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ヘレスIRTAテスト初日のトップはニッキー・ヘイデン
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インテリマーク編集部
  2008年2月17日

2008年度MotoGPの公式IRTAテストが、スペインのヘレス・サーキットにて初日を迎えた。ここでは、やや風はあったものの晴天に恵まれ、気温18度、路面温度19度、湿度43%の良好な走行条件となったヘレスIRTAテスト初日の内容を紹介する。
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■初日からBMWを意識するライダーも

今年のIRTAテストでも、毎年恒例となった予選形式の公式タイムアタック合戦であるBMW杯がテスト2日目となる日曜日、現地時間の午後2時5分より40分間行われるが、勝利者には新車のBMWが授与される事から、この初日から思わず翌日のBMWを意識して調整を続けてしまうライダーもいるようだ。


■ヘレスIRTAテスト初日(FP1)の走行結果

以下に、ヘレス・サーキットでのIRTAテスト初日の走行結果を、各ライダーの自己ベスト順に示す。
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1) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分39秒200
2) ランディ・ド・プニエ FRA ホンダ・LCR RC212V 1分39秒444
3) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分39秒528
4) コーリン・エドワーズ USA ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分39秒629
5) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分39秒678
6) アレックス・デ・アンジェリス RSM サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分40秒165
7) 中野真矢 JPN サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分40秒192
8) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分40秒641
9) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分40秒651
10) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiR・チーム・スコット RC212V 1分40秒767
11) ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分40秒843
12) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分41秒352
13) マルコ・メランドリ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分41秒392
14) トニ・エリアス SPA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分41秒703
15) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分41秒763
16) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分41秒821
17) ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分41秒901
18) オリビエ・ジャック FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分42秒557
19) ニッコロ・カネパ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分42秒652
20) シルバン・ギントーリ FRA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分42秒698
21) ヴィットリアーノ・グアレスキ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分43秒435

ヘレスのサーキットレコードは2005年(990cc)にバレンティーノ・ロッシが記録した1分40秒596、ベストラップレコードは2006年 (990cc)にロリス・カピロッシが記録した1分39秒064。
2007年(800cc)のレース中のファーステスト・ラップはバレンティーノ・ロッシが記録した1分40秒905、ポールタイムはダニ・ペドロサが記録した1分39秒402。

■予選タイヤの使用状況

今回のトップタイムを記録したニッキー・ヘイデンから7番手の中野真矢選手までは予選タイヤにて自己ベストを記録している。なお、8番手のバレンティーノ・ロッシもこの日は予選タイヤを装着しているが、今回の自己ベストタイムはレースタイヤで記録した。


■各チームの状況

以下に、ヘレスIRTAテスト初日の各チームのテスト状況、ならびに全ライダーや関係者のコメントを紹介する。

■レプソル・ホンダ、初日のトップはヘイデン、ペドロサは苦痛の1日

2008年度のIRTAテスト初日にトップタイムを記録したのは、今年はタイトル奪還を狙う2006年度のチャンピオン、レプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンだった。
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この日にヘイデンは、年明け以降の過去3回のテストで使用したものとは主に剛性面での仕様が異なる新しいシャシーを試しており、これには好感触が得られた様子だ。

なお、ヘイデンがこの日に使用したエンジンは金属スプリングを使用した2008年型標準エンジンであり、昨年末から開発に着手しているニューマチック・バルブ・エンジンは使用していない。

初日の大半をミシュランのタイヤテストに費やしたヘイデンは、この日のトップタイムである1分39秒200を予選タイヤで記録。これは2006年にカピロッシが990ccマシンで記録したセパンのベストラップ・レコード(予選タイヤ)に0.136秒差まで迫る好タイムだった。
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また、1月22日のセパン合同テストで右の手のひらを骨折、その翌日にチタンプレートを埋め込む手術を受けたダニ・ペドロサは、念願通り今回のヘレスからテストに復帰してバイクナンバー2のついたRC212Vで午前から走行を開始しているが、この日は手の痛みと腫れに苦しみ、5周回ごとにピットに戻って手を氷で冷やしており、思い通りに作業を進める事はできていない。

