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2009年1月19日
MotoGPにおけるカワサキのファクトリー・チーム活動休止、およびF1におけるホンダの参戦撤退など、モータースポーツ最高峰の世界にも暗い影を落としている現在の国際的不況と経済危機だが、ドゥカティー・コルセのCEOを務めるクラウディオ・ドメニカリ氏は、先週行われたマルボロ主催のスキー・ミーティングにおける会見の場において、現在の世界経済の悪化がMotoGP業界に与える影響ならびにドゥカティー社としての今後のモータースポーツ参戦の姿勢について、世界中のプレスからいくつかの質問を受けている。
■国際的不況の悪影響が懸念されるMotoGP業界、ドゥカティー社としての見解
ここでは、スキー・ミーティング記者会見の場でドメニカリCEOがドゥカティー社として語った今後の不況に対するMotoGP業界での取り組み姿勢など、興味深いコメントを以下に紹介する。この中でドメニカリCEOは、F1と同様にレーシング・エンジンの複数回連続使用を義務化する新ルールの整備を他のメーカーやMotoGP主催者側との協議の中で急ピッチで進めている事を明かしている(写真下はF1運営組織のCEOを務めるバーニー・エクレストン)。
■ドメニカリCEO「エンジン連続使用のルール化は2010年が目標」
この状況(国際的な経済危機)に、わたしたちが今後立ち向かっていかなければならない事は明らかでしょう。ただ、私は少しばかり異なる視点から考えるようにしたいと思っています。自動車やバイクの販売台数が減り、各企業が変革の必要性に迫られているのは事実ですが、オートバイレースをはじめ他のスポーツも数多くのファンに愛され、今も支持され続けているのですから、未来に向けて前進を続けるための道は自ずと見つかる筈です。
わたしたちは他のメーカーならびにスポーツ主催者や連盟組織などと共に考え、何種類もの方策を検討しているところです。具体的にはエンジンの耐久性向上に関するルールの変更案がその1つですが、これはMotoGPを運営していく上での費用削減に大きく貢献する部分なんです。
ただ、この実現に向けてはエンジン内部のパーツなどに大きな設計変更が生じますし、それらの作業には多くの時間を要しますから、エンジンの耐久性向上をルール化して実際に施行を開始するのは2010年シーズンからが目標です。また、今年からのシーズン中についても、各グランプリにおけるプラクティス・セッションの時間などが短縮される方向で話が進むのではないかと見ています。
ドゥカティー社単体としても、現在の難しい状況への取り組みは当然必要ですが、わたしたちには複数年間を通してドゥカティーのタイトル・スポンサーを務めて下さっているマルボロ、ならびにシェル石油やテレコム社など、協賛企業各社からの安定したご支援があります。そしてこの度、エネル(Enel)社とリエロ(Riello)社とは重要な契約を更新するにも至りました。
またこの他にも、アルファロメオやゲータレード、それにプーマなど、ドゥカティー・マルボロ・チームのモータースポーツ活動を、自社製品のアピールの場としてご活用頂いている企業は現在も数多く存在しています。
もちろん、今は非常に厳しい時ではありますが、MotoGPが商業世界をリードする世界選手権であり続けるための方策は、まだ数多くあると信じています。
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