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バレンシア初日 上位3名は予選タイヤ、実質的なトップはヘイデン |
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2006年10月28日
MotoGP2006年シーズンの最終戦、キャメル・ヤマハのバレンティーノ・ロッシとレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンによる熾烈な年間タイトル争いに世界中の注目が集まる中、初日のフリー・プラクティスのトップ3に名を連ねたのは、この日の総合トップタイムである1分32秒220を記録したドゥカティーのロリス・カピロッシ、総合2番手はカワサキのランディー・ド・ピュニエ(1分32秒408)、3番手はリズラ・スズキのクリス・バーミューレン(1分32秒786)という3名のブリヂストン・ライダーだった。
(全フリー・プラクティスの結果はこちら)
■午前と午後では全く顔ぶれの違うトップ3
この日の湿度は終日通して35%前後と雨の心配はなく、終日ドライ・コンディションに恵まれている。午前中の気温は20度、路面温度は22度と低かったが、午後に気温は25度、路面温度は午前を10度上回る32度と高く上昇しており、タイヤ選択の影響もあって午前と午後ではタイムシートの上位に名を連ねたライダーたちが全く異なる。
午前中のトップ3は1番手タイムがキャメル・ヤマハのバレンティーノ・ロッシ、2番手タイムはホンダLCRのケーシー・ストーナー、3番手タイムはレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンだった。
■総合トップの3名は全てブリヂストンの予選タイヤ
昨年のバレンシアでマルコ・メランドリが記録したサーキット・レコード(レース中)が1分33秒043である事を考えれば、総合トップ3のみが記録した今回の1分32秒台のタイムは非常に速いペースに見えるが、この3名のブリヂストン・ライダーたちはこの日の午後に、揃って予選タイヤを装着している。
ポールポジション・レコード(予選)である昨年のセテ・ジベルナウのタイムは1分31秒874であり、このタイムと比較すれば、予選タイヤを装着した3名が実際にはそれほどのハイペースではない事が分かる。
ちなみに、レースタイヤのみを装着した時の3名のそれぞれの自己ベストタイムは、ロリス・カピロッシが1分33秒072、ランディー・ド・ピュニエは1分33秒546、クリス・バーミューレンは1分33秒482だった。レースタイヤでのカピロッシの総合順位はこの日の2番手となる。
■レースタイヤで実質的な初日トップタイムを記録したヘイデン
気になるキャメル・ヤマハ勢とレプソル・ホンダ勢の総合順位だが、この日のレースタイヤでの実質のトップタイムは、ランキング2位からポイントリーダーのロッシとタイトルを争うレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンだ。初日総合4番手となったヘイデンは、昨年のマルコ・メランドリのサーキット・レコードを0.24秒上回る1分33秒019を午後に記録している。
しかしながら、ヘイデンはミシュランの中でトップを記録した事や、レースタイヤで最速だった事には満足していないという。ヘイデンが目標としていたのは、バレンシアでの全てのセッションを、タイムシート上のトップで過ごす事だ。
「バイクの調子は最高ですよ。楽しんで乗ってます。」とヘイデン。
「悪くない初日でしたが、ここでは全てのセッションでトップタイムをマークしたいので完全に満足はしていません。『ミシュランの中で最速』とか『レースタイヤで最速』なんて肩書きは欲しくないんです。本当はレースタイヤで1分32秒台が今日は出したかったんです。」
「何人かが自分より速いタイムを出して前につけてしまったので、僕はもっとタイムを縮められなきゃだめです。今週はすごく楽しいですよ。チームもすごい仕事をこなしてますからね。ピートや仲間たちとはばっちり同期がとれてますから、最後まで僕についてきてくれる筈です。」
「明日は予選がものすごく重要ですから、どうしても1列目を確保したいですね。どうなるか楽しみです。すごく速いライダーもいますが、それほど差は開かないと思います。コンマ数秒範囲に何人も密集していますから、追い抜きは難しいでしょうね。」
「今週は最大限に全力を尽くして、相手の出方を見たいと思います。」
