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ヘレスIRTAテスト3日間を終えての各チームの状況
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インテリマーク編集部
  2008年2月22日

今年のBMW杯は3日間のIRTAテストの最終日ではなく中日の2日目に開催されたため、勝利したケーシー・ストーナーにBMWの新車が贈呈された翌日の2月18日にも、各チームのレギュラーライダーたちはヘレスでのIRTAテスト最終日の貴重な時間を、開幕に向けてのマシンの調整やタイヤのテストに費やしている。
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ここでは、午前は2日目に引き続きあいにくの雨となったものの、午後には明るい陽射しと3時間程度のドライ路面に恵まれたヘレスIRTAテスト3日目最終日のテスト状況と結果、ならびに全レギュラー・ライダーのコメントなどを紹介する。
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■ヘレスIRTAテスト最終日の天候

終日の豪雨と強風が予想されていたIRTAテスト最終日のスペインのヘレス・サーキットだが、正午過ぎからは朝から降り続いた雨はやみ、低かった気温が徐々に上がった事から、午前の湿った路面での走行を見合わせていた多くのライダーたちも午後2時頃からはコースに姿を見せ、レースタイヤや予選タイヤなどのスリックタイヤを装着してのテスト走行を開始している。
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2日目の雨で流れた予定の作業を取り返そうと、夕方近くにはほとんどのライダーがコース上での走行を重ねたが、この日は2日目の夕方と同じく風が強く、一部のライダーは強風に煽られるような形で転倒するなど、時間帯によってはコーナリングがままならない厳しい走行条件だった様子だ。


■最終日の転倒者は2名

最終日は正午近くにTECH3ヤマハのジェームス・トーズランド、午後にはドゥカティーのケーシー・ストーナーという2名の目立った転倒者が出ている。

■トーズランドが走行開始直後の1コーナーでいきなり転倒
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まだ路面が乾かないうちに走行を開始したトーズランドは、ウォームアップラップを終えてこの日初めて進入した1コーナーで激しく高速転倒、右の足首をバイクの下敷きにする形で捻挫を負い、そのまま車に乗せられて医療センターに運ばれている。幸いトーズランドの右足首には骨折などの致命的なダメージは見つかっておらず、痛みを押してトーズランドは午後から夕方にかけてコースに復帰し、セッション終了までミシュランのタイヤテストを続けたようだ。

■ストーナーはセカンドバイクへの乗り換え直後に転倒
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続く午後の半ばには、セカンドバイクに乗り換えてセッティング作業を開始したケーシー・ストーナーが強風に煽られ、フロントを浮かせる形となり軽い転倒を喫している。ストーナーには一切怪我はなく、再びメインマシンに戻してチームは作業を再開しているが、予定していたセカンドマシンを用いての比較検証作業ができなくなるなど、ドゥカティーのテストの内容には悪影響が出てしまった様子だ。


■怪我の影響に苦しむペドロサとホプキンスは調整レベルの走行

また、以前のプレシーズン中の怪我の影響により2日目のBMW杯を欠場したレプソル・ホンダのダニ・ペドロサとカワサキのジョン・ホプキンスは、この日はコース上に姿を見せている。

■ペドロサは右手首への負担を和らげるセッティング作業に集中
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前日の2日目は終日走行を見合わせたダニ・ペドロサは、慎重な姿勢を取るレプソル・ホンダ・チームを押して本人の意志から最終日の走行に参加しており、35周回の走行を通して怪我を負っている右手首への負担を和らげる事を目的としたセッティング調整に時間を費やしている。

■2日目の走行が裏目に出たホプキンス
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またジョン・ホプキンスは、2日目はBMW杯の前の午前のFP2には参加したが、この時の走行がフィリップ・アイランドで負った腰から足にかけての筋肉の怪我に悪影響を及ぼしており、3日目は無理をせずにスタート練習とクラッチまわりの部品の暖機を目的とした20周回に留めている。


■その他の怪我や欠場の情報、メランドリは2日目に腰も強打

その他の怪我人の情報としては、2日目の午前中に頭部から転倒する形となったドゥカティーのマルコ・メランドリは、この時に同時に強打した腰の左側にも痛みを訴えており、クリニカ・モバイルで朝から治療を受けているが、特に最終日のテストに支障は生じていない様子だ。

■オフ期間中に怪我を負っていたエリアス
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また、年明けにドゥカティーGP8を手にしてからは調子の上がらないアリーチェ・チームのトニ・エリアスだが、彼は冬季のオフ期間中にモトクロスバイクでのトレーニング時に転倒、骨盤と背骨を強打しており、現在も治療を続けているという。

■エドワーズは1日早く撤収
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なお、最終日はTECH3ヤマハのコーリン・エドワーズが1周も走行を行っていないが、これはこの3日目は終日の悪天候が予想されていた事から、チームはヤマハとミシュランから合意を取った上で、前日の2日目までに十分にテスト作業を進めたエドワーズを1日早く母国に戻した結果であり、特にエドワーズの体調に問題があった訳ではなくこの日は単に休業だったようだ。


■カタールIRTAテストは開幕戦と同じく夜間照明

今回のヘレスでのIRTAテストが終了し、次回はいよいよ開幕戦の舞台となるカタールでの最後のIRTAテストが2月28日(木)と29日(金)の2日間行われるが、このテストは開幕戦と同じく夜間照明の下で行われる。
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テストは現地時間の午後5時から午前0時までが予定されており、日本時間では午後11時から午前6時までの早朝となるので、全てをmotogp.comのLiveTimingなどで見守りたい熱心なファンは注意が必要だ。


