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ドゥカティー勢好調、ロッシがついにフロントロー確保 |
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2006年6月4日
6月3日、MotoGPイタリア・グランプリが最終予選の日を迎えた。この日の天候は午前のフリー・プラクティスと午後の予選共に曇り。午前は少し湿った路面だったようだが、午後には完全なドライコンディションとなっている。
昨年までのムジェロ・サーキットでのMotoGPクラスに於ける予選ベストラップ記録は、2005年にバレンティーノ・ロッシが記録した1分49秒223、レース時サーキットレコードは同年のマックス・ビアッジの1分50秒117だ。
■小排気量クラスの予選総合結果
この日、125ccクラスと250ccクラスは初日の予選1に引き続き予選2が行われている。
ドライとなった125cc2日目の最終予選、1日目は125ccクラスのみがウェットコンディションでの予選となった為、この日はライダー全員が初日のタイムを更新し、順位も全く異なる結果となった。
1列目ポールポジションはデルビのルーカス・ペセック。2番グリッドはマステルMVAアスパルのマティア・パッシーニ、3番グリッドは同じくマステルMVAアスパルのエクトル・ファウベル、4番グリッドはバルジール・セードルフ・レーシング(ホンダ)のファブリツィオ・ライが獲得した。
ランキング・トップ、マステルMVAアスパルのアルバロ・バウティスタは2列目5番グリッド・スタート、ランキング2位のKTMミカ・カリオは2列目8番グリッドから翌日の決勝をスタートする
日本の小山知良選手は4列目16番グリッド、スポット参戦中の葛原大陽選手は9列目33番グリッドとなった。
250ccクラスの最終予選を制したのは開幕から2連勝を達成し、現在のポイントランキングは5位のフォルツナ・アプリリアのホルヘ・ロレンソ。1列目2番グリッドは前回のフランスGPを初勝利で飾り、ポイントランキングの4位まで浮上したヒューマンゲスト・ホンダの高橋裕紀選手。
イタリアGP250ccのスターティンググリッド一列目にアプリリア以外のマシンで食い込んだのは高橋選手ただ1人だ。
3番グリッドにはチーム・トース(アプリリア)のベテランであるロベルト・ロカテリ、4番グリッドにはマステルMVAアスパルのアレックス・デ・アンジェリスが翌日の決勝グリッドにつける。
2列目5番グリッドにはポイントランキングトップのヒューマンゲスト・ホンダ、アンドレア・ドヴィツィオーゾ、6番グリッドにはジレラの250ccルーキーであるマルコ・シモンチェリ、7番グリッドにはフォルツナ・アプリリアのエクトル・バルベラ、8番グリッドにはカルディオンABモーターレーシングのヤコブ・シュムルツが続く。
レプソル・ホンダのルーキー、現在もテレビゲームで各サーキットを予習中の青山周平選手は3列目9番グリッド、周平選手の兄であるKTMの青山博一選手は3列目11番グリッドからのスタートとなる。
■MotoGPクラスの予選状況と結果
午後のMotoGP予選は、多くのライダーの一日目の希望通りドライセッションに恵まれている。雲が多く陽射しはそれほど強くない天候となり、気温は16度、路面温度は18度、湿度は21%の比較的低い温度状況の中で午後のセッションは開始された。
■ドゥカティー勢が序盤から好タイム、ロッシもレースタイヤでトップに
予選開始5分後には、ドゥカティーのセテ・ジベルナウがいきなり1分50秒台のトップタイムをマーク。10分経過後には同じくドゥカティーの地元カピロッシが1分49秒819を記録し、序盤からドゥカティー2名のライダーがトップから名を連ねた。
25分が経過し、キャメル・ヤマハのバレンティーノ・ロッシがカピロッシのタイムを上回る1分49秒715を記録したが、その5分後にはセテ・ジベルナウが1分49秒418でそれを更新し再びトップに。
