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アメリカGP決勝、ロッシの大逆転、認めたくないストーナー
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インテリマーク編集部
  2008年7月27日

アメリカ現地時間の7月20日午後2時、日本時間では7月21日早朝6時より、2008年MotoGP第11戦目となるアメリカGPが、カリフォルニアのラグナ・セカ・サーキットにて決勝レースの開始を迎えた。
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このレースウイーク中の5セッションを通して突出したトップタイムを記録し、予選では連続5回目となるポールポジションを獲得していた絶好調のケーシー・ストーナーを決勝で打ち負かす事は誰にも不可能と思われた今回、そのストーナーとの白熱のバトルを制して表彰台の頂点に立ったのは、決勝直前にマシンのセッティングを変更、2番グリッドからスタートしたフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシだった。

ここでは、アメリカGPの結果とレース概況、ならびにレース後の全ライダーやレース関係者およびミシュランタイヤの責任者のコメントなどを紹介する。


■アメリカGP決勝レース結果
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以下に、気温21度、路面温度34度、湿度42%という、例年のラグナ・セカよりも20度から30度近く低いという予想外の低温条件の中で行われ、高温路面を想定してハードタイヤを主に持ち込んでいたミシュランが昨年と同様に敗退を喫する事になったアメリカGP決勝レースの結果を示す。

1) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 44分04秒311(32周)
2) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 44分17秒312(32周)
3) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキMotoGP GSV-R 44分30秒920(32周)
4) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiRチーム・スコット RC212V 44分39秒212(32周)
5) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 44分39秒974(32周)
6) ランディ・ド・プニエ FRA ホンダLCR RC212V 44分41秒979(32周)
7) トニ・エリアス SPA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 44分45秒940(32周)
8) ベン・スピーズ USA リズラ・スズキMotoGP GSV-R 44分46秒238(32周)
9) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハTech3 YZR-M1 44分47秒330(32周)
10) 中野真矢 JPN サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 44分48秒702(32周)
11) ジェイミー・ハッキング GBR カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 44分50秒569(32周)
12) シルバン・ギントーリ FRA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 44分59秒584(32周)
13) アレックス・デ・アンジェリス RSM サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 44分59秒832(32周)
14) コーリン・エドワーズ USA ヤマハTech3 YZR-M1 45分06秒691(32周)
15) ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキMotoGP GSV-R 45分12秒518(32周)
16) マルコ・メランドリ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 45分15秒273(32周)
17) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 44分34秒872(31周)
-) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 -分-秒-(0周)

●ポイントランキング一覧
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アメリカGP終了直後のポイントランキングは以下に示す通り。

1) バレンティーノ・ロッシ [ITA] [フィアット・ヤマハ・チーム] 212
2) ケーシー・ストーナー [AUS] [ドゥカティ・マルボロ・チーム] 187
3) ダニ・ペドロサ [SPA] [レプソル・ホンダ・チーム] 171
4) ホルヘ・ロレンソ [SPA] [フィアット・ヤマハ・チーム] 114
5) アンドレア・ドヴィツィオーゾ [ITA] [JiRチーム・スコット] 103
6) コーリン・エドワーズ [USA] [ヤマハTech3] 100
7) クリス・バーミューレン [AUS] [リズラ・スズキMotoGP] 89
8) ニッキー・ヘイデン [USA] [レプソル・ホンダ・チーム] 84
9) ジェームス・トーズランド [GBR] [ヤマハTech3] 72
10) 中野真矢 [JPN] [サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ] 70
11) ロリス・カピロッシ [ITA] [リズラ・スズキMotoGP] 61
12) トニ・エリアス [SPA] [アリーチェ・チーム] 46
13) アレックス・デ・アンジェリス [RSM] [サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ] 41
14) ランディ・ド・プニエ [FRA] [ホンダLCR] 40
15) シルバン・ギントーリ [FRA] [アリーチェ・チーム] 38
16) ジョン・ホプキンス [USA] [カワサキ・レーシング・チーム] 32
17) マルコ・メランドリ [ITA] [ドゥカティ・マルボロ・チーム] 32
18) アンソニー・ウエスト [AUS] [カワサキ・レーシング・チーム] 22
19) ベン・スピーズ [USA] [リズラ・スズキMotoGP] 10
20) ジェイミー・ハッキング [GBR] [カワサキ・レーシング・チーム] 5
21) 岡田忠之 [JPN] [レプソル・ホンダ・チーム] 2


■アメリカGP決勝レース前の状況
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決勝レースまでのアメリカGPの状況を簡単に振り返っておこう。アメリカGPのレギュラー・ライダーにおける欠場者は2名(写真上はドゥカティーのピットを訪れたトム・クルーズとケイティ・ホームズ、中央はストーナー夫人)。


■欠場ライダーはペドロサとホプキンスの2名、ペドロサは初日のみ参加して帰国
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今回のラグナ・セカと連戦になった前回のドイツGP決勝レース中に転倒して左手の指と手首を骨折、その翌日に手術を受けてから4日程度しか経過していなかったレプソル・ホンダのダニ・ペドロサは、初日の2回のフリー・プラクティスのみに参加した後、午後に予選がある2日目の朝にアメリカGPキャンセルを正式に発表、その当日には母国のスペインに帰国している

■ホプキンスの復帰はチェコGPから、今回の代役はAMAカワサキのハッキング
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もう1名、アメリカGPの前々回となるオランダGPの予選中に転倒して左足のひざと足首に骨折などの深刻なダメージを受け、母国のアメリカで手術後のリハビリを続けているジョン・ホプキンスは、夏休み明けのチェコGPまでは復帰の目処が立たない事から今回の母国GP出場は見送っており、代わってAMAカワサキのライダーであるジェイミー・ハッキングがその代役ライダーをこの週末には務めている(写真上はケイティ・ホームズを嬉しそうに眺めるホプキンスとコスタ医師、写真下はツール・ド・フランスでも有名なSPECIALIZED社から特別仕様のスポーツ自転車を今後のトレーニング用に贈呈されて上機嫌のホプキンス)。


