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2006年6月17日
6月16日(金)、スペインのバルセロナより20キロメートルの距離に位置するモントメロにてMotoGPカタルーニャ・グランプリが開催された。GP初日となったこの日、MotoGPクラスは午前と午後にフリー走行、125ccと250ccクラスは午前にフリー走行と午後に第一回目の予選が行われている。
カタルーニャはタイヤの耐久性能が強く要求されるサーキットであり、MotoGPクラスの昨年の決勝ではブリヂストン勢が苦戦し、ミシュラン勢が優位に立っている。
■3月のプレシーズンテスト中のカタルーニャでの状況
しかしながら、今年の3月に行われたIRTAテストでは、ドライ路面でダンロップタイヤを履くカルロス・チェカが2番手タイムの1分43秒142、ブリヂストンタイヤを履くカワサキの中野真矢選手が1分43秒245の3番手タイムを記録しており、ミシュラン以外のタイヤメーカーの開発状況に希望が持てる結果となっていた。
もちろん3月のタイムは予選タイヤによるタイムアタックの結果であり、カタルーニャで最も重要とされるレースタイヤによる耐久性という観点ではあまり意味のない数値だが、2日目の予選とスターティング・グリッドの行方を占うという点では参考にできる値だろう。
ちなみに、ドライ路面でのこの時のトップはミシュランタイヤを履くキャメル・ヤマハのバレンティーノ・ロッシが記録した1分42秒477、4番手タイムは同じくキャメル・ヤマハ、コーリン・エドワーズの1分43秒388だった。まだ3月のカタルーニャではキャメル・ヤマハ・チームの06型YZR-M1の振動問題が発覚しておらず、「2006年はキャメル・ヤマハが1・2制覇する」とコーリン・エドワーズが自信に満ちあふれた発言をしていた時期だ。
また、雨となったIRTAテスト2日目午後のBMW杯(ウェット・セッション)では、コーリン・エドワーズがトップタイムの1分57秒102を記録してBMWを獲得している。このセッションではダンロップを履くTECH3ヤマハのジェームス・エリソンが4番手(1分59秒619)、当時はまだ新しいコースを覚える事で精一杯だったブリヂストンを履くスズキのクリス・バーミューレンが5番手(2分00秒001)に躍り出て周囲を驚かせていた。
■小排気量クラスの第1予選状況
この日は125ccクラスと250ccクラスの第1予選が行われている。
終日ドライ・セッションに恵まれるかのように思われた初日のカタルーニャ・サーキットだが、この日の125ccクラスはセッション序盤10分程度のみドライとなり、残り大半は通り雨によりウェットセッションとなっている。雨を予期したライダー達はセッション開始直後に一斉にピットから飛び出し、コース上では決勝レースさながらの群集となったライダーたちが前を争っていた。
125cc初日の予選を制し、暫定ポールを獲得したのはKTMのミカ・カリオ(1分57秒275)。2番手は昨年のチャンピオンであるエリット・カフェラテ(ホンダ)のトーマス・ルティー(1分57秒739)、3番手はバルジール・セードルフ・レーシング(ホンダ)のミケーレ・コンティ(1分58秒061)、4番手にはFFM・ホンダ・チームのマイク・ディ・メッリオ(1分58秒155)が続いた。
短いドライの時間内にマシンの調子が上がらなかったポイントリーダーのマステルMVAアスパル所属のアルバロ・バウティスタ(2分04秒421)は36位と低迷。前回のイタリアで優勝を飾ったバウティスタのチームメイトであるマティア・パッシーニ(2分01秒273)も28位で初日を終えるという波乱の第1予選となった。
マラグーティの小山知良選手は23番手タイムとなる2分00秒427を記録して初日の予選を終了。
尚、アルバロ・バウティスタはこの日午前のドライでのフリー走行においてはトップタイムとなる1分51秒343を記録しており、2日目の第2予選がドライセッションとなる場合には大きな順位変動が予想される。