予選折り返しとなる30分経過時点の予選順位は、トップにドゥカティーのセテ・ジベルナウ、2番手にキャメル・ヤマハのバレンティーノ・ロッシ、3番手にドゥカティーのロリス・カピロッシ、4番手にレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデン、5番手にフォルツナ・ホンダのマルコ・メランドリ、6番手にリズラ・スズキのジョン・ホプキンス、7番手にホンダLCRのケーシー・ストーナー、8番手にコニカミノルタ・ホンダの玉田誠選手、9番手にはレプソル・ホンダのダニ・ペドロサ。
■16インチの新開発ブリヂストンタイヤを試す中野選手
カワサキの中野真矢選手はこの時点で13番手。ちなみに中野選手はこの日午前のフリー走行と予選中に、通常の16.5インチ・リアタイヤだけではなく、ブリヂストンが新開発した16インチタイヤもテストしている。(注:小径タイヤについての解説は、後述の中野選手の予選後コメント部分を参照)
予選残り25分、玉田選手が6番手に浮上し、直後にカピロッシは昨年のロッシの予選ベストレコードである1分49秒223を上回る1分49秒058を記録してトップに立った。
■予選終盤、中野選手がドゥカティーの2名に続く3番手に
中野選手は4位にジャンプアップし、さらに15分後には2番手のジベルナウとロッシの間に割り込み3位に浮上。4位のロッシ以下はヘイデン、メランドリ、玉田選手、ストーナー、ペドロサ等のホンダ勢がタイムを競い合っている。
残り10分、トップにカピロッシ、2番手にジベルナウ、3番手に中野選手の暫定フロントロー体制は変わらない。同じ頃、スズキのホプキンスが5位に浮上した直後にメランドリは4番手タイムを記録。ペドロサは6番手に浮上。
残り7分、レプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンが中野選手のタイムを更新して3番手に。
■ロッシが終盤に3番手タイム、振動問題解決の兆しか
残り5分となりピット周辺が慌しくなる。最終アタックに出かけるセテ・ジベルナウ、ピットに戻って素早くタイヤを交換して再びコースに飛び出すロッシ。
残り4分を切った時点の順位は、トップにカピロッシ、2番手にジベルナウ、3番手にヘイデン、4番手に中野選手、5番手にメランドリ、6番手にロッシ、7番手にペドロサ、8番手にホプキンス、9番手にストーナーが続く。
残り3分、メランドリがドゥカティー2名のタイムに割り込み、暫定フロントローはカピロッシ、メランドリ、ジベルナウの順になるが、残り2分を切ったところでジベルナウがカピロッシのタイムを上回りトップに浮上。再びドゥカティーの1・2体制となる。
残り1分、ロッシが1分49秒台に突入してジベルナウとカピロッシに続く3番手タイムを記録。
■フランスGPのリベンジ?チェッカー後に中野選手が区間タイムを更新
チェッカーが振られた残り0秒、中野選手がコース前半の区間タイムで次々とファーステストを記録し、ポールポジションを最後に奪われたフランスGP予選のリベンジをするかのように激しくプッシュしている。
中野選手はそのまま第3区間に突入し、タイムアップの為の追い越し目標として遠くから追いかけていたプラマック・ダンティーンのホセ・ルイス・カルドソを交わして第4区間に突入したが、ファーステストにはならず5番手タイムを記録して予選を終えた。
■ドゥカティー2名の圧勝とロッシの1列目復帰
今回はチェッカー後に大きな順位変動はなく、翌日の決勝グリッドはポールポジションにドゥカティーのセテ・ジベルナウ、2番グリッドにはおなじくドゥカティーのロリス・カピロッシが並ぶ事となった。
ドゥカティーの2名はホームグランプリとなるイタリアGPの予選中、序盤からチェッカーまでの大半をトップタイムで過ごしている。
3番グリッドには今期初のフロントロー・スタートを獲得したキャメル・ヤマハのバレンティーノ・ロッシ。高々とウイリーし、予選後に終始笑顔のロッシは今シーズン初めてだろう。
翌日の決勝2列目4番グリッドにはレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデン、5番グリッドにはカワサキの中野真矢選手、6番グリッドにはフォルツナ・ホンダのマルコ・メランドリが並ぶ。
3列目にはスズキのジョン・ホプキンス、レプソル・ホンダのダニ・ペドロサ、ホンダLCRのケーシー・ストーナーが続く。コニカミノルタ・ホンダの玉田誠選手は4列目10番グリッドから明日の決勝をスタートする。