安全なレベルで走ったというペドロサの初日のタイムは12番手となる1分41秒352だった。

■ヘイデン「今年のテストの中では最高の初日」

2008年度のIRTAテスト初日をタイムシート上のトップで飾ったニッキー・ヘイデンは、翌日以降に予想される悪天候を考えればこの日のタイムは重要だったと語る。
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「全体的にすごく好調でしたね。今年のここまでのテストの中で最高の初日だった事は間違いありませんし、天気予報によれば残りの2日間は雨みたいなので今日の結果はすごく重要だったと思います」とヘイデン。

「今回は異なるシャシーをいくつか試していますが、フロントの感触が少し良くなった気がする方を使い続けたらすごく調子よく走れました」

「他にもいくつか試していますが大きな変更は加えていません。もうシーズンの開幕も近いのでセッティングを少し調整したくらいですが、感触がいいと思える時には常にタイムにも反映されていました」

「最後にはレースの距離を走り込みましたが悪くない感触でしたね。レースタイヤでも40秒台に入りました。ただ、安定してそのタイムを維持するにはもう少し改善を進めておく必要はありそうです」

■ペドロサ「体調に問題がなければ2日目も走りたい」

初日は右手の痛みとの戦いとなったダニ・ペドロサは、この晩に患部を冷やして明日の朝に問題がなければ2日目も走行したいとコメントした。
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「今日のここでの最優先課題は体調のチェックです。手はまだ100%の状態ではありませんし、連続して走るのは5周回が精一杯でした」とペドロサ。

「手はすごく痛いです。特にブレーキングと方向転換の時に痛みますし、手の腫れを最小限に抑えるには毎回ピットに戻って手を冷やし続けなければいけない状態です」

「今晩手を冷やし続けて、朝になってもし腫れがひいていて気分も良ければ明日は走るつもりです。今日は手の具合があり安全なペースでしか走っていませんから、バイクとタイヤの本格的な作業は何もできていません」


■ホンダLCRはリアのトラクション性能とミシュランタイヤに満足

新型エンジンが今回から提供され、完全な2008年仕様のRC212Vを手にしたホンダLCRのランディ・ド・プニエは、ヘレスでの初日はワークス・ホンダのヘイデンに次ぐ2番手タイムの1分39秒444をミシュランの予選タイヤで記録している。
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なお、ド・プニエはレースタイヤでも1分40秒223というヘレスのサーキット・レコードを0.373秒上回る好タイムを記録しており、この日のレースタイヤでのトップはド・プニエだ。

ホンダの発表によれば、新型エンジンは中速域の出力特性がよりスムーズになっており、またリアタイヤのトラクションが得やすくなった事から、昨年の11月に旧型マシンでトラクション不足に苦しんだホンダLCRチームも、今回は比較的楽にリアまわりのセッティングを仕上がる事ができたという。

この日にド・プニエはシャシーを中心としたベース・セッティング、ならびにミシュランタイヤのテストに集中している。なお、翌日はレインタイヤを試したいド・プニエは、他の多くのライダーとは異なり天気予報通りの雨天を希望している。

■ド・プニエ「新型エンジンは若干予想と異なる」

今回の新型エンジンを何よりも楽しみにしていたというド・プニエは、実際に新しいマシンで走ってみて、トップ・エンドのパワーについてはまだ若干調整を要すると感じた様子だ。なお、この日に試したミシュランタイヤについては深く満足できたとド・プニエは語る。

「今日の結果には本当に満足です。午前の最初の1周目からバイクの感触が去年の11月の時よりずっといいんです」とド・プニエ。

「レースタイヤでのラップタイムも良かったし、ペースも安定していました。新しいコンパウンドのリアタイヤを履いた途端、11月の時の自己ベストをいきなり0.6秒も縮める事ができたのでこれには驚きましたね。本当に今回のレースタイヤでのペースは最初っからすごかったと思います」

「セッションの最後には予選タイヤを試しましたが、この時には1周を安定して速く走りきる事ができました」

「ここでは新しいエンジンが手に入りましたが、ちょっと予想していたものとは異なります。出力がすごくスムーズになった点は気に入りましたが、最大出力に関してはもっと強化する必要があるので、今後はそれに取り組むつもりです」


■セパンでの不調を一気に払拭したミシュラン・フィアット・ヤマハ

前回のセパン合同テストでは思い通りにセッティングの改善が進まずにやや落ち込み気味だったミシュランを履くフィアット・ヤマハのホルヘ・ロレンソは、この日は朝には不調だったもののすぐに大幅なセッティング改善に成功し、夕方には予選タイヤでヤマハ勢のトップとなるこの日の3番手タイムの1分39秒528を記録して再び強気に戻っている。
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ロレンソはこの日の朝は11月のヘレス合同テストで使用したセッティングから作業を開始、1日を通してミシュランのフロントとリアの両方のタイヤをテストする中、レースタイヤでも安定して速いタイムを維持していた。