フォルツナ・アプリリアに所属するエクトル・バルベラのオフウイーク中の骨折や、レプソル・ホンダのセバスチャン・ポルトがグランプリ直前に引退を発表する等、衝撃的なニュースの続いた250ccクラスだが、この日の第一予選は完全ドライの路面状況下で行われ、暫定ポールはエクトル・バルベラの代役として参加したアレックス・デボン(1分47秒231)が獲得している。
2番手はヒューマンゲスト・ホンダのアンドレア・ドヴィツィオーゾ(1分47秒519)、3番手はKTMの青山博一選手(1分47秒751)、4番手にはフォルツナ・アプリリアのホルヘ・ロレンソ(1分47秒823)がつけた。青山博一選手はセッション終盤に転倒しているが、特に怪我はないようだ。
5番手は青山博一選手のKTMのマシンに常時絡みながらタイムを上げていたジレラのマルコ・シモンチェリ(1分48秒118)、6番手はセバスチャン・ポルトの引退によりチームメイトが不在となったレプソル・ホンダの青山周平選手(1分48秒157)、7番手にはマステルMVAアスパルのアレックス・デ・アンジェリス(1分48秒189)、8番手にはセッション序盤に転倒して後半はタイムを上げる事が出来なかったヒューマンゲスト・ホンダの高橋裕紀選手(1分48秒410)が続いた。
■MotoGPクラスの1日目状況
金曜日の初日、MotoGPクラスは2回のフリー走行が行われている。午前のフリー・プラクティス1開始時の気温は21度、路面温度は34度、湿度は38%で路面は完全ドライ状態だった。
午後の最初のセッションである125ccの予選では雨が降り、その直後に行われたMotoGPクラスのフリー・プラクティス2開始時に路面は湿った難しいコンディションとなっていたが、セッション中盤を過ぎる頃に路面は乾き、走行を躊躇していたライダーたちも一斉にコースに飛び出している。午後のセッション中の気温は25度、路面温度は30度、湿度は41%となった。
■好調なロバーツジュニア、新型シャシーを導入したTECH3ヤマハ
この日最も注目されたライダーはチーム・ロバーツのケニー・ロバーツ・ジュニアだろう。
ロバーツ・ジュニアは唯一午前と午後の両方で1分42秒台の好タイムをマークしており、午後のセッションでは最終的にバレンティーノ・ロッシに僅差でトップタイムの座は渡したものの、オフウイーク中に自信の発言をしていたKR211V新型シャシーの熟成度合いが本物である事をアピールしている。
ちなみに昨年のカタルーニャでのレース中のラップレコードはバレンティーノ・ロッシの持つ1分43秒195であり、今年は初日から3名のライダーがこのタイムを上回るというハイペースな戦いとなった。
また、この日の午前のフリー・プラクティス1終了時点で8番手タイムを記録していたダンロップを履くTECH3ヤマハのカルロス・チェカは、ヤマハワークス同様にチャタリング対策として新型シャシーを導入している。
■シーズン中盤に向かい苦戦する日本勢
排気系システムやレブリミットの引き上げなど、マシン改善策に本格的に取り組むカワサキだが、中野真矢選手はブレーキング時のマシンの安定性にこの日は問題を抱え、タイムを伸ばす事は出来なかったようだ。
また、コニカミノルタの玉田誠選手は主にコーナー出口からの加速に問題を抱えており、第2区間と第4区間でタイムを落としている。
■初日のトップタイムはバレンティーノ・ロッシ
この日総合のトップタイムは、好調のロバーツ・ジュニアを僅差の0.086秒差で抑えたキャメル・ヤマハのバレンティーノ・ロッシが午後に記録した1分42秒837。
シーズン序盤の不調を全て払拭するかのように前回のイタリアでは初日からトップタイムをマークしてきたバレンティーノ・ロッシだが、今回のカタルーニャでも同様に初日からタイムシートの先頭に立った。
初代06年型M1ではマシンの振動対策ばかりでセッティングどころではないとシーズン序盤に漏らしていたバレンティーノ・ロッシだが、新型シャシーのお陰でやっと通常のレースウイークが過ごせるようになったと今のロッシは喜びを隠さない。