■各ライダーの予選順位およびコメント
以下に決勝スタートグリッド順に、各ライダーの状況およびコメントを紹介する。
■1列目
ポールポジション)セテ・ジベルナウ SPA ドゥカティー 1分48秒969
ドゥカティー・チームは、ドゥカティー社の80周年記念、オートバイ製造50周年およびバルブコントロール機構のデスモドロミック開発から50周年の記念すべき年のホームレースをポールポジションと2番グリッドで飾る事に成功した。
チームメイトとのハイレベルなタイム争いを制したセテ・ジベルナウにとって、今回のポールポジションはドゥカティー移籍後初めての事だ。
「特別な時を迎える事ができました。」とジベルナウ。
「まだ予選にすぎないのは理解していますが、それでも今回の事はドゥカティーでの自分の最初の勝利に数えたいと思います。自分がドゥカティーとブリヂストンを選択した事が正しかったという証に、こういう機会がどうしても必要だったんです。」
「それに彼らは自分を信じてくれるだけではなく、このチャンピオンシップでかつて経験した事がない程の刺激を与えてくれます。このポールポジションを、常に全力で戦ってくれるチームとファクトリーにいるドゥカティーの人たち全員に捧げたいと思います。また、最高のサポートをしてくれるブリヂストンも最高です。」
「ポールは重要ですが、それよりも重要なのは自分と共に仕事をしているこれらの人たちです。今までこれほどまでに大切にしてもらった事はありません。心から感謝します。」
2番グリッド)ロリス・カピロッシ ITA ドゥカティー 1分49秒058
おしくもチームメイトにホームGPのポールポジションを譲る結果となったロリス・カピロッシだが、楽しい予選だった事に間違いはないようだ。
「今日は面白かったですね。」とカピロッシ。
「今日の午後はレースセッティングから始めましたが、12周回くらいいいリズムで走れてその内の1周は1分49秒8を記録しました。悪くない感じですし、明日の気温がもっと上がればさらに良くなるでしょうね。」
「その後は今まで1回も履いた事のない予選タイヤを試しました。1回目の走行がベストでしたが、運悪く集団に出くわして第一区間で少しミスをしました。でも、今回はこれで十分満足ですし、明日は自分たちの最良の日になる事を期待しています。表彰台なら満足ですが、問題はどの位置に乗るかですね。」
「今日のセテは凄く乗れてましたね。ヘレスでは彼のポールを盗みましたが今回それを奪い返されましたよ!ドゥカティーにとってここでポールを獲得できるのは素晴らしい事だと思います。」
「明日はいいスタートが重要になりますから、燃料は満タンでいきます。1列目スタートは有効に使わないとね。」
3番グリッド)バレンティーノ・ロッシ ITA キャメル・ヤマハ 1分49秒167
新型シャシーを導入し、昨年のフィリップアイランド以来となる1列目スタートを取り返したMotoGP連続チャンピオンのバレンティーノ・ロッシは、この位置に戻るまでに随分長い時間を要したと語った。
今回ロッシは例年通りイタリアスペシャルのヘルメットを用意している。全面部はイタリア国旗のデザイン配色がされ、後頭部には裸の女性の後姿が描かれている。
「1列目に戻れたのは気分がいいです。去年のフィリップアイランドが最後だったとは思ってもいませんでしたが、随分長くかかりましたね。ここムジェロで取り戻せて良かったです。」とロッシ。
「ここのコースと応援してくれるファンの事は大好きですし、家族や友人たちもいますから本当にいい結果を残したいです。ここ数戦はレース序盤で必死に追い上げなきゃいけませんでしたから1列目スタートは本当に重要です。明日はいいスタートを成功させたいですね。」
「ポールはダメでしたが、ミシュランとヤマハはとても真剣に予選タイヤ装着時の性能を改善する努力をしてくれました。今回の結果は大きな進展です。いずれにしても自分のレースペースは凄くいいので、明日の夜にファンの皆がパーティーできる口実を作れればいいなと思います。」
