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2006年7月16日
7月15日(土)、ドイツのザクセンリンク・サーキットでMotoGP第10戦ドイツGP2日目の走行が行われた。
この日は全クラス(MotoGP,250cc,125cc)、午前中のフリー・プラクティスと午後の最終予選が行われており、全てのセッションはドライ・コンディションの中での走行となった。
■小排気量クラスの最終予選結果
125ccクラス
125ccクラスの最終予選はドライセッション、気温は20度、路面温度36度、湿度20%の気象条件の中で行われた。
125ccの1列目ポールポジションはデルビのルーカス・ペセック(1分27秒064)。ペッセクのポールポジションはイタリアGPに次いで今期2度目。
1列目2番グリッドはポイントリーダー、マステルMVAアスパル(アプリリア)のアルバロ・バウティスタ(1分27秒283)。3番グリッドは同じくマステルMVAアスパル(アプリリア)のマティア・パッシーニ(1分27秒417)、4番グリッドはランキング2位につけるKTMのミカ・カリオ(1分27秒607)。
2列目5番グリッドはデルビのニコラス・テロール(1分27秒777)、6番グリッドはバルジール・セードルフ・レーシング(ホンダ)のファブリツィオ・ライ(1分27秒879)、7番グリッドはヒューマンゲスト・ホンダのガボール・タルマクシ(1分27秒920)。8番グリッドにはマルチメディア・レーシング(アプリリア)のパブロ・ニエト(1分27秒966)が続いた。
ディフェンディング・チャンピオンであるエリット・カフェラテのトーマスルティー(1分28秒215)は4列目13番グリッド、カタルーニャGPから左手首骨折の為に欠場し、今回のドイツGPからレースに復帰したマラグーティの小山知良選手(1分28秒523)は4列目15番グリッドから明日の決勝をスタートする。
250ccクラス
250ccクラスの最終予選はドライセッション、気温は23度、路面温度43度、湿度16%の気象条件の中で行われた。
250cc1列目ポールポジションは、1ポイント差でポイントリーダーを負うフォルツナ・アプリリアのホルヘ・ロレンソ(1分25秒073)。
1列目2番グリッドはヒューマンゲスト・ホンダの高橋裕紀選手(1分25秒151)、3番グリッドはフォルツナ・アプリリアのエクトル・バルベラ(1分25秒160)、4番グリッドはチーム・トース(アプリリア)のロベルト・ロカテリ(1分25秒256)。
2列目5番グリッドはマステルMVAアスパル(アプリリア)のアレックス・デ・アンジェリス(1分25秒301)、6番グリッドはKTMの青山博一選手(1分25秒377)、7番グリッドはキーファー・ボス・レーシング(アプリリア)のアンソニー・ウエスト(1分25秒554)。8番グリッドには予選終了間際に2列目スタートに食い込んだポイントリーダー、ヒューマンゲスト・ホンダのアンドレア・ドヴィツィオーゾ(1分25秒567)が続いた。
レプソル・ホンダの青山周平選手(1分25秒813)は3列目10番グリッドからの決勝スタートとなる。
■MotoGPクラスの予選状況、ペドロサと中野選手は午前に転倒
MotoGPクラスの予選はドイツGP2日目の午後に行われ、気象条件は気温22度、路面温度40度、湿度17%、青空の下でのドライ・セッションとなった。
この日の午前、レプソル・ホンダのダニ・ペドロサはザクセンリンクのトリッキーな中速左コーナーで転倒、カワサキの中野選手は高速右コーナーでハイサイドを起こし、大クラッシュを喫しているが、幸い二人に怪我はなかった。
■レースタイヤでの前半戦をリードしたのはカピロッシ
殆どのライダーがレースタイヤでのマシン調整に集中する予選前半の30分間、トップタイムを維持したのはドゥカティーのロリス・カピロッシだ。ロリス・カピロッシは昨年のセテ・ジベルナウのサーキット・レコードである1分23秒705を0.459秒上回る1分23秒246で前半戦の大半をタイムシートの先頭で過ごしている。
■苦戦気味だった中野選手がセッション折り返し地点で2番手に
中野選手は予選に向けてサスペンションのセッティングを変更しており、それが今回のセッションの好成績につながっている。