■アメリカGP以前の怪我に苦しむ3名、カピロッシ、エドワーズ、ウエスト

なお、アメリカGP以前に負傷した身体が完治しない状態のまま今回のレースに挑んでいるライダーは、リズラ・スズキのロリス・カピロッシとTECH3ヤマハのコーリン・エドワーズ、カワサキのアンソニー・ウエストの3名だ。

■カピロッシの傷口を見てしまったデニング監督「走ろうと思うだけで驚き」

カタルーニャGP決勝レース中に他のライダーと接触して右手のひらの小指付近の骨を骨折、イギリスGPを欠場してその翌戦のオランダGPには出場したものの、その初日のフリー・プラクティス中の転倒により右腕の肉に深い切り傷を負ってしまったカピロッシは、復帰戦となった前回のドイツGPに続き、今回のアメリカGPにも傷口を頻繁に消毒しながら痛みに耐えて出場している。
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ちなみに今回の決勝当日午前に消毒中のカピロッシの傷口を間近に見てしまったリズラ・スズキ・チーム監督のポール・デニングは「走ろうと思う事すら信じられない。彼の勇気に感謝したい」と、その感想を述べている。

■イギリスGPでカピロッシの代役を務めたスピーズも今回はワイルドカード出場

なお、イギリスGPにおいてカピロッシの代役を務めたAMA Superbikeチャンピオンのベン・スピーズ(写真上の左)は、今回のラグナ・セカにも当初の予定通りリズラ・スズキからのワイルドカード参戦を果たしている。

■エドワーズの首の痛みは2日目に回復の方向

ドイツGPレース中の転倒時に首を痛めたTECH3ヤマハのコーリン・エドワーズは、今回の母国GP初日には首がまわらなくなり苦しんだとコメントしていたが、その晩からクリニカ・モバイルにて治療を受け、完治はしていないものの2日目以降の走行に支障がないレベルには回復したという。
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■背骨の怪我よりも痛いチームの評価に苦しむウエスト

前回のドイツGP初日のフリー・プラクティス中に転倒、チームメイトのジョン・ホプキンスと同様に骨盤近くの背骨に軽度のひびが入ってしまったカワサキのアンソニー・ウエストは、特に今回のレースウイーク中には痛みによる走りへの影響は訴えておらず問題はない様子だが、彼の場合はその怪我よりも今期の成績の低迷がチーム内における深刻な話題へと発展しつつあり、シーズン後半のマルコ・メランドリのカワサキ入りが噂される中、MotoGPのシートを今シーズンの最終戦まで維持できるかの方が問題となりつつある様子だ(写真下の手前は今回ホプキンスの代役を務めるジェイミー・ハッキング)。
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■ロレンソはほぼ万全な体調にまで回復していたが・・・

なお、シーズン前半にくるぶしの骨折など大きな怪我の相継いだフィアット・ヤマハのホルヘ・ロレンソは、前日の予選で2列目4番グリッドを獲得して示した通り、体調は順調に回復していた様子だったが、今回の決勝レース中に激しい転倒を喫して再び足の甲の骨を骨折する事になる(詳細は後述のレース概況内に明記)。
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■アメリカGPレースウイーク中の負傷者は指を2本骨折したデ・アンジェリス

今回のアメリカGPレースウイーク中にやや深刻な怪我を負ったライダーはサンカルロ・ホンダ・グレッシーニのアレックス・デ・アンジェリスの1名。デ・アンジェリスはラグナ・セカ初日のフリー・プラクティス中に転倒して左手の小指の骨にひびが入り、その翌日の予選中にも再び転倒してその際には親指の骨を骨折しているが、さらに翌日の決勝レースにはそのまま出場している。
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■レースウイーク中の勢力分布、ミシュランがタイヤ戦略を大きく失敗

ミシュラン勢が今回のラグナ・セカにおける予想外の低温路面に適したタイヤのコンパウンドを持ち込まなかった事から苦戦する中、フリー・プラクティス中に勢いを見せたのはブリヂストン勢だった。
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■フリー・プラクティスの総合上位10人中7名がブリヂストンユーザー

2日間のフリー・プラクティスの総合順位は、今回もレースタイヤで初日からサーキットのベストラップ記録を破ったドゥカティーのケーシー・ストーナーがトップ、2番手は今年からブリヂストンにスイッチした事が正解だったと十分に言える状況となったバレンティーノ・ロッシ、3番手はアメリカで好調は走りを初日から見せたサンカルロ・ホンダ・グレッシーニの中野真矢選手、4番手はリズラ・スズキのクリス・バーミューレンと、このレースタイヤにおける総合上位4名の全員がブリヂストンユーザーだ。
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2005年と2006年にラグナ・セカ2連覇を達成しているレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデン(FP総合5位)、フィアット・ヤマハのホルヘ・ロレンソ(FP総合8位)、母国での好成績獲得に燃えるコーリン・エドワーズ(FP総合10位)の3名を除けば、フリー・プラクティスにおけるトップ10中の残りは全てブリヂストン勢であり、この結果からもハードコンパウンドのレースタイヤばかりを持ち込んでしまったミシュラン勢の苦しみの度合いが見える。

■辛うじて予選タイヤでは強さを示したミシュラン、ヘイデンは今期2度目の1列目を確保
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ただし予選タイヤでは、ストーナーがポールポジション、ロッシが2番グリッドを獲得したものの、今期2度目の1列目となる3番グリッドを獲得したヘイデン以下5名はミシュラン勢が続き、2列目4番グリッドにロレンソ、5番グリッドにはTECH3ヤマハのジェームス・トーズランド、2列目最後の6番グリッドにはホンダLCRのランディ・ド・プニエ、3列目7番グリッドにはエドワーズがつけている。
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■反省の弁を語るミシュラン責任者「保守的すぎた」

今回ラグナ・セカに持ち込んだレースタイヤについて、昨年の2007年からミシュランのモーターサイクル・レーシング責任者を務めているジャン・フィリップ・ウェーバーは以下の通り説明している。今回ミシュランが取った戦略はあまりにも保守的だったようだ。
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「今週の作業を難しくした第一の原因は、わたしたちが昨年にここで問題を抱えていた事です。昨年はアスファルトから受けるタイヤへの負担が大きく、路面温度も予想以上に高かった事から、当時のわたしたちは耐久性の問題に苦しみました」とウェーバー(写真上の左)。