「今日は激務でしたがいいラップタイムを残せて嬉しいです。」とロッシ。
「シーズン序盤は振動問題の解決ばかりに時間を費やし、まともにプラクティスを利用できませんでしたが、今は新型シャシーのお陰で本来の仕事ができるようになり、やっとレースに向けてのセッティングとタイヤの作業に集中できます。」
「まだこのマシンを使うようになって4時間しか経っていないのに既に好調なのは大きな励みになりますし、これから良くなる兆しでしょうね。このサーキットは好きですしM1で走ると凄く楽しめますが、まだ明日もやるべき作業は残っており、特にフロントのグリップをもっと得られるようにしたいです。」
「このコースでは2〜3人凄く速いライダーがいますので、日曜日のバトルは激しくなりそうです。」
ロッシに次ぐ2番手タイムはチーム・ロバーツのケニー・ロバーツ・ジュニアが午前に記録した1分42秒923。
イタリアGP翌日のムジェロのテストでフランスから導入した新型シャシーのセッティングを完璧に仕上げたというロバーツ・ジュニアは、今回のカタルーニャに向けて大きなセッティングの変更は既に必要ないと自信の発言をオフウイーク中にしていたが、どうやらKR211Vの開発状況はその言葉通り好調のようだ。
カタルーニャではムジェロで調整を完了したメインのマシンに続き、スペアマシンのシャシーセッティングを行うとしている。
■地元で初日からハイペースのペドロサ、エドワーズも復調
初日総合の3番手タイムはレプロス・ホンダのルーキー、ダニ・ペドロサが午後に記録した1分43秒036。この日はペドロサまでの3名が昨年のラップレコードを上回るタイムで走行した。
多くの地元スペイン人のファンが見守る中、この日のペドロサは午前と午後の両方で3番手タイムを記録しており、今年3月のカタルーニャでのIRTAテストで10番手以下だった時からの成長度合いをファンに示す事ができたようだ。
初日から速く走れた事が嬉しいとダニ・ペドロサはコメントする。
「今日はいい感じでした。それに昼食時は雨だったのに午後は殆どドライセッションで走れてラッキーでしたね。このままいい天気が続くように見守りたいです。」とペドロサ。
「だいたい金曜日はあまり速く走れない事が多いのでこの順位は嬉しいです。たぶん前回ここで走ったのが効いてると思います。」
「明日は他のライダーも速くなるのは間違いありませんから、まだ道のりは長いしやる事もたくさんあります。今のセッティングとラップタイムはそれほど悪くありませんが、明日になって全体のタイムがどうなるか様子を見たいですね。それと天気もです。」
「3月のテストの時は寒かったので、あの時に比べると今回の気象条件は凄くいいです。ファンがもうたくさん見に来てくれていますが、明日はグランドスタンドも殆ど満員になります。みんな楽しんでくれると思いますよ。」
総合4番手タイムを記録したのはキャメル・ヤマハのコーリン・エドワーズ。ムジェロで初めてロッシと同じ新型シャシーを導入したコーリン・エドワーズだが、前回は調整時間が十分ではなくロッシ用のセッティングをそのまま利用していた。
今回もムジェロ翌日のテストに引き続き、ロッシのセッティングをベースにシャシーのセッティングを探ったエドワーズだが、初日から納得のいく結果が得られたようだ。この日のエドワーズの自己ベストタイムは午前に記録した1分43秒197。
「そんなに悪くはなかったですね。」とエドワーズ。
「ここ数戦は厳しい作業の連続でしたが、やっと集中すべき作業の方向性が見つかりました。今は時間を無駄にせずに進歩できています。」
「ここでのプレシーズン・テスト中はウェットで速く走れましたがドライはそれほどでもありませんでしたので、新型フレームの効果が早速現れたのがわかり嬉しいですね。基本的にはムジェロと同様にバレンティーノと同じバイクとセッティングを使っていますが、ここではうまく機能するようです。」