レース当日の結果に反映される事も少なくない折り返し30分が経過した時点のタイムシート上の順位は、先頭から順にドゥカティーのロリス・カピロッシ(1分23秒246)、2番手はカワサキ・レーシングの中野真矢選手(1分23秒414)、3番手はレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデン(1分23秒456)、4番手はホンダLCRのケーシー・ストーナー(1分23秒538)、5番手はキャメル・ヤマハのバレンティーノ・ロッシ(1分23秒547)、6番手はフォルツナ・ホンダのマルコ・メランドリ(1分23秒601)、7番手はレプソル・ホンダのダニ・ペドロサ(1分23秒619)。
同じく30分経過時点の8番手以降の順位は、8番手がカワサキのランディー・ド・ピュニエ、9番手はコニカミノルタ・ホンダの玉田誠選手、10番手はチーム・ロバーツのケニー・ロバーツ・ジュニア、11番手はドゥカティーのセテ・ジベルナウ、12番手はTECH3ヤマハのカルロス・チェカ、13番手はリズラ・スズキのジョン・ホプキンス、14番手はキャメル・ヤマハのコーリン・エドワーズ、15番手はフォルツナ・ホンダのトニ・エリアス、16番手はリズラ・スズキのクリス・バーミューレン、17番手はプラマック・ダンティーンのアレックス・ホフマン、18番手はプラマック・ダンティーンのホセ・ルイス・カルドソ、19番手にはTECH3ヤマハのジェームス・エリソンが続いた。
■予選タイヤ合戦、最初にトップに浮上したのは中野選手
予選の残り26分、最初に1分22秒台に突入して先頭に躍り出たのはカワサキの中野選手。タイムは1分22秒772。
■左腕が全く上がらなくなったジベルナウ
残り17分でセテ・ジベルナウは1分22秒962を記録して中野選手に続く2番手につけたが、セテはカタルーニャで怪我を負った左肩周辺の神経が炎症を起こしており、左腕の力が完全にゼロの状態になってしまったようだ。この日終盤のタイムアタックもコースの途中で中断を余儀なくされている。
ジベルナウは、「痛みなら対処もできるが、垂れ下がったままの腕にはどう対処していいか分からない」と述べており、明日のレースに向けては祈るしかないと予選後にコメントしている。
■ストーナーとペドロサが順に中野選手のトップタイムを更新
残り16分、ケーシー・ストーナーが1分22秒588をマークし、中野選手のタイムを更新してトップに立ったが、直後にダニ・ペドロサが1分22秒521でストーナーのタイムを上回りタイムシートの先頭に浮上。
■再びトップに立つ中野選手
残り13分、中野選手が1分22秒273を記録して再び先頭に立った。残り9分の時点でダニ・ペドロサが1分22秒427、残り7分にはニッキー・ヘイデンが1分22秒427を記録するが、中野選手のトップタイムを更新する事はできない。
■ロッシ、予選タイヤでのレースタイムの更新に苦戦
キャメル・ヤマハ勢は初日と同様にマシンのセッティングに苦しんでいる。ロッシはこの時点でレースタイヤによる1分23秒188を予選タイヤで更新できずに、何度もピットに戻っている。
フロントまわりがブレーキング時に集中的な加重を受ける際のマシン全体のバランスの悪さにロッシは苦しみ続けているが、予選用タイヤを装着してリアのグリップ力が高まった事で、この問題がさらに悪化したという。
■ル・マンの再来、またもペドロサが中野選手を押し出す
10分間に誰も中野選手のタイムを更新するライダーは表れなかったが、予選残り3分に突入すると同時にダニ・ペドロサが史上初の21秒台となる1分21秒815を記録し、再び予選のトップに立った。
続いてニッキー・ヘイデンが1分22秒083の好タイムを記録してセッション残り時間は0秒となった。この時点の暫定1列目スタートはダニ・ペドロサ、ニッキー・ヘイデン、中野選手。
■チェッカー後にケニーが21秒台をマーク
レプソル勢2名と中野選手の1列目が確定したと思われた次の瞬間、チェッカーが振られるコントロールラインを越えたケニー・ロバーツ・ジュニアのタイムはペドロサに次ぐ21秒台の1分21秒907だった。
