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フィリップ・アイランド合同テスト、大荒れの2日目
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インテリワン編集部
  2008年2月1日

理想的な気象条件に恵まれた初日と異なり、フィリップ・アイランドでのMotoGP合同テスト2日目は午前中に豪雨に見舞われており、多くのチームは予定を変更してウェットタイヤを装着してレイン用のセッティングを試している。午後3時過ぎにアスファルトは乾いたが、路面温度の低さから初日のタイムを更新できなかったライダーも多い。
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ここでは、転倒者の1名が大きな怪我を負ったフィリップ・アイランド合同テスト2日目となる1月31日のテスト状況、ならびに全ライダーやチーム関係者のコメントなどを紹介する。


■午前はフルウェット、夕方には完全ドライとなったテスト2日目

フィリップ・アイランド・サーキットはこの日は朝から大雨となり、正午近くまでこの雨は降り続いたが午後には再び青空に恵まれ、夕方近くには再び完全なドライ・コンディションとなっている。
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午前にレイン・セッティングを簡単に試した各チームは、路面が乾き始めた正午からの2時間程度は走行を中断していたが、完全なドライ路面となった3時過ぎにスリック・タイヤを装着、コースに出てテスト作業を再開した。

なお、この日は最高気温が16度と低く、雨と泥の影響で午後にはコース上が汚れた事から、各ライダーはドライ路面でもグリップを得るのに苦しんでおり、初日ほどには攻めの走りを行わなかったとするチームも少なくないようだ。

ちなみに、3日目の天気予報は晴天が予想されており、現地の降水確率は20%程度となっている。


■目立った転倒者は3名

この日の目立った転倒者は3名だが、1名は大きな怪我になってしまった。

■午前のウェット路面、ドヴィツィオーゾは無傷、ホプキンスは重傷
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午前中のウェット路面ではJiRチーム・スコットのアンドレア・ドヴィツィオーゾとカワサキのジョン・ホプキンスが転倒しており、ドヴィツィオーゾは低速の軽い転倒で済んだが、ホプキンスは以前の記事で報じた通り1コーナーで高速ハイサイドを喫して病院に運ばれ、その後は米国でレーザー治療を受けるために緊急帰国(080202追記:結局この晩はオーストラリアに滞在)している。

■緊急帰国したホプキンスの復帰時期は不明
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ホプキンスは腰から両足付け根付近に走る筋肉の外転筋の左側にダメージを受けており、チームと本人は2月16日からのヘレスIRTAテストからのホプキンスの現場復帰を望んでいるが、一般的には全治4〜5周間の怪我とみられており、まだ実際の復帰時期は判明していない。

■夕方のドライ路面でカピロッシは予選タイヤを装着して転倒

路面が乾いた午後にはリズラ・スズキのロリス・カピロッシが、夕方のテスト終わりがけの予選タイヤによるタイムアタック中に転倒しているが、本人は特に深刻な怪我はなかったとコメントしており、転倒後は自力でピットに歩いて戻っている。また、リズラ・チームの発表によれば、特に最終日のテストにも影響は出ない様子だ。


■フィリップ・アイランド合同テスト2日目の走行結果

以下に、1月31日にオーストラリアのフィリップ・アイランド・サーキットで行われたMotoGP公式テスト2日目の走行結果を、各ライダーのこの日の自己ベスト順に示す。
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1) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分29秒938(45周)
2) アレックス・デ・アンジェリス RSM ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分30秒449(54周)
3) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiR・チーム・スコット RC212V 1分31秒074(60周)
4) 中野真矢 JPN ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分31秒316(74周)
5) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分31秒373(72周)
6) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分31秒451(55周)
7) マルコ・メランドリ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分31秒478(80周)
8) ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分31秒545(62周)
9) ランディ・ド・プニエ FRA ホンダ・LCR RC212V 1分31秒575(72周)
10) コーリン・エドワーズ USA ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分31秒593(44周)
11) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分31秒774(50周)
12) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分32秒242(75周)
13) トニ・エリアス SPA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分32秒246(59周)
14) シルバン・ギントーリ FRA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分32秒431(64周)
15) ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分42秒130(27周)
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フィリップアイランドのサーキットレコードは2005年にマルコ・メランドリ(990cc)が記録した1分30秒332、ポールポジション・レコードは2006年にニッキー・ヘイデン(990cc)が記録した1分29秒020。