■ロレンソ「自信を回復」

写真前回のセパンでは失っていた自信を今回の地元ヘレスで取り戻したというロレンソは、2日目は最初からいいペースで走りたいとコメントした。

「今朝走りはじめた時にはいくつか問題があり、あまりいい感触が得られませんでした。特に風の影響ですね。でも変更を加えていく度に調子が上がってきて、感触はその後どんどん良くなりました」とロレンソ。

「バイクにうまく変更を加える事ができたので、最終的にはブレーキング時のフロントまわりの感触も良くなってきました。それに今日はエンジンに関しても大きな進歩が得られていて、いくらか余分にパワーが得られるようになりました」

「今日は自信がつきましたし、ここまでのテストの中でも最高の1日だったと思います。前回のセパンでは問題を抱えていたので、レースタイヤでここまでいいタイムを出せるとは思いませんでした。予選タイヤでは3番手タイムですしね」

「午前中の問題を除けば、さっきも言った通り今日は最高の1日でしたが、明日は最初からもっと全てが順調にいくようにしたいです」

■ロマノーリ監督「課題だったフロントの安定感が高まった」

ミシュランを履くフィアット・ヤマハのチーム監督を務めるダニエーレ・ロマノーリは、順調に進んだ初日の作業について以下の通り説明した。

「今日は良好な1日でしたね。ここでの11月の時の状態から作業を開始し、徐々にセッティングとバランスに変更を加えていきましたが、フロントの安定感がさらに高まってライダーにとってコーナーが攻めやすく仕上がり、加速時にもいい効果が得られましたから、この結果はかなり今後の励みになります」とロマノーリ監督。

「同時に何本かのミシュランタイヤをフロントとリアの両方に試しましたが、今後作業を進める上で期待のもてる新しい点がいくつか見つかっています。一番最後に予選タイヤを履いたのは明日の事前チェックくらいのつもりでしたが、ホルヘはこの時にも素晴らしい走りを見せてくれました」

「今は明日もいい天気になってくれる事を祈るばかりです。今日と同じくらいに順調だといいですね」


■ミシュランカラーに包まれたTECH3ヤマハは4番手と5番手

2008年度のチームカラーを今回のヘレスで初披露したTECH3ヤマハチームは、昨年までのダンロップ・カラーから一新、ミシュランの象徴である青色と黄色の2色に包まれている。

この日にコーリン・エドワーズは1日目の4番手タイムの1分39秒629、ジェームス・トーズランドはチームメイトに次ぐ5番手タイムの1分39秒678を、それぞれに予選タイヤで記録しており、前回のフィリップ・アイランドでの勢いをそのまま今回のヘレスに持ち込む事に成功した様子だ。

■エドワーズ「まだちょっと困惑気味」
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IRTAテスト初日に好調な走りを見せたコーリン・エドワーズは、今回の4番手という順位には満足しているものの、マシンの感触については納得できていない様子の複雑な心境を以下の通り語っている。

「タップタイムがいい感じなのは嬉しいんですが、まだ改善の余地はたくさんあります。ペースも悪くはありませんが、なぜだか11月の時ほど良くはないんです。エンジンと電子制御系は以前よりも改善されてるんですけどね」とエドワーズ。

「今晩はコンピュータで分析していくつか小さな問題を解決できないか確認するつもりです。正直言うと、まだ心から安心できる状態じゃありませんし、ちょっと困惑気味ですが、もっとタイムを良くできる事は確かですよ」

「バイクの挙動がコーナーの進入時にまだ少し過敏すぎる気がしますし、そのせいで11月の時と同じようなタイムで走るのが難しいんです。ただ、だから今テストをしている訳ですし、問題を抱えながらもトップ4に入れるのは決して悪い事ではありません。でも、もう少しラップタイムを改善できるようにしたいですね」