この結果、06年ドイツGP決勝の1列目スタートは、ルーキーイヤーにして自身4度目の最高峰クラスでのポールポジションを獲得したレプソル・ホンダのダニ・ペドロサ、2番グリッドはチーム・ロバーツのケニー・ロバーツ・ジュニア、3番グリッドはレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンに確定した。
カワサキ・レーシングの中野真矢選手は2列目4番グリッドを確保。中野選手の後ろにはドゥカティーのロリス・カピロッシとフォルツナ・ホンダのマルコ・メランドリが続く。
コニカ・ミノルタの玉田誠選手は4列目10番グリッドから翌日の決勝をスタートする。
■全ライダーの順位と状況
以下に、MotoGPクラス全ライダーの状況とコメントを決勝グリッド順に示す。
■午前に大破したメインマシンが、予選では無事にペドロサの元に
1列目ポールポジションを獲得したのはレプソル・ホンダのダニ・ペドロサ。タイムは2004年のマックス・ビアッジのベストラップである1分22秒756を大幅に上回り、ザクセンリンク初となる21秒台の1分21秒815を記録している。
今期4回目のポールポジションを獲得したこの日の午前中、ペドロサはフリー・プラクティス3でトップタイムを記録していた残り7分の時点で大クラッシュを喫し、バイクと共にグラベルに転がった。ブレーキング中にフロントのグリップを失い転倒したという。
幸いペドロサに怪我は全くなく、また、このクラッシュで大破したバイクも、彼のメカニックの優れた技術により午後の予選までにはペドロサの最大限のプッシュを可能とするまでに修理が完了し、今回のポールポジションを可能としている。
バイクが完全に直っているか、序盤は探りながらのライディングだったとペドロサは語る。
「ポールポジションが取れた事は嬉しいです。でも本当に重要なのは1列目に並べる事です。ここのコースは序盤がとてもタイトですし、追い抜きできるポイントも1つか2つ、または3つくらいしかありませんからね。」とペドロサ。
「昼食の間にメカニックがバイクを予選に間に合うように頑張ってくれました。午後の最初はマシンに乗りながら全体をチェックして、その後で激しくプッシュしました。ラップタイムも良くなりましたので、結果的に今日一日がうまくいって嬉しかったです。」
「もちろん一番大切なのは1列目スタートを有効に利用して明日のスタートを成功させる事です。その後はレースの進行を見る事にします。」
■ケニー、KR211Vの仕上がりに満足
1列目2番グリッドはチーム・ロバーツのケニー・ロバーツ Jr。タイムはポールシッターのペドロサと同じく21秒台の1分21秒907。
「1周がゆっくりに感じられて速く走ってるのが普通のペースに感じられる時は、バイクとの一体感が高い時です。」とケニー。
「タイムアップに向けてのテストは特にせずに、予選タイヤを有効に使う上でのライディング・ポジションなどのセッティング変更を行ったくらいです。バイクのバランス感はすごく良くなりました。」
「もっと激しくプッシュすればさらに上のタイムも狙えたかもしれませんが、1列目が取れただけでも十分に満足できる結果です。スタートを成功させて、ホンダのトップライダーたちから遅れないようにしないといけませんね。」
■ニッキー「今シーズンの中で最高の週末」
1列目3番グリッドはレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデン。タイムは1分22秒083。
セッション終了直後にケニー・ロバーツ・ジュニアにより2番グリッドから3番グリッドへ押し出されたニッキー・ヘイデンだが、追い抜きが難しいザクセンリンクで1列目からスタートできる事をニッキーは非常に満足している様子だ。
今シーズンの中でも最高のレースウイークのひとつと、上機嫌のニッキーはコメントしている。
「一列目が取れて嬉しいですし、ここしばらくで最高の予選でしたから明るいムードでした。」とニッキー。
「マシンの仕上がりは完成間近でしたから、セッティングに大きな変更はそれほど加えず、調子が上がるのを見ながら微調整を続けただけです。今週は強力なパッケージに仕上げる事ができました。」
「今シーズンの中では最高といえる週末でした。本当は1分21秒台が出せると思って狙ってたんですが、ここでは1列目のグリッドを確保する事の方が重要ですからね。明日はいいスタートができるように計画を練っています。」
