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SBKシルバーストーン決勝 トミー・ヒル「SBKライダーは110%で走ってる」 |
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2006年5月29日
5月28日、イギリスのシルバーストーン・サーキットは世界スーパーバイク選手権(SBK)の第5ラウンド、決勝レースの開催を迎えた。
天候は前日の予報通りに晴れ、雨の続いたイギリスのサーキットに久しぶりに陽射しが注いでいる。
■中冨選手は午前のウォームアップで転倒し右腕を骨折
当日は20番グリッドから決勝レースをスタートさせる予定だったヤマハ・フランスの中冨伸一選手だが、午前中のウォームアップで濡れた路面にタイヤを滑らせて大クラッシュを喫している。
この事故により午前のセッションは赤旗中断となり、中冨伸一選手は右腕を骨折する大怪我を負い今回のレースへの出場は不可能となった。
中冨選手は4週間後のミサノには出場したいと、以下の通りコメントを発表している。
「コースの濡れた部分で腕を骨折してしまいました。計画されていた今後のテストには参加できなくなりますが、ミサノまでにはレースに参加できる事を望んでいます。」
■スターティンググリッド、怪我の目立つ日本勢
1列目ポールポジションは、初のSBKワイルドカード参戦ながら雨のスーパーポールを制した21歳の現BSBライダーのトミー・ヒル。「普段はテレビで見ているライダーたちの先頭に並ぶなんて信じられない。グリッドでは怖気づくかも。」と、グリッド確定後に喜びのコメントを発表している。
2番グリッドにはドゥカティーのトロイ・ベイリス、3番グリッドにはカワサキのクリスウォーカー、1列目最後の4番グリッドにはヤマハ・イタリアの芳賀紀行選手が並んだ。
2列目5番グリッドにはDFXトリームのミッシェル・ファブリッツォ、6番グリッドにはクラフィ・ホンダのアレックス・バロス、7番グリッドにはステルリガルダ・ベリックのルーベン・チャウス、8番グリッドにはテン・ケイト・ホンダのカール・マガリッジ。
予選トップ常連のアルスター・スズキ、トロイ・コーサーはスーパーポールでタイヤのグリップが得られず、今期最も低いグリッド順からのスタートとなる10番グリッド、ノリックこと阿部典史選手は15番グリッド、アルスター・スズキの加賀山選手はスーパーポールで転倒して右手の人差し指を3針縫う怪我を負い16番グリッドからのスタートとなった。
ノリックも前回のモンツァで右手を痛めており、今期は芳賀選手以外の日本人の怪我が目立つ前半戦となってしまった。
■レース1
レース1開始時の気温は18度、路面温度は28度。前日の予選からは想像がつかない温かい陽射しが覗くレース日和となった。湿度は41%。
1コーナーで多重クラッシュが発生、バロスのマシンが炎上
シグナルが消え、一斉にマシンが1コーナーに飛び込む。ホールショットを奪ったのはベイリス、後ろに芳賀選手、マガリッジ、ウォーカー、アンドリュー・ピットが続いたが、後続のライダー1名が1コーナー手前つんのめり、その近辺を走行していたライダーを次々と巻き込む多重クラッシュが発生した。
この事故にトロイ・コーサー、アレックス・バロス、ファビアン・フォーレが巻き込まれ、1コーナーにはバイクとライダーが横滑りしながら激しく飛び込んだ。アレックス・バロスのバイクは横倒れのまま炎上し、突進しながら火を噴く自分のマシンに轢かれそうになったアレックス・バロスは、その炎の上をどこかの民族ダンスのごとく飛び越え、難を逃れている。
レースは赤旗中断となり、30分後には再び各バイクがスターティンググリッドに並んだ。事故に巻き込まれたライダーたちはセカンドバイクへの乗り換えを余儀なくされている。
赤旗後、再びスタート
レースは仕切りなおしとなり、再びシグナルが消え、各ライダーが一斉にスタートした。好調なスタートを決めた芳賀選手の後方ではバロスがウイリーして慌ててバイクを立て直している。
オープニングラップ、1コーナーをトップで抜けたのは芳賀選手。後ろにはベイリス、ウォーカー、チャウス、コーサー、マガリッジ、トスランドが続いた。
3ラップ目、アルスター・スズキのトロイ・コーサーがシケイン右コーナーでバランスを崩し転倒してしまう。順位を最後尾まで落としながらゆっくりと再スタートを切るが明らかにマシンが加速していかない。
先頭は依然として芳賀選手。
芳賀選手が先頭をキープ、今期初となるチャウスの追い上げ