「ところが、今年は路面から受ける負担がそれほど大きくなかったんです。路面温度も去年より低くなりましたしね。ただ、金曜日の時には45度以上になりましたから、それほどひどい状況だったとは言えませんが」

「去年のデータを前提としたわたしたちは、あまりにも保守的でした。非常に硬めのコンストラクションとコンパウンドを用意した事が、走りの性能を低下させる結果につながっています。わたしたちのライダーたちはレースで実用となるタイヤを非常に限られた数しか提供されておらず、プラクティス中はずっとハードタイヤでの作業を強いられました」

「わたしたちの戦略があまりにも保守的だったために、今週は本当に難しいレースウイークでした。各サーキットに持ち込むタイヤの戦略に関して、今後は各チームとの意見交換をさらに進めていく必要がありそうです」

「その例が今回のTECH3ヤマハのコーリン・エドワーズですが、彼はもっとタイヤへの負担が小さいサーキットで今シーズン中に使用した事のあるフロントタイヤの持ち込みを要求していました。ここで彼がそのタイヤを実際に使用できていればと悔やまれます。彼の判断は正しかった訳です」

「今回の良かった点は、アンドレア(ドヴィツィオーゾ)がニッキー・ヘイデンと4位を争う姿を見れた事です。初めてラグナ・セカを走るルーキーとしては大変に素晴らしい成績でしたし、彼はその優れた実力を示す事ができていました」

「ランディ(ド・プニエ)もいいレースをしていましたね。彼は他のライダーたちよりもさらにハードなリアタイヤを使用していましたが、バイクのセッティングが非常にうまくいっていました」

「ただ、いずれにしても、ここでのミシュランライダーたちのラップタイムは満足できるものではありませんでした。これはわたしたちが十分なグリップを彼らに提供する事ができていなかったからです」


■アメリカGP決勝レースの概況
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以下に、アメリカGP決勝レースの内容を、アクシデントに見舞われたライダーのコメントなどと合わせて振り返り、それに続けて他の全ライダーやチーム関係者のレース終了後のコメントなどを一気に紹介する。


■ホールショットはストーナー、背後につけるロッシ

シグナルが消えると同時にホールショットを奪ったのは、フリー・プラクティスでは総合2番手のロッシを0.5秒引き離す突出したトップタイムを記録し、優勝を確信して今回のレースに挑んだドゥカティーのケーシー・ストーナー。その背後には「ストーナーより30秒早くスタートさせてもらえれば勝てる」と予選後に語っていたフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシ。
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1コーナーを通り過ぎた2番手のロッシの後ろをレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデン、フィアット・ヤマハのホルヘ・ロレンソ、9番グリッドからの好スタートを見せたJiRチーム・スコットのアンドレア・ドヴィツィオーゾなどが追う。
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■1ラップ目を終えずに高く宙を舞ったロレンソは左足の甲の骨を3本骨折

オープニング・ラップの5コーナー、ここで突然3位集団のロレンソがハイサイドを起こして宙を舞いグラベルに突入。デビューイヤー序盤の好調さを中国GP以降の怪我で台無しにしたロレンソだが、この転倒の衝撃により今回新たに左足の中指、薬指、小指につながる足の甲の骨を骨折してしまった。幸い過去の怪我へのダメージは辛うじて免れたロレンソは、リタイア直後に以下の通りコメントしている。
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■ロレンソ「気がついたらグラベルの中だった」

「昨日の予選の後はレースにすごく自信を持っていたので本当に悲しい。何よりスタートがとてもうまくいって4位に浮上していたし、マシンの感触もすごく良かったから。でもそこで転んでしまった」とロレンソ。

「タイヤがまだ温まっていなかった事でリアが滑り、次の瞬間に気がついたのは自分がグラベルの中にいる事と、足がひどく痛む事だった。また転んでまた足に怪我を負ってしまたので、このレースの事もできる限り早く忘れて、先の事に気持ちを移さなければいけない。本当に悲しいが、ブルノまでの期間中は回復に専念し、次戦に向けて体調を戻したい。それが今の自分の目標」

■スペインの治療で足を固定されたロレンソ「夏休みも遊びに行けない」

また、事故の翌日に母国のスペインに戻り、彼の主治医であるミール医師の診断と治療を受け、ギプスで足を10日間固定される事になったロレンソは、改めて以下のコメントを発表している。
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「ものすごい痛みだし、落ち込んでいる。またしても転んで活動を停止する事になってしまった。ただ、ミール先生のところを訪ねてから、かなり痛みの激しい怪我である事は再認識したが、同時に静養する事で完治できる怪我という事も分かった」と足を添え木付きのギプスで固められたロレンソ。

「足は今ギプスで固定されているが、転倒の時に右足も痛めてしまったので自力で歩くのは難しい状態。でも有り難い事に右足は怪我というほど大げさなものではなく、転んだ時の衝撃による影響らしい」

「幸いブルノまでは休みが取れるが、その間に遊びに行く事はできそうもない。今の一番の楽しみはツール・ド・フランスを観戦する事。テレビだけどね!」


■最後のセッティング調整に成功したロッシがトップに、ヘイデンは徐々に後退
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午前中のウォームアップ後にセッティングを変更し、ラップライムをさらにコンマ数秒削り落とす事に成功したというロッシは、2ラップ目突入時にストーナーから前を奪うと先頭に浮上。ロッシに食い下がるストーナーの背後では、トップ2台のペースについていけないヘイデンが徐々に後退していく。
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■横並びのまま意地のバトルを見せるロッシとストーナー

ヘイデンがトップ2から1.5秒引き離された4ラップ目突入時のメインストレート、ここでストーナーがロッシに並びかけて2コーナーまでにトップを奪い返すが、5コーナーでは再びロッシが前、そして6コーナーから7コーナーにかけてはまたもストーナーが前に出て、コークスクリュー(8コーナー)直前まで2台は横並びのバトルを繰り広げる。
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■コークスクリューのグラベルにはみ出してもひるまないロッシ

コークスクリューに向けて2台が落下するように飛び込む中、ロッシはやや大回りになりコーナー脇のグラベルにはみ出すが、ロッシはひるむ事なく接触ぎりぎりの位置を走る真横のストーナーと共にこれを通過。続く9コーナーに向けて2台はまたも横並びの加速合戦を繰り広げた。