「ウォームアップではもう少し速いペースで走れないかを試すつもりです。レースでのドッグファイトが楽しみですね。」
■中野選手「カワサキ応援団の力がタイムを0.3秒削る」
2列目4番グリッドはカワサキ・レーシングの中野真矢選手。タイムは1分22秒273。
中野選手は午前中に最も加速が激しいコース後半の高速右コーナーで転倒しているが、幸い全く怪我は負っていない。
午前のフリー走行終了後にリア・サスペンションのセッティングを変更した事で、マシンの調子は大幅に改善されたと中野選手は語る。
「昨日に続いて今日の午前もいいセッティングを見つけるのに苦しみました。」と中野選手。
「でもタイヤを変更してリア・サスペンションのセッティングを午後の予選に向けていくらか調整したら、バイクはがらっと変わりました。まだ100%の状態ではありませんが、午後にはレースタイヤで上位に食い込みましたから、明日の午後にセッティングをさらに調整する事でもっと調子を上げられる自信はあります。」
「ザクセンリンクは抜くのが難しいサーキットですから、1列目に近いグリッドを得る事がどうしても必要です。今日の午後の目標は2列目を確保する事でしたから、4番グリッドが取れたので嬉しいです。」
「それと4コーナーにいるカワサキ応援席の全員には特別にお礼が言いたいです。いいタイムでそこを通過する度にもの凄い声援を送ってくれたんです。本当に闘志につながりましたし、手を振って応援してくれるのが見えるだけで少なくとも1周あたり0.3秒の後押しになっている事が実感できましたね!」
「明日のレース中も同じくらい熱狂的な応援をしてもらえたら、こちらからはみんなが歓喜に沸く結果を提供できると思います。」
■レースタイヤで最も速いライダーとなったカピロッシ
2列目5番グリッドはドゥカティーのロリス・カピロッシ。タイムは1分22秒329。
ドゥカティーはこの日午後の予選中のレースタイヤでの最速タイムを記録しており、翌日のレースに向けての戦闘力の高さを示している。
まだ体調は100%ではないとするカピロッシだが、ミスをしなければ予選タイヤでのタイムもさらに縮められた筈だという。
「今日の午後は2種類の予選タイヤを試しました。1つ目は自分の好みではありませんでしたが、2つめが気に入りました。もし最終コーナーでミスしてなければもっといいタイムが出たでしょうね。」とカピロッシ。
「その後もう1周続けてアタックしましたが、クリーンラップが取れなくてタイムを上げる事はできませんでした。いずれにしても、5番グリッドは2列目ですから悪くないです。」
「いいペースで走れてますし、レースタイヤの調子を見る限り問題はなさそうです。今日は昨日よりかなり温度が高かったので、固めのタイヤを履けるようになった事から安定してレースに向けていいタイムが刻めるようになりました。」
「まだフロントまわりに問題が数点残っていますが、明日午前のウォームアップで解決できる事を期待しています。ここでの調子には満足できますね。2列目からのスタートでもいいレースができると思いますよ。」
■メランドリ、「右肩の怪我は左コーナーの多いここでは影響が少ない」
2列目6番グリッドはフォルツナ・ホンダのマルコ・メランドリ。タイムは1分22秒420
初日の暫定ポールを獲得していたメランドリは、レースに向けてのマシンの仕上がりには自信を示しているが、午後のセッションで予選タイヤの性能をフルに引き出す事はできなかったと語る。
「予選中に行ったレースに向けての作業にはとても満足しています。バイクの調子はとてもいいし、ミシュランタイヤのおかげでいくつか成果も得られました。」とメランドリ。
「このコースは追い抜きをかける場所が少ないですから、明日はいいスタートをして先頭集団に加わる事が重要です。今日の目標は2列目以内に入る事でしたのでそれは達成しましたが、予選タイヤの性能をフルに使い切って1列目を確保する事はできませんでした。」
「明日は長いレースになりますので、前回のレースの時よりも体調がとても良くなっているのが嬉しいです。右肩の問題は、左コーナーが多いこのコースではあまり走りに影響は出ません。」
