンダ
トニ・エリアス(4位)
厳しいレースでしたが、過去の自分の経験の中でも良いレースの一つです。
バレンティーノには本当に申し訳なく思います。スタート時はライダーが密集していてストレートの終わりは団子状態でした。中野と接触しそうになって避けたらバレンティーノに追突してしまったんです。レースでは普通に起きる事ですが、後でバレンティーノに謝りに行きました。
接触の後は良いリズムを掴めてまたレースに復帰しました。これだけ頑張って表彰台に乗れなかった事は残念ですが、結果は嬉しく思います。
凄いレース展開で面白かったですよ。それと世界で最高のファンの皆にも感謝したいです。
マルコ・メランドリ(5位)
難しいレースでしたね。でも少なくとも一番大事なポイントは獲得できました。
スタートは成功しましたが、今朝のウォームアップで変更したセッティングが期待外れな結果だったので、危険を冒してまでプッシュする気にはなれませんでした。今もまだバイクのフロントの状態に自信がありませんので、作業は今後も続けます。
HRCが多く支援してくれますので、明日のテストでバイクの感触を改善する自信はあります。
■LCRホンダ
ケーシー・ストーナー(6位)
テストの9日間をキャンセルしていたので、正直ここまでの結果は期待していませんでした。だから凄く嬉しいですね。今週末のLCRチームの仕事は本当に凄かったと思います。スタートが凄く上手くいって、密集状態の中でロッシが転倒した後は先頭集団に加わる事が出来たんです。
予選で問題が発生した後、フロントフォークを別の物に変えてセッティングを調整したのでバイクの調子はレースで凄く良くなりました。いくつかのコーナーではオーバーラン気味になるのでまだ完璧ではありませんが。
ダニ・ペドロサの凄い走りと2位表彰台を祝福したいです。今日のペドロサは凄かったですね。
最初のMotoGPレースは大変でしたが、肩の調子に全く問題はありません。
■カワサキ・レーシング
中野真矢選手(7位)
予選がよかっただけに、もっと順位を上げられなくて残念ですね。スタートは割とよかったんですが、僕のすぐ前でトニー・エリアスがバレンティーノ・ロッシに追突したんで後ろに下がらざるを得ませんでした。
すぐに遅れを取り戻そうとしたんですが、コースコンディションが昨日とは全く違いグリップも悪く、いくつかのコーナーでは風も強くて少し問題が発生しました。
今日はハードブレーキングをした時の調子が悪く、高速コーナーでは少し早めにブレーキをかける必要があったんです。マルコ・メランドリとケーシー・ストーナーには楽についていけましたが、ブレーキの調子からコーナーで彼らをパスすることは出来ませんでした。直線でもトップスピードが少し負けていました。
今回の結果は残念ですが、シーズン初戦でポイントが取れたことは嬉しいです。
ランディー・ド・ピュニエ(DNF)
手を怪我していたので苦労しました。満足にブレーキをかけられないんです。
8周目には高速右コーナーでフロントを失い、その周の終わりには直線で240kmしか出せなくなりました。これ以上続けるのは危険だと思いピットに戻りました。
初戦を怪我で完走出来なかったのは残念ですが、次のカタールでは万全の状態で臨みたいと思います。
■チーム・ロバーツ
ケニー・ロバーツ(8位)
目標設定は高ければ高い程良いんです。トップ10入りは可能だと思っていました。
バレンティーノが転倒するのを見て、レースペースが上がる予感はしました。安定したグリップ走行を心がけましたが、プッシュする度にフロントが滑るんです。
バイクに何をすれば改善できるかを理解していますので、もっと乗りやすさは向上できると思います。ここには改良用のパーツを色々持ちみましたが、結局テストする時間はとれませんでした。
父とチーム、ホンダとミシュラン、それに支援してくれた全ての人に感謝したいです。
■リズラ・スズキ
ジョン・ホプキンス(9位)
あんまり満足できるレース内容じゃありません。スタートは大成功したのに1コーナーのひどい状態にひっかかって、あと数インチでロッシを跳ねるとこでしたよ。幸いあたりませんでしたけどね。
そこで大きく順位を落としたんでアホみたいに割り込み走行する羽目になりました。なんとか抜け道を確保して6位までポジションアップしたら今度は腕上がり症が出たんです。
MotoGPバイクで症状が出たのは初めてなんで原因はわかりませんが、前の二人を抜く自信があったのにダメになりました。まあ、レースはこんなもんです。
次のカタールのレースの事を考えますよ。今週末の経験を活かせる筈です。
クリス・バーミューレン(12位)
今日はスタートに失敗して1コーナーの例のクラッシュにひっかかりました。そこから良い位置を確保できるように抜け出そうと頑張りました。
今日は少し経験不足を感じましたので、レースタイアでのセッティングにもっと時間をかけたいですね。初戦で12位って事は数ポイント確保できたんですよね?それならそんなに悪くないと思いますけど?
