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                  |  | テスト最終日の25日、セパンサーキットは終日好天に恵まれた。この日はタイヤテストやレースシミュレーションを想定したロングラン等のメニューに取り組む選手が多く、午前の早い時間には別バージョンのフロントカウルを試していたバレンティーノ・ロッシも、午後にはロングランを走り込み、高レベルで安定したタイムを刻み続けた。チームメイトのコーリン・エドワーズは昼前に転倒、マシンから炎が上がった。3年前のアプリリア時代にザクセンリンクでライダーもろとも炎上した「テキサスバーベキュー」ほどの激しい炎ではなかったものの、それでもマシンは消火器にまみれて真っ白になった。 
 
  
 
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                          |  | ヤマハといえば、初日のレポートでも触れたカルロス・チェカの去就だが、ヤマハがカタールで行う次回テストまでにはある程度の動向が見えて来そうな気配だ。 
 BS勢は揃って予選用タイヤでのタイムアタックを行い、その際に2分01秒03を記録したセテ・ジベルナウが二日連続でトップに立った。ロリス・カピロッシも01秒08と、ドゥカティは二台揃って好調で、ライダー、マシンともに昨シーズンを上回る戦闘力を保持していることをアピールした。
 
 
  
 二日連続のトップタイムで強烈な印象を残したのがドゥカティなら、終始にこやかな表情で印象を残したのがケニー・ロバーツ・ジュニアだ。ここ数年なかったほどの充実した手応えを感じているようで、「2秒台に入れることができるかとも思ったけど、テストで試すマテリアルが多く
  て、そこまでやってる時間がなかった」という言葉からも、戦闘力の高いホンダエンジンを獲得し、シャーシ開発により気合いの入っている様子が窺える。 
 ホンダ勢では、ワークスチームに二種類の仕様が存在することを二日目のレポートで言及したが、どうやらその二種類とは、昨年のブルノ事後テストでヴェールを脱いだ新型マシンの発展型と、05年最終戦仕様を発展させたマシン、ということのようだ。これら二種類の06年仕様が今後のテストでどのように煮詰められ、実戦に投入されていくかは、プレシーズンから前半戦にかけての大きな注目の的となるだろう。
 
 新型マシンで走行していたのはスズキも同様だが、電気系の問題が発生してしまったためにホプキンスは早々に切り上げることを余儀なくされた。チームメイトのバーミューレンは初めて02秒台(02秒30)に入れただけではなく、レースを想定したロングランでも好感触を得て三日間を締めくくった。
 
 
  カワサキの中野真矢は、この日新たにマフラーなどのニューパーツを試したが、初日から訴えていたトラクションの課題はこのマフラーでかなりクリアされることを確認した。さらなる改善を狙い、カワサキは次のテスト地となるフィリップアイランドでも引き続き旺盛なデータ収集を続ける。タイヤについて、中野は、「今はまだ方向性を探っている途中だけど、それでも今年のBSはかなり行けそう」と、開発の進化に期待を膨らませた。 
 テスト終了時刻が迫り、ほとんどのチームが撤収準備にかかる中、ダニエル・ペドロサとケーシー・ストーナーは制限時間ぎりぎりまで走行を続けた。そして、さらにそのふたりの後から、静かなコース上にひときわ轟音を響かせながら、マルコ・メランドリがピットロードへ戻ってきた。チーフメカニックのファブリツィオ・チェッキーニ以下、チームのエンジニアたちが大きく手を挙げてメランドリを出迎える。
 
 
  
 昨年までなら、終了時刻の午後6時ぎりぎりまでコースに残って走行を続けていたのは、マックス・ビアッジだった。
 
 そんな彼を指して「最後の最後に誰よりもいいタイムを一発出して終わるつもりなんだ」と揶揄する声があったのも事実で、その指摘はおそらく間違っていないのだが、それでも終了時刻ぎりぎりまで走行を続けるたった一台の排気音は妙に印象的だった。
 
 そのビアッジの姿は、既に2006年のセパンサーキットにはない。25日の午後6時、最後にピットへ戻ってきた3台が象徴するように、バレンティーノ・ロッシを巡る戦いの構図は世代交代の時期を迎えようとしている。
 
 
 (1月23/24/25日 マレーシア・セパンサーキット 取材/文・写真 西村章)
 
 
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