「ミシュランの予選タイヤは大きく進化していますし、開幕に向けていい方向性が得られていると思います」

■トーズランド「潜在意識のレベルで走れるようになってきた」

前回のオーストラリアではMotoGPマシンへの自信を大きく深める事に成功したジェームス・トーズランドは、今回の好調さの要因ならびにその高い適応能力を以下の通り説明している。
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「この結果は自分にとってかなりの起爆剤ですよ。レースタイヤでも予選タイヤでも前回の11月の時より大きくタイムを縮める事ができていますからね。初日の5番手だった事には満足していますが、それよりもレースタイヤで終日2番手につけていた事の方が自分にとっては大きいです」とトーズランド。

「今日はロングランも行いましたが、風が強くてあまりいい走行条件じゃない時間帯だったにもかかわらずペースが一貫していたので嬉しいですね」

「11月の時のレースタイヤでの自己ベストは1分41秒2でしたから、今回1分40秒7を記録できたのはすごくいい兆候です。予選タイヤではさらに速く走れましたし、チームと一緒に進歩しているのを見せつける事ができたと思いますしね。前回までのテストを通してやってきた事が正しかった証拠です」

「MotoGPに順応するのは決して楽ではありませんでしたが、特にクルー・チーフのギィ・クーロンや、チーム全体の経験から色々教えてもらった事がラップタイムに反映されてきたんだと思います」

「新しいトラクション・コントロールもタイムに大きく影響しています。前回の11月の時には試していませんでしたから、かなり大きな効果ですね」

「色んな状況でどのくらいブレーキを遅らせたらどんな挙動になるのかだいぶ分かってきました。スピードが出ている時は何がどうなるのか心配するよりも、潜在意識にまかせて走れるようになってきましたからね。上達してどんどん速くなる時はこんな感じですよ」


■新型エンジンの扱いやすさに好感触を示すホンダ・グレッシーニ勢

2008年仕様の新型エンジンを搭載した最新マシンを手にしたサンカルロ・ホンダ・グレッシーニ・チームの2名のライダー、中野真矢選手とアレックス・デ・アンジェリスは、この日は新しくなったマシンのベースセッティングから着手し、その後の残りの時間の大半はブリヂストンのタイヤテストに費やしている。

前回のセパンまでは予選タイヤでタイムが伸びない事に苦しんだグレッシーニ勢だが、今回のヘレスからは2名のライダーが揃ってレースタイヤと予選タイヤの両方で好タイムを記録、1つの大きな課題は解決の兆しにある様子だ。

初めてサンカルロ・カラーでサーキットに登場したアレックス・デ・アンジェリスは6番手タイムの1分40秒165、中野真矢選手はそれに次ぐ7番手タイムの1分40秒192を、それぞれに予選タイヤで記録した。

なお、グレッシーニ・チームはテスト前日にHRCから新型エンジンを受け取っており、メカニックたちの夜遅くまでの努力のおかげで初日の朝から基本セッティングの整った新マシンで走行を開始する事ができたとしている。

■デ・アンジェリス「新型エンジンは全ての点で旧バージョンを超えている」
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ヘレスでの初日の走行を好位置で終えたアレックス・デ・アンジェリスは、新型RCVエンジンについては今のところ全てにおいて満足できるとコメントしている。

「結果は良好でしたが、終日風が強くて難しい1日でしたね」とデ・アンジェリス。

「新しいホンダのエンジンを試す事ができて面白かったです。予想通り全ての分野において以前のバージョンを超えていますよ。ただ、もう少し走り込んでみる必要があると思いますし、他のサーキットでの今後の結果も見てみたいです」

「ブリヂストンから提供された新しいタイヤからもすごくいい感触が得られました」

■中野選手「エンジンパワーを楽に使えるようになった」
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チームメイトと同様に、完全な2008年仕様となったRC212Vに満足する中野選手は、この日はブリヂストンの予選タイヤとレースタイヤのどちらからも好感触が得られた様子だ。

「サンカルロ・ホンダ・グレッシーニの新しいカラーリングでここに来られて嬉しく思います」と中野選手。

「今日は多くの周回数を走り込みました。天気予報によると明日はあまりいい気象条件ではないみたいですからね。新しいホンダのエンジンにも満足しています。以前よりも楽にパワーを使い切る事ができるようになりましたね」

「ブリヂストンが持ち込んだ最新バージョンの予選タイヤとレースタイヤの両方を何本もテストしましたが、どちらについてもいい結果が得られています」


■誕生日ケーキを被る29歳のロッシ、レースタイヤではド・プニエ、ロレンソに次ぐ3番手
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ヘレスIRTAテスト初日に29歳の誕生日を迎え、誕生日ケーキのデザインを施したスペシャル・ヘルメットで登場したフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシは、この日はレースタイヤでは安定してタイムシート上のトップにつけていたものの、夕方に選んだブリヂストンの新型予選タイヤでは期待通りの効果が得られず、結果的には1日目の8番手タイムである1分40秒641をレースタイヤで記録している。