「今回の新しいヘルメットは有名なイタリアの漫画家のミロ・マナーラ作です。彼は僕の人生を架空の物語仕立てに描いていて、その中に僕の好きなスティーブ・マックイーンやエンツォ・フェラーリ、ジム・モリソンや、その他愛犬のグイードや諸々のキャラクターを登場させています。オスバルド・ザ・チキンとか綺麗なお姉さんもいっぱい描いてますよ。」
「僕はその作品が大好きですし、ミロの事を昔から尊敬してるんです。」
■2列目
4番グリッド)ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ 1分49秒212
今回ホンダ勢のトップとなったニッキー・ヘイデンは、トップとの差を縮めた事には満足できるが、イタリアンに混ざって勝利を争うにはまだ十分ではないとコメントする。
「今日は少しトップとの差が詰まりました。」とニッキー。
「数箇所に大きな変更を夜通しかけて加えたお陰です。頑張ってくれたチームのメンバーには感謝します。」
「今朝からペースが上がり前との差は詰まりましたが、明日イタリア人ライダーたちと互角に走るにはさらに大きな改善策が必要です。自分たちの弱点は確実に克服しつつありますが、まだ今日のトップスピードでは不十分ですので、これからトランスミッションの設定にやり残しがないか調べます。」
「明日は天気もいいらしいので凄く楽しみです。バトルになるでしょうが、ドッグファイトをど真ん中で楽しみたいですね。」
5番グリッド)中野真矢 JPN カワサキ・レーシング 1分49秒328
今回の予選で中野選手は、他のライダーが一般的に使用しているリアの16.5インチのスリックタイヤだけではなく、ブリヂストンが新開発した16インチのリアタイヤも交互に試しながら、午前と午後のタイムアタックに挑んでいる。
ちなみに、ここで用いるインチの値はタイヤの外径を指すのではなく、タイヤに装着するホイール径(内径)の事を意味しており、バイクに装着した時のタイヤの外径は同じになる。
ホイールが通常より0.5インチ少なければ、タイヤ本体のゴム側面の幅が大きくなって振動の吸収性が高くなり、ムジェロのような高速コーナーでのクイックなハンドリングが有利になる。
尚、レースで実際にどちらのタイヤを使用するかは、予選後の夕方に中野選手とチームスタッフ、並びにブリヂストンのエンジニアが一緒に検討してから決定する方針だという。
「最後のアタックでカルドソが前の方に見えたので、彼を追い抜き目標に使いました。」と中野選手。
「もし周回終了までに彼をパスできなければいいタイムは出せないと思い、ひたすら彼を追いかける事にしました。終盤には彼を捕らえてパスする事ができたので5位に入れたんです。だからホセ・ルイスに感謝ですね!」
「3回のフリー走行と比べると今日の午後の予選が一番うまくいきました。午前のフリー走行中はタイムを安定させるのに苦労しましたが、午後は全てうまくいってレースタイヤで1分51秒台をキープできました。これなら明日のレースもいい位置で走れそうです。」
「今日は16インチのリアタイヤを初めて試しました。このタイプのタイヤはまだ誰も使ってなかったので性能は未知数でしたが、標準タイヤと比較して明らかに優位性が見られました。小径タイヤでのコーナーの進入時には跳ね返りも良く吸収されていましたし、標準のスリックよりもチャタリングが抑えられていました。それに方向転換も少し楽です。」
「ル・マンではフライングを取られましたから、ここに来てからスタートの時にリアブレーキを使ってバイクが前に出るのを抑える練習をしています。明日は絶対に同じミスはしませんよ!」
6番グリッド)マルコ・メランドリ ITA フォルツナ・ホンダ 1分49秒343
MotoGPクラスではまだムジェロで表彰台を獲得していないマルコ・メランドリは、この日は以前からの課題だったリアのグリップ改善に取り組み、満足のいく成果が得られたようだ。
「今回の結果には満足しています。」とメランドリ。
「今日ここまでの成果のお陰で、今回の目標だった2列目スタートを獲得できました。バイクの感触は悪くありませんし、特に今日はリアまわりの感じが凄くよくなりました。」
「明日ミシュランの人たちの意見を聞く必要はありますが、どのタイヤが最適か自分には簡単に分かると思います。このサーキットは予選タイヤの選択の方が凄く難しいです。」