ちなみに800cc初年度となる2007年のフィリップアイランドのレース中のファーステストラップは、バレンティーノ・ロッシ(800cc)が記録した1分30秒801、予選タイヤでのベストラップはダニ・ペドロサ(800cc)が記録した1分29秒201。


■各チームの状況やコメント
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以下に、フィリップ・アイランド2日目の各チームのテスト内容、ならびにライダーや関係者のコメントなどを紹介する。

■気象条件に関係なく好調のドゥカティーとストーナー

1日を通して路面状況が変わる不安定な天候のオーストラリア2日目にトップタイムを記録したのは、昨年からはどのような走行条件でも強さを発揮しているドゥカティーのケーシー・ストーナーだった。また、昨年末から乗り換えに苦しんでいたドゥカティーのマシンにようやく今回から慣れてきた様子のチームメイト、マルコ・メランドリはこの日の7番手につけている。
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ストーナーは午前中の濡れた路面の中で11周回を走行、最新仕様のエンジンのウェット路面での特性を確認し、好感触を得る事ができた様子だ。メランドリも午前の雨の中で快調な走りを見せ、デスモセディチGP8のウェット用セッティングを今回初めて試している。

午後に陽射しが出て路面が素早く乾いてからはさらに好調な走りを見せるストーナーは、2005年にメランドリが刻んだフィリップ・アイランドのコースレコードを0.4秒近く上回る1分29秒938をレースタイヤで記録し、予選タイヤ以外でははじめて1分30秒台の壁を突破した。

午後のメランドリは初日から開始していたドライでのセッティング作業を再開し、本人にとっての乗りやすさを追求しながらマシンの重量配分の変更を夕方まで行っている。

■ストーナー「今回のタイムは今年のレース中にも出せる」

午前中は雨の中で低速域のエンジン・レスポンスを確認し、デスモセディチGP8の進化に満足したストーナーは、午後にはブリヂストンのレースタイヤの性能向上にも満足しており、今回レースタイヤで記録したトップタイムは開幕後のオーストラリアでの実際のレース中にも記録できる筈だとコメントしている

写真「今日の自己ベストは22周を走りきったタイヤで記録しましたから、これはかなりいい兆候だと言えますね。ここまでに試したセッティングから確実に効果が得られてタイヤの耐久性が上がっている証拠です。このおかげで、少なくとも特殊なケースのレースでは、もっと柔らかいタイヤを選択する事も可能になるでしょうね」とストーナー。

「午前中は2回コースに出てそれぞれ連続5周回走り、エンジンレスポンスの確認を行いましたが、低速域がより優しい感じの出力特性になっています。全てが最高にうまくいっているので本当に嬉しいです」

「路面状況は決して完璧ではありませんでしたが、リア・サスペンションを若干変更する事で、レースタイヤでも速いタイムを刻めるようになりました。ここでの実際のレースでも今回と同じようなタイムを繰り返し記録できると思いますよ。新しいブリヂストン・タイヤは去年ここで使ったものよりもかなり良くなっていますからね」

「明日はレース・シミュレーションを終わらせる事ができるように、いい天気になって欲しいです」

■メランドリ「ケーシーとスタイルが違うのは良く分かった」

デスモセディチGP8のウェットでの特性にも慣れたというメランドリは、午後にはマシンバランスの改善を飛躍的に進める事ができたという。また、メランドリは自分とストーナーの乗り方の違いをしっかり把握できたとして、今後は自分に合う作業の進め方を見つけたいとしている。
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「今日はかなりきつかったですよ。合計で80周回を走りましたが、そのうちの35周回はウェットでしたからね」とメランドリ。

「ドゥカティーのマシンでウェットを試すのは今回が初めてです。最初の数周回は慣れるのに一生懸命でしたが、終盤にはすごく快適に感じるようになりました」

「午後は路面が乾いてから昨日の作業を再開し、重量配分の調整を行いましたが、バイクのフロントとリアの両方のバランスが飛躍的に向上したように感じていますし、コーナーを思いきり攻めて走る事ができるようになりました。使い込んだタイヤで走り込んでいても周回ごとに感触がどんどん上がっていくんです」