■祈るしかないとセテ・ジベルナウ
3列目7番グリッドはドゥカティーのセテ・ジベルナウ。タイムは1分22秒469。
左の鎖骨の痛みはライディングに問題のないレベルと述べていたセテ・ジベルナウだが、ここに来て新たな身体上のトラブルを抱えている。左肩の神経が炎症を起こし、左腕が垂れ下がったまま、まったく力の入らない状態になっているようだ。
「痛みは大丈夫ですが、腕には全く力が入らないようです。それで一番速かったタイムアタックも、コース最終区間の途中で終わりにしました。」とセテ。
「あの事故の影響で筋肉か神経が炎症を起こしたのは間違いありません。左腕は垂れ下がった状態で力は完全にゼロですから、ここの全ての左コーナーや、最後の二つのコーナーでブレーキをかける時に四苦八苦しています。」
「何をどう対処すべきか分かりません。痛みならそれなりの対処方法もありますが、腕が動かない状態ではどうしていいのか分かりません。多分明日のレースに向けては祈る以外に手だてがありませんよ。現段階では難しい状態ですね。」
「話は変わりますが、バイクとタイヤの調子はすごくいいですよ。チームは素晴らしい仕事をしてくれています。腕を除けば悪い問題はないのですが・・・。」
■レースも新型シャシーで挑むストーナー
3列目8番グリッドはホンダLCRのケーシー・ストーナー。タイムは1分22秒577。
初日は新型シャシーの調整時間が十分に取れていなかったストーナーは、2日目のこの日も新型シャシーのセッティングに集中している。この作業を通して、フロントとリアのサスペンション調整、エンジン・マネージメントとブレーキングの安定性の向上、タイヤ選択などを行い、フロントまわりのフィーリングは大きく改善されたようだ。
新しいシャシーの2日目にしてはいい進歩があったとストーナーは語る。
「今日も新型シャシーの作業に集中したので、バイクの感触はだいぶ良くなりました。2日目のバイクにしてはいい方向に改善できたと思います。」とストーナー。
「チームは標準仕様RCVのセッティングを殆ど変えなければいけませんでしたが、ゆっくりとですが進歩は見られます。特にフロントまわりのフィーリングがだいぶ良くなりました。」
「予選の最初の方の周回はとてもうまくいきましたが、リアを別のタイヤに変更したらフロントに負担がかかるようになってしまいました。」
「抜き場所が少ないので3列目からのスタートだと難しいレースになるでしょうね。スタートを成功させなければいけませんが、1コーナーがタイトなのでちょっと怖いです。」
■ホッパー「午前のウォームアップで解決策を試す」
3列目9番グリッドリズラ・スズキのジョン・ホプキンス。タイムは1分22秒701。
ここ数戦のホプキンスの予選内容と異なり、あまりセッション終盤にも上位に名を連ねる事ができなかった。
この日の午前中、ホプキンスは翌日の30周のレースに向けてマシンのセッティングを何種類も試しながら、ブリヂストンのレースタイヤ選択をスタッフと真剣に行ったようだ。
2日目はセッティングに手戻りが出てしまったとホプキンスは言う。
「3列目のグリッドからのスタートじゃエクスタシーは感じられないね!」とホッパー。
「今回はセッティングに小さな問題が数点あって、午前中に色々変更したけど期待通りの効果は出ていません。それで仕方なくセッティングを元に戻したりで、コースに出る時間をだいぶ損しました。」
「その後はブリヂストンと共同でいいタイヤを頑張って探してます。レースタイヤではもうあと0.5秒削りたいね。今でもやれるだけの努力をみんながしていますし、ブリヂストンもいい物を持ち込んでくれています。」
「今晩はみんなで一晩考えて、それからしっかり睡眠を取って、明日はさらに強くなってから挑みます。午前中には解決策をまだいくつか試しますが、チェッカーが振られた後は全力を尽くすだけですよ!」
■玉田選手「フロントまわりが改善された」
4列目10番グリッドはコニカミノルタ・ホンダの玉田誠選手。タイムは1分22秒866。
2日間のプラクティスでフロントまわりの仕上がりは納得のいくレベルとなり、翌日のウォームアップではリアタイヤのテストを続けたいと玉田選手はコメントしている。
「昨日より今日は少し良くなっています。」と玉田選手。
