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第4戦フランスGP決勝、勝敗を分けたピットインのタイミング
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  2009年5月19日

5月17日の日曜日、MotoGP第4戦フランスGPが75,900人の観客が見守る中で決勝の日を迎えた。天候が危ぶまれながらも初日、2日目とほとんどがドライセッションに恵まれたレースウィークだったが、迎えた決勝当日は朝のウォームアップはドライとなったものの、その後に雨が降り出して125ccクラスと250ccクラスのレースでは転倒者が続出した。
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続くMotoGPクラスの決勝開始時刻である現地時間午後2時には、雨は止んでいたものの路面はまだ濡れた状態にあり、レースはウェット宣言の元で開始された。全ライダーはソフトウェットタイヤを装着してレースに臨んだが、濡れた所と乾いた所が混在する路面状況により、ライダー達は難しいレースを強いられた。その後、5周を過ぎた頃からは路面は徐々に乾き始め、各ライダーはスリックタイヤを装着したマシンに乗り換えるべく次々にピットイン、その度にめまぐるしく順位が入れ替わる波乱のレース展開となったが、結果的にはピットインのタイミングが明暗を分ける事となった。ここでは、MotoGPクラスの決勝結果と一部のライダーのコメント等を紹介する。


■第4戦フランスGP、決勝結果
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以下に5月17日に、気温16度、路面温度19度、湿度58%のウェット宣言の元で行われたMotoGPクラスの決勝結果を示す(レース前に行われたウォームアップの結果はこちらを参照)。
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1) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 47分52秒678(28周)
2) マルコ・メランドリ ITA ハヤテ・レーシング・チーム ZX-RR 48分10秒388(28周)
3) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 48分12秒571(28周)
4) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 48分13秒133(28周)
5) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP9 48分23秒217(28周)
6) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキMotoGP GSV-R 48分30秒140(28周)
7) コーリン・エドワーズ USA モンスター・ヤマハTech3 YZR-M1 48分32秒869(28周)
8) ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキMotoGP GSV-R 48分38秒099(28周)
9) ジェームス・トーズランド GBR モンスター・ヤマハTech3 YZR-M1 48分42秒985(28周)
10) トニ・エリアス SPA サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 48分45秒896(28周)
11) アレックス・デ・アンジェリス RSM サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 48分46秒228(28周)
12) ニッキー・ヘイデン USA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP9 48分49秒325(28周)
13) 高橋裕紀 JPN スコット・レーシング・チーム RC212V 48分49秒366(28周)
14) ランディ・ド・プニエ FRA ホンダLCR RC212V 49分03秒977(28周)
15) ニッコロ・カネパ ITA プラマック・レーシング デスモセディチ GP9 49分08秒063(28周)
16) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 49分28秒685(26周)
-) ミカ・カリオ FIN プラマック・レーシング デスモセディチ GP9 20分47秒302(11周)
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ルマン・サーキットにおけるMotoGPクラスのサーキットレコード(レース中)は2008年にバレンティーノ・ロッシが記録した1分34秒215、ベストラップレコード(予選タイヤ)は2008年にダニ・ペドロサが記録した1分32秒647。