■ブレーキングで前に出るロッシ、ストレート加速を活用したいストーナー

5ラップ目のメインストレート、ストレート加速ではストーナーが勝るが、5コーナーのブレーキングバトルでは再びロッシが前に出る。今回ロッシはストーナーに前を奪い返される事なく7コーナーを先頭のまま通過。ストーナーよりも先にコークスクリューに飛び込む。6ラップ目突入時にはストレートでも真後ろににじり寄るストーナーを前に出さずに1コーナー、そして2コーナーを通過。

■バーミューレンがヘイデンとドヴィツィオーゾを交わし3番手に浮上
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7ラップ目、先頭のロッシと2番手のストーナーがほぼ同一の周回ペースで激しいバトルを繰り広げる中、その5秒後方ではヘイデン、バーミューレン、ドヴィツィオーゾの3台が3位争いを展開。
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8ラップ目までにバーミューレンはトップ2の8秒後方で3位に浮上した。
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■メランドリがコースアウトして最後尾に「しばらくは手の痛みが激しかった」

10ラップ目、ここで9番手付近を走行していたドゥカティーのメルコ・メランドリが2コーナーでコースアウト。ポジションを最後尾に落としてしまう。
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「1コーナーへの進入時に位置確認の目印か何かを踏んだ時に手がハンドルバーから外れてしまい、バイクを切り返す事ができなくなった。転倒時には手に激しい衝撃を受けてしまい、最初はその怪我の度合いがよく分からなかった事から、その後レースに完全に復帰するまでには数周が必要だった」とメランドリ

「徐々に痛みは和らいできたが、前のライダーからは大きく引き離されてしまったので、その後は単独走行となってしまった。序盤の2〜3周はいいペースで走れていただけに本当にがっかり。いい結果がまた残せるチャンスだったので悔しい」
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「特にチームには本当に申し訳なく思っている。素晴らしい仕事をしてくれた彼らにはいい結果があって当然だったのに」


■安定した走りのロッシと追いすがるストーナー

その後もロッシはストーナーを背後に従えながらレースをリード。ストーナーは必死に追い続けて第4区間では毎回ロッシの背後に接近するが、続くメインストレートでもなかなかロッシの横に並ぶ事ができなくなってくる。
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■メインストレートで加速し過ぎたストーナーが2コーナーで大回りに

14ラップ目、メインストレートでロッシから前を奪おうと必死の加速を見せたストーナーは2コーナーで止まりきれずに大回りを喫する。ロッシは悠々とその内側を通過して再びトップに立ち加速。ストーナーはこのミスによりロッシに0.9秒の差を奪われてしまう。

■ファーステストを記録して再びロッシとの差を詰めるストーナー
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続く15ラップ目にはストーナーが渾身の走りでファーステストを記録し、16ラップ目の2コーナー通過時にはロッシの真後ろに接近する。この時のストーナーはレース序盤には速さを見せていた第4区間でもリアタイヤを揺らし、ロッシの背後につける事がやや難しくなったように見えたが、やがて走りが落ち着くにつれて再びロッシから0.1秒以内のポジションをキープする。

■ヘイデンの背後に迫るドヴィツィオーゾ
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この時点で12秒後方の3番手を走行するバーミューレンはトップの2台から1秒遅いラップペースで周回。バーミューレンの3秒後方では4番手のヘイデンをドヴィツィオーゾが僅差のまま追い続けている。

■ストレートでもストーナーを抑え続けるロッシ

20ラップ目、ここで再びストーナーがメインストレートでロッシにならびかけるが、ロッシは2コーナーへの進入を決して譲らない。21ラップ目のメインストレートでもストーナーは同じ動きを見せるが、やはり2コーナーのイン側を奪って先に通過するのはロッシだった。
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■コースアウトして最後尾に落ちたウエスト「途方もない落胆の週末」

20ラップ目の最終コーナー、最後尾1つ手前となる16番手を走行していたウエストが曲がりきれずにグラベルを滑走。メランドリに交わされて最後尾に後退した。ホプキンスの代役ライダーであるジェイミー・ハッキングのセッティングまで参考にしたものの、マシンの調子をレースウイークを通して上げる事ができなかったウエストは、周回遅れの最後尾完走を遂げたこのレース後に以下の通りコメントしている。
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「今週は本当に途方もない落胆のレースウイークだった。週末を通して抱えていた問題がレース中にも発生してしまい、バイクのフロントに一切自信が持てない状態だった。その影響から、いいラップタイムを狙って攻めの走りをする事が全然できていない」とウエスト。

「ジェイミーもレースウイーク初日には同じ問題を抱えていたのに、最終的に彼はなんとかしていたので、本当に悔しい。ここを早く離れて夏休み中の調整に入る必要がある。その後のブルノからは自分が知っている本来の力を発揮し、いい結果が残せるよう頑張りたい」
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■信じていた筈のバルトレミー「MotoGPで戦う資格がある事を証明せよ」

なお、ウエストが今期に入り初めて調子を上げたイギリスGPでは「ウエストの力を私は以前から信じていた」とコメントしていたカワサキのコンペティション・マネージャーを務めるミハエル・バルトレミーだが、彼はこのレース後にウエストの今後について以下の厳しいコメントを残している。

「アンソニーが今週の彼自身の走りに落胆している事はよく分かっている。しかしながら、現時点においていったい何に問題があるのかを特定するのは実のところ難しい。彼はMotoGPで戦える資格がある事を必死に頑張って証明しなければいけない」

「カワサキ・レーシング・チームは結果を残すためにここに出場しているのだから、彼はその一員としての能力がある事を、わたしたちに納得させる必要がある。わたしたちは夏休みの期間中に、次戦までに何か改善の手段が本当にあるのかを話し合う事にする」


■攻撃を全て交わされ、にわかに挙動が激しくなるストーナーのマシン
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24ラップ目、猛烈な加速を見せるストーナーがついに1コーナーでロッシの前に出るが、2コーナーの内側を奪ったのは今回もロッシだった。ストーナーのマシンは暴れながら3コーナーでもロッシの真横に並ぶが、安定した走りで4コーナーのインを奪ったのはまたもロッシだ。

