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2006年6月6日
6月4日、イタリアGPMotoGPクラスが、8万9千人の熱狂的な観客が集まったムジェロ・サーキットにて決勝の日を迎えた。
初日と2日目は曇りがちな天候により路面温度がなかなか上がらない状態が続き、低温路面を苦手とするライダーが無理なタイムアタックを避けるシーンもあったが、3日目最終日のムジェロは雲は多いものの陽射しに恵まれ、気温は20度、路面温度は2日目午後の予選よりも11度高い29度まで上昇した。
湿度は14%であり、雨の心配は全くない理想的なレース日和となっている。
■イタリアGP決勝への意気込みを見せる地元勢
毎年、イタリアGPは強豪イタリア人ライダーが熾烈な表彰台争いを演じている。今年は昨年のラップレコード保持者(1分50秒117)のマックス・ビアッジはMotoGPに参戦していないが、ドゥカティーを駆るベテランのロリス・カピロッシや、最高峰クラス連続チャピオンのバレンティーノ・ロッシ、MotoGPクラスではまだ地元での表彰台を経験していないフォルツナ・ホンダのマルコ・メランドリが、例年通りの熾烈なイタリアン同士のトップ争いを演じる事は間違いないだろう。
今年はドゥカティー社創立80周年の年でもあり、ムジェロをテストコースにデスモセディチの開発を続けるドゥカティーワークスにとっては何としても優勝を獲得したい真のホームレースだ。この日ドゥカティーワークスの2台は従来のマルボロスポンサーカラーではなく、70年代当時のレーサーをモチーフとしたスペシャルカラーのマシンで参戦しており、その意気込みの高さを示している。
■ロッシの今シーズンのタイトルの行方を占う重要なレース
また、ドゥカティーだけではなく、チャンピオンのバレンティーノ・ロッシが所属するキャメル・ヤマハチームの本拠地もイタリアだ。今期のヤマハワークスはプレシーズンテスト終盤に発覚した06年型YZR-M1のチャタリングを始めとするハイグリップタイヤ使用時のマシン本体の振動問題によりロッシの予選結果を難しいものにしており、それに加えてレース中タイヤやエンジンのトラブルも追い討ちをかけ、ロッシが990ccクラス完全制覇を達成するのに必要な「環境」が整わない状況となっている。
ヤマハワークスはここまでに06年型M1に2回の大きな改良を加え、特に前回のフランスGPから導入した新型シャシーはチームもライダーも高い期待を寄せているが、新型シャシー導入1回目のフランスの予選でロッシは3列目スタートとなり、レースでは高い安定性を見せるものの、やはり予選用ハイグリップ・タイヤ装着時には根本的な問題は解決できなかった事が指摘されている。
■06年型YZR-M1の振動問題は予定通りムジェロで解決するか
ロッシがリタイアに終ったルマン翌日のテストでは、降りしきる豪雨と強風を縫ってロッシとチームメイトのコーリン・エドワーズが、新型シャシーとミシュランのハイグリップタイヤを装着したYZR-M1のテスト走行を必死に繰り返した。悪天候と低温路面となったテストで問題のグリップと振動に関するデータをどこまで収集できたのかは不明だが、ヤマハ側の公式発表からは「テストは成功、ムジェロに向けての準備はOK」とするチーム監督のコメントが得られている。
尚、昨シーズンはマックス・ビアッジがレプソルホンダの05年型RC211Vのチャタリングに悩み、それに纏わるチームとライダーのトラブルにより今期のマックス・ビアッジのMotoGP参戦は実現しなかった。
■タイヤ戦争の本格化
ハイパワー化が進んだMotoGP最高峰クラスのエンジンパワーを無駄なく路面に伝えようとするタイヤの進化と、シャシーを始めとする車両本体のバランスの問題、それらが調和的に解決できない場合に発生するチャタリングの問題は、マシンとタイヤメーカー、およびそれらをカバーするライダーやメカニックの技量を浮き彫りにする。
イタリアGPは、これらの総合的な観点からヤマハのマシンの仕上がり具合を窺い知る上でも重要なレースとなり、ロッシの走りに世界中の注目が集まっている。また、ミシュランを履くヤマハとホンダだけではなく、予選に強いドゥカティーやカワサキ、およびスズキのブリヂストン勢が、ムジェロでどこまでレース本番での強さを発揮できるかも、今シーズンのレースの流れを左右する重要なポイントだ。
250ccクラスの覇者であるダンロップタイヤが、経験の少ないMotoGPクラスで苦戦している現在の状況を見ても、MotoGPのハイパワーエンジンから伝えられる出力を路面に伝達する技術は、その他のカテゴリーとは全く異なる分野の技術である事が理解できる。
■スターティンググリッド、1列目に戻ってきたロッシ
1列目、ポールポジションはドゥカティーのセテ・ジベルナウ、2番グリッドには同じくドゥカティーのロリス・カピロッシがつけ、ドゥカティー社80周年を記念するスペシャルカラーを纏った2台のデスモセディチがスターティンググリッドの先頭を飾った。マシンの横には2005年度ミス・イタリア嬢。
