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2006年7月20日
米国ラグナ・セカ・サーキットのあるモンテレー半島における自動車レースの歴史は、1950年代初頭に開始されたペブル・ビーチ・ロード・レースまでさかのぼる。
このスポーツカー・イベントはデル・モンテ・フォレスト通りのワインディング・ロードを使った公道レースであり、当時のモンテレー地域に大変な数の観客と収益をもたらすイベントだった。
■ラグナ・セカの起源:公道レースを地元の事業家たちが救う
しかしながら、このレースが有名になって観客が大きく増えると同時に、スポーツカーの性能が上がった事から、公道レースとしてこのイベントを継続する事は徐々に困難な状況に追い込まれた。
そこで1956年の11月1日に、このレースの持つ公共的な利益に関心を持った事業家たちのグループは、今後も安定してモンテレーのレースイベントが継続できるように「モンテレー半島スポーツカー・レーシング協会(SCRAMP:Sports Car Racing Association of the Monterey Peninsula)を設立し、レースイベント専用の施設をこの地に建設する計画を立てた。
SCRAMPは現在でも非営利の組織として存続しており、地元のボランティア組織と協力しながら、モータースポーツ・イベントの収益を通してモンテレー地区の経済活動に協力している。
■米国モンテレー郡の経済の基盤、ラグナ・セカ・サーキット
1957年に、この非営利組織は陸軍からフォート・オードの土地を借りてサーキットを建設し、同年の11月9日に、そのサーキットでの初のレースを開催した。この日より、マツダ・レースウェイ・ラグナ・セカ・サーキットは地域に10億ドル(1160億円)の収益を生む施設となり、100以上の地元市民団体に1000万ドル(約12億円)を寄付している。
SCRAMPは米国モンテレー郡にとって、今やもっとも重要な経済支援組織だ。
■10年以上のブランクを経てGPに復帰、アメリカ勢に有利なサーキット?
ラグナ・セカは全長3,602メートルの、MotoGPカレンダーの中では小さめのサーキットであり、7つの左コーナーと4つの右コーナーを持つ。特に8コーナーの「コークスクリュー」は世界でも最も有名な迫力のあるカーブだ。
1994年にGPカランダーから外れ、2005年にGP復帰を果たすまでの10年間、SBKやAMAおよびその他のアメリカ国内でのイベントでラグナ・セカを経験していないヨーロッパでの活動が中心だったライダーたちにとって、独特のコースレイアウトとアメリカ国内レースの伝統とも言える滑りやすい路面のラグナ・セカは、少なくとも昨年までは楽なサーキットではなかった。
昨年のレースでこのアドバンテージをフルに活用したのがレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンだ。彼は後続を寄せ付ける事なく2005年のアメリカGPを快勝し、悲願の初優勝を果たしている。
■ニッキーにとってもゼロからの学習
しかしながら、今年は滑りやすい路面は再舗装され、最もアメリカ勢がレースを優位に運ぶポイントとしていたコークスクリュー周辺の勾配がいくらか削られている。また、全体的にランオフエリアが拡張され、いくつかのコーナー周辺は若干ライン取りに影響するかもしれない安全面での改善も加えられた。
ポイントリーダーのニッキー・ヘイデンは「コースはゼロからの学習になるが楽しみには違いない」と発言し、母国GPへの前向きな姿勢は崩していない。ランキングの背後に迫るバレンティーノ・ロッシからシーズン後半を逃げ切る上で、母国アメリカGPはニッキーにとって絶対に優勝を逃したくないレースとなる。
ここでは、母国GPでの勝利を狙うレプソルホンダのニッキー・ヘイデンを初めとするホンダ勢(チーム・ロバーツを含む)の、明日に迫ったアメリカGP開幕に向けてのコメントを紹介する。
■レプソル・ホンダ勢、ランキングトップのエースライダーとして帰国したニッキー、ペドロサは初のアメリカGP
レプソル・ホンダ勢は夏休みを前に、アメリカGPでの勝利を狙う。ポイントリーダーのニッキー・ヘイデンは、現時点において2位のバレンティーノ・ロッシを26ポイント引き離しており、同時にニッキーのチームメイトのダニ・ペドロサは29ポイント差でニッキーを追っている。