4ラップ目後半、2番手を行くベイリスが芳賀選手に外側から被せて抜きにかかるが、芳賀選手は次の切り返しまでそれを阻止し、ベイリスを前には出させない。ルーベン・チャウスはここでファーステストを記録して追い上げ、前を走るカワサキのクリス・ウォーカーを交わして3番手に浮上。
5ラップ目に入ると激しく先頭を争う芳賀選手とベイリスがペースを上げ、後続を引き離しにかかるが、チャウスとクリスウォーカーも追い上げ、それを逃がさない。
やがて選手集団は芳賀選手、ベイリス、チャウス、ウォーカーの4台に絞られる。同じ頃、トロイ・コーサーはフロントタイヤに問題を抱えピットイン。レースを断念した。
遥か後方ではノリックが10位、加賀山選手が12位を走行している。
6ラップ目、ベイリスの激しい追撃を交わし逃げの体制に入りたいトップの芳賀選手が後続を0.8秒引き離した。後ろではベイリスが様子を窺うように走行している。ベイリスの後ろには今期初めて表彰台圏内を走るルーベン・チャウスがベイリスに迫る。
MotoGP帰りのドゥカティー2名の争い
7ラップ目、チャウスがついにベイリスの真後ろにつけた。カワサキのクリス・ウォーカーが徐々に後退する中、チャウスはブレーキングでベイリスを交わして2番手に浮上し、そのまま1秒前を行く芳賀選手を追う。
ベイリスはチャウスの前に出ようと並びかける。
8ラップ目、先頭の芳賀選手の後ろで2番手争いをしていた2台のドゥカティーだったが、ベイリスがチャウスのペースにあわせるように後方につけバトルを中断。芳賀選手への追い上げを優先するかのような走りに変わった。
無益な争いを避けるベイリス、バロスは後方から追い上げる
10ラップ目、一度は1.5秒まで後続との差を広げた芳賀選手だが、2番手のチャウスが1秒後方に再び迫った。チャウスの後ろにはベイリスが特に抜く様子を見せずに追走している。
クリス・ウォーカーは後方から追い上げてきた地元イギリス人のジェームス・トスランドに交わされ5番手に後退。アレックス・バロスはミッシェル・ファブリッツォを交わし12位に。
ノリックは9番手を走行するポールポジションスタートのトミー・ヒルに迫る。
12ラップ目、クリスウォーカーは後退を続け、アンドリュー・ピットにパスされ6位に下がり、そのままピットを追走している。順位は先頭から芳賀選手、1秒後方にチャウス、ベイリス、その4.3秒後方にトスランド、ピット、ウォーカーが続く。
チャウスを交わしてターゲットを芳賀選手に絞るベイリス
ベイリスが激しくリアを踊らせながらチャウスに迫る。
14ラップ目、高速コーナーの飛び込みでベイリスがチャウスを交わして再び2番手に。ベイリスはそのままペースをあげて一気に芳賀選手の後方0.5秒まで迫った。ベイリスのペースに離されまいと追いすがるチャウス。
芳賀選手はフロントを振りながらベイリスから逃げる。
その頃、ノリックはトミー・ヒルを交わして9番手に浮上した。アレックス・バロスはフォンシ・ニエトを交わしてノリックの後方トミー・ヒルの真後ろ11番手につける。加賀山選手は13番手を走行。
トップの芳賀選手にプレッシャーをかけるベイリス
15ラップ目、チャウスは先頭の2台のペースから徐々に離され、ベイリスの1.5秒後方まで後退。先頭の2台は激しい攻防戦を続けており、序盤はロングコーナーでベイリスに差をつけていた芳賀選手だが、中盤に差し掛かるとベイリスとの差が開けなくなった。
低速コーナーでベイリスは芳賀選手のマシンに密着し、執拗にインを狙う。コーナー飛び込みで辛うじてベイリスを離す芳賀選手。
17ラップ目、タイヤが苦しそうな芳賀選手の真横に何度もベイリスが並ぶが、芳賀選手はブロックしてこれを阻止。二人の距離に差は全くない。
9番手のノリックの後ろにはバロスが迫っている。
19ラップ目、ベイリスがシケインの入り口で芳賀選手を交わすが、直後の折り返しコーナーで芳賀選手が再びベイリスの前に。苦しそうな芳賀選手に何度もアタックを続けるベイリス。
トップに立つベイリスと諦めない芳賀選手
ベイリスはコーナーの入り口で芳賀選手を交わしトップに。バロスはノリックを交わし9位に浮上。
21ラップ目、先頭を行くベイリスの0.4秒後方に追いすがる芳賀選手、その2.3秒後方にはルーベン・チャウス。今期初の表彰台を狙うチャウスの0.7秒後方にはジェームス・トスランドが迫っている。
ついにジェームス・トスランドはチャウスに隙間無くマシンを寄せ、直線からのブレーキングですがるチャウスを抑えて3番手に浮上した。
芳賀選手はベイリスに抜かれてからも全く追撃の手を緩めず、ベイリスの0.2秒後方を走行しトップ奪還を窺っている。その2.5秒後ろにはジェームス・トスランドが見える。