「自分のライディング・スタイルがケーシーとは全く異なる事をここまでに確認できましたので、今後はスタッフたちと一緒に自分に合う一番いい改善方法を見つける必要があります」


■グレッシーニ・ホンダは2名が揃って上位に

この日にチームとして最も勢いがあったのはホンダ勢の中で唯一ブリヂストン・タイヤを装着するグレッシーニ・ホンダ勢だ。MotoGPルーキーのアレックス・デアンジェリスは2日目のタイムシート上の2番手タイム、中野真矢選手は4番手タイムを記録している。
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フィリップ・アイランドを大好きなサーキットと称するデ・アンジェリスは、午前中はウェット路面でのシャシー・セッティング変更とマシンの挙動を試し、午後に路面が乾いてからはブリヂストンのレースタイヤのテストを行う中で今回の2番手タイムを記録した。

一方、中野選手はこの日もNissinの新型ブレーキを試す中、マシンのジオメトリとフロントフォークのセッティングを変更しており、最終的に得られた効果に大変満足している様子だ。

写真グレッシーニ・ホンダの2名は最終日には、一般的なマシンのセッティング作業に終日を費やす予定だという。

なお、たばこブランドのフォルツナが離れて以来、大口スポンサーの確保にはやや苦戦してきたグレッシーニ・チームだが、この日にチームは過去2年間を通してチームのスポンサーの1つだったイタリアの大手スナック・メーカー、ポテト・チップスなどを製造販売するサン・カルロ(SAN CARLO)が、2008年シーズンのグレッシーニ・ホンダ・チームのメイン・スポンサーとなった事を喜びと共に伝えている。

■デ・アンジェリス「調子が上がっている証拠」

レースタイヤでのこの日の順位に満足するMotoGPルーキーのアレックス・デ・アンジェリスは、先週のセパンの時に比べて現在はマシンの感触がとても良くなっているとコメントした。
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「今日のテストには満足です。2番手タイムで終われて本当に嬉しいです」とデ・アンジェリス。

「午前はウェットでの走行でしたが、午後にはコースが乾いて状況が良くなったのでシャシーの改善に取り組み、トラクションが向上しています。レースタイヤしか履いていませんが、いいリズムがつかめていました」

「明日は何本か新しいタイヤを試す予定なので、さらに進歩が得られるといいですね。今の感触はセパンの時よりもかなり良くなっていますし、今回の結果がそれを証明しています」

■中野選手「楽しんで走れる事がライダーにとって重要」

初日のタイムは更新できなかったものの、2日目の作業進捗とマシンの改善状況には満足と述べる中野真矢選手は、現在は楽しんで走る事ができるとして、今後も今の調子のまま作業を続けたいとしている。
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「昨日のタイムを上回る事はできませんでしたが、今日の作業内容にはすごく満足です」と中野選手。

「今回はジオメトリやフロントフォーク、Nissinブレーキの調整など、ずっと一般的なセッティング作業に取り組みました。いい感触がつかめるようになり乗っていて楽しめます。ライダーにとってはこれが重要なんです」

「明日も新しいRC212Vの改善作業を引き続き行う予定です」


■雨天での走行ペースに自信を示すJiRチームスコット

JiRチーム・スコットのMotoGPルーキーであるアンドレア・ドヴィツィオーゾは、この日は午前の雨を利用してMotoGPマシンでの初のウェット走行を経験しているが、この時に軽い転倒を喫している。幸い、ドヴィツィオーゾに怪我は全くなく、マシンのダメージも泥に埋まったフェアリング以外には特になかった。
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チームにウェットでのRC212Vの挙動に関する貴重なデータを午前中に提供したドヴィツィオーゾは、午後に路面状況が改善されてからはスリック・タイヤに履き替えてドライでのマシンセッティングを再開。この日はウェットとドライの両方のコンディションで速いペースでの周回を見せている。

自信のライディング・スタイルをホンダRC212Vに合わせて改良中のドヴィツィオーゾの2日目のタイムシート上の順位は、ケーシー・ストーナーとデ・アンジェリスに続く3番手だった。

■ドヴィツィオーゾ「実際のレースと同じくらいの速さでウェットを走れた」

この日も小排気量時代にはフィリップ・アイランドが大の苦手だった事を強調するアンドレア・ドヴィツィオーゾは、雨の中でも実際のレースに対応できる十分な速度で走れた事に大変満足していると、以下の通りコメントした。

