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フランスGP初日 ロッシ「新型シャシーは気に入った」 |
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2006年5月20日
5月19日、ヨーロッパラウンドの幕開けとなるフランスGPが、ルマン・ブガッティ・サーキットで1日目を迎えた。
心配された天候は外れ、250ccクラスの中盤付近に若干の雨はあったものの、その他のセッションでは薄く太陽が見え隠れするドライ宣言での走行が行われている。
■根本的なマシンの振動問題解決に乗り出したキャメルヤマハ
最高峰クラスのMotoGPでは、前回の中国まで好調だったレプソル・ホンダ勢が初日は後退し、新型シャシーを投入しマシンの振動の根本解決に乗り出したキャメル・ヤマハ勢がトップタイムの1・2を記録している。
また、トップのキャメル・ヤマハ2名に続くのはカワサキのエース、中野真矢選手だ。開幕以後、レース中にブレーキやトラクション調整に関するマシンのトラブルに見舞われ続けた中野選手だが、ルマンの直前に「マシンバランスさえ初日に整えば雨のレースでも問題ないだろう」とコメントしており、天候が崩れそうな2日目以降にも期待が持てる結果となっている。
コニカミノルタの玉田選手は中国以降の前向きな発言通り、ホンダ勢の初日2番手となる6番手タイムを記録するなど、その復調をアピールする1日目の結果となった。
■小排気量クラスの初日予選状況
125ccクラスと250ccクラスは初日の第一予選を終えている。
125ccクラスの暫定ポールは、開幕2連勝を果たして現在ランキングトップを行くマステルMVAアスパルのアルバロ・バウティスタだ。
2番手は前回の中国GP優勝者であるKTM、ミカ・カリオ、3番手はデルビのルーカス・ペセック、4番手には地元フランス人ライダーのFFMホンダのマイク・ディ・メッリオがつけており、開幕からのアスパルチーム(アプリリア)による上位独占の形は崩れ、異なる4メーカーがトップタイムを争う形となった。
マラグーティの小山知良選手は初日を21位で終えている。
250ccクラスの初日暫定ポールは、125ccと同様にマステルMVAアスパルチームのライダー、アレックス・デ・アンジェリスが獲得している。ヒューマンゲスト・ホンダのアンドレア・ドビツィオーゾはセッション最後にデ・アンジェリスに抜かれて初日は2位。3位には前回の中国GPで初優勝を遂げたフォルツナ・アプリリアのエクトル・バルベラがつけた。
開幕2連勝を果たしながらも、トルコでは転倒リタイア、中国GPでは決勝4位となり公式コメントを拒否するほどの機嫌の悪さを見せたフォルツナ・アプリリアのホルヘ・ロレンソは、予選終盤に各区間でトップタイムをマークしながらも最終区間でクリアラップが取れずに中断、その後のタイムアタックではコーナーを曲がりきれずに転倒して走行を断念、初日は4位に終っている。
ヒューマンゲスト・ホンダの高橋裕紀選手は初日の5位と上位につけている。
午前のセッションでは、エキップGP・ド・フランスのフランス人ライダー、シルバン・ギュントーリが後続を0.5秒引き離して1番手タイムを記録していたが、午後の予選では他のライダーが急激にタイムを上げるのに追いつく事はできず、午後の予選は8位に終っている。
トルコと中国GPの連続表彰台を果たしたKTMの青山博一選手は9位、博一選手の弟の世界250ccルーキーである青山周平選手は12位。
尚、天気予報通りに2日目の予選2の天候が崩れる事になれば、初日の暫定グリッドがそのまま決勝グリッドに反映される可能性が高い。
■MotoGPクラスの初日、好調のキャメルと日本人勢
MotoGPクラス初日の天候状況は、午前のフリー走行開始時点の気温は14度で路面温度は16度、湿度は43%で雨は免れている。
午後のセッション開始前には若干の雨が通りすぎたが、路面に一部湿った部分がセッション序盤に残っていただけで、特に走行への大きな影響は出ていない。午後のセッション開始時点の気温は16度、路面温度は19度で湿度は27%だった。
■初日のトップはコーリン・エドワーズ、ロッシは2番手
最高峰MotoGPクラス、午前中のフリー走行1でのトップタイムはランキング上位奪回に意欲を燃やすディフェンディングチャンピオンのバレンティーノ・ロッシ、その2番手にはチームメイトのコーリン・エドワーズがつけていた。
