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ヘレスIRTAテスト2日目、BMW杯の詳細レポートと結果
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インテリマーク編集部
  2008年2月19日

MotoGPヘレスIRTAテスト2日目の2月17日、この日は2008年度のMotoGPにおける初の公式テレビ・セッションとなる毎年恒例のBMW杯が行われており、現地時間の午後2時5分から40分間、2008年シーズンを戦うMotoGPライダーたちによる新車のスポーツカーをかけて予選形式のタイムアタック合戦が、ヨーロッパ全域の主要テレビ局により生放送されている。
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ここでは、初日の良好なドライ環境は一転し、あいにくの雨模様となったスペインのヘレス・サーキットでのIRTAテスト2日目、午前には通常通りのテスト・セッションのFP2(フリー・プラクティス2)、午後にはBMW杯として知られるQP(予選形式タイムアタック)、夕方までの残りの時間に取られたテスト・セッションのFP3(フリー・プラクティス3)という、3つのセッションが行われたこの日の各チームの状況や全ライダーのコメントなどを、特に午後のBMW杯の内容を中心に紹介する。


■IRTA2日目のペドロサとホプキンスの体調回復状況

ここまでのプレシーズン中に怪我を負ったライダーの中で、現在もなその影響により苦しい状況が続いているライダーは2名、年明け初日のセパン合同テストが行われた1月22日に右の手のひらを骨折、その翌日にスペインに戻りチタンプレートを埋め込む手術を受けたダニ・ペドロサと、フィリップ・アイランド合同テストの2日目となった1月31日に雨の1コーナーで高速ハイサイドを喫し、骨盤から左足にかけての筋肉に裂傷を負ったカワサキのジョン・ホプキンスだ。

■2名にとっては想像以上の苦痛を伴った1日目
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ペドロサとホプキンスの2名は、当初は出場が難しいと言われた今回のヘレスIRTAテスト初日には無事な姿を見せ、1日目は怪我の回復状況の確認を主な目的として朝から走行を開始しているが、初日の終了後にペドロサの右手は焼けるような痛みと共に大きく腫れあがり、またホプキンスも予想以上の激痛に終日苦しみ、2日目以降の参加については2名揃って明確なコメントは避け、揃って翌日の天候と体調次第だと語っていた。

■ホプキンスは午前の作業にのみ参加、ペドロサは終日走行をキャンセル
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こうして豪雨の朝を迎えたIRTAテスト2日目、結局ホプキンスは開幕に向けてマシンを自身のライディング・スタイルに合わせる上で最低限必要な電子制御まわりのセッティング、特にトラクション・コントロール・システムの調整を行うためにフルウェットとなったFP2には参加して12周回を走行、午後のQPはリスクを避けて欠場を決めている。

一方ペドロサとレプソル・ホンダ・チームはこの日の雨の中での走行はリスクと右手への負担が大きすぎると判断、終日ペドロサが2日目のピットに戻る事はなかった。


■2日目の転倒者、午前中にメランドリが頭部から転倒
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今回のヘレスでの初日と2日目にかけては特に深刻な怪我を負うライダーはいなかったが、2日目午前のFP2ではドゥカティーのマルコ・メランドリが激しく転倒、昨シーズン中の彼の転び方と同様に頭を路面に打ちつけているが、幸いヘルメット以外に深刻なダメージはなく、簡単な検査後にメランドリは無事にコースに復帰している。「ドゥカティーのマシンで初めて転んだが身体は大丈夫」とメランドリは語った。


■開幕戦からの出場を断念し現在も無言のチーム・ロバーツ

なお、昨年の暫定リストでは辛うじて2008年シーズンへのフル参戦に向けての意欲を示していたチーム・ロバーツだが、当初計画していたドゥカティーマシンの獲得はスポンサー難などの費用面の問題から解決できておらず、最終的には開幕戦からの出場を断念、当然今回のヘレスと次回のカタールのIRTAテストへの出場登録もついになされなかった。

2008年シーズンの予定に関してチーム・ロバーツは現在も一切声明を発表しておらず、今年度中のグランプリ復帰目処などについては何も分かっていない。


■午前の走行結果とテスト概況

午後のBMW杯(QP)の内容に入る前に、簡単に午前のFP2の結果と内容を紹介しておきたい。
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■午前FP2の走行結果

気温13度、路面温度10度、湿度85%の低温フルウェットでのセッションとなった午前の走行結果は以下の通り。

1) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分51秒427(28周)
2) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分51秒621(27周)
3) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiR・チーム・スコット RC212V 1分52秒037(18周)
4) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分52秒667(25周)
5) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分52秒939(27周)
6) ランディ・ド・プニエ FRA ホンダ・LCR RC212V 1分53秒187(15周)
7) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分53秒418(32周)
8) コーリン・エドワーズ USA ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分53秒666(13周)
9) シルバン・ギントーリ FRA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分53秒681(19周)
10) ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分53秒708(12周)
11) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分53秒816(14周)
12) ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分54秒100(21周)
13) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分54秒267(32周)
14) ヴィットリアーノ・グアレスキ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分54秒465(22周)
15) アレックス・デ・アンジェリス RSM サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分54秒585(23周)
16) 中野真矢 JPN サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分54秒744(24周)
17) オリビエ・ジャック FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分54秒824(13周)
18) マルコ・メランドリ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分54秒887(20周)
19) ニッコロ・カネパ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分57秒384(16周)
20) トニ・エリアス SPA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分58秒138(18周)


