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ヘレス冬季F1テスト、3日目のトップはクビサ
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インテリワン編集部
  2007年12月7日

F1の年内最後のテストとなるヘレス冬季テストが、11月6日に4日間の日程のうちの3日目を迎えている。ここでは、初日の内容2日目の内容に引き続き、ヘレス冬季テスト3日目の結果と各チームの概況、ならびにテスト期間中の新着トピックなどを紹介する。


■平日にグランド・スタンドを埋め尽くす熱心なスペインのファン

前日までの2日間と同様の晴天に恵まれたこの日のヘレス・サーキットには、平日のテストにもかかわらずレースウイークさながらの多くの地元ファンがグランド・スタンドを埋め尽くしており、周辺の道路もファンの移動による大渋滞が発生している事から、空港からサーキットまでの12キロの距離をトロ・ロッソの機材運輸トラックが移動するのに2時間半もの時間を必要としたようだ。
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トロ・ロッソ・チームは「上司に風邪で欠勤すると電話で伝えてからサーキットに来た熱心なファンがスタンドを埋め尽くしている。2008年にスペインで2回グランプリが開催される理由がよく分かった」とコメント。


■ルノーのスパイ疑惑がこの日に決着、処罰の対象とはならない

3日目のテスト内容に入る前に、12月6日のワールド・モーター・スポーツ会議の臨時召集において、ルノーF1チームに対して下されたマクラーレンへのスパイ疑惑に関する判決内容を紹介する。FIAが下した決断は、ルノーF1チーム側に国際モーター・スポーツ規約違反は認められるものの、処罰の対象とはしないという内容だ。

■今回のFIAの調査の焦点
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昨日のマクラーレン側の言い分訂正に関するニュースでも報じた通り、2007年シーズン中にマクラーレンがフェラーリの機密書類を違法に入手した容疑の捜査過程において、ルノーF1チームもマクラーレンの機密書類を2006年の9月に入手していた事実が浮上し、FIAはマクラーレンにコンストラクターズ・ポイント剥奪の処罰を下した9月以降は、ルノー F1チームの疑惑調査に乗り出していた。

これは2006年の9月に元マクラーレンの技術者であるフィル・マッケレス氏がルノーF1チームに移籍した際、18枚のマクラーレンF1車両の設計図面を含む機密情報をコピーしたフロッピー・ディスク11枚をルノー側に持ち込んだのが発端であり、調査の焦点は、ルノーのF1車両にその機密情報が反映されていないかどうか、ならびにルノーF1チームが悪意を持って組織的にその情報を入手し、何らかの隠蔽工作などを行っていたかなどの点にあてられた様子だ。

■ルノーF1チームは極秘情報の入手が不測の事態だった事を説明
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この点に関してルノーF1チームは、11月に召集をかけられたFIAワールド・スポーツ・モーター会議の場において、ルノーはマクラーレン側に事実を指摘された直後から内部調査部門を設置し、問題のデータが実際に存在した事をFIAとマクラーレン側に報告しており、マッケレス氏が持ち込んだフロッピー・ディスクをマクラーレン側に弁護士を通じて返送すると同時にマッケレス氏を解雇、ならびにマクラーレンのIT技術者をルノーのコンピュータ施設内に招き入れ、違法なデータ利用や複製の作成がなかったどうかの履歴調査に全面的に協力している姿勢を伝えていた。

またこの中でルノーF1チームは、マクラーレンF1車両の設計データはルノーF1チーム内に実在はしたものの、これはチームの全く意図せぬところで勝手に行われた不測の事態であり、内容についてもチューンド・マス・ダンパーなど2007年のレギュレーションに沿った内容ではなかった事から、技術的な流用価値はなかったと主張。

■晴れて無罪放免に

これらの調査の流れを受け、12月6日のFIAワールド・モーター・スポーツ会議はこの件の最終結論として、「ルノーF1チームはFIA国際モーター・スポーツ規約の151c条(直接的または間接的に競争相手の不利益となる情報の引き渡し、ならびに受理を禁ずる)には違反しているものの、処罰の対象とはしない」との見解を公式に発表しており、これは事実上ルノーF1チームの無罪放免を意味するものだった。