コース改修のみの理由ではなく、ニッキーにとって今年のアメリカGPでは昨年ほどの優位性を示せないかもしれない。今シーズンは他の地元勢、チーム・ロバーツのロバーツ・ジュニア、キャメル・ヤマハのコーリン・エドワーズ、リズラ・スズキのジョン・ホプキンスの3名も各サーキットで好調な走りを見せている。彼らが母国GPで本領を発揮してくる可能性は十分にある。
ニッキーにとっても最も危険な存在であるバレンティーノ・ロッシも、昨年は慣れないラグナ・セカのライン取りに苦しんでいたが、コースを経験済みのロッシが、2年目に本来の走りを見せてこないわけはないだろう。
■自信に変わりはないレプソル勢
今年も、ラグナ・セカにかけるニッキー・ヘイデンの情熱は高い。25ポイントを獲得するとニッキーは語る。
「世界ランキングをリードする形でホームレースを迎えられるのは本当に気分がいいね。」とニッキー。
「まだ今後のレースも多く残ってるけど、シーズンの終わりにまでずっとトップを本当に維持したいと思ってます。今回は誇りを持ってホームのファンの前に立てますよ。」
「それにアメリカ人が以前にトップだったのはもう相当昔の事ですから、今はすごく興奮してます。また、さらにすごい事に、ラグナで自分たちは25ポイントを獲得しようとしていますしね。」
「サーキットは完全に再舗装されましたし、コースのいくつかの部分も変更が加えられましたから、今年は色々異なる部分も多いでしょう。1コーナーが変わりましたし、6コーナーからコークスクリューにかけてのアプローチも変わっているので、いくつかの点で、例えばタイヤ選択とかギアのセッティングはゼロから調整になると思います。他にも多くの点で異なる点があるでしょうね。」
「いずれにしろすごく楽しみですし、アメリカのファンもレースに向けての情熱を見せつけてくれる準備はできていますから、自分たちも日曜日に彼らに向けてワイルドな何かを見せつけますよ。」
また、ラグナ・セカを初めて経験するニッキーのチームメイトのダニ・ペドロサは、アメリカGPの経験のない250ccからのステップアップ組にとっては難しいレースになるだろうとコメントした。
「今回が初めてですから、ラグナ・セカでどんな感触が得られるか今のところはわかりませんね。」とペドロサ。
「他のライダーが経験済みで、自分にとっては全く未経験のコースで走るのは本当に久しぶりですから、自分や他のMotoGPルーキーも最初のうちは大変でしょう。」
「自分の仕事はできる限り早くコースを覚えながらRC211Vのベースセッティングを見つけて、今週のレースウイークでも強さを発揮する事です。」
「前回のドイツが4位で終わった事には少しがっかりしていますが、自分の中に自信はまだあります。ここまでは好調なシーズンですから、自分が改善できる範囲に集中して作業を進めるだけです。」
■フォルツナ・ホンダ、あこがれのサーキット
フォルツナ・ホンダチームのマルコ・メランドリは昨年、ラグナ・セカでは難しいレースウイークを過ごしていた。予選を11位で終え、決勝午前のウォームアップでやっとセッティングは見つけられたものの、午後のレースは1ラップ目にクラッシュしてリタイアしている。
また、今年のメランドリのチームメイトのトニ・エリアスも、昨年のラグナ・セカでは同様に苦しみ、レース結果は13位だった。
メランドリは、過去2戦で見せた好調さを、今回のアメリカGPでも再現したいと述べる。
「ラグナ・セカはすごく好きなサーキットです。」とメランドリ。
「他にないデザインだしすごく面白いですね。去年は問題をいくつかセッティングに抱えていて、レースに向けての解決策が見つかったのはウォームアップの時でした。」
「体調はまだ100%とはいかなくても、現段階の成績は好調ですし、今の走りが維持できるように集中力を高め続けなければいけません。ここまでの2戦はいいバトルができましたから、今回もそれを再現したいです。」
「レースが始まるまでには体調が完治して欲しいです。自分の性格的に闘争心は高いので、今回も最高のバトルがしたいです。」
現在もアッセンで負った左肩の骨折の痛みに苦しむトニ・エリアスにとって、ラグナ・セカは子供の頃からあこがれのサーキットだったという。
「ラグナ・セカはあこがれのサーキットです。」とエリアス。
「子供の時にこのサーキットで見たレースの事は完璧に覚えていますし、それを見るのがずっと大好きでした。」
「ヨーロッパで慣れてる他のサーキットとは全然違って難しいけど、すごく面白いので、本当にこのサーキットは大好きです。コークスクリューは本当にすごいですよ。テレビで見ても驚くけど実際に走るのではまた大違いです。」
