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SBKブランズハッチ第1予選 芳賀選手は3番手タイム |
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2006年8月5日
8月4日(金)、イギリスのブランズハッチでSBK第8ラウンドの第1予選が行われた。5月の同じくイギリスのシルバーストーン戦とは異なり、この日は終日晴天に恵まれ、午前のフリー走行と午後の予選はともにドライ路面での走行となった。
午後の予選時の気温は20度、路面温度は25度、湿度は55%
この日の第1予選は初日からハイペースの戦いとなり、ブランズハッチのベストレコード(2003年にシェーン・バーンが記録した1分26秒248)に迫るタイムが記録されている。
■今回アルスター・スズキから参加しているライダーは2名
前回のブルノまでアルスター・スズキに所属していたフランス人ライダーであるファビアン・フォーレの突然の解雇発表を受けて、7月27日にペデルチーニチームから解雇されたばかりのドイツ人ライダーであるマックス・ノイキルヒナーがアルスター・スズキの新ライダーとして次回のアッセンから出場する事が決定している。従って、今回のブランズハッチに出場するアルスター・スズキのライダーはトロイ・コーサーと加賀山就臣選手の2名だけだ。
■ノイキルヒナーがイルモアのMotoGPテストライダーを務める
また、イタリアのロードレースサイトであるracingworld.itによれば、ノイキルヒナーのアルスター・スズキ入りが決定したその日、彼は母国のザクセンリンクでイルモアのMotoGP800ccプロトタイプをテストで走らせていたようだ。
同記事によれば、イルモアはイギリスのシルバーストーン・サーキットにおいてMotoGPプロトタイプのテストをエスキル・シューターと既に済ませており、7月末のザクセンリンクでのテストは地元ライダーのマックス・ノイキルヒナーをテストライダーとして採用したようだ。
■噂話)ノイキルヒナーがMotoGPスポット参戦を予定?
racingworld.itは、10月15日に開催されるMotoGPのポルトガルGPにイルモアがスポット参戦し、そのライダーにマックス・ノイキルヒナーが選ばれる可能性があると報じているが、現在のところ情報の信憑性については不明な点が多い。
■カーチス・ロバーツは書類手続きの不備により午前は走行できず
尚、マックス・ノイキルヒナーのペデルチーニの後任として迎えられたカーチス・ロバーツだが、ペデルチーニの発表によれば「まずはブランズハッチでテスト」という表現がとられており、どうやらカーチスは今回のブランズハッチでの成績が良ければ後任ライダーとしての地位を獲得できるようだ。カーチスは今回、正式な後任としてではなく「ノイキルヒナーの代役」としての立場で走るという。
またcrash.netの8月4日の記事によれば、カーチスはAMAとの契約に関する書類手続きに落ち度があり、この日の午前中はフリー走行に参加する事ができなかったが、その後AMAから手続き完了のFAXがブランズハッチに届き、午後の第1予選からようやく走行が可能となったようだ。ちなみにこの日のカーチスの予選順位は27人中の27位だ。
■中冨選手は初めてのブランズハッチに苦戦
先週の鈴鹿8耐の金曜日に転倒して胸を強打し、日曜日の8耐決勝もあまり走行できなかった中冨伸一選手は、特にその時の怪我の影響は今回報告されていないが、ブランズハッチ初日のこの日は慣れないサーキットに苦戦したようだ。
中冨選手はこの日午前中のフリー走行で転倒し、午後の予選もセッション開始15分後に大クラッシュを喫している。幸い本人に怪我はなかったがマシンは大破し、予選中は9周しか走行する事ができなかった。中冨選手の第1予選の順位はカーチス・ロバーツの1つ手前の26位。
中冨選手は、転倒は避けられなかったと以下の通りコメントしている。
「ここは初めてのサーキットなので、転倒を避けるのはちょっと難しかったです。」と中冨選手。
「クラッシュした時に身体は大丈夫でしたが、バイクはひどいダメージを受けてしまいました。
明日の準備はもう大丈夫ですので、もう少し何か改善策を見つけます。」
■上位ライダーと日本人ライダーの状況とコメント
以下に、第1予選終了後の各ライダーの状況とコメントを示す。
暫定ポール)トロイ・ベイリス 1分26秒272
この日の暫定ポールはポイントリーダーであるドゥカティーのトロイ・ベイリス。ここ数戦は熱波の中での戦いを過ごしてきたベイリスは、初日のブランズハッチの涼しい気候に喜んでいる。
「ブランズハッチに戻ってこれたのは嬉しいですね。気候も涼しいし、ここ数戦と比べたら本当にいい日でした。」とベイリス。
「1分27秒台が多く出ましたし、調子はすごくいいです。ブランズ(ハッチ)は奇妙なサーキットで、ここで走ると必ずへこみ部分や上り坂でブレーキング中のサスが底まで沈み込んでしまいますから、セッティングをいくらか変えなければいけません。でも正直面白いサーキットですから、ここを走りまわるのは好きですけどね。」
