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ロレンソ「チャンピオンたるもの落ち込みは見せない」
インテリマーク編集部
2006年10月20日

MotoGP250ccクラスの年間タイトル決定戦として注目を集めたポルトガルGPが、10月15日にエストリル・サーキットで行われた。
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■ロレンソが年間タイトルを決めると思われたポルトガル戦

前回の日本GPでフォルツナ・アプリリアのホルヘ・ロレンソが、ランキング2位につけるヒューマンゲスト・ホンダのアンドレア・ドヴィツィオーゾを27ポイント差まで引き離した事で、ロレンソは自身の順位に関係なく、今回のエストリルではドヴィツィオーゾの前でチェッカーを受ける事さえできれば、初の年間タイトルが決まる状態だった。
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しかしながら、今年の250ccクラスはシーズンを通して激戦区となっており、最終戦を前にして簡単にタイトルの行方が決まる程甘くはなかったようだ。

■輝くロレンソ、最終予選を前にメインバイクを失う

写真日本GPの後には余裕の表情を見せ、ポルトガルでの年間タイトル獲得を暗示するかのような特製のゴールデン・ヘルメット(ゴールデン・チュッパチャプス)を被って2日目午前のフリー・プラクティスに登場したロレンソは、低速左コーナーで前を行くマテオーニ・レーシングのアレッシオ・パルンボとの追突を避けようと激しくリアを滑らせ、輝くヘルメットと共に転倒してメイン・バイクを大破した。

ちなみに、普段のロレンソのヘルメットはコーラ味のチュッパチャプスだ。

この結果、セカンド・バイクでの戦いを余儀なくされた午後の最終予選、ポール・トゥー・ウインでタイトルを決めたかったロレンソは、4番グリッドを獲得するに留まっている。

■予選結果

終日ドライ路面となった2日間の予選でポールポジションを獲得したのはチーム・トースのベテランライダーであるロベルト・ロカテリ2番グリッドはランキング4位につけるKTMの青山博一選手3番グリッドはジレラのマルコ・シモンチェリ
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1列目4番グリッドロレンソに続き、2列目の5番グリッドを獲得したのはロレンソのチームメイトであるエクトル・バルベラ6番グリッドはランキング3位につけるアレックス・デ・アンジェリス
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■2列目からロレンソの前を狙うドヴィツィオーゾ

ランキング2位につけるヒューマンゲスト・ホンダのアンドレア・ドヴィツィオーゾは、2列目7番グリッドからポイントリーダーのロレンソの前でのチェッカーを狙う事になった。
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その他の日本人ライダーの予選結果は、レプソル・ホンダの青山周平選手が3列目9番グリッド、ドヴィツィオーゾのチームメイトである高橋裕紀選手が3列目12番グリッド関口太郎選手が5列目19番グリッドからのスタート。

■レース開始

250ccクラス開始時の気温は20度、路面温度は23度、湿度は70%で路面はドライ。

■快調に飛ばすロカテリ

シグナルが消え、全てのマシンが猛加速を見せて1コーナーに向かう中、ホールショットを奪ったのは、レースウイークを通して今期最高の調子を見せるポールポジション・スタートのロベルト・ロカテリだった。ロカテリの後ろの2番手に続いたのはホルヘ・ロレンソ、3番手に青山博一選手。

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(写真提供:motogp.com)

7番グリッドからスタートしたアンドレア・ドヴィツィオーゾは4番手に順位を上げて1コーナーを抜けた。ドヴィツィオーゾは青山博一選手を交わして3番手に順位を上げ、そのまま2番手のロレンソの追撃を開始する。トップは変わらず快調に飛ばすチーム・トースのロベルト・ロカテリ。

■後退するロレンソと、先頭のロカテリを追うドヴィツィオーゾ
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2ラップ目への突入時、青山博一選手は後方から追い上げてきたアレックス・デ・アンジェリスに交わされ5番手に。さらに1ラップが過ぎる頃、ドヴィツィオーゾはロレンソから前を奪う事に成功して2番手に順位を上げた。タイトル確定を狙うロレンソはそこから極端にペースを落とし、続けて3ラップ目にはデ・アンジェリス、4ラップ目には青山博一選手に交わされて5番手まで後退。

■スタートに失敗し、後方から追い上げる高橋選手

高橋裕紀選手はオープニングラップで14番手まで順位を落とすが、4ラップ目には8番手を行く青山周平選手を交わし、続けてさらに前を行く2台を交わしている。
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5番手となったロレンソの2秒後方には、6番手となった高橋裕紀選手、その背後に7番手のマルコ・シモンチェリ。

■先頭集団の中で順位を上げる青山博一選手

そこから14ラップ目まで先頭集団の順位は大きく変わる事なく、トップにはロベルト・ロカテリ、2番手にはアンドレア・ドヴィツィオーゾ、3番手にはデ・アンジェリスを交わした青山博一選手。4番手のアレックス・デ・アンジェリスは博一選手から前を奪い返そうと必死に追い上げる。

