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フランスGP 中野選手惜しい! ロッシの新型M1にまたチャタリング |
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2006年5月21日
5月20日、MotoGPフランス・グランプリが最終予選日を迎えた。
当日のルマン・ブガッティ・サーキットは午前中に若干の雨に見舞われたが、再び天気予報は外れ、予選は全3クラスとも雲の合間からの陽射しを受けながらのドライセッションとなった。
■ウェット路面となった午前のフリー走行
MotoGPクラスの午前のフリー・セッションでは、トップタイムはホンダLCRのケーシー・ストーナー。2番手タイムにはレインでの速さに定評のあるチーム・ロバーツのケニー・ロバーツ・ジュニアがつけ、ウェットが予想された午後の予選での波乱を予感させるものだった。
午前の3番手にはカワサキの中野真矢選手がつけ、ウェットでも問題のないマシンバランスの仕上がり具合をアピールしている。
新型シャシーのみの走行に2日目から切り替えたバレンティーノ・ロッシは中野選手に続いて4番手となり、その後ろには初日に不調だったフォルツナ・ホンダのトニ・エリアスが5番手タイムを記録した。
また今シーズン、雨ではあまりMotoGPクラスでの実力を発揮していないレプソル・ホンダのダニ・ペドロサは午前の11番手に沈んだ。チームメイトのニッキー・ヘイデンは午前9番手タイム。
しかしながら、雨は午前最後の250ccクラスでのフリー走行時には上がり、ドライとなった午後のセッションでは明るい太陽が路面を乾かし、午前とは様相の異なる熾烈なタイムアタック合戦が展開される事となる。
■小排気量クラスの最終予選結果
125ccクラスの最終予選、マステルMVAアスパル(アプリリア)チームの2名がトルコGPに続いてポールポジションと2番グリッドを獲得した。
1列目ポールシッターはマティア・パッシーニ(写真左)、2番グリッドにはランキングトップのアルバロ・バウティスタ(写真右)だ。これはトルコGPの時とは逆の順位となる。
3番グリッドにはデルビのルーカス・ペセック、4番グリッドには中国GPから好調のヒューマンゲスト・ホンダのガボール・タルマクシ。
中国GPの優勝者、KTMのミカ・カリオはセッション後半にタイムが伸ばせず2列目6番グリッド。今シーズンは不調と伝えられる昨年度チャンピオンのトーマス・ルティーは3列目スタートとなる9番手につけた。
また、マラグーティの小山知良選手は初日の順位を2つ上げ、決勝は19番グリッドからのスタートとなる。
250ccクラスは最終予選、予選終了間際に初日暫定ポールのアレックス・デ・アンジェリスが最終コーナー付近で転倒した直後に、初日2番手のアンドレア・ドビツィオーゾがトップタイムを更新して1列目ポールポジションを獲得した。ドビツィオーゾにとって250ccでのポール獲得はこれが初めてになる。
アレックス・デ・アンジェリスは結局2番手となり、3番グリッドは中国に初優勝を飾ったフォルツナ・アプリリアのエクトル・バルベラ、1列目4番グリッドには初日タイムを更新した高橋裕樹選手がつけた。
2列目5番グリッドはセッション最後にタイムアップしたレプソル・ホンダの青山周平選手、6番グリッドは今年好調のカルディオンABモーターのヤコブ・シュムルツ、7番グリッドも同じく予選終盤に順位を上げたKTMの青山博一選手が獲得した。
初日4番手だった開幕ウイナーのホルヘ・ロレンソは、初日と同じ最終コーナー付近で軽いハイサイドを起こして火花を散らしながら転倒し、青山博一選手に続く8番グリッドスタートとなった。ロレンソは「自分の転倒の原因は前を走っていた遅いライダー」とコメントしている。
■MotoGPクラスの予選状況
この日のルマンでのMotoGPクラス予選は完全ドライの中で行われ、3クラスの中で最も眩しい陽射しの下、各ライダーの激しいタイムアタック合戦が展開された。予選開始時の気温は18度、路面温度は23度となり、風はやや強めだったようだ。湿度は20%。
昨年のポールシッターおよびファーステスト記録保持者はバレンティーノ・ロッシだ。