3番グリッドには、ブリヂストンを履くドゥカティーの2名には及ばなかったものの、今期初めて予選タイヤで好タイムをマークし、新型シャシーを搭載したYZR-M1で1列目を獲得したキャメル・ヤマハのバレンティーノ・ロッシ。
2列目4番グリッドにはレプソル・ホンダのエースでありポイントランキングトップのニッキー・ヘイデン、5番グリッドにはカワサキ・レーシングの中野真矢選手、6番グリッドには地元イタリア人ライダー、フォルツナ・ホンダのマルコ・メランドリが並ぶ。
3列目7番グリッドにはリズラ・スズキのジョン・ホプキンスと、紙製のエアロダイナミックドレスという落ち着いた外観の衣装を身にまとったコンパニオンのリズラガール。ちなみに、リズラガールはアンダーウェアがリズラカラーだ。
8番グリッドにはレプソル・ホンダーのMotoGPルーキーであるダニ・ペドロサ、9番グリッドにはホンダLCRのケーシー・ストーナーが続いた。
コニカミノルタ・ホンダの玉田誠選手は4列目10番グリッドからのスタート。
また、今回のレースはムジェロサーキットを所有するフェラーリF1チーム、そのエースパイロットであるミハエル・シューマッハも現地で観戦している。
■決勝スタート、セテ・ジベルナウがホールショットを奪う
シグナルが消え、各ライダーが一斉に長いホームストレートでの加速体制に入る。最高のスタートダッシュを見せたのはポールポジションスタートのドゥカティー、セテ・ジベルナウ。その後を追うキャメル・ヤマハのバレンティーノ・ロッシ。
1コーナーにジベルナウとバレンティーノ・ロッシが飛び込み、その真後ろでは好スタートを決めたカワサキの中野選手とホンダLCRのケーシー・ストーナーがコーナー入り口を奪い合い、中野選手はロッシに続き3番手に。
1コーナーを抜けるとすぐに、フォルツナ・ホンダのマルコ・メランドリはストーナーを交わして4番手に順位を上げ、5番手となったストーナーの後ろでは2台のレプソルホンダが6番手を競い合っている。その後ろにはスタートを失敗したドゥカティーのロリス・カピロッシ。
ロッシがジベルナウを交わしてトップに浮上。熱狂する観客。
■ジベルナウを交わすロッシ、二人を追う中野選手
オープニングラップ、コース中盤の先頭にはロッシ、2番手にジベルナウ、3番手に中野選手、4番手にメランドリ、5番手にストーナー、6番手にレプソル・ホンダのダニ・ペドロサ、7番手にレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデン、8番手にカピロッシ、9番手にフォルツナ・ホンダのトニ・エリアス、10番手にチーム・ロバーツのケニー・ロバーツ、11番手にリズラ・スズキのジョン・ホプキンス、12番手にコニカミノルタ・ホンダの玉田誠選手が続く。
2ラップ目のホームストレート、メランドリは中野選手を交わして3番手に浮上し、その後ろではケーシー・ストーナーと中野選手が真横に並んで4番手を争って1コーナーに突入し、ストーナーが中野選手の前を奪う。
■エドワーズは再び新型シャシーに挑戦したが・・・
12番手の玉田選手の後ろには、2日目の予選では旧型シャシーに戻したものの、決勝では再び新型シャシーにロッシのセッティングを採用して走るキャメル・ヤマハのコーリン・エドワーズがつけたが、玉田選手に1コーナーのインをつかれてコーナーを曲がり切れなくなりグラベルに飛び込む。この時エドワーズは自力でコースに戻るが、最後尾まで順位を落としてしまう。エドワーズの脱落でTECH3ヤマハのカルロス・チェカが12番手に。
コーナーのインに入りすぎたロッシの外側を加速して抜けたジベルナウは、再びトップに浮上。ロッシはすぐにジベルナウの追撃体制に入る。
■再びトップに立つセテ・ジベルナウ
3ラップ目、ジベルナウ、ロッシ、メランドリ、ストーナー、中野選手の順でコントロールラインを先頭の5台が抜ける中、後方6番手のレプソルホンダの2台、ペドロサとヘイデンが再びチームメイト同士の順位争いをしながら1コーナーに向かった。ヘイデンはルーキーを抑えて6番手に浮上。
■ロングストレートを通る度に順位を下げるKawasaki Ninja ZX-RR
ここで5番手の中野選手は順位を落とし始める。4番手のストーナーから0.3秒ほど離され始めた中野選手の真後ろではヘイデンとペドロサがバトルを続けている。中野選手はヘイデンに抜かれて6番手に。ペドロサは中野選手の後ろからヘイデンを見ている。
4ラップ目のストレート、メランドリがロッシに並びかけて2番手を奪う。僅差の先頭は変わらずジベルナウ、後ろにメランドリとロッシが続く。
中野選手はレプソルコンビに交わされ7番手に後退。ストレートでもコーナーでもトップ集団の中では伸びが足りないNinja ZX-RR。ペドロサはファーステストを記録し、先頭の4台をレプソルの2台が前を争いながら追いかける中、ペースの伸びない中野選手が後退していく。
