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2008年9月4日
小さなミサノ・サーキットを埋め尽くす5万1千人の観客が訪れた8月31日のサンマリノGPにおいて、MotoGPクラスの決勝レースにてフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシはジャコモ・アゴスチーニのグランプリ最高峰クラス最多勝利数に並ぶ68回目の優勝を記録し、リズラ・スズキのロリス・カピロッシはアレックス・バロスのグランプリ最多出場記録を塗り替える277回目のレース出場を果たした(レースの概況や全クラスの結果についてはこちらの記事を参照)。
ここでは、サンマリノGP決勝レース直後のMotoGPクラス全ライダーの詳細コメントと、一部チーム関係者のコメントなどを合わせて紹介する。
■優勝)バレンティーノ・ロッシ フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1
今日は本当に素晴らしい日になりました。アゴスチーニの記録に並んだなんて信じられない気分ですよ!彼は自分にとってのヒーローですし、同じく68勝もできたなんて驚くべき事ですね。
今週は初日からすごく難しいレースウイークでした。ホームでのレースというプレッシャーもあり、その関係から色々と気の散る事もあって、気持ちを集中するのがなかなか難しい状況だったんです!
ムジェロは実家から遠い地域にあるにしても自分にとっては常にツキのあるサーキットでしたが、ここでは去年にはひどい経験をしていますし、チームとしても簡単にはいかない場所だと認識していました。ただ、今日もまたチームが十分に戦えるバイクを用意してくれていたので、自信はすごくありましたけどね。
スタートはうまくいきましたがダニにはすごい速さで追い抜かれてしまい、その後に彼を抜き返すまでにはかなりの時間が必要でした。大きな危険を冒す必要もあり、そこですごい滑り方をしています。
ダニを交わしてからすぐにケーシーが前方に見えましたが、正直言うと今日はブルノの時ほどの勝利への自信はなかったと認めざるを得ません。ただ、いずれにしても自分は2位のポジションを維持する事だけで満足できる性格ではありませんし、まだバトルに持ち込める可能性もあると思っていたので、そのまま攻めの走りを続けました。
一度リズムをつかんでからはすごく速く走れるようになりましたが、その時にケーシーが滑ってコースから外れるのが見えたんです。再び今回も彼が気の毒でなりませんが、タイトル争いの事を考えればチームにとってはすごくいい結果になったと思います。
75ポイントの差は大きいですね。でもまだ残り5レースありますから、今までのレース経歴の中でも常にそうしてきた通り、残りの5戦全てで毎回勝利を狙っていくつもりです。
自分の素晴らしいヤマハ・チーム、それとブリヂストンに感謝しています。また当然ながらホルヘ(ロレンソ)の走りも同時に称えたいですね。今日は彼に背後からのプレッシャーをずっと与え続けられたので、気を抜く暇がほとんどありませんでしたからね。フィアット・ヤマハ・チーム全体が素晴らしい1日を過ごす事ができました。
■2位)ホルヘ・ロレンソ フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1
今日ここにバレンティーノのために集まったファンの群衆を見た時には、自分も勝利を争う立場に再び戻り始めたいとどれだけ思ったか分かりません。でもその手始めとしては、今回の2位表彰台は素晴らしい結果だったと思います。
レース序盤にはポジションを少し落としましたが、すぐにリズムをつかんでダニを交わし、その後は攻めの走りを最後まで続けました。ルマンの時のようにチームのワンツーフィニッシュができて素晴らしかったと思いますし、4ヶ月間も苦しんできた後ですから、今はこの瞬間を心から楽しんでいます。完璧でしたね。
先週のブルノ合同テストと今週のミシュランの改善状況から自信が段々深まってきました。おかげで自分のライディング・スタイルも改良がうまく進みましたから、彼らには御礼の言葉を伝えたいです。次戦でもこの状況が続いてくれる事を願っています。そうなれば今の強さをこのまま維持できる訳ですからね。
チームの全員に感謝しています。また、今回のバレンティーノとトニ(エリアス)を称えたいと思います。
●フィアット・ヤマハ(ミシュラン側)監督 ダニエーレ・ロマノーリ
