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第2戦スペインGP初日、ロレンソ・ランドの旗を用意しそうなロレンソ |
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2008年3月29日
2008年MotoGPの第2戦目となるスペインGPが、アンダルシアの丘に位置するヘレス・サーキットにて初日のセッションを3月28日に迎えている。ここでは、青空と温かい陽射しに恵まれ、路面温度が冬季IRTAテストの時よりも10度近く上昇したヘレス1日目のMotoGPクラス初日のフリー・プラクティス総合結果、ならびに各チームやライダーの作業状況を紹介する。
■スペインGP初日の目立った転倒者は5名
この日は午後に5名の転倒者が出ているが、幸い深刻な怪我を負ったライダーは1人もいなかったようだ。各ライダーの転倒の状況は以下の通り。
■トーズランド、ストーナー、ギントーリ、中野選手、ホプキンスが転倒
午後のセッションにおいてTECH3ヤマハのジェームス・トーズランドは2コーナーでのブレーキング時、フロントタイヤのグリップの良さに合わない柔らかめのサスペンション調整をしていた事からフォークが底をつき転倒している。
午前中はハードブレーキング時のフロントの挙動に問題を抱えていたドゥカティーのケーシー・ストーナーは、そのフロントの問題を解消した後の午後にはリアが跳ねて暴れるようになり、それが原因で転倒。
アリーチェ・チームのシルバン・ギントーリは、午後に入ってマシンの調子が上がり、レプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンの背後についてハイペースで攻め込んだところ5コーナーでバランスを崩し転倒。その後はセカンドバイクに乗り換えたが、それ以降はタイムを改善する事はできなかった。
サンカルロ・ホンダ・グレッシーニの中野真矢選手は、午後のセッション終盤に路面温度の上昇に合わせてタイヤを硬めのコンパウンドのものに変えて走行したところで転倒。
リアのグリップ不足に苦しんでいたカワサキのジョン・ホプキンスは、午後に今回の自己ベストタイムを記録した直後、バックストレート終端のブレーキング時に軽く転倒している。1月末のフィリップ・アイランドで負った筋肉の怪我が気になるホプキンスだが、特に古傷に悪影響を及ぼすようなダメージは一切受けていないという。
■体調不良を抱えるライダー、トーズランドは39度近い熱
先に示した通り、初日は午後に軽い転倒を喫したものの幸い全く怪我はなかったTECH3ヤマハのジェームス・トーズランドだが、彼は今週に入ってから気管支炎を患っており、この日は朝からひどい咳を伴う発作と、体温38.7度の高熱から来る気分の悪さに苦しんでいる。前日の木曜日は初日のセッションに参加できるか不安だったというトーズランドは、午後のFP2を終えた直後にクリニカ・モバイルで長時間の点滴を受けたようだ。
■ペドロサ、バイクに乗ると手は腫れるがタイムへの影響はなし
その他には、冬季シーズン中の怪我の回復状況が心配されるレプソル・ホンダのダニ・ペドロサとカワサキのジョン・ホプキンスだが、どちらもまだ完全に痛みは取れていない様子だ。
ペドロサは今回もバイクに乗ってすぐに、1月に骨折した右の手のひらが腫れあがり、走行中は時々痛みを感じたようだが、カタールの開幕戦の時に比べれば状況は大きく良くなったとしており、走りに影響が出るレベルではすでにないとチームは発表している。
■完治にはもう少し時間のかかるホプキンス
回復は進んでいるものの、MRIによる再検査の結果によれば、まだ左足付け根付近の筋肉の傷が完治していない事が判明しているホプキンスの方は、特にこの日の走りと怪我の関係についてはコメントしていない。
■スペインGP1日目、MotoGPクラス初日の総合順位
以下に、3月28日の金曜日、午前と午後に行われたMotoGPクラス2回のフリー・プラクティスを通しての総合順位を示す。午前のセッション(FP1)開始時の気温は18度、路面温度は23度、湿度は46%。午後のセッション(FP2)開始時の気温は21度、路面温度は27度、湿度は30%だった。路面は終日良好なドライ・コンディションに恵まれている。
1) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分40秒321
2) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分40秒364