■ヘレスIRTAテスト最終日(FP4)の結果

以下に、最高気温19度、路面温度16度、湿度57%、正午から路面が乾き始めて実質3時間程度のドライ路面が得られ、やや風が強かったヘレスIRTAテスト最終日のフリー・プラクティス4の結果を示す。
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1) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分38秒848(82周)
2) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分39秒252(60周)
3) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiR・チーム・スコット RC212V 1分39秒313(65周)
4) ランディ・ド・プニエ FRA ホンダ・LCR RC212V 1分39秒351(68周)
5) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分39秒568(79周)
6) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分39秒727(36周)
7) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分39秒845(57周)
8) アレックス・デ・アンジェリス RSM サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分39秒932(56周)
9) 中野真矢 JPN サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分40秒333(66周)
10) ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分40秒442(54周)
11) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分40秒576(62周)
12) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分41秒026(65周)
13) シルバン・ギントーリ FRA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分41秒177(47周)
14) マルコ・メランドリ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分41秒292(72周)
15) トニ・エリアス SPA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分41秒311(71周)
16) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分41秒699(35周)
17) ニッコロ・カネパ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分42秒160(74周)
18) ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分42秒970(20周)
19) オリビエ・ジャック FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分43秒496(18周)
20) ヴィットリアーノ・グアレスキ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分45秒597(66周)

ヘレスのサーキットレコードは2005年(990cc)にバレンティーノ・ロッシが記録した1分40秒596、ベストラップレコードは2006年 (990cc)にロリス・カピロッシが記録した1分39秒064。
ちなみに800cc初年度の2007年におけるレース中のファーステスト・ラップはバレンティーノ・ロッシが記録した1分40秒905、ポールタイムはダニ・ペドロサが記録した1分39秒402。


■1分38秒台に突入、初日に引き続き最終日もトップに立ったヘイデン

写真最終日に総合トップタイムを記録したのは、今回のヘレスでは唯一の1分38秒台を叩き出したレプソル・ホンダの2006年度チャンピオン、ミシュランタイヤを履くニッキー・ヘイデンだった。なお、この日の各ライダーのほとんどの自己ベストタイムは予選タイヤにおいて記録されている。

■昨年のヘレスIRTAテストでのロッシとペドロサのタイムには届かず

ちなみに、非公式タイムでは、昨年のドライでのBMW杯においてバレンティーノ・ロッシは1分38秒394(ミシュラン予選タイヤ)、ダニ・ペドロサは1分38秒527(ミシュラン予選タイヤ)という1分38秒台前半から中盤にかけてのタイムを記録している事から、今回のヘイデンの1分38秒台後半のタイムが一概にミシュランタイヤの昨年と比較しての性能向上を示すものとは判断し難いが、少なくとも昨年はプレシーズン期間中からシーズン序盤にかけてセッティングが思い通りに決まらず苦戦を強いられていたヘイデンのマシンが、今年は開幕前から高い仕上がりにある事だけは間違いないだろう。

■ドライでは3日間を通して好調だったミシュラン

タイヤ2メーカーの比較に関して言えば、少なくとも、ミシュランが得意とするヘレスのドライ路面においては、この3日間はブリヂストン勢が予選タイヤとレースタイヤ共にグリップ不足に苦しみ、ミシュラン勢がその点で優位に立っていた事だけは明らかだった。2日目のウェットについてはケーシー・ストーナーがブリヂストンタイヤで抜きん出たタイムを刻んだのは確かだが、その他のライダーは拮抗しておりあまり差が見られない。

■開幕後のタイヤ持ち込み制限下でなければ分からない本当の勝敗
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なお、ブリヂストン側は今回のヘレスでの結果を受けて、ミシュランのタイヤ開発状況が現時点において一歩抜きん出ているのではないかという見解を示しているが、実際にミシュランが昨年からの巻き返しを図るのに十分な性能アップを遂げているかどうかについては、やはりシーズン開幕後のタイヤ持ち込み制限ルール内での勝負を見るまでは分からないだろう。


■ヘレスIRTAテスト3日間の総合タイム

以下に、ヘレスIRTAテスト3日間を通しての総合順位を示す。
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1) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分38秒848
2) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分39秒252
3) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiR・チーム・スコット RC212V 1分39秒313
4) ランディ・ド・プニエ FRA ホンダ・LCR RC212V 1分39秒351
5) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分39秒568
6) コーリン・エドワーズ USA ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分39秒629
7) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分39秒678
8) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分39秒845
9) アレックス・デ・アンジェリス RSM サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分39秒932
10) 中野真矢 JPN サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分40秒192
11) ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分40秒442
12) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分40秒576
13) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分41秒026
14) シルバン・ギントーリ FRA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分41秒177
15) マルコ・メランドリ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分41秒292
16) トニ・エリアス SPA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分41秒311
17) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分41秒352
18) ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分41秒901
19) ニッコロ・カネパ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分42秒160
20) オリビエ・ジャック FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分42秒557
21) ヴィットリアーノ・グアレスキ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分43秒435
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■各チームの状況

以下に、ヘレスでの3日間のIRTAテストを全て終えた各チームの状況、ならびにライダーや関係者のコメントなどを紹介する。

■ヘレスでの強さを示したミシュランとレプソル・ホンダ
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ヘレスIRTAテスト3日目に総合トップタイムを記録したのは、初日のドライ路面でもトップタイムを記録していたレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンだった。

■ヘイデン「最初から期待感はあった」

最終日のヘイデンはシャシーの開発作業とミシュランタイヤのテストを行い、特に新型シャシーの仕上がりと新しい予選タイヤに満足する事ができた様子だ。マシンのセッティングが決まった2008年型RC212Vにこの予選タイヤを装着したヘイデンは、3日間の総合トップタイムとなる1分38秒848を記録し、2006年にロリス・カピロッシが990ccマシンで記録したヘレスのベストラップ・レコード(予選タイヤ)を上回った。
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「本当にものすごく好調でしたし、作業のはかどる3日間でした。今回ここに来る前からかなりの期待感はあったんですよ。去年の11月もバイクの調子がここではすごく良かったし、ミシュランもヘレスでは常に好調ですから、要するにこのサーキットは自分たちと相性がいいんです。長いストレートもありませんしね」とヘイデン。

