初出場のイルモアがポイントを獲得 ２００６年１０月１６日 来期の最高峰クラスとなる800ccカテゴリへの参戦がほぼ確定しているイルモアは、かつての500ccクラスの優勝経験者であるオーストラリア人ライダーのギャリー・マッコイと共に、2005年のカワサキMotoGPマシンのデザイナーであるエスキル・シュターの設計した真っ白なイルモアの800ccマシンである「イルモアX3」で、ポルトガルでのMotoGP990ccクラスにワイルドカード出場を果たした。 ■初出場のレースで目標の完走とポイント獲得を達成 レースでのポイント獲得を目標に今回のポルトガルと次戦のバレンシアに挑むギャリー・マッコイのエストリルでのレースウイーク中の成績は、３回のフリー・プラクティスの総合順位と予選は共に最後尾の20位、レースでも完走したライダーの中では最後尾となったが、他の５人のライダーが転倒リタイアした事により、目標のポイント獲得を達成している。 実際のところ、あまり今回のイルモアにとって順位は重要ではないだろう。４輪のフォーミュラ・エンジンを中心に開発してきたイルモアが、今までに経験した事のない２輪の最高峰クラスにおいて、途中で電気系のトラブルにより２回のピットインはしたものの、初戦からレースを完走できた事は、イルモア陣営にとっては大きな自信につながった筈だ。 ■電気系のトラブルによる２回のピットイン レース中、最後尾からスタートしたギャリー・マッコイは安定したタイムを記録しながらペースを上げ、プラマック・ダンティーン・チームのホセ・ルイス・カルドソを交わし、その後も電気系のトラブルが発生する前までは、ゆっくりとTECH3ヤマハのジェームス・エリソンとの距離を縮めていた。 電気系のトラブルはホイール・スピード・センサーの故障であり、マッコイがレースに復帰した時にその装置は使用不能の状態だった。 イルモアは、ポルトガル・グランプリの翌日以降に行われるエストリルでの２日間のテストに参加し、次戦のバレンシアに向けてさらなるマシン性能の向上を狙う。 ■マッコイ「ポイントはイルモアへのプレゼント」 久しぶりのMotoGPクラスへの出場をエストリルで終えたギャリー・マッコイは、以下の通りコメントしている。 「今回はスタートがうまく行きました。自分のベストとまでは言いませんが、１コーナーに飛び込むまでには前のライダーたちの背後に追いつく事ができています。しばらくして、前日と同じチャタリングの症状が出ましたが、ペースを崩さずに安定した走行を試みました。」とマッコイ。 「そこからスピードを上げる事ができるようなり、バイクを調整しにピットレーンに入る前にはカルドソを交わしています。再びレースに復帰してからの目標は、完走する事と、イルモアへの大きなプレゼントとしてポイントを獲得する事になりました。」 「バレンシアに行く前に多くの仕事が残っていますが、次戦でどのくらい戦えるか楽しみにしています。」 ■マリオ・イリエン「正直言って、完走できた事が嬉しい」 イルモアのオーナーであるマリオ・イリエンは、初の経験となる２輪グランプリでの完走を喜び、以下の通り語った。 「正直申し上げて、何よりも完走できた事に満足しています。電気系のトラブルが発生した事は残念でしたが、ポイントが獲得できて本当に嬉しいです。」とイリエン。 「ギャリーは安定した走りをしてくれました。チームのメンバー全員に、このレースウイーク中の素晴らしい働きに祝福の言葉を贈りたいと思います。私たちの道のりはまだまだ長い状態ですが、常に学習を続けていきます。」 「バレンシアの前にテストの時間を取れますから、２週間後にはさらに調子を上げられる事に期待しています。」 ■エスキル・シュター「電気系トラブルは残念」 カワサキの2005年型Ninja ZX-RRのシャシー設計を担当していたエスキル・シュターは、ほぼ１年ぶりにMotoGPシーンに姿を現し、イルモアのマシンの初めてのレースでの完走を喜ぶと同時に、電気系トラブルの発生を残念とするコメントを残している。 「完走はいいことですが、レースは全く計画通りにはいきませんでした。」とシュター。 「今回の一番重要な事は、完走してポイントを獲得できた事です。電気系トラブルが発生した事は非常に残念ですが、翌日から始まる数日間のテストで頑張って、バレンシアまでに出来る事を探りたいと思います。」 「素晴らしい仕事をしてくれたチームのメンバーとギャリーの努力に、感謝の言葉を贈ります。」