オーストラリアGP決勝 ロッシ「３位でも感謝すべき」 ２００６年９月１８日 ポイントリーダーのレプソル勢からトップの座を奪い返したい最高峰クラス連続チャンピオン、キャメル・ヤマハのバレンティーノ・ロッシは、オーストラリアGPの波乱のレースの中でも、自分よりもランキングの上位につけるレプソル・ライダー２名を抑えて貴重な３位表彰台を獲得した。 ■ミシュランに恵みの雨 ドライ用のレースタイヤではブリヂストン勢から大きな溝を開けられていたミシュラン勢全体にとっては、今回の不安定な天候は恵みの雨になったのかもしれない。 バレンティーノ・ロッシは、ドライ路面となったオープニング・ラップでは１０番手を走行しており、ロッシと同じくミシュランタイヤを履くポイントリーダーのニッキー・ヘイデンはその時に１６番手を走行しているなど、後方グリッドからいきなり前方に飛び出したドゥカティーの２名や、先頭を快走するカワサキの中野選手と比較して、明らかにスリック・タイヤの仕上がりではブリヂストンタイヤが優勢に見えた。 しかしながら、雨が降り始める中で徐々にミシュラン勢も勢いを取り戻し、元々マシンのドライ用セッティングに自信を持つロッシは８ラップ目にピットインするまでには順位を３番手まで挽回し、同時に、今期のライバルのニッキー・ヘイデンもこの時までに９番手まで順位を上げていた。 ■ロッシは３位表彰台を獲得してランキング２位に浮上 ２位表彰台を獲得した地元のクリス・バーミューレンを除くブリヂストン勢が再び乾き始めた路面に苦しみ後退する中、レース序盤から好調だったミシュラン・タイヤを履くフォルツナ・ホンダのマルコ・メランドリが優勝を飾ると同時に、バレンティーノ・ロッシはチェッカー直前にセテ・ジベルナウを交わす事に成功し、５番手まで追い上げたニッキー・ヘイデンも抑えて今期８度目の表彰台を獲得している。 この結果により、現在のポイントリーダーはレプソルホンダのニッキー・ヘイデン(225pt)に変わりはないが、バレンティーノ・ロッシはランキング２位(204pt)に浮上する事となり、シーズン残り３レースの現段階で、ヘイデンとの差を21ポイントまで縮める事に成功した。 ■途絶えたエドワーズの最高峰クラス連続ポイント獲得記録 この一方で、予選で上機嫌だったロッシのチームメイトのコーリン・エドワーズには、厳しい現実が待っていた。 連続ポイント獲得回数を、ミック・ドゥーハンに次ぐ歴代２位につけていたエドワーズだが、ドゥーハンの３７回の記録更新を目前にした今回のオーストラリアGPで６番手を走行中の８ラップ目に転倒し、無念のノー・ポイントでフィリップ・アイランドでのレースを終えている。 エドワーズの記録は歴代２位の３４回で途絶えた。 ■ロッシ「ニッキーとの差は小さくないが不可能ではない」 元々ドライ用セッティングには自信があったとするバレンティーノ・ロッシは、多くのブリヂストン勢と同様に、今回の悪天候を不運に思っているようだ。 「３位は少し残念ですが、ドライだったらすごくいいセッティングだったので、もっといい結果が期待できたと思います。」とロッシ。 「いずれにしても、天気についてはどうする事もできませんし、ニッキーとの差を詰める事はできましたから、この状況下で３位が取れた事には感謝するべきでしょうね。」 「バイクを交換した時には少し順位を落としています。理由は基本的にウェットタイヤの感触があまり良くなかったからですが、正直に言えばこれは自分自身のミスでした。一度リズムがつかめてからはM1の調子は格段に良くなり、もっと激しく攻められるようになりましたからね。」 「レースの後半については本当に満足しています。セテとの差は最初７秒開いていましたが、必ず抜くと自分に言い聞かせていました。ミシュランタイヤもバイクも最後までしっかり機能してくれたと思います。前方の赤い点がだんだん大きくなり、最終コーナーで彼を本当に交わす事ができて最高でした。」 「ここでの６回目の勝利をあげたかったのは事実ですが、少なくとも表彰台は獲得できたので、ここの素晴らしい全てのファンにお礼はできたと思います。」 「ポイント差は現段階において21になりました。決して小さくはありませんが、不可能でもありません。」 ■何でもいいからあたりたいエドワーズ オーストラリアGP２日目には最高に上機嫌だったエドワーズだが、今回の転倒にはひどく落ち込んだようだ。ジョークではあるが、白旗ルールとテレビの生放送にエドワーズは八つ当たりしている。 「スタートは納得のいくレベルでしたし、調子も悪くありませんでした。ただ、今回みたいな白旗ルールのレースは危険だと思いますよ。」とエドワーズ。 「自分を含めほとんどの連中が、誰かが転ぶまでは走り続けようと思うでしょうし・・・ていうか、それで転んだのが自分だったんですけどね。」 「実際はピットに入ろうと思ってましたし、ホーム・ストレートでは足を出してピットインのサインをスタッフに送ってましたから、前の周回のような激しい攻めの走りはあの時にしていなかったんです。」 「リアが暴れ、逆さまになって自分が吹っ飛んだ時は、ブレーキを離してスロットルを戻し、２コーナーに飛び込むところでした。背中を激しくぶつけたので今はそれが痛いんです。」 「週末にバイクをうまく仕上げたところだったので、今回はひどい落ち込みようですよ。ドライのままだったら最高の結果も得られた筈です。運がないと思うのは、レースの開始時刻が通常より１時間遅く設定されると、必ず天候の崩れがレースと重なる事です。」 「テレビの生放送が大事だからでしょ！」