■ストーナーが最終コーナーを曲がりきれずにグラベル内で転倒
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そしてその最終コーナー、渾身のアタックを全てロッシに交わされたストーナーはブレーキングを極限まで遅らせるが曲がりきれずにコースアウト。グラベル内を走行してコースへ戻ろうとした際に不運にも転倒してしまう。マシンを慌てて引き起こしたストーナーは2番手のポジションのままレースに復帰する事はできたが、ここでロッシとの差は16秒と大きく開いてしまった。


■優勝はロッシ、ストーナーは2位をキープ、3位表彰台はバーミューレン
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フィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシは残りの8周回をハイペースのまま走りきり、過去3年間勝てなかったラグナ・セカでの初優勝となる今期4度目の勝利を手にする事に成功した。ドゥカティーのケーシー・ストーナーは4連続ポール・トゥ・ウインとはならず、アメリカGP2連覇を逃しロッシから13秒遅れの2位でチェッカーを受けている。さらにそこから13秒遅れて3位チェッカーを受けたのは、ラグナ・セカでの2年連続、そして、今期連続2回目の表彰台を獲得したリズラ・スズキのクリス・バーミューレンだった。

■4位はドヴィツィオーゾ、ヘイデンは無念の5位、6位はド・プニエ
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また、最終的にヘイデン、ドヴィツィオーゾ、ド・プニエによる三つどもえの戦いとなった4位争いを制したのは、ラグナ・セカの覇者であるヘイデンを抑えたJiRチーム・スコットのアンドレア・ドヴィツィオーゾだった。レースウイーク中に使い物になるタイヤが2本しかなかったために、1本のタイヤを週末を通して使い古してセッティングを行った結果、レースでの新品タイヤ装着時にマシンのバランスが崩れてしまったというレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンは5位。ミシュラン勢の中では難しいタイヤ選択肢の中で最もセッティングをうまく出せたとするホンダLCRのランディ・ド・プニエはそれに次ぐ6位だった。

■エリアスは7位、周回数を間違えたスピーズは8位、中野選手は10位
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なお、今期の自己最高位となる7位を最終ラップでベン・スピーズを交わしたアリーチェ・チームのトニ・エリアスが獲得しているが、交わされたスピーズはこの時に周回数を間違えており、もう1周あると思っていた矢先にチェッカーを振られてしまったようだ。また、レース終盤の30ラップ目にこのスピーズとエリアスに交わされた中野真矢選手は、好調なフリー・プラクティスの結果をレースに反映する事ができず10位の結果に終わっている。
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■表彰台を獲得した3名のコメント、物議を醸し出すストーナーの意見
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まずは表彰台を獲得した3名と各チーム監督の詳細コメントをここに掲載するが、その前に紹介しておきたいのが、今回はレース後にストーナーとドゥカティーがロッシに対し、ロッシにはレース序盤に少し度を過ぎた危険な走行が見られ、ストーナーが冷静に対応したからこそ2台が揃って転倒するような事故を免れたとする見解を述べている事だ。ロッシはこれに反論し、フェアなレースだった事を主張している。
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■優勝)バレンティーノ・ロッシ フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1

すごいレースでしたね!午前のウォームアップの後でバイクに何点か調整を加えた事で、最後のコンマ数秒を削り落とす事ができたんです。おかげで今日はケーシーと戦えるレベルにまで到達しました。効果は素晴らしかったです。

スタートがうまく決まり、1ラップ目に彼を交わす事はできましたが、その後は彼の前の位置を維持できるよう頑張り続ける必要がある事は分かっていましたから、気を抜く暇なんて1秒すらない状況でした。
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今日はM1もブリヂストンタイヤもとにかく好調でした。1回だけコークスクリューの所で大回りになるミスを犯しましたが、ダートの中ですらグリップはとても良かったですよ!ストレートではケーシーの方が若干速かったですね。でもブレーキングに関しては自分の方が強みがあったので、すべての追い抜きはブレーキング時に行いました。

先頭のポジションを互いに何回入れ替わったかは分かりませんが、ものすごい回数だった事は確かですし素晴らしい戦いでした。自分にとっては最高のレースでしたが、長い間こういう展開のレースを見ていなかったファンの人たちにとっても素晴らしいものだったと思っています。
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リードを保つためには全ての周回を最低21秒後半で走らなければいけませんでしたが、今回これを可能にしてくれたチームとエンジニアには本当に感謝しています。すごくいいリズムで走れたましたし、アメリカで初めて優勝する事ができて本当に嬉しいです。
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ケーシーは、追い抜き方に関してこっちが何回かの場面で強引だったと思っているようですが、とても残念に思いますし、自分はその意見には同意できません。追い抜いたのはブレーキングの時だけですし、こっちは毎回同じ場所でブレーキをかけています。それに接触すら一度もありません。もちろんアグレッシブなレース展開ではありましたが、フェアなものだった事は間違いありませんよ。

これで夏休みに入りますから、少しリラックスして過ごせるのが楽しみです。ただ、リラックスし過ぎない程度にしますけどね。まだ今シーズンは残り7レースがあるし、厳しい戦いになりそうですからね。このまま集中力を切らさずにいきたいです!
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●フィアット・ヤマハ(BS)チーム監督 ダビデ・ブリビオ

実際にはペイントされていなくとも、今日のバレンティーノのヘルメットには「ハート」が再び見えましたね!本当に素晴らしい勝利でした。レースウイークを通してわたしたちはハンデが足りない状況でしたが、誰1人として諦めるものはいませんでしたし、最初の数分までバレンティーノがケーシーに挑める方法を探し続けていました。

何もかも全てを最適化できるまでチームが頑張った後、ザ・ドクター(The Docter)が最後には完璧な走りを見せてくれましたね!今回はバレンティーノがどうしても負けたくないレースでしたし、彼は最後まで諦めずに戦いを続けました。これこそがバレンティーノです。彼とクルーに深い祝福の言葉を贈ります。
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休暇に入る前に25ポイントのリードを確保できたのは良い事でした。これからみんなで再充電をして、シーズン残り7回のレースに挑みたいと思います。今シーズン中に今回のようなバトルが再び見られると嬉しいですね。

