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SBK シルバーストーン初日 有名ライダーの転倒者が続出 |
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2006年5月27日
5月26日、SBKの第五ラウンドがイギリスのシルバーストーンで第1日目を迎えた。
シルバーストーンは雨と曇りの天候が何日も続いているが、この日午前中のフリー走行はウェット、午後の1時間の第一予選はドライセッションとなった。
第1予選開始時の気温は17度、路面温度は19度。また、湿度は82%に上り、ドライ宣言とは言えども路面の所々は湿り、風も強く慎重なライディングが必要となるコンディションだったようだ。
■ビッグネームの転倒者が続出、難しい路面状況の第一予選
午後の第一予選はセッション開始前半から転倒者が続出する事態となり、予選終了までに赤旗中断が2回発生している。
ドゥカティーのロレンツォ・ランチとトロイ・ベイリスが前半の25分から30分に転倒、後半の残り20分にはヤマハ・フランスの中冨選手とフォギー・ペトローナスのスティーブ・マーチンが転倒して1度目の赤旗中断。
セッション再開後の残り10分にはステルリガルダ・ベリック・ドゥカティーのボルチアーニ、続いてテン・ケイト・ホンダのジェームス・トスランドが転倒し、さらにトロイ・ベイリスがこの日2度目の転倒を喫したところで2度目の赤旗中断となった。
2度目のセッション再開後の予選終盤にも、カワサキのクリス・ウォーカーやマックス・ノイキルヒナーが転倒している。
この難しいコンディションでの第一予選を制したのは、午後に2回の転倒を喫したポイントランキングトップのドゥカティー、トロイ・ベイリスだ。2位にはアルスター・スズキのトロイ・コーサーがつけ、この日もベテラン両オージーがいかなる路面状況でも劣らぬ強さを発揮している。3位には好調カワサキのフォンシ・ニエト。
日本人勢の中で最上位はヤマハ・イタリアの芳賀紀行選手の4位。アルスター・スズキの加賀山就臣選手は7位となり、ヤマハ・フランスの阿部典史選手と中冨伸一選手は16位と20位で難しい初日を終えた。
尚、この日は特に深刻な怪我人の情報は入っていない。
■セッション終盤にトップタイムをマークしたベイリス
初日のトップタイムはドゥカティーのトロイ・ベイリスが記録した1分27秒011。セッション序盤はタイムが伸びず、2度の転倒を喫したベイリスだが、残り10分のところで一気にトップに踊り出た。怪我については、尻と頭を強打したが問題はないとコメントしている。
「1セッションで2回も転べば計画もへったくれも無くなるよね。」とベイリス。
「ここはイギリスの典型的なコースですね。ブリティッシュ選手権を思い返すといつもこんな天候ばっかりですし、必ずおかしなアクシデントが起きるんです。」
「最初の転倒はバックストレートの直前でしたが、少し大回りしたら点在する水溜りを踏んで、後は窓ガラスの上の石鹸のような感じになりました。結構激しく尻を打ちましたが大丈夫ですよ。」
「それでセカンドバイクに乗り換えて走ったら、たくさんの連中が同じコーナーで転んでたんです。プライアリー(コーナー)直前のブリッジの下なんですが、何箇所か湿ってたようです。」
「そのコーナーに入ったらトスランドが起き上がろうとしてるのが目に入り、それを見てたらリアが振られ、気がついたら空中を飛んでました。頭から着地して(ヘルメットが)割れましたよ。」
「すぐにジェームスが来て助け起こしてくれましたが、あいつはいい奴だね!」
「もうこれで自分の予選は終わりかと思いましたが、チームの連中が芝刈り機みたいになってた最初のバイクを直してくれたんです。その後はリズムが掴めて自己ベストラップが出せたんですが、今日の話はそんなとこですね。」
■コーサー「レースはウェットがいい」
2番手タイムは、初日は着実な走りに徹したというアルスター・スズキのトロイ・コーサーが記録した1分27秒068。午前中のウェットセッティングには苦しんだというコーサーだが、午後のドライ路面では昨年のセッティングがそのまま役に立ったようだ。
「今日は大方満足ですよ。午前中のウェットでは特に気をつけて走りました。」とコーサー。
「最初のフリー走行ではいいセッティングが見つからず苦しみましたね。午後には路面が乾いたので去年使ってたセッティングに戻したんですが、すぐにうまくいきました。コースには湿った部分がいくつか残っていましたが、元々自分の使うラインとは違う場所だったのでなるべく踏まないように気をつけました。」
「シルバーストーンは路面状況が良い時にはラインがひとつに絞られるコースですから、明日はドライだといいですね。レースではウェットになって欲しいけどね。」
3番手はカワサキのフォンシ・ニエト。タイムは1分27秒205。決勝グリッドの上位に複数台のグリーンマシンが並ぶのも珍しくなくなりつつある好調なカワサキ勢だが、まだ今期の表彰台は獲得できていない。
決勝終盤のタイムアタックに成功したニエトは、2日目のスーパーポールは安泰だと喜んでいる。
「たくさんのライダーが転んでいたので序盤は慎重に走りましたが、最後の10分は新しいタイヤでプッシュしたらうまくいきましたね。」とニエト。
「これならスーパーポールの圏内ですから凄く嬉しいし、明日はレースに向けたバイクのセッティングに集中できます。」
「低速コーナーでちょっとバイクが重く感じる問題だけは残っていますが、このサーキットは好きですよ。」