24ラップ目、芳賀選手はリアを激しく滑らしながらベイリスを追う。芳賀選手の2秒後方にはジェームス・トスランドが狂ったような激しいブレーキングで先頭2台を追い続けている。ステルリガルダ・ベリックのルーベン・チャウスはトスランドの3秒後方まで後退した。
最後まで熾烈なバトルとなったトップ争い
25ラップ目に再び芳賀選手はシケインでベイリスを追い詰めるが、高速コーナー出口ではベイリスに逃げられてしまう。
26ラップ目、芳賀選手に突き上げられるようにシケインに入ったベイリスはややオーバーラン気味に走行。芳賀選手はさらに差を詰め、高速コーナー出口でベイリスに並びかける。芳賀選手はここで再びトップに。
ベイリスは芳賀選手を逃がさず追撃にかかる。再びシケインのインをついてベイリスは芳賀選手の前に浮上した。
トスランドは2人の後方を激しいライディングで走行しているが、2秒の差はまだ縮まらない。
最終ラップに突入し、逃げの体制に入りたいベイリスの0.4秒後方を芳賀選手が激しく追う。トスランドはペースを全く下げる事なくついに芳賀選手の1秒後方まで迫ってきた。
ベイリスはさらに加速を続け、芳賀選手との差は0.8秒まで広がる。ベイリスに追いつけない芳賀選手の0.9秒後方にはトスランドが迫っている。
トップを死守したベイリス、トスランドは地元の意地
チェッカーが振られ、先頭でコントロールラインを抜けたのはドゥカティーのトロイ・ベイリス、2位にはヤマハ・イタリアの芳賀紀行選手、3位には激しい後半の追い上げを見せた地元イギリス人、テン・ケイト・ホンダのジェームス・トスランドが入り、表彰台を獲得した。
4位にはステルリガルダ・ベリック・ドゥカティーのルーベン・チャウス、5位はヤマハ・イタリアのアンドリュー・ピット、6位にはカワサキのクリス・ウォーカーが続いた。
また、クラフィ・ホンダのアレックス・バロスは9位、その後の10位にはヤマハ・フランスの阿部典史選手がつけ、アルスター・スズキの加賀山選手は14位でレース1を終えた。
■レース2
午後のレース2開始時、気温は午前のレース1と同じ18度、路面温度は5度高い33度まで上昇した。
クリス・ウォーカーと地元トミー・ヒルが好スタート
オープニングラップ、レース2の1コーナーを制したのはカワサキのクリス・ウォーカー、その後ろにはベイリス、コーサー、トミー・ヒル、芳賀選手が続く。
1コーナーを抜けるとすぐに芳賀選手はコーサーとヒルを交わして3番手に浮上。直後にトミー・ヒルはコーサーを交わし、順位はウォーカー、ベイリス、芳賀選手、ヒル、コーサーの順になった。
3ラップ目、芳賀選手はベイリスをつけ狙い2番手に浮上、4番手のトミー・ヒルはベイリスから2秒後ろまで後退する。ヒルの後ろにはコーサーがつけ、すぐ後ろではテン・ケイト・ホンダのジェームス・トスランドがペースの伸びないコーサーの様子を窺っている。
芳賀選手とベイリスの挟み撃ちにあうクリス・ウォーカー
芳賀選手とコーサーは再び並び、2台揃って先頭のクリス・ウォーカーの真後ろにつけた。やがて芳賀選手とベイリスはウォーカーに並び、芳賀選手は3台の中の先頭でコーナーに飛び込みトップに浮上。先頭集団の3台は芳賀選手、ウォーカー、ベイリスの順に。
ベイリスはウォーカーを交わそうとするが激しいブロックと抜き返しから中々前に出れない状態が続く。
5ラップ目、ウォーカーとベイリスが一進一退のバトルをする中、芳賀選手は二人の0.5秒前方のトップを走行。ベイリスの後方0.7秒にはコーサーが迫り、さらにその0.4秒後方をトスランドが追走。集団のペースについて行けないトミー・ヒルは10番手まで交代した。
再び先頭はベイリスと芳賀選手に
必死にマシンを暴れさせてベイリスの攻撃を避けるウォーカーだが、6ラップ目にベイリスはウォーカーのインをついて2番手に浮上し、芳賀選手の追い上げ体制に入る。
7ラップ目、コーナー入り口で芳賀選手のインをついてベイリスがトップに浮上。クリス・ウォーカーは先頭2名の0.5秒後方に下がり、徐々にペースが上がらなくなる。ウォーカーの0.6秒後ろにはトロイ・コーサーがつけ、さらに0.6秒後方にはジェームス・トスランド。
芳賀選手から逃げたいベイリスはこの周にラップレコードを記録してペースを上げる。
10ラップ目、トップを走るベイリスの0.7秒後方には2番手の芳賀選手。この時、先頭2台は1分26秒台で走行しており、後方3.4秒後ろまで下がった第2集団のウォーカー、コーサー、トスランド、アンドリュー・ピットの4台は1分27秒台で周回を重ねている。
今度はコーサーとトスランドの挟み撃ちにあうウォーカー