「風には苦しめられましたし、あんまり楽な走行条件とは言えませんでした。ただ、今年のバイクの方が強風の中でも走っていて楽です」

「チームも本当に頑張ってくれましたし、いい作業といい意志決定の両方ができていました。バイクには特に大きな変更を加えた訳ではなく、レースに近いセッティングや予選タイヤを何本か試して、あとは25周の連続走行をしたくらいです」

「シャシーはうまく機能している感じですね。それにタイヤの調子もいいですよ。タイヤは何本かの選択肢を色々試していますが、今もまだ16インチと16.5インチのデータをそれぞれ分析しているところです」

「ただ、まだ本番が始まった訳ではありませんから、カタールを笑顔で離れられるようにするには、他のライダーたちが実際には今どこまで仕上がっているのかを確認して、自分たちの現在位置をしっかり把握しておく必要があるでしょうね」

「カタールのテストでは夜間照明の感じが分かるでしょうから、最初のレースに向けてしっかり調整を進めたいと思っています」

■ペドロサ「カタールIRTAテストまでに100%の回復は望めない」
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また、1月に負傷した右手の怪我の具合を見て、前日のBMW杯が行われた雨の2日目は走行を見合わせたヘイデンのチームメイト、今年からバイクナンバーを#2に変えて初タイトル獲得への意欲を燃やすダニ・ペドロサは、ヘレス最終日の3日目は本人の意向から路面が乾いた午後からの走行に参加し、走行時に右手にかかる負担を減らすためのマシン・セッティングに取り組んでいる。

プレシーズン中の多くのテストをその怪我により見送る事になったペドロサは、今回のヘレスでの走行によりマシンの調子は上がっているものの、やはり他のライダーたちと比較しての調整の遅れは否定する事ができない様子だ。ペドロサはこの最終日には初日のタイムを更新するには至らず、1日目に記録したタイムが総合の17番手となっている。

「今日の午前中は雨でしたが、その後はやっと走り込みができたので自分たちにとってはすごくいい日になりました。昨日も雨でしたから、ドライでテストができて嬉しかったですね。内容的には土曜日と似たような作業を行いました」とペドロサ。
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「手の具合は土曜日の時と同じです。バイクを今の手の状態に合わせてもっと乗りやすくなるように調整しましたが、それはうまくいったと思っています。ただ、あまり多くの作業はできていません。風がかなり強くてスピードを出すのは危険でしたから、改善を進めるのは難しい状態でした」

「カタール(IRTA)までに手が100%の状態にまで回復するとは思っていませんが、少なくとも今よりは良くなってくれるよう願っています。テストまでにまだ10日間ありますので、その作業と続くレースに備えられるようリハビリをしっかりやっておくつもりです」

「カタールでの最終テストは大変でしょうね。特に自分たちにはまだ作業がたくさん残っていますし、夜間照明の中で走行するのも今回が初めてだから慣れないといけないし、その点も厳しそうです」

「夜でもいい走行条件が確保される事と、路面温度が低くなりすぎない事を願っています」


■完全ドライ以外では苦しんだミシュラン・フィアット・ヤマハ
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この日に試したミシュランの予選タイヤでは、ヘイデンに次ぐ総合2番手となる1分39秒252の好タイムを記録したフィアット・ヤマハのホルヘ・ロレンソだが、今回のヘレスではレースタイヤに関してはあまり納得いく結果が得られていないという。

■ロレンソ「予選タイヤの結果は良かったが・・・」

写真雨のBMW杯が行われた前日の2日目は、地元スペインでの初の公式テレビ・セッションに向けて闘志を燃やしていたにもかかわらず、初めて経験してYZR-M1のウェット用セッティングに苦戦、公式セッション中のタイムアタックを中断してガレージ内でのセッティング作業に集中する事になったロレンソは、この日もレースタイヤでは一部が湿った不安定な路面状態に苦しみ、良好なドライ路面だった1日目ほどに好調な走りを見せる事はできなかった様子だ。

「今日の午後はミシュランの予選タイヤでものすごく速いラップタイムを記録しましたし、この3日間を総合2番手で終えた事には本当に満足です」とロレンソ。

「ただ、レースタイヤに関して言えばそんなに順調ではありません。まだやるべき事がたくさん残っていますし、もっと速く走れなきゃだめです。それにはもっとグリップと自信を得る必要があります」

「今の問題を解決していくにはミシュランとしっかり話し合わなければいけませんが、チームのエンジニアとミシュランが一緒になって、必ず打開策を見つけると信じています。もう開幕レースまで残りわずかですし、そんなに時間はありませんが、自分たちは懸命に頑張っていますからね」

「全体を通して言えば、この3日間は本当に重要だったと思いますし、予選タイヤで好調だった事はとても嬉しいです。次のカタールは夜間走行ですね!初めての経験ですから今から色々楽しみです」

■ロマノーリ監督「リアのグリップが不足気味」
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フィアット・ヤマハのミシュラン側ガレージ内でのチーム監督を務めるダニエーレ・ロマノーリは、不安定な走行条件に苦しんだヘレスIRTAテストの最終日を終えて以下の通りコメントしている。

「今日は所々で難しい場面がありましたね。特に午後の最初は路面の状態がまだすごく悪かったし、おまけに風もひどくて作業は大変でした!」とロマノーリ監督。

「いい形で仕事を進める事はできましたが、まだリアのグリップが不足気味でホイールスピンが頻繁に発生していますから、これが今の自分たちが解決すべき主要な課題です」

「ただ、一番最後に試した予選タイヤはものすごく好調だったので、チームの全員がロレンソの快調な速い走りを喜んで見守る事ができました」

「ここまでのホルヘとチーム全員の頑張りのおかげで、開幕レースまでの残りの時間は最後の準備に全力を注ぐ事ができそうです」


■チーム全体が自信に満ちあふれるJiRチーム・スコット
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JiRチーム・スコットのアンドレア・ドヴィツィオーゾは、今回のIRTAテストでは250cc時代に大の苦手としていたヘレス・サーキットに初日から好感触を示し、2日目のウェットではドライ用のセッティングをあまり変更しなかったにもかかわらずBMW杯で5位を獲得、最終日の3日目にもその勢いは止まらず予選タイヤでヘイデンとロレンソに次ぐ総合3番手タイムの1分39秒313を記録している。