なお、先に記した通りこの日のレースタイヤでのトップタイムはランディ・ド・プニエの1分40秒223であり、続いてホルヘ・ロレンソが1分40秒374を記録していることから、ロッシはレースタイヤでは初日の3番手という事になりそうだ。

■ロッシ「BMW杯ではいい戦いができる」
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昨年のIRTAテストではダニ・ペドロサとの接戦を制して見事にBMWを獲得しているバレンティーノ・ロッシは、初日の予選タイヤではタイムを伸ばす事はできなかったものの、翌日のBMW杯で使用する予選タイヤに関しては自信がある様子だ。

「ここで誕生日を祝う事ができて嬉しいです。自分のバイクで走るのは大好きだし今日は楽しめましたからね。誕生日にあわせてヘルメットもバースデーケーキのデザインにしてみました!」とロッシ。
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「今日は初日の結果としては全然悪くないと思います。タイヤの感触はいいし、バランスとエンジンの出力もいい感じです。もちろん100%ではありませんし、いくつかの分野にはまだ改善が必要ですよ。特にコーナーへの進入時に最大限の走りができていません」

「今日はブリヂストンの新世代の予選タイヤを試しましたが、明日はセパンの時にすごく速く走れたもっと標準的なタイヤを使うつもりですから、公式予選セッション(BMW杯)では他のライダーたちといい戦いができると思いますよ」

「全体的に見て今回はいいスタートが切れました。明日はもっと速く走れるようにする自信もありますしね」

■ブリビオ監督「今日は全て順調」

ブリヂストン側のフィアット・ヤマハのチーム監督を務めるダビデ・ブリビオは、ヘレスでの初日のテスト内容と2日目以降の希望を以下の通り語った。

「今日は作業がはかどりいい初日でした」とブリビオ監督。

「夕方に新しいタイプの予選タイヤを試しましたがあまり速く走れませんでした。ただ、明日は良く知っているタイヤを試すので、公式セッションではまわりと高いレベルで戦える事を願っています」

「今日はバレンティーノにとってもチームの全員にとっても好調な1日でした。残りのテストもこの調子でいきたいですね」


■初日は予選タイヤを使用しなかったドゥカティー勢
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ケーシー・ストーナーとマルコ・メランドリのドゥカティー・ワークス勢は、この日は揃って予選タイヤは装着せず、昨年チームがレースウイーク中にやや苦戦したヘレスに合うセッティングを終日探った様子だ。この日のストーナーのタイムは9番手の1分40秒651、メランドリは13番手タイムの1分41秒392だった。

■ストーナー「バイクは最高の状態とは言えない」

ストーナーはこの日はブリヂストンタイヤには好感触は得られているものの、バイクそのもののセッティングにはやや苦労した様子だ。

写真「まずはバイクのセッティングをこのサーキットに合わせるところから始めています。去年はここで苦労しましたし、その原因を探っているような感じですね」とストーナー。

「ブリヂストンタイヤはこのサーキットでうまく機能していますが、バイクは最高の状態とは言えません。グリップを失う傾向があり、コーナーへの進入時にその問題があります」

「ここはあまりタイム差がないサーキットなので今日はシャシーのバランス調整に取り組みましたが、夕方までに大きな進歩が得られました。本当はもっとレースタイヤのテストもしたかったんですが、今日はそれを脇に置いてシャシーの方の作業に取り組み、結果的に今回の成果には満足できています」

「ここでは競争の激しさを肌で感じますし、ライダーたちは見るからに必死です。ここで走っているライダーの全員がスポンサーやファンの熱い視線を感じていますし、これは自分たちの走りへの意欲を余分に高めるんです」

「今日はもっといい順位を狙えたとは思いますが、今の段階では特に心配していません。天気予報によると明日はあんまりいい条件じゃなさそうですが、もし天気がこのまま良ければタイヤのテストをどこかで行い、午後のバトルに向けて予選タイヤを何本か試しておきたいです」

