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オーストラリア合同テスト、エドワーズが予選タイヤで初日のトップ
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インテリワン編集部
  2008年1月31日

2008年に入り2回目のMotoGP合同テストが、南半球の秋口に入ったオーストラリアのフィリップ・アイランドにて1月30日より3日間の日程で開催されている。

ここでは、フィアット・ヤマハとチーム・ロバーツを除くMotoGPクラス9チームが参加し、晴天のドライ・コンディションを利用して2008年シーズンに向けての多くの走り込みを15名のMotoGPレギュラー・ライダーが行ったフィリップ・アイランド合同テスト初日のテスト状況、ならびに各関係者のコメントなどを紹介する。


■各チームの予想以上の晴天に恵まれたフィリップ・アイランド初日

合同テスト初日となった1月30日のフィリップ・アイランド・サーキットは晴天に恵まれ、コースの一部区域で若干風が強い時間帯があった事を除けば、終日ほぼ完璧と言えるテスト走行日和となっている。この日のフィリップ・アイランドの気温は25度、コースの路面温度は40度だった。
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■目立った転倒者や怪我人はゼロ

この日は突風とならんでフィリップ・アイランドの名物と言える大きなカモメがコース上に降り立ったが、すぐに赤旗が提示された事から、昨年のプレシーズンやレースウイーク中のようにライダーがカモメと衝突する事故も発生せず、路面状態が良好だった事もあり目立った転倒者は発生していない。


写真■前回までの怪我人の情報、ペドロサはリハビリ中

前回までの怪我人の情報としては、現在レプソル・ホンダのダニ・ペドロサは前回のセパン合同テストで負った右手のひらの手術後のリハビリ中であり、今回のテストには参加していない。ペドロサのテストへの復帰目処は現在のところ不明だ。

■デ・アンジェリスの右手は完治、ストーナーの肩も回復の方向へ

先週のセパン合同テスト2日目に暴れるマシンを抑えようとした際に右手首の靱帯を痛めたグレッシーニ・ホンダのアレックス・デ・アンジェリスは、この日までにすでに右手首は完治しており、全く痛みはないという。

年末のヘレス合同テストの転倒により左肩を強打したドゥカティーのケーシー・ストーナーは、走り込みが多くなるとやや痛みを訴えるようだが、前回のマレーシアの状態からは大きく回復していると本人はコメントしており、今回の地元オーストラリアでの初日は73周回を走行している。

■エリアスは若干控えめか

年末に2年前のオランダで骨折した左肩の手術を受けたトニ・エリアスは、前回のセパンではまだ本調子ではないとコメントしていた通り、今回のフィリップ・アイランドでも走りの勢いはやや控えめな様子だ。


■フィリップ・アイランド合同テスト1日目の走行結果

以下に、1月30日に行われたフィリップ・アイランド合同テスト初日の走行結果を、この日の各ライダーの自己ベスト順に示す。
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1) コーリン・エドワーズ USA ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分29秒566(77周)
2) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分30秒178(73周)
3) アレックス・デ・アンジェリス RSM ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分30秒688(70周)
4) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiR・チーム・スコット RC212V 1分30秒701(79周)
5) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分30秒864(81周)
6) マルコ・メランドリ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分30秒869(99周)
7) 中野真矢 JPN ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分31秒111(91周)
8) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分31秒226(107周)
9) ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分31秒274(82周)
10) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分31秒317(99周)
11) ランディ・ド・プニエ FRA ホンダ・LCR RC212V 1分31秒436(103周)
12) ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分31秒623(88周)
13) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分31秒786(72周)
14) シルバン・ギントーリ FRA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分32秒484(68周)
15) トニ・エリアス SPA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分32秒573(90周)

フィリップアイランドのサーキットレコードは2005年にマルコ・メランドリ(990cc)が記録した1分30秒332、ポールポジション・レコードは2006年にニッキー・ヘイデン(990cc)が記録した1分29秒020。

ちなみに800cc初年度となる2007年のフィリップアイランドのレース中のファーステストラップは、バレンティーノ・ロッシ(800cc)が記録した1分30秒801、予選タイヤでのベストラップはダニ・ペドロサ(800cc)が記録した1分29秒201。