第二集団の先頭を走るクリス・ウォーカーの後ろには後続の3台が並び、ウォーカーの隙を窺いながら追走。必死で逃げるウォーカー。
11ラップ目、コーサーはウォーカーの前に勢い良く出るがコーナリングを失敗。すぐに抜き返され、ジェームス・トスランドにも順位を奪われてしまう。この時コーサーはマシンのスロットル・レスポンスに問題を抱えており、いつもの安定したアクセルワークを欠いている。
後退するコーサー、後ろにはバロス
13ラップ目、先頭集団と第2集団との差が7秒まで広がった。コーサーはペースを維持できずにアンドリュー・ピットにも交わされ6番手に後退する。コーサーの1.3秒後方にはアレックス・バロスが迫る。
コース前半では芳賀選手がトップを行くベイリスを追い上げて0.2秒差まで迫るが、コース後半ではややベイリスに離されるという状態が続く。芳賀選手は何度も低速部分でベイリスに並びかけるが完全には前には出れない。
この時、ノリックは12番手のトミー・ヒルを追い13番手、加賀山選手は15番手を走行している。
3番手を行くジェームス・トスランドの後ろではアンドリュー・ピットがクリス・ウォーカーを交わして4番手に浮上。クリス・ウォーカーの0.2秒後ろには6番手のトロイ・コーサーがつける。
芳賀選手、再びトップに
17ラップ前半、芳賀選手がベイリスを交わしてトップに立った。トロイ・コーサーは後方から激しく追い上げてきたアレックス・バロスに交わされ7番手に後退。
17ラップ後半、再びベイリスが低速コーナーのインをついて芳賀選手の前に立つ。
18ラップ目、先頭にベイリスと芳賀選手、9秒後方にトスランド、その0.8秒後方にはアンドリュー・ピットが続く。ピットの3秒後方には第3集団となったウォーカー、バロス、コーサーが密着して走行しているが、その3台の後ろにはルーベン・チャウスがハイペースで迫っている。
19ラップ目に第3集団にチャウスは追いつきコーサーを交わす。
加賀山選手は順位を一つあげて、13番手のノリックの後方となる14番手を走行。
逃げの体制に入るベイリス
20ラップ目、ベイリスはペースを上げで芳賀選手から1秒の差をキープして走行。後方の第3集団ではバロスがウォーカーを交わし、先頭のベイリスから7秒後方の5番手に浮上。
23ラップから24ラップ目、ベイリスはリアを何度も滑らせながらコーナーを抜けていくが全くペースを落とす様子がない。芳賀選手はベイリスに追いすがるが差は1.3秒に開いている。第3集団ではチャウスがウォーカーを交わしバロスの2.5秒後方の6番手に浮上。
5番手を走るバロスは第3集団を抜け出し、2.5秒前を走る4番手のピットを追う。
最後の追い上げを見せるコーサー
26ラップ目、芳賀選手は1.5秒前を走るトップのベイリスを追い続けるが、リアが滑ってペースが上げられない。後方では直線の外側からコーサーがクリス・ウォーカーを交わし7番手に浮上。コーサーはそのまま0.3秒前を走るチャウスに迫る。
最終ラップの28ラップ目に突入し、コーサーはチャウスを交わして6番手に。1コーナーを順にベイリス、1.6秒後方を芳賀選手、その11秒後方をジェームス・トスランドが抜けていく。
さらに続いてトスランドの2.4秒後方にアンドリュー・ピット、その2.2秒後方にはアレックス・バロス、バロスの2.6秒後からトロイ・コーサーがチャウスとウォーカーに追われながら通りすぎる。
表彰台はレース1と全く同じ顔ぶれに
チェッカーが振られ、優勝はレース1に続いてドゥカティーのトロイ・ベイリス。2位もやはりレース1と同じくヤマハ・イタリアの芳賀紀行選手。3番手もレース1と同じ地元イギリス人、テン・ケイト・ホンダのジェームス・トスランドが連続して表彰台を獲得した。
4位は芳賀選手のチームメイトのアンドリュー・ピット、5位はクラフィ・ホンダのアレックス・バロス、6位にはレース1でリタイアを喫したアルスター・スズキのトロイ・コーサーが入った。阿部典史選手は11位、加賀山就臣選手は13位でレース2を終えている。
芳賀選手はポイントラインキングの3位に浮上
ポイントランキングのトップは変わらずトロイ・ベイリスの225ポイント、2位はトロイ・コーサーの149ポイント。芳賀選手はポイントランキング3位に浮上し133ポイント。
今期連続7勝を達成した上機嫌のトロイ・ベイリス
地元出身ライダーのジェームス・トスランド以上の声援を受けて手を振るベイリスは、上機嫌でバーンナウトしながら綺麗な円をコース上に描いた。
■各ライダーのコメント
以下に、レース終了後のライダーコメントを紹介する。