「自分のホームのファンの前でいい走りが出来れば嬉しいですね。明日は表彰台目指して全力でいきますよ。」
■3列目
7番グリッド)ジョン・ホプキンス USA リズラ・スズキ 1分49秒478
最後のタイムアタックではポールポジションに届くペースで走行していたホプキンスだが、最終的にクリアラップが取れなかったホプキンスは翌日の決勝を7番グリッドからスタートする事になった。
2日間の午前、ホプキンスはレース用セッティングの調整とブリヂストンタイヤのテストに集中していおり、その結果には満足できるようだ。
「今日の午後のセッションは凄くうまくいきました。」とホッパー。
「今はレース用のいいセッティングを見つけてますが、レースでは0.5秒から0.75秒くらいさらにペースを上げたいです。今はリズラ・スズキと出来る全ての事はやっていますよ。」
「ブリヂストンのレースタイヤはかなりいいし、グリップ力も安定してるみたいです。まあでも、明日の天気を見てみない事にはなんとも言えないですね。少なくとも予選ではチームとやれるだけの事をやったと思います。」
「1列目か2列目に入れなかったのは残念ですが、スタッフは頑張りましたしブリヂストンタイヤは今回も最高でした。ポールポジション付近の連中を見ればわかりますよね。明日はとにかくスタートを成功させてトップで戦いたいです。」
8番グリッド)ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ 1分49秒516
低温路面のリスクを嫌うペドロサにとって、今回のここまでのイタリアGPは思い通りに事が運ばないレースウイークになったようだ。ムジェロもあまり好きなサーキットではないとペドロサは言う。
「昨日はトップとの差が開いていましたが、今日は大きく改善されたので嬉しいです。」とペドロサ。
「もちろん重要なのは明日です。予選で8番手は自分にとって完璧とは言えませんが、タイム差は殆どありませんのでまあOKでしょう。この順位からトップ集団を逃がさないようにするには明日のスタートをどうしても成功させる必要があります。」
「少しは快適に感じるようになりましたが、ここは自分の好きなサーキットじゃありませんしMotoGPバイクだと体力的にも厳しいので、もっとコースに慣れるように頑張ります。」
「レース用のセッティングはとてもいい仕上がりですが、タイヤが明日どういう挙動を見せるかはまだ要注意です。ウォームアップでも確認は取りますが、実際はレースになってみないと分からないでしょうね。」
9番グリッド)ケーシー・ストーナー AUS ホンダLCR 1分49秒915
この日午前のフリー走行では334km/hのトップスピードを記録したケーシー・ストーナーは、予選では思うようにタイムを上げれず翌日の決勝を9番グリッドからスタートする事になった。
予選中は低温路面に苦しんだというストーナーだが、レースに向けての自信は大きい。
「予選では中間的な順位になりましたがセッティングの感じはとてもいいです。」とストーナー。
「それに、予選の1周のみで自分より速いタイムを出せる何人かよりもレースのペースは自分の方が速いんです。ストレートも本当に速く走れますし、ここはブレーキングポイントとパッシングポイントが多いのでレースは大丈夫の筈です。」
「予選のソフトタイヤを履いた時のセッティングが完璧じゃないので最後のアタックは中盤でダメになってしまいました。ランディー・ド・ピュニエにひっかかって集中力もなくなりましたしね。」
■4列目
10番グリッド)玉田誠 JPN コニカ・ミノルタ・ホンダ 1分50秒084
2日目の玉田選手は決勝用のセッティングに集中し、レースタイヤでの一貫したペースアップに成功している。しかしながら、午後の予選タイヤでのアタック中、第4区間でリアのグリップ力が低下した事により予選は10位に終った。
「今日の午後はいいセッティングを探るのに丁度いい天気でした。」と玉田選手。
「今朝のフリー走行の時に調整したリアサスペンションのお陰でバイクの調子は凄く良くなりました。これならレースのペースも上がりますからトップグループについていくのも問題ないと思います。」
