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コニカミノルタ特集その2 ポルトガルGP直前インタビュー |
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2006年10月13日
本日から開催されるポルトガルGPを前にしたコニカミノルタ・ホンダチーム(JiR)から、前回の日本GPに引き続いて、チームの活動内容やメンバーの経歴、ならびに来期の800cc化やタイヤレギュレーションに関する話を伺った。
ここでは、玉田誠選手の語るエストリル・サーキットの特徴や印象を始めとし、それらの内容を順次紹介する。
■玉田選手とエストリル・サーキット
玉田誠選手にとってエストリルは好みのサーキットだ。2004年には予選でポールポジションを獲得し、決勝では2位表彰台を獲得している。
●エストリルの特徴を教えてください。
エストリルは好みのサーキットの1つですね。長いストレートとタイトなヘアピン、それに高速コーナーが組み合わさるという変化に富んだコースですし、あまり他に似たサーキットがないと思います。
ライダーとマシンにはかなり厳しいレイアウトですが、レースウイークを通していつも白熱しますし、決勝内容も面白くなる事が多いんです。
エストリルは大西洋岸の近くにあり砂浜に囲まれています。だから路面に砂が舞い上がってグリップに影響が出ますし、特に横風の強さは148kgの重量しかないバイクで最高速度に達する時は想像を絶しますよ。
●今までの経験から、エストリルにはどんな印象をお持ちですか。
エストリルに来ると、いい記憶と悪い記憶の両方を思い出します。
いい方の記憶は2004年シーズンですが、この時は土曜日にポールポジションを獲得して、レースでは2位表彰台に上がりました。最高のレースウイークでしたし、自分もスタッフのみんなもすごく興奮しましたね!
悪い方の記憶は、去年の予選序盤に転倒して骨折した時の事です。右手を骨折して3回のグランプリを欠場する事になりました。
■タイトル・スポンサーのコニカミノルタ社について
コニカミノルタ社のMotoGP界へのスポンサー進出は昨シーズンの大きなニュースだった。JiRの広報とマーケティング担当は、ハイテク企業の本格的なモーター・スポーツ参戦はこれが初めてだったと語る。
●コニカミノルタ社のモータースポーツ界への進出、特にJiRのサポートを行うきっかけは何だったんでしょうか。
ハイテク企業がモータースポーツへの本格的な進出をしたのはこれが初めてですが、彼らは企業ブランドを世界中に広める最高の舞台がMotoGPだと考えています。
多国籍企業であるコニカミノルタ社のMotoGP進出は、私たちJiRにとっても、他のライバルたちとの差別化を図る絶好のチャンスでした。
これにより、玉田誠選手はバイクメーカー以外のハイテク企業の支援を受けた初の日本人ライダーになりました。
■JiRの人員構成とメンバーの経歴
●JiRはまだ新しいチームですが、以前はどんなチームに所属していた方が多いですか。
チーム・マネージャー(モンティロン氏)とテクニカル・ディレクター(ベルナルデッレ氏)はどちらもアプリリア出身です。彼らはアプリリア時代に、同僚として10年間一緒に働いた間柄です。
チーム・コーディネーター(加藤紀彦氏)はF1チームで働いていました。
ほとんどのメカニックはMotoGP250ccクラスで仕事をしていましたが、2003年から玉田選手と一緒にMotoGPクラスでの活動を開始しています。
●現在のチームのメンバーは合計何人でしょうか。また、その中のイタリア人と日本人の割合を教えてください。
ライダーやホスピタリティーのスタッフを合わせて合計16人のメンバーがいます。日本人は4名で、残りは全てイタリア人です。
●国籍によって仕事が分かれるような事はありますか?
それは決してありません。
■レース以外の活動内容について
●JiRはモナコの本部とイタリアのレース部隊という二つの拠点から構成されていますが、モナコの本部には、いつも何人くらいのスタッフがいますか?
チーム・マネージャーは常にモナコにいますが、マーケティングと広報担当は会議や特別なイベントがある場合にそちらへ出かけます。
●JiR本部のビジネスである広報と社会プログラムについて、詳しく活動内容を教えてください。
チームの広報活動の主な目的は、パートナー企業とのB2BやB2Cの機会を増やす事です。その他には、チームの1部門であるJiRエンジニアリングが、サプライヤーの何社かから協力を得て、市販ロードバイクで使用する部品の研究、設計や製作を行っています。
社会プログラムについては、若い世代の方々に向けて、安全運転教習所と共に、公道での正しいバイクのライディング方法に関する講習を行っています。
■1年間に用意するパーツや費用について
チームのテクニカル・ディレクターであり、イタリア拠点の責任者でもあるジュリオ・ベルナルデッレ氏は、1年間にチームが使用するパーツの調達方法や消費量、および予め用意するスペア部品の量などについて以下の通り説明する。
●一年間に何セットくらいのシャシーやエンジンを使用するのですか?
チームがシャシーを変更するのはクラッシュの時か、新型のパーツが提供された時だけです。
MotoGPで使用するエンジンはライフサイクルが短いので、チームは1年間に最大5セットか6セットのエンジンをローテーションしています。
●クラッシュが発生する度に色々部品を交換しなければならないと思いますが、転倒が増えるとチームの出費も増えるのでしょうか。また、レースウイーク中に部品が足りなくなるようなケースはありますか?
シーズンの開始時に、どのチームも標準的な量のスペアパーツを供給されます。通常なら、4レースか5レースを戦うのに十分な量です。それ以降は、各チームが必要な追加パーツを購入する事になりますから、クラッシュが多いと大変な出費になります。
トップチームになると、レースウイーク中に必要とされる量よりもはるかに多い部品を常に持ち込んでいます。
■来期の800ccに関する計画や新タイヤレギュレーションについて
●日本GPの後のツインリンクもてぎでは、800ccマシンのテストがワークスチームにより行われましたが、ホンダからチームにはいつ頃800ccマシンが供給されるのでしょうか。JiRとして800ccのテストに関するスケジュールはありますか。
現段階では、800ccマシンのテストに関する具体的な計画はありません。ただ、最初のテストが11月になる事は間違いないでしょう。
●FIMは2007年シーズンに向けて新しいタイヤレギュレーションを発表しましたが、これにより来期はタイヤ選択が難しくなるとお考えでしょうか。一部のタイヤメーカーは今回の発表を歓迎しているようですが、チームの立場から見るとどうでしょう。タイヤに支払うコストなどは楽になると思いますか。
今回発表されたレギュレーションは、スリックタイヤの使用量をレースウイーク中に制限するというものです。タイヤメーカーは週末のフリー・プラクティスが始まる前に全てのタイヤを用意し、それ以降の追加は許されません。
従って、タイヤメーカーはこれまでよりも慎重にタイヤの準備を進めておく必要性が出てきますから、研究開発にはさらに莫大な投資が行われるでしょうね。
チームの立場から言えば、レースウイーク中のタイヤテストにかかる時間は減ると思います。
●JiRは2005年からタイヤ・サプライヤーを変更していますが、以前と比較してサスペンションやシャシーのセッティングに大きな違いはありましたか?
ミシュランタイヤに変更した事で、サスペンションのセッティング内容は大きく変わりました。ただ、シャシーに関してですが、ホンダのMotoGPマシンのシャシーはそれほどセッティング範囲が広くありません。
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