トロイ・ベイリス(RACE1:1位、RACE2:1位)
2002年は連続6勝を凄くラッキーに思っていた事を今週のレースに入る前に思い出してました。
でも、金曜と土曜日にバイクから投げ出されて転倒し、その痛みがどんどん激しくなる中で、今回はポイントを何点か加算するだけでいいかな・・・と思い始めてたんです。でもレースに入ったら気持ちはがらっと変わりましたけどね。
レース1ではコーサーが転倒したのが見えたので、このチャンスを絶対に活かし、ノリ(芳賀選手)に絶対に負けないと決心しました。今回は勝利を目指して本当に激しく戦いましたね。お陰でコーサーからだいぶポイント差を引き離す結果にもなりました。
レース1終了後にタイヤをソフトに変えて、サスペンションも調整しました。私のバイクを主に担当しているアーネスト・マリネリが凄い仕事をしてくれて、その後はさらに0.5秒速いペースで走れるようになったんです。
もしレース1と同じタイヤだったらレース2は厳しいレースになっていたと思うので、本当に彼とチームには深く感謝しています。
今はもうテストの時に自分のドゥカティー999が絶好調だったミサノに気持ちを移しています。だから次回のレースにも自信が持てますよ。
芳賀紀行(RACE1:2位、RACE2:2位)
今日はトロイとのバトルを楽しめました。レースウイークを通してドライでもウェットでもバイクの調子は良かったですからね。ドライであまりテストができてなかったのは少し残念です。
2つのレースの合間にサスペンションのセッティングを変更し、バイクの調子はだいぶ上がりました。ただ、レース終盤はまだトラクションが足りなかった感じです。でも結果には満足していますし、年間ランキングも上がったので嬉しいですよ。
ミサノのレースの前に、もう少しテストをする予定です。前回のミサノのテストではいい結果が得られてますから、次回のレースが楽しみです。
ジェームス・トスランド(RACE1:3位、RACE2:3位)
昨日の成績には本当に落ち込みましたし、今日のレースは難しくなるだろうと思っていました。
自分は苦労したのにトロイ(ベイリス)と芳賀がリズムを早く掴んでしまったのが悔しいですね。それに他のライダーも調子良く走ってたので余計に難しくなりました。コーサーとウォーカーがバトルしていた時が一番大変でした。
14番グリッドから2回の表彰台が得られた事には本当に満足です。レース1ではあまり観衆を意識してなかったんですが、でもレース2では凄く応援がわかって表彰台とポイント獲得に繋がりました。みんなの応援に心から感謝しています。
アレックス・バロス(RACE1:9位、RACE2:5位)
最初転んだ時に何か後ろにいるなとは思ったんですが、気がついた時には自分のバイクが足元に迫っていました。もう飛んで逃げるしかなかったんですが、何かを考える暇なんて全くありませんでしたよ。でも反射神経がちゃんとあって良かったです。
最初のレースが終ってから、リアのサスペンションのセッティングを少し変更しました。それでレース1よりは調子が上がりましたね。11番グリッドスタートから5位ならそんなに悪くはないです。
ここは自分にとっては全てが初めての場所ですからちょっと大変でした。ドライでは1時間のセッションしか走れませんでしたからね。
次回のミサノはテストで以前に走ってますから、自分にとってはここより上手くいく場所だと思います。
トロイ・コーサー(RACE1:DNF、RACE2:6位)
自分たちのマナーに従えば、今日は早く忘れるべき日ですね。
今日は最初からついてなくて、レース1のオープニングラップでは後ろの誰かに追突されましたよ!幸いレースは赤旗で中断されたので助かり、ガレージに戻ってスペアバイクに飛び乗りました。
でもドライでは4周しか走ってなかった上に、しかも前に走った時と同じ感じに仕上がってなかったんです。フロントタイヤが固すぎてコントロールを失い、最後のシケインで転んでしまいました。レースに戻ろうとはしましたがもう意味はあまりなくなってましたね。
レース2ではスロットルレスポンスに問題があり、普通に乗るのが難しい状態でした。パワーを出したい所で思い通りになりませんし、普通にアクセルを開けた時には転ぶところでした。
去年も同じようなトラブルを抱えてた上に今年もなので、もう一度しっかり皆で取り組んで問題を解決できるようにしたいです。唯一良かったのは、今日は2回転んだけど怪我がなかった事です。
クリス・ウォーカー(RACE1:8位、RACE2:10位)
今日のバイクの調子は凄く良かったんですが、まだ表彰台に届くには十分じゃないみたいです。