■青山周平選手はマシン・トラブルによりリタイア
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16ラップ目、高橋裕紀選手とマルコ・シモンチェリの後方8番手を走行していた青山周平選手が、突如マシン・トラブルのために大きく順位を落としてリタイアした。マシンのシートを叩いて悔しがる周平選手。

■ロレンソは高橋選手に交わされ7番手に

15ラップ目、デ・アンジェリスは博一選手とドヴィツィオーゾを交わして2番手に浮上するが、すぐにドヴィツィオーゾに交わされて3番手に。同じ頃、ペースの全く上がらないロレンソは高橋選手に交わされて7番手に後退した。

16ラップ目、ハイペースの走行が続かなくなった先頭のロカテリの背後には、2番手のドヴィツィオーゾ、3番手のデ・アンジェリス、4番手の青山博一選手が迫り、17ラップ目についにロカテリが集団に飲み込まれる。ロカテリから最初にトップを奪ったのはアンドレア・ドヴィツィオーゾだ。
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■ロカテリがペースを落とし、激しく前を奪い合う残りの3台

その後のトップ争いは熾烈を極める。18ラップ目には青山博一選手がデ・アンジェリスとドヴィツィオーゾ、ロカテリの3台を交わしてトップに立ち、その次の19ラップ目には再びドヴィツィオーゾが博一選手から前を奪って先頭に立った。

23ラップ目までトップ集団に大きな動きはなく、先頭にはアンドレア・ドヴィツィオーゾ、2番手に青山選手、3番手にアレックス・デ・アンジェリス、4番手にはレース前半をリードしていたロベルト・ロカテリが続いた。

■チームメイトのためにもロレンソを抑えたい高橋選手だが・・・
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ランキング2位につけるチームメイトのドヴィツィオーゾのためにも、背後のポイントリーダーであるロレンソを抑えておきたい高橋選手だが、ここでペースを落とし始めてロレンソに前を奪われてしまう。ロレンソは5番手に順位を1つ回復し、高橋選手は6番手に後退した。この時、7番手のマルコ・シモンチェリは高橋選手の5秒後方を走行している。

写真■熾烈を極める終盤のトップ争い

残り3周の24ラップ目、ホームストレートで青山博一選手は再びドヴィツィオーゾを交わしてトップに立ったが、1コーナーを最初に奪ったのはドヴィツィオーゾだ。その後、アレックス・デ・アンジェリスは右コーナーへの飛び込みで青山博一のインを奪って2番手に浮上し、博一選手は3番手に後退。

優勝争いはドヴィツィオーゾ、デ・アンジェリス、青山博一選手の3台に絞られ、激しい接近戦が3台の間で繰り返される。25ラップ目に博一選手は中速右コーナーでデ・アンジェリスから2番手を奪い返すと、ドヴィツィオーゾとの最後のバトルを開始。

■ドヴィツィオーゾと青山博一選手が最後の加速競争

最終ラップの最終コーナー、先頭でホームストレートに飛び込んだドヴィツィオーゾに博一選手のオレンジのマシンが並びかけ、コントロールラインに向けて猛烈な加速を開始。トップのドヴィツィオーゾの真横に並ぶ博一選手の背後にはデ・アンジェリスも迫る。

■優勝は、タイトル獲得の可能性をつないだドヴィツィオーゾ

最初にチェッカーを受けたのはヒューマンゲスト・ホンダのアンドレア・ドヴィツィオーゾだ。KTMの青山博一選手は100分の1秒差で2位チェッカーを受け、今期7回目となる表彰台を獲得した。3位はマステルMVAアスパルのアレックス・デ・アンジェリス
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4位にはレースの大半をリードしていたチーム・トースのロベルト・ロカテリが入り、ポイントリーダーであるフォルツナ・アプリリアのホルヘ・ロレンソは不本意な5位に終わった。ヒューマンゲスト・ホンダの高橋裕紀選手はロレンソに続く6番手、カンペテーラ・レーシングの関口太郎選手18位だった。

■ヘルメットを輝かせている場合ではないロレンソ

アンドレア・ドヴィツィオーゾは今回の優勝により、ランキングトップのロレンソとの差を、最終戦を前にして13ポイント差まで縮める事に成功した。仮に次回のバレンシア戦が、アンドレア・ドヴィツィオーゾが優勝してホルヘ・ロレンソが5位以下に終わるという、今回のポルトガルと同じ結果になった場合には、ドヴィツィオーゾの逆転タイトルが可能となる。

