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2007年8月30日
7月12日のジョン・ホプキンスの移籍発表に続き、カワサキ・レーシング・チームはホプキンスの2008年度のチームメイトを、サンマリノGPレースウイーク前日の8月30日午後に公式発表した。
■ホプキンスのチームメイトはウエスト
現リズラ・スズキのジョン・ホプキンスと共に2008年のカワサキ・レーシング・チームのライダーとしてNinja ZX-RRに乗るのは、今シーズン6月のイギリスGPからオリビエ・ジャックの後任ライダーとしてカワサキに加わったオーストラリア人ライダー、アンソニー・ウエストだ。
(★より最新の図はこちらの記事を参照)
■イギリスGPからの5レース全てでポイントを獲得
ウエストはイギリスGPから前回のチェコGPまでに出場した5戦の全てにおいてポイント圏内に入っており、現在は合計33ポイントの高い年間得点を獲得。開幕戦から前回のチェコGPまでの過去12戦のフルシーズンを出場してきた他のチームの3名のレギュラー・ライダーを追い抜き、現在の年間ランキングは15位にまで浮上している。
■今期前半には250ccクラスからも遠ざかっていたウエスト
今年のウエストはシーズン開幕時にはチーム・シチリアから250ccクラスに参戦し、その後はWSS(世界スーパースポーツ選手権)ライダーであるヤマハのケビン・カーテンの怪我の代役としてWSSカテゴリに代役出場。そこでいきなり表彰台を獲得するなどの高い成績を収めた事からチーム・シチリアとは契約を解消してヤマハのWSSチームに移籍。シーズン前半にはWSSカテゴリーに完全にスイッチし、本格的に600ccマシンでの出場を開始していた。
■WSSでの活躍が目にとまり、好転した運気
ウエストはヤマハ600cc4ストロークマシンをWSSカテゴリで巧みに操り、5月中旬のモンツァで3位表彰台、5月下旬のシルバーストーンで優勝、今週のMotoGPの舞台となる新生ミサノ・サーキットでも6月中旬に優勝しており、この活躍がオリビエ・ジャックの後任ライダーを捜していたカワサキの目にとまり、現在に至っている。
■報われた膨大なヤマハへの違約金
なお、ウエストはヤマハのWSSチームからカワサキMotoGPへの移籍の際に、高い違約金をヤマハ側には支払っているが、このチャレンジは十分にその金額に値するものとなったようだ。
■アンソニー・ウエスト「シーズン序盤の境遇とは天と地の差」
今回のカワサキの発表に際し、26歳のオーストラリア人ライダーであるアンソニー・ウエストは、彼にとって波乱のシーズンとなった今期を振り返り、以下の喜びのコメントを発表している。
「全てが思い通りに運び、本当に最高の気分です。」とウエスト。
「これで大きな肩の荷が下りました。MotoGPにこのまま残れるのならば、いったいどのチームになるのか、この件についてはずっとストレスを感じながら過ごしてきましたからね。でも、カワサキに残れるのは自分にとって一番最高の結果でした。素晴らしいチームとバイク、それにファクトリーのサポートですから、これには本当に満足しています。」
「これでやっと心配ごとが減り、ライディングにのみ集中できるようになります。それにジョン・ホプキンスと一緒のチームになれるなんて本当に嬉しい事です。彼の事はとても良く知っていますし、うまくやっていけると思います。今の彼は素晴らしい走りをしていますので、来期は彼を追い上げる事ができたら嬉しいですね。」
「今年の序盤は250ccクラスに参戦していた訳ですから、今の状況はその時と比べて大変な違いです。レースが続けられるのかどうかさえ当時は分からない状態だったのに、今はパドック内のトップクラスのチームに所属していて、さらに来年も同じチームで走れるなんて、自分にとっては非常に大きな転機になりました。」
「地道に頑張り続けてきて本当に良かった思います。カワサキが自分に与えてくれたチャンスを最高の形で活かす事ができましたから、これからNinja ZX-RRを使って彼らの信頼に今年と来年の両方共に応えていけるのが楽しみです。」
■ミハエル・バルトレミー「イギリスGPからの活躍を評価」
ウエストとの1年間の契約更新に関して、カワサキのコンペティション・マネージャーであるミハエル・バルトレミーは、イギリスGPからここまでのアンソニー・ウエストの活躍は、カワサキに来期のシートを提供さえるのには十分なものだったと述べた。
「ドニントンパークにアンソニーを連れてきた時は、パドックのほとんどの人が驚いた事と思います。」とバルトレミー。
「MotoGPのファクトリー・チームに到達するまでの順序としては、彼の辿ったルートは一般的なものではありませんが、今年のここまでの彼のNinja ZX-RRでの活躍ぶりは、来期に向けてカワサキを決断させるのには十分なものでした。」
「これで彼のプレッシャーはなくなりましたから、その良い影響をシーズン残りのレースでの活躍として彼は示してくれると思います。」
「来期に彼がどれだけの活躍をするかなんて事は、まだ誰にも分かりませんよ。彼はまだ若いライダーですから、実力を示すチャンスは今後もたくさん訪れるでしょうし、私は彼ならできると信じています。」
「2008年シーズンは彼とジョン・ホプキンスという非常に強力なラインナップになります。彼らは高い意欲に溢れるライダーですから、素晴らしいチームの中で一緒に活動できるのが楽しみです。」
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