■天気予報が的中、朝から大雨に

初日の多くのライダーの悪い予感が的中、夜から降り続いた豪雨は朝になっても降り続き、午後のBMWをかけての戦いがウェットになると判断した各ライダーは、貴重なフルウェットの3時間を利用してマシンのレインセッティングに集中している。

写真■トップのストーナーはマシンの仕上がりに満足

ここで非常に好調な走りを見せてトップタイムを記録したのは、初日のドライ路面では昨シーズン中に最も攻略の遅れたヘレスでじっくりとマシンのセッティング調整に取り組み「昨日は夕方までにマシンが満足できる状態に仕上がったので、今朝はウェットでも好調だった」と述べる昨年度のチャンピオン、ドゥカティーのケーシー・ストーナーだった。

■マシンの問題に関係なくフルウェットで速いバーミューレン

ストーナーに次ぐ午前の2番手につけたのは、初日のドライ路面ではマシンに深刻な課題を抱えていたというリズラ・スズキ勢の1人、ウェットなどの悪条件で安定した速さを見せるクリス・バーミューレン。リズラ・スズキのポール・デニング監督は、絶望的な初日を終えての2日目午前のバーミューレンの好調な走りを見て、そのままウェットが予想される午後のBMW杯ではトップ争いに加われるのでないかとの期待感をこの時点では示していた。
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■TECH3の2名は2008年型YZR-M1の電子制御システムの性能に感動

続く午前の3番手は、初日のドライ・セッティングからはサスペンションしか調整していないというJiRチーム・スコットのアンドレア・ドヴィツィオーゾ、4番手は開発中のニューマチック・バルブ・エンジンにはこの日も一切手をつけなかったレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデン、午前の5番手はレインでも初日に引き続き好調な走りを見せ、チームメイトのコーリン・エドワーズと共にヤマハのマシンの電子制御の進化に感動するTECH3ヤマハのジェームス・トーズランドだった。初日にドライで2番手タイムを記録したホンダLCRのランディ・ド・プニエは続く6番手。

■ロッシはブリヂストンのウェットタイヤを初体験
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ブリヂストンに履き替えて初のウェットでの走行を経験、セッティング調整を何度も繰り返しながらブリヂストンのウェットタイヤとYZR-M1との相性を検証したフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシは午前の7番手。一方、同じくフィアット・ヤマハだがミシュランを履くホルヘ・ロレンソは、初めて経験するウェットでのMotoGPマシンに順応する事がこの日はできず、解決策を見いだせないまま好調だったドライの初日とは異なり午前は13番手に沈んだ。


■午後のBMW杯(QP)の詳細レポートと結果

各ライダーが午後1時からの昼食を取る間に雨はほぼあがり、2008年度初のテレビ中継セッションとなったBMW杯が午後2時5分より開始された。なお、このセッションはドライ・セッションと宣言されたが、各ライダーが走行を開始した直後はコース脇のアスファルトは乾き初めていたものの、走行ラインのほとんどは泥混じりの水の中に沈んでいるという難しい条件だった。
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■参加ライダーはレギュラーは16名とテストライダー3名

怪我の回復を優先するカワサキのジョン・ホプキンスとダニ・ペドロサの2名はこのBMW杯を欠場しているため、エントリーライダーはレギュラーライダーが16名とテストライダーが3名、この合計19名により新車のBMWが争われた。
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■ストーナーのみやや硬めのタイヤを選択

雨があがり湿度70%のBMW杯(QP)、セッション中の気温は15度と、今週中のヘレスでの平均的な気温より5度ほど低い。路面温度は最高でも12度までしか上がらなかった事から、ほとんどのライダーは柔らかめのコンパウンドを選択してコースに出ている。比較的硬めのコンパウンドを選んだのは「その方がタイヤがもつしね」と述べ、今朝仕上がったレイン・セッティングに絶対の自信を示すドゥカティーのケーシー・ストーナーだけだった。


■2008年度BMW杯がスタート、様変わりした各チームのグラフィック・デザイン
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セッション開始から2分のまでの間に、ストーナーを含むほとんどのライダーがピットレーンでの走行を開始。やや状況を見る様子だったロッシも3分が経過したセッション残り37分のところでマシンをスタートし、2008年度のデザインに生まれ変わった各チームのカラフルなマシンがコース上に姿を現した。

■他のライダーが慌ててタイムを刻む中で余裕のトーズランド?

他のライダーが序盤から慌ててタイムを縮めようと試みる中、ここでMotoGPルーキーであるTECH3ヤマハのジェームス・トーズランドだけは、路面が完全ドライになる事を予測してガレージ内でモニターを見ながら待機している。「路面が乾くまでコースに出るのを待ち、10分間も待機していたのは自分だけだった」と、ヘルメットさえ被らず様子を見守っていたトーズランド。


■セッション開始直後はド・プニエと中野選手のトップ争い

各ライダーが後輪から水しぶきを巻き上げながら走行するセッション残り33分、この時点でのトップタイムはホンダLCRのランディ・ド・プニエが記録していた1分53秒788だったが、サンカルロ・ホンダ・グレッシーニの中野選手がこれを上回る1分53秒223を記録してタイムシート上のトップに浮上。
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次の周回でド・プニエがさらにタイムを縮めて1分53秒019を記録すると、中野選手もすぐにこのセッションでの初の52秒台となる1分52秒771を記録して再びトップをキープ。