■前回のセパンとは大きく異なる上位陣

今回のオーストラリアでは、どのサーキットでも常に速さを見せる好調のケーシー・ストーナーを除き、タイムシート上の上位のライダーの顔ぶれが前回のセパンとは大きく異なっている。

■エドワーズは予選タイヤ、慣れたコースで実力を見せるトーズランド
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この日のトップタイムを記録したTECH3ヤマハのコーリン・エドワーズは、セパンで不調だった予選タイヤ装着時のマシンの問題を解決するために、今回は1日目から予選タイヤを何本か試しており、この時に記録したタイムが1日目のベストラップとなった。

その他のライダーは基本的に1日目はレースタイヤで走行しているが、今回特に目立ったのは3番手のアレックス・デ・アンジェリス、4番手のアンドレア・ドヴィツィオーゾ、5番手のジェームス・トーズランドのMotoGPルーキー3名であり、特にトーズランドはSBK時代に経験したサーキットであれば早くから調子を上げられる事を今回アピールしている。
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なお、年間の合同テストと前回のセパンで好調だったランディ・ド・プニエは、今回はフロントの違和感に苦しんでおり、終日をかけてフロント・フォークのセッティングに時間を費やした様子だ。


■フィリップ・アイランド1日目の各チーム状況
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以下に、フィリップ・アイランド合同テスト初日の各チームの概況、ならびに全ライダーと一部チーム関係者のコメントなどを紹介する。

■2名のライダーが揃って好調のTECH3ヤマハ

2008年の年明け2度目となるフィリップ・アイランドでの合同テスト初日にトップタイムを記録したのは、前回のセパン合同テストでは3日目の最終日に4番手タイムを記録してTECH3ヤマハでの1年目を快調にスタートしたコーリン・エドワーズだった。

1日目はヤマハから提供された電子制御系パーツの改良版の評価を、ミシュランの新型タイヤのテストと並行して終日実施したエドワーズは、この日の午後1時過ぎにミシュランの予選タイヤを2本試しており、今回のベストラップの1分29秒566はそのうちの1本で記録している。なお、エドワーズのレースタイヤでのタイムは4番手のドヴィツィオーゾに次ぐ1分30秒832だった。

また、エドワーズのチームメイトであり昨年度のSBKチャンピオンのジェームズ・トーズランドは、年末からここまでのプレシーズン中の自己ベスト順位となる5番手タイムの1分30秒864を記録しており、これはエドワーズのレースタイヤでのタイムから僅かに0.03秒差という好タイムだ。

前回のセパン・サーキットはトーズランドにとって過去に走行経験のないサーキットであり、経験の少ないMotoGPマシンと同様にコースレイアウトの攻略にも時間を費やした様子だったが、SBK時代から馴染みの深い今回のフィリップ・アイランドでは朝の走行4周目から1分32秒台に突入、その後は1分31秒台で安定して走行して見せ、SBK出身ライダーにとっては適応が難しいと言われがちなMotoGPマシンへの高い順応性をアピールしている。

■エドワーズ「天気が崩れる前に予選タイヤ用のセッティングを試したかった」

セパンでは予選タイヤ装着時のセッティングに問題があったため、今回は初日でもいいから天候が崩れる前に予選タイヤを履いて調整を進めておきたかったとエドワーズは語る。
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「いい1日でしたね。マレーシアで最後に試したのと同じセッティンから作業を開始し、終日そのままの状態で走っていました」とエドワーズ。

「何ヶ月か前にこのサーキットでレースした時に比べてバイクの感触が良かったですよ。ヤマハが頑張ってくれたみたいで、新しいパーツは間違いなく正しい方向に向かっています。特に電子制御の分野がコーナーへの進入と脱出をかなり楽にしてくれていますね」

「マレーシアでは予選タイヤを履いてもタイムはあまり上がらなかったんです。あの時は予選タイヤを装着するとハンドリングにいくつか問題が発生したので、今日は一度調子良く走れるようになってから予選タイヤを2本ほど試してみたんです。まだ初日とはいえ、ここでは明日の天候がどうなるかなんて分かりませんし、明日は雨になりそうですしね」

