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2006年7月13日
明日から開催されるMotoGPドイツ・グランプリは、125ccクラスと250ccクラスのライダーにとっては夏休み前の最後のGPとなる。MotoGPクラスのみが、ドイツGPに続けてアメリカGPを翌週に控えるという忙しい2週間に突入する。
昨年は9万5千人の超満員の観衆の前で行われたドイツGPにおけるMotoGPクラスのレースは、5周目にスズキのジョン・ホプキンスが大クラッシュを喫して赤旗中断、再開後は全25周のレースが行われたが、通常のMotoGPクラスは全30周のレースとなる。
ちなみに昨年は125ccクラスでもマヌエル・ポッジャーリのクラッシュによりレースが赤旗中断しており、同クラスは20周回のみのレースとなった。
尚、前回のイギリスGPに続き、今回の日曜日のレースも250cc、MotoGP、125ccという変則的な順序で行われる
■年間タイトルに向けて好調なレプソル勢
MotoGPクラスの現在のポイントリーダーはレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデン(153pt)、それを追うランキング2位は同じくレプソル・ホンダのチームメイトであるMotoGPルーキーのダニ・ペドロサ(127pt)だ。
前々回のアッセンではニッキー・ヘイデンが今期初の優勝を果たし、前回のイギリスGPではダニ・ペドロサがMotoGP初年度にして2度目の優勝を飾るという、今期は好調且つ安定した成績を誇るレプソル勢だが、既に二人を追うランキング3位にはキャメル・ヤマハのバレンティーノ・ロッシ(118pt)が浮上してきており、タイトル奪還を狙うホンダ勢にとっては全く油断のできない状況には間違いない。
■ロッシとのポイント差を維持したいニッキー
MotoGP王者のバレンティーノ・ロッシはアッセンで骨折して苦しい3連戦を過ごしたが、ドイツに向けては「体調は100%に近い状態で臨める」と発言しており、フランスから新シャシーを投入したヤマハYZR-M1はシーズン序盤のマシントラブルを殆ど解決してきている。
「初年度のポイントは全く意識しない」というマイペースのペドロサとは異なり、ホンダワークス4年目となり、今年はレプソルのエースライダーとして年間タイトルを狙うニッキー・ヘイデンにとっては、得意のラグナ・セカ(アメリカGP)を前に少しでも長く、ロッシが完全復活するまでにポイント差を維持しておきたいところだ。
■アメリカGP、ニッキーの優位性に陰り?
ドイツ次戦のアメリカGPについてだが、ニッキーが昨年に初優勝を飾った得意のラグナ・セカは今年は改修が進み、他のライダーを昨年は引き離していたコークスクリュー前のアップヒル・ストレート周辺の勾配が削られてしまっている。さらに、ロッシにとってラグナ・セカは今年は2年目であり、ニッキーにとってのアドバンテージだった筈のアメリカGPで、今年も去年と同様の強さをそのまま発揮できるかは不明だ。
ヤマハYZR-M1の完成度がこのまま高まれば、同郷のコーリン・エドワーズもアメリカGPで怖い存在となる。
ラグナ・セカの改修内容に昨年末は悲鳴をあげていたニッキーだけに、明日から始まるドイツGPでは翌週に続く母国GPへの弾みとなる強い走りが欲しい筈だ。
今回のドイツGPプレビューでは、好調のレプソル勢2名に加え、前回既に紹介したグレッシーニ・チームを除くホンダ勢(ホンダLCR、コニカミノルタ・ホンダ、チーム・ロバーツ)のザクセンに向けてのコメントを紹介する。
■旧ザクセンリンク・サーキットは公道コース
現在の全長3.6kmのショートコースであるザクセンリンク・サーキットは、ドイツのドレスデン市から南に約100km先にあり、全長8.6kmのロングコースとして知られていた旧コースのあるケムニッツからは西に約8kmの距離しか離れていない。
ケムニッツは1920年代から自動車レースで栄えていたモータースポーツの街であり、オランダのアッセンと同様に、この小さな街を囲む公道をレース用に閉ざして8.6kmのサーキットとして利用していたという歴史がある。これが初代ザクセンリンクだが、ドライバーやライダーの安全面を確保できない理由から、全く新しいコースレイアウトである現在のザクセンリンク・サーキットが1996年に建設されている。
現在のコースはGPカレンダーの中では最も低速なコースとして有名だが、2001年から2003年に追加されたコース後半の高速ダウンヒル区間では、MotoGPバイクの速度は時速300km/h近くに達する。
■ドイツGPの得意なレプソルライダー2名
レプソル・ホンダ・チームはザクセンリンク・サーキットに到着し、自信を持ってドイツGPを迎えようとしている。
ニッキー・ヘイデンは昨年のザクセンリンクではポールポジションを獲得している。レースの結果は3位だったが、優勝したバレンティーノ・ロッシとの差は僅か0.885秒だった。ザクセンリンクは彼にとって非常に好みのサーキットだという。
またチームメイトのダニ・ペドロサにとってもザクセンリンクは相性の良いサーキットだ。ルーキーである彼にとってMotoGPでのザクセンリンクにおけるレース経験は今回が初めてになるものの、過去2回の250ccでのレースは両方とも優勝している。
■ニッキー「後半戦は好きなコースが目白押し」