■レースさながらにコースを奪い合うロッシとストーナー

ここでロッシとストーナーはレースさながらのサイド・バイ・サイドのフォーメーションとなり、ほぼ同時にコーナー入り口を奪い合う形となったが、セッティングが決まってペースの速いストーナーにブリヂストンタイヤの試行錯誤を続けるロッシはついていけない。

■序盤のトップを維持する中野選手
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やっとトーズランドがピットレーンに出た頃のタイムシートの上位にはトップから中野選手、2番手にド・プニエ、3番手にレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデン、4番手にケーシー・ストーナー、5番手にJiRチーム・スコットのアンドレア・ドヴィツィオーゾ、6番手にリズラ・スズキのロリス・カピロッシ、7番手にドゥカティーのマルコ・メランドリ、8番手にフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシの名前が並んだ。


■いきなり1分50秒台でトップに踊り出るストーナー

セッション開始から10分が経過した残り30分、ここでストーナーが突如1分50秒台に突入。1分50秒514の文字がタイムシートの先頭に刻まれ、この瞬間にロッシは2番手につけるがストーナーのタイムからはまだ2秒以上の大差が開いている。
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1分後の残り29分、他のライダーが52秒台から抜け出せない中で、ここでストーナーは49秒台となる1分49秒411、さらに3分後には1分49秒263を記録した。

■ヘイデン「49秒台??」

路面が中途半端に乾き続けてコンディションが最悪な状態になる中、この時点で1分52秒後半に突入していたヘイデンは「モニターに1分49秒台の数字が見えた瞬間、誰もが絶望的になった筈。路面状態は悪くなる一方だしストーナーには完全にやられた」と後にコメントしている。
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■セッション折り返し時の順位とタイム、ドゥカティーの2名がワンツー体制

セッション折り返し残り20分の順位、メランドリがロッシを上回る2番手タイムを記録し、ドゥカティー・ワークスの2名が揃って上位につけたこの時点のタイムと順位は、先頭がストーナーの1分49秒263、2番手がメランドリの1分52秒310、3番手がロッシの1分52秒375、4番手がヘイデンの1分52秒683、5番手がド・プニエの1分52秒740、6番手が中野選手の1分52秒711。
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7番手から15番手までは1分53秒台となり、7番手はサンカルロ・ホンダ・グレッシーニのアレックス・デ・アンジェリスの1分53秒222、8番手はカワサキのテスト・ライダーであるオリビエ・ジャックの1分53秒238、9番手はフィアット・ヤマハのホルヘ・ロレンソの1分53秒292。
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■ロレンソ「タイムアタックやめた」

ちなみにウェット用セッティングに終日全く好感触が得られなかったとするロレンソは、「意味のないタイムアタックはやめてマシンのセッティング作業をする事にした」と述べており、この後の大半はガレージ内での作業に時間を費やしている。

■午前の勢いが出せないバーミューレン

10番手は、フルウェットとは異なり乾きかけの路面には苦しむTECH3ヤマハのコーリン・エドワーズの1分53秒401、11番手は午前中のチーム監督の期待もむなしく、ハーフウェットでは初日とドライ時と同じ深刻なマシンの問題が浮上したというリズラ・スズキのクリス・バーミューレンの1分53秒595、12番手は初日のドライ用のセッティングをあまり変更せずに走り続けるアンドレア・ドヴィツィオーゾの1分53秒610。
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■セッティングが定まらないマシンで激しく攻めるカピロッシ

13番手は、真っ赤ではなく水色のピット内で夫人が見守る中、リアを激しく揺らしながら諦めの姿勢を見せずにタイムアタックを続けるリズラ・スズキのロリス・カピロッシの1分53秒646、14番手はアリーチェ・チームのシルバン・ギントーリの1分53秒845、15番手はカワサキのアンソニー・ウエストの1分53秒909。

■トーズランド「甘かった」
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残る4名は、「路面が乾く事でタイムが落ちる状況があるのを初めて知ったし、もう手遅れ」と自らが取った戦略を嘆くTECH3ヤマハのジェームス・トーズランド(1分54秒483)、ドゥカティーのテストライダーと務めるビットリアーノ・グアレスキ(1分54秒694)とニッコロ・カネパ(1分57秒776)、最後尾は「雨では全くバイクに自信が持てなかった」と語るアリーチェ・チームのトニ・エリアスだった。


■セッション後半、ロレンソとエリアスがピットイン

路面がどんどん乾いてさらに条件が悪くなるセッション後半の残り20分、ここでマシンのウェットセッティングに自信が持てない不調のロレンソとエリアスが揃ってガレージ内に消える。
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■トップとのタイム差をゆっくりと縮め始めるロッシとヘイデン、勢い余るカピロッシ

セッション残り17分、ここで上位のライダーがタイムを更新して順位が変動、ロッシは1分51秒439を刻んで2番手、ヘイデンは1分51秒510で3番手、ド・プニエは1分51秒979で4番手に浮上。1分52秒台のままのメランドリは5番手に交代。
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ここで不調だった筈のカピロッシが、暴れるマシンを抑え込むドゥカティー時代を彷彿とさせる走りを見せ、タイムシート上のメランドリの背後となる6番手に浮上。
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■中野選手がセッティングを変更、再び上位に

