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2006年9月3日
8月28日(月)、ブリティッシュ・スーパーバイク選手権(BSB)の第11ラウンドが、イギリスのキャドウェル・パークで行われた。
■タイヤ選択が命運を分ける難しい気象条件
この日のキャドウェル・パークは非常に不安定な天候となり、レース1の開始直前には雷雨が路面を濡らし、レース2開始前にもぐずついた天候により路面が湿った状態になるなど、タイヤ選択が勝敗の鍵を握る難しいコンディションとなっている。
■最終戦まで持ち越されそうな上位3名のタイトル争い
今回の2レースを含む残り6戦における年間ランキングは、前々回のオールトン・パークでのダブルウインに続き、前回のクロフト・サーキットのレースでも優勝して3連勝を決めたHMプラント・ホンダの清成龍一選手(310pt)が第1位。
また、前回のクロフト・サーキットで今期初の優勝を果たしたドゥカティーのレオン・ハスラム(307pt)が清成選手と3ポイント差の第2位につけており、タイトル争いは緊迫した接近戦となっている。
なお、シーズン序盤をリードしていたハスラムのチームメイトであるグレゴリオ・ラビラ(292pt)は現在ランキング3位であり、2006年BSBのチャンピオン争い終盤は、この上位3名によって最終戦まで争われる可能性が高い。
■スターティング・グリッド
1列目ポールポジションは、前回の優勝から調子に乗るドゥカティーのレオン・ハスラム、2番グリッドには同じくドゥカティーのグレゴリオ・ラビラ、3番グリッドにはリズラ・スズキのシェーン・バーン、4番グリッドにはバージン・モバイル・ヤマハのトミー・ヒルがつけた。
2列目5番グリッドはHMプラント・ホンダのカール・ハリス、6番グリッドにはレッドブル・ホンダのジョナサン・レア、7番グリッドにはHMプラント・ホンダの清成龍一選手、8番グリッドにはストバルト・モータースポーツのマイケル・ルターが並ぶ。
■雷雨通過後にレース1がスタート
レース1開始直前には雷雨が通過して路面がウェット状態となり、各ライダーは難しいタイヤ選択の場面に直面している。この中で、路面が乾くと踏んだドゥカティーのハスラムとラビラはカット・スリックを選択し、清成選手とカール・ハリスのHMプラント・ホンダ勢は雨が続くと判断し、フル・ウェットタイヤを装着した。
■序盤のウェット路面で優位に立つHMプラント勢
レース1のオープニング・ラップを制したのはHMプランド・ホンダのカール・ハリス。その背後にはバージン・モバイル・ヤマハのトミー・ヒルと3列目10番グリッドから順位を上げたストバルト・モーター・スポーツのマイケル・ラバティーがつけ、HMプラント・ホンダの清成選手はその後ろとなる4番手を走行。
清成選手は2ラップ目にフル・ウェット・タイヤの優位性を活かし、前の3人を交わしてトップに立った。カット・スリックを選択したドゥカティーのレオン・ハスラムとグレゴリオ・ラビラは6番手と8番手につけ、その間の7番手にはリズラ・スズキのシェーン・バーンがつけている。
3ラップ目にはトップを走る清成選手のチームメイトのカール・ハリスが2番手につけ、先頭の3台は清成選手、ハリス、トミー・ヒルの順となった。
このHMプラント・ホンダのワンツー・リード体制は7ラップ目まで続き、清成選手は2位のハリスとの差を7秒まで広げている。
■路面が乾き始め、ドゥカティーの2台が猛チャージを開始
8ラップ目に入ると路面は乾き始め、後方からの猛チャージを開始したドゥカティーのハスラムは2番手まで順位を上げた。先頭の清成選手の7秒後方に2番手にレオン・ハスラム、その2.3秒後方に3番手にジョナサン・レア、4番手にカール・ハリス、5番手にトミー・ヒル、6番手にグレゴリオ・ラビラが続く。7番手のシェーン・バーンはペースが上がらず、ラビラの2.5秒後ろまで後退。
清成選手はタイムを伸ばせなくなり、残り5周となる13ラップ目にはレオン・ハスラムが清成選手を交わしてトップに躍り出た。すぐに清成選手はグレゴリオ・ラビラにも背後につけられ、そのまま交わされて3位に後退。
14ラップ目にはドゥカティーの2台が先頭を争い、ラビラはハスラムを交わして先頭に立つと、2番手のハスラムとの差を広げながらシーズン序盤に見せたような快走を始める。3番手の清成選手は2番手のハスラムから4.6秒後方まで後退。
■ラビラが8レースぶりの優勝、ポイントリーダーはハスラムに
最終ラップの18周目まで上位3名の順位は変わらず、先頭でチェッカーを受けたのはドゥカティーのグレゴリオ・ラビラ。ラビラの優勝は第6戦のマロリー・パーク以来の事だ。
ラビラから5.3秒遅れでコントロールラインを越えたドゥカティーのレオン・ハスラムは2位表彰台を獲得。さらにハスラムから15秒遅れてチェッカーを受けたHMプラント・ホンダの清成選手は3位でレース1を終えた。
レース1終了時点のポイントランキングは、レオン・ハスラムが清成選手を1ポイント上回ってトップとなり、清成選手はランキング2位に後退している。
■レース2開始時も不安定な路面
レース2ではドライ・セッション宣言がなされたが、空模様は不安定のまま路面は実際には湿っており、ここでもライダーは難しいタイヤ選択を迫られている。ドゥカティーの2名はレース1と同様に路面が乾く方に賭け、スリックタイヤを選択したようだ。
■シェーン・バーンが序盤をリード
レース2でホールショットを奪ったのはリズラ・スズキのシェーン・バーン。バーンはトップに踊り出ると、そのままオープニング・ラップをリードした。バーンの背後にはレース1を優勝で飾ったドゥカティーのレオン・ハスラムと、そのチームメイトのレオン・ハスラムが迫る。
