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鈴鹿8耐 ホンダの新たな挑戦、JSB仕様車でも勝利を狙う
インテリマーク編集部
2006年7月28日

鈴鹿8時間耐久ロードレース(8耐)が、昨日の7月27日(木)より三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで開催されている。決勝レースは次の日曜日となる7月30日だ。

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■JSB仕様車で戦うホンダワークス

昨年まではSBK仕様のバイクで8耐に参戦していたホンダワークスは、今年は主催者側の要望を受け入れ、他のプライベーター・チームの殆どが採用しているJSB仕様のバイクで参戦している。これにより、昨年までのようなマシンパワーの差をフルに見せつけての圧勝が、ホンダワークスと言えども今年は簡単ではない状況だ。

また、今年はホンダとしての8耐10連勝がかかった年であり、多くのチームと同等の条件となるJSB仕様のバイクでこれを達成できれば、ホンダワークスとしての威信を自らさらに高める事にもなるだろう。

■2台のワークス車両、#7と#11のライダー

ここでは、ホンダワークスとしてエントリーされた2つのセブンスター・ホンダチームの、レースに向けてのコメントを紹介する。

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セブンスター・ホンダチームの2台のバイクのナンバーはそれぞれ7番と11番。このうちの7番車両に乗るのが、現在BSBに参戦中の清成龍一選手と、MotoGPライダーの玉田誠選手。残る11番車両に乗るのは、97年世界GP最高峰クラスランキング2位、現在はHRCの開発ライダーを担当する岡田忠之選手と、今年で7回目の8耐参戦となり、現在は全日本JSB1000に参戦中の出口修選手だ。

■高橋選手の怪我によりチーム編成を変更

当初の清成選手のパートナーには、MotoGP250ccに参戦中の高橋裕紀選手が予定されていたが、高橋選手は7月19日に行われた8耐事前テストで左腕を骨折した事により今回の出場を断念しており、その結果、岡田選手とペアを組む予定になっていた玉田選手が清成選手とチームを組み、岡田選手は当初第3ライダーとしての参戦が予定されていた出口選手と組む事になった。

■#7、2年連続勝利を狙う清成選手

セブンスター・ホンダ7番車の清成選手は、昨年は元MotoGPライダーの宇川徹選手とセブンスター・ホンダから8耐に参戦して優勝を飾っている。今年の玉田選手とのペアで再び優勝できれば、清成選手にとっては2年連続の8耐勝利となる。

写真「今年のJSB仕様のマシンは普段BSBで乗っているマシンとは全く異なりますよ。エンジン特性が大きく違いますし、特に西側のコースでその違いを感じますね。」と清成選手

「でも総合的にバランスが良くて乗りやすいマシンだと思いますので、去年とそれほどタイム差は出ないと思いますが、大きな問題はバックマーカーの処理です。去年はストレートで簡単に交わす事ができましたが、今年はトップスピード下がりますから難しいでしょうね。」

「6月には高橋選手と鈴鹿300kmで勝っていたので、彼が8耐に出られないのが残念ですが、玉田さんはチーム高武の先輩ですし、前からすごく尊敬していたので今回一緒にペアが組めてすごく嬉しいです。ただ玉田さんはすべての分野において厳しい人ですから、僕もベストをつくして足をひっぱらないようにしなきゃいけませんね。」

「去年は宇川さんと優勝していますから、今年は玉田さんと勝って2連勝がしたいです。それにホンダの10連勝にも貢献できますからね。」

■#7、左ひざの回復に専念する玉田選手

清成選手と同じくセブンスター7番車に乗る玉田誠選手は、日本の伝統的なレースでの初勝利を真剣に望んでいる。玉田選手にとっての8耐参戦は今年で6度目だ。

7月16日のドイツGPで負った左ひざの怪我が心配される玉田選手だが、現在でも専門の理学療法士と共にリハビリを続けているようだ。

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(写真提供:motogp.com)

「まだ少し体調に不安はありますが、毎日回復に向かっていますので、このまま良くならないといけませんね。自分の理学療法士が鈴鹿までついてきてくれたんで、この週末を通してドイツGPの時の左ひざの回復を手伝ってもらう予定です。」と玉田選手

「鈴鹿でマシンをテストしましたが、MotoGPマシンに乗った後だとすごく楽に乗れますよ。ハンドリングがすごくいいし、バイクを動かすのにあんまり力を使わなくても大丈夫そうですし、いいバイクです。でも、スーパーバイクは菅生で2002年に乗って以来ですので、他のマシンと比較するのは難しいです。」