■ルノーF1チーム「やっと2008年シーズンに集中できる」
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処罰の対象とはならないとの判決を受け、長い審議の場からやっと解放される事になったルノーF1チームは、以下の喜びのコメントを判決当日に発表している。

「ルノー社ならびに私たちのタイトル・スポンサーであるING、および全てのパートナーに対して、このように微妙な時期であったにもかかわらず変わらぬご支援を頂きました事を深く感謝申し上げます」とINGルノーF1チームのフラヴィオ・ブリアトーレ代表。

「また同時に、誠実さと厳正なる態度をもってこの問題に取り組んだチームに対しても敬意を表します。この問題の解決により、今度は2008年シーズンに向けての準備に全力を集中できる事を、私たちは大変に嬉しく思っています」


■ヘレス冬季テスト3日目の内容、レギュラー・ドライバーは14名
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ここから、ヘレス冬季テスト3日目の結果、ならびに各チームの概況やコメントなどを紹介する。この日はレギュラー・ドライバー14名、テスト・ドライバーは6名の合計20名のドライバーが参加している。3日目の作業を担当した11チームの各ドライバーは以下の通り。

■フェラーリにミハエル・シューマッハが合流

フェラーリは2日目からテストに参加したフェリペ・マッサと、この日からチームに合流したミハエル・シューマッハの2名が3日目のテストを担当。2007年度チャンピオンのキミ・ライコネンは初日からの2日間の作業を担当し、この日からミハエル・シューマッハにマシンを引き渡している。
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翌日のテスト最終日となる4日目も、3日目と同じくフェリペ・マッサとミハエル・シューマッハの2名が作業を継続する。

■マクラーレンは2日目に引き続きハミルトンがテストを実施

マクラーレンは2日目と同じくレギュラー・ドライバーのルイス・ハミルトンとテスト・ドライバーでるペドロ・デ・ラ・ロサの2名が担当。

なお、当初の予定では最終日には1日目のテストを担当したテスト・ドライバーのゲイリー・パフェットの1名のみが、2009年仕様のスリック・タイヤでの走行テストを行う予定とされていたが、マクレーレンはこの3日間に全てのテストメニューを終えた様子であり、実際にどうするかは不明だ。

■ルノーは3日間を通してネルソン・ピケJr

ルノーは初日から3日間連続してテスト・ドライバーのネルソン・ピケJrの1名がこの日もテストを担当。ルノーはこの日で年内のテストを全て終え、翌日の4日目のテストには参加しない。

■ウィリアムズは中嶋選手とロズベルグ
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ウィリアムズは初日のテストを担当していた中嶋一貴選手が作業に復帰し、ニコ・ロズベルグとのレギュラー2名体制で3日目のテスト作業を実施している。翌日の最終日もこの2名がテストを継続実施する。

■レッドブルは2日目と同じくクルサードとウェバー

レッドブルは2日目と同じくレギュラー・ドライバー2名、デビッド・クルサードとマーク・ウェバーがこの日もテストを担当している。4日目は初日からテストを実施しているウェバーがテストから外れ、クルサードの1名のみが作業を継続する予定だ。

■BMWザウバー、ハイドフェルドは3日目でテストを終了

BMWザウバーも2日目と同じくレギュラー・ドライバー2名、ニック・ハイドフェルドとロバート・クビサがテストを担当。4日目はハイドフェルドに代わり2007年のイギリスF3チャンピオンであるマルコ・アスマーがクビサと2名でテストを行う予定。

■トロ・ロッソは4日間を通してレギュラー2名
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4日間を通してレギュラー・ドライバー2名体制でテストを行う予定のトロ・ロッソは、この日もセバスチャン・ベッテルとセバスチャン・ボーテの2名が走行している。

■ホンダはバリチェロとGP2ドライバーのフィリッピ

ホンダはレギュラー・ドライバーのルーベンス・バリチェロと、3日目のテストのみ参加する2007年のGP2シリーズ・ランキング4位のルカ・フィリッピの2名がこの日のテストを担当。
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■トヨタは2008年レギュラー2名が初めて揃っての走行