■ロングストレートで快調なストーナー
5ラップ目、ストレートでメランドリとロッシを振り払うようにジベルナウが加速する真後ろでロッシは2番手に浮上。4番手のMotoGPルーキーであるストーナーはロッシとメランドリを交わそうと急激なストレート加速を見せるが、1コーナーに先頭の3名ほど深く飛び込めない。
高速のアラビアータコーナーの手前でロッシがセテの前を奪いトップでコーナーに入るが、次の右の折り返しでジベルナウが再びロッシの前をふさぐように前に出る。さらに左の折り返しでロッシはセテの前にまわりこむようにして再びトップに浮上。ジベルナウはロッシを追い上げる。
最終左コーナーにはロッシ、ジベウナウ、メランドリ、ストーナーの4台が順に飛び込んだ。
■逃げるロッシ、食い下がるセテ
6ラップ目、ジベルナウはファーステストを記録してロッシを追う。ジベルナウは最初のホームストレートでマシンを揺らしながらドゥカティーのストレート性能をフルに活用してロッシに並びかけるが、ロッシのYZR-M1も互角の加速を見せ1コーナーは譲らない。
先頭に立ったロッシはジベルナウを抑えながらレースのペースをコントロールしている。ジベルナウの後ろにはメランドリ、ストーナー、さらに5番手のペドロサと6番手のヘイデンが続く。
ヘイデンの1秒後ろにはカピロッシが迫っており、中野選手はその2.5秒後方を走行している。
セテ・ジベルナウが執拗にバレンティーノ・ロッシを追いまわす中、3番手のメランドリは前の2台がコーナー加速を争う時には少し離される。
7ラップ目のストレートでもジベルナウはマシンを揺らすように加速してロッシに並びかけるが、ロッシのマシンもストレートで全く加速が落ちる事がなく、ジベルナウは1コーナーに先頭で入る事ができない。
■争う若手3人の背後に迫るベテランライダー
同様に、ケーシー・ストーナーはマルコ・メランドリをホームストレートで交わそうと過激な加速でメランドリのマシンに密着している。
コース中盤、メランドリ、ストーナー、ペドロサが3台で前を争う中、その後ろのカピロッシがファーステストを記録しながら3人の0.5秒後方まで迫った。2番手のセテはロッシを交わそうと躍起になっている。
8ラップ目のホームストレート、ニッキー・ヘイデンがチームメイトのダニ・ペドロサを交わして5番手に浮上する。
ロッシとジベルナウの1.2秒後方にはメランドリ、ストーナー、ヘイデン、ペドロサ、カピロッシが続き、速いペースで周回を続ける7番手のカピロッシとペドロサとの差は既に無い。
8番手の中野選手の後ろにはケニー・ロバーツ・ジュニアが迫る。
最終コーナー後のホームストレート入り口でストーナーはメランドリを交わして3番手に浮上。
■ストーナーが危険な大クラッシュ
9ラップ目、コントロールラインをロッシとジベルナウが抜けて、その1.2秒後方をストーナー、メランドリ、ヘイデン、ペドロサ、カピロッシが通過。さらにその4.7秒後方には中野選手、ロバーツ・ジュニア、10番手の玉田選手が続く。
ここで3番手のケーシー・ストーナーはコーナーを曲がり切れずにマシンは激しく回転しながら宙を舞いグラベルに墜落してさらに転がり弾みながら大破。マシンから宙に発射されたストーナーもグラベルに突き刺さるように落下した。すぐに立ち上がって歩き出したストーナーはレース継続を断念。
この時ストーナーに外傷はないが、レース後の診療結果では首の捻挫と診断されている。脊椎に問題は無いようだ。
■ダンティーン「法的措置辞さない」
またこの時、プラマック・ダンティーンのアレックス・ホフマンも、コーナーでフロントを失い転倒している。彼のチーム監督のダンティーンは、「これ以上ダンロップが協定を破り続け、カルロス・チェカと違うタイヤを我々に供給するのであれば、法的措置も辞さない。」と、このレースの後に声明文を発表している。
■ストレート加速を誇るデスモセディチを決して前に出さないロッシ
10ラップ目のホームストレートでジベルナウのドゥカティーはロッシのM1に並びかけるが1コーナーには変わらずロッシが先に飛び込み、ストレートエンドでの駆け引きは繰り返される。
3番手争いも熾烈を極める。連続するコーナーの繰り返しの中、ニッキーがメランドリの前に出るとすぐにメランドリが次のコーナーで3番手を奪い返すが、さらに次の折り返しでニッキーが前に出る。
ダニ・ペドロサの前をカピロッシが奪い、前を行く4番手となったメランドリの様子を5番手のカピロッシが窺っている。
■ニッキー・ヘイデンが追い上げを準備
最終コーナーからロッシとジベルナウがロングストレートに向かい、1.5秒後方には少し第二集団から抜け出したニッキー、その後ろから団子状態のメランドリ、カピロッシ、ペドロサが続く。
11ラップ目、ホームストレートではロッシとジベルナウの熾烈なトップスピード争いが毎回繰り返されるが1コーナーを最初に抜けるのは常にロッシだ。3番手のニッキーの後ろでは、カピロッシがメランドリのインをほぼ接触する形で奪い4番手に浮上してニッキーを追う。ペドロサはメランドリと同時にカピロッシに交わされ6番手に。