しばらくぶりに表彰台に戻る事ができて本当に良かったと思っていますし、ホルヘのためにも大変に嬉しく感じています。
ホルヘは非常に辛い時期を過ごしてきましたが、彼がこのレベルに戻って来る事をチームは断じて疑いませんでした。メンバー全員が今日までの全ての戦いにおいて集中力を切らさずに頑張ってきましたから、ここに関係者全員を称えたいと思います。
ここでわたしたちが使用したミシュランタイヤの調子は以前よりだいぶ良くなっていましたから、この結果に辿り着くのは全てにおいて簡単でした。ブルノ合同テストがその変わり目だったように思いますね。タイヤが改善されたおかげで新しいセッティングを見つけるのが容易になりましたし、これで次戦以降のレースには自信を持って挑む事ができます。
今回のバレンティーノと、もう一方のガレージの素晴らしい勝利を称えたいと思います。
■3位)トニ・エリアス アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8
ラグナ・セカ以降は状況が大きく変わりましたね。常にバイクからは以前よりもいい感触が得られていますし、何よりも結果がそれを証明しています。
このままの調子でシーズン終盤戦に挑める事を願っていますし、残りの5レースの全てで表彰台に乗りたいです。それが簡単じゃない事はよく分かっていますが頑張るつもりです。
ここのコーナーのほとんどはハード・ブレーキングと加速が重要なので本当に疲れますが、それでも今日はとても楽しんで走る事ができました。一時期はロレンソについて行こうともしたんですが、そこでミスを数回してしまいペドロサが迫ってきたのでポジションをキープする事に気持ちを切り替えたんです。
なんとか少し落ち着こうと思っているうちに、以前のリズムが戻ってきました。この結果にはとても満足ですし、アリーチェ・チームのためにも本当に良かったと思っています。
●アリーチェ・チーム技術監督 ファビアーノ・ステルラッキーニ
トニに関しては今日は全てが順調でした。期待通りのレースペースを実現する事ができましたので、今回の作業内容には本当に満足しています。
トニは基本的には完璧な走りができていたと思います。グリップに問題を抱えていた一部の周回では苦しみましたが、すぐに本来のリズムを取り戻す事ができたので、この結果ペドロサから数秒の差を開き3位を獲得しました。
今回の表彰台は2週間前の時よりも重要だったと言えます。前回と比べて上位の速いライダーたちとの差がより小さいですからね。おかげでチームがうまく作業を進めている事の証明にもなりました。
■4位)ダニ・ペドロサ レプソル・ホンダ・チーム RC212V
今日のレースが全てのライダーにとって体力的にすごく厳しかったのは間違いないでしょうね。とても温度が高かったし、昨日よりもかなりの暑さでした。いずれにしても、今回の結果にはとても満足だと言えます。最終的に4位でレースを終えられるとは思っていませんでしたからね。
レースの後半にはいくつか問題が発生しました。今回のリアタイアには2本の選択肢があり、その最終選択を行ったのはグリッド上でしたが、レースの序盤に強さを発揮できるよう柔らかめの方を選んだんです。これが最良の選択じゃなかったのは明らかでした。
ただ、前回のブルノに比べればずっといいレースができましたし、ベストも尽くしたのでとても満足です。
■5位)クリス・バーミューレン リズラ・スズキMotoGP GSV-R
スタートはうまくいったんですが、1コーナーで少し大回りになるまで攻め込んでしまったんです。まだその時にはポジションを維持できると思っていたんですが、リアが十分に温まっていなかったために2コーナー進入時にはリアが大きく滑りました。
もう全てがそこで終わったと思いましたね。でも幸いバイクの上に着地したんですよ。フェアリングはその時に足で一部潰してしまいましたが、身体に怪我は一切ありませんでした!
今週中に走れていたようなペースは出せなかったんですが、これは恐らく温度がその時以上に上がったからだと思います。今日はやたらと滑りましたからね!
新しいシャシーでレースをしたのは今回が初めてでしたし、ブリヂストンが今回持ち込んだ新しいコンストラクションのフロントタイヤでレースするのも初めてでしたが、それらの全ての点において1ラップ目の騒動の後は実に良好なレースだったと思っています。
特にタイヤが素晴らしく、28周の中の25周目に自己ベストラップを記録しました。だからレースの序盤に上位集団から引き離された事が残念でなりません。あれさえなければ状況は全く違ったでしょうね!