「天気が悪くて軽く転んでいますが、それでも今日の感触は初日と同じく好調でした!」とドヴィツィオーゾ。

「繰り返しますが、フィリップ・アイランドはコースレイアウトが複雑だし、高低差が激しいので、以前は自分の苦手なサーキットだったんです。おまけにここは海に面しているので、どのくらい滑りやすいかは誰にでも簡単に想像できますよね!」
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「さらに風も強くて路面状況が変化しやすいので、気象条件が完璧な場合を除いてここで走るのがどれだけ難しいかもお分かり頂けると思います」

「でも、今日の結果には本当に満足できますし、ホンダとミシュランから得られる感触もすごくいいんです。今回のウェット路面でもここでの実際のウェットのレースで想定されるくらいのラップタイムで速く走れましたから、本当に嬉しいです」

「午後にコースは乾きましたが温度がすごく低かったです。でも、明日はもっといい走行条件になる事は分かっていますし、雨は1日で十分満喫しましたのでもう結構です!」

■ピエトロ・カプラーラ JiRチーム・スコット・テクニカル・ディレクター

JiRチーム・スコットのピエトロ・カプラーラは、この日のドヴィツィオーゾの雨の走行により、2008年シーズン開幕後に役立つウェットでのマシン挙動に関する有益なデータを大量に収集できたと述べている。

「今日は序盤が最悪でしたが最終的にはすごくいい日になりました。ウェットで走るのが好きなライダーなんかいませんからね」とカプラーラ。

「でも、チームにとってはバイクがウェットでどういう挙動を見せるのか確認する上で非常に重要な1日になりました。セッティングの変更がウェットではどうマシンに反映されるのかを知っておく必要もあります」

「いずれにしても、滑りやすくて難しい路面でのホンダRC212Vの特性を知る事ができたのは貴重でしたし、その結果も上々でした。今日はそんなに多くのライダーが走り続けていた訳ではありませんが、アンドレアは1日の大半を通してタイムシート上の2番手につけていましたし、ケーシー・ストーナーとのタイム差もずっと僅差でした」

「今日は予定を変更して今回の路面コンディションに合わせたセッティング調整を行い、多くの情報を収集する事ができました。これはシーズンが開幕してから似たような天候に見舞われた場合には大変に役立つものです」

「今日はアンドレアは低速走行時に転んでいますが、ダメージを受けたのは泥に埋まったフェアリングの部分だけですので心配はいりません。特に余分な作業が発生した訳でもありませんので、これはメカニックにとっては幸運でした。これについてはアンドレアに『良くやった!』と言いたいですね」

「明日も重要な1日になりますし、多くの作業が残っていますので、今は天気が良くなる事を祈るばかりです」


■レプソル・ホンダ、ウェットでも新マシンの感触は概ね良好

前回のセパンで負傷した怪我を自宅で療養中のダニ・ペドロサが不在のレプソル・ホンダ・チームは、この日もニッキー・ヘイデンの1名のみがホンダの2008年型RC212Vの開発に集中的に取り組んでいる。
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豪雨がやや弱まった午前11時に、ニッキー・ヘイデンは完全にウェットとなったコース上に出て、グリップの少ない路面での新型マシンの挙動確認を1時間実施。なお、雨は昼食時にはやんだが完全に乾ききるまでにはそこから数時間かかっており、午後に入ってしばらく走行を見合わせたヘイデンは、路面がドライになた3時40分頃にスリックタイヤを装着して再びコースに出ている。

ヘイデンはこの日のウェット路面でのマシン特性には満足しており、また低い路面温度にもかかわらずドライでの走行ペースはほぼ昨日と同じだった事から、チームとライダーは共に貴重な1日を過ごす事ができた様子だ。この日にヘイデンがレースタイヤで午後に記録した1分31秒373はこの日の5番手タイムだった。