このまま進歩が続けば良いですね。
■コニカ・ミノルタ・ホンダ
玉田誠選手(10位)
6列目から良いスタートが出来ました。あそこからポジションを回復するのが凄く大変なのは分かってましたが、無理でも頑張ろうと思っていました。
現状を早く改善したいですね。明日はここに残ってテストをする予定です。今までコニカ・ミノルタのエンジニアが多くの解決策を用意してくれましたが、大きな変化は得られていません。
一番大きな問題はコーナーの進入段階です。理想のラインより必ず大きく回りこまなければいけなくなるので、タイムをロスしてるんです。
レースで10番手近辺をうろうろする気はありません。他のホンダライダーを見る限り、自分たちはもっとバイクの性能を引き出せなきゃダメです。
■キャメル・ヤマハ
コーリン・エドワーズ(11位)
今までの自分のレース人生の中で最高のスタートだったんじゃないかな。バレンティーノも調子よく飛び出していって、二人そろって第一コーナーに飛びこんだんだ。
エリアスが内側に入ってきてからの出来事は全部間近で見てたけど、ロッシはそのまま倒れずに走れると思ったから自分は速度を落とさずコーナーに入って外側から行こうとしたんだけどね。
残念ながらバレンティーノが転倒したんで行き場を失いグラベルに直行するしかなかったよ。週末はこれで終ったけど、正直言って自分たちは今日は元々そんなに速く走れなかった気がする。
このコースは嫌な事ばっかりだからここからは早く去りたいですよ。明日もテストがあるんだけどね。でもカタールに行けたら嬉しいだろうな。あそこはテストで全てうまくいってるから。
バレンティーノ・ロッシ(14位)
ここのレースが難しいとは思ってたけど、まさかここまで大変とはね。
トニが内側に来るのが見えてそのままぶつかってきましたが、レースでは良くある事です。トニの事は昔から知っていますし良いライダーですよ。レースの後で謝りに来たので心配しないように伝えました。ただ、次回ブレーキをかけても手遅れの時は自分以外の別のバイクにぶつけるようには言っときましたけどね!
その後はコースに戻ってアレックス・ホフマンと良いバトルができました。開幕レースでは勝ちたかったので残念ですが、どうしようも無かったですよ。
今は二度と同じトラブルが起きないようにひたすら調査するだけです。カタールでのレースは楽しみですね。
■TECH3ヤマハ
カルロス・チェカ(13位)
もちろん今回の順位は全シーズンを通して受け入れられるものではありませんよ。でも、良いデータは集められたと思います。
ダンロップは真剣です。だからこそ彼らと協力できるんです。
レースでは2つのセッティング候補があり、今回選んだセッティングはコーナーの出口でリアがふられましたが、乗り方をあわせて対処する事に成功しました。小さなチャタリングもありましたがそれも許容範囲でした。いくつかの区間では他のライダーより速く走れる事がわかりましたし、またその逆もありました。
これらの結果を踏まえて、明日のヘレスでのもう一日のテストは、多くの作業ができると思います。
■プラマック・ダンティーン
アレックス・ホフマン(15位)
MotoGPクラスでシーズン初のポイントを取れました。もっといい結果を出したかったけど、ポイントはうれしいですね。スタートは成功して3位か4位につけたんですが、1コーナーのクラッシュで遅れてしまいました。
今朝のウォームアップ時より気温がずっと上がったのに、思ったよりはレースのペースはゆっくりでした。残念ながら前にいるライダーについていけなくなったんで、自分のレースに集中し出来るだけたくさんの情報を集めることにしました。
全然満足していませんし、次のレースに向けてたくさんの作業が必要です。体力的にもとても厳しいレースでしたね。こんなに大変だったことは以前にはありません。
レースの終盤は凄く体力トレーニングになりました。2週間後はカタールです。このサーキットは好きですし2004年には9位でした。ドゥカティでも同じように楽しみたいです!
ホセ・ルイス・カルドソ(DNF)
本当に残念です。スタートは良かったんですが、3周走ったところでリアに問題が起き始めました。周回を重ねるごとに状況が悪くなってバイクをコントロール出来なくなってきたので、クラッシュしないうちに走るのを止めたんです。
週末の間一生懸命働いてくれたチームには本当に申し訳ないし、僕を応援してくれる人達の前でいい結果を出したかったですね。
みんなには感謝しています。次のレースは大好きなカタールです。去年はスーパーバイクで予選は2位、スーパーポールは6位だったんです!
(写真提供:レプソルYPF、カワサキレーシング、ヤマハレーシング、ドゥカティーコルセ、チームスズキMotoGP)
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