セッション開始直後にトップに踊りでたのは午前のフリー走行でトップタイムをマークしたLCRホンダのケーシー・ストーナー。続いてすぐに地元フランスのルーキー、カワサキのランディー・ド・ピュニエがそれを更新するが、直後にリズラ・スズキのジョン・ホプキンスがそれを上回るタイムを記録しトップに立った。
■ダンロップのグリップ力が増したTECH3のM1にチャタリング
予選開始から10分、上位のタイムは先頭からスズキのホプキンス、2番手にドゥカティーのジベルナウ、3番手にカワサキのド・ピュニエ、4番手にキャメル・ヤマハのバレンティーノ・ロッシ、5番手にカワサキの中野真矢選手、6番手にフォルツナ・ホンダのメランドリ、7番手にキャメル・ヤマハのコーリン・エドワーズ、8番手にTECH3ヤマハのカルロス・チェカ、9番手にはレプソル・ホンダのダニ・ペドロサが並んだ。
カルロス・チェカは、ダンロップの予選タイヤにグリップ力が十分得られる事をコメントで述べているが、同時にチャタリングの問題が発生したらしい。
10分を過ぎるとトップの順位が目まぐるしく変動する。突然ドゥカティーのロリス・カピロッシが先頭に踊り出ると、初日のトップタイムを記録したエドワーズが直ぐ様カピロッシのタイムを更新してトップに立つ。この時のエドワーズのタイムは1分35秒985。
■エドワーズのM1にも新シャシーの導入計画
今回キャメル・ヤマハのM1に投入された新型シャシーは全てロッシ用であり、ロッシとエドワーズは新旧の06年型M1を戦わせる事になったが、次戦のイタリアからはエドワーズにも同様のマシン対策が取れらる予定になっている。
エドワーズのチームメイトのバレンティーノ・ロッシは4番手タイムのままピットでバージェスとセッティングを相談。その頃、レプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンは11番手タイム、マルコ・メランドリは8番手タイムを記録している。
ニッキー・ヘイデンは初日に続き、重いウイルス性の風邪を2日目も患っており、あまりタイムが伸びない。
15分を過ぎるとニッキー・ヘイデンは最終コーナーを曲がり切れずにコースアウト、グラベルに直行。その直後、地元ルーキーのランディー・ド・ピュニエが再びトップタイムをマークしタイムテーブルの先頭に立つ。
■午前の調子が全く見られないストーナー、好調なロッシのM1
LCRホンダのケーシー・ストーナーはタイムアタックを繰り返すが6番手付近に常時落ち着いている。
20分が経過し、バレンティーノ・ロッシが1分35秒603を記録してトップに立ったが、直後にカピロッシが1分35秒257を記録し再びトップに浮上。しかし、さらにその直後にエドワーズが1分35秒176を記録して先頭に立つと、今度はバレンティーノ・ロッシが1分35秒067を記録して再びトップに踊り出るなど、タイムテーブルの先頭が次々と入れ替わる。
25分が経過し、午前のフリーで2番手タイムを記録したチーム・ロバーツのケニー・ロバーツ・ジュニアは15番手タイムを走行。
折り返しとなる予選30分経過時点の順位は、トップがロッシ、2番手はエドワーズ、3番手にカピロッシ、4番手にジベルナウ、5番手にド・ピュニエ、6番手にホプキンス、7番手にストーナー、8番手にスズキのクリス・バーミューレン、9番手にヘイデン、10番手にペドロサ、11番手にメランドリ、12番手にコニカ・ミノルタの玉田誠選手、13番手に中野選手、14番手にカルロス・チェカとなった。
■初日のドライセッティングに戻せず苦しむコニカミノルタ
玉田選手のコニカミノルタチームは、午前のウェットセッティングから予選のドライ向けセッティングへの変更に手間取り、初日の好調なタイムを記録した時のセッティングが再現できていないようだ。
残り25分、カワサキの中野選手が4番手に浮上。その頃玉田選手は、18番手タイムのジェームス・エリソンにひっかかりタイムをロスしている。セテ・ジベルナウは必死にタイムアタックを繰り返すが4〜5番手タイムのまま順位に変動はない。
■中野選手がトップに浮上
残り20分になると大きな動きが現れる。最初の区間から順番に全ての区間タイムを更新してきた緑色のマシンがトップに踊り出た。中野選手は1分34秒954を記録してタイムテーブルの先頭に立った。