その他の話としては、今回はホルヘ(ロレンソ)を大変に気の毒に思います。彼が最高の形で回復して、次戦のブルノから復帰する姿を今は楽しみにしています。
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■2位)ケーシー・ストーナー ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8

レースを終えた今は満足はできていません。ミスを犯した事でレースに勝つチャンスを逃しました。それにもうひとつ、バレンティーノは素晴らしいレースをしたとは思いますが、レース序盤の彼の動きは強引すぎたとも思います。
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いずれにしても、今はそれについてもうどうする事もできません。このレースで重要だったのは、開幕以後の悪い流れを過去の4レースで帳消しにした後、今回も貴重な20ポイントを獲得できた事です。夏休みを前にして年間タイトル連覇に向けて挑めるチャンスを取り戻しましたからね。

トップとの25ポイントの差は大きいですが、まだ残りは7レースありますので、何が起きても不思議ではありません。今週はチームにとって明るい話題が本当にたくさんありました。ドゥカティーとブリヂストンの懸命な努力が今回もまた実を結んだ事もその大きな1つですね。
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●ドゥカティーMotoGPチーム監督 リビオ・スッポ

本当にせっぱ詰まるレース内容でしたし観る側も白熱しました。現段階において2名は他のライダーから突出していますから、このスポーツの勝敗を左右するのは電子制御システムだけではない事をそれが証明していますね。ダニもその突出した僅かな中の1名ですが、残念ながら今日はここにはいませんでした。

ケーシーの3連覇の後、今回はバレンティーノの番となりましたが、これは十分に順当な結果と言えるでしょう。ただ、今回もしケーシーが並外れた冷静さと大人の走りを示していなかったら、これはわたしたち側の意見ですが、少なくとも数回以上は、少しばかり限界を超えたバレ(ロッシ)の動きにより、2名が揃って転倒していてもおかしくはなかった場面があったと考えています。
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不運にもケーシーは彼自身のミスにより痛手を被りましたが、白熱したバトルの中ではこういう事態も起きるものです。ただいずれにしても、わたしたちはこのシーズンの節目を好調な形で終える事ができました。

残念ながらマルコは本当に不運でした。彼はいいペースを維持していただけに残念です。


■3位)クリス・バーミューレン リズラ・スズキMotoGP GSV-R
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また表彰台に戻ってこられて本当に嬉しいです。2回連続の表彰台になりましたが、これは単に2回のレースというだけではなく、ラグナでの2年連続の意味もありますからね!

ここでの過去2回のレースとは全く異なるコンディションですから、スズキがより高い競争力を身につけた事の証明にもなりました。バイクに加えてきた変更のおかげで、トップグループとの差は大きく縮まっています。
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今日はトップ2と一緒に走りたかったですが、スタートでひっかかってしまい、そこで若干タイムをロスしています。集団を抜け出した後、前の2名はもうはるか彼方でしたから、その後はなんとも寂しいレースになってしまいました。周回数をカウントダウンする以外にやる事がないので、集中力を維持するのが大変でしたね。

●リズラ・スズキ・チーム監督 ポール・デニング

クリスの素晴らしい走りとそれに相応しい表彰台の獲得をたたえたいと思います。8番グリッドからスタートして上位に進出するのは簡単な事ではありませんが、彼はオープニングラップから素晴らしい走りを見せ、一度3位につけてからは、そのまま一気に表彰台目がけて走りきりました。
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また、わたしたちは今回のベンの走りにも感銘を受けています。レースが進むにつれて彼はGSV-Rからさらなる好感触が得られたとしており、スピードもその都度アップしていきました。彼は今週末を通しての内容に自信を持つ事ができた筈です。MotoGPは優れた才能を持つレーサーばかりですが、彼はその中でも見劣りする事などありませんでした。

ロリスについては、今の彼は体力を要求するサーキットでは常に辛い思いをしています。今朝は彼の右手の怪我を見ましたが、バイクに乗ろうとしている事すら驚かされる状態でした。彼にはレースへの出場にかける精神と勇気に感謝の言葉を伝えるばかりです。4週間後のブルノには本当のロリスが戻ってくる筈ですので、今はそれが楽しみですね。
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そしてまた、ブリヂストンおよび白熱のバトルを見せてくれたバレンティーノとケーシー、ならびに今日イギリスで素晴らしいダブルウインを果たしたわたしたちの姉妹チームであるリズラ・スズキ・ブリティッシュ・スーパーバイク・チームのトム・サイクスに、称賛の言葉を贈りたいと思います。


■アメリカGP決勝4位以下のライダーのコメント
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最後に、4位以下の各ライダーと一部チーム関係者のコメントを簡単に紹介する。未完走者やレース中のアクシデントに見舞われたライダーについては上記レース概況内のコメントを参照の事。


■4位)アンドレア・ドヴィツィオーゾ JiRチーム・スコット RC212V

今回はミシュランを履くホンダのライダーの中でトップの成績が獲得できて嬉しい。この結果によりそれらの好調さを示す事もできた。
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今日のバレンティーノとケーシーは信じられないような速さだった。スタートがうまく決まった後、1ラップ目にロレンソが転倒したのを見た時に、遠くを行くトップの2台を追いかけるのは不可能だと分かった。

バーミューレンにはつかまってしまったが、すごく速く走っていたヘイデンの背後につける事はできた。ヘイデンがペースを落としたのが分かった時に彼を抜きたかったが、ラグナは追い抜きが難しいので、その後の4ラップも彼の後ろで過ごす事になった。
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それから全力でヘイデンとド・プニエを交わしたが、彼らは強力なブレーキングが売りなので、追い抜きは楽じゃなかった。


■5位)ニッキー・ヘイデン レプソル・ホンダ・チーム RC212V
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ここは自分のホームなので、当然この結果よりもさらに上のポジションが争える事を願っていたが、自分たちの用意したタイヤの選択肢が厳しく、本当に苦しい週末になってしまった。