今期は安定した成績を誇るレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンだが、前回のイギリスGPでは予選で電気系トラブルに苦しみ、レース結果も7位に終わるなどマシンの仕上がりに納得のいかないレースウイークとなった。
ニッキーは、ドイツ以後はドニントンと同じ失敗を繰り返さないと、イギリスGP終了時点に語っていた。
「少し休みもとれましたし、今はドイツがとても楽しみです。」とニッキー。
「最初のセクションはほとんど鬼ごっこですよ。そこを忍耐強く我慢すれば、残りのセクションには大好きなコースが待っています。5速のギアで走り降りるのは本当に気分がいいし、上手く走れた時はすごい快感ですね。」
「まだ今シーズンのレースはたくさん残っていますし、大好きなコースがこれから目白押しですから、後半戦に向けての準備は気分的にも万全です。」
■マイペースで学習を続けるとペドロサ
ルーキー・イヤーにして3回のポールポジションと2回の優勝をシーズン前半に獲得しながら年間ランキングには興味がないと発言するダニ・ペドロサは、今回もマイペースでMotoGPの学習を最優先するとコメントしている。
「いつも通り初年度の目標に従い、このコースでRCVをどう扱うべきかを学ぶつもりです。」とペドロサ。
「ザクセンリンクはいくつかのとても低速なセクションと、すごく高速なセクションがありますから、このバイクで走ってみて実際にどうなるかはまだ分かりません。最初の区間は250でもタイトでしたからMotoGPなら尚更でしょうね。ですからMotoGPでどんな感じになるのか試すのが今から楽しみです。」
「過去何戦かのゼクセンでの成績はすごく良かったです。でもMotoGPでは初のチャレンジですから、何の保証もありませんよ。」
「ドニントンではいいレースができる機会に恵まれましたし、うまくそれを利用して結果にもつなげる事ができましたので、今週も同じように仕事を進めるつもりです。全てが狙い通りにいけば先頭集団で戦えるかもしれませんが、そうでなかったとしてもできる限りいい成績が取れるように、いつも通りベストをつくすだけです。」
■コニカミノルタ玉田選手「集中力は切らしていない」
コニカミノルタ・ホンダのライダー、玉田選手のドイツGPでの最高位は、ブリヂストンタイヤを履いて戦った2004年の6位だ。
イギリスGPの後、キャメルヤマハのコーリン・エドワーズと同様に日本の鈴鹿サーキットで8耐の合同テストに参加した玉田選手は、日本に戻っている間も全くGPに向けての集中力は切らさなかったという。
ここまでのシーズン前半は苦しい戦いとなり、フロントまわりのタイヤやマシンセッティングに納得のいく感触が得られていない玉田選手だが、前回のイギリスGPではレース当日にセッティングを大きく変更している。後半戦に向けても、チームと玉田選手のRC211Vの調整は続く。
「追い抜きで順位を挽回する必要がないならザクセンリンクはすごくいいサーキットです。」と玉田選手。
「コースは曲がりくねっていて長いストレートは多くありません。コース幅が狭い事もあり特に最初の区間は追い抜きが難しいですね。」
「先日は鈴鹿でテストを行いましたが、集中力は全く下げていませんので、ヨーロッパでチームとRC211Vのフィーリングを良くしていく準備は整っています。」
また、コニカミノルタ・ホンダのチーム責任者であるジャンルカ・モンティロンは、明日から始まるドイツGPに向けて以下の通りコメントした。
「ヨーロッパでの3連戦の後に少し休暇を取り、ここ数年で最も苦しいシーズンに立ち向かう準備は整っています。」とモンティロン。
「コニカミノルタ・ホンダチームの全員は、マコトに最大限の技術パッケージによる支援と励ましをこれまで通り続け、彼がレースで最も力を発揮できる環境を提供していきます。」
「MotoGPパワーには狭すぎる幅とタイトなコーナーの連続はありますが、その他の部分では多様なリズムの変化と豪快なライディングでバイクを乗りこなすという楽しみがあります。」
■表彰台への復帰を目指すケーシー・ストーナーとホンダLCR
ホンダLCRのケーシー・ストーナーは、イギリスGP直後に「本来は表彰台に乗れるレースを自身のミスでダメにしている」と述べ、4位で終えた過去2戦を振り返り今後の表彰台獲得および勝利に向けたレース運びを検討中だ。
「表彰台を2回取り損なった後の今回のレースはとても楽しみですよ。」とストーナー。
「チームは今の勢いを維持する為に真剣に働いています。今回好成績が取れれば、1週間後のラグナにも期待が持てるでしょうね。」
■チーム・ロバーツ、マシンの熟成が進む
チーム・ロバーツは、ホンダRCVエンジンを搭載するKR211Vにイギリスから新型シャシーを投入したが、前回はレースでの使用を延期している。ケニー・ロバーツ・ジュニアは、今回のドイツでもその新型シャシーの熟成に向けての作業を続けるようだ。
前の型のシャシーでは3位表彰台と2回の5位を獲得するという好成績を収めているが、新型シャシーではさらに高いマシン性能の実現をチーム・ロバーツは目指しており、今回持ち込むシャシーはイギリスGPの時よりもさらに進化が見られる筈だという。
このまま2種類のシャシーを平行してテストすると、ロバーツ・ジュニアは語る。
「今は両方のシャシーが同じ挙動を示すように調整しています。プラクティスを使って実際にコースでそれを試す時間がもっと取れるでしょうね。」とロバーツ・ジュニア。
「ここではいつも成績は悪くないし、コースもよく知っていますので、色々うまくいく事を期待しています。」
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