■各ライダーのコメント

以下に、レース後の各ライダーのコメントを紹介する。

優勝)アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA ヒューマンゲスト・ホンダ

写真どのレースもすごく大変ですが、今回はヘルメットのバイザーに問題が出てしまい特に厳しい状態でした。ウェット用に準備したものなのに、最後まで曇り続けていたんです。

だから最後に勝てるかどうかは本当にわかりませんでした。それにロカテリが最初からすごく飛ばしていて、なかなか捕らえる事ができませんでしたからね。

なんだか奇妙なレースでした。自分がかなり高いレベルに仕上がっているとは思っていましたが、あんなにいいリズムがつかめるとは思ってなかったんです。

今日は何としてでも勝ちたかったんです。それがタイトル争いを終わらせない唯一の方法でしたからね。最後の周回はファイナルラップかどうかあまり分かってなかったんですが、それでも激しく攻めました。

あとはバレンシアで戦って、どうなるかだけです。まだロレンソはレースを余裕で運べるポイント差を確保していますが、こっちに失うものはありません。彼は多分、今回感じたのと同じくらいのプレッシャーを最終戦でも感じる筈ですよ。

2位)青山博一 JPN レッドブル・KTM

写真今日は2位で大満足です。

スタートはうまくいきましたが、ブレーキをミスしてしまい、2ラップ目に突入した時には5位まで順位を下げています。

4位に順位を上げてからはまわりとのバトルになり、レースが後半に入ってからは、最終ラップで1位か2位になれるように、さらに激しく攻めました。

ドヴィツィオーゾから離されないように、ずっと2番手をキープする作戦でしたが、最終コーナーからメインストレートの入り口にかけて、彼に追いつける気がしてきたんです。でもドヴィツィオーゾに最終コーナーで先を越されてしまい、結局0.015秒差で優勝は逃しました。

写真本当にいいレースでしたし、自分たちのバイクもすごく高いレベルに仕上がってました。夏休みを過ぎてから、シーズン前半よりもさらにチームのレベルは高くなったと思います。マシンの調子が上がり、もともと高かったメカニックやみんなの闘志がこれまで以上にアップしました。

今からバレンシアの最終戦が楽しみですね。あそこはいつもうまく走れるサーキットなんです。

年間ランキングを3位で終える事が今の目標です。それがチームや協力してくれる全ての方々、ならびにスポンサーへの一番いい感謝の方法だと思います。

3位)アレックス・デ・アンジェリス RSM マステルMVA・アスパル

セッティングは100%の状態ではありませんでしたが、今日は雲が多く路面温度が低かったので、レース用のタイヤを変更する事にしたんです。それがうまくいきました。
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スタートがうまくいって、ずっと調子良く走れたので優勝も可能だと思いましたが、ミスをしてトップから大きく離されてしまいました。

今もランキング3位のポジションを守っています。バレンシアでは最高の成績を残してシーズンを終えたいですね。

5位)ホルヘ・ロレンソ SPA フォルツナ・アプリリア

レースの準備は万全だったのに、自分がリズムをつかめなくてこんな結果に終わりました。

あの路面コンディションでは速く走る事ができず、レースの終盤に少しだけ本来のペースを取り戻すのが精一杯でした。いい仕事をしてくれていたチームには申し訳ない気持ちでいっぱいです。
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いつも勝ちたいので、気持ち的に落ち込むのは当然ですが、目指すべきチャンピオンたるものの姿でいたいと思います。

アプリリアが全力を尽くしてバイクを良くしてくれるのは確実ですし、可能な限りの全ての方法で自分を助けてくれる筈です。

この状況でも自分は冷静だし自信もあります。バレンシアではやって見せるので、ファンの人たちは信頼していてください。

写真6位)高橋裕紀 JPN ヒューマンゲスト・ホンダ

スタートに失敗してしまい、何人かに抜かれましたが、思った程には順位を落としませんでした。

その後はいいリズムがつかめて、ロレンソを交わす事もできましたが、タイヤが滑り始めてしまい、ペースを落としました。残り3周のところで大きなミスをしてロレンソに交わされましたが、もう抜き返す事はできませんでした。

18位)関口太郎 JPN カンペテーラ・レーシング

今日はマシンの調子が良かったので、少なくとも1ポイントは取りたいと思って激しくプッシュしたんですが、スタートしてから2〜3周で前のグループから離されてしまいました。

しばらくしてからはリズムをつかみましたが、順位を挽回することはできませんでした。

DNF)青山周平 JPN レプソル・ホンダ

スタートはとてもうまくいきましたし、レース序盤もいいペースで走れましたが、その後でいくつか小さなミスをしてタイムをロスしてしまいました。
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順位は挽回出来たんですが、中盤になって第1コーナーに差し掛かる直前のストレートでエンジンが故障しました。コーナーの手前でブレーキをかけた時にリアタイヤが滑ると思ったら、エンジンがそこで止まったんです。

本当に残念です。


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