実用として使えるレースタイヤが2本しかなく、その内の1本をプラクティスを通して何度も何度も繰り返し使い続けた。金曜日と土曜日、それに今朝の午前中も履いたので、最終的にはその1本のみで合計35周も走る事になった。
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ただ、ひどく使い古したタイヤでセッティングを行った事はいい勉強になった思う。レースではグリップのいい新しいタイヤを装着したが、そのためにバイクのバランスが大きく変わってしまい、あちこちでフロントが押し出されそうな感じだった。もっとトップ集団の近くを走りたかったが、いい授業にはなった。
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これからは数週間の休みに入るので、この1年をいい成績で終えられるように状況を立て直していきたい。自分はさらに調子をあげていけるし、チームスタッフは日本での作業を進めてきてくれる筈。


■6位)ランディ・ド・プニエ ホンダLCR RC212V
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今週は自分たちにとって今シーズン最悪の金曜日を過ごしたが、やっとすごくいい成績を残す事ができた。昨日までの2日間はリアのグリップに苦しんだが、最終的にバイクのセッティングがよくなり、自分の思い通りのレースができるようになった。

スタートは完璧とは言えなかったが、レース中に順位を上げていけるとは思っていた。前半はトーズランドの背後で多くの周回を過ごし、その中で追い抜きを3回かけたがどれも失敗だった。

12ラップ目にトーズランドを交わした後はドヴィツィオーゾとヘイデンとの差を縮めようと攻め込んだが、彼らを交わのは無理だったので、その後はチームのためにいい成績が残せるようにポジションを最後まで維持する事に全力を注いだ。


■7位)トニ・エリアス アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8
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ここは自分のライディング・スタイルとは相性の良くないサーキットだが、今回はラグナで今シーズンここまでの自己最高位を記録する事ができた。

今週は3日間を通して高い競争力を維持できたと思う。ドゥカティーから提供された新しいパーツを2戦前から使用しているが、おかげでドライでも常にトップ10圏内のラップタイムを記録できるようになった。
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次戦のブルノには自信を持ってさらに上の結果を狙って挑める筈。必死に頑張ってくれているチームには本当に感謝している。


■8位)ベン・スピーズ リズラ・スズキMotoGP GSV-R
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今日は調子が良かったし、この結果には満足するべきだと思う。

まだタイヤに慣れていないので、スタート時にうまく発進する事ができなかった。その後は前方にいた数人のライダーに近づき、中野とトーズランドの姿が見え始め、しばらくして彼らを交わした。
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レース残り2周の時にはヘイデンとドヴィツィオーゾの姿が前方に見えたが、少しばかり遠すぎた。その後もどんどん調子は良くなったが、もう1周あると思っていた時にエリアスに交わされ、そこでチェッカーが降られてしまった。実際にはもうレースはそこで終わりだった。

今日はいいレースができたと思う。この経験により、今年の後半にあるインディアナ・ポリスGPには、さらに万端の準備を整えて挑めると思う。


■9位)ジェームス・トーズランド ヤマハTech3 YZR-M1
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今回はものすごい努力をしてきたつもりだったのに、全力を尽くしても9位にしかなれなかったのでこの結果には本当にがっかりしている。スタートは素晴らしくうまくいき、その時には4位に浮上したが、残念ながらその後は厳しいレースとなり、自分が思っていたよりも守りの走りにならざるを得なかった。

タイヤが硬めのコンパウンドだったので温まるのを待たなければいけなかったが、その影響から序盤にポジションを2つほど落とす事になった。ただ、いったん23秒台で走れるようになってからは、今週末の流れからいけば6位に入れれば十分だと思っていたので、その時にはとても満足していた。

その後ド・プニエとはいいバトルを結構な時間したが、彼のラップタイムは自分とほぼ同じだったので、彼を抑えるためにとにかく全力で攻め続けた。レース終盤には自分を交わそうとしてくるライダーたちをブロックしようと頑張ったが、最後にスピーズとエリアスに交わされてしまったのは残念だった。

結果だけみれば9位はあまりいい成績とは言えないし、今週に自分とチームが注ぎ込んできた努力に見合った成果とも思えない。でも、今回はこれ以上の結果は無理だったし、今日の自分に与えられたバイクやタイヤの性能は全て使い切る事ができたと感じている。

夏季休暇の後にはもっと強くなって戻ってきたいと思う。そして以前には可能だったトップ6入りをまた再現できるように戦っていきたい。


■10位)中野真矢 サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V
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今日はスタートがうまくいって序盤の数周は順位を上げていく事ができたにもかかわらず、結果的には10位に終わってしまい本当にがっかり。

8位につけていたレースの中盤にはトーズランドを交わそうと頑張ったが、ブレーキング時に大回りをしてしまい、距離が広がって挽回は無理だった。フリー・プラクティスの時のペースがとても良かったので、当然もっと上の成績を期待していたが、今回は全力を尽くしてこの結果だった。

まだシーズン終了までに多くのレースが残っているので、短い休暇の後はブルノに再び全神経を集中していきたい。
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●サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ・チーム監督 ファウスト・グレッシーニ

予選中の転倒の影響を2名のライダーが揃って今回のレースでは受けてしまい残念。また、いくつかの理由から真矢とアレックスは共にプラクティス中の走行ペースを再現する事ができなかった。

今回のグランプリの事は早く忘れて先に進みたい。ただ、いずれにしても夏休み明け以降の戦いには期待が持てる。今日のアレックスは親指を骨折したまま戦ったが、ブルノまでには回復する筈。

全体的に見れば、自分たちがもっと上位の成績を狙って戦える実力を今回は示す事ができたと思うが、今回は少し運がなかった。今後の自分たちに必要なのは、もっと一貫性のある戦いをしていく事。


■11位)ジェイミー・ハッキング カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR
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ものすごく興奮した!低いグリッド位置からのスタートはあまりうまくいかなかったが、実を言うとその時に他のライダーたちが遠くに離れていくのを見て、レースの序盤は自分の走りにひとりで専念できると思って少し安心した。

誰もいないコースでいいリズムをつかむ事ができたので、すぐに23秒台前半のペースを維持する事ができるようになった。その後、ベン・スピーズの背後にまでポジションを上げた時に彼が振り返ってこっちが誰かを確認してきたが、その時の自分は少し息抜きしようと思っている時だった。その瞬間、彼がいきなりペースを上げてしまい、追いつけないほどの大差を広げられてしまった。
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バイクの調子は素晴らしかったし、レースを通して自分のタイムは非常に安定していたが、レース終盤にエリアスに前を奪われてしまった事で、去年にロジャー・リーが残したトップ10入りの結果には並べなくなった。