次の5分間、コーリン・エドワーズがひたすらタイムアタックを続けるが中野選手のタイムには届かない。この間、ダニ・ペドロサが周回毎に順位を上げ、6番手まで浮上してきている。マルコ・メランドリは10番手タイムを記録。中野選手はトップをキープしたままだ。
■トップに立つホプキンスと徐々にペースを上げるペドロサ
残り15分、ダニ・ペドロサは3番手までタイムを更新。その直後、カピロッシが区間タイムを更新しながら最終区間に入るが、最後にタイムが伸びず記録は1分35秒058の2番手タイム。ペドロサはこれにより4番手に後退。
残り12分、ついに中野選手の全区間タイムを更新するライダーが現れる。スズキのジョン・ホプキンスは1分34秒795を記録しトップに浮上。バレンティーノ・ロッシはこの時点で4番手タイムを記録。
■再びトップは中野選手、予選タイヤでロッシの新型M1にチャタリングが再発
残り10分、またも緑のマシンが全区間タイムを塗り替え、中野選手が再びトップに立った。この頃、ロッシはタイヤ交換のためピットイン、メランドリは5番手タイム、バーミューレンは10番手タイムを記録。
ロッシは予選タイヤに履き替えた途端にチャタリングが新型フレームでも発生し、タイムが思うように伸ばせなくなっている。
■トップタイムを連発する中野選手、迫るペドロサ
残り5分、レプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンが4位に浮上した直後、中野選手がベストタイムを再び全区間更新し、トップタイムは1分34秒201まで引き上げられた。2番手につけるホッパー以下の各ライダーは中野選手のタイムを更新する事ができない。
残り3分の時点での順位は、トップに中野選手、2番手にホプキンス、3番手にカピロッシ、4番手にペドロサ、5番手にヘイデン、6番手にエドワーズ、7番手にロッシ、8番手にド・ピュニエ、9番手にメランドリとなった。玉田選手は13番手タイムを記録。
残り2分、メランドリが1分34秒795を記録し2番手に浮上した。ロッシはタイムアタックをしかけたいが前を走るストーナーに追いついてしまう。
残り1分、第2区間までダニ・ペドロサが中野選手のタイムを更新したが、第3区間でチェカをスムーズに交わせず、その周回のアタックを断念。ロッシは再びアタックをかけるが第一区間しか中野選手のタイムを更新できない。
カワサキのピットは中野選手を最後のラップに送り出そうと慌てるが、残り時間は1分40秒を切っており再アタックは難しい状況となる。
■中野選手のポールが確定したと思われた瞬間にペドロサの2連続ポール
残り0秒、ペドロサが会心のラップタイムを刻み、中野選手の全区間タイムがついに塗り替えられる。ペドロサのタイムは1分33秒990を記録しており、この日唯一となる33秒台をたたき出していた。
続いて好調のスズキのジョン・ホプキンスが3番手に飛び込み、決勝のフロントロー、ポールポジションはレプソル・ホンダのダニ・ペドロサ、カワサキレーシングのMotoGP参戦初となる2番グリッドには中野真矢選手、3番グリッドにはリズラ・スズキのジョン・ホプキンスの3名が決定した。
最後に2列目4番手に飛び込んだのは、中野選手のチームメイト、地元フランス人ライダーのランディー・ド・ピュニエだ。地元の観衆に両手を振って応えるド・ピュニエ。
5番グリッドはフォルツナ・ホンダのマルコ・メランドリ、2列目最後の6番グリッドにはドゥカティーのロリス・カピロッシがつけた。
新型シャシー導入後も予選タイヤ装着後はチャタリングに悩まされたディフェンディング・チャンピオンのバレンティーノ・ロッシは3列目7番グリッド。現在ランキングトップのニッキー・ヘイデンは4列目10番グリッドからの決勝スタートとなる。
ルマン初日に好調さをアピールした玉田誠選手は13番グリッドで最終予選を終えた。
■各ライダーの予選順位およびコメント
以下に決勝スタートグリッド順に、各ライダーの状況およびコメントを紹介する。
■1列目
ポールポジション)ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ 1分33秒990