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マシン交換のタイミングを出来るだけ遅らせて6位を獲得したリズラ・スズキのクリス・バーミューレン「本当に難しいレースだった。誰もがそう言うと思うよ。ウェットでスタートする事になったが、ウェットでのテストは全く行っていなかったので、今日の状況に合わせてバイクをセッティングするのは、メカニックにとって本当に難しかったと思う。彼らはすごくいい仕事をしてくれたので、バイクの感触はかなり良かったが、もしこれがレースウィーク中のプラクティス・セッションだったら、さらに多くの変更を加えていただろうね」
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「路面が乾き始めた時にロッシが転倒するのを見て、スリックタイヤを履ける程十分には乾いてないと思った。だから少し長めにウェットタイヤのままでいたが、多分2周くらい長くとどまりすぎたんだろうね。ピットに入るのが遅れたせいで終盤に近づくにつれて少し難しいレースになってしまった。6位フィニッシュは今シーズンの自己最高位だし、いくらか価値のあるポイントも取れた」
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2列目6番グリッドスタートにも関わらず、オープニングラップで16位まで順位を落としたモンスター・ヤマハTech3のコーリン・エドワーズ「今日は表彰台を狙える機会を逃して本当に残念。ウェットタイヤを履いたレース序盤は、全くバイクが曲がらなかった。順位をいくつも失い、最後尾近くまで落ちてしまった。バイクはリアにだけ加重がかかり、フロントには全く加重がかからなかったのでコーナー侵入が不可能な状態」

「一部のライダーがピットに入るのを見たが、まだ水たまりがあちこちにあったので、ピットインするには2周くらい早いと思った。その後少し待ってからピットに入ったが、コースに復帰してからの最初の2周でまた時間をロスしてしまった。ソフトコンパウンドをうまく扱えなかったので、フロントにハードタイヤを履いたが、熱が入るのに時間がかかったからね。それでもしばらくすると調子は本当に良くなった。実際の所、自分より速いペースで走っていたのはホルヘだけだったと思う。自分のペースを取り戻してからはどんどんライダーを抜く事ができたからね」
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ロッシやペドロサと同じ一番早いタイミングで5周回終了後にマシン交換を行ったリズラ・スズキのロリス・カピロッシ「本当に早い段階でスリックタイヤに交換したが、まだスリックを履くには路面が少し濡れていた。選択を間違った訳ではなくギャンブルをしたんだが、あまりうまくいかなかったね。水たまりで2回ミスをしてコースを外れてしまったし。自分のリズムを保とうとしたが、路面が乾いてからはグリップが十分ではなくなって、昨日と同じ問題が起きたと分かった。頑張って順位を守ろうとしたが、コーリンに残り数周の所で抜かれてしまい、その後は抜き返せなかった」
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13位でチェッカーを受けたスコット・レーシングの高橋裕紀選手「バイクを乗り換えるようなレースを戦うのはこれが初めて。コンディションは簡単ではなかったので、難しいレースになった。ウェットでのスタート時はあまり良くなかったが、一度リズムをつかむと何人か抜くことができた。その後レース中盤にスリックタイヤのバイクに乗り換えた後は、バイクの感触が悪くなってしまい集中して走るのが難しくなった」
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12周目に転倒リタイアとなったプラマック・レーシングのミカ・カリオ「今日は本当に調子が良かった。バイクを乗り換えるタイミングも正しかったし、いい順位で走行していた。ヘイデンに追いついて内側から抜こうとしたが、突然彼がラインを変えたので、水たまりがある外側を通るしかなくなって滑ってしまった。多分彼には自分が見えていなかったのだと思う。とてもいい感じで乗れていたので今日の結果はすごく悲しい」


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ミカ・カリオが転倒した際、滑ってきたカリオのマシンと接触し、バイクに小さなダメージを負っていたドゥカティーのニッキー・ヘイデン「スタートはまあまあ。ウェットでこのバイクに乗った経験は少ししかないが、マシンの感触はかなり良くて幾つか順位を上げる事ができた。ピットに戻ってスリックタイヤに変えてからは、最初は路面温度が低くてタイヤに熱が入らずに難しかった。それでも一時は8位まで順位を上げたが、不運にもカリオが転倒して彼のバイクが自分に向かって滑ってきて接触してしまった。その時の衝撃は激しくて、自分のバイクに彼のタイヤの跡がついてたぐらい。何とか転倒せずにすんでラッキーだったが、この接触でコースを外れてタイムをロスしたし、順位も落としてしまった。その上前輪のセンサーにダメージも受けた」


■フランスGP終了時点のポイントランキング
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以下に、フランスGP決勝レース終了時点のポイントランキングを示す。

