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オーストラリアGP決勝 絶好調の中野選手に皮肉な雨 |
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2006年9月17日
MotoGPのレギュレーションは、以前はドライ・セッションのレース中に雨が降ればレースを中断して改めてウェット・セッション宣言がなされ、中断時の走行順に各ライダーがレインタイヤ等に履き替えてライダーがグリッドに並び直し、2ヒート目のレースを行うというルールだった。
■初めて実際に適用された新レギュレーション
しかしながら2005年より施行された新レギュレーションでは、レースの途中に路面状況が大きく変化した場合には白旗(ホワイト・フラッグ)がオフィシャルの判断により振られ、レースを中断する事なくウェット・レースに切り替わり、それを見た各チームや各ライダーの独自の判断によりそれぞれがピットインし、路面状況に適したタイヤやセッティングを施したスペア・マシンでピットアウト、レースを継続するというルールに変更されている。
この際、ライダーやチームがピットインなしで走りきれると判断した場合には、そのまま走り続ける事も可能だ。
このルールの施行以来、一度もこの新レギュレーションが適用されるような天候条件はなかった。今年5月21日のル・マンにおける実質ドライ路面でのウェット宣言レースの時に、レース中にピットインしてタイヤを交換できるように各チームがカットスリックなどを履いたスペア・バイクを用意して待機したケースは1度だけあるが、この時にはどのチームもレース開始時のマシンのまま最後まで走り続けている。
■カワサキに皮肉の雨
カワサキ・レーシング・チームは皮肉にも、エース・ライダーの中野真矢選手が2番グリッドからスタートして会心のホールショットを奪い、余裕で後続を引き離しながらの単独勝利を予感させたオーストラリアGPのレース開始から10分後に、この新レギュレーションを各チームが実際に利用する場面に遭遇してしまった。
■250cc時代の無敵の走りを彷彿とさせる中野選手の序盤の走り
MotoGPクラスにおける9月17日のオーストラリアGPは波乱のレース展開となった。空に暗雲が立ちこめたレース開始直前のウォームアップ中に雨がぱらつき、この影響からレース開始は予定より10分遅れている。
路面はすぐに完全ドライ状態に回復してレースは無事に始まり、ブリヂストンのレースタイヤを履いたカワサキの中野真矢選手は激しく加速しながら後続を引き離し、オープニング・ラップの1コーナーにトップで飛び込んだ。
■トップを快走する中野選手と白旗
中野選手は後続を見る間に引き離し、7ラップ目までに2位を走るドゥカティーのセテ・ジベルナウを約5秒後方に追いやったが、完全レインに切り替わりつつあるフィリップ・アイランドのレース中にオフィシャルは白旗を提示しており、中野選手を除く残りのライダーは次々とピットインを始めている。
ほとんどのライダーがピットインをすませてスペア・マシンへの乗り換えを済ませた9ラップ目に中野選手はようやくピットに戻り、フルウェット・タイヤを装着したNinja ZX-RRのスペア・マシンに乗り換えてコースに復帰したが、この時に中野選手はトップを走行するセテ・ジベルナウの背後につけ2位に後退した。
■ウェットタイヤを使い果たし、残念な8位
それ以後、中野選手はフル・ウェットタイヤの感触を試している間に6位まで後退し、再び路面が乾いた時に激しく攻め続けた中野選手はタイヤを使い果たす事となり、その影響からニッキー・ヘイデンとロリス・カピロッシにも交わされ、最終的に8位で波乱のレースを終えている。
また、中野選手のカワサキのチームメイトであるランディー・ド・ピュニエは、スペアマシンへの乗り換え後に玉田誠選手との熾烈な10位争いを行い、最後には11位でコントロールラインを抜けた。
(全ライダーの順位表はこちら)
■中野選手「最高の状態で雨が・・・」
「多分、今回のスタートが自分のMotoGP経歴の中で最高のできだった事は間違いないでしょうね!」と中野選手。
「スタートから少し雨がぱらつきましたが、グリップは全く衰えなかったので可能な限り激しくプッシュして走りました。オープニングラップで後続を2秒引き離したのを見た時には信じられませんでしたね。2ラップ目には3秒以上の差が広がりましたし。」
「そんな時に雨が降り始めたんです。」
「ピットインはせずにそのまま走り続けていましたが、ペースを維持する事が難しくなったので次の周回でピットインしてバイクを交換しました。それからフルウェット・タイヤのグリップの感触を確かめようとしている間に先頭集団に抜かれたんです。」
「少し路面が乾き始めたので、タイヤをフルに使って先頭集団を追いかけましたが、そのせいで再び雨が降り始めた時に追いつけなくなりました。」
「終盤はバイクが暴れまくりましたが、それでもまだロリスは交わせると思ってました。でも、彼の背後に迫った時には追い抜きのリスクは高すぎると判断せざるを得ませんでした。」
「8位という結果は今日期待していた結果ではありませんから少し残念ですが、今は来週の日本GPに集中したいと思います。重要な自分のホームレースですからね。」
■ランディー・ド・ピュニエ「水滴で前が見えない」
「スタートはあまりうまくいきませんでしたが、雨が降り始めてスリックタイヤでは路面が滑りすぎる状況の頃には順位を挽回しかけていました。」とド・ピュニエ。
「ウェットタイヤに交換した時にはバイクの感触があまり良くなくて、おまけにバイザーが前のバイクの水しぶきで汚れて前が見えにくくなりました。」
「今週はレース・セッティングでフリー走行も予選も速く走れていただけに、高い結果を期待していましたから残念です。路面が再び乾き始めた時にはリアがやたらホイールスピンしてしまい、安定したラップタイムで走る事ができなくなりました。」
「玉田を抑えてトップ10入りができると思っていましたが、それはだめでしたね。」
「今できるのは一週間後の次のもてぎに期待する事だけです。」
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