トヨタは2008年の新レギュラー・ドライバーであるティモ・グロックと、初日からの2日間のテストメニューを終えた2008年の第3ドライバーである小林可夢偉選手に代わりレギュラー・ドライバーのヤルノ・トゥルーリの2名が3日目のテストに参加。最終日の4日目もグロックとトゥルーリのレギュラー・ドライバー2名が引き続きテストを実施する予定だ。

■スーパーアグリ、佐藤選手が3日目と最終日のテストを担当

スーパーアグリF1チームは、2日目のテストを担当したレギュラー・ドライバーのアンソニー・デビッドソンに代わり、この3日目と最終日は佐藤琢磨選手が2008年シーズンに向けてのテストに初参加。

■フォース・インディアにはラルフ・シューマッハとリウッツィ
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初日と2日目は元ルノーのジャンカルロ・フィジケラなどをテストに起用していたフォース・インディアは3日目にメンバーを総入れ替えしており、この日は元トヨタのラルフ・シューマッハと元トロ・ロッソのビタントニオ・リウッツィの2名がテストを実施している。

尚、最終日の4日目もフォース・インディアはメンバーを全て入れ替え、カタルニア冬季テスト初日の作業を担当した2名、オランダ人ドライバーのギード・ファン・デル・ガルデと、冬季テスト中の専任ドライバーとなったスペイン人ドライバーのロルダン・ロドリゲスを起用する予定だ。


■ヘレス冬季テスト3日目の走行結果

以下に、前日までの2日間と同様に陽射しの降り注ぐ晴天に恵まれ、気温は8度から21度、路面温度は8度から25度にまで上昇したテスト3日目のヘレス・サーキットにおける走行タイムを、各ドライバーのこの日の自己ベスト順に示す。この日の午後は比較的にセッションの中断時間が長いレッドフラッグが数回提示されており、これにより予定の作業時間を削られて困惑したチームも少なくなかったという。
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1) ロバート・クビサ POL BMWザウバー 1分19秒157(87周)
2) ルイス・ハミルトン GBR マクラーレン・メルセデス 1分19秒331(63周)
3) フェリペ・マッサ BRA フェラーリ 1分19秒333(68周)
4) マーク・ウェバー AUS レッドブル 1分19秒605(63周)
5) ティモ・グロック GER トヨタ 1分19秒687(40周)
6) ペドロ・デ・ラ・ロサ ESP マクラーレン・メルセデス 1分19秒787(74周)
7) ネルソン・ピケJr BRA ルノー 1分19秒834(90周)
8) ミハエル・シューマッハ GER フェラーリ 1分19秒885(67周)
9) ルーベンス・バリチェロ BRA ホンダ 1分19秒905(88周)
10) ニック・ハイドフェルド GER BMWザウバー 1分20秒125(87周)
11) ニコ・ロズベルグ GER ウィリアムズ 1分20秒301(65周)
12) セバスチャン・ベッテル GER トロ・ロッソ 1分20秒339(56周)
13) セバスチャン・ボーデ FRA トロ・ロッソ 1分20秒507(55周)
14)ヤルノ・トゥルーリ ITA トヨタ 1分20秒775(99周)
15) 中嶋一貴 JPN ウィリアムズ 1分20秒802(39周)
16) ルカ・フィリッピ ITA ホンダ 1分20秒915(85周)
17) デビッド・クルサード GBR レッドブル 1分21秒055(62周)
18) 佐藤琢磨 JPN スーパーアグリF1 1分21秒093(79周)
19) ビタントニオ・リウッツィ ITA フォース・インディア 1分21秒194(76周)
20) ラルフ・シューマッハ GER トヨタ 1分21秒853(71周)



■3日目のトップはクビサ
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3日目のトップタイムを記録したのは、ブリヂストンの2009年仕様のスリック・タイヤをこの日に初めて試したBMWザウバーのロバート・クビサだった。2日目はトップタイムを記録し、この日は新型サスペンションのテストを中心的に行ったどいうマクラーレンのルイス・ハミルトンは2番手、続く3番手は新型ECUまわりのテストを主に行ったフェラーリのフェリペ・マッサ。