■ストーナーはレースタイヤでは2番手タイム
ヘイデンに次ぐ総合5番手タイムは、午前中のタイムシートでは2番手につけていたホンダLCRのケーシー・ストーナーが午後に記録した1分33秒080。これはレースタイヤではロリス・カピロッシに次ぐ3番手タイムとなる。
■着実にバレンシアでの走りを高めるペドロサ
チームメイトのヘイデンと同様にレースタイヤのみで初日のタイム・アタックを済ませたレプソル・ホンダのダニ・ペドロサは、ヘイデンとストーナーに次ぐ総合6番手タイムの1分33秒254という好タイムを記録している。
初日はMotoGPバイクで初めて走るバレンシアの学習と多くのセッティングを試し、午前はあまりタイムの伸びなかったペドロサだが、午後のセッションの後半からはタイムアタックを開始し、レースタイヤにおける実質的な総合4番手タイムを記録した。
「今日は初日のプラクティスとしては普通でしたね。」とペドロサ。
「午後は色々なセッティングを何種類も試して、好みのものと役に立たないものを判別する事ができました。明日に向けてはいい方向性がつかめていると思います。」
「このコースはMotoGPマシンと250ccでは走り方が全く異なります。MotoGPマシンは方向転換がすごく重く感じますし、多くの短いストレートから次のコーナーに抜けるまでがあっという間ですから、慣れるのに時間がかかります。」
「みんなが理解している通り、このレースは本当に重要なんです。だから自分もチームも必死なんですよ。自分の仕事をこなした上で、ニッキーのアシストを確実にこなせなければいけませんからね。」
「自分たちを応援してくれるスペインのファンにとっては熱狂的な週末になると思います。シーズンの最終戦ですから、誰にとっても重要なレースですよ。」
■レプソル勢に続いたのはキャメル・ヤマハのロッシ
ダニ・ペドロサに続く初日総合7番手タイムを記録したのは、最終戦をポイントリーダーとして迎えたキャメル・ヤマハのバレンティーノ・ロッシだ。ロッシがこの日の午後に記録した自己ベストタイムはペドロサと0.02秒差の1分33秒274。
数点の改善点は残るものの、全く心配ないとロッシは語る。
「今朝はいいセッティングを見つけて最初からとても速く走れましたが、午後には他のライダーたちが大幅にタイムを伸ばしたので捕まっちゃいました。」とロッシ。
「午後は明日と日曜日に最適なセッティングを探り、多くの異なるセッティングを試しました。タイヤもたくさんテストしています。ここではタイヤが重要ですからね。特に左側側面に負担が大きいんです。」
「このコースはそれほど簡単じゃないんで、いいセッティングを見つけるのには時間がかかります。でも、バイクからはいい感触が得られていますし、全体的に見てレース用のペースもとても速いので、あまり心配はしていませんよ。」
「あと数点は改善すべき部分が残っています。特に2〜3箇所のハードブレーキング・エリアですが、その点を改善するだけでもトップ争いはできると思います。今は落ち着いて集中力を高める時ですね。明日やるべき事はもうはっきりしています。」
■エドワーズはセッティングに集中
ロッシのチームメイトであるキャメル・ヤマハのコーリン・エドワーズは、午前中のタイムシート6番手タイムとなる1分33秒545を記録していたが、午後はセッティングの調整に集中し、午前中の自己ベストタイムを上回る事はなかった。
昨日は来期に向けてのヤマハ・ワークスとの契約更新という嬉しい発表をしたばかりエドワーズは、初日の総合順位を最終的に11番手で終えたが、2日目に向けての自信は非常に高い。
「大丈夫です。全て想定範囲ですよ!」とエドワーズ。
「自分たちの新しい武器はもてぎで見つけた『奇跡の』セッティングですが、あともう少し微調整が必要です。エストリルでは完璧に仕上げましたから、ここでも同じ事が起きますよ。」
「このコースにバイクを合わせるには、もてぎの時のセッティングに近い状態に戻さなければいけないので、あと2〜3箇所は調整が要ります。ここで経験して理解したセッティングに関する知識は、来年の新しいバイクにもそのまま役に立ちますから、すごく楽しみになってきました。」
「どうしてポルトガルが完璧だったかも理解できていますし、ここでは何点か問題が発生する理由も分かっているんです。だから全然慌てる事はありません。今晩中に少しセッティングを変更すれば、明日はこの前のレベルに戻ってる筈ですよ。」
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