「予選タイヤ用のセッティングが正しく調整できるか確認したかったんです。セパンでは荷重配分がリアに寄りすぎていて、リアが前に流れて大回りになったので、今回はフロント側に荷重を寄せたら少し曲がりやすくなりました」

「順調な雰囲気ですし、今回のラップタイムには満足ですよ」

■トーズランド「コースレイアウトの知識は重要!」

MotoGPのプレシーズンテストに参加してからは、走行経験のないサーキットとMotoGPマシンの両面について学習する必要があり、タイムシート上の順位は前回のセパンまでは低めだったトーズランドだが、SBK時代から詳しいフィリップ・アイランドでは初日から5番手タイムを記録している。コースレイアウトの知識がいかに重要かを改めて認識したとトーズランドは以下の通りコメントした。

写真「最終の数ラップは15cm以内の全く同じライン取りで走れましたし、これまでのセパンやヘレスよりもかなり速く走る事ができました」とトーズランド。

「タイムが上位の方で良かったです。あまり分かっていませんでしたが、このバイクでうまく走るにはコースレイアウトの知識がこんなに重要なんですね。何も考えずに全く同じライン取りのまま周回を重ねられる時はバイクのセッティングに本当に集中できますから、これはタイムを徐々に上げていく上では大きな違いになりますよ」

「高速コーナーの進入時には少しだけ問題を抱えています。倒し込みの瞬間にフロントにちょっとだけチャタリングが発生していて、この影響でタイムを大きくロスしています。かなり高速で走る部分ですからね。この問題さえなければ大きくタイムを縮める事ができると思いますよ。明日は午前中から新しいセッティングを試して、レースシミュレーションの前に改善を試みるつもりです」

「でも、いくつか問題を抱えたままでもいいタイムが記録できたのは嬉しいです。それと、今日はMotoGPマシンのブレーキングで初めて他のライダーを交わしました。1コーナーの飛び込みでバーミューレンを抜いたんですが、すごく誇りに思いましたね」


■ドゥカティー、変わらず好調のストーナー、感触をつかみ始めたメランドリ

年末のヘレス合同テストで強打した肩の影響から、前回のセパンでは周回数をやや控え目にしていたドゥカティーのケーシー・ストーナーだが、今回の地元オーストラリアのテスト初日はまだ体調は完璧ではないとするものの、73周回を走り込んでいる。

ストーナーはこの日は終日ブリヂストンのタイヤテストを行っており、タイヤに好感触を示したストーナーはレースタイヤで2番手タイムを記録している。
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今年からは正式にストーナーの新チームメイトとなったマルコ・メランドリは、年末から前回のテストまでは乗り慣れないドゥカティーのマシンの持つ特性をつかむのに苦しみ続けてきたが、今回のオーストラリア初日にメランドリは100周回を精力的に走りきる中で、シャシーとエンジンの両方のベースセッティングを改善する事ができたとしており、この日の順位の6番手と作業内容には満足できている様子だ。

メランドリはこの日も前回に引き続きマシンのセッティングとライディング・スタイルの改善に集中した事から、1日目はタイヤテストを行わず、ブリヂストンとの作業は2日目から開始する予定だという。

■ストーナー「ブリヂストンの感触がすごくいい」

まだ若干痛むものの、肩の調子は前回のセパンの時と比べて大きく良くなったとするケーシー・ストーナーは、この日に試したブリヂストンタイヤには大変に満足できた様子だ。
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「今日は全てが順調でした。バイクの感触もほとんどすぐに完璧になりました」とストーナー。

「新しいブリヂストンタイヤはセパンの段階でもすでに期待が持てる状態でしたが、ここフィリップアイランドでも完璧に機能してくれています。そのうちの1本はコーナーから脱出する時にバイクの調子をものすごく上げてくれていますし、特にこのサーキットの最終区間で調子がいいですね」

「また、フロントに若干の調整を加えた事でもかなりの進歩が得られています。おかげでバイクがとても安定してグリップもかなり良くなり、すでに17周回を走りきったタイヤであまり無理する事なく今回の自己ベストを記録しました」

「最新仕様のエンジンにもすごく満足しています。コーナーからの脱出加速時に得られるレスポンスの感じがすごくいいです」

「今日の気象条件は基本的に完璧でした。午後に少しだけ風が強い時がありましたが、10月のここでのレースの時に使った小さめのフェアリングなら特に問題はありませんでした」