「本来の作業に集中できるように、明日の朝起きたらバイクの感触がいきなり良くなっていたら嬉しいですね」

■メランドリ「レースセッティングに集中、BMWは狙わない」
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昨年末のヘレス合同テストの時と比較して、ややドゥカティーのマシンの特性に慣れてきた様子のメランドリは、この日はフロントまわりのセッティングに満足いく結果が得られたとしている。また、今回はBMWは狙ってないのでレース用のセッティングに集中するとメランドリは語る。

「今日の内容には本当に満足できました。進歩の度合いを確かめたかったので、今日は終日レースタイヤのまま作業を続けています」とメランドリ。
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「まだペースの一貫性に少し欠けている感じがしますね。新しいタイヤの時はすごくいいんですが、タイヤが減った時にちょっと苦しみすぎです。特に問題はリア側で、コーナーの中心付近ではあまりいい感触が得られていません。ただ、フロントにはいいジオメトリのセッティングを見つけたので、前回のここでのテストに比べれば全体のバランスは良くなっています」

「予選タイヤを使っていないのは、今回は1ラップのみの速いタイムを目標としていないからです。明日の車を勝ち取ろうとも思っていませんしね。レース用のセッティングに自信が持てるようになれば、自然に予選タイヤでも速く走れるようになるんですよ」


■今回からシルバーカラーとなったJiRチーム・スコット

JiRチーム・スコットは、今回のIRTAテストからは2008度のチームカラーであるシルバーを基調としたマシンを披露している。
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250cc時代はヘレスが大の苦手だったアンドレア・ドヴィツィオーゾは、今回HRCから提供された新型エンジンを搭載したRC212Vでは初めてヘレスを楽しむ事ができたと述べ、2008年フル仕様となったマシンに高い好感度を示した。

この日、JiRチーム・スコットはアップグレードされたパーツ類を含むマシン全体のバランス改善に取り組み、この中でドヴィツィオーゾは最後まで予選タイヤを使用する事なく10番手タイムの1分40秒767を記録している。

■ドヴィツィオーゾ「エンジンがパワフルになった」

写真アンドレア・ドヴィツィオーゾはこの日に初めて試した新型エンジンについて、以前よりも間違いなくパワフルになったとコメントしている。

「ヘレスでいい感触が得られた事なんて以前に一度もありませんでしたが、このRC212Vは乗った途端に速く走れましたし、ライディングを楽しむ事もできています」とドヴィツィオーゾ。

「今日は予選タイヤのテストはやめて、今回から新しくなったパッケージのいいバランスを見つけるためのセッティング作業に集中しました。エンジンが以前のものよりも間違いなくパワフルになっているのですごく満足です」

「その他には、一貫して速く走れるように色々なタイヤをミシュランと一緒に試しています。異なる断面形状や、16インチと16.5インチの両方のサイズのホイールもテストしました」

「小さなトラブルは若干ありましたが、それでも今日は進歩が得られました。ヘレスではいつもの事ですがレースタイヤでのタイムはまわりとほとんど差がないので結果は良好です」

■ムラローニ監督「新エンジンの性能は期待通り」
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JiRチーム・スコットの監督を務めるチラーノ・ムラローニは、初日の作業を終えて以下の通りコメントしている。

「今回からバイクが新しくなり新型のエンジンも搭載されましたが、11月の時と今日のテストのデータを比較すれば分かる通り、結果は期待通りのものでした」とムラローニ監督。

「今日はまだ長い作業の入り口に過ぎません。残りの2日間はさらに忙しい集中作業が待ち構えています」

■ピエトロ・カプラーラ「用心深い方法が正解だった」

JiRチーム・スコットのクルー・チーフを務めるピエトロ・カプラーラは、ホンダの新型エンジンを初めて試したこの日の作業手順を以下の通り説明した。

「今回チームに新しいエンジンが提供された事で、作業の方向性が新しく決まりました。まずはマシン全体の微調整を行うためにガレージでかなりの時間を費やし、そこでSHOWAやミシュランの技術者たちと一緒に多くのデータを共有しています」とカプラーラ。

「このため、コースに出て走る時間が若干削られていまいましたが、ここまでの結果を見る限りでは、今回チームが取った用心深い方法は目標を達成する上で正しかったと言えるでしょう」


■リズラ・スズキが予想外の苦戦
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ヘレス合同テストの初日に予想外の苦しみを味わう事になったのはリズラ・スズキ・チームだ。午前から調子の上がらなかったロリス・カピロッシとクリス・バーミューレンは、この日は何度もGSV-Rのセッティングを変更しながらヘレス攻略を狙ったが思い通りにマシンの改善は進まず、夕方にいくつか解決策を見つけた時にはほぼ時間切れだった様子だ。