また、上位タイムを狙い続ける中野選手はここでサスペンションをやや柔らかめに変更。セッション序盤の調子を取り戻し再び上位となるカピロッシの後ろの7番手につけた。
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■ヘイデンが2番手に

その1分後の残り16分、ヘイデンが1分51秒239を記録してロッシのタイムを上回り2番手に浮上。このさらに1分後にはロッシもここでの自己ベストを更新して1分51秒405を記録するが、2番手に浮上したヘイデンを上回るには至らず暫定3位は変わらない。
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■余裕なの?走らないストーナー

ちなみにこの時、2番手のヘイデンを2秒近く引き離しているストーナーは1回もタイヤを交換せずに5周回しかしておらず、ピット内で他のライダーが苦戦する様子をうかがっていた。
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■上位3名のタイムに迫り続ける中野選手

セッション残り14分、セッティングを変更して調子の上がった中野選手は1分52秒029を記録してストーナー、ヘイデン、ロッシ、ド・プニエに次ぐ5番手タイムを記録。この影響でメランドリは6番手、カピロッシが7番手に後退する中、プレシーズンを通して不調だったギントーリが8番手につける。2006年のIRTAテストではBMWを獲得しているエドワーズはその後ろの9番手に。
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セッション残り10分、中野選手がド・プニエとメランドリのタイムを上回る1分51秒594を記録してロッシの背後の4番手につけ、そのチームメイトのアレックス・デ・アンジェリスが1分52秒463でメランドリの背後となる7番手に浮上、続いてギントーリがメランドリ、デ・アンジェリス、カピロッシの3名のタイムを上回る1分52秒058で中野選手とド・プニエに続く6番手につけた。

■ウエストが突然2番手に浮上、様子を見てコースに戻るストーナー
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ここでいきなり上位の顔ぶれに異変が起きる。年末からの合同テスト期間中を通して全く上位に来られず最下位付近を常にさまよい続けていたカワサキのアンソニー・ウエストが、2番手につけていたヘイデンのタイムを0.5秒上回る1分50秒799を記録し、ストーナーから1.5秒遅れの暫定2位に浮上。

後続がややタイム差を縮めてきたのを確認したストーナーは、セッション残り7分のここでコースに復帰、タイヤを変える事なく午後の6周回目を開始した。


■路面が乾き、一部のライダーは予選タイヤを装着するが・・・
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路面がほとんど乾いたセッション残り5分、ウェットタイヤを履く多くのライダーがコーナーで暴れるリアにいっそう苦しみだしたこの頃、ド・プニエやエドワーズなど一部のライダーはここで予選タイヤを含むスリック・タイヤに交換するが、その後のタイムはレインタイヤの時とあまり変わりがない。


■ヘイデンがウエストを交わし2番手に
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セッション残り3分、ここでヘイデンが1分50秒785を記録してウエストを交わしタイムシート上の2番手に浮上。ロッシも1分50秒813を記録するがウエストのタイムには及ばず、ロッシの順位は4番手のままだ。

■時々浮上してくる暴れ馬カピロッシ
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タイムシート上の5番手につける中野選手の背後6番手には、初日は問題だらけだったリズラ・スズキのマシンセッティングを今回の予選セッションを通して大幅に改善する事ができたというロリス・カピロッシが1分51秒894を記録して浮上。


■ドヴィツィオーゾが5番手に浮上、混雑につかまった中野選手は6番手に
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ドライ路面になったセッション残り2分、もともとドライ用のセッティングと大差のないマシンで走っていたドヴィツィオーゾが中野選手のタイムを0.3秒近く上回る1分51秒312を記録して5番手に。中野選手は6番手に後退した。

中野選手は渾身のタイムアタック中に遅いライダーたちに出くわしてしまい、タイムを更新する事ができない。

■ロッシが2番手、ストーナーとの差は縮まらない1.3秒
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ここでロッシは1分50秒580でヘイデンとウエストのタイムを上回り、ストーナーから約1.3秒遅れの2番手につけた。この時、ストーナーはやはりタイヤを変える事なく最後の9周目を走行。後ろを振り返りながら走る余裕のストーナーに焦りの色は皆無だ。


■グラベルに直行するカピロッシを高く評価するデニング監督
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セッション残り1分、ここまで闘魂の走りを見せ続けていたカピロッシがグラベルに直行し、リズラ・スズキの上位進出はこれでほぼ不可能となったが、リズラ・スズキのチーム監督を務めるポール・デニングは「クリスは雨なら車を狙えるかと思っていたが初日のドライの時と同じ問題が発生してしまった。カピロッシはすごい努力を重ねてタイムを上げてきたので、彼の意欲のすさまじさ分かり本当に嬉しかった。チームは問題解決に向けて大きく前進しているので明日も頑張る」と述べ、この日のカピロッシの勝利に向けての姿勢を称えている。


■コントロールラインに飛び込んだロッシは自己ベストを更新するが・・・
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セッション終了となる残り0秒、コントロールラインに戻ってきたロッシはここでセッション中の自己ベストを更新する1分50秒580を記録したが、トップのストーナーとのタイム差を大きく縮めるには至らず、2年連続のBMW杯制覇はならなかった。なおロッシは、「ブリヂストンのウェットタイヤを初めて履いた日に2番手なら上出来!」と、IRTAテスト2日目の作業内容に満足するコメントを残している。