■ヘイデン「昨年のレース時の課題を解決したいので明日は晴れて欲しい」

この日はウェットのテストを行うには最適だったと述べるヘイデンだが、今回のフィリップ・アイランドでは昨年のレース時と同様にドライでのトラクションに若干の問題を抱えているため、最終日はその原因を特定するためにも良い天気に恵まれたいと以下の通りコメントした。
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「普通のシーズン中はウェットよりもドライのレースの方が多い訳ですし、当然ドライの方が大切ですが、今は全てのケースに備えておく必要があるので、今日は有益な1日になったと思います。ウェットでのバイクの状態を確認する事ができましたし、いくつかそのための調整を進める事もできました」とヘイデン。

「雨が激しく降っている時が大半でしたから、こういう作業を進める上で十分すぎるくらいの長時間、ウェットの状態が安定して続きましたね。乾いたり、また湿ったり、洪水状態になったりと不安定ではなく、今日はずっと状態が一定条件のままだったので、色々と確認作業を進める事ができています」

「ウェットでの感触は概ねOKですよ。午後は十分に路面が乾いたのでドライでのラップタイムを記録する事もできました。今日の自己ベストはほとんど昨日と同じです。路面温度が少し低め目になったのでタイムを更新する事はできていませんが、今日の条件を考えればこれは悪くない兆候だと思います。一貫してレースのペースを維持するような日でもありませんでしたしね」
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「今日も何本かのタイヤをテストしましたが、今はタイヤのエッジ周辺でトラクションを得るのに苦しんでいるので、今晩はミシュランとしっかり打ち合わせをして何か全く別のものを試したいと思っています」

「ここでは去年のレースで若干苦しみましたから、明日にはその問題を明確に特定したいです。まだあと1日ありますが、天気さえ良くなってくれれば大きな進歩がここでは得られると思います」


■電子制御分野の性能向上に驚くTECH3ヤマハ勢

オーストラリア初日に5番手タイムを記録し、コースレイアウトを良く知るサーキットではMotoGPマシンでも速く走れる事を証明したTECH3ヤマハのジェームス・トーズランドは、午前は雨に見舞われてあまり最適な走行条件とは言えなかったこの2日目にも全体の6番手につけ、変わらぬ好調さを見せている。

なお、トーズランドは午前中にYZR-M1での初のウェット路面を経験、雨の中で21周回を走ってヤマハのスタッフに貴重なデータを提供すると同時に、自信のMotoGPマシンへの経験値も増やしたようだ。ちなみにコースがウェットだった時間帯のトーズランドのタイムはその時点の11番手となる1分43秒719だった。
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ヤマハのマシンでのMotoGP経験が長く、夕方のドライ路面ではこの日の10番手タイムを記録したチームメイトのコーリン・エドワーズは、午前のウェット条件では全体の8番手タイムとなる1分42秒547を記録していた。

昼食時に雨がやみ、午後に路面が乾きかけてドライとウェットの中間といった不安定な状態になってからは、2名は2時間をピットガレージ内で過ごしている。その後にコースが完全に乾いてからは、TECH3ヤマハ勢は路面温度が低く初日に比べてグリップが悪くなったコースをスリック・タイヤで走行している。

■トーズランド「去年の8耐テストが役に立った」

始めて経験するMotoGPマシンでのウェット走行には朝から積極的に取り組んだというジェームス・トーズランドは、昨年の鈴鹿8耐の事前テストでミシュランのウェットタイヤを何回も経験していたの事が、この日の走りに役立ったとコメントしている。

「このバイクでウェットを走るのは今回が初めてです。重要な事ですから、すぐに真剣に取り組み始めました」とトーズランド。

「幸いミシュランのウェットタイヤは去年の鈴鹿8耐で何本もテストした経験があり、5日間のテストのうち3日間と半日は完全なウェット状態でしたから、ミシュランのウェットタイヤで走る時間は結構あったんです。そのおかげでいい感触を瞬時に得る事が今回はできました」

「電子制御がかなりすごくてグリップは十分に得られました。でも、その後に路面が一度乾き始めてからはコースがかなり汚くなり、雨が砂を運んできたのかもしれませんが表面がものすごく滑りやすくなっていました」

「1分35秒の壁をなかなか破る事ができずにいたら路面は完全に乾き、そこからいいラップタイムがまた戻ってきました。それでも昨日ほどのいい路面状態ではありませんでしたけどね。コーナーの出口でグリップが得られなくて、タイムをさらに上げるのはちょっと難しかったです」