3) コーリン・エドワーズ USA ヤマハTech3 YZR-M1 1分40秒584
4) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分40秒673
5) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分40秒815
6) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分40秒828
7) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiRチーム・スコット RC212V 1分40秒909
8) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハTech3 YZR-M1 1分41秒028
9) ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキMotoGP GSV-R 1分41秒157
10) アレックス・デ・アンジェリス RSM サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分41秒189
11) ランディ・ド・プニエ FRA ホンダLCR RC212V 1分41秒268
12) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキMotoGP GSV-R 1分41秒303
13) 中野真矢 JPN サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分41秒393
14) ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分41秒519
15) マルコ・メランドリ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分41秒825
16) シルバン・ギントーリ FRA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分42秒115
17) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分42秒181
18) トニ・エリアス SPA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分42秒183
ヘレスのサーキットレコードは2005年にバレンティーノ・ロッシが記録した1分40秒596、ベストラップレコードは2006年にロリス・カピロッシが記録した1分39秒064。
■点滴の必要なトーズランドを除くヤマハ勢が上位を独占
昨年の混戦と同様に今年も初日から僅差の争いとなり、総合上位12名のライダーが1秒以内の争いを繰り広げる中、1日目のタイムシートのトップ3を独占したのは、気管支炎に苦しみ初日総合8位となったジェームス・トーズランドを除くヤマハ勢だった。カタールの予選での1列目独占に引き続き、昨年はロッシとエドワーズが表彰台を揃って獲得したヘレスでもヤマハ勢は変わらず全体的に好調だ。
■ロレンソ・ランドの旗を用意しそうなロレンソ
今回のヤマハのトップ3筆頭となったのは、カタールの開幕戦でポールポジションを獲得した好調のMotoGPルーキー、地元スペインでのMotoGP初優勝を狙うホルヘ・ロレンソだった。
■ロマノーリ監督「課題はフロントの接地感向上」
この日にロレンソは2月のIRTAテスト時のベースセッティングから作業を開始し、午後までに大きくマシンの改善を進める事に成功し、この日のトップタイムの1分40秒321を記録している。ミシュラン側のフィアット・ヤマハ・チームの監督を務めるダニエーレ・ロマノーリは「フロントの接地感にまだ問題が残っており、2日目以降の最大の課題がその問題の解消」とコメントし、ロレンソ本人はこの日のタイヤとバイクの両方に満足できたと午後のセッション終了後に述べた。
■ロレンソ「2日目は最前列を狙っていく」
「IRTAテストとカタールの開幕戦を通してマシンのいいベースセッティングが仕上がっている。まだ作業は必要だがいい方向性はつかめていると思うし、今日のミシュランタイヤとバイクの感触はどちらも良い。2日目は最前列を狙って戦いたい」とロレンソ。
■2番手はブリヂストン勢のトップとなったロッシ