でもバイクに不満はありませんよ。予選でもレースでも最高でしたから、これから良くなる兆しは見えたと思います。
数周トップを走れた時は最高でしたね。
阿部典史(RACE1:10位、RACE2:11位)
自分のベストの走りはできたと思いますし、ドライで走る時間が少なかったにしてはセッティングもそれほど悪くなかったと思います。
レース2の前にはセッティングを変更したのでラップタイムもあがりました。順位は下がっちゃいましたけどね。10位や11位では全然満足はできませんが、とりあえず今日はベストを尽くせたと思います。
激しいコースレイアウトなので、手首がまだ100%完全な状態じゃないぶん疲れました。
トミー・ヒル(RACE1:12位、RACE2:12位)
グリッドに並んだ時はすごく緊張していましたが、スーパーポールで勝ってポールポジションを獲得したんだと自分に言い聞かせて少し落ち着きました。
レースは自分たちが期待していたよりはいい順位だったと思いますが、SBKの人たちの本気の周回速度はちょっと信じられない速さです。
BSBでも凄い速さで走りますけど、今日のここの皆は110%の速さでレースを走ってました。
加賀山就臣(RACE1:14位、RACE2:13位)
今日はあまり満足できていません。問題は昨日転んだ時から始まってましたけどね。
今朝は背中と右手の調子があまり良くありませんでしたし、両方のレースで身体をバイクの上で自由に動かせない事に気がつきました。右手は昨日の転倒で怪我してますから高速コーナーでプッシュできないんです。
レース1では先頭グループから引き離されてしまい、一度そうなるともう追いつけませんでした。
レース2では少しましになりましたが十分とは言えず、もう正直今週の事は完全に忘れたいくらいです。
■レース順位表およびポイントランキング
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■SBK シルバーストーン レース1(28周)
1. トロイ・ベイリス [AUS] [Ducati Xerox] [Ducati 999F06] [40分49秒894]
2. 芳賀紀行 [JPN] [Yamaha Motor Italia] [Yamaha YZF R1] [40分50秒784]
3. ジェームス・トスランド [GBR] [Winston Ten Kate Honda] [Honda CBR 1000RR] [40分51秒599]
4. ルーベン・チャウス [SPA] [Sterilgarda - Berik] [Ducati 999F05] [40分58秒179]
5. アンドリュー・ピット [AUS] [Yamaha Motor Italia] [Yamaha YZF R1] [41分02秒197]
6. クリス・ウォーカー [GBR] [PSG-1 Kawasaki Corse] [Kawasaki ZX10R] [41分13秒610]
7. レジス・ラコーニ [ITA] [PSG-1 Kawasaki Corse] [Kawasaki ZX10R] [41分15秒377]
8. カール・マガリッジ [AUS] [Winston Ten Kate Honda] [Honda CBR 1000RR] [41分15秒943]
9. アレックス・バロス [BRA] [Team Klaffi Honda] [Honda CBR 1000RR] [41分19秒544]
10. 阿部典史 [JPN] [Yamaha Motor France-Ipone] [Yamaha YZF R1] [41分22秒102]
11. フォンシ・ニエト [SPA] [PSG-1 Kawasaki Corse 2] [Kawasaki ZX10R] [41分29秒501]
12. トミー・ヒル [GBR] [Virgin Mobile Yamaha] [Yamaha YZF R1] [41分31秒444]
13. ロレンツォ・ランチ [ITA] [Ducati Xerox] [Ducati 999F06] [41分31秒829]
14. 加賀山就臣 [JPN] [Team Alstare Suzuki Corona Extra] [Suzuki GSXR1000 K6] [41
分40秒279]
15. ジャンルカ・ナンネッリ [ITA] [D.F.X. Treme] [Honda CBR 1000RR] [41分42秒620]
16. マックス・ノイキルヒナー [GER] [Team Pedercini] [Ducati 999RS] [41分42秒654]