「ここは高速コーナーが多くて体力的に厳しいサーキットですから、今日の終盤には肩が少しだけ痛みました。でもマレーシアの時に比べればだいぶましですよ」

■メランドリ「以前のマシンへのこだわりを捨てた」

写真ドゥカティーに乗り換えてからは全く思い通りに走る事ができていなかったマルコ・メランドリだが、今回のフィリップ・アイランドでは過去に経験した他のマシンの特性に近いセッティングを探すのをやめて、純粋にベースセッティングの調整から開始した事で、初めて満足のいく走りがこの日はできたとしている。

「今日は自分が本来の形でバイクに乗れている感じが少なからずするので、すごく満足です。フィリップ・アイランドではもう少しうまく走れると思っていましたし、実際にそれを証明する事ができました」とメランドリ。

「前回のテストで色々学んだおかげで、今回は最初の1周目からいい感触が得られています。多分セパンでは以前に自分の乗っていたバイクの感じに近づけようとして、バイクのバランスをあまりに変えすぎたんだと思います。なので今回はひたすらいいベースセッティングを探る事に集中し、コーナリングの改善に成功して不安定さも少なくなりました」

「まだ100%とは言えないにしても、今日は満足です。明日は重量配分の調整をいくらか試し、電子制御まわりの調整を引き続き行って出力特性の調整を行うつもりです。それができたらタイヤテストですね」

「いずれにしても、ここではいいスタートが切れたと思います」


■デ・アンジェリスが好調のグレッシーニ・ホンダ、中野選手も順調

グレッシーニ・ホンダのMotoGPルーキであるアレックス・デ・アンジェリスは、この日はマシンのジオメトリー・セッティングの改善に集中する中、レースタイヤでの記録がタイムシート上の3番手となる好位置につけている。
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なお、デ・アンジェリスは前回のセパン2日目には暴れるマシンを抑えようとした際に右手首を捻挫し、最終日は午前中に痛み止めを打って走行したものの午後は走行を断念していたが、今回のフィリップ・アイランド初日までにその手首の怪我は完治した様子だ。

デ・アンジェリスのチームメイトでありホンダ2年目の中野真矢選手は、フィリップ・アイランドでの1日目はセパンで抱えていたチャタリングの問題を解消するためにフロント・サスペンションのセッティングに集中している。この日の中野選手の順位は7番手だった。

■デ・アンジェリス「手首の状態は完璧」

手首の調子は全く問題ないと述べるデ・アンジェリスは、得意とするフィリップ・アイランドでは好調に1日目を過ごせたとして、以下の通りコメントした。

「もう手首の状態は完璧に回復しています。全然痛みませんし、おかげですごく助かりました」とデ・アンジェリス。

「このコースではすぐにバイクからいい感触が得られています。自分の大好きなサーキットの1つですし、それに路面状態も今日はほぼ完璧でしたからね!最初の1周目からいいペースで走る事ができました」

「今日はジオメトリの改善作業に集中しましたが、1日を通してバイクの感触はとても良くなっています」

「全てのテストが自分にとっては新しい挑戦みたいな感じですが、チームとはいい関係を築いていますし、RC212Vの事もすごく気に入っています。今日はレースタイヤでしか走っていませんが、結果にはすごく満足です」

■中野選手「セパンで抱えたチャタリングの対策に集中」

路面コンディションがやや悪くなりかけていたセッション終盤に自己ベストを記録した中野選手は、1日目の感触は悪くなかったとして以下の通りコメントしている。

「今日はセパンで抱えていた問題の解決にみんなで取り組みました。特にチャタリングの問題ですね。それで改良版のフロントフォークを試しましたが、おかげで問題を最小限に抑える事には成功しました」と中野選手。