ロレンソに次ぐ初日の総合2番手につけたのは、今年から履き替えたばかりのブリヂストンタイヤと、ヤマハのマシンとの組み合わせ方が見えてきたという、昨年はヘレスで勝利を飾ったフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシだ。
ロッシはこの日の午後、カタールで苦戦したバイクとタイヤの検証作業から着手し、その後はすぐにマシンの改善が進んだという。ロッシは午後も順調に安定して速いペースで走行を重ね、ロレンソから僅か0.043秒差の2番手タイムとなる1分40秒364を記録している。
■ブリビオ監督「YZR-M1とブリヂストンの組み合わせ方が見えた」
ブリヂストン側フィアット・ヤマハのチーム監督を務めるダビデ・ブリビオは「カタールのデータをエンジニアが分析し、今日はいくつか新しいアイデアを試したが全てうまくいった。バイクとタイヤの正しい組み合わせ方が見えたと思う。残りのレースウイークもこのまま改善を進めて、レースに向けてのタイヤ選択に集中していきたい」とコメント。
■ロッシ「すごく嬉しいが気を抜いてる場合じゃない」
カタールのレース後はやや落ち込んでいたロッシは、この日の2番手タイムを記録後、「初日から午前は3番手、午後は2番手になれてすごく嬉しい!今のバイクとタイヤで快適に走れている。日曜日のレースに向けてリズムがつかめるようにもう少し頑張る必要はあるが、楽しんで速く走れるのでいいベースは仕上がったと思う。トップ3がヤマハというのが素晴らしいし、またヤマハのバイクの好調さを示す事ができた。ブリヂストンの感触はとてもいい。パッケージ全体の改善状況は順調だが、気を抜く暇はないし、明日も全力が出せるように頑張るつもり」と久しぶりに明るいコメントを残している。
■昨年3位表彰台のエドワーズが今年のヘレスでも好調
ロッシに次ぐこの日の総合3番手タイムとなる1分40秒584を記録した昨年までのロッシのチームメイト、今年はTECH3ヤマハで戦うコーリン・エドワーズは、朝からマシンの調子が良かったのでシャシーについてはそれほど大きく調整を施す必要がなかったとコメントしている。
■エドワーズ「マシンの調子が最初からいい」
「午前はマシンの安定性を高めるために電子制御システムの調整を行った。シャシーに関しては最初から調子が良く、多くの作業は必要なかったが、明日は今の方向性が正しい事を再確認するために別のセッティングも試すつもり。今回はヘレスがヤマハにとって非常に相性のいいサーキットである事を再確認できた。明日にもう1本試すタイヤが残っているが、すでにレースで使えそうなタイヤは見つかっている。ミシュランはすごく進化したのでとても自信が持てる」とエドワーズ。
■トーズランド「酸欠状態」
なお、高い発熱と気管支炎の咳に苦しみながらも、この日の8番手タイムとなる1分41秒028を記録したチームメイトのジェームス・トーズランドは「今日は走れるか不安だった。息がしっかり吸えないから走行中に酸欠になってすぐに疲れてしまう。転倒の時はブレーキング時にフロントフォークが下がりきってしまったのが原因だが、グリップのいいタイヤに合わせてサスペンションのセッティングを調整しておく必要があった」とコメント。
■ヤマハのトップ3に続いたのはホンダワークスの2名
ヤマハ勢の3名に続くこの日の総合4番手タイムの1分40秒673を記録したのは、2年前にヘレスではチームメイトのダニ・ペドロサと揃って表彰台に乗っているレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンだった。
■ヘイデンは今回も初日は2種類のシャシー
この日にヘイデンはIRTAテストで使用したシャシーを搭載したマシンと、HRCがカタールで用意していた最新の2008年型シャシーを搭載したマシンの2台をガレージに用意していたが、今回記録した4番手タイムは最新型シャシーの方で記録しており、翌日2日目以降は両方のマシンに最新型シャシーを採用する事を検討中だという。
■ヘイデン「2日目以降は最新型シャシーのみにする」
「カタールの時よりも確実に調子は上がったし楽しんで走れる。バイク全体の感触は悪くないし、何よりミシュランは常にヘレスでは調子がいい。ここでは2月のIRTAテストの時にいいセッティングを見つけていたし、タイヤとバイクの両方のセッティングに関してあの当時と大きな違いはないが、今回から使用した新しいシャシーがいい効果を発揮している事は明らか」とヘイデン。
■ペドロサ「シャシーが新しい分、さらなる調整は必要」