■レッドブル「今回のテストのタイムや順位に大きな意味はない」

また、2日目はマシン・トラブルに見舞われ、この日も予期せぬエンジンの載せ替え作業が発生して走行時間を大きくロスしたレッドブルのマーク・ウェバーはマッサに続く4番手の好位置につけているが、レッドブル・チームは「今回のテストは2008年と2009年の全く仕様が異なるタイヤが混在しており、タイムや順位にあまり意味がない」との意見を初日から繰り返し述べている。

■ミハエル・シューマッハは8番手

なお、前回のカタルニア冬季テストでは初日から2日間連続してのトップタイムを記録し、今回のヘレスにはこの3日目から加わったフェラーリのミハエル・シューマッハは、この日の午後に2009年仕様のスリック・タイヤで走行しての8番手だった。


■スリックタイヤと同時に2009年の空力レギュレーションを試す各チーム
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今週のテストでは2009年からの施行が予定されているタイヤ・レギュレーションの準備として、ブリヂストンは各チームの1車両あたりに3セットのスリック・タイヤを用意しているが、各チームはこの2009年仕様のスリックタイヤを使用するにあたり、同じく2009年からの使用が義務づけられる可能性の高いCDGウイング(Centreline Downwash Generating Wing)を想定した空力シミュレーションを同時に行っている様子だ。
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CDGウイングはレースでのコーナリングと各マシンの追い抜き性能の向上を狙ったものだが、リアのウイングが2つに分割されている事からスポンサーの広告スペースが減る事、ならびに実際の性能を疑問視する事などから物議を醸し出しているが、マクラーレンのテスト内容によれば、今回のスリック・タイヤと併用してのシミュレーションではダウンフォースが低下する傾向にある事が判明しているという。


■3日目の各チームの概況とコメント

以下に、3日目のテストを終えて作業内容を公式発表している各チームの概況ならびにコメントなどを紹介する。

■BMWザウバー、小さなトラブルはあったが最終的にはトップタイム
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初日にトップタイムを記録したBMWザウバーのニック・ハイドフェルドは、この3日目に担当分の全てのテストメニューを終える事ができたとしている。2008年型ECUのセッティング作業に取り組んだハイドフェルドのこの日の順位は10番手だった。

初日のハイドフェルドに続き3日目のトップタイムを記録したチームメイトのロバート・クビサは、この日は小さなマシントラブルのために作業を数回中断する事はあったものの、全体的には順調に作業をこなし、初めて試したスリックタイヤで2日目はトップたったマクラーレンのルイス・ハミルトンを2番手に抑えている。

BMWザウバーは、最終日となる4日目は2008年車両の開発に向けて、年内のテスト制限範囲内の走行距離を全て走りきりたいとしている。


■マクラーレン、ハミルトンは2日目も上位に
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2日目からテストに参加したマクラーレンのルイス・ハミルトンは、この日も前日に引き続き2008年シーズンに向けてのエアロ・パーツと新型サスペンションのテストに集中したようだ。この日のハミルトンの順位はクビサに次ぐ2番手だった。

マクラーレンのテスト・ドライバーであるペドロ・デ・ラ・ロサは、2009年仕様のCDGウイングの空力特性をシミュレーションしながら2009年仕様のスリック・タイヤでの走行を行っており、ダウンフォースがやや足りなくなる傾向を報告している。デ・ラ・ロサの3日目の順位は6番手。


■フェラーリは電子制御まわりの調整を継続
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フェラーリのフェリペ・マッサと、キミ・ライコネンに代わりこの日からヘレスでのテストに加わったミハエル・シューマッハは、2008年標準ECUに関するテストを引き続き行っている。ミハエル・シューマッハは午後には2009年仕様のスリック・タイヤでも走行した。
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この日のマッサの順位は3番手、ミハエル・シューマッハの順位は8番手だった。


■レッドブル、4番手のウェバーは2日間連続のマシン・トラブル

レッドブルはテストの3日目、マーク・ウェバーとデビッド・クルサードが車両を交換しており、クルサードは2008年仕様のECUを搭載した2007年マシン、ウェバーはトラクション・コントロールとエンジン・ブレーキ・アシストをオフにした2007年パッケージで走行している。ウェバーのこの日の順位は4番手、クルサードは17番手だった。
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午前中に好調な走りを見せたウェバーは、この際に2009年仕様のスリックタイヤと空力特性のテストを実施したが、午後は2日目に続きトラブルに見舞われてエンジンの載せ替えを強いられた事から、この日は早めにテストを切り上げている。
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一方、クルサードは2008年型ECUを中心とした作業を順調にこなす事ができており、レッドブルのチーフ・テスト・エンジニアを務めるイアン・モーガンは「今日は多くの進展があり、非常に励みになる内容だった」とセッション終了後にコメントしている。
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■トヨタは午前中にグロックの車両に油圧系トラブル