「ムジェロ翌日のテストでは大きく進歩があったので、ここに来るのを指折り数えて楽しみにしていました。」
「明日雨が降らなければ他のライダーはさらに速くなるでしょうね。でも自分たちは初日から開発がはかどり、今後改善を進める上で有利な状況なので、このまま頑張ってもっとリードを広げられればチャンスはありますよ。」
■IRTAテスト中の公式セッションに続き高順位のバーミューレン
初日の5番手タイムはリズラ・スズキのクリス・バーミューレンが午後に記録した1分43秒308。
久しぶりに走行経験のあるサーキットでのグランプリ初日を迎えたクリスは、過去何戦かのように新しいコースを覚えるための走り込みではなく、最初からマシンのセッティングに集中しての作業を進める事ができたようだ。
クリスはレースウイーク初日に快調なスタートが切れた事を喜んでいる。
「いままでのグランプリの中で一番いいスタートが切れた事は間違いないです。」とクリス。
「ここは暑くて湿度が高いです。今日もまた雨でコースが少し使えませんでしたが、もう今年は全然このケースは珍しくなくなりましたね。」
「スズキはここカタルーニャに向けてマシンにいくつか修正を加え、ストレートでは少しその効果が出ていますが、まだ他のチームに比べると少しパワーが落ちますね。ブリヂストンは凄く長持ちするタイヤを持ち込んでくれたので一度にたくさん周回する事ができました。お陰でバイクの調子もいいです。」
「明日はさらにうまくいって予選でもいいポジションが狙えるといいですね。」
■タイヤをやっと手に入れたストーナー、自信に満ちあふれるホッパー
初日総合6番手のタイムは、ホンダLCRのルーキーであるケーシー・ストーナーが午後のセッションで記録した1分43秒380。
ストーナーは今回、前回のイタリアGPで転倒して首を捻挫した事から参加ができなかったムジェロでの合同テストで元々行う予定だったミシュランタイヤのテストを行っている。
「雨で貴重な時間が少し無駄になりましたね。」とストーナー。
「今日は午後の早いタイミングで走る事にあまり意味はなかったと思います。タイヤを無駄に消費しても仕方ないですからね。」
「午前は全くバイクから感触が得られず凄く難しいセッションでしたが、午後の後半に他のライダーが履いてるタイヤを初めて試して、だいぶ自信を取り戻しました。」
「このタイヤなら全体的にすごくいい感触が得られますので、残る自分たちの課題はリアのグリップの改善です。」
総合7番手タイムとなる1分43秒421を午後に記録したリズラ・スズキのジョン・ホプキンスは、この日は日曜日の25周のレースを想定したロングランを行い、ブリヂストンタイヤの選択に集中したようだ。
ホプキンスは2日目の予選での高順位獲得にも意欲を示す。
「バロセロナに戻れて嬉しいです。」とホプキンス。
「ここでの冬季テストは好調でしたし、今日も全てうまくいきました。残念ながら今回も中途半端な路面コンディションが午後にあり少し時間を無駄にしてしまいましたが、なんだか今年は雨なしでレースウイークを過ごす事ができないように思えてきますよ!本当は午後にたくさんやる事があったんですが時間が足りませんでした。」
「全体的に全てがどんどん良くなっています。今週は前に抜け出るいいチャンスだと思いますから明日はドライになって欲しいですよ。」
■ブリヂストンの進化に納得するカピロッシ、余裕のメランドリ
この日ドゥカティーの二人は予選タイヤを一切使用していない。
前回のイタリア・グランプリではバレンティーノ・ロッシとの熾烈な戦いを繰り広げて2位表彰台を獲得したドゥカティーのロリス・カピロッシは、この日8番手タイムとなる1分43秒433を午後に記録している。
この日カピロッシは安定したペースで周回を重ね、その中の自己ベストタイムがトップから0.596秒しか離れていない事に日曜のレースへの可能性を見いだしている。また、昨年は決勝12位という苦しい戦いを強いられただけに、今年のブリヂストンタイヤの進化には満足できるようだ。
