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年内最後のMotoGPテスト、ヘレスとフィリップの初日結果と概況 |
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2008年11月27日
ここでは速報として、年内最後のMotoGPテストとなるスペインでのヘレス合同テストと、オーストラリアにて並行して行われているフィリップ・アイランドでのプライベート・テストの、11月26日に行われたテスト1日目の走行結果と概況を紹介する。
■晴天に恵まれたが風の冷たいヘレス合同テスト初日
スペインのヘレス・サーキットにて2日間の日程で行われる2008年内最後のMotoGP合同テストが11月26日(水)に初日を迎えた。この日のヘレスは晴天のドライ・コンディションには恵まれたものの真冬のスペインは風が冷たく、気温は12度、湿度は32%、路面温度は22度と肌寒いテスト1日目となっている。
■8月にアスファルトを全面改修、グリップレベルは良好に
なお、ヘレス・サーキットは今年の8月に全面再舗装が施された事から、3月30日にスペインGPが行われた時とは路面が様変わりしており、アスファルト表面がなめらかになってグリップレベルも高くなったと各ライダーには好評な様子だ。
■ヘレスには8チームが集結
2009年から始まる新シーズンに向けて今回のヘレスに集結したチームは、フィアット・ヤマハ、ドゥカティー・マルボロ、レプソル・ホンダ、ヤマハTECH3、サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ、プラマック・レーシング(アリーチェ)、オンデ2000、スコット・ホンダの8チーム。
■スズキとカワサキはオーストラリア、ホンダLCRは欠場
この年内最後のヘレス合同テストに不参加のチームは、オーストラリアのフィリップ・アイランドにて同日の11月26日から3日間のプライベート・テストを共同で開始したリズラ・スズキとカワサキ・レーシング、ならびに2008年シーズンのサンマリノGP決勝オープニング・ラップ中の転倒時に右手首の骨にひびが入ってからは前回のバレンシア合同テストまでその痛みが治まらず、11月中旬には今回のテスト欠場を表明していたランディ・ド・プニエの所属するホンダLCRの3チーム。
■リハビリ中のストーナーはピット内で見学、手術後の経過は順調
なお、サンマリノGPのレースウイーク初日午後、ライディング・スーツを装着しようとして背中のプロテクターに腕をまわしたところ左手首にある古傷の骨の一部が突然割れ、シーズン後半戦に散々苦しめられる事になったその傷の手術を前回のバレンシア合同テストの2日後にやっと受けたドゥカティーのケーシー・ストーナーは、今回のドゥカティー・チームのピット内には姿を見せているものの、走行は2日間を通して行わない予定だ。
手術後はこの日まで住居のあるスイスで手首のリハビリを続けてきたストーナーは11月25日にレントゲン検査を受けているが、この診断結果によれば回復状況は良好であり、あと2週間も経過すれば軽い体力トレーニングを開始する事ができるようになる様子だ。また、ストーナーは数日後には母国のオーストラリアに戻る予定だという。
■ヘレス合同テスト初日の走行結果
ヘレス合同テスト初日の走行結果は以下に示す通り。なお、朝方は路面温度が10度にも達しなかったため、多くのライダーは路面温度が20度近くまで上がった午後1時までピット内で待機し走行を見合わせていた。
1) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分39秒525(41周)
2) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分40秒135(40周)
3) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分41秒163(51周)
4) コーリン・エドワーズ USA ヤマハTech3 YZR-M1 1分41秒390(49周)
5) アレックス・デ・アンジェリス RSM サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分41秒468(53周)
6) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハTech3 YZR-M1 1分41秒539(50周)
7) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分41秒655(48周)
8) トニ・エリアス SPA サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分41秒679(75周)
9) ニッコロ・カネパ ITA プラマック・レーシング デスモセディチ GP9 1分42秒074(50周)