「スプリングの種類を変更してサスペンションの調整を行いました。フロントまわりのスライドコントロールが楽になりましたので、バイクにはさらに自信が持てます。」
「今日の路面温度はすごく高かったので、明日のウォームアップではいくつか別の種類のリアタイヤも試して異なる路面温度に対応できるように備えます。」
■ロッシ「ペドロサが速いので明日が心配」
4列目11番グリッドはキャメル・ヤマハのバレンティーノ・ロッシ。タイムは1分22秒868。
初日の状態に比べれば、キャメル・ヤマハのYZR-M1のセッティングに進展は見られたようだが、この日のロッシはフロントまわりへのブレーキング時の加重集中と、その際のマシン全体のバランスが調整しきれていない事に苦しんだようだ。
また、予選タイヤを装着してリアのグリップ力が増した事でこの問題はさらに顕著となり、ロッシは予選タイヤでタイムを大幅に上げる事ができなかったらしい。
ペドロサのペースが速いので明日が心配だとロッシはコメントしている。
「レース用のセッティングはそんなに悪くありませんが、予選タイヤでは全く状況が異なります。」とロッシ。
「今はバイクのフロントまわりに加重が集中しすぎていますが、予選タイヤでリアのグリップが増すとフロント加重がさらに強くなり、おかげで2〜3回は転びそうになりました。」
「手首はまだ少し痛みますが、正直言って乗っている時全く忘れているくらいですから、今日の問題とは関係ありません。」
「ペドロサのペースがすごく速いので、明日は厳しそうですね。しかもすごく後ろからスタートする事になりましたし。残念ながら今回11位になったのは運が悪かったせいとは言えません。」
「今日の自分たちは11位でも仕方のない状態でした。それにまだやるべき事はたくさん残っています。このコースは追い抜きが難しいので、レースでは順位を挽回できるいいセッティングが必要です。」
「現段階において、自分たちのバイクはまだ不十分ですし、この状況は今回に限られた事じゃないでしょうね。1年中予選では苦しみそうです。」
「明日は先頭グループを追いかけられるように、今晩もう一度メカニックにいい仕事をしてもらわなくてはなりません。」
■ロッシとのタイム差を励みとするチェカ
4列目12番グリッドはTECH3ヤマハのカルロス・チェカ。タイムは1分22秒964。
チェカとチームは、バレンティーノ・ロッシと互角のタイムで今回の予選を終えた事を非常に喜んでいる。ヤマハ勢全体が不調であり、かつロッシが本調子でない事を理解した上でも、この日の結果はチェカやダンロップ関係者にとって大きな励みとなったようだ。
予選よりも翌日のレースに自信が持てるとチェカは語る。
「もちろん個人的にもチームにとっても、バレンティーノに近いタイムが出せたのはいい事です。彼の順位がいつもの状態ではないにしても、バレンティーノが現時点で最高のライダーであることには間違いありませんからね。」とチェカ。
「今週はとてもいい方向性で作業ができましたし、ダンロップのレースタイヤも進化しました。ただ、特に予選タイヤですが、まだまだ制限が多いのも確かです。」
「すごくいいセッティングができていますので明日への準備は万端です。ここ数戦と同じ調子で走れる事を期待しています。ただ、ヤマハのライダー全員がここでは苦しんでいるので、現状に完全に満足しているという訳ではありませんが。」
「いずれにしろ、予選よりもレースの方に自信が持てますよ。いいタイヤもありますし、今回のセッティングならレース中もいいペースで走れると思います。もし明日のウォームアップで路面温度が十分に上がってくれれば、さらにいくつかセッティングの最終決定に向けてテストもできるので、そうなって欲しいです。」
「明日はスタートを成功させる必要があります。どんなにラップタイムが近くても、1コーナーに飛び込んだ時点で先頭から離れしまったら順位を取り戻すのは簡単ではありません。このサーキットは追い抜きが難しいですからね。」
■ド・ピュニエ「レースタイヤには自信がある、問題はスタート」
5列目13番グリッドはカワサキ・レーシングのランディ・ド・ピュニエ。タイムは1分22秒974。
ド・ピュニエはチームメイトの中野選手と同様に、リア・サスペンションのセッティングをこの日は大幅に変更している。これにより、レースタイヤでのマシン性能は大幅に改善する事ができたが、午後は予選タイヤとマシンのマッチングには苦しみ、翌日の決勝は5列目からのスタートとなった