■6位)ジェームス・トーズランド ヤマハTech3 YZR-M1
まあまあのスタートができたおかげで自分のグリッド・ポジションだった9番手を最初に守る事はできたので、気分的に落ち込む事もなく、早い段階から走りのリズムをつかむ事が今回はできました。
レースの前半はドヴィツィオーゾや中野とのバトルでした。真矢を交わした後にドヴィツィオーゾを追いかけましたが、ちょうど彼に追いついた頃に自分はいくつかトラブルを抱えたんです。でも、ドヴィツィオーゾの方も同じ状況だったらしく、彼をうまく交わす事はできました。
その後に後方から来たクリス・バーミューレンに追い抜かれ、大きく引き離されたのが少し悔しかったです。今回のレースでは5位が自分の最高の成績だと考えていましたからね。
過去数戦のレース内容を考えれば、今回これだけの走りができたのは素晴らしい事だと思います。自分がここにいるのはそういう戦い方をするためですし、今日は本当に楽しんで走る事ができました。
最後の数周を走っている時の自分の横幅は3メートルくらいあったんじゃないですかね。恐らく過去のヤマハの歴史の中でも一番幅の広いマシンだったと思いますよ。終盤はロリスとドヴィツィオーゾが背後につけて、彼らのホームのファンの前で自分からポジションを奪おうとしているのが分かっていましたからね。
最後から2ラップ目にロリスが交わしてきましたが、自分がラインをブロックして抑えたので彼は深くコーナーに飛び込む事になり、その影響から若干大回りになって左側に隙間を作ったので、自分はその空間に後ろから飛び込みました。彼には一切接触していませんし、フェアな追い抜きだったと思っています。
最終ラップではブロックしながら最後の2つのコーナーに飛び込みました。コントロールラインまでの短くて激しいバトルの中を通り抜けて6位獲得を実感した時には本当に最高の気分でしたよ。
最近のミシュランが大変な努力もむなしく敗退を喫する中、自分もその中の1人でしたが、今日はここまで必死に頑張り続けたTech3チームならびにヤマハと一緒に、自分たちの力を示す事ができました。
■7位)ロリス・カピロッシ リズラ・スズキMotoGP GSV-R
今週は新型シャシーを正しく機能させる上で必要な作業がたくさんあり、自分にとってはかなり忙しいレースウイークでした。バイクを可能な限りベストな形に仕上げようと必死に頑張ってくれたチームの全員には心から感謝の気持ちを伝えたいです。
バイクには多くの変更を一気に加えすぎたように思っています。それで少し作業の方向性を見失ってしまいましたからね。でも、最終的にはうまく機能してくれる感じにはなってきました。
午前のウォームアップの時にはセッティングを少し元に戻した上に、午後のグリッドに並んだ時にはフロントタイヤを変えなければいけなくなったので、レースの開始直後はタイヤにあまりいい感触が得られませんでした。
でもすぐにタイヤの状態は良くなってきて、レース終盤には悪くない走りができていましたね!最終ラップは激しいバトルになり、そこで追い抜きをかけましたが少しミスをして結局そのポジションはキープできませんでしたが、自分にとって277回目のグランプリは決して悪い内容じゃなかったですよ!
●リズラ・スズキ・チーム監督 ポール・デニング
この結果はわたしたちが今日のレースに期待していたものではありませんでしたが、それでも2名のライダーは揃って素晴らしい努力を見せてくれたと思います。
クリスはオープニングラップ中の大きなハイサイドにより大変に後方からの追い上げを強いられる事になりましたが、ミサノは追い抜きが非常に難しいサーキットであるにもかかわらず、その後は素晴らしい走りで5位を獲得しています。彼の走行ペースは表彰台圏内を狙えるものでしたが到達は無理でした。あれだけ後ろからの追い上げではね!
ロリスもクリスのペースとほぼ同じでしたし、素晴らしいバトルを何度も見せながら順位を上げる事に成功しています。余裕で5位か6位には辿り着ける雰囲気でしたが、最終ラップでとった彼の動きはあまりうまくいきませんでした。
7位は決してロリスの望んでいた結果ではありませんが、彼が今回も見せてくれたレースにかける意欲と決意は、前人未踏のグランプリ277戦出場という快挙をなし得るに相応しい熱い走りでしたね!