初優勝を果たした中国GPに続く2回連続のポール・ポジションを獲得したMotoGPルーキーのダニ・ペドロサは、予選のセッション序盤はミスによりタイムをなかなか伸ばせなかったと語る。
「またポールが取れて当然最高ですよ。でも本当に大事なのは明日ですから。」とペドロサ。
「今日は風が強くて難しい予選でしたが、ドライになってくれたので良かったです。予選の序盤は何回かミスをして殆どの時間を無駄にしていました。クリアラップも取れませんでしたしね。」
「レースタイヤであまり上手く走れなかったので、セッションの序盤はいい仕事ができていません。でも終盤は走りに集中できるようになり、リズムが掴めるようになりました。レースタイヤに焦点をあてて作業しましたので、明日のセッティングもできて良かったと思います。ドライならさらにいいですね。」
「スタートを成功させていいレースが出来るといいですね。まずは明日の天気の様子を見たいと思います。」
2番グリッド)中野真矢 JPN カワサキ・レーシング 1分34秒201
カワサキ・レーシングの中野真矢選手は、最後にポールポジションを奪われた事は少し残念だとしながらも、カワサキ初の2番グリッドスタートには満足している。
また、カワサキチーム監督のハラルド・エックルは、カワサキライダーの2位と4位という予選結果を喜び、ルマンはエンジンパワーに異存しないサーキットなのでこの結果となったが、Ninja ZX-RRに適したサーキットであれば2人は高い順位を獲得できるライダーである事を強調している。
「昨日のフリーセッションの感触が良かったので、1列目スタートは可能だろうなと思っていました。でもまさかポールポジションを争うとは思いませんでしたね。」と中野選手。
「チェッカーが振られた時にはポールポジションだと思ってましたが、ピットに戻る途中、ビッグスクリーンにダニがポールポジションを奪っていく場面が映し出されているのを見ました。」
「ポールが取れなかったのはちょっと残念ですが、2番グリッドは十分嬉しいです。それに今週は今までよりもレースへの自信が持てましたからね。ここまでのレースは自分たちにとって厳しい状況が続いてますが、ここでのNinja ZX-RRとブリヂストンタイヤは強力なパッケージですし、いい結果も可能だと思います。」
「全てうまくいけば表彰台にいけるかもしれませんね。」
3番グリッド)ジョン・ホプキンス USA リズラ・スズキ 1分34秒636
本当はポールポジションを狙っていたと言うジョン・ホプキンスは、フロントロー獲得には喜んでいるものの、予選内容そのものについてはそれほど納得できていないらしい。
「何て言ったらいいか・・・フロントローは嬉しいけど予選内容にはそれ程満足していません」とホッパー。
「ダニはいい仕事をしたけど、こっちもがもう少し順調に物事を進めていたらダニにもっと近づいたでしょうし、ポールも取れたかもしれません。」
「フロントロースタートはチームの目標でした。最初から先頭グループについて行けますからね。レース用のセッティングはとても上手くいきました。言っときますが、チームは凄く大変な仕事をこなしたんですよ。」
「ブリヂストンとスズキの両方ともこのコースでは快調ですので、ウェットだろうがドライだろうが初の表彰台を取りにいきますし、(マシンの)性能的にも実現できる筈です。」
■2列目
4番グリッド)ランディ・ド・ピュニエ FRA カワサキ・レーシング 1分34秒780
初日の2セッションと予選当日午前のセッションで納得のいく結果の得られなかったランディー・ド・ピュニエだが、地元の声援を受け予選本番にはMotoGPでの自己の予選最高位である4番グリッドまでポジションを挽回した。
地元での予選結果を大変に喜んでいるランディーは以下の通りコメントした。
「今日は信じられないくらいですよ。」とランディー。
「昨日の走行中は問題をいくつか抱えてましたし、転倒したり予期せずグラベルに突っ込んだりもしました。それに今朝も転倒してるんです。予選の準備があんまり好調とは言えない状況でしたし、多くの人は自分がホームレースの観衆の前で緊張してると思ったでしょうね。でも実際そんな事はなかったんです。」