■ドヴィツィオーゾ「最後のテストではもっと調子が上げられる筈」

当初は予選タイヤでは思い通りにタイムを縮める事ができていなかったというドヴィツィオーゾだが、この最終日はミシュランの最新型の予選タイヤを装着、サスペンションに若干の調整を加えた後は好調な走りを見せて、今回の総合3番手タイムを残した。
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「午前は悪天候でしたが、その間に自分たちは午後に使う予選タイヤに気持ちを集中させていました。ミシュランは色んな種類のタイヤを大量に持ち込んでいましたからね」とドヴィツィオーゾ。

「正しいセッティングが見つかってから何周か走り込みましたが、ホンダの800ccマシンではそれらのタイヤが高い性能を発揮してくれる事も分かりました。おかげで250cc時代にはなかった予選タイヤを使ってMotoGPマシンで走る事への自信も深まっています」

「チームは一緒にすごく頑張ってくれているので、今の自分たちは最後のテストでも、これまで以上にいい結果が残せる状況にあると信じています」

■モンティロン「将来に向けて自信あり」

JiRチーム・スコットのチーム・ディレクターを務めるジャンルカ・モンティロンは、ここまでのプレシーズンテストを通してのドヴィツィオーゾの走りに満足し、シーズン開幕に向けての高い自信を以下の通り示した。
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「この3日間はバランス良く順調に作業が進みましたね。ウェットとドライの両方のラップタイムで、ここまでの自分たちの成長度合いを示す事もできていました」

「チームは次のカタールのテストでも今の方向性を持続しながら、ライダーからの感想や感触をしっかりと把握していく必要があります」

「常に上を目指して今後も改善を続けていかねばなりませんが、自分たちがシーズンの開始地点として非常に高い位置を確保できたのはもう分かっていますし、将来に向けても期待が持てる状態です」

■ムラローニ監督「ウェットとドライの両方でトップタイムに近かった」

JiRチーム・スコットのチーム監督を務めるチラーノ・ムラローニは、ドヴィツィオーゾのここまでの仕事ぶりについて以下の通り説明している。
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「この3日間のテストには本当に満足できています」とムラローニ監督。

「悪天候などの条件にもかかわらずチームの全員が素晴らしい仕事ぶりを発揮してくれましたし、ウェットとドライの両方でいいセッティングの方向性と速さを確保する事ができました。ラップタイムに関して言えば、ウェトとドライのどちらでもトップに近い位置につけていましたしね」

「また、わたしたちのライダーがHRCやSHOWA、ならびにミシュランの技術者たちといい関係を築き上げている事にも大変に満足できます。今回のような走行条件の中でもアンドレアが彼らに向けて非常に的確な情報を提供できているという事実は素晴らしい事ですし、全員の意欲が高まります」

■カプラーラ「マシンとチームワークの両方に自信」

JiRチーム・スコットのテクニカル・ディレクターを務めるピエトロ・カプラーラは、最終日の作業内容について以下の通りコメントした。
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「この3日間の作業スケジュールはずっと奇妙な天候に影響を受けたので、今日の午後はアンドレアに何本か予選タイヤを試してもらう時間を取る事にしました」とカプラーラ。

「チームは午後に大変な頑張りようでしたね。おかげでテクニカル・パッケージとチームワークの良さの両方に自信を持ってここを離れる事ができます」

「カタールの2日間のテストでは、セッティングの最終調整とシーズンの開幕レースに向けての準備ができる事を楽しみにしています」


■予選タイヤ用のセッティングのコツを見つけたホンダLCR
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この日は路面が完全に乾いた午後2時以降に走行を開始したホンダLCRのランディ・ド・プニエは、2本の予選タイヤを含むミシュランタイヤのテストに集中している。

■ド・プニエ「新エンジンのテストにはコースが短すぎる」
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今回、チームはプレシーズンを通してやや苦戦する傾向にあった予選タイヤ装着時のマシン・セッティングの課題をほぼ解決しており、ド・プニエはヘレスIRTAテスト3日間を通しての総合4番手タイムとなる1分39秒351を予選タイヤで記録した。

「今日は主にタイヤのテストに作業を集中し、いい結果を残す事ができました」とド・プニエ。

「走行条件があまり良くなかったので今日は午後2時から作業を開始しましたが、その時は風がものすごく強かったです。でも、何本かリアタイヤを試す中でペースが上がりましたし、最後に予選タイヤで走った時にもさらにラップタイムが上がったのですごく満足できました」

「このサーキットは新しいエンジンの開発作業を行うにはコースが短すぎましたが、カタールでは取り組めると思います」

■チェッキネロ監督「予選タイヤで速く走れない理由が分かった!」

ホンダLCRのオーナー兼チーム監督を務めるルーチョ・チェッキネロは、予選タイヤの性能を引き出すマシンのセッティング方法が今回やっと分かったと述べ、次回のカタールIRTAテストに向けての期待感を以下の通り示した。

「どうしてランディが予選タイヤだと速く走れなかったのか、その原因を見つける事ができたので今回は非常に満足です」とチェッキネロ監督。

「いくつか小さなコツがセッティングにあり、そこを調整する事で今回やっと結論に辿り着く事ができました。目標にも近づきましたし、高いレベルをもってカタールのテストには挑めそうです」


■ブリヂストンタイヤのテストを慎重に続けるフィアット・ヤマハ
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ブリヂストンタイヤと新型ヤマハYZR-M1への理解を深めるための作業を続けるフィアット・ヤマハ・チームのバレンティーノ・ロッシは、この日は終日のタイヤテストと並行してマシン・セッティングの微調整を79周回の走行の中で繰り返し行い、夕方のセッション終盤に装着した予選タイヤで3日間の総合5番手タイムとなる1分39秒568を記録している。