「ドイツではまだ体調的に辛くて、骨折もまだ完治した状態ではありませんが、全力を出し切るつもりです。」
■コニカミノルタ、初期の診察によれば玉田選手の左足は完治が可能
前回のドイツGPではオープニングラップから先頭集団に加わり、バレンティーノ・ロッシやマルコ・メランドリとの追い抜き戦を見せ、ライディング・スタイルの改造中にもかかわらず快調な走りを見せたコニカミノルタ・ホンダの玉田誠選手は、惜しくもその11ラップ目にケニー・ロバーツ・ジュニアと共に転倒して左膝を痛めている。
コニカミノルタ・ホンダ・チームは、アメリカではドイツで続けて見せる筈だった好調な走りを再現するべく、玉田選手の左足の再検査からレースウイークを開始するようだ。
ドイツGPは残念だったとチーム責任者のジャンルカ・モンティロンはコメントしている。
「ロバーツ・ジュニアが滑った事で、玉田選手がトップライダーたちの中で戦闘力の高さをアピールしていたのが中断されたのは、今でも残念ですし簡単には立ち直れませんよ。」とモンティロン。
「今回のアメリカGPでも同じ活躍ができるようにしなければいけません。アメリカでは、まず玉田選手の体調を確認するために、ザクセンリンクで大きな衝撃を受けたひざの具合を再検査します。」
「最初にクリニカ・モバイルの医療スタッフに受けた診察では完治できるとの事でしたので、今週末も私たちのライダーがいい活躍を見せてくれる事は間違いないでしょう。」
■玉田選手「今のところはまだ痛いが、前回と同等レベルの戦いがしたい」
左ひざの打撲にまだ痛みがあるとする玉田選手だが、レースウイークの開始までには怪我の状態も良くなるだろうとコメントしている。
「まだ先週の日曜日に負った左ひざの打撲が痛みます。」と玉田選手。
「でも早く回復できると思いますし、金曜日のフリー・プラクティスまでには準備も整うと思いますよ。」
「ドイツで大きなチャンスを逃した事は本当に残念でした。あそこまでの周回で維持できたペースはすごく高かったし、最後まであの集団にはついて行けると思っていました。前回の日曜日はすごくいい感触でRC211Vに乗れてましたから、同じ感覚がラグナ・セカでもつかみたいですね。」
「アメリカのコースでも、前回に到達したレベルの戦いができる事を今から楽しみにしています。」
■気を取り直してアメリカGPに向かうホンダLCRとストーナー
ドイツGPでの不本意な欠場を悔しがっていたホンダLCRのケーシー・ストーナーは、気を取り直して以前から楽しみだったアメリカGPに向けての準備を進めている。
他の250ccからのステップアップ組と同様に、ケーシー・ストーナーにとってもラグナ・セカは初めて走行するサーキットだ。
夏休みの前にいい結果を残したいとストーナーは語る。
「休みの前にいい結果を得る事が不可欠ですし、そうすべき義務が自分たちにはあります。」とストーナー。
「今の調子をそのまま維持しながら、どこまで行けるかを見る事になるでしょうね。」
「初めてのサーキットですから、現地ではすぐに仕事に取りかかりますよ。」
■チーム・ロバーツ、「ホームGPでは100%を出し切り優勝を狙う」
久しぶりの母国GPを迎える元最高峰クラス年間王者のチーム・ロバーツとロバーツ・ジュニアは、ここまでに期待の持てる成績を収めている。
カタルーニャでは1列目3番グリッドスタートから3位表彰台を獲得し、前回のドイツGPでも2番グリッドからのスタートを確保していた。玉田選手を巻き込む結果になった11周目の転倒までは、並み居る強豪と共に先頭集団での走りを維持している。
ロバーツ・ジュニアは、彼の父であるキング・ケニーことロバーツ・シニアが誘致復活に力を注いだラグナ・セカでのアメリカGPにおいて、表彰台の獲得もしくは優勝に挑む。
「面白くなりそうです。」とケニー・ロバーツ・ジュニア。
「ここまでの調子を維持できるといいね。ここは最高の家族や友人に等しい場所です。今までは安定性を重視したレースだけをしてきましたが、今回はチームも自分も100%で行きますよ。」
「すごく嬉しいですね。去年もそうでしたし、80年代あたりはここで走ってました。」
「今年は多分、表彰台か優勝を狙いますよ。全体的な進め方や準備は今までと変わりませんけどね。」
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