キャメルヤマハの黄色いバイクの後ろでは、2台の赤いデスモセディチGP06にレプソルカラーのヘイデンのバイクが挟まれている。
■トップ2台、ロッシとセテは膠着状態
12ラップ目、ロッシの前に出たいジベルナウはホームストレートでロッシとクロスするように威圧的なライン取りで加速するが、1コーナーに最初に飛び込むのはやはりロッシ。セテ・ジベルナウはロッシを追走しながら1コーナーを抜ける。
4番手のカピロッシはニッキー・ヘイデンの前を狙っている。その後ろではカピロッシの様子を5番手のメランドリが窺い、6番手のペドロサは徐々に先頭集団についていけない素振りを見せる。
各コーナーでトップを行くロッシとセテの差は全く変わらない。トップ2名は膠着状態だ。
■先頭集団が6台体制に
13ラップ目に入るとカピロッシは1コーナーでニッキー・ヘイデンを交わして3番手に浮上した。0.6秒の間隔を開けてコーナーでマシンを左右に傾けながら走るロッシとジベルナウの1秒後ろにカピロッシが迫る。一度は遅れかけたペドロサはメランドリの真後ろに復帰している。
先頭6台の差は次第につまり、一列のトップ集団として形成されてくる。
14ラップ目、各マシンが約0.5秒の間隔を保ちながらロッシ、ジベルナウ、カピロッシ、ヘイデン、メランドリ、ペドロサの順で1コーナーを目指す。
コーナーでロッシの隙をついてジベルナウが前に侵入しようとするがロッシはこれを抑える。
■ロッシの勘違い「カピロッシの後ろに・・・」
15ラップ目、ついにストレートでロッシの前を狙うのはセテ・ジベルナウだけではなくロリス・カピロッシの加わったドゥカティーワークス2台となる。
カピロッシの存在を背後に知ったロッシは、一度カピロッシに先頭を取らせて後ろを追走する作戦に切り替えようとするが、多くのライダーが自分の後ろを接近して走っていた事を彼が理解したのは一瞬にして5番手まで下がった後だ。
先頭にジベルナウ、2番手にカピロッシ、3番手にヘイデン、4番手にメランドリ、5番手には自分の作戦の間違いに気がついたロッシ、その後ろには6番手のペドロサが続いた。
16ラップ目、ホームストレートでカピロッシは快調な加速を見せジベルナウに並びかけてついにトップに浮上した。1コーナーに突入すると今度はニッキー・ヘイデンがジベルナウを交わして2番手に。
■先頭はカピロッシ、トップの2名は4位と5位に後退
続いてメランドリがジベルナウの前に割り込み、ジベルナウはロッシの手前の4番手まで一気に後退した。
アラビアータコーナーを順にカピロッシ、ヘイデン、メランドリ、ジベルナウ、ロッシ、ペドロサが通り過ぎ、メランドリはニッキー・ヘイデンを捕らえて2番手に浮上。最終コーナー前にロッシはジベルナウを交わして4番手となり、ホームストレート入り口を目指す。ニッキーはメランドリから2番手を奪い返す。
17ラップ目のホームスタンドの前をカピロッシ、ヘイデン、メランドリ、ロッシ、ジベルナウ、ペドロサの順にトップグループが通り抜け、その12秒後ろから7番手のトニ・エリアス、8番手のケニー・ロバーツ・ジュニア、9番手の中野選手、10番手の玉田選手、11番手のジョン・ホプキンスが追う。
玉田選手は中野選手を交わして9番手に。
4番手のロッシは前輪を大きく浮かせて加速し、前を走る3番手のメランドリに迫る。コーナーの入り口で素早く前を奪ったロッシをすぐに抜き返すメランドリだが、次の折り返しでは再びロッシが前に出て加速した。
■ブーツ(靴)にトラブルが発生しジベルナウ出血
ロッシが2番手のヘイデンを狙う中、セテ・ジベルナウはペドロサにも抜かれて6番手となり後退を開始。
セテはこの時、走行中にライダーブーツがずれるトラブルが発生しており、元に履きなおすまで2周かかったようだ。この影響で小指は出血している。
18ラップ目のホームストレート、カピロッシが一気に逃げの体制に持ち込むべく急激な加速を見せ、ニッキー・ヘイデンがこれを後方から追いかける。3番手のロッシは二人のトップ争いを見ている。
■トップを奪いたいニッキー・ヘイデン、無茶するメランドリ
1コーナーの終盤、ニッキー・ヘイデンは先頭のロリス・カピロッシの外側からかぶせて一瞬前に出そうになるが地元イタリアのカピロッシが次の折り返し目がけて加速しこれを阻止。やや遅れたケンタッキー出身のアメリカンの真後ろにはさらに別の2名のイタリアン、ロッシとメランドリが並ぶように迫る。
バレンティーノ・ロッシは高速のアラビアータコーナーでニッキー・ヘイデンのインに割り込むとさらに加速を続けて2番手に浮上。目の前のカピロッシのテールに密着する。
ロッシに交わされたニッキーの内側にメランドリが強引に飛び込むがニッキーは全く動じない。なすすべもなくメランドリはそのままコースアウトしトップ集団から脱落した。力なくコースに戻るメランドリはトップから6秒後方まで後退し6番手に。
ニッキーはロッシから2番手を奪い返そうとするが逆にロッシに引き離される。