10) ニッキー・ヘイデン USA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP9 1分42秒098(69周)
11) ミカ・カリオ FIN プラマック・レーシング デスモセディチ GP9 1分42秒837(64周)
12) セテ・ジベルナウ SPA オンデ2000 デスモセディチ GP9 1分42秒943(40周)
13) ヴィットリアーノ・グアレスキ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP9 1分43秒642(36周)
14) 高橋裕紀 JPN スコット・ホンダ RC212V 1分44秒360(64周)
ヘレスのサーキットレコードは2008年にダニ・ペドロサが記録した1分40秒116、ベストラップレコードは同じく2008年にホルヘ・ロレンソが記録した1分38秒189。
■各チームの新型マシン投入状況
今回の各チームのマシンの状況は、レプソル・ホンダは2009年型ワークスマシンをこの日から投入し、ダニ・ペドロサは新型パーツの開発作業を中心的に実施、アンドレア・ドヴィツィオーゾは2008年型RC212Vで軽く走行後に新型マシンを使用、ホンダのサテライト勢は2009年型サテライトマシン、フィアット・ヤマハは今回もバレンティーノ・ロッシのみが2009年型プロトタイプを提供され2008年型M1とその両方を使用し、ホルヘ・ロレンソは2008年型ベースのテスト専用マシンと2008年型M1で走行、前回のバレンシア合同テストから2009年型マシンのGP9をワークス勢に投入していたドゥカティーは今回からサテライト勢にもGP9を供給している。
■バイクナンバーを#3に改めたダニ・ペドロサがトップタイム
この日のトップタイムを記録したのは、2008年度の年間ランキング順位である#3を今回からバイクナンバーに使用しているレプソル・ホンダのダニ・ペドロサだった。
■3月にミシュランで記録したサーキット・レコードをレースタイヤで突破
最新のニューマチック・バルブ・エンジン搭載マシンにヘレスでは初めて経験するブリヂストン・タイヤを装着したペドロサは、ラスト2周のところで今年のスペインGPの決勝レース中に自身が記録したサーキット・レコードを、この日のレースタイヤで0.591秒上回っている。
■オーストラリアのプライベートテスト初日、スズキはタイムを公表せず
一方、同じく11月26日からプライベート・テストをフィリップ・アイランドで開始したリズラ・スズキとカワサキ・レーシング・チームだが、初日はロリス・カピロッシが94周回、クリス・バーミューレンが104周回走行しているものの、リズラ・スズキはチームとしてこの日のタイムを公表していないため、1日目の走行結果は以下のカワサキの3名のみとなる。
1) オリビエ・ジャック FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分32秒4(85周)
2) マルコ・メランドリ ITA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分32秒5(93周)
3) ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分33秒3(76周)
フィリップアイランドのサーキットレコードは2008年にニッキー・ヘイデンが記録した1分30秒059、ベストラップレコードは2008年の予選でケーシー・ストーナーが記録した1分28秒665。
■完璧な路面コンディションに恵まれた初日のフィリップ・アイランド
肌寒い冬のヘレスとは異なりオーストラリアの位置する南半球の季節は現在夏であり、この日のフィリップ・アイランドは午後にやや風はあったもののほぼ完璧と言える晴天のドライ・コンディションに恵まれているが、カワサキ勢のタイムはサーキット・レコードには約2.5秒届かない。ちなみに2008年のオーストラリアGPレース中のホプキンスの自己ベストは1分32秒010、当時ドゥカティーに所属していたメランドリのレース中の自己ベストは1分32秒519だった。
■カワサキとスズキは共に2009年型マシンの開発メニューを続行
この日にリズラ・スズキ勢は2009年型GSV-Rの最新型エンジンの制御セッティング、および新型シャシーと最新型オーリンズ・サスペンションの調整を行い、カワサキ勢は2009年型Ninja ZX-RRの開発プログラムに従ってのデータ収集を行っている。
■ホプキンスはシーズン中の左足の怪我が再び悪化しタイムに影響
なお、カワサキのジョン・ホプキンスは2008年シーズンのオランダGP予選中に大怪我を負った左足首と左ひざに激しい痛みを訴えており、初日はあまり良好なタイムを残す事ができていない。ギア・チェンジの度に手術の際に埋め込んだ金属片と足首の靱帯がこすれた事から左足首が腫れあがり、思うようなライディングができなかったとホプキンスは1日目の作業終了後に明かしている。
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