「特に特別な事はしませんが、明日のセッティング改善に向けていくつか案がありますし、タイヤのテストももう少し続けます。ただ、レースタイヤよりも大幅にタイムが改善できるって事はなさそうです。」
2番手タイム)トロイ・コーサー 1分26秒494
過去数戦はリタイアの続く厳しい戦いとなり、ベイリスとの年間ポイント争いは4位まで後退してしまったアルスター・スズキのトロイ・コーサーだが、ブランズハッチでは初日から安定した高速走行を見せている。
前回のブルノで使用したマシンセッティングを少し変更しただけでブランズハッチに適した調整ができたとコーサーは語る。
「今日はすごくいい日でしたね。バイクは最初から調子良く感じました。」とコーサー。
「最初は去年のブランズ用セッティングから作業を開始したんですが、ブルノのセッティングを試してみたらさらにいい感じでバイクがとても乗りやすくなりました。」
「全然プッシュしていないのにタイムがすぐに良くなりましたから、明日はもっと期待できますね。明日はギアの細かなセッティングさえ調整すれば、スーパーポールでトップ4に入るには十分だと思います。」
「ブランズでは1列目に並んでいいスタートをする事が重要なんです。さもないと前のライダーにひっかかって先頭集団から簡単に引き離されます。だから明日は1列目確保が目標ですが、できたらポールがいいね!」
3番手タイム)芳賀紀行 1分26秒563
鈴鹿8耐では自分のスティントの前にチームがリタイアする事となり、決勝レースを走行する事さえできずに悔しい思いをしたヤマハ・イタリアの芳賀紀行選手は、自分の好みのサーキットとするブランズハッチでは初日から飛ばし、2人のトロイに続く3番手タイムを記録した。
芳賀選手はこの日、日曜日のレースに向けてのセッティング探しに集中している。
「いつもと同じように今日もレースセッティングから作業を開始しています。たくさんの周回を走る事ができたので、消耗したタイヤでバイクがどういう挙動を見せるか今日は理解できました。」と芳賀選手。
「最初のセッションからバイクの調子はとてもいいです。レースシミュレーションも2回できました。」
「明日はいくつか小さな事を試しますが、これがレースに向けて少しでもいい方向につながるといいですね。」
4番手タイム)アンドリュー・ピット 1分26秒702
芳賀選手のチームメイトであるヤマハ・イタリアのチームメイトのアンドリュー・ピットは、初日はブランズハッチの特徴であるデコボコ路面と、攻めの走りに適したセッティングを探したようだ。
2日目以降もセッティングの調整を続けたいとピットはコメントする。
「今日はトラブルのない日でした。」とピット。
「バイクは今でもすごく調子がいいです。でもまだいくつかの改善案を明日も試すつもりです。若干フロントまわりに小さな問題はあり、少しコーナーの進入で大回りする傾向が今日はありましたが、これはすぐに解決できます。」
「今はバイクを路面のがたつきに合わせてもう少し乗りやすくする事と、今回タイムを落としていた第3区間でもっと速く走る事が目標です。」
「今日はほとんどタイヤのテストで終わりましたが、まだレースに向けてどれを使うかを決めなければいけません。あまり際だった選択肢が今のところ見つかっていないんです。」
5番手タイム)カール・マガリッジ 1分26秒741
テン・ケイト・ホンダのカール・マガリッジにとって、ブランズハッチはWSS時代に2回の優勝を遂げている相性の良いサーキットだ。
初日からハイペースで飛ばしたマガリッジは、マシンに少しトラブルはあったものの、今期最高のレースウイーク初日だったと述べている。
「今日は1日を通してすごくいい初日になりました。」とマガリッジ。
「バイクの調子は良くなりましたが、少し振動があるので、もう少しコーナーへの進入とブレーキングを改善できるようにする必要があります。コースは去年よりもデコボコが多くなりましたね。」
「多分、今回が今シーズンの中で一番いいレースウイーク初日になったと思います。」
6番手タイム)クリス・ウォーカー 1分26秒844
カワサキのクリス・ウォーカーは、この日はフロントフォークのセッティングに終日集中し、結果にも満足している。
2日目以降はさらにタイムに期待が持てるとウォーカーは語る。
「今日は2台のバイクのうち、どっちを使うべきか悩みました。ミサノのテストの時に試した異なるセッティングをそれぞれにしていたんですが、おかげでどっちがここに適しているか調べる事はできました。」
「フロントフォークに関しては全く新しいセッティングを施しましたが、明日は2台目も同じセッティングにする予定です。」
「明日はもっと安定したタイムを刻んで、さらにいい日になるでしょうね。あとはブレーキの問題だけですから今日の状態には満足できます。コーナ出口でウイリーする傾向があるので、それを改善できればもっと速いコーナリングができるようになる筈です。」