■今年も最初から圧倒的勝利を見せたストーナー
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昨年と同様に乾きかけの路面でのミシュランタイヤの課題を指摘する3番手のヘイデンがタイムを更新できず、今年からブリヂストンに乗り換えたロッシが優勝を諦めたこの瞬間、昨シーズンの覇者であるドゥカティーのケーシー・ストーナーの、2008年度BMW杯での圧倒的な勝利が決定した。

■1年間で4台の車を獲得
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2007年シーズン前半はドゥカティーのスポンサーであるアルファロメオから新車を進呈され、タイトル獲得後には年間予選賞のBMWを受け取ったばかりのストーナーは、今年は年明け直後にアルファロメオからタイトル獲得記念の新車を改めて授与されており、さらには今回のBMW獲得で1年弱の期間内に4台の新車を手に入れた事になる。

■ストーナー「本当はもっと速く走れた」

昨シーズンの勝ち方を象徴するかのような、最後まで誰も1秒以内に寄せ付ける事なく圧倒的な勝利とBMWの鍵を手にしたストーナーは、まるでそこまでは必死にこらえていたかのような満面の笑みを見せ、「タイヤを新しいのに履き替えていたらもっと速く走れたけどね」と、まわりのライダーの悔しがる気持ちを逆なでするような元気なコメントをもって2008年初のMotoGP公式テレビ中継セッションを締めくくった。


■3人のチャンピオン経験者に続いたウエスト
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なお、トップのストーナー、2位のロッシ、3位のヘイデンというチャンピオントリオに続く4位を今回獲得したレイン・マスターとして名高いカワサキのアンソニー・ウエストは、「タイム的には目標レベルだったが、今日の内容にはそれほど満足していない。カタールのためにも明日はドライで走りたい」と冷静なコメントを残している。また、前回のセパンではプレシーズン中のウエストの走りに対して厳しいコメントを述べたカワサキのコンペティション・マネージャーであるミハエル・バルトレミーは「ウエストの今日の結果には満足。次はドライ・コンディションで速いラップタイムを刻んでくれる事を願っている」と語った。


■BMW杯(QP)の走行結果

BMW杯(QP)の全ライダーの走行タイムと順位は以下の通り。
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1) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分49秒263(9周)
2) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分50秒580(17周)
3) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分50秒785(16周)
4) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分50秒799(15周)
5) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiR・チーム・スコット RC212V 1分51秒312(15周)
6) 中野真矢 JPN サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分51秒594(16周)
7) ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分51秒894(15周)
8) ランディ・ド・プニエ FRA ホンダ・LCR RC212V 1分51秒979(11周)
9) シルバン・ギントーリ FRA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分52秒058(14周)
10) マルコ・メランドリ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分52秒238(15周)
11) アレックス・デ・アンジェリス RSM サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分52秒463(13周)
12) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分52秒755(11周)
13) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分52秒779(13周)
14) コーリン・エドワーズ USA ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分52秒826(11周)
15) オリビエ・ジャック FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分53秒283(9周)
16) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分53秒292(11周)
17) ヴィットリアーノ・グアレスキ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分54秒694(11周)
18) ニッコロ・カネパ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分57秒453(13周)
19) トニ・エリアス SPA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分57秒698(7周)

ヘレスのサーキットレコードは2005年(990cc)にバレンティーノ・ロッシが記録した1分40秒596、ベストラップレコードは2006年 (990cc)にロリス・カピロッシが記録した1分39秒064。
ちなみに800cc初年度の2007年におけるレース中のファーステスト・ラップはバレンティーノ・ロッシが記録した1分40秒905、ポールタイムはダニ・ペドロサが記録した1分39秒402。


■続くFP3は強風のため45分で中断
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BMW杯は午後2時45分に終了し、その30分後の午後3時15分からはこの日最後のテストセッションであるFP3が開始されたが、今週の木曜日までヘレスで行われていたF1の合同テストの時と同様にその後のサーキットには激しい強風が吹き荒れ、路面温度も急激に下がっていた事から走行が危険と判断したMotoGP運営側はセッション開始から45分後にレッド・フラッグを提示。予定よりも2時間早い午後4時をもってヘレスIRTAテスト2日目の全てのセッションは終了した。

■FP3を走行したのはレギュラー2名とテストライダー2名のみ

なお、この強風のFP3を走ったレギュラー・ライダーはホンダLCRのランディ・ド・プニエと、フィアット・ヤマハのホルヘ・ロレンソの2名のみ。テストライダーではドゥカティーのニッコロ・カネパとビットリアーノ・グアレスキの2名が走行したが、この合計4名以外にコースに出ようとするライダーはいなかった。

この気温15度、路面温度12度、湿度69%の45分間のみとなったFP3の走行結果は以下の通り。


■午後FP3の走行結果

1) ランディ・ド・プニエ FRA ホンダ・LCR RC212V 1分55秒568(4周)
2) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分56秒186(4周)
3) ニッコロ・カネパ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分58秒620(3周)
4) ヴィットリアーノ・グアレスキ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 2分07秒789(4周)