ブルノ合同テストで試したプロトタイプのシャシーを実戦投入したのは今回が初めてです。単にテストを行うよりも、実際のレースを最後まで走りきる方が有益なデータを多く収集できますから、今週の作業内容が次戦のインディアナポリスとシーズン残りの戦いに向けてチームの力をより強化する事になれば嬉しいです。
■8位)アンドレア・ドヴィツィオーゾ JiRチーム・スコット RC212V
14番グリッドからのスタートだったので、レース中は順位を挽回するためにたくさんのライダーを交わす必要がありましたが、今日は5位を目標に、自分のバイクでやれることはすべてやったつもりです。
コーナー進入時のフロントタイヤの感触はあまり良くありませんでしたが、リアタイヤについては非常に良い状態でした。ほかのライダーから離されないようにするには、コーナーでも高い速度を維持する必要がありましたが、ほかのライダーはコーナリング中に速度を落として脱出加速重視の走りができていたようです。
結果はともかく今日は自分たちの力を再び証明できたので、今後もこのレベルを維持していきたいと思います。
●JiRチーム・スコット・チーム・ディレクター ジャンルカ・モンティロン
チームとアンドレアの2日間の懸命な取り組みもあり、今日のレースではバイクの性能を最大限に活用することができていましたが、非常に低いグリッドからのスタートがレース結果に大きな影響を及ぼすことになってしましました。
ランキングについては5位を守ることができましたが、この順位を維持するためには今後も必死に戦いを続けなければなりません。
また、250ccチームの並々ならぬ努力と表彰台獲得をここに称えたいと思います。
●JiRチーム・スコット・チーム・マネージャー チラーノ・ムラローニ
今日のレースには2日間のプラクティスの成果を期待しました。アンドレアは常に最大限の努力を見せて、非常にいいレースをしてくれたと思います。
スタートがうまくいってからは順位を着実に上げ続けて、最終コーナーまでポジションを譲ることなく激しく戦いました。5位獲得もあと少しのところで可能でしたが、予選の結果を考えれば今回の8位は決して悪くない成績だと思います。
■9位)マルコ・メランドリ ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8
スタートはうまくいきましたが、2コーナーを通過中にバーミューレンが目の前で転倒寸前になり、それにもう少しで接触するところだったので順位を大きく落としてしまいました。バイクの感触は1周目からよかったので残念です。
その後はデ・アンジェリスを交わしましたが、恐らくあの時に彼はすぐに抜き返したかったんでしょうね。彼は追い抜きがとても難しいコーナーで前に出ようと接触してきたので、この影響で自分はコースを外れて再び順位を落とす結果になりました。
コースに戻ってからは徐々にペースを取り戻し、その後には何人かのライダーを交わしましたが、すでに前方の集団ははるか彼方でした。あそこまで離されていなければ、ブルノほどではなかったにしても、もっと上位のポジションを狙って戦えたと思います。
■10位)コーリン・エドワーズ ヤマハTech3 YZR-M1
期待とは全く違う本当にきついレースでした。厳しいレースになる事は分かっていましたが、ここまできついとは思いませんでしたね。
ここで抱えている問題を解決しようと全ての手段を尽くし、必死に今日まで頑張ってくれたTech3のスタッフのためにも、もっと上の成績が狙いたかったところですが、残念ながらいくつかの問題は何ともならず、レース序盤にはグリップ不足に苦しみました。
リアタイヤの温度が全然上がらず、思い通りに攻め込むための自信が一切持てませんでした。本来のペースで走る事さえできればずっと上の結果が十分に狙えた筈なので、今日は最初の3周でレース結果が単純に決まってしまった感じです。
レースの序盤にあまりにも順位を落としすぎました。これは短いコースで全員が同じような速さのラップタイムで走れる時には致命傷ですし、大きく失ったタイムを挽回するのはすでに不可能でした。
今回の結果は10位に終わりましたが、自分のホームとなる次戦のインディアナポリスが状況を正しい方向に戻すチャンスになって欲しいですね。
●ヤマハTECH3チーム監督 エルベ・ポンシャラル
ジェームスについては素晴らしいレースをしたと思いますし、高い順位に戻ってバトルをする姿が再び見られて本当に嬉しかったです。彼にその実力がある事は分かっていましたからね。
彼が苦しんでいた時はチームの全員が苦しんでいた時期ですし、彼にとっては難しい状況が続いていましたが、その間もジェームスは決して落ち込むような姿は見せず、常に意欲を失う事はありませんでしたので、その姿勢はTech3やヤマハ、それにミシュランにも100%のモチベーションを与えてきました。
今回の結果は彼がシーズンの残りを戦う上で大きな活力になったと思います。シーズン中の初表彰台も夢ではないでしょう。
