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カタルーニャGP 1コーナーでの事故とその後のライダーの様子 |
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2006年6月19日
6月18日にスペインのモントメロで行われたカタルーニャGPのMotoGPクラス決勝レースは、1周目の1コーナーで3人のライダーが大怪我を負い、レースは赤旗中断するという最悪のオープニングとなった。また、再開後のレースでもリタイアが相継ぎ、この日は11人のライダーのみが完走している。
シグナルが消えた直後のオープニングラップ、ロングストレートを加速しながら各ライダーが1コーナーへ向かう中、ドゥカティーのセテ・ジベルナウはやや右側に寄る形で加速を続けていた。
■1コーナーでの事故の様子
ケーシー・ストーナーを始めとする先頭集団が1コーナーに差し掛かる頃、ジベルナウは自分の右前方を走行していたチームメイトのロリス・カピロッシに並びかける形でフロントブレーキレバーのある右手側を接触。ジベルナウのバイクは時速195kmに達した状態でつんのめり、バイクは前輪を軸にする形で後輪を持ち上げ、空中を飛びながら1コーナーに向かうライダーたちの中で弧を描くように激しく前転した。
セテ・ジベルナウはこの衝撃で宙をまう自分のバイクの前方に投げ出される形でアスファルトに叩きつけられ、時速200kmに近い速度で落下してきた自分のマシンの直接的な最初の衝撃は免れたものの、回転しながら跳ねて暴れる自分のバイクと何度も絡まるようにしてアスファルトの上を高速で転がり1コーナーに突入。グラベルを飛び跳ねながら延々と転がり、滑り続けてようやく止まった。
■セテ・ジベルナウは鎖骨を骨折
上半身を持ち上げながらシールドまわりが完全に壊れたヘルメットの中でジベルナウは苦痛の表情を見せている。彼は意識を失う事はなかったようだが、この衝撃で左の鎖骨を骨折しており、グラベルを回転中に胸の附近を必死に手でかばっていた。
カワサキのランディー・ド・ピュニエはセテ・ジベルナウのバイクを避ける形でグラベルに逃げ転倒したが、怪我は全くなかった。
このジベルナウの転倒は連鎖事故を生んでいる。ジベルナウに右へ押し出されたロリス・カピロッシは、さらに右横側を走行していたフォルツナ・ホンダのマルコ・メランドリのバイクの左側面へ追突。メランドリとカピロッシはそれぞれのバイクが左に傾き転倒する途中、自分たちのバイクの前方のアスファルトに投げ出された。
■最悪の巻き込まれ方をしたマルコ・メランドリ
カピロッシは自分のバイクに押し出される形でアスファルトの上の長い距離を滑りながらグラベルに突入し、セテ・ジベルナウの手前で止まったが、一時的に脳震盪を起こして全く身動きをしない。
メランドリは自分のバイクと絡みながら1コーナー側に向かって滑り続ける途中、1コーナーを右に曲がろうとしたレプソル・ホンダのダニ・ペドロサの進路を塞ぐ位置に飛び出した。
ペドロサのバイクはアスファルト上のメランドリとバイクに接触し、すぐにペドロサは曲がるのを諦めてバイクを立て直そうとしたが、今度はリズラ・スズキのジョン・ホプキンスの1コーナー進入の進路をペドロサが塞ぐ形となり、ホプキンスはペドロサの左側面に接触。ペドロサのバイクは衝撃で再びアスファルト上を滑るメランドリと彼のバイクに接触し、少し跳ね返る挙動を見せた。
メランドリの身体は本人のバイクとペドロサのバイクに挟まれた状態でアスファルトを滑りながらグラベルに突入し、何度か転がりながら停止した。メランドリに意識はなく、ぐったりとグラベルの上に倒れたまま身動き一つしない。この時、ジョン・ホプキンスのバイクもペドロサのバイクの左側と接触して併走しながらグラベルに突入している。
■カピロッシ、昨年のオーストラリアでの怪我への悪影響を懸念
メランドリは意識を失ったまま首を固定された状態で担架に乗せられ、意識を取り戻したカピロッシ、および痛みを訴えるセテ・ジベルナウとともにクリニカ・モバイルへ運ばれ、コスタ医師の診療を受けている。
カピロッシは昨年のオーストラリアGPで転倒した時に肺の中が出血するという怪我を負っているが、今回の事故の影響で同じ症状が出ているのではないかと心配されている。カピロッシに骨折はないものの左胸が腫れており、腹部と合わせてレントゲン検査を受けている。
■メランドリは左肩を脱臼し、事故の記憶は無し
メランドリは左肩の脱臼と脳震盪を起こしていたが、現在意識は回復して肩の痛みを訴えている。フランスでのド・ピュニエの1コーナー奥のシケインでの転倒と同様に、彼も全く事故の事を記憶していないらしい。
担架に乗せられたメランドリと、肩を支えられて歩くカピロッシの2名は、共にヘリコプターでバルセロナ市内の病院に搬送され、更なる検査を受けている。
■セテの乗った救急車が交通事故
鎖骨を骨折したセテ・ジベルナウは救急車で近くの病院に運ばれたが、彼を運ぶ救急車は病院から50メートル附近の距離でバスと交通事故を起こしている。尚、この交通事故では特にジベルナウは追加の怪我を負ってはいない。
24時間以内に容態が悪化しない限り、ジベルナウは折れた鎖骨を金属の板で固定する手術を受ける予定になっている。
セテ・ジベルナウ、ロリス・カピロッシ、マルコ・メランドリの3人とも幸い命に別状はないが、今週のオランダGP(木曜日〜土曜日)への出場可否については現在のところ不明だ。
負傷した3人以外に、ダニ・ペドロサ、ランディー・ド・ピュニエ、ジョン・ホプキンスを合わせた合計6人のライダーが今回の事故で転倒しており、レースは赤旗中断。仕切り直しとなった。
■マルコ・メランドリのコメント
尚、意識を取り戻したマルコ・メランドリは、以下の通りコメントしている。
「スタートに失敗し、すぐにポジションをいくつか挽回したところで転倒しました。でも、それ以上の事は何も覚えていません。」とマルコ・メランドリ。
「肩のまわりが凄く痛いです。でも意識ははっきりしていますし、記憶もそのうち取り戻せると思います。」
「今回お世話になったコスタ先生と、移動中も付き添ってくれたクリニカ・モバイルのスタッフに感謝します。」
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