■熾烈なバトルを後ろから眺めるペドロサ
19ラップ目、カピロッシ、ロッシ、ヘイデンの3台が隙間なくトップを走行する中、4番手のペドロサは3人の1秒後方まで後退した。ペドロサは「間近で見れたから家に帰ってテレビでもう一度見たい」とレース後にコメントしている。
各コーナーでカピロッシはロッシを必死に引き離そうと懸命に攻めの走りを続けるが、ロッシはこれに執拗な追撃体制を崩さないまま追いすがる。コーナーの折り返しでもカピロッシはアクセルを緩めず、ロッシも必死でそれを追う。
20ラップ目、先頭にカピロッシ、2番手にロッシ、3番手にニッキー、1.2秒後方に4番手のペドロサ、さらに1秒後方に5番手のセテ・ジベルナウが順に1コーナーを目指す。その3.9秒後ろにはメランドリ、その9.8秒後方にはロバーツ・ジュニア、トニ・エリアス、玉田選手が続く。玉田選手の0.5秒後ろには10番手まで後退したカワサキの中野選手。
■死に物狂いのカピロッシとロッシ
20ラップ目、コーナーごとにロッシのカピロッシへの攻撃が激しくなる。最終コーナーで必死に逃げるカピロッシの横にロッシは並ぶが、ストレート加速に入ったカピロッシは前を譲らない。
残り3周の21ラップ目序盤、コーナー入り口でついにロッシがカピロッシのインを奪うが、折り返しでカピロッシはロッシと並びながら次のコーナーにそのまま激しく飛び込みロッシを抑える。そのまま引き下がらないロッシが再び並びかけるように前を奪おうとする。必死に逃げるカピロッシ。
■イタリアン同士の決闘に絡むニッキー
二人の争いにニッキー・ヘイデンもからみ、一瞬2番手に首をつっこむが、イタリア人同士の連続してどこまでも続く意地の張り合いに最後までは食い込めない。
ドゥカティー、ヤマハ、ホンダの3台のワークスバイクが目まぐるしく絡み合う。
最終コーナーでカピロッシとヘイデンを抑えてついにロッシが先頭に立つかに見えたが、ロッシのコーナー加速は伸びずにカピロッシが先頭でロングストレートに突入。
22ラップ目、ロングストレートのトップスピード競争でロッシがカピロッシの真横に並ぶ。
そのままカピロッシはブレーキングを忘れたかのように1コーナーに飛び込むが曲がりきれずにオーバーラン気味となり、その内側をついてロッシが前に出ようとする。慌ててカピロッシは外側から強引な加速を続けて次のコーナー入り口をロッシから奪った。
■残り1周、最終コーナーをトップで抜けるロッシ
カピロッシのテールを逃さないロッシは、アラビアータコーナー進入手前でカピロッシのインに突入し、ついに先頭で高速コーナーを駆け抜けた。残り1周の最終コーナーにトップで飛び込んだのはバレンティーノ・ロッシだ。
後ろのカピロッシとヘイデンはロッシに全く遅れる事なくYZR-M1に密着してロングストレートの加速に備えている。
最終ラップのロングストレート、ロッシから先頭を奪い返したいカピロッシのライン取りにロッシはコースから押し出されそうになるがアクセルを緩める様子はない。ロッシのインをついて猛加速で最初に1コーナーに飛び込んだのはカピロッシだが、次のコーナーに最初に向かったのはバレンティーノ・ロッシだ。逃げるロッシ。
■ファイナルラップ、限界まで攻めるロッシ
前方には周回遅れとなるプラマック・ダンティーンのホセ・ルイス・カルドソが迫る。ロッシはこれを難なくパスし、後続のカピロッシとヘイデンがそれに続く。ヘイデンがカピロッシに並びかけるが、カピロッシは決して前を譲る事なくロッシを追い続ける。ヘイデンが徐々にカピロッシのペースから離され始める。
コース終盤、ロッシが各コーナーを激しく攻めだすと、カピロッシはこれについて行けずに二人の差が0.5秒まで広がった。
3人は最終コーナーを抜け、最後のコントロール・ラインへと向かう。追い上げるカピロッシだがバレンティーノには届かない。先頭でチェッカーを受けたのはキャメル・ヤマハのバレンティーノ・ロッシだ。
■ロッシ優勝!
続いて、ドゥカティーのロリス・カピロッシが2番手、レプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンが3番手でコントロールラインを抜けた。コースに溢れ出すファンを縫ってロッシが最高の喜びを表現して走る中、カピロッシは固まったように膝の上に握りこぶしを置き、悔しそうな仕草を見せている。
ニッキー・ヘイデンから2秒遅れてチェッカーを受けたのはチームメイトのダニ・ペドロサ。さらに1秒遅れのセテ・ジベルナウは5番手。
18ラップ目にトップ争いから脱落したフォルツナ・ホンダのマルコ・メランドリは6番手、コニカミノルタ・ホンダの玉田誠選手は9番手、リズラ・スズキのジョン・ホプキンスは10番手、カワサキ・レーシングの中野真矢選手は11番手でレースを終えた。
■翌日スズキは新型エンジンをテスト
リズラ・スズキのポール・デニング監督によれば、スズキは翌日のテストで新型エンジンの仕様テストを行うようだ。
■ル・マンでの発言に回答?