ヘイデンに次ぐこの日の5番手タイムとなる1分40秒815を記録したのは、レプソル・ホンダのチームメイトであるダニ・ペドロサだ。地元での好成績を期待し、この日は主にフロント・サスペンションのセッティングに終日費やしたペドロサは、初日の作業内容にはあまり納得できていない様子であり、まだ完全にRC212Vやミシュランタイヤの性能を出し切れていないという印象を持っている。なお、ペドロサが今回使用しているシャシーは彼がカタールでも使用した2008年の最新版だ。
「今日はタイヤとサスペンション関連の作業から着手した。カタールで使用したセッティングから開始したが、明らかに先月のIRTAテストの時と比べて大きく進歩が得られている。ただ、タイヤに関してはまだ多くの作業が必要。これは単に日曜日のレースのためだけではなく、シャシーがまだ新しい事が理由の1つ。右手は走っているとすぐに腫れてしまうが、カタールの時よりは調子がいいし回復は順調」とペドロサ。
■ドゥカティーは今年も初日からヘレスでは苦戦
ヤマハの3名とホンダの2名に続くこの日の6番手タイムとなる1分40秒828を記録したのは、昨年のヘレスでは好調だった年間シーズンの中で最も苦戦したドゥカティーのケーシー・ストーナ。
■ストーナー「明日はフロントの調整を若干やり直す」
この日の午前中はフロントのセッティングに苦しみ、それを解消した午後にはリア側の調子が悪くなり転倒、ヘレスがドゥカティーにとって難しいサーキットである事を再認識したというストーナーは、翌日は手戻り覚悟でフロントのセッティングから作業をやり直すつもりだ。
「このサーキットは自分たちにとってやはり難しいサーキット。午前の序盤はいいセッティングを見つけるのに苦労し、激しいブレーキングからのコーナー進入が難しかった。午後に問題は解消したが、今度はリアが跳ねて暴れる状態になってしまった。明日は少しセッティングを前の状態に戻して、まずはフロントのセッティングからやり直したい。フロントの問題が様々な問題を引き起こしているので、リアの問題を解消するのはそれを解決してから」とストーナー。
■初日は全くマシンの改善が進まなかったメランドリ
また、開幕後も冬季シーズン中に引き続きドゥカティーのマシンとの相性に苦しむチームメイトのマルコ・メランドリは、カタールのレース終盤には好感触が得られた筈のセッティングがヘレスではうまく機能せずに苦しんでいる。この日のメランドリのタイムは総合15番手となる1分41秒825だった。
「カタールで快適だったセッティングがここではうまく機能してくれない。グリップが良くなるように調整し、ブレーキング時の挙動が良くなるように試みたが効果が得られない。ドゥカティーにとって相性のいいサーキットではない事は知っているが、もう少しうまくいくと思っていた。このまま頑張り続けるしかないし、明日もいい天気になる事を祈るのみ」とメランドリ。
■エンジン調整の仕上がりに満足するJiRチーム・スコットは
ドゥカティーのストーナーに次ぐ7番手タイムの1分40秒909は、開幕デビュー戦でバレンティーノ・ロッシを背後に抑えて4位を獲得したJiRチーム・スコットのアンドレア・ドヴィツィオーゾだった。
■課題はサスペンションまわりの調整
追い抜きの難しいヘレスでは2日目の予選を重視した作業を行いたいとするJiRチーム・スコットは、この日はミシュランの新型タイヤをテストする中、エンジン・チューニングとサスペンションのセッティングに取り組んでいるが、エンジンの出力特性には満足がいく結果が得られたとするものの、サスペンションにはまだ課題が残るとしている。
■ドヴィツィオーゾ「明日はブレーキング時の安定性強化に集中」
ドヴィツィオーゾはこの日の内容について「ミシュランが最新のデータを反映したタイヤを持ち込んでくれたので、今日はあまりラップタイムは意識する事なくその作業に集中した。エンジンの状態にはすごく満足できており、出力特性と電子制御関係のセッティングは順調」とコメントし、2日目については「明日はブレーキング時の安定性強化に集中したい。今はその部分が自分たちの弱点だしタイムに悪影響が出ている。ここはシャシーに負担がかかるサーキットだから、まだ改善の余地は大きい」と語った。
■2名揃って2007型フェアリングを持ち出したリズラ・スズキ
冬季テストから開幕戦までの期間を通して、新型マシンの調整にやや苦しんでいるリズラ・スズキの2名は、期待通りの順位とはいかなかったものの、ヘレス初日の作業内容には納得できた様子だ。
なお、ロリス・カピロッシは開幕戦において、2008年型シャシーに2007年型フェアリングを装着したマシンを使用していたが、今回はチームメイトのクリス・バーミューレンも全く同じ仕様のマシンを使用しており、2007年型フェアリングに好感触が得られたとしている。