「午後は全て上手くいってバイクの感触を取り戻したんです。セッション序盤はレースタイヤでも安定してトップ6番手以内を走行できましたので、明日のレースのセッティングに自信が持てました。」
「4番グリッド獲得は最高です。でももう予選は終りましたから、今日の結果を明日のレースでも持続できるようにしなきゃいけませんね。」
5番グリッド)マルコ・メランドリ ITA フォルツナ・ホンダ 1分34秒795
メランドリは今回の5番グリッド獲得を非常に喜んでいる。ホンダ勢の中ではポールポジションのペドロサに続く2番手のタイムだ。
「今日はいい日でしたね。良く働きましたしいいセッティングも見つかりました。」とメランドリ。
「このセッティングならレースの天候がどうあれうまくいくと思います。予選の最初からバイクには感じ良く乗れますし、いいリズムも掴めました。」
「ちょっと今回はクリアラップが取れずにペースを落としてしまい、予選タイヤをフルに使う事ができませんでしたが、5番グリッドは嬉しいです。今期の予選では最上位ですし、今回は1列目か2列目スタートを目標にしていましたから。」
「あとはいいレースタイヤを選んでいい結果が得られるように頑張ります。」
6番グリッド)ロリス・カピロッシ ITA ドゥカティー・マルボロ 1分34秒802
2日目はレース用のセッティングに重点を置いたというロリス・カピロッシは、決勝用のタイヤに自信を示すコメントを残している。
「今日はレース用のセッティングに集中して2種類のタイヤをテストしました。」とカピロッシ。
「新しい方のタイヤが凄く戦えるレベルに仕上がってますので、多分明日はそっちを使うと思います。予選の時間も作業に使ったので、ブリヂストンが持ち込んでくれた新しい予選タイヤを試す事ができず、今日は2周しかアタックできていません。」
「いいスターティンググリッドを確保するのも確かに重要ですが、今もっと重要なのは出来る限り多くのポイントをレースで獲得する事です。今回レースセッティングを優先したのはその為です。」
「明日は勝てないでしょうね。でもタイヤは中国で使ったものよりは相当いいですよ。天気予報は全く先が読めない状況ですが、もし雨が降ったらすごいギャンブルレースになる事だけは確かです。」
■3列目
7番グリッド)バレンティーノ・ロッシ ITA キャメル・ヤマハ 1分34秒840
2日目、ロッシはメインマシンとスペアマシンの新型シャシーを導入し、それらの評価を続けている。また、今回ロッシは新型マシンのレース用セッティングに集中したが、セッション後半に使用した予選タイヤでは再びマシンの振動問題が再発したと述べている。
「今日はレース用のいいセッティングが見つかったので気分がいいですよ。」とロッシ。
「ソフトタイヤ(予選タイヤ)をセッション終盤に履いたらグリップが良くなり、振動問題が再発しました。レースタイヤの時はそんな問題は全くありませんけど。まあ、ここ数戦の予選の結果と比べれば3列目はまだ改善された方です。それに明日はいい結果が得られる可能性がありますからね。」
「自分もコーリンもレースタイヤでは今回の全てのセッションを通してトップレベルでしたから、他のライダーよりもいいペースで走れる筈です。正直言えば今日の午後はもっと高い順位が取れると期待してましたのでちょっとがっかりです。でも大問題ってわけじゃありませんよ。」
「あとは明日の天気がどうなるか待ちます。ドライレースがいいし、ここまでの悪い運気が良い方向に変わって欲しいです。」
8番グリッド)セテ・ジベルナウ SPA ドゥカティー・マルボロ 1分34秒870
予選中は何度も必死にアタックを繰り返したセテ・ジベルナウだが、本人は今回のルマンでの結果に満足がいっていない。マシンのセッティングにまだ若干の不安を抱えているとジベルナウは言う。
「仕事は頑張りましたが、結果には満足できませんね。」とセテ。
「ラップタイムも乗り心地も今ひとつです。どうして思い通りにコーナーに進入できないかをチームのメンバーと一緒に、予選とレースの両方のセッティングについてもっと煮詰める必要があります。」
「今自分で言えるのは、コーナーへの進入時の感触が悪いので、まずこれを解決したいという事だけです。チームでしっかり変更箇所を検討してから明日のウォームアップの時間を使って試したいと思います。」