■ロッシ「カタールではもっと速く走れる」

まだコーナー脱出時の速度に課題が残ると述べるロッシだが、今回のヘレスでは使用しなかった一番気に入っている予選タイヤを使用すれば、次回のカタールではさらに速く走れるだろうと以下の通りコメントした。

写真「今日は夕方に路面温度が冷えて色々と難しい状況でしたね。全体的に見てこの3日間は自分たちにとって作業が進めにくい走行条件でしたが、いくらかいい作業ができたとは思っています」とロッシ。

「走行リズムは悪くなかったし、すごく楽しんでバイクに乗る事ができていたので、今は開幕に向けてものすごく気持ちが高まっていますよ!」

「まだやるべき事は残っています。特にコーナー出口でスピードを確保する部分ですが、今日は路面が湿っていたのでグリップが低下し、その面で特に悪い状況でした」

「でも、全体的には好調でしたし、バイクとブリヂストンの両方について多く学ぶ事ができたと思います。それに予選タイヤとレースタイヤの両方ですごく速く走れましたしね」

「ここでは一番気に入っている予選タイヤを使わなかったので、カタールでそれを履いて走ればもっと速く走る自信はあります。これでテストの残りはあと1回きりになりましたが、今度は暗闇の中ですからかなり変な感じになるでしょうね!」

「あとは最後の数日間の準備に集中して、開幕レースに備えるだけです」

■ブリビオ監督「車体もエンジンも調子がいい」

フィアット・ヤマハのブリヂストン側ガレージ内でのチーム監督を務めるダビデ・ブリビオは、今回のヘレスでの3日間の感触について以下の通り説明している。

「この3日間の様子を見る中で、いくつかいい結論を導き出す事ができています」とブリビオ監督。

「土曜日は非常に速く走れましたし、昨日(日曜日)のウェットの中でもいい進歩が得られています。そして今日は他の色々な事をテストしましたが、この準備作業の中でも重要な改善を進める事ができました」

「バイクの調子はいいし、エンジンも同様に良さそうな雰囲気です。もちろん全く走行条件の異なるカタールで走った上で、パッケージ全体の性能を確認していく必要はありますが」

「今は開幕レースが楽しみです。ただ、それまでにもっと作業を進めておく必要はありますし、残りは2日間しかありませんから、最大限に力を発揮して頑張るつもりです」


■TECH3ヤマハ、エドワーズは帰国しトーズランドのみ走行

前日の晩の現地天気予報が、最終日の3日目は終日の雨と強風に見舞われると報じため、TECH3ヤマハチームは2日目までに順調に予定のテストをこなしたコーリン・エドワーズを1日早く母国のアメリカへ戻して休暇を与える決断を下しており、それにヤマハとミシュランが合意した事から、この日はMotoGPルーキーである昨年度のSBKチャンピオン、ジェームス・トーズランドの1名のみがTECH3ヤマハのテストを担当している。

■足首に痛みを抱えるトーズランド「転んだまま終わりたくなかった」

トーズランドはこの日に初めてピットから出て、湿った路面でのウォームアップを終えた直後、1コーナーで突如リアの暴れたマシンの下敷きになる形で転倒しており、右足首を激しくひねった事から医療センターにそのまま車で搬送されている。
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クリニカモバイルでレントゲン検査を受けた結果、幸いトーズランドの骨には骨折などの深刻なダメージは見つかっておらず、トーズランドは激しい痛みはあるもののテストには復帰しており、その後はミシュランのレース用リアタイヤと予選タイヤの両方をテストし、安定した速いペースでこの日のセッション終了時間まで周回する事ができたという。

この中でトーズランドは予選タイヤで最終日の6番手となる1分39秒727を記録しているが、今回のタイムは初日の自己ベストを更新するには至って折らず、初日に記録した1分39秒678が今回のヘレスIRTAテスト3日間における総合7番手タイムとなった。

「今日の事故は少し異様な感じでしたし、どうにも避けようがありませんでした。高速走行中でしたが、バイクの下敷きになったにもかかわらず幸い足首をひねっただけで済んではいます」とトーズランド。

「今日の1周目を走りにコースに出たところでいきなりでした。路面の状態とかそういう問題ではなく、はじかれるような感じでリアが暴れたんです。どうしても走りにコースに復帰したかったので、それがかなった時は嬉しかったです。悪い記憶のままここを去りたくはありませんでしたからね」

「足首の事など、問題を数点抱えていたにもかかわらず、今日の6番手で終われたのは良かったと思います。ウェットでもドライでもずっとトップ5につけていたのに、昨日の14位にはかなりへこみましたからね」

「足首に問題があっても何回か高い位置につけるラップタイムを刻めて本当に良かったです。今何より嬉しいのは、テストの度に自分の進歩を感じる事ですね。ここではドライでもウェットでも安定して速いタイムで走れましたから、この結果は今後の自信につながりました。特にウェットが嬉しかったです」

「今の方向性のままで作業を続ける事ができれば、まわりをさらに驚かす事ができるかもしれませんね。チームの全員にとってもすごく励みになったようですよ。今の自分がここまでのハイペースで上達ができているのは素晴らしいチームとまわりのスタッフたちのおかげです。彼らの豊富な経験があってこそですよ」

「これから2〜3日は足首を休めて次のカタールに備えたいと思います。また自分の良く知っているサーキットが走れるので楽しみですね」

■ポンシャラル監督「昨年の日本GPの反省点がレインタイヤに反映された」

TECH3ヤマハのチームオーナー兼監督を務めるエルベ・ポンシャラルは、ヘレスでの3日間の公式テストを終えての満足度を以下の通り表現している。最終日のテスト開始直後のトーズランドの激しい転倒を目の当たりにした時にはひやりとしたというポンシャラル監督だが、その後に痛みを押してコースに復帰したトーズランドのテストにかける強靱な意欲には感銘を受けた様子だ。

