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第13戦サンマリノGP、今年もコースレコードは全て白紙のミサノ
【プレビュー】
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  2008年8月29日

シーズン残り6戦となった2008年度MotoGPの終盤戦、第13戦目となるサンマリGPが、イタリアのミサノ・サーキットにて本日の8月29日(金)よりレースウイーク初日を迎えている。ここでは、大改修を経て生まれ変わり、昨シーズンの2007年から14年ぶりにGPカレンダーに復帰を遂げたミサノ・サーキットの歴史と特徴、およびサンマリノGP直前の新着トピックなどを紹介する。
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■サンマリノGPのスケジュール

今週末にイタリアのミサノ・サーキットを舞台に開催されているサンマリノGPの全タイムテーブルは以下の通り。

8/29(金) 時差:-7時間
  09:00 125cc FP1
  10:00 MotoGP FP1  日本時間:17:00
  11:15 250cc FP1
  13:10 125cc QP1
  13:55 MotoGP FP2  日本時間:20:55
  15:10 250cc QP1

8/30(土) 時差:-7時間
  09:00 125cc FP2
  10:00 MotoGP FP3  日本時間:17:00
  11:15 250cc FP2
  13:10 125cc QP2
  13:55 MotoGP QP   日本時間:20:55
  15:10 250cc QP2

8/31(日) 時差:-7時間
  08:40 125cc WUP
  09:10 250cc WUP
  09:40 MotoGP WUP  日本時間:16:40
  11:00 125cc レース
  12:15 250cc レース
  14:00 MotoGP レース 日本時間:21:00
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■過去のコースレコード(参考)

2008年に入りコース全長が46メートル拡張されたため、ミサノのコースレコードなどの記録は昨年に引き続き今年も白紙に戻されているが、参考までに昨年の記録を以下に示す。

MotoGPクラスにおけるミサノの昨年のサーキットレコード(レース中)はケーシー・ストーナーが記録した1分34秒649、昨年のベストラップレコード(予選タイヤ)は同じくケーシー・ストーナーが記録した1分33秒918。

250ccクラスにおけるミサノの昨年のサーキットレコードとベストラップレコード(同一)は青山博一選手が記録した1分38秒074。

125ccクラスにおけるミサノの昨年のサーキットレコードとベストラップレコード(同一)はマティア・パッシーニが記録した1分42秒811。


■新着トピック、ペドロサが脊椎損傷に関する医療支援団体の親善大使に
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まず初めに、前回のブルノ合同テスト以降に発表のあった新着トピックを紹介する。レプソルYPFの8月28日の発表によれば、前回のチェコGP終了後、レプソル・ホンダのダニ・ペドロサは、オーストラリアのモトクロス・レーサーであるハインツ・キニガドナーが設立した脊椎損傷に関する医療を支援する団体「Wings for Life」に親善大使として自発的に加わり、その活動を開始したという。

「Wings for Life」は脊椎損傷の治療法を研究する国際的な医療団体に財政支援を行う非営利団体であり、個人からの寄付金は100%脊椎治療に関する研究活動に利用されている。

■自発的に活動への参加を表明したペドロサ、感動を隠せない主催者側

ハインツ・キニガドナーから「Wings for Life」の活動について説明を受けたペドロサは、「この団体を支援していく必要性を感じた」とキニガドナーに回答、その後は親善大使としての任命を受けており、寄付などを求めるチャリティー活動に今後も積極的に参加していく方針だ。
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ペドロサからの活動メンバーとしての自発的な参加表明を受けたキニガドナーは、人気の高いMotoGPの現役トップライダーがこの親善大使の役割を買って出た事について「このような話は全く前例のなかった事」と、その感動を隠しきれない様子だ。キニガドナーは自身の息子がレース中の事故により2003年に脊椎を損傷した事をきっかけに「Wings for Life」を設立、レッドブルとの協力体制の下、現在のメンバーに加わっている元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーをはじめ、多くのモータースポーツ関係者に活動への参加を呼びかけている。