「体調も意欲もすごく高いですよ。午後のセッション終盤には路面条件が理想的ではなくなりましたが、その時に今日の自己ベストを記録できたので感触は悪くないです」


■JiRチームスコット、苦手意識を克服したドヴィツィオーゾ

JiRチーム・スコットのアンドレア・ドヴィツィオーゾは、昨年末から前回のセパンまでに抱えているエンジン・ブレーキの問題は依然としてあるものの、小排気量時代には苦手意識の強かったフィリップ・アイランドでの1日目には好感触が得られたとしており、この日の79周回の中で4番手タイムとなる1分30秒701を記録している。
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1日目にドヴィツィオーゾはセパンの最終日に使用したのと同じセッティングのマシンで作業を開始し、フィリップ・アイランド用のベースセッティングは正しい方向に進んだ様子だ。マシンの感触が良くなった後、チームはサスペンションのセッティングとタイヤの組み合わせを検証している。

■ドヴィツィオーゾ「800ccで走るフィリップ・アイランドは最高」

この日はセッティング作業が順調に進み、フィリップ・アイランドに対する苦手意識を克服したアンドレア・ドヴィツィオーゾは、まだ以前から抱えているエンジン・ブレーキまわりの問題は残るものの、800ccマシンのパワーで高速コーナーに飛び込むのは非常に面白かったとコメントしている。

「今日の進捗状況にはとても満足しています。技術的な観点とライディングの観点の両方から見てかなり順調な1日でした」とドヴィツィオーゾ。
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「今回フィリップ・アイランドに着いた時にはちょっと不安でした。250ccと125cc時代には一度もこのコースで快適に走れた事がなかったし、あんまり楽しんだ記憶もなかったからです」

「でも、800ccでは最高の気分でした!楽しんで周回を重ねる事ができますし、バイクを滑らせながら高速ロングコーナーに飛び込んでいくのもすごく面白いんです!」

「リアのブレーキングに関してはまだ若干いくつかの問題を抱えていて、それが少しタイムに悪影響を及ぼしていますが、常に悪い感触がある訳ではありませんし、直に解決できると思っています」

「ライディングの位置をバイクに合わせていますが、もう少しフットペダルをリア側に寄せたいと思っているので、この部分も修正するつもりです」

「今日はいいタイムが出せるようにものすごく集中して走ったので、今回の結果には満足です。残りの2日間も過密作業になりそうですので、チームも自分もミシュランと一緒に頑張りたいと思います。シャシーのセッティングを最適な状態にしたいですね」

■ジャンニ・ベルティ JiRチーム・スコット技術責任者

JiRチーム・スコットの技術責任者を務めるジャンニ・ベルティは、現在までにドヴィツィオーゾが好感触を得られていないエンジン・ブレーキの調整について、残りの2日間で解決したいと以下の通り述べた。

「フィリップ・アイランドでの初日の作業は、アンドレアにバイクとこのコースに対する自信をつけさせたようです。このサーキットは小排気量時代のアンドレアにとっては苦手なコースでしたからね」とベルティ。

「バイクの一般的なセッティングも順調に進んだし、今日の結果には全体的に満足できています。特にサスペンションのセッティングが良好ですし、変わったタイプのミシュランタイヤのテストもできました」

「バイクの技術面での調整状態はマレーシアの時と同じです。エンジンブレーキに関してはまだ小さな問題を抱えており、今後も対策が必要ですが、残りの2日間でなんとか解消しようと思っています」

「今日は良好な天気を満喫する事もできました。コースの一部では軽く風が吹いていて、ライダーの走りに影響を与えていた様子ですけどね」

「この1日目にアンドレアは約80周回を走り込み、セッション終了時間よりも1時間早く作業を終えましたが、この事からも、わたしたちがいかに満足して今日のテストを終えたかが分かると思います」


■ヘイデンに開発作業が集中するレプソル・ホンダ

前回のセパン合同テストの初日にダニ・ペドロサが右の手のひらを骨折した事から、今回のフィリップ・アイランド合同テストにおけるレプソル・ホンダ・チームは、ニッキー・ヘイデンの1名のみが2008年シーズンの開幕に向けてのホンダRC212Vの開発作業を行っている。
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ヘイデンはこの日の午前中、セパンで初めて試したニューマチック・バルブ・エンジンと、金属スプリングをバルブの開閉に用いる従来式エンジンの2種類を交互に試して比較用データの収集を行い、午後に入ると従来式エンジンのみでの走り込みに集中した。