ハスラムの後ろをレッドブル・ホンダのジョナサン・レア、バージン・モバイル・ヤマハのトミー・ヒル、HMプランド・ホンダのカール・ハリスが追う。
■清成選手はオープニング・ラップで転倒
ランキング2位となった清成選手はオープニング・ラップのシケインで転倒し、そのまま走行は再開したものの、走行再開後にマシンのダメージが深刻と分かりレース継続を断念している。
3ラップ目にラビラがバーンを交わしてトップに立つと、その後ろではバーンとハスラムが熾烈な2位争いを開始。
■シェーン・バーンが転倒、ハスラムはラビラを交わしトップに
8ラップ目、ハスラムを抑えて2番手を走行していたシェーン・バーンがコーナーで滑り転倒。特にシェーン・バーンに怪我はなかったがレースはリタイアした。この結果、順位は先頭からグレゴリオ・ラビラ、2番手にレオン・ハスラム、その1秒後方に3番手のカール・ハリス、さらにその4秒後方には4番手のジョナサン・レアが続く。
2番手となったハスラムはレース1と同様の猛チャージを開始。9ラップ目は先頭のラビラを狙い続け、10ラップ目終盤のコーナーでラビラのインをすり抜けてついにトップに立った。
ここでトップ集団は先頭のハスラム、2番手のラビラ、3番手のハリスの3台体制となり、3番手のカール・ハリスはペースを上げながら2番手のラビラへの追撃を開始。
■ラビラとハリスの激しい2位争い
16ラップ目、ラビラがコースを少し外れて草に乗り上げ、その横をカール・ハリスが通り抜けて2番手に浮上したが、その直後にハリスはシケインで縁石と接触するミスを犯し、順位を5番手まで落としてしまう。これにより、再びグレゴリオ・ラビラが2番手となり、その13秒後方のジョナサン・レアは3番手に浮上した。
■ハスラムが今期2度目の優勝、清成選手はランキング3位に
18周目の最終ラップ、今期2度目の優勝を決めたのはドゥカティーのレオン・ハスラム。グレゴリオ・ラビラはチームメイトから5.8秒遅れでチェッカーを受け、2位表彰台を獲得した。3位はレッドブル・ホンダのジョナサン・レア。
レース2終了時点のポイントランキングは、トップがドゥカティーのレオン・ハスラム(352pt)、ランキング2位には同じくドゥカティーのグレゴリオ・ラビラ(337pt)が浮上し、清成選手(326pt)はトップのハスラムから26ポイント差のランキング3位に後退した。
■落胆する清成選手
清成選手は、レース2終了後に以下の通りコメントしている。
「レース1はタイヤ選択次第でした。必ずが雨が降ると思っていたのに結局降らなかったんです。失敗でした。」と清成選手。
「転倒してポイントリーダーの座を奪われた事には正直がっかりです。あの区間はすごく滑りやすくなっていて、自分を置き去りにしてバイクだけが飛んでいきました。ここではバイクの調子がすごく良かっただけに、本当に残念でなりません。」
■BSB第11ラウンド結果
以下にBSB第11ラウンド、キャドウェルパークの10位までの結果を示す。
−BSB第11戦キャドウェルパーク レース1−
1, Gregorio Lavilla (Ducati) 28m03.401s
2, Leon Haslam (Ducati) +5.307s
3, 清成龍一 (HM Plant Honda) +20.611s
4, Shane Byrne (Suzuki) +30.238s
5, Tommy Hill (Yamaha) +35.712s
6, Glen Richards (Honda) +35.823s
7, Craig Coxhell (Kawasaki) +45.755s
8, Dean Thomas (Kawasaki) +48.406s
9, Jon Kirkham (Kawasaki) +48.446s
10, Karl Harris (HM Plant Honda) +49.815s
−BSB第11戦キャドウェルパーク レース2−
1, Leon Haslam (Ducati) 26m34.675s
2, Gregorio Lavilla (Ducati) +5.859s
3, Jonathan Rea (Honda) +19.928s
4, Tommy Hill (Yamaha) +23.784s
5, Karl Harris (HM Plant Honda) +24.399s
6, Steve Plater (Suzuki) +29.053s
7, Michael Laverty (Honda) +29.668s
8, Ben Wilson (Suzuki) +39.079s
9, Glen Richards (Honda) +40.892s
10, Billy McConnell (Yamaha) +41.569s
DNF 清成龍一 (HM Plant Honda) +20.611s
−ポイント・ランキング−
1, Leon Haslam (Ducati) 352pts
2, Gregorio Lavilla (Ducati) 337pts
3, 清成龍一 (HM Plant Honda) 326pts
4, Shane Byrne (Suzuki) 211pts
5, Karl Harris (HM Plant Honda) 192pts
=, Jonathan Rea (Honda) 192pts
7, Michael Laverty (Honda) 152pts
8, Tommy Hill (Yamaha) 151pts
9, Michael Rutter (Honda) 138pts
10, Glen Richards (Honda) 104pts
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