「このサーキットはすごく低速のコーナーが高速ストレートに続いていますので、コーナー脱出時にグリップが得られないと勢いをストレートに持ち込む事ができないんです。これはタイムにすごく影響しますよ。おまけに午後は風もすごく強くて、走行をより困難にしていました」

「雨の中での走行はいい経験になりました。でも、明日はレースシミュレーションがしたいので晴れて欲しいです」

■エドワーズ「今年の電子制御はすごい!」

写真午前中に08年型シャシーとミシュランの新型ウェットタイヤで雨の中を走行したエドワーズは、今年のパッケージが昨年と比べて非常に乗りやすくなっている事に驚いている様子だ。特に電子制御システムの発達にエドワーズは感銘を受けており、朝の1回目の走行を終えた直後にシステム担当の人間を抱きしめにピットに戻ったとエドワーズはコメントしている。

「難しい気象条件の1日でしたが、その中でもいい傾向をつかむ事はできたと思います」とエドワーズ。

「今日はミシュランが提供してくれた新しいフロントのウェットタイヤを試しました。これは自分が頼んだらミシュランが裏の方から引っ張り出してくれてきたタイヤなんですが、これには本当に満足しましたね。ミシュランはスリックとウェットの両面で本当に進歩している感じがしますよ」

「そのウェットタイヤは昨シーズンに自分が使っていたものとは異なりますが、より自分のスタイルには自然に馴染む感じです」

「電子制御の分野が本当に発達していて、とにかくバイクがすごく乗りやすいんです。最初の走り込みを済ませてピットに戻った時には、すぐに電子制御システム担当のスタッフをつかまえてしっかり抱きしめておきました。だって本当に満足のいく仕上がりでしたからね」

「雨の中でも08年型シャシーはすごく気に入りました。走りにとても自信が持てますし、フロントタイヤ周辺に何が起きているのかが分かりやすいんです」

「午後の路面はとんでもない滑り方でした。何本かミシュランがタイヤを用意していましたが、ベトベトの路面でそれらを評価するのは難しかったですね。でも、最終的にはミシュランとヤマハにとって鍵となる何かをいくつか学ぶ事ができたと思っています」


■苦手のフィリップ・アイランド攻略が進むリズラ・スズキ?
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リズラ・スズキの2名のライダーは、この日の午前中の雨を2008年仕様のGSV-Rのウェットでの挙動を確認するチャンスと見て走り込みを実施し、シーズン開幕後の雨のレースに備えるためのデータ収集に取り組んでいる。

正午に雨がやんで午後に路面が乾くのを約1時間半待った2名は、その後はスリックタイヤに履き替えてコース上に復帰、この日に予定していたブリヂストンのタイヤテストを本格的に開始している。この日の2名の最終的なタイムシート上の順位はカピロッシが8番手、バーミューレンが11番手だった。

なお、路面温度が下がり滑りやすくなっていた路面の影響でカピロッシはこの日のセッション終盤に転倒を喫したが、特に深刻な怪我はなく自力でピットまで歩いて戻ってきており、最終日のテストには問題なく参加できると表明している。

■カピロッシ「予選タイヤを試したら転んでしまった」

スズキのバイクで雨の路面を初めて走行し、いきなり好感触が得られたというロリス・カピロッシは、この日はウェットとドライの両面でマシンの状態には満足できたとしている。また、夕方に予選タイヤを装着して転倒した事については、特に身体に問題はないと以下の通りコメントしている。
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「今日はウェットでバイクを初めて試しましたが、すぐにいい感触が得られました」とカピロッシ。

「セッティングをいくらか変更し、それからさらに調整を加え続けました。しばらくしたら路面が乾き始めましたが、今日はレイン用のいいセッティングを準備する事ができたと思っています」

「午後に路面がドライになってからは多くのテストをこなしました。午前の雨の影響で路面状況は理想的とは言えませんでしたが、それでもレースタイヤの調子はすごく良かったですよ」

「夕方の一番最後には予選タイヤも履いたんですが、残念ながらその時には転んでしまいました。身体は大丈夫なので、明日もテストを続ける事はできますよ」

■バーミューレン「マシンは目標に近づいている」

スズキのマシンが苦手とするオーストラリアでは2日目もあまりタイムシート上の上位につける事ができなかったクリス・バーミューレンだが、この2日間の作業内容は非常に順調だとコメントしており、バイクは昨年までと比較してより理想とする状態に近づいたと説明している。
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「今日は順調な1日でした。順位は決して期待通りではありませんが、多くの作業をこなす事ができましたし、望んでいた通りのいい方向に進んでいます。午前中には雨の中でいい走りができましたから、ウェットではどういう方向性が必要かもつかめました」