写真トヨタはこの日に2008年レギュラー・ドライバーの2名、ティモ・グロックとヤルノ・トゥルーリが揃っており、初日からテストに参加しているグロックはチームのテスト走行距離制限をセーブするために早めに作業を切り上げ、セッションの終盤はこの日から作業に参加したトゥルーリのみが周回を重ねた。

トゥルーリは第3ドライバーの小林可夢偉選手が2日目まで使用していたリアまわりの新型パーツと2008年型ECUを搭載したマシンを引き継いでおり、セッティング内容を大きく改善する事ができたとしている。この日のトゥルーリの順位は14番手。

2日目まではマシン・トラブルはほとんどなかったトヨタだが、この日は午前中にグロックのマシンに油圧系トラブルが発生して一時期作業を中断している。しかしながら、その後マシンは修復され、グロックはこの日の午後に初めてブリヂストンの2009年仕様のスリック・タイヤを試す事ができたとしている。この日のグロックの順位は5番手だった。

■トゥルーリ「トラクション・コントロールがないのは初めてじゃない」

テストに戻ってこれて嬉しいと述べるヤルノ・トゥルーリは、今回標準ECUを初めて試したが、前回のカタルニアのテストでも2007年パッケージでドライバー・アシスト機能をオフにして走行しているため、トラクション・コントロールのないマシンに乗るのは別にこれが初めてではないと語る。
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「今日はいい1日になりました。また車に乗りに戻れて嬉しいです」とトゥルーリ。

「予定していた2008年ECUとリアの新パーツに関する全てのテストメニューを終える事ができました。2008年の標準ECUを搭載したマシンで走るのは今回が初めてでしたが、前にもトラクション・コントロールのないマシンでたくさん走り込みましたからね」

「今日の一番の目標はできる限り多くの周回を重ねる事でしたが、それは予定通りにうまくいきましたし、いくつか新しいパーツのセッティングに集中する事ができました。標準ECUのセッティングもかなり改善できたと思います。全般的に非常にいい1日でした」


■バセロン「スリック・タイヤのテストが有益だった」

トヨタのシャシー部門シニア・ゼネラル・マネージャーを務めるパスカル・バセロンは、この日にスリック・タイヤと現行の溝入りタイヤを比較できたのは非常に有益であり、興味深い結果が得られたと以下の通りコメントしている。

「ティモ(グロック)は午前中に油圧系トラブルを抱えてしまい、その修理に時間をロスして苦しみましたが、それでも今日は多くの作業メニューを終わらせる事ができています」とバセロン。

「今回はティモの車両にスリック・タイヤを装着しましたが、これは非常に興味深い内容となりましたし、2009年のレギュレーション変更に向けて役立つ多くの情報を収集する事ができました」

「現行の溝入りタイヤとスリック・タイヤの違いは大変に大きく、車の挙動も大きく異なります。スリック・タイヤは確実にグリップが大きく得られますので、溝入りタイヤよりもラップタイムは予想通りに速くなりました。スリック・タイヤの装着時には車のバランスとハンドリング性能を安定させるのが難しくなると思っていましたが、実際にはどちらも非常に良好だったのが、今回興味深かった点ですね」

「今日はヤルノにとって非常に忙しい1日でしたが、2008年ECUに関して多くの進歩が得られましたので、今は今年最後のテストを明日に全て終えられるのが楽しみです」


写真■ルノーは年内の全てのテストを終了

前日の2日目は2009年型スリックタイヤのテストを中心的に行ったルノーのネルソン・ピケJrは、ルノーF1チームにとって年内のテスト最終日となるこの日は初日に引き続き2008年仕様の標準ECUに関するセッティング作業に集中しており、エンジンのマッピングを行う中でアイドリングとレブ・リミッターを重点的に調整したとしている。