「毎回の事のように今日も少し雨が降りましたが、全体的に見ればいい日だったと思います。」とカピロッシ。
「ここまではまだ自分のバイクのセッティングに100%満足しているとは言えませんし、もう少しタイヤに合わせた調整がいります。ただ、明日の2時間のセッションを日曜のレースに向けて有効に使って改善策を見つける自信はあります。」
「今日の午後のセッションでは12周の連続走行を行い、自分のペースにはかなり満足できました。このコースが自分たちにとって他のチームよりも難しい事は最初から分かっていますが、それほど調子は悪くありませんし、何より重要なのは去年よりもかなり状況は良くなっている事です。」
今期2回の優勝を果たしているフォルツナ・ホンダのマルコ・メランドリが初日の午後に記録したタイムは総合9番手となる1分43秒500。
この日メランドリはムジェロのセッティングから作業を開始し、日曜のレースに向けて多くの貴重なデータを収集できたようだ。
「今日は両方のフリー・プラクティスで順調に作業が進みましたし、いいデータも集められたので嬉しいです。」とメランドリ。
「今回はムジェロと同じセッティングを試して、ほんの少しだけ変更しました。タイヤテストからもいい情報が得られましたので、今日は焦りもなくモチベーションも高く維持できています。」
「作業はいい方向に進みましたから、9位でも特に心配はしていません。レースに向けてのセッティングも順調ですし自信があります。予選でいい勝負をするのが楽しみです。」
■ニッキー「明日は大丈夫」、セテ「ブーツをありがとう」
総合10番手タイムはレプソル・ホンダのエース、ニッキー・ヘイデンが午前に記録した1分43秒522。初日のニッキーはカタルーニャの誇る長いコーナーでのグリップ不足に苦しんだが、2日目以降に向けての自信はあると述べる。
「今日の順位には当然わくわくしません。今のところ十分な速さで走れていない証拠でしょう。」とニッキー。
「たぶん今朝はちょっと間違った流れで作業を進めてしまったので、明日の朝は違うセッティングに戻してみるつもりです。まあ金曜日にはこんな順位にいる事が多いですからね。周りのみんなとアイデアを出しあって明日はもっと改善しますよ。」
「特に長いコーナーではフロントが大回りしてリアがひどくスピンしてしまい、十分なスピードが出せません。ここは長いコーナーがたくさんあるのでそれが苦手だとタイムが極端に落ちるので、チームとしっかり相談して明日の朝には改善するつもりですよ。日曜日までにはいいパッケージに仕上がると思います。」
11番手タイムである1分43秒617を初日に記録したドゥカティーのセテ・ベルナウは、この日はタイムアタックよりもレース用のタイヤ選択とマシンセッティングに集中したようだ。
もう少しベースセッティングを煮詰める必要があるとジベルナウは語る。
「ここでは基本的にムジェロと同じセッティングから作業を始めましたが、もう少し変更の余地がありそうです。」とジベルナウ。
「以前ここで試した時よりタイヤとバイクのパッケージは良くなっていると思いますが、まだコーナー出口で凄くスピンするので、ロング・コーナーの多いこのコースで特に重要となるコーナリングからの加速が不十分です。」
「チームと一緒にタイヤにあったより良いセッティングを探りたいと思います。今日は試せませんでしたが、明日試すタイヤはたぶん今回で一番いいリアタイヤだと思いますので、まずそれの様子を見ます。」
「Spidiはブーツをしっかりと直してくれましたので、大変に感謝しています。」
■キャメル・ヤマハに続き、TECH3にも新型シャシー
ダンロップを履くTECH3ヤマハのカルロス・チェカは、午前中のフリー・プラクティス1では8番手タイムとなる1分43秒617を記録した。これは今期のIRTAテスト中に自身が記録した1分43秒142には届かないもの、総合タイムでドゥカティーのセテ・ジベルナウと並び11番手となる好タイムだ。