「路面が乾いてからはタイヤのテストを行いながら、セッティングをこのサーキットに合わせる作業を続けています。過去の状態に比べれば目標にはかなり近づいていますから、これはかなりの進歩ですよ!」

「このサーキットでバイクを自分たちの思い通りの強さにするにはまだいくらか作業が残っていますが、スタッフがこの2日間に施した作業のおかげでかなり理想には近づきましたね」


■ホンダLCRはウェットで良好、ドライではやや苦戦

この日に初めてミシュランを履くRC212Vのウェットでの走行特性を試したランディ・ド・プニエは、午前の雨の中でも安定して速いラップタイムを刻む事ができたとしている。
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雨の中での走行を重ねる中、ド・プニエはオーリンズ・サスペンションのセッティングに集中しており、レインタイヤでグリップがしっかり得られるよう調整を繰り返し、期待通りの成果を得る事ができた様子だ。

なお、午後に路面が乾いてスリック・タイヤに履き替えたド・プニエは、初日と同じセッティングを施したRC212Vでコースに復帰したが、この時にはコーナー中心付近から脱出にかけてのグリップ不足に苦しんでおり、チームは最終日にこの問題を解決できるようセッティングに調整を施す予定だとしている。この日のド・プニエの最終的な順位は9番手だった。

■ド・プニエ「雨の中でも快適に速く走れる」

「正午まではウェットの中を走りましたが、ペースはすごく速かったですよ。このバイクでウェット路面を走るのは今回が初めてですが、ものすごく快適でした。レインタイヤを何本か試しながら、シーズン開幕後に向けての貴重なデータを集める事もできています」とド・プニエ。
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「昼食後は路面が乾き始めたのでセッティング作業を再開しましたが、アスファルトは汚れていてすごく滑りやすい状態でした。この時にはリアに何本かレースタイヤをテストし、エンジン・マッピングを見直してエンジンのレスポンスを改善できるよう調整しています」

「初日に抱えていたフロントの問題はほとんど解決したので、今のバイクは以前よりも安定しています」


■ホプキンスの作業をウエストに渡すカワサキ

冒頭にて紹介した通り、この日は午前中の豪雨の中を走行していたカワサキのジョン・ホプキンスが1コーナーで高速ハイサイドを喫し、腰から左足の付け根にかけての筋肉である外転筋を損傷、レーザー治療のために母国への緊急帰国が予定されている事から、この日の午後から翌日のテスト最終日にかけてはチームメイトのアンソニー・ウエストが残りのカワサキのテストを全て担当する事となった。
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午前中にウエストは雨の中で2008年型シャシーをテスト、ホプキンスが病院に運ばれた後に路面が乾いてからは予定していたブリヂストンの大量のタイヤテストを実施している。

この日の12番手の順位にウエストは満足できていない様子だが、ブリヂストンのタイヤテストには良好な結果が得られており、最終日にはタイムと順位を上げてくるつもりだ。

なお、カワサキのコンペティション・マネージャーであるミハエル・バルトレミーは、この日のウエストの作業状況について「アンソニーはピットボックスの片側の騒ぎに集中力を乱されることなく、ジョンが不在になってからもブリヂストンのタイヤテストを順調にこなしてくれていた」とコメントしている。

■ウエスト「明日は2人分のロングラン?」

写真この日の午後と翌日のカワサキのタイヤテストを全て1人で担う事になったアンソニー・ウエストは、病院に行く前のホプキンスにこの埋め合わせを忘れないようにと悲しく伝えた様子だ。

「午前中はドライ路面でテストできる時間がなくなり残念でしたが、新しいバイクを初めてウェット路面で試すのにはいい機会でしたね」とウエスト。

「いったん雨がやんでからは路面が乾き始め、そこから膨大な量のブリヂストン・タイヤのテストが始まっています。今回彼らが持ち込んだタイヤは以前に自分たちが試した事のないものばかりでしたが、その中の何本かはこのサーキットにすごく合うものだとすぐに分かりました」

