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2009年4月1日
回復の兆しがなかなか見えてこない世界的大不況の中、MotoGPを主催するDORNAやIRTAを含むグランプリ委員会は、シングルタイヤルールを始めとし、これまで2009年シーズンを前に幾つものコスト削減策を発表してきたが、3月28日にスペインのヘレスで行われた会議では新たに2009年と2010年シーズンに向けてのレギュレーション変更を決定し、FIM(国際モータサイクリズム連盟)を通じて翌日にその内容を公式発表している。ここではその内容を以下に紹介する。
■2009年シーズンからすぐに適用されるレギュレーション変更内容
●チェコGP以降における使用エンジン個数の制限
・第11戦チェコGPから最終戦までの7レースについては、使用できるエンジンの数を最大5機までとする。
・新しいエンジンは使用前には封印されている必要があり、バイクがピットレーンを出た時に使用されたとみなされる。
・一度使ったすべてのエンジンは各々のイベント終了時に排気ポートを封印する。封印後はいつでも再使用することができる。
・上記に該当しない未許可のエンジンを使用した場合には、年間ランキングのライダーの合計ポイントが10ポイント減点される。
●2009年から2010年におけるテスト
・全体で8日間とし、場所と日程は追って発表される。
●ブレーキに関する制限
・セラミック複合材料によるブレーキディスクおよびブレーキパッドの使用は禁止
●油圧制御系システムに関する制限
・エンジンオイルは潤滑油としての目的以外には使用を禁じ、いかなる油圧制御系システムも使用してはならない。
●電子制御サスペンションの禁止
・電子制御サスペンションの使用は許可されない。
●EGRの使用を禁止
・EGR(排気ガス再循環装置)の使用は許可されない。
●レギュラーライダー以外のライダーを起用するテストに関する制限
・レギュラーライダー以外のライダーを起用して行うテストは、日時と場所(サーキット)の種類を問わず許可される。ただし、タイヤについては公式タイヤサプライヤーが提供するもののみを許可する。また、1月1日から12月31日までの1年間に使用出来るタイヤ本数は、レース後に行われるテストも含み1メーカーにつき240本までとする。
・年間カレンダーに登録されたサーキットでのシーズン中のレース前のテストは2箇所のみ許可され、レース直前14日前までに行われなければならない。
●レギュラーライダーを起用するテストに関する制限
・レギュラーライダーはレース後のテストへの参加は2回許可され、その際にはメーカー単位のタイヤ本数制限は適用されない。
・冬期テスト禁止期間は1月31日まで拡大される。
■2010年から適用されるレギュレーション変更
●マシンの台数に関する制限
・各MotoGPイベント中に使用できるマシンの台数は1人1台のみとする(スペアマシンの廃止)。
●使用エンジン個数に関する制限
・年間シーズンにおいて各ライダーは最大6機のエンジンを使用することができる。
●レースウイーク中のスケジュールに関する変更
・新しいレースウイークスケジュールは追って発表される(金曜日のプラクティスが全て廃止される可能性も噂されている)。
●カーボン製フロントブレーキディスクに関する制限
・カーボン製フロントブレーキディスクの直径は320mmのみとし、質量は2種類とする。
●燃料噴射圧に関する制限
・燃料噴射圧は最大10気圧とする。
●MMCおよびFRMの使用禁止
・MMC(金属基複合材料)およびFRM(繊維強化金属)の使用は禁止される。
●タイヤ温度センサーの使用禁止
・タイヤ温度センサーの使用は禁止される。
●ホイールに関する制限
・2010年から2012年までのリムの幅は各メーカーにつきフロントは2サイズ、リアは1サイズのみとし、ホイール径は16.5インチのみ許可される。
●可変排気システムの使用禁止
・可変排気システムの使用は禁止される。
●可変バルブタイミングシステムと可変バルブ開閉システムに関する制限
・電子制御並びに油圧制御を用いた可変バルブタイミングシステムと可変バルブ開閉システムの使用は禁じられる。
●コンロッドに関する制限
・コンロッドの中空構造は認められないが、直径2mmまでのオイル循環用の穴は許可される。
●ツインクラッチシステムの使用禁止
・DSGとして知られるツインクラッチシステムの使用は禁止される。
●オートマチック・トランスミッションの使用禁止
・オートマチック・トランスミッションは許可されない。ただし、マニュアルミッションに関しては若干のパワーアシストを許可する。
●連続可変トランスミッションの使用禁止
・無段変速トランスミッションの使用は禁止される。
●GPSの使用に関する制限
・GPSはテレビ放送など観客の娯楽を目的にDORNAが供給したもののみ使用を許可され、バイクのいかなる制御系CPUに接続することも許されない。
●電子制御ステアリングダンパーの使用の禁止
・電子制御ステアリングダンパーの使用は禁止される。
●バイクの最低重量の増加
・バイクの最低重量規約は現行より2kg増加する(4気筒バイクは150kgとなる)。
●ピット内の人数制限
・ピット内で直接バイクの調整作業に関われる人数は5人までとする。
●ルーキーのチーム所属に関する制限
・MotoGPクラス初年度のルーキーライダーはファクトリーチームに所属できない。
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