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WCT イギリスGP フジガス最終区間の逆転劇
インテリマーク編集部
2006年8月1日

日本では8耐の決勝レースが行われていた7月30日(日)、世界トライアルの第8戦が8千人の観衆の中、イギリスのホークストーン・パークで行われた。

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この日の気温は25度。会場はまぶしい陽射しに恵まれたが、決勝序盤には少しにわか雨が降っている。

■ランキング2位まで順位を回復したフジガス

今シーズンの序盤は怪我に苦しんだフジガスこと藤波貴久選手(モンテッサ HRC)だが、前回のポーランドGPでは今期3度目の優勝を決め、年間ランキングを2位まで挽回している。

現在のポイントリーダーはスペイン人のアダム・ラガ(149pt)であり、2位の藤波選手(134pt)とのポイント差は15だ。

■タイトル奪還に向けて、残る試合数はあと僅か

残る試合数は今回のホークストン戦を合わせて3回であり、仮に藤波選手が残りの試合を全て優勝したとしても、ラガが常に2位につける事があれば、藤波選手は年間タイトルに手が届かなくなる。1試合における優勝と2位のポイント獲得差は、世界トライアルのルールでは3ポイントであり、間違いなくタイトル獲得に向けて優位な立場にあるのはアダム・ラガだ。

前戦のポーランドでの優勝時に、藤波選手は「ラガに追いつくのは難しいかもしれないが、自分が優勝を続ければラガにプレッシャーを与える事ができるだろう。」と述べている。藤波選手がタイトルを奪還するには、残りの試合を全て高順位で終わり、且つあまりミスをしない安定した成績のラガには、試合中にプレッシャーを感じてもらわなければならない。

■熱波の続いた英国シュローズベリーに詰めかける8千人のファン

英国シュローズベリー近くの田園地方にあるホークストーン・パークでは、過去数週間をかけてこの日のイベントに向けての準備を進めたが、この地方にとしては珍しい気温35度の熱波に地元関係者は苦しめられたようだ。

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試合前日までこの熱波は続き、会場は乾燥して埃っぽい状態になっていたようだが、決勝当日のプラクティスと第1ラップの間はにわか雨が降って気温は25度に安定し、会場全体は湿り気のあるコンディションとなった。

ちなみに、当日の湿った空気に関係なく、会場に訪れた8000人の観客とライダーたちからは、前日までの熱波と何も変わらぬ熱気があふれていたようだ。

■第1ラップをリードしたのはフジガス

この日の第1ラップはモンテッサの藤波貴久選手とガスガスのアダム・ラガ、およびシェルコのアルベルト・カペスタニーの3名が接戦となり、各区間を終える度に順位は入れ替わった。一人がクリーンを記録すると他が5失点(マキシマム)を記録するなど、誰が勝利を手にするか全くわからない状態だ。

モトクロス用のコースに囲まれた密林コースでは、殆どのライダーが何らかのトラブルを抱えたようだが、その中でもトップの3名は順位を入れ替え続けた。

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最終的に、藤波選手が14失点、ラガが21失点、カペスタニーが19失点で第1ラップを終え、この時点でのトップは藤波選手だ。

■第2ラップのフジガスに大きなミス、僅差の争いへ

第2ラップではラガとカペスタニーの両名が藤波選手よりも好成績をマークし、近年希に見る僅差の勝負が続く。

総合得点の決着は藤波選手が最終区間での走行を終えるまで決まらず、この日の勝利者は最後の走行でクリーンを決め、8000人の観衆からの大拍手を受けた藤波選手だ。

■今期4度目の優勝、タイトル争いは心理戦へ

優勝は合計32失点の藤波貴久選手(モンテッサ)、2位は合計33失点のアダム・ラガ(ガスガス)、3位は合計34失点のアルベルト・カペスタニー(シェルコ)。藤波選手は、トップ3人がそれぞれ1失点差という僅差の戦いを制した。

この結果、年間ランキングはアダム・ラガが166ポイントで変わらずトップ。2位は藤波貴久選手の154ポイント。2名の得点差はこの第8戦終了時点で12ポイントとなった。残る試合はアンドラとベルギーの2戦のみだ。

写真藤波選手は試合後に以下の通りコメントしている。

「今日の結果は大満足です。」と藤波選手

「第1ラップはいいライディングができました。でも第2ラップではちょっと疲れてしまい、いくつかの区間で大きなミスをしています。」

「だからあの時点で勝てるとは思っていませんでしたから、優勝できてすごく嬉しいです。最後の得点差は本当に僅差でしたが、大切なのは勝つ事ですからね。」

「今は残りの試合で全勝を狙っています。この結果がラガの心理面に作用して欲しいですね。多分あと2レースでのラガのプレッシャーはさらに大きくなったと思いますよ。」

以下にイギリス・グランプリ上位の結果とポイントランキングを示す。

■イギリス・グランプリ結果

1. 藤波貴久 (JPN-Montesa), 32
2. Adam Raga (E-Gas Gas), 33
3. Albert Cabestany (E-Sherco), 34
4. Doug Lampkin (GB-Montesa), 49
5. Toni Bou (E-Beta), 51
6. Marc Freixa (E- Beta), 62
7. Jeroni Fajardo (E-Gas Gas), 65
8. Tadeusz Blazusiak (POL-Scorpa), 87
9. James Dabill (GB-Beta), 90
10. Graham Jarvis (GB-Sherco), 97
11. Shaun Morris (GB-Gas Gas), 99
12. Michael Phillipson (GB-Beta), 122


■年間ランキング

1. Raga 166
2. 藤波貴久 154
3. Lampkin 146
4. Cabestany 140
5. Bou 135
6. Fajardo 109
7. Freixa 87
8. Blazusiak 68
9. Dabill 66
10. Morris 41
11. Maurino 22
12. 黒山健一 21
13. 小川毅士 18
14. 小川友幸 16
15. Pascuet 14



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