■カピロッシ「今回はトップとそんなに差が開いている訳じゃない!」
この日の9番手タイムとなる1分41秒157を記録したロリス・カピロッシは、「そんなに悪い日じゃなかったと思うね!前回のテストの時とは違う事を色々試したが、個人的にはこれから何を進めていけばいいのか理解できたつもり。だから明日は改善が進むと思う。それに今だってトップからそんなに差が開いている訳じゃないしね!」と1日目の内容には好感触を示し、今後の課題については「エンジンの出力特性を改善する必要がある。タイヤについてはブリヂストンと話し合ってグリップがもっと得られるようにしたい」とコメントした。
■バーミューレン「2007年型エアロパーツは好調」
カピロッシのチームメイトのクリス・バーミューレンは、トップのロレンソから1秒以内の範囲に入ったこの日最後のライダーだった。総合12番手タイムとなる1分41秒303を記録したバーミューレンは「今日はいい初日だったと思う。2007年型エアロとか、今回はカタールの時とは違うパーツを色々試したが好調に感じた。4ヶ月ぶりのパーツなのでライディングの感触が最初は変に思ったが、すぐに乗りやすく感じるようになり、安定してスピードも速くなりテストの時よりもいいタイムになった。最後は29周回を同じフロントタイヤのまま走ったがすごく耐久性は良さそう。明日はもっとスピード重視の調整をしてレースに備えたい」と述べており、一部旧型パーツの組み合わせに戻したマシンを気に入った様子だ。
■デニング監督「レースペースは良いが・・・」
また、リズラ・スズキのチーム監督を務めるポール・デニングは「今日はタイムには反映されなかったがカタールの初日よりはずっと好調だった。新品のタイヤでは目立った速いタイムは記録できなかったが、ユーズド・タイヤで走った時にはいいペースなのでレースに向けてはいい兆候だが、明日の予選でも最大限の結果が残せるようさらなる改善を進めておきたい」とコメント。
■2日目の予選までに冬季中の課題を解決したいホンダ・グレッシーニ
冬季テストから予選タイヤでタイムを縮める事に苦戦しているサンカルロ・ホンダ・グレシーニ・チームは、予選の重要なヘレスではその課題を解決しておきたいと考えている。
■デ・アンジェリス「最重点課題は予選タイヤ性能を使えるようにする事」
この日の10番手タイムとなる1分41秒189を記録したアレックス・デ・アンジェリスは、「今日はまわりのタイムが僅差なので、今回の順位は悪くない結果だと思う。バイクにいい調整を施す事ができてからは上位とのタイム差はかなり縮まった。明日は予選でソフトタイヤの性能を最大限に引き出せるように頑張りたいし、それが今の自分たちにとての最重点課題。レースタイヤでの走行ペースは悪くないし、まだ2日目以降の改善に向けてのアイデアもいくつかある」とコメント。
■中野選手「硬めのタイヤを試した時に転倒」
午後のセッション終盤には転倒を喫したものの、幸い怪我は免れた中野真矢選手は「ベースセッティングは2月のIRTAテストの時のデータから開始した。カタールでの他のライダーとの差をここでは縮める事ができたし、貴重なコンマ数秒を削り落とす事ができている。今日は予想より温度が高かったので、最新のデータを収集するために硬めのタイヤを試した。それが原因で転んでしまったが身体は大丈夫」と述べており、低温路面に苦しんだカタールのナイトレースの時よりはマシンに好感触が得られている様子だ。
■午前中は絶不調だったホンダLCR
ホンダLCRのランディ・ド・プニエは、この日は午前中にリアのグリップが全く得られずに苦しみ、タイムシート上の16番手のポジションでFP1を終えたが、午後のFP2では改善が進み、午前の自己ベストを1秒近く更新して総合11番手タイムの1分41秒268で1日目の作業を終えた。
■ド・プニエ「冬季テストの時のレベルに到達できていない」
「正直言って1日目の内容にはあまり満足できていない。午前はリアのトラクション不足に苦しみ、スロットルが開けられず全く速く走れない状態だった。午後はエンジン・マッピングとシャシーのセッティング作業に取り組み、悪くない状態にはなったが、まだ冬季テストの時と同じレベルには到達できていないので、明日はさらに調整を進めてコンマ何秒か削れるようにしたい」とド・プニエ。
■リアのトラクション不足に苦しむカワサキ
2月のヘレスIRTAテストではジョン・ホプキンスの怪我の影響のためにタイヤテストが思うように進まず、やや今回は他のチームと比べて不利な状況だったとするカワサキ・レーシング・チームは、今回初日のヘレスではいいレースタイヤを見つける事に苦労し、全般的にリアのグリップ不足にも苦しんだようだ。
