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2006年10月31日
ホンダが2007年シーズン向けの800ccマシンを正式に公開した。今期までの5年間活躍したホンダの990ccマシンであるRC211Vの後継機種の名称は「RC212V」だ。
2007年からのMotoGP最高峰クラスのマシン・レギュレーションにおいて、2002年から導入された990ccの最大排気量が800ccまで引き下げられる。また、今期の2006年までは2ストロークマシン(500cc)での参戦もルール上は可能とされていたが、2007からは2ストロークマシンの使用禁止もレギュレーションの中に明記された。
■HONDA RC212V開発コンセプト「ライダーの意のままに」
ホンダが今回開発したRC212Vの開発開発コンセプトは、「ライダーの意のままに」だという。以下に、ホンダがバレンシアでのMotoGP最終戦の翌日である10月30日に発表したRC212Vの仕様を示す。
・全長: 2050mm
・全幅: 645mm
・全高: 1125mm
・ホイール・ベース: 1440mm
・最低地上高: 125mm
・車両重量 (kg): 148kg以上
・エンジン形式: 水冷4ストロークDOHC V型4気筒4バルブ
・総排気量: 800cc
・最高出力: N/A
・フレーム形式: ツインチューブ
・フロントタイヤ: 16.5インチ
・リアタイヤ: 16.5インチ
・フロントサスペンション: テレスコピック形式
・リアサスペンション: 新型ユニットプロリンク形式
・燃料タンク容量: 21リットル
■レプソル・ホンダよりマシンの正式お披露目
10月30日のこの日、前日に2006年度MotoGPクラス年間タイトルを獲得して新チャンピオンとなったニッキー・ヘイデンと、同年のルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いたダニ・ペドロサの2名のホンダ・ワークスライダー、およびその他のシーズン・タイトルを全て獲得したホンダのワークスチームであるレプソル・ホンダ・チームは、ホンダの2007年度仕様の新型バイクであるRC212Vの初お披露目を行った。
ヘイデンとペドロサは、2007年度シーズンを今回の800ccマシンに乗って戦う事が決定している。
■タイトル防衛に向けて高い機敏性と優れた操舵性を追求
ホンダの研究開発部門は今回の新型プロトタイプの開発にあたり、第二世代のMotoGPマシンをより機敏で操舵性の高いマシンに仕上げ、さらなる混戦が予想される来シーズンでのタイトル防衛に備えたという。
バイクそのものは、日本GP翌日となる9月25日のツインリンクもてぎでの合同テストに既に登場しており、その時はダニ・ペドロサがテスト走行を行い、「普通に乗れる完成度の高いバイク。250ccバイクに近い挙動もあるが、完全なるMotoGPバイク。」とコメントしていた。
■今回はレプソルカラーで登場
前回のもてぎでのテスト走行時とは異なり、マシンは黒カーボンカラーではなく、来期のホンダワークスチームであるレプソル・ホンダのカラーとなっての初登場だ。
世界中の記者に取り囲まれた今回のプレゼンテーションは、司会にHRCの常務取締役である堀池達氏、その他にはレプソル・スポンサーシップ・ディレクターのハビエル・インクラン氏と2名のレプソル・ライダーなどが出席した。
■HRC常務取締役 堀池達 氏
「RC212Vの開発状況には非常に満足しています。」と堀池常務取締役。
「大熊孝則(本田技術研究所RC212V開発責任者)の率いるプロジェクトチームはHRC設定した開発とテストスケジュール通りに作業を進めています。」
「私たちは冬季テストの結果に高く期待しており、新しいMotoGPの分野においても高いレベルで戦える事を楽しみにしています。」
■本田技術研究所RC212V開発責任者 大熊孝則 氏
「ホンダのMotoGP第二世代プロジェクトとなる800ccマシンの開発を開始するにあたり、最高のハンドリング性能と操舵性(ドライバビリティー)を最優先の目標に掲げました。」と大熊氏。
「800ccに縮小された新しい排気量を実現するには、V型4気筒エンジンが最も効率的なレイアウトであると考えました。最高出力のみではなく、ラップライムに大きな影響力を与える優れた出力伝達特性の実現にも力を注ぎました。」
「さらに進化した制御系システムを用いる事により、中低速域での高い操舵性と、エンジンの上限出力となる加速時の優れた出力性能を、引き出す事に成功しています。」
「シャシー(フレーム)に関しては、RC211Vのパッケージよりも高い機敏性とクイック・ハンドリング特性を求めてマスの集中化をさらに進めました。」
「新マシンの外観は、アグレッシブ且つ非常に革新的なものであり、さらには操舵性と空力特性の両立も実現しました。私たちは開幕戦までにマシンの完成度をさらに高め、シーズン中も開発作業を進める予定です。」
■ダニ・ペドロサ「サイズが小さくなり自分にはぴったり」
日本GP翌日のもてぎでの800ccマシンの走行経験を持つダニ・ペドロサの、ホンダの新型800ccマシンであるRC212Vの印象を語ったインタビューを紹介する。
●RC212Vに初めて乗った時の印象はどうでしたか?
数周しか走る事ができなかったので、バイクについて詳しく分析するのは少し難しいですね。ただ、第一印象は初期段階のプロトタイプを評価する上で重要なものには違いありません。
ギアの変更をしたくらいで、全体のセッティングを調整するところまではいきませんでしたが、RC211Vと非常に良く似た感じのパッケージである事は明らかです。
●ハンドリング特性については評価できますか?
バイクは明らかに小さくなり、自分にとってはバイクが前よりも操縦し易いです。バイクに乗った時に肘(ひじ)で膝(ひざ)が触れるようになりました。RC211Vでは全くできなかった事です。
レース用のバイクに乗ってこれができると便利なんですよ。
●出力特性についてはいかがですか?
エンジン特性はRC211Vとは少し違う感じがしました。ただ、先にも述べたとおり、これはまだ1回目のテスト時の印象ですし、開発はまだ進んでいますから、印象は今後も変わっていくと思います。
それに、そんなに攻めて走ったわけでもありません。
●990ccよりも乗りやすかったですか?
ええ。バイクが全体的に小さく感じるので乗りやすいと思います。シートがかなり短くなった事でバイク全体がコンパクトになりました。
250ccマシンに近い特性もこのバイクからは感じられますが、基本的にはMotoGPバイクです。もてぎはヘアピンなどの低速コーナーが多かったので、実際にコーナーで速く走れるかどうかについてはまだ分かりません。
●990ccと比べてどの部分が気に入りましたか?
自分にとっては全体的な大きさ(ディメンション)です。
そんなに背は高くないので、自分の身体のサイズには990ccの時よりもしっくりきます。RC211Vとマシンの高さや重量は殆ど変わりませんが、バイクが小さくなってコンパクトに収まったのはいい事だと思います。
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