1) ホルヘ・ロレンソ [SPA] [フィアット・ヤマハ・チーム] 66
2) バレンティーノ・ロッシ [ITA] [フィアット・ヤマハ・チーム] 65
3) ケーシー・ストーナー [AUS] [ドゥカティ・マルボロ・チーム] 65
4) ダニ・ペドロサ [SPA] [レプソル・ホンダ・チーム] 57
5) マルコ・メランドリ [ITA] [ハヤテ・レーシング・チーム] 43
6) アンドレア・ドヴィツィオーゾ [ITA] [レプソル・ホンダ・チーム] 43
7) コーリン・エドワーズ [USA] [モンスター・ヤマハTech3] 35
8) クリス・バーミューレン [AUS] [リズラ・スズキMotoGP] 31
9) ロリス・カピロッシ [ITA] [リズラ・スズキMotoGP] 27
10) ランディ・ド・プニエ [FRA] [ホンダLCR] 26
11) トニ・エリアス [SPA] [サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ] 21
12) アレックス・デ・アンジェリス [RSM] [サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ] 20
13) ジェームス・トーズランド [GBR] [モンスター・ヤマハTech3] 17
14) ミカ・カリオ [FIN] [プラマック・レーシング] 16
15) ニッキー・ヘイデン [USA] [ドゥカティ・マルボロ・チーム] 9
16) セテ・ジベルナウ [SPA] [グループ・フランシスコ・エルナンド] 8
17) 高橋裕紀 [JPN] [スコット・レーシング・チーム] 8
18) ニッコロ・カネパ [ITA] [プラマック・レーシング] 3
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■優勝はロレンソ「自分たちの戦略は完璧」
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1列目2番グリッドからスタートしたフィアット・ヤマハのホルヘ・ロレンソは、レース開始直後は順位を一つ落としたものの、オープニングラップの終わりには、ドゥカティーのケーシー・ストーナーとレプソル・ホンダのダニ・ペドロサを交わしてトップに立った。その後一部のライダーは、路面が乾き始めた5周目あたりから早くもバイクを乗り換え始めたが、快調に走行していたロレンソは、まだスリックタイヤに変更する必要はないと判断、安定した速いペースで走行を続けた。12周目に入った時点でマシンを乗り換えていないのは、1位のロレンソとその当時2位のサンカルロ・ホンダ・グレッシーニのトニ・エリアスのみ。一番最後のピットインとなったこの2人は、この周回を終えたタイミングでようやくピットイン、スリックタイヤへの交換を行った。この時点で3位を走行していたハヤテ・レーシングのマルコ・メランドリとの差は45秒開いており、ロレンソはバイクの乗り換えを34秒で済ませると1位のままレースに復帰して独走を続け、最終的に2位を獲得したメランドリに17秒710の差をつけて見事1位でチェッカーを受けた。尚、今回の優勝によりロレンソはロッシに1ポイント差でチャンピオンシップのトップに躍り出ている。 難しいコンディションの中、見事今シーズン2度目の優勝を果たしたフィアット・ヤマハのホルヘ・ロレンソは次のようにコメントした。
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「今日のような状況になるとは思っても見なかった。レースに勝ってランキングのトップに立てるなんてね。今シーズンは落ち着いて注意深くレースに臨んできたので、ヘレスでの転倒は本当に残念だった。予想もしてなかったからね!でも今日はそれを挽回できた」
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「タイヤはどちらのタイプでもとてもいいペースで走れていたし、自分たちの戦略は完全にうまくいった。あんな長い間ウェットタイヤで走り続けることができてよかったし、自分たちは正しいタイミングでバイクを交換できたと思う。運も味方したが、自分たち自身も強かったし、落ち着いて注意深かったのでこれがいい結果に結びついた」
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「レース中にバイクを交換したのは初めての経験だったので、とても神経質になったが、スムーズに行えてトップでレースに復帰できた。バレンティーノの事は残念に思う。転倒したのは不運だった。でも、自分たち二人のポイントはほぼ同ポイントなので、改めてシーズンが始まったような感じだね。とても有能な働きをしてくれたチームにはお礼を言いたい。MotoGPクラス3度目の優勝をここで飾れてとてもうれしい」
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■3位表彰台のペドロサ「ロッシが自分の前で転倒したので余計に神経質になった」