■各ライダーのコメント

以下に、BMW杯と2回のフリー・プラクティスが行われたヘレスIRTAテスト2日目の作業を全て終えた全レギュラー・ライダーのコメントを、BMW杯の結果順に示す。

■1位)ケーシー・ストーナー ドゥカティ・マルボロ 1分49秒263
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今回は素晴らしかったですね。昨シーズンは全ての予選でチームと一緒にすごい活躍ができたので最後に自分が車をもらう事になりましたが、2008年最初のセッションでもまったく同じ流れになるなんて最高です。

午前中にすごくいいウェット用のセッティングを見つけていましたし、(午前と比べて)コース上に水がそれほど溜まっていないようだったので、今回は他のライダーたちよりも少し硬めのタイヤで走る事にしました。

当然タイヤが硬いとグリップは落ちますが、耐久性は良くなりますからね。路面が乾き始めていたのも自分にとっては都合が良かったし、セッションを通してずっと同じタイヤのまま走りました。ただ、もしセッションの最後に新しいタイヤに履き替えていたら、もっと速く走れた筈ですよ。

昨日のセッションが終わる頃にはドライ路面でのバイクの状態にすごく満足できるようになったんですが、今日はウェットでも同じでしたね。

テスト期間中に強さを発揮できるって事は、レースになっても自分たちはさらに強さを発揮できる可能性があるという事ですが、完璧と言える状態なんてあり得ませんし、常に改善の余地はあります。

昨シーズンに問題を抱えたサーキットではバイクの仕上がりをより高めておけるように頑張っていますが、その観点からすれば今回は本当にうまくいきました。


■2位)バレンティーノ・ロッシ フィアット・ヤマハ 1分50秒580
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今日はすごく難しい走行条件になり、期待とは全く逆の1日でした。いずれにしても、この気象状況の中での自分たちの成果にはすごく満足できていますけどね。

ウェットをブリヂストンで走るのは今回が初めてでしたし、バイクのセッティングにはもっと作業が必要だと感じてはいますが、それほど遅かった訳ではありません。もちろん、もっと時間をかければ速くできる事は分かっていますから、明日にもう一回雨で走るチャンスがあればいいかもしれませんね。

一番の問題はフロントのグリップが少し不足している事と、バイクのバランスがまだ100%じゃない事です。そのせいで思い通りにコーナーに進入する事ができていませんが、これは改善できると考えています。

ドライでのブリヂストンの最初のテストはかなり厳しいものでしたが、ここまでの3回のテストを経て状況は良くなりました。ですから、ウェットでも同じ事が言えるようになる筈ですしね。

午前の1回しかウェットを経験していないのに次のセッションでは2位を取れた訳ですから今日の作業にはとても満足です。


■3位)ニッキー・ヘイデン レプソル・ホンダ 1分50秒785

楽しかったですね。これはちょっとした競技だし、車がかかっているのは別にしても軽いレースみたいな感覚になりますからね。それに全員がかなり真剣に攻め込んでましたよ!自分たちは全員がレーサーですし、すごく楽しめました。
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気象条件は理想的とはいきませんでしたね。もう少し安定した状況なら良かったんですけど。残り時間がゼロに突入しようとするセッションの終わりぎりぎりの頃にはほとんど最悪と言っていい状態の乾きかけでした。

みんな自己ベストはセッションの前半に出していましたね。フルウェットで走ってる時に誰かが49秒台を出したのが見えましたが、あれはきついですよ。ケーシー(ストーナー)には完全にやられました。

いずれにしてもバイクの調子は雨の中でもすごく良かったですよ。3位には満足できていません。というのは、終始水たまりや乾いたラインが混在するような不安定で最悪の条件になった事が個人的には残念だからです。

ただ、今回のようなケースもこれまでに色々取り組んできた事の1つですから、まあ、こういう条件でもそれなりの結果だった事にはある意味満足していますけどね。完全ウェットなら普通はそんなに悪い条件とは言えません。完全ドライとかなら尚更です。でも、その中間はとにかく難しいので今後もさらなる取り組みが必要です。

午前が雨になってバイクにはあまりいい改善を施す事はできませんでしたが、いい日ではあったと思います。フルウェットでも本当に好調だったしミシュランタイヤはうまく機能していました。フロントに1本すごく気に入るものも見つかっています。

ウェットドライの中間的なコンディションに対してさらなる対策が必要なだけです。


■4位)アンソニー・ウエスト カワサキ・レーシング 1分50秒799

タイム的に見れば目標に近いところまでいきましたが、今日の内容には完全に満足はできていません。
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午前のウェット路面ではバイクのハンドリングとコーナリング特性を自分のスタイルに合わせられるようにいくつか違うセッティングを試し、午後には一部が濡れて一部は完全に乾いているというあまり良くない路面条件でしたがブリヂストンタイヤの評価テストを再開しました。

でも、確かに路面コンディションについては最悪と言える環境でしたが、自分たちにとっては価値の高いテストでした。ウェットから徐々に乾いていく最中の路面でのハンドリングを考える上ではいい方向性が見つかりましたからね。

当然、まだ改善すべき点はいくつもありますが、いずれにしても明日はここまでに集めたデータを試せるように少しはドライの時間も欲しいです。それができればカタールのテストに向けて明確な改善プランを用意する事ができるようになりますからね。


■5位)アンドレア・ドヴィツィオーゾ JiR・チーム・スコット 1分51秒312
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午前中は集中的に雨が降り、そのフルウェット路面で3番手タイムを出せましたが、予選セッション(BMW杯)までに条件が変わって路面が不安定になり、周回の度にグリップレベルが変わっていきました。

セッション終盤に条件が若干安定してアスファルトもドライに近づきましたが、残り時間がほとんどなかったので、もう一本試したかったいいタイヤを履くチャンスはありませんでした。

予選セッションで5番手は悪くない結果ですし満足です。自分の前の上位4名とのタイム差が、今後自分たちが改善すべき部分ですね。自分たちのテクニカル・パッケージ(バイクやタイヤなど)なら今回よりも上の結果が狙える筈ですし、これからそれを達成できるように頑張ります!