■トラブルに暫定ポールを邪魔された芳賀選手
4番手タイムはヤマハ・イタリアの芳賀紀行選手が記録した1分27秒364。芳賀選手は昨年のシルバーストーンではヤマハYZF-R1にとって初となる表彰台を獲得している。
この日、芳賀選手はウェットとドライの路面状況に関わらずバイクに好感触を得ており、ウェットとなった午前のフリー走行でも3番手タイムを記録。マシンのベースセッティングの仕上がり状態には満足している芳賀選手だが、日曜日のレースに向けたさらなる改善作業をチームと初日の晩に行ったようだ。
「最速アタック中に小さな問題が出てしまい、1位になれなかった事には少し腹が立ってますが、結果はそれほど悪くないと思います。」と芳賀選手。
「バイクの感触はウェットでもドライでも既に問題ありませんが、明日はもっと頑張ってレースに向けた作業を続ける予定です。」
5番手タイムの1分27秒418を記録したジェームス・トスランドは、午後の予選中にハイサイドを起こして転倒している。足側から着地したらしいが、特に怪我は負っていないようだ。
「オイルか砂に乗り上げて転倒しました。」とトスランド。
「トロイ・ベイリスも同じタイミングで転んでました。私は足首とヒザから着地しましたが、特に怪我はありません。」
「今日は時間を大きくロスしましたから、明日もまだ何点か試す事が残っています。今はギアに1速を使ってる部分があるんですが、去年と同じように2速で扱えるようにしたいんです。」
6番手タイムは、ヤマハ・イタリアのアンドリュー・ピットの記録した1分27秒539。セッションの終盤に大幅にタイムアップして初日の順位を上げたピットだが、シルバーストーンは彼にとって最も苦手とするサーキットの一つらしい。
ピットは初日のセッションを通してYZF-R1のセッティングに試行錯誤した結果、第一予選の終盤にやっと望みのベースセッティングが見つかり、最後には6位につける事ができたようだ。
「今日の路面は所々が湿ってました。」とピット。
「ドライ宣言でしたが、まだ濡れた部分が少しありました。でも自分たちはうまくいったのでとても嬉しいです。序盤はまあまあでしたが、一度セッティングを変更してからベースセッティングに戻すまではタイムが落ちてしまいました。」
「まだバイクの前輪が浮きすぎる問題を抱えていますが、今タイムをロスしている原因はそれだけです。」
■加賀山選手はBSB時代にシルバーストーンを多く経験
アスルタースズキ、加賀山就臣選手の初日のタイムはこの日7番手となる1分27秒599。加賀山選手にとって、シルバーストーンはBSB時代に何度も経験したコースだ。
「自分は転び過ぎだがライディングスタイルは変えられない。しかし何らかの対策は必要。」と、今期の転倒の多さを気にしていた加賀山選手だが、他の転倒者が続出したシルバーストーンの初日は一度も転倒していない。
「手首と足首はまだ少し痛みますが、バイクに乗ってしまえばそれほど問題ありません。」と加賀山選手
「ここは経験が多いので、この路面状況でも大丈夫でした。完全ウェットならまあまあのグリップが得られますが、ハーフウェットだとここは難しいんです。」
「今日は小さな問題がたくさん発生しました。それに今日はドライの時間が少なかったので明日の方向性が少し難しくなりましたね。メカニックたちと相談して明日どんなセッティングから始めるか検討したいと思います。」
「自分はこのコースを4つの区間に分けて考えています。最初の3つは大丈夫ですが、最後の部分でタイムをロスしてるんです。明日はそこを課題にして集中するつもりです。」
加賀山選手以降、8番手にはテン・ケイト・ホンダのカール・マガリッジ(1分27秒648)、9番手にはカワサキのクリス・ウォーカー(1分27秒656)、10番手には同じくカワサキのレジス・ラコーニ(1分27秒721)が続いている。
その他、ステルリガルダ・ベリック・ドゥカティーのルーベン・チャウスは13番手(1分27秒810)、クラフィ・ホンダのアレックス・バロスは14番手(1分27秒940)で初日を終えている。
■ノリック、スーパーポール出場は大丈夫
残る日本人選手だが、ヤマハフランス2名にとっては少し調子の上がらない第一予選だったようだ。
ヤマハ・フランスのノリックこと阿部典史選手は、初日のシルバーストーンを16位で終えている。タイムは1分28秒246。
前々回のバレンシアではエンジンが改善され、レース1と2の両方を4位で終えるという好調ぶりを見せたノリックだが、前回のモンツァでは初日に大クラッシュを喫して2日目の予選をキャンセル、レースではオープニングラップのクラッシュに巻き込まれてリタイアする等の不運に見舞われている。
モンツァでの右手の怪我がまだ完治していないノリックだが、スーパーバイクでのウェット路面はあまり好きではないようだ。
「午前はバイクの調子が今ひとつでした。スーパーバイクでウェットを感じ良く走れた事が今のところないですね。」とノリック。
「午後はそんなに悪くありませんでしたが、路面状態が凄く変だったのでたくさんのライダーが1つのコーナーで転んでました。周回するたびにそこで誰かが転んでるので、予選の終盤までそのコーナーを本気でアタックできない状態でした。」
「モンツァで痛めた右手の調子がまだ良くありません。このサーキットはハードブレーキングが必要なので、レースに影響が出てしまうかもしれませんね。」
「16位に入れて良かったです。もし明日の午前が雨になればスーパーポールには出場できますからね。でも、もちろんドライで実力を見せられる方がいいですよ。」