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ポールポジションからスタートしたレプソル・ホンダのダニ・ペドロサは、ホールショットは奪ったものの、後に幾つか順位を落とし、5周を走行した所でフィアット・ヤマハのロッシに続いて2番目にピットイン、スリックタイヤのマシンに交換した。その時点では、まだかなりの数の水たまりがあり、ロッシがちょうどペドロサの目の前で転倒した事から、ペドロサは転倒の危険を避けるためにペースを落として走行を続けた。
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その後しばらくして路面が乾き始めると、ペドロサは表彰台に向けた戦いを開始。ペースを上げたペドロサは、何人ものライダーを交わし14周目には4位まで順位を上げ、さらに3位を走行中のチームメイトのアンドレア・ドヴィツィオーゾを追い始めた。4位に浮上した時点ではドヴィツィオーゾとの差は8秒を超えていたが、ペドロサは何度もファーステスト・ラップを更新しながらドヴィツィオーゾより0.5秒から0.6秒速いペースで走行を続けて彼との差を着実に縮めると、残り1周の所でドヴィツィオーゾの後ろ0.4秒まで迫った。そして迎えた最終ラップ、ドヴィツィオーゾは何とか3位を守りきろうとするが、2つ目のシケインのハードブレーキング時に、ついにペドロサがドヴィツィオーゾを交わして3位を奪うとそのままコントロールラインを抜け、表彰台をつかみ取った。最後の最後に逆転3位表彰台を手にしたペドロサは次のようにコメントしている。
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「今日も表彰台に乗れて素晴らしかった。条件は難しかったが最後はいい結果を出せた。レース開始直後は何が一番ベストなのかよく分からない状況だった。最初の数周はウェットのせいで自分のペースはあまり速くなかったし、いくつか順位を落としてしまった。だから早めにドライタイヤのマシンに交換しようと決めたが、これはロッシと同じタイミングだったね」
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「スリックタイヤでコースに復帰した最初の周にロッシが自分の前で転倒したので、自分もさらに神経質になった。どこが濡れていて、どこが乾いているのかさっぱり分からなくて時間をロスしてしまった。この時のラップタイムは1分55秒くらいだったと思う。レース終盤に近づくとタイヤに十分な熱が入って、走行リズムが良くなったしタイムもどんどん上がったので、アンドレアとの差を縮めることができた。最終ラップでは彼に追いついて、最後の最後に彼を交わす事ができた。ドヴィツィオーゾの調子は良かったから抜くのは難しかったが、最終的に交わす事ができたし、表彰台に乗れて本当にうれしい」
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■惜しくも4位となったドヴィツィオーゾ「表彰台がすぐ目の前だったのに」
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2列目5番グリッドからスタートし、ロッシやペドロサがピットインした後の6周目には2位に浮上したレプソル・ホンダのアンドレア・ドヴィツィオーゾは、ピットに入る11周までそのまま2位を走行し続けた。そしてマシン交換後には、1位のロレンソ、2位のメランドリに次ぐ3位でレースに復帰したが、そこから4位に浮上してきていたチームメイトのペドロサの激しい追撃を受ける事となった。ドヴィツィオーゾは、自分を上回る速いペースで走行を続けるペドロサによって、8秒強あった差をどんどん縮められ、ついに最終ラップに追いつかれた。そしてレース終了間近、ペドロサにインをつかれたドヴィツィオーゾはそのまま順位を奪われてしまい、惜しくも3位表彰台を逃す結果となった。レース終了後に落胆した表情を見せていたドヴィツィオーゾは次のように語った。
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「いいレースをしていたし表彰台がすぐ目の前だったのに、最終ラップの最後で順位を落としてしまい残念。週末を通して頑張ってくれたチームには申し訳なく思う。レース序盤は本当に難しい状況だったが、こんな状況下でのテストは経験していなかったにも関わらず、ウェットでも自分たちのペースは速かった」
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「路面が急速に乾いてきたのでバイクを交換するためにピットに入ったが、その時は2番手につけていた。バイク交換は初めての経験だったが、うまくいったしタイミングもよかったと思う。あともう2周くらい早くても良かったかもしれないけどね。ともかく3位でレースに復帰して表彰台を目指していいリズムでレースを続けたが、ペースが十分ではなかったらしく、ダニが最終ラップで並んできた。激しいブレーキングで抜かせないように試みたが、彼にインを奪われて自分は少しふくらんでしまった。その後はもう彼には追いつけなかったね。自分にとっては残念だったがダニは速くて、特に最後の4周の彼のペースは1分35秒台前半が出てた。ダニに敬意を表したい」