明日も大切な1日なので晴れて欲しいです。天気が良ければさらに飛躍的に改善が進められると思いますし、多くの作業を通してデータも集められると思います。


■6位)中野真矢 サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ 1分51秒594
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朝のウェット・セッションのおかげでいくつか他のタイヤを組み合わせてテストするチャンスがあり、何本かのソフトとミディアムタイヤを試して午後のチャレンジに備えました。

午後はいいペースで走れていましたし、タイムアタックの時にはなんとか速いタイムを出そうと頑張りましたが、そこで路面が乾き始めてしまい、一番肝心なアタックの時にはコースがライダーで混雑している所に入り込んでしまったんです。

あれがなければ6位以上はいけた筈なんですけどね。でも、新しいバイクはすごく大きく進化を遂げているので満足です。


写真■7位)ロリス・カピロッシ リズラ・スズキ 1分51秒894

午後はそれほど悪い内容じゃなかったですよ。午前中からずっと色んな事を不安定な条件の中で試してきましたし、バイクの調子を少し戻す事もできました。でもまだやるべき事は多いですね。特にウェットではそうです。

完全に満足しているとは言いたくありません。このまま進むべき方向を目指して頑張り続ける必要があります。今はチームの全員がバイクを正しく仕上げられるもう少しのところまで来ていますし、必要な事への理解を深めています。

まだ改善は必要ですが、全体を通して見れば、良くなり始めた今の状況にはとても満足できます!


■8位)ランディ・ド・プニエ ホンダLCR 1分51秒979

写真自分は普段からウェットでもいいペースで走れますが、今日の40分間のセッションはちょっと変な感じでした。

レインタイヤで走り始めた時の感触はものすごく良かったのに、何周か走った後に新しいタイヤに履き替えたら路面が乾き始めてしまい、十分にグリップが得られなくなったんです。その後、予選タイヤで少しだけ走りましたが、あの状況ではストーナーをつかまえるのは不可能でしたね。

午前中はバイクをウェット用に調整しましたが、これは結構面白かったです。公式セッション(BMW杯)の後は風が強くなりすぎたので作業を続ける事はできませんでした。


■9位)シルバン・ギントーリ アリーチェ・チーム 1分52秒058

最初の公式セッションを9位で終われて嬉しいですね。そんなにすごい成績という訳ではありませんが、シーズン開幕に向けての大きな一歩だったと思います。
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一番最後のアタックでタイムを更新できなかったのが残念でした。あの時はリアのウェットタイヤを違うものに変えたんですが、乾きかけの路面では期待通りの性能が発揮できていません。

他にも、風が途中で強くなったのが走りに悪影響を及ぼしました。


■10位)マルコ・メランドリ ドゥカティ・マルボロ 1分52秒238

この気象条件でできる作業はそんなにないので、今日はテストとして考えれば本当にいわゆる無駄な1日になってしまいました。
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午前中はウェット用のセッティングを試し、ドゥカティーのマシンで初めて転倒を経験するまでにはかなりの改善が進んでいました。激しい転び方でしたが、特に深刻な怪我とかはありません。

予選(BMW杯)の序盤はすぐに速く走れましたが、ピットストップを軽く済ませた後はそれ以上タイムがあまり上がらなくなりました。縮んでもせいぜいコンマ1秒程度です。これは午前中の転倒ですごく調子の良かったウェット用タイヤを壊してしまい、代わりのタイヤがなかったのが一番の原因でしょうね。

その後は天候が悪化したので1日の作業を早めに終える事になりましたが、明日は作業が続けられるように天気が良くなって欲しいです。


■11位)アレックス・デ・アンジェリス サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ 1分52秒463

ウェットでも何回かいいタイムが出せたのは自分にとってすごく重要でしたし、これには満足できました。レインの経験をあまりしていない状態で最初のレースを迎えるのは厳しいと思っていましたからね。
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今日のテストではいくつかデータを集める事もできたので、これは今後ウェットの時にバイクを自分のライディング・スタイルに合わせていくのに役立つ筈ですよ。

ですので、全体的にみれば今日はいい1日だったと思います。毎日バイクの感触は良くなっていくし、チームへの好感度もどんどん上がっています。


■12位)ジェームス・トーズランド ヤマハTech3 1分52秒755

路面が乾く事でタイムが遅くなるという経験は以前にした事がなかったので、方向性を見誤りました。

最初に10分間も待っていたのは自分だけだったと思いますよ。路面が乾いてグリップが増すまでは待機しようと思ったんですが、その後も結局グリップは低くなる一方なんです。これは自分にとっては大きな勉強でした。他のみんなはすぐにコースに出ていいタイムを刻んだので、もう完全に取り残されちゃいましたね。