■ホプキンス「不利な状況にしてはいい進歩が得られた」
この日の午前中にジョン・ホプキンスは、フロントとリアのブリヂストンタイヤの組み合わせをテストしながら、マシンのセッティング改善に取り組んだとしている。午後に走行ペースが上がってから、ホプキンスはバックストレート終端に激しく攻め込みすぎて軽い転倒を喫しているが、幸い身体へのダメージは一切なかったという。
「今日は主にリアのグリップの改善に取り組み多くのタイヤの組み合わせをためした。バックストレート・エンドでのブレーキングが激しくしすぎてフロントを失い転倒したが、幸い怪我は負っていない。ここではテストの時にあまり走り込めていないが、ヘレスはいつも楽しんで走れる場所なので改善は進む筈。それに今日はそういう不利な状況にもかかわらずいい進展が得られたと思う。残念ながら今回は少なめに選んでおいたタイヤが当たりだったので、今一番気に入っているタイヤはセーブしておかなきゃいけないので使えないが、明日もリアのトラクション改善を続ける予定」とホプキンス。
■絶不調のウエストについて説明するマルティネス
また、冬季シーズンから開幕戦までを通して走行ペースが全く上がらず、やや深刻な状況に陥っているアンソニー・ウエストだが、今年からウエストのチーフ・クルーを担当しているファン・マルティネスは「テストの時からリアのトラクションに問題を抱えている。今日は様々なセッティングの組み合わせを試してアンソニーのライディング・スタイルにマシンを合わせようと試み、改善は得られている。まだ今後も作業は必要だが、アンソニーにとってキーとなる改善点を2つほど見つけているので今晩も調整を進めたい」と説明し、ウエストのライディング・スタイルに合うようにマシンのセッティング変更をこの日は繰り返した事を明かしている。
■ウエスト「色々試したが効果が得られない」
初日の17番手となる1分42秒181を記録したウエスト本人は、この日の作業内容について、「気分を一新してここに来たが、テストの時と同じ問題に今回も苦しんでいる。リアのグリップが十分に得られないのでコーナーの脱出がうまくいかない。今日はこの問題を解決するために新しいクラッチを試したりライディング・ポジションの変更も行ったが、あまり効果は得られなかった。ブレーキングの時にバイクがナーバスな挙動を見せるのでコーナーへの進入も難しい。グリップさえ得られればもっとタイムは良くなる筈なあので、早く問題を解消したい」とコメントしており、初日の試行錯誤の結果からはあまり良い結果が得られてない様子だ。
■地元でも苦しいアリーチェ・チーム
2008年に入ってサテライト仕様のドゥカティーGP8を手にして以来、ドライ路面ではタイムシートの上位に食い込む事がほとんどなくなっている不調のアリーチェ・チームだが、チームの運営母体とトニ・エリアスの地元スペインでも1日目は苦しい内容となったようだ。
■ギントーリ「午後は転倒するまでは調子が良かった」
この日の総合16番手タイムとなる1分42秒115を記録したシルバン・ギントーリは、午前中は全くマシンから好感触が得られずに苦しんでいたが、午後にはいいセッティングが見つかり1秒近く午前のタイムを更新していた。しかしながら、その直後にハイペースで走行するレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンを追いかけている最中に5コーナーを曲がりきれずに転倒、うまく仕上がりつつあったメインマシンに大きなダメージを与え、その後はタイムを更新する事ができなくなった。
「午前はいいセッティングが見つからずに苦労したが、午後に入りバイクの調子はすごく良くなった。激しく攻め込みすぎて5コーナーで転んでしまったが、ニッキーの後ろでいい走りができていたし、転ぶまでの感触はすごく良かったので、翌日の予選に向けてはさらにセッティングと自分の感触を改善できるようにしたい」とコメント。
■エリアス「頑張るしかない」
地元スペインでの初日を、タイムシート上の最後尾となる18番手タイムとなる1分42秒183で終えたトニ・エリアスは、頑張るしかないと語る。
「大変な状況だが頑張り続けるしかない。2月のテストの時と同じ問題が発生している。なんとかドゥカティーとブリヂストンの性能を100%発揮できるように、これからデータを分析して対策を検討したい」とエリアス。
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