日曜午前のウォームアップでは、レース本番に向けてのさらなる微調整を続けるとド・ピュニエはコメントする。
「予選で順位が下がってしまい、明日の13番グリッドからのスタートにはあまり満足はしていませんが、今日は予選タイヤではいい結果が出せる気がしませんでした。」とド・ピュニエ。
「フリー走行と予選中にはマシンのセッティングを何回も変更して、期待の持てる結果が得られていまし、コースで走る度にタイムは上がりましたからレースタイヤについては自信があります。」
「コースの第1区間ではまだタイムをロスしていますので、明日のウォームアップでもその点に集中するつもりです。バイクのセッティングもウォームアップ中にまだ少し変更しますが、一番大きな問題は明日のレースを5列目からスタートする事です。ザクセンリンクはそんなに抜き所が多くないですからね。」
「でも、少しの運さえあればいい結果を残せる可能性はまだあると思っていますし、今の目標は明日それを現実にする事だけです。」
■初めてのサーキットに苦しんだクリス
5列目14番グリッドはリズラ・スズキのクリス・バーミューレン。タイムは1分23秒050。
地道に初めてのサクゼンリンクでのコース学習を進めるバーミューレンは、2日目のこの日は初日の自己ベストタイムを2秒以上更新している。
予選ではあと一歩のタイムの伸びを実現できない事に苦しみ、納得のいくグリッド順位は確保できなかったものの、予選中にロングランをして見つけた翌日のレース用タイヤについては満足のいく結果が得られたようだ。
セッティングについては大きく進歩があったとバーミューレンは語る。
「今年最高の予選結果じゃない事は確かですよ。でもまあ、ここも初めて走るサーキットでしたからね。」
「昨日から今日にかけて、セッティングとラップタイムの両方で大きく前進しています。午後のセッションではロングランを行ってレース用のいいタイヤも見つけました。このタイヤはかなりいけると思います。」
「今回は2〜3の問題に少し苦しみましたが、自分のメカニックやチーム全員が問題を解決しようと真剣に取り組みました。明日も何点か試しますので、それが上手くいくといいですね。」
■エドワーズ、奇跡が必要
5列目15番グリッドキャメル・ヤマハのコーリン・エドワーズ。タイムは1分23秒087。
ドイツに来て以来、全く調子を上げる事ができないコーリン・エドワーズは落ち込んでいる。マシンの不調の原因が全く掴めず、異なるセッティングをどれだけ試しても解決策につながらないという。
明日は奇跡が必要とエドワーズは嘆く。
「やれる事は全部試したので失望です。落ち込みますね。ステアリングヘッドもリアのリンケージもスイングアームのリンケージも全部変更しましたが、何も変わりません。」とエドワーズ。
「バイクは昨日よりは良くなりましたが、まだ十分な速さは得られていません。他のライダーについて行こうとしても、みんなまるで自分とは別のサーキットを走ってるように離れていってしまいます。」
「正直本当にチームは他のどのサーキットよりもここで熱心に働いていると思いますが、全く何も起きませんので、もう奇跡でも起きない事にはなんともなりません。」
「現時点でこのバイクはちょっと厄介者ですね。いったい明日のレースに向けて何をすれば改善できるのかが分からないので不安です。とにかく今は作業を続けて午前中に何ができるか確かめるしかないです。」
■痛みの悪化したエリアス、目標は完走
6列目16番グリッドフォルツナ・ホンダのトニ・エリアス。タイムは1分23秒660。
エリアスは初日に引き続き左肩の痛みに苦しめられ、厳しい週末を過ごしたようだ。予選中は背中が痛み、思うように走れなかったとトニ・エリアスはコメントしている。
「背中の痛みに予選中は苦しみました。」とエリアス。
「昨日のセッション中に痛み出したんですが、今日はさらに悪化しました。今はすごく疲れてますし、痛みもひどいです。左コーナーが多いのが辛いですね。明日のレースは厳しくなりそうです。」
「でも、グリッドにたどり着けた事は嬉しいです。明日の目標はレースを最後まで走りきる事です。」