■夏休み中に右足のかかとを負傷したヘイデンは今回のミサノから復帰
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MotoGPが夏休み中だった8月1日、ロサンゼルスで行われたスーパーモタードのレースイベントに参加、プラクティス中にジャンプした直後の着地時に右足のかかとを負傷して前回のチェコGPを欠場する事になったレプソル・ホンダにニッキー・ヘイデンは、予定通り今回のサンマリノGPから無事に復帰を果たしている。
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まだ体調は完全ではないものの、レースでは十分に戦えるレベルにまで回復したというヘイデンは「まだ松葉杖は必要だが、よほどの事がない限り走るつもりなので、ブーツに装着するプロテクターを何か用意する予定。プールとジムに通ってほどほどにトレーニングはしてきたので大丈夫」と現在の怪我の状況について説明した。


■グランプリ復帰2年目を迎えたミサノ・サーキットについて

イタリアの熱心なMotoGPファンの願いがようやく叶い、昨年からサンマリノGPの名称でMotoGP年間カレンダーに復帰する事になったミサノ・サーキットは、最高峰500ccクラスの全盛期にはイタリアの2輪ロードレースファンの間で極めて人気の高いグランプリサーキットだった。ここでは、今年に復帰2年目のシーズンを迎えたミサノ・サーキットについて紹介する。
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■1993年の事故

1980年から1990年代にかけてはイタリアGPの舞台として人気を博していた旧ミサノ・サーキットだが、当時の最高峰クラスのチャンピオンとして圧倒的な強さを誇っていたヤマハのウェイン・レイニーが、その輝かしいレース経歴にピリオドを打つという不幸な事故が1993年に発生した事から、安全面上の問題がクローズアップされる事になったミサノは翌年のGPカレンダーからは外され、その後イタリアGPの舞台は現在のムジェロ・サーキットに移っている。

■かつてはムジェロで開催されていたサンマリノGP

ちなみに1990年代前半はイタリア国内において1年に2回のグランプリが開催されており、『イタリアGP』はグランプリの伝統あるミサノ・サーキット、その当時に新たにGPカレンダーに加わったばかりだったムジェロ・サーキットが『サンマリノGP』の舞台だった。これは現在とは全く逆のネーミングだ。


■14年ぶりに叶ったオートバイ好きの地域住民の願い
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レイニーの事故から、昨年のMotoGPカレンダーへの復帰までに14年という長い歳月が経過したが、その間にミサノ周辺のストリートの1つにイタリアのファンからも特に愛された加藤大治郎選手の名前がつけられた事からも、この地域がイタリアのグランプリ・ファンといかに深く結びついているかが分かる。ミサノのグランプリ復帰は、アドリア海沿岸に住むイタリアの熱心な2輪ロードレースファンが長年にわたり待ち望んだ出来事だった。

■安全面での課題を長期に渡り解消してきた新生ミサノ

GPカレンダーへの復帰を昨年に遂げるまでに、ミサノ・サーキットには多くの改修工事や最新設備の導入、ならびに医療施設の充実に向けての莫大な投資が行われてきた。コースレイアウトが一部変更され、最大の変更点としてコースの周回方向が以前とは逆の時計回りになるなど、イタリアGPの舞台だった1993年以前やSBKなどで使用されてきた2006年以前とは全く異なる「新生ミサノ」に生まれ変わっている。


■ミサノ・サーキットの歴史と今年の新たな改修内容
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イタリアのアドリア海沿岸のリミニ県リッチョーネの街に面するミサノ・サーキットは1969年に設立された歴史あるサーキットであり、現在はその運営をリッチョーネの街とは反対側に面するサンマリノ共和国が支援している。ちなみにサンマリノ共和国出身のライダーは、サンカルロ・ホンダ・グレッシーニのアレックス・デ・アンジェリスの1名のみだ。