また、カルロス・チェカの公式ページによれば、今回チェカのバイクにはチャタリング対策用に新型シャシーが導入されたようだ。これはヤマハワークスのバレンティーノ・ロッシとコーリン・エドワーズのバイクに導入されたものとは異なるシャシーのようだが、仕様は非常に近いらしい。
以下にカルロス・チェカの公式ページに公開された6月16日の本人のコメントを引用する。
「今回のグランプリから、ここでのIRTAテスト中や最近も悩まされていたチャタリングを解消する為に新型シャシーを導入しましたが、高い効果が得られました。」とチェカ。
「ファクトリーバイクに導入された新型シャシーとは全く同じものではありませんが、非常に近いものです。お陰で今のバイクの感触はとても良くなっています。」
「タイヤの反応もまた良くなっていますが、まだ改善の余地はあります。今日はムジェロ翌日のテストで試したのと同じリアタイヤで作業を進めましたが、午後に12周を走行してみてとても期待が持てる結果が得られています。」
「ムジェロでは最初のラップから最後のラップまでに2秒遅くなりましたが、今回は最後まで同じリズムが保てました。」
「まだ今の自分たちのペースではトップを争える状況にはありませんが、明らかに進展はしていますのでより良い順位が期待できると思います。また、明日は新しいリアタイヤのテストも行う予定です。」
「今日のセッションの終盤に新しい予選タイヤをテストしていますが、これはあまり満足のいくものではありませんでした。ただ、このレースウイーク中のテストで有益な情報は数多く得られる筈です。」
「フリー走行では他のライダーたちと近いタイムを今回記録する事ができましたので、明日はさらにいい順位も期待できると思います。今後も自分たちの計画通りに作業を続け、日曜日のレースまでには現在可能な最高のレベルに仕上げたいと思います。」
■トップ10に入れず不満のド・ピュニエ、地元にかけるエリアス
午後にチームメイトの中野真矢選手のタイムを上回る13番手タイムの1分43秒784を記録したカワサキのランディー・ド・ピュニエは、この日は順調に走行リズムを掴んだものの、トップ10入りを果たせなかった事には不満のようだ。
「速いタイムを出そうと頑張った上に今日は暑かったのでセッション終盤までに少しエネルギーを消耗しました。」とド・ピュニエ。
「今日はバイクの感触がいいし最後の走行もうまくいったので、トップ10に入れなかった事には少しがっかりしています。今の段階では第二区間にいくつか問題があり、もう少しライン取りを見直してどこでタイムを削れるか考える必要があります。」
「トップからは1秒も離されていませんので、スタッフの協力で明日はもっとタイム差を縮められると思います。」
フォルツナ・ホンダのトニ・エリアスが初日に記録したタイムは総合14番手となる1分43秒934。午前のタイムは更新できなかったエリアスだが、この日は今までに解決できていなかったマシンの課題を改善するアイデアをいくつか試し、ホームでのレースに向けて前向きな結果が得られたようだ。
スペインの地元ファンの前でいいレースが出来るようにしたいとトニ・エリアスは語る。
「2つのセッションを通していくつか異なる解決策を試してみました。」とエリアス。
「ムジェロからはさらに一段階進歩しましたし、バイクの感触も良くなりましたのでレースが今から楽しみです。チームはうまく自分のホームサーキットにあわせてマシンをバランスよくセッティングしてくれる筈です。」
「今回のGPは自分にとって凄く重要です。いつでもホームレースは特別ですので、スペインのファンにはいいレースを見せたいと思います。」
■落胆する中野選手、データ分析を急ぐと玉田選手
総合15番手タイムはカワサキの中野真矢選手が午後に記録した1分43秒937。この日中野選手はブレーキング時のマシンの安定性に問題を抱えており、思うようにタイムを伸ばせなかったようだ。
初日の結果には落胆する中野選手だが、夜に行うシャシーセッティングの改善作業により問題は改善され、2日目のフリー走行と予選ではより良い結果を残す事に自信を示している。