「予選タイヤでもベストは尽くしましたが、あまりにソフトなタイヤを選んだので1周のアタックが終る前に使い切ってしまいました。レースに向けて選んだタイヤは調子がいいので、明日は面白い結果が期待できますよ。」
11番グリッド)ケニー・ロバーツJr USA チーム・ロバーツ 1分50秒181
中国とフランスの過去2戦ではコーナーを思い通りに攻められずにフラストレーションを溜めていたロバーツ・ジュニアだが、新型シャシーを搭載したマシンは今回のイタリアで改善され、納得のいくマシンに近づいたようだ。
「今回の作業を通して、マシンは自分の思い通りに動かせるバイクになりました。」とロバーツ・ジュニア。
「まだ今の状態でも完璧じゃないと思えるのが嬉しいです。予選の順位は決して良くはありませんが、スタートを成功させて1コーナーをいい順位で抜けられればいいレースができると思います。ウェットでもドライでもね。」
12番グリッド)トニ・エリアス SPA フォルツナ・ホンダ 1分50秒196
この日、翌日のレースを速いペースで周回できるセッティングを探ったトニ・エリアスだが、今回ここまでのレースウイークの成果には納得がいかない様子だ。
「今日は昨日よりは改善されてますが、まだ目的には到達できていませんので納得がいきません。」とエリアス。
「いいスタートをして速いライダーと一緒に走る事が重要になるでしょうね。みんな速いので明日は簡単にはいきませんが、まずはいい天気になって欲しいです。」
■5列目
13番グリッド)カルロス・チェカ SPA TECH3ヤマハ 1分50秒347
TECH3ヤマハに移籍してダンロップを履いてからの予選最高位である13位を獲得したカルロス・チェカは、「イタリアも難しい予選になったが正しいセッティングは見つけた」と自身の公式ページで述べている。
以下にその内容を引用する。
「イタリアの予選も難しかったです。」とチェカ。
「昨日使ったセッティングはル・マンと同じものでしたが、ここではより多くの問題を抱える事になりました。しかしながら、何が問題かを見つける上で有益な情報を得る事はできています。」
「フロントタイヤの問題をセッティングでカバーするのは相当大変ですから、今日はセッティングをゼロからやり直す決心をしました。異なるタイヤも同時にいくつかテストしましたが、やはり低温ではグリップがなかなか得られていません。」
「でも、最終的には正しいセッティングに到達しました。もう少しリアまわりを調整すればさらに良くなる筈です。チャタリングは少しありましたがこれは舗装のせいです。」
「問題はありますが、目標に近づいているのがわかるので今回の結果には満足できますし、今までの自分たちの努力を誇りに思います。もちろん、この努力は今後も続けるつもりです。」
「明日のウォームアップでも何点かテストが残っていますが、一旦レースに入ってしまえば自分たちに与えられた素材を持ってできる限りの努力をするだけです。レースで有利になるように、気温が温かくなる事を望みます。」
「まだトップとの差は開いていますが、今回の予選での進歩は大きかったと思います。」
14番グリッド)コーリン・エドワーズ USA キャメル・ヤマハ 1分50秒405
初日にロッシと同じ新型シャシーをテストしたものの、雨により十分なセッティング時間がとれないとして2日目からは旧型のシャシーに戻したコーリン・エドワーズだが、1日目のフリー走行を全て無駄にした事が災いして2日目は旧型シャシーのセッティング時間が足りなくなったようだ。
「全然嬉しくないね。」とエドワーズ。
「ここでこんなに不運が続くって事は、このコースは俺に呪文でもかけてんじゃないかな。昨日は新型シャシーのセッティングをしてる最中に天気が敵にまわったから今日は旧型にせっかく戻したのに、結局さっぱり意味のない結果に終っただけだね。」
「まだ問題の根本原因には辿り着けていません。中国とル・マンで良かったものが全部蒸発したのかもね。自分の攻め方が足らないせいじゃないですよ!すごいプッシュして走ってるからね。でも見当違いの場所でプッシュしてるだけかも・・・ていうか全然わかりません!」
「今週は新型シャシーを使う時間もテストする時間も取れなかったので、多分それが裏目に出ました。明日のウォームアップでは出来る限りの力を絞って、レースでどれだポジションを挽回できるか試すつもりです。」