以下に、ミサノ・サーキットの誕生から2年前のMotoGP復帰までの歴史、ならびに今年の2008年に新たに改修が加えられたコースレイアウトなどについて簡単に紹介する。


■初のレースイベントは1972年

旧ミサノで最初に本格的なレースイベントが開催されたのは設立から3年後の1972年の事だが、この当時はまだサーキット運営は個人により行われおり、ピットやオフィス施設も最小限と呼べるものしかない小規模なサーキットだったようだ。当時のコース長は現在よりも738メートル短い3488メートルだった。
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■グランプリの初開催は1980年、施設拡充の動きは1990年から

1980年にはイタリアにおける世界グランプリの舞台となり、その後の1990年代前半までに急成長を遂げるミサノだが、レセプション・ルーム、プレス・ルーム、各ピットの増設や内部拡張、テクニカル・オフィスなどの大規模な施設が導入され始めたのは1990年以降の事だ。

サーキットの改修工事は1993年まで続き、この時にコース長は4060メートルまで拡張され、この年からロング・コースとショート・コースの2種類が利用できるようになった。

■カピロッシは旧ミサノ最後のグランプリにも出場
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なお、旧ミサノでのイタリアGP最後の年となった1993年に、今年もMotoGP最高峰クラスの現役ライダーとして活躍中のリズラ・スズキのロリス・カピロッシは、250ccクラスで2位を獲得している。


■GPカレンダーから外れた後も地道に続いた拡張工事

GPカレンダーから外された1994年以降はSBKミサノ戦のサーキットとして人気を博し、1996年と1997年にはオフィスビルなどの関連施設が第2期拡張工事に突入、1998年にはパドックエリアが40万平方メートルにまで拡張されるなど、グランプリが離れた後も、旧ミサノには着実に近代設備の充実に向けての投資が引き続き行われてきた。
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■充実の医療施設が2005年に完成

2001年には5000シートを誇る初のグランド・スタンドが新設され、2005年には新しいメインエントランスが完成。コースの大改修直前となる2006年には300平方メートルの敷地を持つ医療センターの建設が終わり、MotoGPカレンダーへの復帰に向けて安全面の対策は大きく前進した。


■旧ミサノは2006年に完全閉鎖、2007年から新生ミサノに

MotoGP復帰への最後の仕上げとして、2006年末に旧ミサノは完全閉鎖されており、5ヶ月間の集中的な大改修を経て、昨シーズンの2007年からは新生ミサノに生まれ変わった。サーキットの正式名称も「ミサノ・ワールド・サーキット」に変更され、MotoGPをはじめとする世界のメジャー・モータースポーツのイベントへの本格的な復帰を、そのネーミングによりアピールしている。
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■超近代サーキットに生まれ変わった新生ミサノ

その5ヶ月間の大改修により、ミサノは全く新しい超近代サーキットへの変貌を遂げている。エントランスは4つに増設、2万3000の座席が新たに設置された他、プレスルームには320台のワークステーションを設置。近代的な照明システムを導入し、敷地内には17台の発電機も導入されている。サーキット内の情報通信システムは25キロメートルの光ファイバー・ケーブルと50キロメートルの同軸ケーブルにより結ばれ、レース映像は全てデジタル・レコーダーにより記録、その全てのデーター通信には万全の障害対策とセキュリティー対策が施されているという。

■最先端設備はツインリンクもてぎと同等

また、無線LANなどのワイヤレス通信の導入も進んでおり、サーキット内の大部分のエリアからインターネットに接続できる環境も提供されているようだ。ここまでの最先端技術設備の充実を誇るサーキットは、現時点において世界中でもこのミサノと、日本のツインリンクもてぎの2つのみだという。


