日本GP決勝　ヘイデン「明日テストがあって良かった・・・」 ２００６年９月２５日 初の年間タイトルを狙う現在のポイント・リーダーであるニッキー・ヘイデン擁するレプソル・ホンダ・チームは、ホンダ・ワークスのホーム・サーキットであるツインリンクもてぎで、レースウイークを通しての苦戦を強いられる事となった。 ■レプソル勢にとってつらい週末となった日本グランプリ フリー走行や予選で、タイトル獲得を背後から脅かすライバルたちからマシンの仕上がりに遅れを取り、週末を通してドゥカティーのカピロッシやキャメル・ヤマハのバレンティーノ・ロッシのペースを上回る事が出来なかったニッキー・ヘイデンは、多大なるプレッシャーを感じながらのレースに挑んだ。 ■スタートに失敗するニッキー シグナルが消えると同時に豪快に前に飛び出した１列目の３名のイタリアンとは対照的に、２列目７番グリッドのヘイデンのマシンはクラッチワークをミスしたかのようなつんのめる挙動を見せ、オープニングラップで９番手までポジションを落としている。 その後ヘイデンは順位を回復しようとセテ・ジベルナウ、中野選手、トニ・エリアス、および後に転倒して戦列を離れるケーシー・ストーナーの集団に加わり、エリアスを交わした後は中野選手を捕らえようと必死に追い上げたが、最終的にカワサキのマシンに追いつく事は出来ていない。 ■中野選手の転倒によりニッキーは５位フィニッシュ ヘイデンが６位で日本GPを終えると見えた最終ラップの90度コーナー、中野選手がセテ・ジベルナウをインから交わそうとした際に２台は軽い接触を起こし、中野選手がグラベルに転がってレースをリタイアした事から、最終的にニッキー・ヘイデンは前回のフィリップアイランドと全く同じ順位の５位で日本GPを終える事となった。 ■全く予断を許さない状況となった年間チャンピオン争い ランキング２位につけるキャメル・ヤマハのバレンティーノ・ロッシが今回のレースで２位表彰台を獲得した事から、トップのヘイデンとロッシの差は僅か12ポイントに縮まっている。 次戦のエストリルでヘイデンが調子を取り戻せない場合には、バレンシアまでにロッシがポイントリーダーに立つ可能性も少なくない状況と言える。 いずれにしろ、よほどのアクシデント（ロッシがノーポイントでヘイデンが３位以上など）がエストリルでない限り、２人のタイトル争いの決着が最終戦のバレンシアまでつかない事は、ほぼ間違いないだろう。 ■ペドロサはルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得 ヘイデンと同じ３列目となる９番グリッドからスタートしたダニ・ペドロサも、スタートがあまりうまく行かず、さらにオープニング・ラップの４コーナーで、ミスをしたトニ・エリアスとの衝突を避けるためにコースを外れて１３番手まで順位を後退させた。 最終的にペドロサは７位までポジションを挽回する事に成功しており、シーズン前から混戦になる事が予想されていた今年のルーキー・オブ・ザ・イヤーを、今回の日本GPで獲得している。 ■ヘイデン「明日もテストがあって良かった」 今回のスタートは自身のレース人生の中でも最悪の惨事だったとするヘイデンは、運良くオープニング・ラップで順位を挽回する事に成功したが、その際の混戦でクラッチ・レバーを曲げてしまっている。 ホンダの次期800ccマシンのテストも予定されている日本GP翌日の合同テストを利用してマシンの問題を解消できる事に、ヘイデンは期待を寄せている。 「また５位ですけど、これはもう明らかに嬉しい結果じゃないですよ。」とヘイデン。 「１ラップ目はすごくワイルドでしたが、幸い最初のいくつかのコーナーで順位を戻す事はできました。何を言ってるかっていうと、今回のスタートがちょっと悲惨だったって事です。自分のレース人生の中でも最悪の事態でしたね。」 「本当に１ラップ目がうまくいって良かったと思います。さもなきゃもっとひどい結果が待っていた筈ですから。それに１ラップ目は他のライダーと接触してクラッチ・レバーが上に曲がってしまい、事態をまずくしました。」 「集団から抜けだそうと頑張りましたが、かなり厳しかったですね。まわりはすごく速いし、本当にこのクラスは大変ですよ。最後の方でやっと中野とジベルナウにどんどん近づいていったと思ったら、今度は５コーナーでミスをしてしまい、ペースを崩したんです。」 「今日はバイク自体の調子は悪くなかったですよ。ミシュランもね。自分のリズムもそれほど悪かったわけじゃありませんし、去年の自分のペースよりはだいぶ速く走れました。でも、今日良かった点はそれくらいです。」 「まだここで数日テストができて良かったと思います。問題を解決しなくちゃいけませんからね。」 ■ペドロサ「ルーキー・オブ・ザ・イヤーが嬉しい」 オープニング・ラップの１コーナーでミスをしたトニ・エリアスを避けた事から運のないレース運びとなってしまったダニ・ペドロサは、レースでの自身のペース自体は悪くなかったものの、レースウイーク中にペースをつかむまでの時間が長すぎた事が、今回の全ての敗因だと分析している。 ７位という日本GPの結果には全く満足できないペドロサだが、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得できた事は嬉しいとコメントした。 「レースの序盤があまり良くありませんでした。」とペドロサ。 「最初の左コーナーでエリアスがミスをしたんですが、その時には真後ろにいたのでコースの外に出て彼を避ける以外に方法がありませんでした。」 「それが原因でみんなに抜かれてしまい、ほとんど最後尾近くまで下がりました。ここから情勢が難しくなり、他のライダーを抜いていく途中でもミスをしています。」 「先頭集団が後続を大きく引き離していましたが、どっちにしろ今日の自分のペースは彼らのように速くなかったんです。でも、可能な限りポジションは挽回しようと頑張ったので最後は７位で終わりましたが、年間ランキングを考えるとあんまりいい結果じゃありませんね。」 「自分のレースのペースはすごく良かったと思います。ただ、今回問題だったのは、レースウイークの早期の段階でこのペースにたどり着けなかった事です。」 「ルーキー・オブ・ザ・イヤーが獲得できて嬉しいです。125ccクラスでも250ccクラスでも取りましたから、MotoGPでも取れて良かったと思いました。」