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■5位のストーナー「問題が起きなければ表彰台が狙えたと思う」
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1列目3番グリッドのストーナーは、スタートは良かったもののウェットセッティングに問題を抱えており、レース序盤に2位から7位まで順位を落とした。さらにスリックタイヤのマシンに交換してからは、ステアリング・ダンパーに問題が発生、ストーナーは何とかそれを自分で解決したが、このために時間をロスしてしまう。その後、走行リズムを取り戻したストーナーは、リズラ・スズキのクリス・バーミューレン交わして最終的には5位でチェッカーを受けた。レース中に発生した問題についてストーナーは次のように述べた。
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「今日は自分たちのマシン性能を全然引き出せなかったのでかなりがっかり。ウェットセッティングのバイクは最初から大きな問題があって、ウォームアップラップからトランクションが全く得られなかった。全然快適に走れずにたくさんの時間を無駄にしてしまったが、スリックタイヤに替えるにはまだ路面は十分には乾いてなかった」

「バイクを交換してからは今度はステアリング・ダンパーに問題があって、それを解決するために4周走った後にストレートでアクセルから手を離さなければならなかった。問題が解決してからは、マシンの調子は良くなって思うように快適に走れたが、もしこんな事が起きなければ今日は表彰台を狙えたと思う。でも残念ながらこういう事は時々起こるものだし、次回はもっと良くなることを望むだけ。これから自分が好きなムジェロも近いしね。ムジェロではいい結果を何回か出しているし、今年のマシンは去年よりいいのでいい戦いをしたいと思う」
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■4回のピットインを行って16位となったロッシ「ピットリミッターがオンになっていなかった」
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2列目4番グリッドからスタートし、3周目にはチームメイトのロレンソに続く2位に浮上したフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシは、ロレンソとは対照的に、5周を走行した所で一番乗りでウェットタイヤからスリックタイヤへの乗り換えを決断した。しかしこの時点では路面にはまだ所々濡れた箇所があり、バイク交換を済ませたロッシは、レース復帰直後の周回で滑って転倒してしまう。懸命にバイクを起こしてコースに戻ったロッシは、そのまま何とか6周目を走りきると再びマシン交換のためにピットインした。レギュレーションでは、ウェット宣言となったレースにおいてはいつでもマシン交換が可能だが、その交換方法には制限がある。今回のロッシのようにスリックタイヤを装着したマシンを交換する場合には、ウェットタイヤを装着したマシンへの交換しか許可されておらず、ロッシはそのルールに従ってウェットタイヤを履いたバイクに乗り換えてコースに出た。ところが、そのピットインの際にピットリミッターがオンになっていなかった事から、ロッシはピットレーンの速度制限規則に違反、結果としてライドスルーペナルティーを科せられてしまう。結局、ロッシは2周後にペナルティーによる3度目のピットイン、さらに11周目にはスリックタイヤに交換するために4回目のピットインを行って、最終的に16番手でレースを終え、ノーポイントとなった。年間ランキングのトップをチームメイトのロレンソに奪われたロッシは、レース終了後に次のようにコメントした。
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「今日は最初から難しくて、ベストな状態でバイクに乗る事が全くできなかった。4周目を走る頃には既に自分がすごく遅いと感じていたし、思うように走れなかったので、早いタイミングでバイクを乗り換える事に決めた。今回みたいに最初の内にバイクを交換する戦略は大抵うまくいくからね。もちろんタイヤを少し温める必要があるのは分かっていたんだが、コーナーで転倒してしまった。その時路面はまだ濡れていたから、もう少し落ち着いて走る必要があったんだろうね。幸運にもピットには戻れたのでもう一度バイクを交換したが、ルールではスリックタイヤを履いたバイクを再び交換する場合には、交換先のバイクにはウェットタイヤの装着が義務づけられているので、それに従ってウェットタイヤのマシンに乗り換える事となった。その時にピットリミッターがオンになっていなくて速度違反となり、ライドスルー・ペナルティーを科せられてしまった。どのみちその時までには、自分たちのレースはもう手遅れだったけどね」

「週末を通してバイクのセッティングに問題を抱えていたから、今日はトップ集団についていって何とかポイントだけは取りたいと思っていた。次は自分のホームグランプリのムジェロなので、いつもよりもっと力が出ると思う!」
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