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スズキとカワサキも年内の作業を終了、決まらない今後のテスト計画
  2008年11月29日

11月26日よりオーストラリアのフィリップ・アイランドにて3日間の日程で行われていたスズキとカワサキのプライベート・テストが、11月28日にその最終日を迎えている。これでMotoGP全チームは2008年内に予定されていたサーキット内でのテスト作業を全て完了した事になり、2009年シーズンに向けてのMotoGP冬季テストは12月1日より禁止期間に突入、全ライダーが再び集結するのは年明けの2月に行われるセパンでのマレーシア合同テストからとなる。
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ここでは、2008年内最後のテストとしてスズキとカワサキがフィリップ・アイランドにて行った3日間のプライベート・テストの概況および総合タイムを紹介する。


■やや雨には降られたが全体的に良好なテスト環境となった3日間のフィリップ

11月26日から3日間のテスト期間中、フィリップ・アイランド・サーキットは初日の26日のみ終日を通して良好な晴天のドライ・コンディションに恵まれたものの、2日目には数回の通り雨、最終日となった3日目の28日は前日夜通しの雨により午前中は湿った路面コンディションに見舞われた。しかしながら、3日目午後にはフィリップ・アイランド特有の強風により路面が急速に乾き、良好なドライ・コンディションが再び戻った事から、結果としてテスト期間中の大半の時間はドライ路面に恵まれた事となり、ほとんどのライダーは自己ベストラップをこの最終日午後にそれぞれ記録している。


■オーストラリア・プライベートテスト3日間の総合結果

以下に、今回のフィリップ・アイランドにてテスト走行を行った5名のライダーの3日間を通しての総合タイムを、各ライダーの自己ベスト順に紹介する。
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1) ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキMotoGP GSV-R 1分30秒9
2) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキMotoGP GSV-R 1分31秒1
3) マルコ・メランドリ ITA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分31秒8
4) オリビエ・ジャック FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分32秒1
4) ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分32秒1

フィリップアイランドのサーキットレコードは2008年にニッキー・ヘイデンが記録した1分30秒059、ベストラップレコードは2008年の予選でケーシー・ストーナーが記録した1分28秒665。また参考までに、2008年オーストラリアGP決勝レース中の各ライダーの自己ベストタイムは、カピロッシが1分30秒971、バーミューレンが1分31秒313、ホプキンスが1分32秒010、メランドリが1分32秒519だった。


■古傷の悪化したホプキンス以外のレギュラーはシーズン中のタイムを更新

スズキのカピロッシとバーミューレンはシーズン中のタイムを今回わずかに上回り、カワサキのメランドリは不振に苦しんだドゥカティー時代のタイムを0.7秒上回ったが、ホプキンスのみシーズン中のアッセンで大怪我を負った左足の調子が今回のテスト初日に悪化した事から、レース中の自己ベストラップを上回る事ができなかった。


■各チームのテスト状況

各チームの今回のテスト内容だが、スズキは最新の2009年型プロトタイプマシンの評価テスト、カワサキは2009年型マシンのベース開発に向けた新型シャシーや新型エンジンなどのテストを中心的に実施した。


■リズラ・スズキはマシンの改良部分の全てを評価完了
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スズキ勢はドライ・コンディションに恵まれた大部分の時間を利用し、最新のフロント・フォークとリアのスイング・アーム、新型シャシーやリア・サスペンション、ならびに改良型エアロパーツなど、今回投入した新しいパーツ類の全ての評価を予定通りに行う事ができたとしている。

この中でスズキ勢は前回のバレンシアで初めてテストした新仕様のエンジンの評価も改めて実施し、また最終日の3日目にはカピロッシとバーミューレンの2名が揃ってレース・シミュレーションも行い、2008年のレースウイーク中に使用したタイヤと、今回ブリヂストンが2009年のシングル・タイヤ・ルール用に持ち込んだタイヤとの比較検証も同時に行った。

■2009年型マシンは好感触、ただし引き続き課題の残るエンジンパワー

2008年型マシンと2009年型プロトタイプの比較を行ったカピロッシは2009年型プロトタイプに好感触を示しているが、他のチームと比較してのパワー不足をシーズン中から訴えているエンジンについては、カピロッシとバーミューレンの両名は口を揃えて今回テストした最新型エンジンについても「まだ改善が必要」とコメントしている。


■カワサキは2009年型マシンのベース開発に向けての新型パーツテストを継続

2009年型マシンの開発方向性を模索し、新型シャシーと新型エンジン、ならびに各種新型パーツのテストを今回実施したカワサキ勢は、2日目午後はメランドリが4コーナーで転倒、3日目の午後遅くにはリアタイヤが温まっていなかったオリビエ・ジャックが右コーナーでハイサイドを起こし転倒したが、各ライダーに怪我はなかった。

■3日間を通して左足に体重をかけられなかったホプキンス
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また、ジョン・ホプキンスは今年のアッセンでの左足の怪我が今回のテスト初日に悪化、当時の手術で埋め込んだ金属プレートが靱帯に接触して左足首が腫れあがり、体重を左側のフットペダルにかける事ができずにライディング・スタイルの変更を強いられ、この3日間は患部を冷やしながら作業を続けたものの本格的なタイムアタックをする事ができていない。

■ホプキンスは翌週に総重量2キロの金属片を体内から摘出

今回のテスト翌週となる12月3日の水曜日には、ホプキンスは母国のアメリカに戻り、左足と左足首、ならびに左手に3年間に渡り埋め込まれている金属片の摘出手術を、ニッキー・ヘイデンや彼の担当医師として知られるティン医師の執刀により受ける予定となっている。ちなみにホプキンスのコメントによれば、これらの金属プレートを全て除去すると彼の体重は2キロ減るとの事だ。


■新タイヤルールの詳細が判明するまで決定できない今後の単独テスト計画

なお、スズキのカピロッシがシーズン終了直後に不満を述べていた通り、このプレシーズン期間中はシングル・タイヤ・ルール導入準備などの影響から各チームが行うタイヤ関係の開発作業が減るとされており、2009年シーズンに向けての冬季テストは例年と比較して回数が少なく設定されているが、カワサキもこの関係上、思い通りのテストスケジュールをプレシーズン中に取る事ができないと考えている様子だ。

今回のテスト最終日、カワサキのコンペティション・マネージャーを務めるミハエル・バルトレミーは、「今回の作業成果を確認するために開幕前にはフィリップ・アイランドを訪れて再びテストを実施したいと考えているが、この12月中にグランプリ・コミッションが2009年度の新ルールを発表するまではテスト日程を決定する事ができない」と漏らしている。

実際、場合によってはテスト中のタイヤ使用本数の制限や供給タイミングなども新ルール内に明記される可能性があるため、タイヤルールが自由競争原理に基づいていた昨年ほど柔軟にチーム側が単独テストの日程を決定する事は難しくなるだろう。


■MotoGPテスト解禁日は来年の1月21日、大規模な合同テストは2月5日からスタート

年が明けてからほとんどのチームが再び集結する2009年最初のMotoGP合同テストは、テストが解禁される1月21日から半月後の2月5日に、マレーシアのセパン・サーキットにて行われる。

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