■周回方向が旧ミサノと逆転、ライダーにとっては未知のコースレイアウトに

新生ミサノは最先端技術の導入により超近代サーキットへの変貌を遂げただけではなく、2006年以前のコースを経験していたカピロッシやSBK出身ライダーたちにとっても、2007年には過去の経験が全く活かせない未知のサーキットとなった(写真下は2007年サンマリノGP初日の豪雨により水没したミサノのコース)。
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見た目にはいくつかの区間のレイアウトが若干変更されただけのようにも見えるが、実際には2006年までは反時計回りだった周回方向が昨年からは全く逆の時計回りに変更されており、SBK時代にミサノを得意としていたコーリン・エドワーズやクリス・バーミューレンも、豪雨となった2007年のグランプリ初日と、晴天の2日目午前には他のライダーたちと同様に必死にコースレイアウトの学習を行っていた。当時エドワーズは「ミサノ周辺のおいしいアイスクリームの店だったら分かる」と述べ、コースレイアウトについては過去の知識が何一つ活かせなくなった事を説明している。
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■昨年はグランプリ復帰初日にサーキット全体が水没
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なお、昨年のグランプリ初日はライダーたちがレース前にしっかり新コースを学習できるように、フリー・プラクティスの時間が通常よりも長く設定されていたが、ミサノにとって14年ぶりとなる記念すべき1日は歴史的な豪雨の影響によりサーキット全体が水没、レース主催者側の配慮もむなしく午後のセッションが全て中止になるというあいにくのMotoGP復帰初日となってしまった。この時にクリス・バーミューレンは「ここの一部区間は潜水艦が必要」と当時の水没の激しさを説明している。
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■今年も一部区間を改修、再びコースレコードなどの記録はすべて白紙に

昨年はコースの全長が2006年当時から120メートル延長され全長が4180メートルとなり、周回方向も変わった事から過去のミサノにおける全ての選手権のコースレコードなどの記録は白紙に戻されたが、今年も再び一部区間に大きなレイアウトの変更が施された事から、昨年のコースレコードなどの記録はまたしても白紙に戻っている。
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具体的には、GP復帰2年目の今年に入り、第1区間の3コーナーが昨年のレース開催時よりもやや鋭角なカーブに変更された影響から、ミサノの全長は昨年よりも46メートル長い4226メートルとなっており、昨年と同じく今年のグランプリも過去の記録が全く存在しない状態での戦いとなる。


■コースレイアウトの特徴、低速コーナーが多く攻略の難しいサーキット

コースレイアウト的に見れば、ほとんどのコーナーは1速ギアを使用する低速コーナーであり、それが超高速カーブの11コーナーをはじめとする一部の高速コーナーと絡み合う事から、他のサーキットと比較してもMotoGPマシンでの攻略は難しいという。コース幅が狭く追い抜きが難しいため、予選でのグリッド獲得位置がレースに向けては重要になる。
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(注:2008年の公式発表上はコーナーの数が昨年よりも2つ減り全14コーナーとなっているが、ミサノ発表のコーナー番号配置は昨年と何一つ変わりがないため、本サイトのコーナー番号はミサノ発表のものに従い表記している)

■周回方向が逆回りになった影響

周回方向が逆になった影響としては、一部にはコーナーの入り口が広く、出口にかけて狭くなるという部分もあり、ライダーが通り抜ける際にコースを逆走しているような気分になる箇所もいくつかあるようだ。しかしながら、ブラインドコーナーがほとんどなく全体の見通しが良い事から、それほど危険な印象は受けないという。
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■セッティングには脱出加速とブレーキングの強化が必要

セッティングに求められるのは、ハードなブレーキングに耐える強力なブレーキと、コーナーからの鋭い脱出加速に耐えるマシンの安定性だ。同時に、良いラップタイムを刻む上でライダーには常に激しい攻めの走りが要求される。


■がたつきのひどくなった新舗装、今回もタイヤ選びが勝利の鍵に

新生ミサノの路面コンディションだが、昨年のアスファルトは表面仕上げやグリップレベルについては各ライダーに概ね好評だったが、ヨーロッパでの多くの再舗装工事の傾向通り、路面のがたつきについては2006年以前よりもひどくなったと、過去の路面状況を知るMotoGPライダーやSBKライダーは揃って苦情を述べていた。
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■今週末こそ昨年と同じ敗北は避けたいミシュラン