また、今回トップ集団に加わる事が出来なかった玉田選手について、コニカミノルタ・ホンダの技術責任者のジュリオ・ベルナルデッレは「玉田がコースの路面状況の変化に対応するのが遅すぎる事を今回も確認した。今回の結果はリアタイヤの選択ミスであり、枠にはまりすぎない意思決定力が欲しい」と発言している。
さらに、同じくコニカミノルタのチーム責任者であるジャンルカ・モンティロンは、「4時間のプラクティスで最適な決定ができるようにマコトを訓練しなければならない。これを念頭に置いた上で、翌日のテスト内容を検討したい」と述べた。
■飛び跳ねるロッシ
パルクフェルメでは、まるで125ccライダーのようにチームスタッフに飛びつくバレンティーノ・ロッシと、ドゥカティーのスタッフに慰められている沈んだカピロッシが対照的だ。ニッキー・ヘイデンは時折笑顔は見せるものの少し残念そうな固い表情を覗かせている。
■以下に、レース後の各ライダーのコメントを示す
優勝)バレンティーノ・ロッシ ITA キャメル・ヤマハ
自分の今までのレース人生の中では間違いなく一番激しいバトルでした。
スタートがすごく上手くいって、セテを抜いた後はそのまま逃げようとしたんですが無理でした。今日のセテは凄く強かったです。
ロリスはスタートに失敗したんで彼がどのくらいの位置を走ってるのか知りませんでしたが、一度追いつかれてからは厳しい戦いになる事を覚悟しました。
ロリスを一度前に出してしばらく後ろにいようと思ったんですが、まだその時はあんなにたくさんのライダーが接近して走っていた事は知らなかったんです。すぐに取り囲まれました!一瞬にして5位まで下がってしまったので、また気持ちを全力走行に切り替えました。
今回は誰にとっても凄いバトルでしたし、ライダー二人の戦いが最終ラップまで続くなんて素晴らしいと思います。しかも異なる2つのファクトリーと2つのタイヤメーカー間の争いを同じ国籍で戦ったんですからね。これは自分たちのスポーツにとってのビッグニュースですよ。
もし今回の最終ラップでどっちが勝つか賭けろって言われても正直選べなかったでしょうね。
最後の2周、自分は息を止めてたんじゃないかと思えるくらいですが、でも勝てて本当に嬉しいです。たくさんのファンや家族、それに友人の前でこんなにいい戦いができるなんて最高でした。
今晩は年間タイトルの事は忘れて、今日の凄いレースの事だけ考えていたいです。
2位)ロリス・カピロッシ ITA ドゥカティー・マルボロ
スタートに大失敗してしまい、おまけにすごく硬いタイヤを選んでいたので最初の数周は大人しくしてました。
その後はリズムも良くなり他を抜けるようになりましたが、みんな今日は凄く速いペースなので簡単ではありませんでした。
バレンティーノとニッキーとの戦いは凄かったです。お互いに何回も抜きあいましたがコーナーでの戦いがフェアなのでバレンティーノとのバトルは本当に気持ちがいいですね。ムジェロで勝てれば最高ですが、今日は2位で満足です。
今週チームはいい仕事をしてくれましたので全員に感謝します。ブリヂストンはどんどん良くなってますので今は凄く高いレベルにありますし、さらに進歩が進む事を期待しています。
今シーズンは序盤から調子良くて今も変わりなく順調ですので、さらに上を望んでしまいますね!
3位)ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ
ル・マンの後はここに来て問題の答えを見つける必要がありましたが、どうやら見つけられたようです。
スタートで有利に運ぶチャンスを逃しましたね・・・というのは、あんなスタートしていては言い訳もできないって事です。でもいいバトルが出来ましたね。なぜか今日は全員が血に飢えてました。
激しい7位争いが数回ありましたが、トップを争うためなら楽しいですよ。みんなライディングは激しかったけど馬鹿をやるライダーは1人もいませんでしたしね。
メランドリが一度前に来たので、このレースウイーク中で一番ホットなコーナーへの飛び込みをしてやりましたよ。それにメランドリは僕よりさらにホットな2台に挟まれてましたから、あのまま楽園に辿り着ける筈ないと思ってましたからね。
ここの観衆と雰囲気は本当にいつも楽しめますよ。
終盤になって先頭集団に加わりましたが、今日は少し勇ましい気分だったので二人を少し蹴散らす事ができるかもしれないと思いましたが・・・でもそれはできませんでした。言い訳は特にないです。
レプソル・ホンダチームに感謝します。金曜日に大きなセッティング変更をしましたが、みんな凄く頑張りました。
これでやっと本当にシーズンが始まった気がします。レースウイーク毎に誰が何をするか把握してるので、いつも最初から調子よく仕事を進められるようになりました。自分の好きないくつかのサーキットはもう目の前ですし、明日はここでテストも続けられるので色々役に立つと思います。
今は楽しめてます。でも、近いうちに何戦かは勝ちたいです。
4位)ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ
今日は自分にとっていいレースでした。このコースは凄く疲れるので今日の結果には満足できます。もっと先頭から離されると思ってましたしね。
だからMotoGPバイクで初めてムジェロを走ってトップから2秒差のみの結果は嬉しいしパーフェクトです。
レース中はセッティングの問題をいくつか抱えていました。特に最後の10周が大変でしたが、深刻な問題ではありませんし対処できるレベルです。
今回はレースの中心で戦うと言うより、ずっとレース観戦してた感じですね。カピロッシのスライディングが凄かったの見てたので、テレビでもう一度見直すのが楽しみです。4位は凄く嬉しいです。
5位)セテ・ジベルナウ SPA ドゥカティー・マルボロ
難しい場面も少しありましたが、面白かったし楽しめました。優勝目指して走るのは久しぶりですからね。
2周くらいはレースをリードしましたが、やっぱりあの位置は最高ですね。いい戦いもできましたし完璧ですよ。
チームはいい仕事をしてくれましたしブリヂストンも同じです。いいバイクといいタイヤを用意してもらって感謝です。ちょっとメインストレートではガタつきましたけどね!