この日にロリス・カピロッシは10番手タイムの1分40秒843、クリス・バーミューレンは15番手タイムの1分41秒763を記録。

■カピロッシ「この状況から早く抜け出したい」
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この日の終盤には解決策をいくつか見つけたと述べるロリス・カピロッシは、一刻も早く悪い状況から抜け出したいと語る。

「楽じゃない1日でしたね。今日は色んなセッティングをバイクに試し、最終的にはいい解決策をいくつか見つける事ができましたから、今日見つけた内容を続けて試せるように明日は晴れてくれる事を願うばかりです。バイクを改善するアイデアはいくつかすでにありますよ」とカピロッシ。

「今は予想していたよりもかなり厳しい状況ですが、この状況からはできる限り早く抜け出したいと思います」

■バーミューレン「去年の11月にスズキはここでテストをしていない」
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昨年末のヘレス合同テストに参加しなかった結果が出てしまったと述べるクリス・バーミューレンは、1日目の夕方までには大きく遅れを取り戻したので、このまま作業が継続できるように2日目の晴天を願うとコメントしている。

「ロリスも言っている通り、今日は新しいバイクで1日苦しみました。自分たちは去年のここでの合同テストに参加していない唯一のチームですが、それが結果に表れてますね」とバーミューレン。

「新しいバイクからはいい面を引き出していますが、同時に難しい面もあるので、今はその部分に取り組んでいる最中です。一番苦労しているのはエッジのグリップですね。望み通りのグリップが得られないので出力を伝えられないんです」

「午後には大きく改善が進み、午前の遅れを半分くらいは縮めたので、これからはレースタイヤでのもう残りの半分を何とかしようとしているところです」

「明日は天気予報が外れてドライになって欲しいです。終日を通してテストする時間が今の自分たちには必要なんです!」

■デニング監督「去年の11月にここでテストしなかったのは関係ない」
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リズラ・スズキのチーム監督を務めるポール・デニングは、年末のヘレス合同テストに参加しなかったのはあまり関係ないとバーミューレンの意見を否定した上で、今回のGSV-Rがライダーの走りを制限する若干の問題を抱えている事を以下の通り説明している。

「ここヘレスでの初日が辛くて残念な1日になった事は隠しようもありません」とデニング監督。

「他のほとんどのチームが11月にもここで3日間を過ごしているのは確かですが、それは本来であれば今朝の1時間かそこらにだけ差が出るくらいの話です」

「ここではいい争いができる事を期待していましたし、2007年にこのサーキットで見せた高い仕上がりとペースをさらに上回ると思っていました。今年のGSV-Rが昨シーズンのバイクよりも性能が良くなっている事に疑いの余地はありませんが、ライダーたちがバイクの性能をフルに使い切れなくする根本的な問題を今の段階では若干抱えています」

「非常に明るい点は、この状況でもチームの意欲と精神が躍動感に溢れている事と、残りの2日間で大幅に改善を進められるように頑張っている才能溢れるメンバーたちに囲まれている事です」


■2日目午後の公式セッションに備えるアリーチェ・チーム

アリーチェ・チームのライダー2名のこの日の順位は、1分41秒703のトニ・エリアスは14番手、1分42秒698のシルバン・ギントーリは20番手だった。

今回トニ・エリアスは自身のライディング・スタイルに合うブリヂストンのフロント・タイヤを見つけており、順位は良くないものの作業内容そのものには満足できたとしているが、チームメイトのシルバン・ギュントーリはこの日の内容には全く満足できなかった様子だ。

■エリアス「翌日はBMW杯を楽しみたい」
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この日の作業そのものは順調だったと述べる地元スペイン人ライダーのトニ・エリアスは、2日目の午前中はさらにセッティング作業を続けて午後の公式セッションに備えたいと語っている。