この日はレースタイヤのみ使用して107周回を走り込んだヘイデンのタイムは1日目の8番手タイムとなる1分31秒226。2日目となる翌日のヘイデンにはシャシーとサスペンションのセッティング作業、ならびにミシュランタイヤのテストが予定されているという。

■ヘイデン「ダニがいないので自分の作業にだけ集中できる」

ダニ・ペドロサがRC212Vの開発作業にしばらく参加できなくなり、レプソル・ホンダのエンジニア全員の注目を浴びる事になったニッキー・ヘイデンは、現在の状況をかなりの幸運として捉えている様子だ。

写真「ここはセパンとは全く特性の違うサーキットなので、先週に学んだ事をもう一度改めて確認する必要がありました。今日の予定はそんなところでしたね」とヘイデン。

「ですから、今回は基本となる標準タイヤしか履いていませんし、他にタイヤのテストは一切行っていません。主にセッティングの確認作業に集中しました。午前中は両方のエンジンを試していますが、これはチームがニューマチック・バルブ・エンジンのデータも必要としているからです」

「今日の路面状態はすごく良かったですね。天気も良かったし、多くの作業をこなす事ができました」

「ダニがここにはいないので、今回は自分の作業にだけ集中する事ができます。自分たちは全くタイプの異なるライダーですからね。今はずっと自分の仕事だけを続けています。今回の一番大きな違いは自分と一緒に働いてくれるエンジニアの数の多さですよ。普段はそれぞれ二つに分かれて自分たち2名のために時間を費やしてくれている人たちです」

「エンジニア全員が今は自分1人に集中してくれていますから、今はかなりラッキーですね」

「ここまでのプレシーズンの作業は順調に進んでいます。まあ、最初のレースを走ってみない事には本当のところは分かりませんけどね。チームとは最大限に頑張って作業を進めているのでチャンスは最大限に活用できると思いますし、レースが始まった時には一騒動起こせるくらいになっていたいです」

「間違いなくミシュランもすごく頑張ってくれていますよ。ここまでにいくつか進展が見られますしね。今の自分たちの状況は明るいですよ」


■フィリップ・アイランドを今年は克服したいリズラ・スズキ

リズラ・スズキがプレシーズン期間中にフィリップ・アイランドを訪れるのはこれが2度目だ。昨年末のヘレス合同テストの期間中、リズラ・スズキ・チームだけはこの合同テストには参加せずに、スズキが毎年やや苦手とする傾向のあるフィリップ・アイランドでのチーム単独テストを実施していた。
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今回のフィリップ・アイランド初日、リズラ・スズキの2名のライダーは、先週のセパンでの合同テストに引き続き多くの新型パーツとセッティングの評価作業を行い、特に苦手なフィリップ・アイランドの攻略に向けてベース・セッティング探しに集中している。また、この時に2名は空力性能の改善に向けて、新型フェアリング(カウル)も試した様子だ。なお、フィリップ・アイランドは海側から吹き付ける強風が激しいサーキットであるため、フェアリングのテストには最適な場所だが、この日はそれほど風は強くなかったようだ。
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午前から新しいパーツを試しながら多くの周回数をこなしたリズラ・スズキ勢のこの日のタイムシート上の順位は、ロリス・カピロッシが9番手、地元のクリス・バーミューレンはそれに次ぐ10番手だった。

2名は翌日以降も空力特性のテストを引き続き行い、他にはシャシーのセッティング作業や電子制御システムの検証、ならびにブリヂストンタイヤのテストにも本格的に着手し、2008年パッケージの総合的な評価を続ける予定だ。

■カピロッシ「スズキが苦手なサーキット、まだまだやる事だらけ」

年末に引き続き、徐々に慣れつつあるスズキのマシンでフィリップ・アイランドを再び訪れたロリス・カピロッシは、スズキが苦手とするコースである以上、まだ多くの作業が2日間を通して必要だと以下の通り語った。
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「今日は本当にきつい1日でしたが、確実に進歩はあったと思います」とカピロッシ。

「バイクにはいいベース・セッティングが見つかりましたし、終日かけてそれを改善する事もできました。ただ、まだ目標レベルに到達するまでの道のりは長いですけどね。バイクには多くの新しい事を今日から試していますが、まだ残りの2日間を通してやるべき事は山ほどありますよ」