「この天候にもかかわらず、今日はかなり効率的に作業が進んだと思っています」

「明日はレースシミュレーションに入りますが、できたら1回のロングランで済ませたいですね。ホッパーには、もしチームが彼の分のレースシミュレーションまで自分の明日の作業に課すようだったら、その埋め合わせを忘れないでねって病院から戻った彼に言っときました!」


■まだ順調とは言えないアリーチェ・チーム

時間のセパンのテストには参加しない事を今回表明しているアリーチェ・チームは、このオーストラリアでの作業を2月16日から始まるヘレスでのIRTAテストの準備期間として捉えている。

この日はトニ・エリアスが13番手、シルバン・ギントーリが14番手と、揃ってタイムシート上の順位は決して良くない状態であり、チームのテクニカル・ディレクターはここまでの作業内容には決して満足できないとのコメントを表明している。

しかしながらアリーチェ・チーム、エリアスはその独特のライディング・スタイルにセッティングを合わす事さえできれば調子が上がる筈だとしており、またギントーリについては今回の雨の午前中はタイムシート上の中間位置につけていた事から、兆候は決して悪くないとの見解を示している。

■エリアス「自分に合うフロントタイヤを見つけた」

ドライとなったこの日の午後には本人のスタイルに合うフロントタイヤを見つけたというトニ・エリアス、最終日もライディング・スタイルとセッティングの改善作業をこのまま継続したいとコメントしている。

「今朝の雨は有り難くなかったです。今はドライでできる限り多くの周回数を走り込んでバイクのセッティングを正しくしたい時なんです。それができればウェットでも速く走れるようになりますからね」とエリアス。

「ただ、完全なドライ路面で2時間弱は作業ができましたし、この時にはいい結果も得られました。フロントタイヤにいい解決策が見つかったので、明日もこのまま作業を続けます」

■ギントーリ「ウェットでは速く走れている」

今回ブリヂストンのウェットタイヤを初めて経験したシルバン・ギントーリは、午前中は他のライダーたちとあまり変わらないタイムで走行しており、今後に向けての期待感を示している。

「このバイクとブリヂストンタイヤでウェットを経験するのは今回が初めてですから、今日も自分たちにとってはいい1日でした」とギントーリ。

「今日の作業内容には満足できていますし、雨の時にはタイムシートの中間くらいの順位でしたから、これはいい兆候だと言えるでしょうね」

「今日はドライではあまり多くの周回数を走り込む事ができていませんが、明日はいい天気になりそうなのでタイムを縮められるように頑張り、予選タイヤも試すつもりです」

■ファビアーノ・ステルラッキーニ アリーチェ・テクニカル・ディレクター

アリーチェ・チームのテクニカル・ディレクターを務めるファビアーノ・ステルラッキーニは、ここまでの作業内容は順調とは言えないとしながらも、エリアスが速くなるのは時間の問題だと以下の通りコメントしている。

「ここまでの内容には満足できていません。速いライダーたちからあまりにも引き離されすぎています」とステルラッキーニ。

「トニのライディング・スタイルに合うように多くの変更をバイクに施しましたが、今の段階では効果が得られているとは言えません。トニは独特のライディング・スタイルですからね。ただ、近いうちに彼に合うセッティングを見つける事ができると思っていますし、そうなれば彼は全力の走りを見せてくれる筈です。これは時間の問題でしょう」

「今日は前進する事ができましたし、自分たちに合ういいフロントタイヤを見つける事もできています」

■セルジオ・ヴェルベーナ アリーチェ・サーキット・エンジニア

アリーチェ・チームのサーキット・エンジニアを務めるセルジオ・ヴェルベーナは、今回のウェット・コンディションでのギントーリの走りは、チームにとって期待の持てるものだと述べた。

「午前中は雨が激しく、予定の作業を変更せざるを得ませんでした」とヴェルベーナ。

「シルバンはブリヂストン・タイヤでウェット路面を走るのは今日が初めてですから、彼はすごくいい走りを見せてくれたと言えるでしょうね。ストーナーを除けば他の速いライダーたちともそれほどタイム差はありませんでしたから、これはチームにとってはいい兆候です」

「午後の遅くに路面は完全に乾きましたが、大きく改善を進めるのに十分な時間はありませんでした」

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