「今日の作業内容にはとても満足できました。タイムシート上の順位はそれほど上がりませんでしたが、順調な1日だったと思います」とエリアス。

「大多数のライダーたちは11月にもヘレスで走っていますが、新しいバイクでここを走るのは自分たちにとっては今回が初めてですしね」

「作業の方向性はつかめているので、明日の午前中は正しいセッティングが見つかるように頑張り、午後は40分間の公式セッションを楽しみたいです」

「今日はブリヂストンタイヤの調子もすごく良かったですよ」

写真■ギントーリ「BMW杯に向けて体調は整えておきたい」

ヘレスでの1日目は何一つうまくいかなかった様子のシルバン・ギントーリは、2日目午後の公式セッションに向けて体調だけは整えておきたいとコメントした。

「今日はあんまりいい日だったとは言えません。色んなセッティングを試しましたがラップタイムは変わりませんでした」

「これから少しリラックスして、明日の公式セッションには最高の体調で挑めるようにしたいと思います」


■カワサキ、痛みに苦しむホプキンス、精力的にタイヤテストをこなすウエスト

フィリップ・アイランドの合同テスト2日目に雨の1コーナーで高速ハイサイドを喫し、骨盤近くの筋肉に裂傷を抱えてしまったカワサキのジョン・ホプキンスは、この日は朝から走行に参加したものの、痛みのために29周を走るのが精一杯だったようだ。この中でホプキンスはNinja ZX-RRの新型パーツの評価を行う事はできた様子だが、2日目以降のテストに参加するかどうかは分からないとコメントしている。
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その一方、ホプキンスのチームメイトのアンソニー・ウエストは、怪我に苦しむホプキンスに代わりこの日は大量のブリヂストンタイヤのテストを実施、ブリヂストンのタイヤ開発に有益な多くのデータを収集する事ができたとしている。

1日目のウエストのタイムは16番手となる1分41秒821、ホプキンスのタイムは17番手の1分41秒901だった。

■ウエスト「開幕に向けて多くのセッティングを試しておきたい」

ヘレス初日は大量のブリヂストンタイヤのテストに集中したアンソニー・ウエストは、2日目以降はシーズン開幕に向けて様々なセッティングを試しておくつもりだと語る。
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「午前はバイクのセッティングに改善が若干得られたので、そこからはブリヂストンタイヤのテストに作業を切り替えました。何種類か新しタイヤの組み合わせを試す中で良好な結果が得られましたから、今回収集したデータは今後のブリヂストンの開発に役立つ筈です」

「ヘレスはセパンやフィリップ・アイランドとはかなり特性の違うサーキットですから、明日はバイクをヘレスの特性に合わせられるようにセッティングを調整していくつもりです」

「開幕レースで最初からいい戦いができるように、走行可能な時間を最大限に有効活用してできる限り多くのセッティングを試しておきたいです。ジョンは怪我を負っていますしね」

■ホプキンス「今無理をする事は得策にならない」

この日は痛みのためにあまり作業を進められなかったジョン・ホプキンスは、開幕レースまでに体調を万全に整える事を優先し、2日目以降は走らない可能性があると以下の通り語った。
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「今日は怪我の影響が予想以上に大きかったですね。まだすごく痛いです」

「明日もテストを続ける気ではいますが、今の一番の目標は開幕戦に向けて体調を万全な状態まで回復しておく事ですから、このまま怪我の影響が続くようなら早めに作業を切り上げるかもしれません」

「今日は痛みを押して走りましたが、今から頑張りすぎて後の回復に悪影響が出るのは嫌ですからね」

「今日は新しいパーツをいくらかテストできて良かったです。このまま作業を続けるかどうかは今後の怪我の具合次第です」

■金子テクニカル・マネージャー「重要なのは開幕レース時の体調」

カワサキのテクニカル・マネージャーを務める金子直也氏は、仮にホプキングが今の段階でテストをできなくても、マシンのセッティングについてはそれほど心配はいらないだろうと語る。

「今日はアンソニーがタイヤの評価やり遂げてくれたので、ブリヂストンがタイヤ開発を進める上で役に立つデータを収集する事ができました」

「また、マシンのバランス改善に向けてもサスペンションの調整を中心に多くの作業に取り組みました。マシンの安定性を高めるにはまだ多くの作業は残りますが、進展は得られています」
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「ただ、まだ希望の100%には到達できていませんし、エンジン性能を改善するための新しいパーツ類を今後もテストしていく必要があります。今の目標はコーナリング性能を強化し、開幕戦までにパッケージ全体の仕上がりを高める事です」

「ジョンの怪我もあり、今の自分たちのレベルを把握するのは難しい状況ですが、レースの世界ではこういう場面も時としてある事です。今のチームにとって最も重要な事は開幕戦までに彼が回復する事ですし、彼のマシンのセッティングに関してはそんなに心配はしていません」

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