「今日のスタッフたちは本当に頑張ってくれています。彼らのおかげで多くの進展が得られましたし、バイクは走る度に調子が良くなっていきます。ただ、以前から言っている事ですが、ここはスズキが苦手とするサーキットなので、本当にやる事だらけなんです!」

■バーミューレン「最終日までには劇的にタイムを上げたい」

地元のオーストラリアに戻ってこれた事を喜ぶクリス・バーミューレンは、セッティングの改善を進めてからスズキが提供してくれた新型パーツを試していけば、最終日までには大きくタイムを上げられる筈だと以下の通りコメントしている。
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「またオーストラリアに戻ってテストができて嬉しいです。もうちょっと暖かいとさらに有り難いんですけどね」とバーミューレン。

「今週はここでできる限り多くの作業を済ませておきたいので、今日は多くの周回数を走り込みました」

「昨年末にロリスと自分が提供した情報を元に、ファクトリーはすごく適切な対応をしっかり取ってくれています。ただ、提供された新しいパーツを色々試す前に、まずはマシンのセッティングを正しくしておく必要があるので、ロリスと同様に今日は自分も1日の大半をセッティング作業に費やしました」

「今週を通してもっと調子は上がる筈ですので、タイムと順位の両方を劇的に上げられるよう願っています」


■フロントのセッティング改善に終日費やしたホンダLCR

カワサキから乗り換えたホンダのマシンで年末から好調な走りを見せ、前回のセパンでは初日から2日目までトップタイムを記録しらホンダLCRのランディ・ド・プニエは、この日はレースタイヤで11番手タイムを記録し、フィリップ・アイランドでの1日目の作業を終えている。

ド・プニエは午前中に高速コーナーでフロントが滑る現象に悩まされたため、この日はサスペンションのセッティングに終日集中する事に決めたという。セッション終盤までにマシンの調子は改善されたというド・プニエは、最終的には安定して速いタイムでの周回を重ねる事ができた様子だ。
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■ド・プニエ「朝からフロントに違和感」

今回は走り始めからフロントまわりに違和感を感じたというド・プニエは、1日を通してフロント・フォークのセッティングに取り組んでおり、2日目以降に向けて正しい方向性が最終的には得られたと感じているようだ。

「今朝は3周走っただけでフロントに違和感を感じたので、今日は1日をかけてサスペンションのセッティング作業を行う事にしました」とド・プニエ。

「このコースでもいい感触が見つけられるようにフロント・フォークのセッティングに集中しながらレースタイヤのテストも何本か行いました。多くのテストを色々行ったので、周回数は103周に達しています」

「今日の終わりがけには感触はだいぶ改善されたので、正しい方向性はつかめていると思いますから、明日もこのままセッティング作業を続ける予定です」


■ベースセッティングの改善作業に引き続き取り組むカワサキ

カワサキの2名のライダーは、フィリップ・アイランドの1日目も先週のセパンに引き続きベースセッティングの改善作業に取り組んでいる。この日のカワサキ勢のタイムシート上の順位はジョン・ホプキンスが12番手、アンソニー・ウエストは13番手だった。
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ホプキンスは1日目にシャシーとギアボックスのセッティングに集中しているが、この日の午前中はリアのチャタリングに悩まされており、タイムを思い通りに縮める事はできなかったという。午後にはチャタリングに改善の兆しは見られた様子だが、まだ残りの2日間を通してこの課題には取り組む必要があるようだ。

チームメイトのウエストはシャシーとサスペンションのセッティングをこの日に変更しており、それらがマシンの挙動にどのような影響を与えるかを検証している。ウエストはこの日のタイムには満足していない様子だが、午後には納得のいくセッティングが見つかった事から、翌日以降はより改善が進むと考えているようだ。

2名は2日目にはブリヂストンタイヤのテストに本格的に着手し、同時にセッティングの改善作業も継続する予定だという。

■ホプキンス「チャタリングが消えればタイムは上がる」

ジョン・ホプキンスはスズキ時代は苦手としていたフィリップ・アイランドでの1日目をチャタリングの問題解決に費やしており、もし翌日にチャタリングを最小限に抑える事ができればタイムは上げられるとコメントしている。
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「今日は基本的にセッティングのチューニング作業を進め、もっとスピードが得られるようにギアボックスの調整を行いましたが、この間もチャタリングの問題をセッション序盤からずっと抱えていたんです」とホプキンス。