15番グリッド)クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ 1分50秒430
チームメイトのジョン・ホプキンスと同じく、クリスはこの日ブリヂストンのレース用タイヤのテストに集中して作業を行っている。
「今朝は完全なドライじゃなくて残念でしたが、進展はたくさんありました。」とクリス。
「まだコースは覚えなきゃいけませんが順調ですよ。昨日の最初のセッションではトップから4秒離されてましたが予選では1.4秒まで縮まりましたので進歩してるのはわかりますよね」
「残念なのは15番グリッドスタートですが、まあ初めて走るサーキットではいつもこんなもんです。明日の目標はスタートを成功させて前のグループに飛び込み、まわりのライダーたちといいレースをする事です。」
■6列目
16番グリッド)ランディ・ド・ピュニエ FRA カワサキ・レーシング 1分50秒597
ランディー・ド・ピュニエはこの日予選タイヤに苦しみ、順位を16番手まで落としている。
ド・ピュニエもチームメイトの中野選手と同じく、この日は16インチタイヤのテストも行っているが、レースには通常の16.5インチタイヤを使用する事を既に決めているようだ。
予選では苦しんだド・ピュニエだが、翌日のレースに向けてのセッティングについては高い自信を示す。
「予選順位が良くないのは間違いありませんが、レースタイヤでのセッティングはうまくいったので今回は良しとしたいです。」とド・ピュニエ。
「最後の15分間に2個の予選タイヤを使いましたが、どうもタイヤの性能をフルに使う事ができなかったようです。理由は分かりませんがどちらのタイヤも同じ結果でした。変ですね。」
「でも今一番大事なのは明日のレースに向けてバイクの調子がいい事です。6列目スタートですからレースは大変でしょうが、スタートを成功させてトップのライダーとの差を縮められるようにしたいです。いい結果も残したいですね。」
17番グリッド)ジェームス・エリソン GBR TECH3ヤマハ 1分51秒866
ダンロップを履くチームメイトのカルロス・チェカが大幅に予選順位を改善する中、ジェームス・エリソンも久しぶりにプラマック・ダンティーンの2名より高い予選順位を獲得している。
18番グリッド)アレックス・ホフマン GER プラマック・ダンティーン 1分52秒100
プラマック・ダンティーンのアレックス・ホフマンは、2日目の課題としていた走行リズムを改善する事ができたようだ。
「今日はタイヤとマシンのセッティングを明日のレースの為に調整しました。」とホフマン。
「レースに向けてのリズムは若干改善できましたが、まだ満足はできません。目標からはまだ遠いですからね。」
「今回は予選タイヤでアタック中のセッション終盤に、前を走っていた2人のライダーが急にスローダウンして、その影響を受けてしまったのが残念です。さらに0.5秒はタイムが上げれたでしょうし、予選グリッドも一つ前になった筈です。」
「チームは真剣に働いてタイヤ選択に最大限の努力をしていますし、明日のウォームアップでも作業は続けます。レースタイヤにはまだ多くの問題を抱えたままです。」
「とにかく明日はもっとポイントが獲得できるようにベストを尽くします。スポンサーと支援者の方々の前でいい結果を残したいです。」
■7列目
19番グリッド)ホセ・ルイス・カルドソ SPA プラマック・ダンティーン 1分52秒780
2日目の予選はマシンのセッティングに集中したというカルドソは、今回使用したダンロップタイヤの耐久性に問題を抱えていたと語る。
「今日はバイクのセッティングが難しかったです。」とカルドソ。
「フリー走行で使用していたタイヤにあまり耐久性が得られないんです。タイヤ寿命が長引くように違うセッティングも試しましたが、改善の兆しは得られませんでした。」
「その上別の問題もあったんです。チャタリングが出てタイムが上げられないので明日のウォームアップではその解決策に取り組む予定です。チーム本拠地のみんなの前でいいレースがしたいですね。」
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