9番グリッド)コーリン・エドワーズ USA キャメル・ヤマハ 1分34秒970
コーリン・エドワーズは、今回チームメイトのロッシのマシンにのみ投入されたシャシーとは別に、今シーズンから使い続けている標準型(Standard)のシャシーを使用しているが、次戦のイタリアからはロッシと同様の改善策が取られるようだ。
エドワーズはレース用セッティングに満足しており、予選タイヤ装着時のチャタリングによりグリッド順位を落としている事を残念に思っている。
「今日はコースが少し滑りやすかったですね。」とエドワーズ。
「多分朝の雨の後だったからだと思いますが、フロントタイヤのグリップが前と同じレベルにはなりませんでした。あんまりいい感触は得られませんでしたが、レースタイヤについてはいい仕事ができましたしペースも悪くなかったと思います。」
「レースタイヤで1分35秒台を出したのは自分を含め3人だけだったと思いますから、レースでは十分チャンスがありますよ。予選タイヤでチャタリングさえなければもっと前のグリッドにいけるのに、それを思うと残念ですよ。」
「5周ほど1分35秒を突破しようと頑張ったら、最後に1分34秒9が出ました。でもあれ以上はどう頑張っても無理です。今の諸々の状況を考えれば3列目は悪くないと思いますよ。明日になれば何人かは後ろに行くでしょうし、残り何人かは抜くのが難しいでしょうね。でもさっき言った通り、こっちはペースを保てるんです。」
「さて、これからがスロットルを誰よりも長く開けっぱなしにして1コーナーに飛びこむ時です。どこまで行けるか見ものですよ。」
■4列目
10番グリッド ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ 1分34秒988
風邪により2日目もあまり体調が良くないニッキー・ヘイデンは、午前のウェットセッションの方がマシンの調子が良かったと語る。午後のドライとなった予選では、トラクションがあまり得られなかったようだ。
「10位で嬉しくないのは確かですね。」とニッキー。
「今朝のフルウェットではとても調子が良かったんです。凄く勝てそうな気がしていました。でもドライになったら急にトラクションが得られなくなり、長いコーナーでタイムが上げられず苦労しました。」
「今晩は皆で力を合わせて明日に向けての調整や組み合わせを考えます。出来る限りの事はやるつもりですし、いくつか改善案もあります。優秀な人が僕の側には必要ですが、レプソルホンダチームの皆は本当に信頼できますよ。」
「それと診察してくれたコスタ先生とクリニカ・モバイルのスタッフに感謝します。明日はもう少し体調が良くなるといいのですが。」
11番グリッド ケーシー・ストーナー AUS ホンダLCR 1分35秒430
午前のトップタイムをマークしたケーシー・ストーナーは、午後の予選の結果に落胆している。
「本当にがっかりです。」とケーシー。
「昨日はレースタイヤで今日の予選タイムが出せてたのに、午後は速く走るのに苦労しました。バイクからいい感触が得られないんです。」
「ブレーキに触れる度にフロントを失いかけてたんです。金曜日の状態にバイクを戻せたらレースは大丈夫だと思います。」
12番グリッド クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ 1分35秒705
今週の木曜日までは全く知らなかったルマンのコースレイアウトを攻略し、最高峰クラスで12位の予選グリッドを獲得したバーミューレンは、予選グリッド以上の成績を決勝では狙っている。
チーム監督のポール・デニングによれば、実はクリスは12番手が決まった時に少し落胆していたようだが、その必要は全くないと述べた。
「予選は凄くよかったですよ。バイクには変更をたくさん加えました。」とクリス。
「午前はウェットでしたが、もう少しドライの時間が欲しかったですね。チームは凄く頑張ってくれて、バイクは乗る度に良くなりました。完全に正しい方向性が掴めましたので、明日のウォームアップではさらにいくつか試す予定です。レースでは12位より上を目指したいですね。」
「ジョンとリズラ・スズキに、再度のフロントローと凄い成績に関しておめでとうを言わせて下さい。」
■5列目