チームはこの日は昼食をキャンセルし、テスト最終日の時間を最大限に有効活用した様子だ。終日マシンに大きなトラブルはなく、3日間に予定していた全ての作業を終える事ができたピケJrのこの日の順位は7番手だった。


■ピケJr「今週のテストはチームの励みになった」

ネルソン・ピケJrは、この日の90周回を走り込む中で作業は常に順調だったと以下の通りコメントしている。

「車に進展が多くいい1日でした。かなり多くの周回数を走り込みましたが、常に好調でしたしね」とピケJr。

「今週のテストは自分たちにとってすごく励みになるものだったと思います。当初の予定通り、チームはいくつか興味深いデータを収集する事ができていますよ」

■シルク「昼食も取らずに頑張ったスタッフに感謝」

ルノーのチーフ・テスト・エンジニアを務めるクリスチャン・シルクは、昼食も取らずにチームの年内のテスト最終日を頑張ったスタッフたちに感謝し、2008年シーズンが楽しみだとコメントした。

「今日の作業は順調でしたね。チームは昼食も取らずに最終日の時間を最大限に活用していましたから、本当に彼らには感謝しています」とシルク。

「今年は非常に厳しい状況に直面していたにもかかわらず、チームはシーズン中に一度も手を抜く事はありませんでしたが、同様に今日も彼らは全力で作業に取り組んでいました」

「今日は多くの興味深いデータを収集する事ができています。私たちの気持ちはすでに2008年シーズンの事だけでいっぱいですよ」


■ウィリアムズ、作業は順調
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ニコ・ロズベルグと中嶋一貴選手という2008年のレギュラー・ドライバー2名が揃ったウィリアムズは、この日は午後のレッド・フラッグにより作業は数回中断されたものの、2008年車両の開発に向けてのテスト作業は順調だったとしている。この日のロズベルグの順位は11番手、中嶋選手の順位は15番手だった。

■スタンフォード「最終日も同じ体制でテストを継続」

ウィリアムズのテスト・チーム・マネージャーを務めるディッキー・スタンフォードは、3日目の作業を終えて以下の通りコメントしている。

「一貴が今日からテストに復帰し、ニコ・ロズベルグと共に暫定車両のFW29Bsを使用してセッティングと開発作業を実施しています」とスタンフォード。

「今日は数回のレッドフラッグに作業を中断されましたが、チームにとっては非常に有意義な1日でした。明日のテストも今日の2名が継続して担当する予定です」


■新しいブレーキ素材を試し有益な効果を得たトロ・ロッソ
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トロ・ロッソのレギュラー・ドライバーであるセバスチャン・ベッテルとセバスチャン・ボーデの2名は、2日目に引き続きこの日も新しいブレーキ素材を揃って検証しており、それにより電子制御によるドライバー・アシストがなくてもマシンの操作性を向上させる事ができたとしている。この日のベッテルの順位は12番手、ボーデの順位は13番手だった。
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ブレーキ素材の評価を行う中で、ベッテルは初日と同じくこの日も2008年型ECUを搭載したマシンで走行し、リアの新型サスペンションの評価を実施、ボーデはトラクション・コントロールをオフにした2007年型パッケージで走行し、マシン全体の性能向上を狙う新しいメカニカル・パーツのセッティングを行ったようだ。


写真■スーパーアグリ、佐藤選手は新型ECUに初トライ

佐藤琢磨選手は、3日目のこの日からヘレス・サーキットで待ちかまえるスーパーアグリF1チームに合流し、2007年シーズンを終えてから初めてとなるF1マシンでの走行を開始している。佐藤選手のこの日の順位は18番手だった。

午前に佐藤選手は初めて来期仕様の新型ECUを搭載したトラクション・コントロールのないマシンで走行し、電子制御システムの各機能のチューニングを行っている。続く午後には2009年仕様のスリック・タイヤを装着して、同じく2009年仕様のダウンフォース・レベルをシミュレートしながらの走行を行ったという。