「今回のテストでは本当に作業がはかどりました」とポンシャラル監督。

「初日の大半の時間をジェームスはレースタイヤでバレンティーノに次ぐ2番手タイムを記録していましたし、コーリンも同様に上位のラップタイムを刻んでいました」

「今回は11月のテストの時と比べて大変に大きな進歩が得られていますし、特にジェームスは著しい成長を続けています。ヤマハとミシュランは冬季中に大変な頑張りを見せており、その彼らの努力の結果がジェームスとコーリンのトップレベルの成績に反映されていると言えるでしょう」

「また、ここではフルウェットのテストもできましたが、コーリンは新しいミシュランのレインタイヤが大きな力になる事を示しました」

「わたしたちはスリックタイヤから乗り換えた時にレインタイヤが素早く性能を発揮し、ライダーが簡単に順応できるようにする事がいかに大切かをよく理解しています。去年はフラッグ・トゥ・フラッグのレースになった日本で何人かのライダーがピットから出てレインタイヤに馴染むのに数周の間苦しむというシーンを目にしましたが、ミシュランがこの分野についても改善に取り組んでくれている事を大変に嬉しく思いました」

「今日は天気があまり良くなかった上に、ジェームスはピットを出た直後の第1周目に小さな事故に見舞われてしまいましたが、彼は午後には学習への強い意欲とやる気を示して、多くのタイヤテストを午後にはこなしています。これは大変に重要な事ですし、足首が痛んだにもかかわらず走った彼には感謝したいと思っています」

「彼がグラベルに飛び込み、その後に救急車で運ばれた時には開幕が近い事もあり少し心配でしたが、すぐに彼は高い意欲を示してくれました」

「コーリンに関しては、今日は走行条件があまり良くならないと判断した事から、ヤマハとミシュラン、それにチームとしてリスクを冒さない事に決めました。彼のテスト項目はそれほど残っていなかったので、次のカタールに備えて充電してもらうために自宅に戻ってもらう事にしたんです」


■ヘレスに特化したセッティングを見送るドゥカティー
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2日目は雨のBMW杯においてあっけなく新車のBMWを手にしたドゥカティーのケーシー・ストーナーは、最終日は初日に引き続き、午後に路面が乾いてからドライ用のセッティング作業を再開している。

■ストーナー「転んだのが残念!」

この日はレースタイヤと予選タイヤの両方で満足のいくペースで走れたとするストーナーだが、午後の中ほどにセカンドバイクのセッティング作業を開始した直後にフロントを滑らせて軽く転倒を喫しており、予定していたメインマシンとの比較検証作業ができなくなった事については残念がっている様子だ。

ヘレス独特のコースレイアウト特性に合わせたマシン・セッティングは今回見送ったと、今回は総合8番手(1分39秒845)に甘んじたストーナーは以下の通りコメントしている。
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「今週のここでの走行条件はずっと完璧にはなりませんでしたが、今日の午後には陽射しが戻ったので何回かいい走り込みができて、リアのグリップを改善する作業に取り組む事ができました」とストーナー。

「セカンドバイクの方のシャシーのセッティング準備に取り掛かりましたが、そこで転んでしまったので、その後にタイヤを交換しての直接的な比較検証作業ができなくなったのがすごく残念でした。風のせいでいくつかのコーナーがすごく難しくなっていたのであの転倒は避けられませんでしたが、フロントが軽く滑っただけですので大したことはありませんよ」

「その後も作業を続けて、全く新しい予選タイヤを試しましたが、あの時は今日の中で一番悪いタイミングでしたね。風が強くなっていたし、もう少し時間をずらせばずっと速く走れていたと思います。ただ、今回のテストの目的は速いラップタイムを刻む事ではなく新型と旧型の予選タイヤの性能を比較する事でしたから、そういう意味では良好な結果だったと言えるでしょう」

「全体的に見れた今回のテストは3日間を通して好調でした。マシンのセッティングをあまりこのサーキットに特化させないように気をつけながらのテストでしたけどね。なぜならここの特性はすごく独特ですし、ここで使ったセッティングはいつも他のサーキットではあまり有効にはならないからです」

「今はカタールに行けるのが楽しみです。あそこでバイクがどのくらい仕上がっているか確認して、シーズン開幕に向けての最終調整をしたいと思っています」

■メランドリ「リアのバランスを見つけるのに苦戦中」
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ここまでのプレシーズンを通してフロントの感触を改善する事に成功したマルコ・メランドリは、今回のヘレスIRTAテスト最終日はリアまわりの感触改善に向けて集中的に取り組んだ様子だが、まだ本人の期待通りのセッティングには到達できていない様子だ。

なお、メランドリは前日のBMW杯直前の午前FP2において頭から激しく転倒しているが、この時に腰の左側も強打しており、最終日はクリニカモバイルで治療を受けてからのテストとなったようだ。このテスト翌日以降もしばらくクリニカ・モバイルに通う予定のメランドリの3日間の総合順位は15番手(1分41秒292)だった。

「今回はもっと上の結果を期待していた事は否定できませんが、気象条件は変わりっぱなしでしたし路面も作業しやすい状態とは言えませんでしたからね」とメランドリ。
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「今の段階ではバイクのリアのいいバランスを見つけるのに苦労しているので、マシンのパワーを全て使い切れるような自信が持てません。このサーキットは特に自分たちのバイクに向いていないのかもしれませんが、本来もっと改善は進められる筈です」

「夜間のテストは誰にとっても未知のものですが、カタールでは改善が進むように願っています」


■2008年型RC212Vフルパッケージとブリヂストンとの相性を探るグレッシーニ
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他のホンダのサテライト勢と同様に、今回のヘレスからは新型エンジンを含む2008年型RC212Vのフルパッケージを初めて手にしたサンカルロ・ホンダ・グレッシーニ・チームは、新型マシンのセッティング調整を続けたきたこの3日間の最終日には、ブリヂストンと共にさらなる多くのタイヤ開発作業に着手したという。