コーリンについては残念な結果でした。レース終盤のラップタイムは彼本来の速さを示していますが、いくつかの理由からレース序盤にはわたしたちが期待していたそのペースで走る事ができていません。
ただ、Tech3とヤマハ全体にとっては強さを発揮できたレースウイークでしたね。バレンティーノとホルヘを称えたいと思います。また、この結果の通りミシュランとブリヂストンは互角の戦いを見せていましたから、ここまでの過去数戦の流れに正しく対応してくれたミシュランには感謝の言葉を伝えたいです。
■11位)シルバン・ギントーリ アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8
今日は色々と難しい状況に直面しました。限界まで攻めて走ったつもりですが、ラップタイムは縮まらなかったんです。レース中のリズムも昨日に比べて今ひとつでしたし、その理由さえもよくわかっていません。
ここまでに必死に頑張ってくれているチームのためにも、また全てのスポンサーのためにも今シーズンはいい結果が残したいので、残りの5レースではベストを尽くすつもりです。
■12位)中野真矢 サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V
今日は本当に難しいレースでした。スタートはうまくいき、最初の2周回はいい感触でしたが、いくつか特定のコーナーでチャタリングが発生し始めてしまい、その後は激しく攻められなくなりました。
レース終盤のラップタイムがレースウィーク中に比べて3秒も落ちていましたから、何かがうまくいっていなかったのは明らかですので、これからデータを分析して原因を探り、解決策を見つけたいと思います。
●サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ・チーム監督 ファウスト・グレッシーニ
アレックスの転倒についても、シンヤの順位についても、今回の結果にはがっかりですが、残念ながらこういう事態はレースでは常に起こり得ることです。
チームのホームグランプリではいいレースを見せたいと思いましたが、その願いは叶いませんでした。チームの現時点の雰囲気は決していい感じではありませんが、今はもう先のレースの事を考え、前向きに明るくいくつもりです。
■13位)アンソニー・ウエスト カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR
レースウィークを通してフロントに自信が持てない状況が続いていましたが、結局解決には至らなかったので、明らかにそれが今日の成績に表れてしまいました。
良かった点はレース中に自己ベストタイムを更新できたことです。もっと高いグリッド位置からスタートしていれば、ずっと上の順位を狙って戦えたでしょうね。
ジョンと自分はレースの大半を通して膠着状態でしたからかなり激しく攻め続ける必要はありましたが、なんとか彼を抑えきって先にチェッカーを受けることができました。
ブリヂストンの新仕様のフロントタイヤをブルノ合同テストで試した時には、明らかにバイクの調子は良くなっていましたが、ここではそれをうまく機能させる事ができませんでした。今後はその分野に集中して作業に取り組む必要がありますし、それがレースでのいい結果につながると信じています。
■14位)ジョン・ホプキンス カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR
自分たちにとって今週は予想外に厳しい状況でした。肋骨(周辺の筋肉)の怪我の悪化が原因で2回のセッションに参加できず、バイクのセッティングに十分な時間が取れていません。
レースのスタートは良かったんですが、怪我の影響から走るのがつらくなってきてしまい、思い通りに攻め込む事ができなくなりました。フロントの感触に少し問題があり、それに苦しんだ事も事実ですが、何よりも大きかったのはやっぱり走行時間の不足でしたね。
ほかのブリヂストンユーザーの全員が自分たちとは異なる仕様のタイヤを現在は使用していますから、今のチームが時間をかけて検証する必要があるのはその部分でしょうし、自分たちにも大きな変化をもたらす筈です(ホプキンスのミサノ合同テスト後の感想はこちらの記事を参照)。
今晩中にいくつか集中的な治療を受けるつもりです。明日は多くの周回をこなして自分のホームレースとなるインディアナポリスに向けて調整を進めておきたいですからね。
●カワサキ・コンペティション・マネージャー ミハエル・バルトレミー
今日は難しい一日でした。これはブルノでの成績の後に期待した結果ではありません。
アンソニーはレースウイークを通して自信が得られず苦しんでいました。レース中には自己ベストタイムを記録していますが、ほかのライダーとの差を縮めるレベルには及んでいません。
今週のジョンは走行時間が不足しており、今日はそのハンデを負っての戦いとなりました。ここ最近の彼は非常に多くの苦難に直面しており、深く落胆していますが、怪我からの復帰とは常にそういう厳しい状況を生むものです。ただ、今の彼は気持ちを切り替える事の大切さをよく分かっていますし、わたしたちが知る彼の本当の実力に見合った成績を安定して確保できるように頑張る筈です。