前戦のモンツァを10位と12位というSBK参戦後の最高位で終えたヤマハ・フランスのルーキーである中冨伸一選手だが、初の走行となるシルバーストーンのコースにはまだ馴染めていないようだ。初日は同じコーナーで2回転倒しているが、幸い怪我は負っていない。タイムは20番手となる1分28秒503。
「他のライダーと同様に同じコーナーで2回転び、自分の望むように調子が上げられませんでした。」と中冨選手。
「途中で違うタイヤを履いて出たのが失敗でしたが、怪我はありませんでした。明日は少しでもドライの時間があるといいですね。」
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■SBK シルバーストーン 予選1
1. トロイ・ベイリス [AUS] [Ducati Xerox] [Ducati 999F06] [1分27秒011]
2. トロイ・コーサー [AUS] [Team Alstare Suzuki Corona Extra] [Suzuki GSXR1000 K6] [1分27秒068]
3. フォンシ・ニエト [SPA] [PSG-1 Kawasaki Corse 2] [Kawasaki ZX10R] [1分27秒205]
4. 芳賀紀行 [JPN] [Yamaha Motor Italia] [Yamaha YZF R1] [1分27秒364]
5. ジェームス・トスランド [GBR] [Winston Ten Kate Honda] [Honda CBR 1000RR] [1分27秒418]
6. アンドリュー・ピット [AUS] [Yamaha Motor Italia] [Yamaha YZF R1] [1分27秒539]
7. 加賀山就臣 [JPN] [Team Alstare Suzuki Corona Extra] [Suzuki GSXR1000 K6] [1分27秒599]
8. カール・マガリッジ [AUS] [Winston Ten Kate Honda] [Honda CBR 1000RR] [1分27秒648]
9. クリス・ウォーカー [GBR] [PSG-1 Kawasaki Corse] [Kawasaki ZX10R] [1分27秒656]
10. レジス・ラコーニ [ITA] [PSG-1 Kawasaki Corse] [Kawasaki ZX10R] [1分27秒721]
11. セバスチャン・ジンバート [FRA] [Yamaha Motor France-Ipone] [Yamaha YZF R1] [1分27秒730]
12. トミー・ヒル [GBR] [Virgin Mobile Yamaha] [Yamaha YZF R1] [1分27秒807]
13. ルーベン・チャウス [SPA] [Sterilgarda - Berik] [Ducati 999F05] [1分27秒810]
14. アレックス・バロス [BRA] [Team Klaffi Honda] [Honda CBR 1000RR] [1分27秒940]
15. ミッシェル・ファブリッツォ [ITA] [D.F.X. Treme] [Honda CBR 1000RR] [1分28秒078]
16. 阿部典史 [JPN] [Yamaha Motor France-Ipone] [Yamaha YZF R1] [1分28秒246]
17. ロレンツォ・ランチ [ITA] [Ducati Xerox] [Ducati 999F06] [1分28秒290]
18. イヴァン・クレメンティ [ITA] [Team Pedercini] [Ducati 999RS] [1分28秒492]
18. マックス・ノイキルヒナー [GER] [Team Pedercini] [Ducati 999RS] [1分28秒492]
20. 中冨 伸一 [JPN] [Yamaha Motor France-Ipone2] [Yamaha YZF R1] [1分28秒503]
21. ジョシュア・ブルックス [AUS] [Team Bertocchi Kawasaki] [Kawasaki ZX10R] [1分28秒561]
22. ジャンルカ・ナンネッリ [ITA] [D.F.X. Treme] [Honda CBR 1000RR] [1分28秒766]
23. ロベルト・ロルフォ [ITA] [Team Ducati SC - Caracchi] [Ducati 999F05] [1分28秒835]
24. クレイグ・ジョーンズ [GBR] [Foggy Petronas Racing] [Petronas FP1] [1分28秒866]
25. ファビアン・フォーレ [FRA] [Team Alstare Engineering Corona Extra] [Suzuki GSXR1000 K6] [1分28秒909]
26. ビットリオ・イアンヌッツォ [ITA] [Celani Team Suzuki Italia] [Suzuki GSXR1000 K6] [1分28秒980]
27. スティーブ・マーチン [AUS] [Foggy Petronas Racing] [Petronas FP1] [1分29秒199]
28. マルコ・ボルチアーニ [ITA] [Sterilgarda - Berik] [Ducati 999F05] [1分30秒533]
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