7番手タイム)ルーベン・チャウス 1分26秒955
現在ランキング12位につけるステルリガルダ・ベリック・ドゥカティーのルーベン・チャウスは、本人が良く知るブランズハッチのコースレイアウトを高い技術で走り、初日の7番手タイムを記録した。
8番手タイム)トミー・ヒル 1分26秒987
5月のシルバーストーン戦にスポット参戦し、土砂降りのスーパーポールでポールポジションを獲得したBSBライダーであるバージン・モバイル・ヤマハのトミー・ヒルが、今回のブランズハッチ戦にもスポット参戦を果たしている。
現在BSBでランキング8位につけるトミー・ヒルは、今回の成績で前回のポールポジションがフロックではなかった事を証明したいところだが、自分のマシンがヤマハ・イタリアのマシンと比較してパワーが不足していると感じているようだ。
「ここには自分たちが最良と思えるパッケージを持ち込みましたので、今日の結果には満足しています。」とヒル。
「ちょっとパワーが不足気味(ヤマハ・イタリアのマシンと比較して)ですが、まだコーナーでタイムが上げられるようになる筈です。」
「BSBでも使用中の開発段階にあるピレリタイヤを使っているので、もう少しバイクをそのタイヤに合わせて調整する必要がありそうです。」
「SBKのライダーたちと走れるのは本当に貴重な経験です。明日はもう少しいいセッティングも見つかると思いますよ。」
9番手タイム)加賀山就臣 1分27秒165
前回のブルノではSBK参戦後初となるダブルウインを飾り、前半戦の不調を見事に追い払ったアルスター・スズキの加賀山就臣選手は、この日はマシンのセッティングに集中したようだ。
初日のタイムにはあまり納得できないが、マシンのセッティングには良い方向性がつかめていると加賀山選手は語る。
「今日のラップタイムはあまり十分とは言えませんが、バイクのレースに向けてセッティングはいい感触ですよ!」と加賀山選手。
「今日は大きな問題を抱えていて、あまり作業は進みませんでした。明日は今日とは違うサスペンションのセッティングを試してみるつもりですが、ベースセッティングは既に悪くないのであまり劇的な変更を加える気はありません。」
「ここでは1列目スタートを狙います。そうしないと表彰台は難しいサーキットなんですよ。明日は1列目が狙える範囲で安定した走行を心がけたいと思います。」
「ブランズハッチではまだ一度も勝った事がないので、今回はそれを達成するのにいい機会になりそうです。」
10番手タイム)ロレンツォ・ランチ 1分27秒285
前回のブルノではタイヤトラブルに悩まされ、レース後は「ここでのレースの事はもう忘れた方がいい」と述べていたドゥカティーのロレンツォ・ランチだが、ブランズハッチの初日の結果には好感触を示している。
「ここでは色々な事が良くなりました。ここはレースカレンダーの中で自分にとっては一番難しいサーキットなんですが、その割には初日からいいスタートが切れました。まだ改善点は多く残りますけど。」とランチ。
「もし2列目以上からスタートできれば嬉しいですね。ここでスーバーバイクで走るのはまだ2年目ですし、去年は鎖骨を骨折した後の復帰戦でしたからあまりここでは走り込めていないんです。」
「今年はすでに去年よりもタイムが1秒速くなってます。でも、今の段階ではあまり十分な速さとは言えません。明日はもっと改善を進めて高いグリッドを確保したいと思っています。」
「ここは単独で走るよりも誰かの後ろについて走る方がタイムが伸びるんですが、今回は一人で走ってこの結果ですから満足しています。それにまだ大幅に改善ができると思いますしね。」
11番手タイム)ジェームス・トスランド 1分27秒308
現在ランキング3位につけ、僅か1ポイント差の優位に立つランキング2位の芳賀選手よりもポイントリーダーのベイリスにライバル心を燃やすテン・ケイト・ホンダのジェームス・トスランドは、ブランズハッチの初日はブレーキに問題を抱え、思うようにタイムを伸ばせなかった。
作業手順の問題さえ解決すればタイムは上げられるとトスランドはコメントする。
「今日は少し作業手順に問題を抱えていて、セッション中に時間を無駄にしてしまいました。本来試したかった事がそのせいで今日はテストできていません。」とトスランド。
「バイクのセッティングについてはいい方向性がつかめていると思いますが、その問題が作業の足止めになっています。明日は同じ問題を抱えないようにしたいと思います。」
17番手タイム)阿部典史 1分27秒940
今年は自分のラッキー・ナンバーである17番に縁があるノリックことヤマハ・フランスの阿部典史選手だが、初日は自身二度目となるブランズハッチのコースレイアウトをあまり思い出せなかったようだ。
ノリックはマシンの改善の方向性を現在見つけており、2日目以降のタイムアップに期待を示すコメントを残している。
「前にも一回ここでレースしていますが、今日の一回目のセッションは最悪でした。このコースの事を忘れてしまっていて、どっちに進むんだっけ!?って感じでした。」