明日のテストでは、ジョンが怪我のために出来なかったセッティングの遅れを取り戻せることを願っています。今回のテストがうまくいけば、次戦のインディアナポリスに向けての意欲もさらに高まるでしょうからね。
■DNF)ケーシー・ストーナー ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8
今週はプラクティスを通してあれだけ高いレベルの走りを見せる事ができていたのに、レースウイークの終わり方はひどく残念な内容になってしまいました。
今回はレースの本番で使用するタイヤを午前のウォームアップ中にも装着して1周走行し、事前にタイヤを慣らしておくという決断を下しましたが、以前に同じ事をした時には特に問題は生じなかったのに、今日はオープニングラップ中のグリップ感が正しく得られなくなってしまいました。
その後に数周走り込んでからの感触は徐々に良くなり、走りへの自信も増しましたが、今回はそこまででした。本当に残念な結果でしたが、いずれにしてもこのサーキットに来てから自分たちは必死に頑張りましたし、すごい速さを再び見せる事はできたと思っています。
バイクの状態とタイヤは両方とも本当に素晴らしかったので、これは来年に向けての自信につながりました。今からもう来シーズンが楽しみですね。
怪我の具合(2003年に手術を受けた骨折箇所がレースウイーク初日に突然開いてしまった件)については、この問題に悩まされた事が今回はとにかく残念でしたが、手術はシーズンが終わるまで受けないつもりです。
●ドゥカティ・コルセ・ゼネラル・マネージャー フィリッポ・プレジオーシ
ケーシーの結果は本当に残念でしたが、こういう時こそチームは一丸となる必要があるんです。
わたしたちには戦闘力の高いバイクと、いいチームと、非常に優秀なライダーがいる事を改めて認識してここを離れようと思います。わたしはケーシー・ストーナーと共に戦える事を誇りに思っています。
マルコはレースの序盤にデ・アンジェリスと接触して大きく順位を落としましたが、表彰台も十分に狙えるようないいラップタイムを終盤に記録したのは素晴らしかったと思いますし、今回も進展はあったと考えています。
マルコと、今回もまた素晴らしいレースを見せてくれたエリアスが、今の進歩の流れをさらに発展させる事を期待しています。今日のエリアスとチームを称えたいと思います。
■DNF)アレックス・デ・アンジェリス サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V
スタートがうまくいってから今日はいいレースができると思っていたので、この結果には本当にがっかりです。
ストレートでメランドリに交わされ、続く次のコーナーでのハードブレーキング時には互いに接触してしまい、この影響で2名揃ってほかのライダーたちから大きく離される事になってしまいました。
その後は開いてしまった前との距離を縮めようと激しく攻めて走りましたが、今度はそこでリアを滑らせて宙に放り出されました。リアが滑った瞬間には何とか持ちこたえようとしたんですが、そこでフロントブレーキを握った途端に転んだんです。
■DNF)ランディ・ド・プニエ ホンダLCR RC212V
レースウィークを通してずっと好調でしたし、予選での4番グリッド獲得はいい結果を残すチャンスでしたから、自分にとってもチームのためにもこの結果には本当にがっかりです。
2列目からのスタートはうまくいきましたし、プラクティスの時からレースペースは安定して速かったので今回はいい結果が残せると信じていました。最終コーナーでリアのコントロールを失って転倒した時には5番手を走行していたんです。
右腕は少し痛みますが、明日のテストまでには大丈夫だと思います。チームは今週も素晴らしい仕事をしてくれましたから、彼らの努力に感謝の気持ちを伝えたいです。
■欠場)ニッキー・ヘイデン レプソル・ホンダ・チーム RC212V
簡単な決断ではありませんでした。レースは大好きですし、自分の中にあるレーサーとしての血もレースへの出場を駆り立てますが、この状況では専門家の意見に従う他ありません。
かかとの具合は今週末を通して悪化しました。金曜日の午前中は6番手でしたが、その後の順位は下がる一方でしたし、走る度に足に力が入らなくなる始末でした。
今朝起きた時には足が大きく腫れあがってしまい、ブーツに足を入れる方法がすでになくなっていたので、チームと一緒に何が最も正しい方針かを考え、自分にとって大きな意味を持つ次戦のインディアナポリスに出場する上で一番いいと思える回復の手段を取る事にしたんです。
今日のレースに出場すれば少しは何か名実を挽回できる気がしていましたが、その結果としてインディアナポリスとシーズン残りの状況をさらに悪化させる訳にはいきません。
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