■3日目に入りややトラブルに見舞われたフォース・インディア

フォース・インディアは、初日から2日目までテストを担当していたジャンカルロ・フィジケラなどに代わり、この日はトヨタから離脱して以来初めてピット・ガレージに登場したラルフ・シューマッハと、前回のカタルニアでもフォース・インディアの車両をテストした元トロ・ロッソのビタントニオ・リウッツィの2名がテストに参加している。
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ラルフ・シューマッハとリウッツィは、この日はマシンに基本的なセッティングを施しながら、2008年型ECUに関する多くの情報をチームに提供できたとしているが、午後のレッドフラッグの影響やマシン・トラブルなどにより、テスト作業はそれほど思い通りには進まなかった様子だ。

■ラルフのマシンが不調

フォース・インディアの車両を今回初めて体験したラルフ・シューマッハは、午前中は油圧系のトラブルに見舞われ、この影響で当初予定していた走り込みを中断している。しかしながら、午後は早く安定したペースでロングランをこなし、この走行内容にチームは感銘を受けたという。この日のラルフ・シューマッハの順位は最後尾となる20番手だった。
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また、カタルニアに引き続きフォース・インディアのマシンに乗ったリウッツィは、セッション終盤のレッドフラッグに悩まされ、午後のロングランを全て終わらせる事はできなかったとしている。この日のリウッツィの順位はラルフ・シューマッハの1つ手前となる19番手。

なお、フォース・インディアは4日目のテストにも参加するが、再びドライバーを全員変更し、前回のカタルニアのテスト初日を担当したギード・ファン・デル・ガルデとロルダン・ロドリゲスの2名が最終日の作業を行う予定だ。

■リウッツィ「完璧なセッティングとは言えない」
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フォース・インディアでの2回目のテストを終えたリウッツィは、今回はまだ完璧と言えるセッティングには到達できなかったと述べ、今後もマシンを仕上げるには多くの作業が必要だと以下の通りコメントした。

「とても好調でしたから今日の作業内容には満足できています」とリウッツィ。
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「レッドフラッグに長い間作業を中断させられたので2セット目のタイヤを限界まで試す事ができなくなりましたが、車のバランスには満足できていますし、チームともうまく作業が進められたと思っています」

「何回かロングランも行いましたが、完璧なセッティングは見つけられませんでした。まだ多くの作業を車に施す必要があるのは間違いありません」

■ラルフ・シューマッハ「難しい1日だった」
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2008年型ECUを搭載したドライバー・アシストなしのマシンでの初めての走行を、多くのトラブルに悩まされる事になったラルフ・シューマッハは、この日は難しい1日だったとコメントしている。

「今日は非常に難しい1日になってしまいました。このチームとの仕事は初めてでしたし、さらに2008年仕様の電子制御システムについても学ばなければいけませんでしたからね」とラルフ・シューマッハ。
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「残念ながら午前中は車に問題がいくつか見つかったので新しいタイヤをうまく試す事ができませんでしたし、午後はレッド・フラッグに作業を長い間中断させられる羽目になりました。ただ、その後にロングランを開始してからは順調でした」

「大変な1日でしたが、いい情報をいくつか収集できたのは良かったと思います」

■ジェームス・キー「ラルフには大変な1日だった」

フォース・インディアのテクニカル・ディレクターを務めるジェームス・キーは、特にラルフ・シューマッハには大変な思いをさせてしまったが、チームとしては有益な情報を2名の優秀なドライバーから得る事ができたと語った。
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「今日は午後に作業が数回中断されましたし、全体を通して難しい内容の1日だったと言えますが、午前中は非常に効率良く作業が進んでいました」

「トニオ(リウッツィ)は安定して多くの周回をこなし、いい情報をいくつか提供してくれています。車の開発は正しい方向に進んでいるようですよ。それに彼のショート・ランは非常に安定していました」

「ラルフは車に基本的な問題がいくつか発生した事で大変な1日となってしまいました。特に彼はこのチームと新型ECUを経験するのは今日が初めてでしたから、最初の問題により作業効率が大きく低下してしまった様子です。ただ、ロング・ランを開始した頃には全てが順調に進み、非常に安定した走りを見せてくれました」

「今日もまた1日を通して、経験豊かな2名のドライバーが大変に有益な情報をチームに提供してくれています」

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