「最初のセッションの終了後はメカニックと一緒にコンピューターで大きな改善策をいくつか見つけています。午後はおかげでバイクの調子も良くなり、やっといいスタート地点に立てたって感じです。」
「明日はもっといいタイムを出せますよ。」
■SBK ブランズハッチ 予選1
以下にブランズハッチ初日の予選結果を示す。
1. トロイ・ベイリス [AUS] [Ducati Xerox] [Ducati 999F06] [1分26秒272]
2. トロイ・コーサー [AUS] [Team Alstare Suzuki Corona Extra] [Suzuki GSXR1000 K6] [1分26秒494]
3. 芳賀紀行 [JPN] [Yamaha Motor Italia] [Yamaha YZF R1] [1分26秒563]
4. アンドリュー・ピット [AUS] [Yamaha Motor Italia] [Yamaha YZF R1] [1分26秒702]
5. カール・マガリッジ [AUS] [Winston Ten Kate Honda] [Honda CBR 1000RR] [1分26秒741]
6. クリス・ウォーカー [GBR] [PSG-1 Kawasaki Corse] [Kawasaki ZX10R] [1分26秒844]
7. ルーベン・チャウス [SPA] [Sterilgarda - Berik] [Ducati 999F05] [1分26秒955]
8. トミー・ヒル [GBR] [Virgin Mobile Yamaha] [Yamaha YZF R1] [1分26秒987]
9. 加賀山就臣 [JPN] [Team Alstare Suzuki Corona Extra] [Suzuki GSXR1000 K6] [1分27秒165]
10. ロレンツォ・ランチ [ITA] [Ducati Xerox] [Ducati 999F06] [1分27秒285]
11. ジェームス・トスランド [GBR] [Winston Ten Kate Honda] [Honda CBR 1000RR] [1分27秒308]
12. レジス・ラコーニ [ITA] [PSG-1 Kawasaki Corse] [Kawasaki ZX10R] [1分27秒372]
13. ミッシェル・ファブリッツォ [ITA] [D.F.X. Treme] [Honda CBR 1000RR] [1分27秒468]
14. フォンシ・ニエト [SPA] [PSG-1 Kawasaki Corse 2] [Kawasaki ZX10R] [1分27秒510]
15. セバスチャン・ジンバート [FRA] [Yamaha Motor France-Ipone] [Yamaha YZF R1] [1分27秒690]
16. アレックス・バロス [BRA] [Team Klaffi Honda] [Honda CBR 1000RR] [1分27秒836]
17. 阿部典史 [JPN] [Yamaha Motor France-Ipone] [Yamaha YZF R1] [1分27秒940]
18. イヴァン・クレメンティ [ITA] [Team Pedercini] [Ducati 999RS] [1分28秒025]
19. ジョシュア・ブルックス [AUS] [Team Bertocchi Kawasaki] [Kawasaki ZX10R] [1分28秒084]
20. ビットリオ・イアンヌッツォ [ITA] [Celani Team Suzuki Italia] [Suzuki GSXR1000 K6] [1分28秒191]
21. クレイグ・ジョーンズ [GBR] [Foggy Petronas Racing] [Petronas FP1] [1分28秒229]
22. スティーブ・マーチン [AUS] [Foggy Petronas Racing] [Petronas FP1] [1分28秒232]
23. ピエールフランチェスコ・キリ [ITA] [D.F.X. Treme] [Honda CBR 1000RR] [1分28秒390]
24. ロベルト・ロルフォ [ITA] [Team Ducati SC - Caracchi] [Ducati 999F05] [1分28秒651]
25. マルコ・ボルチアーニ [ITA] [Sterilgarda - Berik] [Ducati 999F05] [1分28秒676]
26. 中冨 伸一 [JPN] [Yamaha Motor France-Ipone2] [Yamaha YZF R1] [1分29秒033]
27. カーチス・ロバーツ [USA] [Team Pedercini] [Ducati 999RS] [1分30秒979]
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