路面が乾いていけばいくほどラップタイムも縮まらなくなるのには本当に驚きました。昨日のドライ路面では調子が良かったし、午前のフルウェットでも同じように良かったので、今回はとてもがっかりです。チームのためにも活躍できるのを楽しみにしてたのに、残念ながらそれはなりませんでした。

乾きかけの路面では必要なグリプが全然得られていません。攻め込んで頑張りましたが、午前のフルウェットでは1分52秒9が出てたのに、午後の乾きかけの路面では1分52秒7が精一杯でしたから、問題なのは明らかですよね。

ただ、色々学びましたし、今はそれが大切なんだと思っています。次回同じような路面条件に遭遇した時にはもっとうまく準備が進められるようになると思います。


■13位)クリス・バーミューレン リズラ・スズキ 1分52秒779

今日は天候が昨日とは一変しましたね。午前は3時間もウェットの時間がとれたのでヘレスでウェットを経験するいいチャンスでした。
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何本かブリヂストンタイヤとレイン用のセッティングを試しましたが・・・正直に言えばドライの時と同じ問題にまだ苦しんでいます。でも、今日もテストには良かったし、チームにとっては有益でした。

40分間のタイム・アタック中はずっと路面状況が変わり続けていました。雨はあがっていましたが、まだひどく濡れていたし粘っこい感触でしたね。また、徐々に乾いてきてドライ・コンディションに近くなったら余計に苦しい状況になりました。

まだやるべき事が残っているので明日は晴れて欲しいし、全てをやり遂げておきたいです。


■14位)コーリン・エドワーズ ヤマハTech3 1分52秒826

午前はフルウェットで走りましたが、5周くらい走っただけでタイムシート上の5番手につけられたのでいい気分でしたよ。新しいバイクはレインでもすごいですね。
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このバイクはレインでも何一つ問題を抱えませんし、新しい電子制御とエンジンは素晴らしいです。文句を言うネタが全く見つからないので、「みんな、ここを直していこうよ」とかいいながらガレージに座り込む事ができないんですけどね。

今やらなきゃいけないのはもう少しだけグリップを増す事くらいでしょう。いいフロントタイヤは見つかっていますが、他のみんなと同じようにあリアにあと少しだけグリップが欲しいところです。

午後はちょっとだけ奇妙でした。こんな事を言ったらバカみたいに聞こえますが、コースが乾き始めたら路面がつるつるになったんですよ。これなら雨が振って気合いを入れる時の方がましです。

セッションの本当に終わりがけの5分間だけはスリックタイヤを履いて走りましたが、滑りっぱなしだし、いい感触とは無縁でした。ただ、色々今回も学ぶ事はできましたし、バイクの性能はいいので満足はしています。


■16位)ホルヘ・ロレンソ フィアット・ヤマハ 1分53秒292

今日は期待したほどにはうまくいかない1日でした。ヤマハに乗ってウェットを走るのは今回が初めてでしたが、何もかもが全然違ったので、これは別の新しい課題として考える必要があります。
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あまりいい感触が得られていません。今日の自分はすごく遅くて、ブレーキは早すぎるし加速を始めるタイミングも遅すぎました。ウェットでのバイクとタイヤに慣れるという観点では午前にいくらか進歩はありましたが、グリップ不足のせいでなかなか自信は持てなかったんです。

午後の予選(BMW杯)では、意味もなく攻めて走る事よりも一度作業を中断して色々変更してみる方を選びました。タイムが遅かったのはそれが理由です。

今日はがっかりでしたし、昨日に引き続きまだ色々やる事だらけです。ただ、いつも通り学習はしっかり進めていますから、次回の雨の時に何をすればいいかはもう大丈夫です。


写真■19位)トニ・エリアス アリーチェ・チーム 1分57秒698

今日はあまりバイクに自信が持てなかったので、それが結果に表れたのは隠しようがありません。

明日の天気も予報ではあまり良くないようですが、新しいバイクへの順応を進めるにはドライの路面で作業を続ける必要があります。

今年最初の公式セッションでいい結果を狙っていた自分のスタッフには申し訳なく思いますし、できる限り早く彼らに最高の走りを見せられるように全力で頑張ります。


■QP欠場)ダニ・ペドロサ レプソル・ホンダ

昨日は右手を怪我した後の初走行でしたが、あれから手がひどく腫れて焼けるように痛くなったので、今日のウェット路面でリスクを冒すのはやめました。路面が今後ドライになるようならまた走ります。
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カタールの最初のレースまでにまだ3週間ありますので、体力トレーニングやバイクのセッティングがその間にできるように手の回復が進む事を願っています。


■QP欠場)ジョン・ホプキンス カワサキ・レーシング

タイムアタック・セッションの時間中は、手負いの身にとっては理想とはほど遠い走行条件でした。今回欠場したのはそれが理由です。自分が最優先すべき事は最初のレースまでに完治する事ですし、いらない車を獲得するために怪我をひどくするようなリスクを冒したくはありませんでした。
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午前中は自分にとって本当に必要な事をテストしました。電子制御やトラクション・コントロール・システムを自分の走りの特性に合わせる上で今日は進歩が得られたと思っています。

天気にもよりますが明日も走るつもりです。ただ、フィリップ・アイランドの怪我の痛みが今もあるので、まだかなりの制限はつきまといます。

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