「プラクティス直前の雨のせいで違うリアタイヤを試すまでに20分間必要でした。」と中野選手。
「最終的には3つのスリックタイヤをテストしましたが、一番最後に使ったタイヤが全体的に凄く良かったです。」
「今日の一番の問題はブレーキング時の安定性です。コーナーに自信を持って飛び込む事ができないので、早めにブレーキを握ってバイクが安定するのを待ってから曲がらなければいけませんでした。これで凄くタイムをロスしています。」
「今晩はバイクのバランスを変更して安定性を改善するつもりですので、ブレーキングにはもっと自信が持てるようになる筈です。明日のプラクティスで順位は上がると思います。」
初日総合の16番手タイムはコニカミノルタ・ホンダの玉田誠選手が午後に記録した1分43秒944。
玉田選手はムジェロ翌日のテストでミシュランが持ち込んだ新型タイヤに好感触を示し、今回はその同種類のタイヤを午前と午後の両方に試したが、第2区間と第4区間を攻める上で玉田選手が求めるタイヤの感覚がこの日は得られなかったとコニカミノルタの責任者であるジャンルカ・モンティロンは説明した。また、不安定な天候が災いした事もモンティロンはつけ加えている。
玉田選手はデータを分析して改善策を見つけたいとコメントした。
「イタリアGP翌日のムジェロのテストの時と同じように、ここでもいい感覚は得られそうです。」と玉田選手。
「今のところ、特に第2区間と第4区間にあるコーナー出口で素速く加速する事ができていません。これからデータをしっかり分析して原因を理解し、解決策を見つけたいと思います。」
■地道なダンロップ勢
17位から19位までには、今回11位のカルロス・チェカを除くダンロップユーザーが続く。
ダンロップを履くTECH3ヤマハのジェームス・エリソンが記録したタイムは、この日17番手となる1分45秒616。
今回もかろうじてダンティーン・チームの2名よりも上位にはつけたが、エリソンが目標とするチームメイトのカルロス・チェカとのタイム差は約2秒まで広がってしまった。
また、TECH3ヤマハと同じくダンロップを履くプラマック・ダンティーン・チームの2名のライダーは、日曜に向けてデスモセディチGP6Sat.のレースセッティングにこの日は集中している。
総合18番手タイムとなる1分45秒912を記録したプラマック・ダンティーンのアレックス・ホフマンは、目先のラップタイムよりもシーズン全体に役立つレース用セッティングを見つけたいとコメントしている。
「今日はたくさんテストをこなしました。」とホフマン。
「特にレースタイヤのテストを多くこなしましたが、それ以外にマシンの全体的なセッティングも調整しました。自分たちの最大の目標はレースでいいリズムを掴めるようにする事ですので、まわりに関係なく今の作業に集中しています。」
「明日はまだ新しいタイヤのテストが一つ残っていますので、マシンの全体的なバランスと安定性を強化できるようにドゥカティーのサスペンションを調整する予定です。」
「まだレースでは他のライダーたちに取り残されていますから、ラップタイムよりもレースに向けての調整作業に集中しているんです。今週の日曜日のためだけではなく、シーズン全体を通して役立つようにです。」
アレックス・ホフマンのチームメイトのホセ・ルイス・カルドソは、初日の最後尾タイムとなる19番手の1分46秒207を記録。
カルドソはこの日、期待を持ってマシンのセッティングを一部変更したが、特に効果は得られなかったと語る。
「今朝はいくつかバイクのセッティングを変更しましたが、期待したような結果は得られませんでした。」とカルドソ。
「全てのデータを比較して詳細値を調査し、明日の作業内容に反映します。今回は母国スペインでのレースですから大切なグランプリですし、母国の観衆の前でいい結果が残したいです。」
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