13番グリッド 玉田誠 JPN コニカ・ミノルタ・ホンダ 1分36秒058
初日の好調な順位から一転して不調の頃のポジションに逆戻りの玉田選手だが、マシンの感触が1日目のレベルにないとコメントしている。
チーム責任者のジャンルカ・モンティロンによれば、午前にウェット用のセッティングを施した為、午後に完全な状態にセッティングを戻せなかったとの事だ。
玉田選手は期待はずれの予選結果について以下の通りコメントしている。
「昨日の好調なスタートの後に、ここまで低い予選結果は予想もしていませんでした。」と玉田選手。
「昨日と同じレベルの感触を得られません。特にグリップレベルが低くて第1区間が遅すぎますし、予選タイヤでも結果は同じでした。」
「天候がはっきりしない時のタイヤ選びに影響されて問題が発生するようなセッティングではまずいでしょうね。」
14番グリッド カルロス・チェカ SPA TECH3ヤマハ 1分36秒260
TECH3ヤマハチームは、他のチームと同じく午前のウェットと午後の予選の半分の時間を使って、翌日のレース用タイヤ(ウェット用とドライ用)を選択している。
カルロス・チェカは、今回ダンロップが持ち込んだ予選タイヤについてのいくつかの問題を指摘している。
「午前中はリアのインターミディエットを試し、明日のレースの為に雨天のデータを収集しました。」とチェカ。
「今の段階で、ドライもウェットも使用するタイヤは決めてあります。天候にあわせて同レベルのライバルたちと戦えるタイヤ選択はもう自分の中では整理できています。」
「グリップが十分良くて、いいタイムを刻めそうな予選タイヤがあるんですが、コースのある部分でウイリーしてしまいスロットルを完全に開く事ができません。また、予選でアタックするとチャタリングが発生します。」
「今回みたいに午前がウェットでその後ドライになるような変な状況では、うまく作戦を立てる必要があります。今は特に失うものが何もありませんのでリスクを冒す事も可能ですし、保守的になる事もありません。危険ですけどね。」
「バイクはとても調子が良くなり一部のタイヤは問題ありませんが、まだレース距離の半分くらいしかそのタイヤを試せていません。ヤマハのマシンはこのコースに凄く適しており、他のチームと同様に高いスピードを出せるのでタイヤもそれに合わせる必要があります。」
「向こうのヤマハのエドワーズはそれほど自分とタイムが開いてないので自信に繋がります。他のチームと同様に今回は天候のせいで多くの時間を無駄にしていますが、明日のここでのバイクの調子には自信があります。ここまであまり順位を改善できていませんので、今回トップ10入りができればパーティーを開きますよ。」
「自分たちの限界も分かっていますから、今は全力をつくすだけです。ダンロップと共に成長して、早く次のレベルに到達できるといいですね。トップとの差をもっと縮めなければいけませんから、その為にもダンロップのが成し遂げようと頑張っている目標に近づけるよう、私達も努力を続けます。」
また、TECH3チームオーナーのエルベ・ポンシャラルは、カルロスにとってルマンは何度も好成績を収めたサーキットであり有利としながらも、翌日のレースの天候状況が不明な事から、ダンロップタイヤの開発作業に関する多くの負担がかかる事を懸念している。
しかしながら、ポンシャラルはこの状況を「ダンロップに様々な状況でのデータを提供する良いチャンス」と前向きに捉え、「現在勝利を味わっている他のタイヤブランドが通ってきた道を見習うべき」とし、タイヤ開発には今後も時間がかかる事を強調した。
15番グリッド ケニー・ロバーツ Jr USA チーム・ロバーツ 1分36秒501
午前のウェットセッションでは2番手タイムを記録したロバーツ・ジュニアだが、ドライ走行でのタイムは初日からの二日間を通して順位は停滞気味だ。
ルマンから期待の新型シャシーを導入したチーム・ロバーツだが、マシン自体の感触は悪くないとロバーツ・ジュニアはコメントしている。
「新型シャシーは明らかに自分たちが望む今後の正しい方向に進化しています。」とジュニア。
「今週も雨がチームの敵ですね。貴重な時間を邪魔されました。雨で速く走れたのは事実ですが、今はもっとドライの時間が必要なんです。」