■デ・アンジェリス「カタールを新エンジンで走るのが楽しみ」
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3日間総合の9番手タイムとなる1分39秒932を記録し、ホンダから提供された新型エンジンに高い満足度を示すアレックス・デ・アンジェリスは、高速サーキットである次回のカタールではそのエンジン性能の真価を検証してみたいと語る。

「レースタイヤでのペースにはすごく満足できています。20周回を連続して同じタイヤで走ってみましたが、一番最後も1分41秒台で走りきる事ができました」とデ・アンジェリス。
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「ブリヂストンの予選タイヤも2本テストしました。1本は最新型で、もう1本は以前にも履いた事がある旧型でしたが、両方とも似たような性能でした。今回の自己ベストは旧型の方で記録しましたが、新型の方もほぼ同じようなタイムですね」

「新型エンジンにはかなりの好感触を持っていますが、セパンの時に同じエンジンで走れていたら嬉しかったと思います。ここに来る前に高速サーキットでのテストを一度済ませておけた訳ですからね。次回のカタールではその検証ができると思います」

■中野選手「3日目の結果には少しがっかり」

最終日には9番手タイムの1分40秒333を記録し、初日の1分40秒192の自己ベストを更新する事なく総合10番手でヘレスIRTAテスト3日間の作業を終えた中野選手は、最終日のマシンの感触にはあまり納得がいかなかった様子だ。
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「今日のタイムは3日間を通しての自己ベストを更新できていないので少しがっかりです」と中野選手。

「今日は初日と同じセッティングで走りましたが感触が変わってしまい、その原因が良く分かりません。恐らく、昨日のウェットの中で色々変更を加えた部分の何かが影響しているんだと思います」

「今日はフロントのチャタリングが解消できるように頑張り、まだ完璧とは言えませんがだいぶその点は良くなりました。夕方の終わり頃までにはバイクのバランスとセッティングも良くなったので、それから何種類かの予選タイヤを試しています」
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「3日間を通してレースタイヤの結果は悪くありませんでしたが、カタールでは予選タイヤに関してのセッティングをいくらか改善しておく必要があります。もっと攻撃的に攻められるようにしたいですからね」

「もっと改善できる事は分かっていますし、開幕戦に向けては万全にしておきたいと思います」


■苦しい3日間を通してセッティングを模索するリズラ・スズキ
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ヘレスでは新型マシンにセッティング上の深刻な問題を抱え、3日間を通して期待通りの改善を進める事ができなかったというリズラ・スズキ・チームは、この日はライダー2名が揃ってブリヂストンの新型タイヤを装着し、ロリス・カピロッシが総合11番手タイムの1分40秒442、クリス・バーミューレンが総合12番手タイムの1分40秒576を記録している。

2名は共に最適なセッティングを探して模索中の状態ではあるが、この日はレースタイヤでも安定したペースで走る事ができたとしており、次回のカタールのテストでは確実に正しい方向に作業を進める自信がある様子だ。

■カピロッシ「いい感触のままカタールに移動できる」

最終日のドライ路面では初日の時よりもいい改善策を見つけたとするロリス・カピロッシは、開幕レースまでには準備は整うだろうと以下の通りコメントしている。
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「昼食まで作業ができなかったにしても、今日の天気はラッキーだったと思いますね」とカピロッシ。

「今日は多くの事を試し、初日の時よりもいい解決策が見つかりました。今は状況も改善されたと思っていますし、いい感触を持ってカタールに移動する事ができそうです。残りのいくつかの作業を最後のテストで行えば、開幕レースに向けての準備も整う筈です」

「数個所の点でまだ苦しんではいますが、その対処方法はもう分かっていますし、最初のレースに向けての自信はすごくありますよ」

■バーミューレン「今後に向けての方向性はつかんだ」
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このヘレスでの3日間は苦しみながらも、最終日は比較的順調に作業が進み今後の方向性はつかめたと語るクリス・バーミューレンは、まだタイムは良くできると以下の通りコメントしている。

「午前中はコースに出て走る時間があまりない難しい状況でしたが、風が出てきて路面が乾いたおかげで午後はかなりいい走行条件になりましたね」とバーミューレン。

「今週に入ってずっと抱えていたバイクの問題をいくつか解消して、進歩もだいぶ得られましたから、今後に向けての作業の方向性はつかめました」
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「ブリヂストンのタイヤテストも行い、やっと予選タイヤを何本か試すチャンスにも恵まれました。ブリヂストンはすごくいい仕事をしてくれたみたいですね。今回は2本しか試していませんが、自分たちのバイクにも良く合いましたし、今回のラップタイムにも満足できています」

「自分自身とバイクの両方の観点から見てまだタイムは上げられると思いますし、今回のテストの中では今日が一番順調な1日でした」

■デニング監督「予選タイヤでの好調さが全体の調子を上げた」
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リズラ・スズキのチーム監督を務めるポール・デニングは、最終日は予選タイヤでの好調さがライダーの自信につながり、相乗的にレースタイヤでのタイムを良くする事にもつながったと説明した。

「今日は雨が上がってからは必要だったドライでのテストを行う事ができました。路面状態は最高とは言えませんでしたが、少なくともいくつかの作業項目に取り組む事はできています」とデニング監督。
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「予選タイヤを装着したバイクを調整してリアのグリップが得られるようになったのはいい兆候ですし、かなり期待の持てるラップタイムに到達する事もできました。これは2名のライダーの自信を揃って高める結果にもつながり、同時にレースタイヤでのタイムを縮める事にもなりましたね」

「ただ、今回のテストでは最後まで期待通りのレベルに到達できなかったという事実からは逃れられませんので、次回のカタールのテストではこれを乗り越えて大きな進歩が得られる事を願っています」


■カワサキ、最終日の結果に喜ぶウエスト、ホプキンスはスタート練習
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カワサキ・レーシング・チームは、この日はジョン・ホプキンスがフィリップ・アイランドで負った怪我の悪化を恐れてエンジンまわりの暖機とスタート練習程度の走行に留めた事から、最終日もアンソニー・ウエストが中心となってマシンのセッティング改善などの作業に取り組んでいる。