「前回走った時と鈴鹿のコースレイアウトが少し変わっていますが、今の方がちょっとタイトに感じます。でもこれはMotoGPを経験した後だからそう思うのかもしれませんね。路面がとてもいいです。梅雨もちょうど終わるところで天気予報も今週末は大丈夫そうです。」

「8耐は日本人にとってすごく重要なレースですし、勝てれば本当に名誉な事ですよ。今年はワークスチームがJSBマシンで参戦しますから、これは多くのプライベーターにとっても勝てる絶好のチャンスです。」

「清さん(きよさん)はすごく速いライダーですし、鈴鹿300kmでもものすごく速かったです。彼とペアでレースをしたことは今まで一度もありませんが、彼も自分と同じ九州のチーム高武出身ですから、一緒にレースできる事を楽しみにしています。」

清成選手と玉田選手(セブンスター7番車)のチーム監督は、2005年の8耐で勝利を手にした鈴木克典監督が今年も担当している。

■#11、タディー「今年はバイクとコースに慣れ親しんでいる」

セブンスター・ホンダ11番車で久しぶりにワークスチームから参戦するタディーこと岡田忠之選手は、JSB仕様のワークスマシンで戦う事を大変に楽しみにしている。岡田選手がフルワークスのチームで8耐を戦うのは、2002年の玉田選手とのキャビン・ホンダペア以来の事だ。

写真「JSB仕様のマシンで勝利をかけて戦うのは、ホンダにとっての新しい挑戦です。」と岡田選手

「JSB仕様のCBR1000RRWは、乗っていて楽しくなるくらい、すごくバランスのとれたマシンです。ミシュランタイヤとの相性もとてもいいですよ。ミシュランは非常に真剣にこのマシンにあうタイヤを開発してくれました。例えばフロントタイヤは40ラップ交換なしで走れるんです。」

「ミシュランタイヤとこのJSBマシンなら、スーパーバイク(SBK仕様)とでも十分に戦える性能があります。」

「去年と一昨年はBSBで清成選手の監督をしていましたが、今年はHRCのテストライダーとして最近は殆ど毎週テストでバイクに乗っています。だから去年よりはずっとバイクやコースに慣れていますよ。過去3年は転んだりで1999年以降は優勝から遠ざかってますが、今年は本気で優勝を楽しみにしています。」

■#11、ワークスとしての参戦に歓喜する出口選手

岡田選手とペアを組んでセブンスター11番車に乗る出口修選手は、今回の抜擢により戦闘力の高いマシンで8耐に参戦できる機会を得た事を非常に喜んでいる。

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「8耐はこれで7回目です。」と出口選手

「ワークスチームのメンバーとして参戦できる事は自分にとって最高の名誉ですよ。もちろん優勝をかけて戦わなければいけない事も理解しています。」

「鈴鹿はよく知っていますし、スプリントライダーとしてよりも耐久ライダーとしてのいい走りができると思います。8耐で一番大切なのは長時間の集中力と、同時に安定してラップタイムを維持する事です。」

岡田選手と出口選手(セブンスター11番車)のチーム監督は、2005年の8耐で2位を獲得したクリス・バーミューレンと藤原克明選手のセブンスター・ホンダ・チームを率いた山野一彦監督が担当する。

■HRC石井勉総監督「オーディションのようにスタッフを厳選」

また、セブンスター・ホンダ・チーム全体の総合責任者は、HRCの石井勉総監督だ。石井総監督は、昨年までのSBK仕様車での勝利と同様に、今年のJSB仕様車でもホンダワークスの勝利を狙う。

写真「エンジニアにとっても、8耐は技術還元を見越せるいいレースなんです。」と石井総監督

「今年はワークスチームがJSBレギュレーションに従う事を合意しましたが、HRC(ワークス)は現在全日本に参戦していませんので、このカテゴリーの経験はあまりありません。しかしながら、鈴鹿300kmでは勝ちましたし、清成・高橋ペアの勝利のおかげで技術的な情報も多く得られました。」

「8耐で最も必要とされる要素は、メカニック、ライダー、ピット・クルー、その他チームにかかわる厳選されたメンバーたち全員のチームワークです。」

「レースの準備は3ヶ月前から行い、ライダー交換や燃料補給、タイヤ交換の試験をピットスタッフに対して行っています。日本中のファクトリーの中でも最高とされるクルーが選ばれており、その選抜過程はさながらオーディションのようです。」

「チームのメンバーがそろってからも、定期的にピットストップの練習を行っています。」

「8耐ではレースに向けての戦略がとても重要です。『理想的』な戦略でレースを開始するのは簡単ですが、チームには常に戦略の変更に対応する能力が求められます。天候が変わったり、ライダーが転倒したり、ペースカーが入ったりと、全ての出来事が戦略にかかわってきますからね。」


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