タイヤと路面の相性については、ミサノのGP復帰初年度となった昨年のレース結果は表彰台を含む上位5つのポジションをブリヂストン勢が独占しており、ラグナ・セカとブルノに続きミシュランは惨敗だった。ミシュラン勢は今年のラグナ・セカとブルノでもブリヂストン勢に対し大敗を喫している事から、昨年は大波乱となったレース以外のセッションでは好調だったミシュランの今週末のミサノでの巻き返しの行方が特に注目される。


■2007年のレース結果
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ここでは昨年のレース結果を簡単に振り返り、続いて最後に今シーズンの年間タイトルを争うランキング上位3名のライダーの今週末のミサノに向けてのコメントを紹介する。


■レースタイヤでは互角のミシュランとブリヂストン、豪雨ではミシュラン勢が好調、
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ミサノが完全に水没した初日午後の豪雨のため、フリー・プラクティスが2回のみとなった2007年サンマリノGPにおける2日目午前のフリー・プラクティス順位は、トップがドゥカティーのケーシー・ストーナー(BS)、2番手がフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシ(MI)、3番手がカワサキのアンソニー・ウエスト(BS)、4番手がホンダLCRのカルロス・チェカ(MI)、5番手が当時フィアット・ヤマハのコーリン・エドワーズ(MI)、6番手がリズラ・スズキのクリス・バーミューレン(BS)と、現地スタッフの夜通しの水抜き作業により良好なドライ路面となった2日目のミサノでは、ブリヂストン勢とミシュラン勢がレースタイヤでのほぼ互角な戦いを繰り広げた。なお、初日のレインタイヤでは若干ミシュラン勢が好調だった。
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■予選タイヤでも互角の戦いを見せた両タイヤサプライヤー
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ドライの予選結果としては、ポールポジションがストーナー(BS)、2番グリッドはロッシ(MI)、3番グリッドはレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデン(MI)、2列目4番グリッドはカワサキのランディ・ド・プニエ(BS)、5番グリッドは当時リズラ・スズキのジョン・ホプキンス(BS)、6番グリッドはレプソル・ホンダのダニ・ペドロサ(MI)が獲得しており、ストーナーの圧倒的な強さは目立つものの、午前のフリー・プラクティスと同様にミシュラン勢とブリヂストン勢は予選タイヤでもほぼ互角だった。
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■レースは開始直後に大波乱、ド・プニエの転倒が引き起こしたレプソル2名の不運
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決勝当日、レースは大波乱の幕開けとなり、ホールショットを奪ったストーナーに2番手のホプキンス、3番手のロッシ、4番手のバーミューレンが続く中、2コーナーでペドロサから5番手のポジションを奪おうとしたド・プニエがリアを滑らせ、勢いよく倒れたマシンはペドロサの左後方に追突。
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■リタイアして叫び続けるペドロサ、ヘイデンは最後尾に
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激しく転がりながらグラベルに向かうペドロサとド・プニエのマシン2台は、スタートに出遅れたヘイデンの真正面を横切る形となり、ヘイデンはこれを避けてグラベルに突入、一気に最後尾に後退してしまった。また、再スタートを試みるもマシンのダメージが大きくレースを断念したペドロサは、彼にしては珍しくレースを諦めて立ち去るド・プニエに対しいつまでも大声で何かを叫び続けていた。
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■ロッシの新エンジンが故障、タイトル奪還が絶望的となるまさかのノーポイント