「午後にはいくらか改善する事はできましたが、もっと有効に思える対策を明日には色々試したいと思っています」

「明日はブリヂストンと膨大な量のタイヤテストを行う予定なので作業はそっちに集中する事になりますが、もしチャタリングの問題を同時に解決する事ができれば、ラップタイムは縮み始めると思いますね」

■ウエスト「明日はもう少し順位を上げたい」

年末からの作業に引き続き、この日もセッティングの調整とマシンの挙動の関係について学習を続けるアンソニー・ウエストは、2日目以降は順位をもう少し上げたいと以下の通り述べている。

写真「今日も先週のセパンから始めたバイクのベースセッティング探しを引き続き行いました」

「セッティングに色々と大きな変更を加えてみて、それらがセパンの時と比べてこのサーキットではバイクのどういう挙動につながるかを理解するのを基本的な目標として作業を進めました」

「また、何本かの別なフロント・フォークもバイクに試してみましたが、これにはいい結果が得られています。他にはマレーシアで選択したタイヤのプロファイルの妥当性をここで再確認する事もできました」

「午後のセッション終盤にはバイクの改善を進める事もできたので、明日はもう少しタイムシート上の順位が上がる事を期待しています」

■金子テクニカル・マネージャー「苦手な区域を特定できた」
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カワサキのテクニカル・マネージャーを務める金子直也氏は、この日はフィリップ・アイランドの攻略に関するいくつかの情報を特定できたとしている。

「今日もベースセッティングに関する作業を引き続き行うつもりでした。予定通りその作業は進んでいますが、今回このコースで常にラップタイムをロスしている場所を特定する事もできています」

「この部分については明日も引き続き作業が必要ですが、他にもブリヂストンのタイヤテストに集中する必要があります。このサーキットではタイヤの性能がレースの結果に大きく影響しますからね。特にリアタイヤに要求されるものが独特なんです」

「終日作業が続けられるように、明日もいい天気になって欲しいですね」


■GP8のセッティングを探るアリーチェ・チーム

前回のセパン合同テストからドゥカティーの2008年型マシンであるデスモセディチGP8のサテライト仕様バイクを手に入れたアリーチェ・チームの2名は、今回のオーストラリア初日は様々な範囲のセッティングをバイクに試しながら、各ライダーに合うフロントタイヤ探しを同時に行っている。

1日目の順位はシルバン・ギントーリが14番手、トニ・エリアスが15人中の15番手という結果には終わったものの、セッティングの方向性としては良い兆しが得られていると、チームのエンジニアを務めるセルジオ・ヴェルベーナは説明している。

なお、午前中はGP8のフロントまわりにメカニカル・トラブルが発生したようだが、チームがマシンにいくらかの調整を施した後に問題は解決した様子だ。

■ギントーリ「体調はすごくいい」
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この日はチームメイトのタイムを0.089秒上回ったギントーリは、今回もセパンに引き続き体調の良さをアピールし、2日目以降の作業に向けての意欲を示している。

「今日はすごくいい1日でした。天候がとても良かったおかげですね」とギントーリ。

「日増しにバイクには快適に乗れるようになってきましたし、いいリズムがつかめるようにもなりました。今日の午前中には色んなタイヤを試してフロントの感触が上げられないかを試しています」

「体調はものすごくいいので、明日の2日間の作業に向けては万全です」

■エリアス「今後に向けてセッティングを検討」

肩の手術を済ませた年明けからはタイムシートの上位にまだあまり顔を出さず、やや控え目な走りを見せるトニ・エリアスだが、この日はマシンのセッティングを広範囲に渡り検証し、翌日以降の改善に向けての準備を進めた様子だ。

「フィリップ・アイランドは本当に難しいサーキットの1つですが、それと同時にすごく魅力的な場所でもあるんです」

「今日の作業は大変でしたが、多くの周回数を走り込む事ができたのでいい1日でした。今日はシャシーとサスペンションのセッティングに集中し、今後に向けて色々な解決策を検討しています」

「残りの2日間はもっと改善が進む筈ですよ」

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