17. ロベルト・ロルフォ [ITA] [Team Ducati SC - Caracchi] [Ducati 999F05] [41分43秒108]
18. ビットリオ・イアンヌッツォ [ITA] [Celani Team Suzuki Italia] [Suzuki GSXR1000 K6] [41分44秒031]
--リタイア
イヴァン・クレメンティ【20周】[ITA] [Team Pedercini] [Ducati 999RS] [29分58秒092]
セバスチャン・ジンバート【19周】[FRA] [Yamaha Motor France-Ipone] [Yamaha YZF R1] [28分17秒435]
スティーブ・マーチン【19周】[AUS] [Foggy Petronas Racing] [Petronas FP1] [28分35秒045]
ジョシュア・ブルックス【19周】[AUS] [Team Bertocchi Kawasaki] [Kawasaki ZX10R] [32分48秒367]
ミッシェル・ファブリッツォ【16周】[ITA] [D.F.X. Treme] [Honda CBR 1000RR] [23分53秒150]
ファビアン・フォーレ【9周】[FRA] [Team Alstare Engineering Corona Extra] [Suzuki GSXR1000 K6] [13分44秒677]
トロイ・コーサー【6周】[AUS] [Team Alstare Suzuki Corona Extra] [Suzuki GSXR1000 K6] [11分56秒529]
クレイグ・ジョーンズ【0周】[GBR] [Foggy Petronas Racing] [Petronas FP1] [-分--秒---]
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■SBK シルバーストーン レース2(28周)
1. トロイ・ベイリス [AUS] [Ducati Xerox] [Ducati 999F06] [40分42秒003]
2. 芳賀紀行 [JPN] [Yamaha Motor Italia] [Yamaha YZF R1] [40分43秒588]
3. ジェームス・トスランド [GBR] [Winston Ten Kate Honda] [Honda CBR 1000RR] [40分54秒061]
4. アンドリュー・ピット [AUS] [Yamaha Motor Italia] [Yamaha YZF R1] [40分56秒564]
5. アレックス・バロス [BRA] [Team Klaffi Honda] [Honda CBR 1000RR] [40分58秒829]
6. トロイ・コーサー [AUS] [Team Alstare Suzuki Corona Extra] [Suzuki GSXR1000 K6] [41分03秒233]
7. ルーベン・チャウス [SPA] [Sterilgarda - Berik] [Ducati 999F05] [41分04秒059]
8. クリス・ウォーカー [GBR] [PSG-1 Kawasaki Corse] [Kawasaki ZX10R] [41分04秒552]
9. カール・マガリッジ [AUS] [Winston Ten Kate Honda] [Honda CBR 1000RR] [41分04秒711]
10. フォンシ・ニエト [SPA] [PSG-1 Kawasaki Corse 2] [Kawasaki ZX10R] [41分16秒028]
11. 阿部典史 [JPN] [Yamaha Motor France-Ipone] [Yamaha YZF R1] [41分16秒742]
12. トミー・ヒル [GBR] [Virgin Mobile Yamaha] [Yamaha YZF R1] [41分17秒115]
13. 加賀山就臣 [JPN] [Team Alstare Suzuki Corona Extra] [Suzuki GSXR1000 K6] [41
分17秒521]
14. レジス・ラコーニ [ITA] [PSG-1 Kawasaki Corse] [Kawasaki ZX10R] [41分18秒325]
15. ミッシェル・ファブリッツォ [ITA] [D.F.X. Treme] [Honda CBR 1000RR] [41分29秒853]