ブーツ(靴)に問題が起きた時は足の正しい位置に履き直すのが大変で2周かかりましたが、その後は大丈夫でした。今回のブーツは残念でしたが、これもレースですからね。
やっとライディングの楽しさを取り戻しましたし、ドゥカティーの正しい乗り方も本当に理解できたと思います。
6位)マルコ・メランドリ ITA フォルツナ・ホンダ
長くて厳しいレースになるとオフウイークの時から思ってましたので、トップ集団に辿り着いても序盤は気楽に行くつもりでした。
自分のバイクは方向転換が少し遅かったのでブレーキングでタイムを稼いでたんですが、終盤近くでニッキー・ヘイデンと3位を争うようになり激しくプッシュして走りました。その時に大きなミスをして結局6位まで下がり、先頭集団から離されてしまったんです。
最高のファンの前で絶対に表彰台に乗ろうと思ってたので、今回は本当に残念です。
7位)トニ・エリアス SPA フォルツナ・ホンダ
もっといい成績が出せる状態にあったんですが、トラクションに問題が出てダメでした。
昨日の予選の後、自分とチームでバイクの大幅なセッティング変更をしたんですが、これは本当に大当たりでした。12番手からのスタートで今回の結果には凄く満足しています。
明日もここに残ってテストを続けますから、今日と同じくらい気象条件が自分たちに都合が良くなるといいですね。来週はホームレースなのでいまから地元ファンの前で走れるのが楽しみです。
8位)ケニー・ロバーツ Jr USA チーム・ロバーツ
あともう少しですね。自分の思い通りにバイクが動くと思えたのは今回が初めてです。
みんなの差がなくなり、誰かが単独で抜け出す事ができなくなってきたのはいい事ですよ。
このプロジェクトで真剣に働くチームの為にも今回の結果は嬉しいです。バイクには色々変更を加えてましたが、期待する成績が取れていませんでしたからね。
中国ではホンダに時間を取ってもらい、ここまでの自分たちのシャシー開発の考え方に対していくつか助言を頂きました。今回のシャシーはその時にもらったアイデアを反映したものなんです。
まだル・マンでは半分くらいの熟成度でしたが、今はもう完成間近です。ただ、まだブレーキング中の安定性については作業が残っていますし、自分もレース中のペースをもっと早く掴めるようにする必要があります。今はまだ十分速いとは言えませんからね。
9位)玉田誠 JPN コニカ・ミノルタ・ホンダ
今日は路面温度が上がってしまったので、タイヤ選択の方針を変えなければいけませんでした。
残念ながらリアタイアのグリップがあまり得られず、トップ集団から離される結果に終りました。終盤はエリアスとロバーツをパスできるようにリズムを無理やり作ろうとしましたが、今日はプッシュする自信があまり持てませんでした。
10位)ジョン・ホプキンス USA リズラ・スズキ
スタートが良くなくて、いつも使うラインを通る事ができませんでした。
本当に最悪のオープニングラップでしたね。自分のいたくないポジションに下がったので必死に前に出なきゃいけなくなりました。
他のライダーを掻き分けて前に出ようとしましたが、第二集団に捕まってそのまま中に閉じ込められてしまい、最後にシンヤを抜くのが精一杯でした。
今回はレースでエクスタシーを感じたとは言えませんが、ムジェロは自分たちにとって難しいサーキットですので、それほど大げさには落ち込んでいません。今回の試練も必要です。
今はバルセロナに向けて期待が高まっています。あそこはプレシーズンテスト中にいい結果を残せた場所ですからね。これから残りのシーズンもいい成績が残せるように前向きな姿勢でいきます。
11位)中野真矢 JPN カワサキ・レーシング
今週はスタートの練習に集中しましたがその成果はありましたね。今シーズンで最高のスタートを決めて、最初の1コーナーでは5位から3位に浮上しました。
でもここからがトラブルの始まりです。
先頭集団にはついていけないし、ストレートでは簡単に抜かれて次々に前に入られました。第二集団に入っても状況は変わりません。コーナーでは他のライダーと一緒に走れるんですが、ストレートに入った途端にみんなどんどん彼方に消えていきます。
今日はバイクに問題はなく、タイヤの調子も良かったので希望通りにプッシュする事はできましたが、最後はジョン・ホプキンスに抜かれてしまったのでトップ10に入る事はできませんでした。彼が近づいてたのは知ってましたが、ストレートで簡単に抜かれるバイクで順位を維持するのは簡単じゃありません。
今日の結果から、もっとトップエンドの出力と操舵性(ドライバビリティー)の改善が必要なのは明らかです。
12位)コーリン・エドワーズ USA キャメル・ヤマハ
今日の午前中は方針を根本的に変更しました。新型シャシーに戻してバレンティーノのセッティングを使っています。昨日の状態ではレースを走るのに十分じゃないという判断をしました。
1コーナー進入時にいつもより早めにブレーキをかけたら玉田が内側に入ってきてそのままずっと真っ直ぐに進むから曲がれなくなり、彼がいなくなった時には草の中に飛び込む以外に行き場所がなくなってました。