■ホームの予選での転倒を悔しがるホフマン
6列目17番グリッドはプラマック・ダンティーンのアレックス・ホフマン。タイムは1分24秒115。
ホフマンはこの日の予選中、不幸にして最速ラップでのタイムアタック中にフロントを失って転倒したが、怪我は全く無かったようだ。
ホフマンはホームの予選での転倒には深く落胆しているものの、翌日のレースに向けてのセッティングについては自信を示し、ホームレースでの走りに全力を尽くすとコメントしている。
「今日の仕事の内容にはすごく満足しています。」とホフマン。
「レースに向けては準備OKです。安定したリズムで乗れていますし、これは自分の自信にもつながります。もっとタイムを縮めたいとは思いますが、今日はこれ以上の結果は無理でした。」
「トップのライダーとの差をレースで縮められるように祈りましょう。ここでは自分のファンの前でいい結果が残したいんです。」
「今日の午後は予選タイヤで、いくつかの区間では自分よりも高いランキングにいるトップクラスのライダーたちと同じくらいの走りをしていました。コース前半では全然フロントのグリップに問題はなかったのですが、残念ながら最速アタックをしていた最終ラップにフロントを失って転んでしまいました。」
「せっかく自信を持ちかけたのに、本当にがっかりです。自分は通常あまり転ばないライダーなんです。」
「いずれにしても、明日のレースに向けての準備は万端です。母国のファンの前でベストを尽くします。」
■去年のタイムを0.5秒しか改善できなかった事を気に病むエリソン
6列目18番グリッドはTECH3ヤマハのジェームス・エリソン。タイムは1分24秒464。
初日の総合順位はタイムシートの最後尾だったエリソンは、今回の予選での最後尾は免れたものの、昨年のWCM時代の自身の自己ベストタイムを今年のYZR-M1に乗って0.5秒しか上回る事ができなかった事に極度の落胆ぶりを見せている。
TECH3ヤマハのチームオーナーであるエルベ・ポンシャラルは、前日のエリソンへの厳しい発言を撤回し、「昨日のエリソンは方向性を見失っていたが、今日のタイムの1分24秒台はMotoGPバイクのタイムとしてはかなり妥当なタイムの範囲だ。明日のレースでは彼がこのペースを最後まで維持できる事に期待し、順位を挽回できるように祈りたい。」と述べている。
ここまでの自信がなくなったとエリソンは語る。
「昨日のセッション中よりもタイムを縮める事はできましたが、あまり嬉しくないです。」とエリソン。
「セッティングが金曜日のような状態になると自信が持てなくなります。問題が山積みでしたし、もう一度自信を取り戻すのには時間がかかりそうです。サーキット到着時点で最高のセッティングが出せればレースウイークを通して自信を増強できますが、出だしが悪いとタイムを上げる事はかなり難しいです。」
「必死で作業は進めましたが、タイムが思うほど伸びませんでした。本当に23秒台には到達したかったんです。正直言うと、最後の予選でもミスを2〜3回して落ち込んでます。」
「もう一種類別のタイヤがあったんですが、試す時間が取れませんでした。それで速く走れたかもしれないし、余計に遅くなった可能性もある事くらいは分かってますが、試せたら嬉しかったでしょうね。」
「予選で去年と0.5秒しか違わないので全然嬉しくありません。今年は去年よりずっといいバイクに乗ってるのに。でも、もう結果は結果ですから仕方ありませんので、明日はスタートを成功させて、順位をいくつか挽回したいです。」
■カルドソ「ここ数戦はトップライダーのペースに近づいている」
7列目19番グリッドはプラマック・ダンティーンのホセ・ルイス・カルドソ。タイムは1分24秒651。
カルドソは、最後尾となった予選結果には不満を示すものの、最近のマシンの改善状況には満足している様子だ。
「自分の順位には満足できませんが、過去数戦からトップのライダーたちにリズムやペースが近づいています。」とカルドソ。
「自分のドゥカティーの感触は良くなってきていますから、明日は全てがうまくいく事を期待しています。」
「チーム全員の頑張りに報いるためにも、いいレースがしたいですね。」
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