■ウエスト「快適に乗れるようになった」

ヘレスIRTAテスト最終日、ウエストはマシンのハンドリングとコーナリング性能の改善作業に集中しており、フロントまわりのいいセッティングを見つけてからは自信を持って走れるようになったとしている。

ブリヂストンの新型予選タイヤの評価も実施していたウエストは、終日の大半をタイムシート上のトップ5以内で過ごし、最終的に3日間の総合13番手タイムとなる1分41秒026を記録、満足してヘレスでの3日間を終える事ができた様子だ。
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「今日は主にバイクのハンドリングとコーナリングの調整作業を行い、フロントまわりのセッティングを大きく前進させる事ができたのでとても快適に乗れるようになりました。さらに改善を進める余地も大きく残っています」とウエスト。

「また、以前に一度も試した事のないブリヂストンの予選タイヤも何本かテストしましたが、結果にはかなり期待が持てました。調整に時間をかければもっと速く走れるようになる筈ですよ」

「今日のテストの仕上げとして最後に10周回の連続走行を行い、レースの序盤から中盤にかけてタイヤの挙動がどう変わるのかを確認してみたところ、以前に使用していたタイヤよりも一貫性が高い事が分かりました」

「ここヘレスで学んだ事を利用して、次回はセッティングの最終調整を行う予定です。カタールでの最後のプレシーズンテストに向かう前に、まずは自宅に戻って体力トレーニングをしっかり続けてきたいと思います」

■ホプキンス「今日は激しい走行を控えた」

この日はタイムアタックを控え、初日のドライ路面で記録した1分41秒901が3日間の総合18番手となったジョン・ホプキンスは、2日目の午前中に体力的に負担のかかる雨の中を走行した事が原因となり、フィリップ・アイランドで負った怪我に悪影響が出てしまった事を明かしている。大至急治療に取り掛かりたいとホプキンスは以下の通りコメントした。
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「今日はクラッチの暖機を目的にドライになったコースに出て、そこでスタートの練習を何回か行いました。最初のレースまでにこれを練習しておく時間はもうあまり取れませんからね」とホプキンス。

「昨日の雨の中での走行が怪我に悪影響を及ぼしたのが今日の体調から分かっています。開幕レースに備えなければ意味はないので、今日の午後の走り込みは必要ないと判断しました」

「明日は自宅に向かってから大至急治療を受け、その後は超音波療法を続けて回復を最大限に早めておくつもりです」

■金子テクニカル・ディレクター「今後はパッケージ全体の最適化を進める」

カワサキのテクニカル・ディレクターを務める金子直也氏は、ヘレスでの3日間の作業を終えての所感を以下の通り語った。

「今日は午前の走行時間を悪天候により失っていますが、全ての作業は順調に進みました」と金子テクニカル・ディレクター。

「ジョンは怪我のために数点のパーツをテストする事しかできませんでしたが、わたしたちは開幕レースに向けての開発の方向性をすでにいくつかつかんでいます」

「アンソニーは予選タイヤのテストを行い、チームは主に彼のシャシーのセッティング作業に取り組みましたが、パーツ類の組み合わせとセッティングがうまくいったので、今後もその作業を続ける予定です」

「これで残るは最後のテストですが、パッケージ全体の最適化を進めて、開幕レースには可能な限り高い仕上がりで挑めるようにしたいと思っています」


■アリーチェ・チーム、上機嫌のギントーリと落ち込むエリアス

アリーチェ・チームは、この日は1ヶ月後にヘレスで行われるスペインGPに向けての準備作業に集中し、2名揃って多くの周回を重ねながらセッティングの改善に取り組んでいる。

■ギントーリ「シーズン開幕に向けていい兆候が見えてきた」
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前日のBMW杯での9位獲得により自信をつけたというシルバン・ギントーリは、この日のドライ路面では総合14番手タイムの1分41秒177を記録しており、不調に喘いだ初日のタイムからの1.5秒のタイム改善に満足げだ。

「この3日間はすごくうまくいきました。バイクの改善が進んだように今回は感じています。それに昨日の40分間のセッションでは、路面状況があまり良くない中でもうまく走れていました」とギントーリ。

「シーズン開幕に向けていい兆候が見えてきたと本当に思います。最初のレースを20日後に控えた段階で走行リズムが良くなってきているのは重要な事ですからね」

「自信が持てましたし、体調的にも万全ですから、2008年シーズンの開始が待ちきれない気分です」

■エリアス「後ろは振り返らず前を見つめたい」

また、冬季のオフ期間中にモトクロスバイクでのトレーニング時に背骨と骨盤を強打し、現在も治療を続けているというトニ・エリアスは、全く改善が進められなかった今回の地元スペインでの3日間のテスト内容について落胆気味だ。
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「難しい1日になり、バイクにいいセッティングを見つける事ができませんでした。それに今回の総合順位には本当にがっかりです」とエリアス。

「今日の夕方だけは若干調子が良くなりましたが、改善作業を進めるのにはもう手遅れでした。最後のタイムアタックはここまでで一番調子よく走れていたのに6コーナーでミスをしました。あれさえなければもっと高い順位でテストを終える事ができた筈です」

「でも、今はもう振り返らずに先の事を考えたいと思います。改善を進めるには必死で頑張るしかないし、自分にはそれしかできませんからね」

■ベルベーナ「ギントーリの進歩に満足」

アリーチェ・チームのサーキット・エンジニアを務めるセルジオ・ベルベーナは、このヘレスでの3日間の感想と作業内容を以下の通り述べている。

「この3日間を通してのシルバン(ギントーリ)との作業には大変に満足できています。今日はドライの路面でもレースタイヤと予選タイヤの両方にいい進歩が得られました」

「今回は来月のここでのレースで使用する新しいタイヤを何本か試しています。フロントにはいいものが見つかりましたが、リアについてはまだどれを使うか検討中です」

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