もうその後のレースは新型シャシーのテストセッションにしました。新型シャシーはいい感じですが、やはりもう少し自分に合わせる必要はあります。今のままだとリアのグリップが得られません。
明日もテストがあるので調整は続けられますし、レースウイーク中に出来なかった作業ができると思います。
13位)ランディ・ド・ピュニエ FRA カワサキ・レーシング
難しいレースでした。スターティング・グリッドが後ろなのに、さらにスタートも失敗して事態が悪化しました。1コーナーに飛び込んだ時は殆ど最後尾に近かったと思いますよ。
一生懸命何人かのライダーを抜いて順位を12位まで挽回しましたが、ル・マンで負傷した背中が痛み出して、それ以上はいいタイムが出せなくなりました。
エドワーズが自分を抜いたので、後ろにくっついて行こうと思いましたが無理でした。もっと高い順位を狙ってましたが、今回の予選結果を思えばそれほど悪い成績ではないと思います。
今回は完走の経験を増やせましたし、レース中のバトルを通して勉強もできました。6列目スタートのハンデと背中の痛みさえなければ、バトルをしながらシンヤのいたポジションに辿り着くくらいの走りはできたと思います。
午後のバイクの調子は良かったので、チームには感謝しています。今はカタルニアが楽しみですし、いい結果を残したいですね。
14位)クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ
初めてのムジェロは本当に楽しめました。凄い観客と雰囲気ですね。
今回の成績は期待はずれでしたが、いずれにしろ厳しいレースでした。スタートに失敗して1コーナーの進入で皆に飲み込まれましたが、最後には集団を抜けて先頭集団と同じくらいのペースで走れましたから嬉しいです。
とりあえず完走できてポイントも持ち帰る事はできましたので、ちょっとバルセロナに向けて休憩です。あそこは経験済みのコースですから、今回よりも順位は上げられると思いますよ。
15位)カルロス・チェカ SPA TECH3ヤマハ
ル・マンの経験を活かしてもっといいペースでレースができると思っていましたので、今回の結果は非常に残念です。
レースには丈夫なタイヤを選んだつもりでしたが、ほんの数周しか持ちませんでした。3周を終えたら極端に性能が落ち、8周目にはさらにダメになり、レース後半のリアタイヤの感触は最悪でした。
ワークスバイクに乗る何人かとはいいバトルをしましたが、そのまま着いていけない事は明らかでした。激しいバトルを長く続ける事はできません。
問題はリアタイア品質の一貫性です。これが原因でレースを正しいペースで走りきれません。ルマンのテスト後に方向性が決まり、今週のフリーと予選の結果までは誰もが楽観的でしたが、今はそんな考えは消えました。改善作業は今後も必要です。
明日はテストがあるので、そこでもう少し学びながら別の方向性を探りたいと思います。
16位)ジェームス・エリソン GBR TECH3ヤマハ
レースの序盤はそんなに悪くありませんでした。
白線を飛び出してすぐに何人かのライダーに照準を合わせ、1コーナーまでにパスしました。そのまま逃げてチェカにくっついて行こうと思いましたが、数周でリアタイヤのグリップが無くなりオープニングラップのペースを維持できなくなったんです。
他のライダーについて行ける自信がある時にタイヤのグリップが無くなるのは本当に辛いですよ。タイヤが暴れ出した時点で負けですからね。
ダンロップにはいいタイヤもいくつかありますが、サーキット毎に路面状況は大きく異なりますので、それを見つけられるかどうかが問題です。
明日のテストではもっといい結果が残せると思いますが、レースじゃないのがとにかく悔しいです。早く問題を解決して、レースでプッシュしても最後まで走りきれるようになりたいですね。
17位)ホセ・ルイス・カルドソ SPA プラマック・ダンティーン
タイヤに問題があるとバイクはすごく横滑りしますから、これ以上は無理です。
ムジェロのレースでスポンサーと支援者の前で最初のポイントを凄く取りたかったので本当にがっかりです。
DNF)ケーシー・ストーナー AUS ホンダLCR
少し落ち着きました。首は凄く痛みますが、メディカルセンターで診療を受けた結果は、特に問題ないそうです。
残念ながら小さなミスをしてフロントを失いかけました。慌てて前輪を戻したらバイクの挙動がおかしくなり、でこぼこの路面に前輪を取られてしまいました。
メランドリがブレーキングで自分を前に行かせないのでイライラしました。でも、イタリア人のホームで彼らと互角に戦える事が分かったので気分はいいです。先頭集団についていけるペースで走れましたしね。
DNF)アレックス・ホフマン GER プラマック・ダンティーン
スタートは凄く良くて他のライダーと一緒に走れてました。
でも残念ながら、タイヤの温度がいつまでたっても理想的な温度に達しないので接地感が無くなり、1周目のタイムをロスしています。
その後は調子を取り戻し、前を走るライダーに近いリズムで走れるようになったのが、さらにペースをあげた原因です。結局コーナーでフロントを失いました。
残念ですが、限界を超えたら転ぶのは当然ですね。
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