16. ロレンツォ・ランチ [ITA] [Ducati Xerox] [Ducati 999F06] [41分32秒104]
17. ジャンルカ・ナンネッリ [ITA] [D.F.X. Treme] [Honda CBR 1000RR] [41分33秒092]
18. ジョシュア・ブルックス [AUS] [Team Bertocchi Kawasaki] [Kawasaki ZX10R] [41分34秒194]
19. ロベルト・ロルフォ [ITA] [Team Ducati SC - Caracchi] [Ducati 999F05] [41分34秒258]
--リタイア
イヴァン・クレメンティ【26周】[ITA] [Team Pedercini] [Ducati 999RS] [38分45秒326]
セバスチャン・ジンバート【17周】[FRA] [Yamaha Motor France-Ipone] [Yamaha YZF R1] [25分27秒891]
ファビアン・フォーレ【15周】[FRA] [Team Alstare Engineering Corona Extra] [Suzuki GSXR1000 K6] [22分36秒332]
マックス・ノイキルヒナー【14周】[GER] [Team Pedercini] [Ducati 999RS] [20分55秒672]
スティーブ・マーチン【10周】[AUS] [Foggy Petronas Racing] [Petronas FP1] [15分11秒691]
ビットリオ・イアンヌッツォ【6周】[ITA] [Celani Team Suzuki Italia] [Suzuki GSXR1000 K6] [8分57秒653]
クレイグ・ジョーンズ【0周】[GBR] [Foggy Petronas Racing] [Petronas FP1] [-分--秒---]
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■ポイントランキング
1. トロイ・ベイリス [AUS] [Ducati] 225
2. トロイ・コーサー [AUS] [Suzuki] 149
3. 芳賀紀行 [JPN] [Yamaha] 133
4. ジェームス・トスランド [GBR] [Honda] 129
4. アレックス・バロス [BRA] [Honda] 113
6. アンドリュー・ピット [AUS] [Yamaha] 103
7. ロレンツォ・ランチ [ITA] [Ducati] 62
8. ルーベン・チャウス [SPA] [Ducati] 56
9. 阿部典史 [JPN] [Yamaha] 51
10. クリス・ウォーカー [GBR] [Kawasaki] 51
11. フォンシ・ニエト [SPA] [Kawasaki] 48
12. ロベルト・ロルフォ [ITA] [Ducati] 46
13. カール・マガリッジ [AUS] [Honda] 45
14. レジス・ラコーニ [ITA] [Kawasaki] 42
15. ミッシェル・ファブリッツォ [ITA] [Honda] 37
16. 加賀山就臣 [JPN] [Suzuki] 29
17. 中冨 伸一 [JPN][Yamaha] 18
18. ピエールフランチェスコ・キリ [ITA] [Honda] 10
19. ファビアン・フォーレ [FRA] [Suzuki] 10
20. マルコ・ボルチアーニ [ITA] [Ducati] 9
21. マックス・ノイキルヒナー [GER] [Ducati] 9
22. トミー・ヒル [GBR] [Yamaha] 8
23. セバスチャン・ジンバート [FRA] [Yamaha] 7
24. スティーブ・マーチン [AUS] [Petronas] 4
25. ロレンツォ・アルフォンシ [ITA] [Yamaha] 2
26. ホセ・ダビィ・デ・ヘア [SPA] [Honda] 2
27. ジャンルカ・ナンネッリ [ITA] [Honda] 1
26. イヴァン・クレメンティ [ITA] Ducati] 1
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■マニュファクチャーズ・ポイント
1. Ducati 226
2. Suzuki 161
3. Honda 156
4. Yamaha 153
5. Kawasaki 75
6. Petronas 4
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