トップにストーナー、2番手にホプキンス、3番手にはロッシを交わしたバーミューレン、そのブリヂストン勢3名をタイヤが温まるのを待ちながら4番手のロッシが1秒後方から様子をうかがっていた5ラップ目、突如ここでロッシのマシンがエンジン・トラブルによりスローダウン。このミサノから初めて投入した新型エンジンが裏目に出たロッシは、ストーナーと年間タイトルを争う上で絶望的と言えるノーポイントを残り6戦目のところで喫する形となってしまった。
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■優勝はストーナー、シーズン残り5戦を前に85ポイントの大量リード
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ロッシのリタイア直後となる6ラップ目にはバーミューレンがホプキンスを交わしたが、その後は上位3名の順位に変動はなく、ドゥカティーのケーシー・ストーナーが28周回のレースを最後までリードし、ドゥカティーにとって初となる地元イタリアでの勝利をもたらした。この時点におけるランキング2位のロッシとランキング3位のペドロサがノーポイントに終わった事から、この勝利によりストーナーは85ポイントの大差を確保、初の年間タイトルに大きく近づいた。
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■スズキは2001年以来となる2名揃っての表彰台獲得

2位はリズラ・スズキのクリス・バーミューレン、3位はそのチームメイトのジョン・ホプキンスが獲得し、スズキにとっては2001年以来となるライダー2名揃っての表彰台を獲得。4位はグレッシーニ・ホンダのマルコ・メランドリ、5位はドゥカティーのロリス・カピロッシだった。
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■今週末のミサノ戦に向けてのランキング上位3名のコメント

昨年とはポイントリード的にほぼ逆の立場でミサノ戦を迎える事になったポイントリーダーのバレンティーノ・ロッシ(237pt)とランキング2位のケーシー・ストーナー(187pt)、ならびにランキング3位のダニ・ペドロサ(172pt)の、今週末の戦いに向けてのコメントは以下の通り。


■ロッシ「ファンのためにも去年の埋め合わせがしたい!」
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第6戦目のムジェロに続き、今年2度目の地元イタリアでのグランプリをポイントリーダーの立場で迎える事になったフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシは「好調のままポイントリーダーとしてミサノに戻って来られて本当に嬉しい。去年は本当に残念なレースだったし、地元ファンの目の前での出来事だったからとても悲しかった。でも今年の状況は去年とは全く異なる。過去2戦は連続して素晴らしいレースだったし、気分的にも絶好調。すごく自信もあるので、2007年の埋め合わせを是非しておきたい!」とコメント。不運に終わった昨年のレース内容を振り返り、今年のレースでの地元ファンへの埋め合わせを誓った。


■ストーナー「ミサノ2連覇は当然狙っていける」
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昨年はドゥカティーに初の地元勝利をプレゼントした現在ランキング2位のケーシー・ストーナーは「去年のミサノは素晴らしい内容だった。今年もセッティングとタイヤは好調なので、再び同じ結果を狙っていく自信は当然ある。前回のブルノ合同テストではセッティングの改善をさらに進める事ができたので、ドゥカティーの地元ファンにいいレースを見せる事ができるのは間違いない。トップとのポイント差は大きいが、チームはすごく好調だし、このまま最後まで戦い続けるだけ」とコメント、ミサノ2連覇に向けての意気込みを示している。


■ペドロサ「去年のレースは散々だった」
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ドイツGPでの転倒と骨折がたたり、今シーズンの終盤戦はランキング3位の立場からトップの2名を追う形となったレプソル・ホンダのダニ・ペドロサは「去年は他のライダーに1コーナーで追突されて散々だったので、今年のミサノではいいレースウイークを過ごしたい。ここは非常にタイトで幅の狭いサーキットだがグリップは悪くない。ただ路面のがたつきはひどく、その点はミサノの最悪な部分と言える。去年は温度がすごく高かったのでミディアム・コンパウンドを使用した。いいタップタイムを刻む上で重要なのは第1区間だが、自分は最終区間が一番好き。観客の雰囲気は本当に素晴らしいと思う。ロッシの出身地に近いので、バレンティーノ・ロッシ・ファンの数がものすごいけどね」とコメントした。

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