まあ、それでも今週はMotoGPの選手として本当に楽しく過ごせたので、この機会を提供してくれたカワサキに感謝の気持ちを伝えたい。全員が歓迎してくれているのが心地よく嬉しかったし、一緒に働く上で本当に素晴らしいチームだった。
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●カワサキ・コンペティション・マネージャー ミハエル・バルトレミー

ジェイミーは週末を通して素晴らしかったし、今日も激しく攻め続けてとてもいいレースを見せてくれた。ジェイミーは彼にとって初のMotoGPでのレースを通して、4位を争っていた他のライダーたちと同じペースで走れる事を証明して見せた。

もし予選結果がもっと高く、スタートさえ成功していれば、今日はさらに上の順位を狙って戦う事ができた筈。今週末のジェイミーの仕事への取り組み方には個人的にも感謝しているし、チームの全員が彼のプロとしての振る舞いを高く評価している。


■12位)シルバン・ギントーリ アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8
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スタートはうまくいったが、1コーナーでリアタイヤが他のライダーと接触したためにコースアウトして大きくタイムをロスしてしまった。その後は挽回を試みたが、今日の午前中と同じリズムでは走る事ができなかった。

おそらく路面温度の変化が悪影響して、午前のウォームアップの時にはあったリアタイヤへの自信が持てなくなったんだと思うが、原因はこれから調査したい。本来ならもっといいレースができたと思うので、今回の内容には満足できていない。


■13位)アレックス・デ・アンジェリス サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V
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本当に難しいレースだった。予選での出来事が残念で仕方がない。レースの後半はウエストの背後にひっかかりタイムを大きくロスしてしまった。今日は仮に体調が良くても、また仮に予選の結果がよかったとしても表彰台は狙えなかったが、自分の前を走っていた集団は本来なら十分に射程圏内だった。

ただ、チェッカーに辿り着くのさえ厳しい体調の中でポイントをいくらか獲得できたので、チームとしては良い兆候が得られたレースだったと思う。ここではもっといい結果が狙えるくらいに調子が良かったから悔しいが、ブルノまでに親指は回復しそうなので、その点は良かった。


■14位)コーリン・エドワーズ ヤマハTech3 YZR-M1

今回のレース結果が自分の期待以下だったなんて台詞は言う必要すらないと思う。ヤマハ・アメリカや地元のファン、それに家族からのすごい声援を今週はたくさんもらっていたが、彼らに本当に見せたかった結果を今回は残す事ができなかった。TECH3のスタッフも疲れ知らずのまま働いてくれたが、今日は何も自分たちの期待通りには進まなかった。
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正直、今回のレースはスタートの段階からフロントタイヤの硬めのコンパウンドに苦しんでいた。誰かを交わそうとブレーキをかけている最中には何度も危険な瞬間があったし、多くの場所でタイムを大きくロスした。

その後は徐々に後方に下がりながら調子が上がるのを待つしか手がなく、とても悔しかったが、どうしてもフロントには全く自信が持てなかった。自分がフロント酷使のライダーだって事はみんな知ってるよね。

転倒した前回のドイツと同様に今週も厳しい内容になってしまったから、今は夏休みと、もっと調子を上げてブルノに挑む事が楽しみ。自分はまだ年間ランキングの4位を狙える状況だし、今もTECH3はチーム・ランキングの4位につけているので、残り7レースも何かと戦いがいがいっぱいあるしね。
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●ヤマハTECH3チーム監督 エルベ・ポンシャラル

わたしたちにとっては難しいレースウイークだった。ここでの良い結果を持って夏休みには入りたいと思っていたが、フリー・プラクティスの時の内容を思えば、ジェームスは本当にいいレースをしてくれたと思っている。

長丁場のレースを通してジェームスが今回あそこまで高いポジションを維持できるとは思ってもいなかった。彼はいつものように最後まで諦める事なく全力を振り絞っていたので、残り2周のところで順位を2つ落としたのは気の毒だった。

ジェームスがこんなにいいレースを見せてくれて嬉しかったが、コーリンにとっては非常に残念なグランプリとなってしまった。ドイツでの転倒の影響から彼は首に問題を抱えていたし、プラクティスの最中にもいくつか問題が発生していた。

今回のコーリンはわたしたちが普段から知る彼とは別人のような状態だったし、その結果、彼はレースに自信を持って挑む事もできていなかった。ひとつ救いなのは、今年の後半にはアメリカでもう1回彼のホームグランプリが行われる事。その時の彼はもっといい状態でレースに挑める筈。
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現時点においてもチームはランキングの4位につけているので、この順位を維持するためにも、さらに頑張り続けなければいけない。これからの夏休みが全員にとっていい時間となり、ブルノにはさらに強くなって戻ってこれる事を願っている。

最後にヤマハ、ならびにラグナ・セカでの初勝利を獲得したバレンティーノに、祝福の言葉を贈りたい。


■15位)ロリス・カピロッシ リズラ・スズキMotoGP GSV-R
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今日は本当に大変な1日だった。いいセッティングが仕上がっていたので、スタートはあまりうまくいかなかったがレース序盤に順位を2つほど挽回する事ができた。ただ、数周を走るうちに痛みが激しくなってしまい、方向転換をするのが一苦労だった。このサーキットは体力的に厳しい場所が多いしね。

可能な限り激しく攻め続ける事だけを考え、なんとか最後まで走り切る事ができた。1ポイントの獲得は決して良い結果ではないが、チームのために自分の最大限の走りをする事を常に心がけているので、自分にとってはそれを達成できた事が重要だった。1ポイントにあまり意味はないが最後まで戦う事はできたからね。
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これからの3週間がいい休息になる事を願っている。今日は速く走るのが不可能だったので、ブルノまでには体調を100%に戻しておきたい。


■16位)マルコ・メランドリ ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8

(レース概況内のコメントを参照)


■17位)アンソニー・ウエスト カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR

(レース概況内のコメントを参照)

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