「新しいシャシーのお陰でコーナーの進入に関する問題は良くなりましたが、まだやるべき事は多いですね。コーナーの奥でのスピードは以前のままです。でもこのシャシーなら目標に近づけますし、ムジェロでドライ走行ができる時間が長ければさらに近づくと思います。」
■6列目
16番グリッド トニ・エリアス SPA フォルツナ・ホンダ 1分36秒582
トニ・エリアスにとってルマンは天気に左右される難しいレースウイークとなっている。午前のウェットのセッションでは5番手まで順位を上げたが、午後にドライとなった予選では初日に続いて良いセッティングを見つける事が出来ていない。
「今日はまだ問題を解決できず、思い通りにバイクに乗れません。」とエリアス。
「チームとしっかり話し合って、出来る限り早く解決策を見つけたいと思います。リアのグリップが得られないので、コーナーの出口が少し不安なんです。明日は難しいレースになりそうですね。スタートを成功させて順位を最初に挽回したいと思います。」
「ここはいつも速く走れる好きなサーキットなので、いい結果が欲しいですね。」
17番グリッド ジェームス・エリソン GBR TECH3ヤマハ 1分37秒019
ルマンに入ってからというもの、ジェームス・エリソンはカルロス・チェカと自身とのタイム差が小さくなってきている事を強調し、今でもチェカを手本に自分のスタイルを探っているとコメントしている。
「カルロスから0.8秒差のタイムを記録できましたから、そんなに不機嫌じゃないですよ。」とエリソン。
「今日のセッションの終わりがけに少し問題があってタイムが少し落ちました。ダンロップの予選タイヤでタイムを出すには数周走り続ける必要があるんですが、今回は時間がなくてダメでした。もう0.5秒タイムを縮められる自信はありましたよ。」
「もしあと1周できたらカルロスにもっと近づけたと思います。彼はバイクの乗り方を知っていますから、私にはもっと経験が必要です。今の自分の目標は彼のタイムに追いつく事です。」
「順位が後退したのは分かってますが、今週やりたかった事はだいぶ片付きました。毎回言ってますけど、今回もだいぶ天気に影響されましたね。明日の天気はもうあまり気にしないつもりですが、ドライ用のいいセッティングがあるので出来れば晴れてほしいですね。今朝は路面がオイルであちこちベトベトで時間が無駄になり、あまりいいウェットセッティングはできなかったんです。」
「もしドライじゃないなら、激しく降って欲しいですね。中途半端は嫌です。」
18番グリッド アレックス・ホフマン GER プラマック・ダンティーン 1分37秒267
今日はどうしてもドライ走行がしたいと強く望んでいたプラマック・ダンティーンチームだが、少なくともその願いは叶えられたようだ。アレックス・ホフマンは、2日目はレース用のセッティング作業に集中したとコメントしている。
「今日はタイヤのテストと、ドゥカティーの明日のレースに向けたセッティングに集中しました。」とホフマン。
「明日午前のウォームアップでも作業は続けますが、明日の天気にもよりますね。いいレースができる事を期待しています。レースタイヤは中国の時とそれ程変わりませんが、最大限に使い切って年間ポイントをさらに獲得できるようにしたいと思います。」
ホフマンはまた、彼の友人であるジョン・ホプキンスの1列目スタートについて喜んでいる。
「話は変わりますが、今回は僕もフロントローで目立てるから嬉しいです。ホプキンスは友人なので彼のロゴを自分のレザースーツに印刷してあるんですが、同じように彼のスーツには僕のWebサイトのURLが印刷されてるんです。」
■7列目
19番グリッド ホセ・ルイス・カルドソ SPA プラマック・ダンティーン 1分37秒812
ホセ・ルイス・カルドソは、予選セッション中の強風の為にあまり思い通りのライディングができなかったと語る。
「今日の予選にはあまり満足していません。」とカルドソ。
「コーナーの出口で少し問題があり、バイクがどうしても外側を大回りするのでスロットルをあまり開ける事ができませんでした。」
「多分強風のせいだと思います。」
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