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バレンシアで最高の走りを誓うチェカ
インテリマーク編集部
2006年10月17日

昨日の10月16日にホンダLCRへの電撃移籍を発表したカルロス・チェカだが、思う事が多い決断だったに違いない。
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■ホンダ・ポンス・チームの消滅からTECH3入りまでの道のり

写真昨年暮れはドゥカティーからホンダ・ポンス・チームへの移籍が、当時250ccライダーだったケーシー・ストーナーと共に確定していたカルロス・チェカだが、マックス・ビアッジにまつわるスポンサー失踪の影響からホンダ・ポンスが突如消滅した事により、今年の1月中までシートが定まらず路頭に迷っていた。

チームメイトとなる筈だったケーシー・ストーナーが、彼の小排気量時代からの古巣であるルーチョ・チェッキネロのチーム、LCRからMotoGPに参戦する事が決定した直後、すぐにチェカはチェッキネロに電話してもう一台RC211Vを用意してもらうよう尋ねている。

■昨年はチェカを救う事ができなかったLCR

しかしながら、今期のホンダLCRの財政面が苦しい事からも分かる通り、チェッキネロに2台のマシンを1年間通して走らせる余裕はなかった。ちなみに現在のストーナーのメカニックは、SBKのアレックス・バロスのメカニックも兼務している。

■ポンスとチェカの苦悩に激しく同情していたポンシャラル

チェカの2006年のMotoGP継続が事実上不可能と噂された当時、ジェームス・エリソンしかライダーが決まっておらず、スポンサーも獲得できていなかったTECH3ヤマハ・チームのオーナーである人情派のエルベ・ポンシャラルは、「チェカのために何とかシートを用意したいが、メインスポンサーのない現在の状況ではでは何ともできない。」と述べ、ポンスチームとチェカが二次的な被害を被ったパドック内の政治的動向に対し、怒りに近いコメントを多く残していた。
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メディアがチェカのMotoGP残留を絶望的と報じても、チェカは決して2006年シーズンを諦める事無く就職活動を続けていた。当時チェカは「もう神に頼むしかない状態ですよ。今自分は不可能な事に挑戦しているんです。」と苦しい心境を語っている。

■チェカの救済活動とタイヤの問題

苦しむチェカを見て、かつてチェカと共に仕事をしていたヤマハ関係者とミシュランが動いたのはそれから間もなくの事だ。チェカを歓迎するポンシャラルのチームであるTECH3ヤマハに1台のM1が追加提供される事が決定し、ミシュランなどから金銭的サポートがある事も当時は噂された。

TECH3ヤマハへの移籍がほぼ確定したと思われた1月前半、チェカにとって大きな問題が発生する。当時、TECH3ヤマハはすでにダンロップタイヤとの2006年に向けての契約を完了しており、エリソンにはダンロップを履かせ、チェカにだけはミシュランを提供する事が契約上難しい事が判明したのだ。
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■ポンシャラルの下、ダンロップの開発を誓ったチェカ

契約の金額にも全くこだわらず、どんな状況でも受け入れる姿勢で行動を続けていたチェカも、ダンロップを履く事に関してだけは最後まで難色を示した。最終的には、ダンロップがMotoGPタイヤの開発プロジェクトをTECH3と共同で行い、ほぼメイン・スポンサーの立場でチームとチェカをバックアップする事で契約は合意に至り、今年の1月31日についにチェカはTECH3入りを表明し、現在に至る。

昨年のチェカの窮地を救ったTECH3とポンシャラルに対して、2006年度中はタイヤ開発プロジェクトを率いて十分な恩返しをしたカルロス・チェカは、昨日の発表の通り、来期はTECH3ヤマハとダンロップタイヤの開発を離れ、親友であるルーチョ・チェッキネロのチームであるホンダLCRから、ミシュランタイヤを履いて800ccクラスの初年度を戦う事が決定している。

■悲しむポンシャラルにLCRへの移籍を伝えたチェカ

10月15日の誕生日に特性ケーキをヤマハTECH3チームに用意してもらったチェカは、ポンシャラルの悲しい心情を知りながらも、LCRへの移籍を当日の夜に伝える決心をした。
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カルロス・チェカは、翌日の10月16日に自身の公式Webページにおいて、来期の抱負と、TECH3ヤマハチームへの感謝の言葉、および最終戦のバレンシアで最高の成績をTECH3にプレゼントするとのコメントを掲載している。以下に、チェカ本人の公式Webページからのコメントを引用する。

■カルロス・チェカ「バレンシアで最高のプレゼントを贈りたい」

LCRのチーム監督であるルーチョ・チェッキネロが、プレスリリースの中で私が2007年の体制に加わる事を表明しました。すなわち、来期はホンダの800ccマシンに乗ってミシュランタイヤを履くという事です。

苦労のまったく途切れなかったシーズンの後ですから、これは非常に重要な挑戦になるでしょう。新しいバイクとチームの両方に対し、やる気は十分です。

9年ぶりにホンダで戦うのがとても楽しみです。また、ルーチョ(チェッキネロ)は最高のプロというだけではなく、私と長いつきあいのある親友でもありますから、それが非常に嬉しいです。

この素晴らしい新プロジェクトについては今後も紹介していきたいと思いますが、今は今期のグランプリの最終戦となるバレンシアに集中したいと思います。自分の現在のチームのために、可能な限り最高の成績をもって今シーズンを終わらせたいですね。今年一年間、ヤマハTECH3の全てのメンバーは全力をつくしてきましたから、報われる時です。

この機会に、ヤマハとダンロップ、それにもちろんエルベ・ポンシャラルに、私を信じてくれた事と、この1年間の素晴らしい努力に感謝の言葉を贈らせてください。バレンシア・サーキットでは100%全力を出し切って戦う事が、彼らへの最高のプレゼントになると考えています。


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