しかしながら、全体的にタイムの上がった午後のフリー走行2では二人は順位を入れ替え、初日総合のトップタイムは中国GPで今季初の表彰台を獲得したコーリン・エドワーズの記録した1分35秒170となった。
初日を1番手タイムで飾ったキャメル・ヤマハのコーリン・エドワーズは、トルコGP翌日のテストで見つけたセッティングが、前回の中国GPから今回を通して上手く機能している事を強調する。
尚、エドワーズが使用するシャシーは従来型の06年型であり、今回ロッシにのみ導入された新型のシャシーとは異なる。
「中国での好成績の後、そのままのバイクを午前はここに持ち込みましたが全て快調のようです。」とエドワーズ。
「バレンティーノは新しいシャシーを導入して問題解決に取り組んでいますので、互いにレースに向けてのセッティングに集中できるようになりました。後はどうなるか様子を見るだけです。」
「4周走ればレースウイーク中の目標がはっきりすると昨日は言いましたが、今回の目標は『優勝』になりました。当然でしょ!」
「トルコのテストから殆どセッティングに手を加える場所はありませんから、自信も高まりましたし今のバイクで何ができるかも分かっています。今日の午前も本当に調子が良かったし、午後にグリップが良くなってチャタリングが再発してからも問題なくプッシュし続ける事ができたので嬉しくなりましたね。」
「今のシャシーに限界がある事は分かってますが、ヤマハも頑張ってくれますので高いセッティングレベルに簡単にもってこれます。最低でも、このコースは誰よりも激しくプッシュできるようにする必要がありますからね。」
■新型シャシーに歓喜するロッシ
過去4戦中はマシンのチャタリングなどの振動問題に苦しめられたバレンティーノ・ロッシだったが、今回フランスに到着した新型シャシーを導入したYZR-M1をロッシは大変に気にいっている。
キャメルヤマハのダビデ・ブリビオ監督は「一度使用してから使用の継続を決める」と新シャシーについてのコメントをフランスGPの直前に述べていたが、どうやら2日目以降はスペアマシンにも新型シャシーを導入する事を決定したらしい。
この日2番手となるバレンティーノ・ロッシのタイムは1分35秒282。
「最初からコーリンも自分も速く走れて良かったです。M1はこのサーキットでは凄く調子がいいですよ。」とロッシ。
「今はトップと2番手ですから、チームにとって凄くいい結果でしたし自信にもなりますね。午前から凄く速く走れたので、午後は明日に向けて新しいシャシーのテストをしました。明日は雨らしいので早く済ませる必要があったんですが、いいベースセッティングはもう見つけたので本当に嬉しいです。」
「新しいシャシーは気に入りました。これなら速く走れそうです。振動対策に関しても新しい方がずっといいし、今の段階から性能の高さがわかります。ヤマハはルマンではいつも成績がいいので、明日もこのまま好調さを維持できるか確かめるつもりです。」
■3番手と4番手はブリヂストンを履くカワサキとスズキ
ロッシに続くのは、ブリヂストンを履くカワサキの中野真矢選手だ。この日3番手タイムの1分35秒447を記録した中野選手は、自身のライディング・スタイルを現在改造中だと述べている。また、初日は日曜日の28周のレースに向けてのスリックタイヤ選びに専念したようだ。
ドライ向けのタイヤに好感触を示し、ドライ走行の結果も3番手タイムとなった中野真矢選手だが、日曜日の天候状況が判明するまでは選んだタイヤはお預けとなる。天気予報によれば、2日目の午前フリー走行と午後の予選の両セッションは共に雨だ。
中野選手は明日の天気がどうあれ、予選でのフロントロー獲得に執念を燃やしている。
「天気予報によれば、明日のフリーと予選は雨ですが日曜日はドライみたいですので、今日はレース用のタイヤを選ぶチャンスと思いそれに集中しました。」と中野選手。
「ブリヂストンはルマンに向けて新しいタイヤをたくさん持ち込みましたので、今日はそれを全部試しましたが、どれも品質が均一で有り難いです。ただ、実際に日曜日の路面状況を見るまではレースタイヤを決める事はできませんので、しばらく様子を見る事になります。」
「去年から改修された1コーナーが気に入りました。正直言って以前の形は走っていてそれ程面白くありませんでしたからね。ブレーキングポイントは難しくなりましたが、個人的には今の1コーナーのレイアウトの方が好きです。」
「今日全体を通してバイクの調子は良かったのですが、まだシャシーやサスペンションの調整を通して改善する箇所がいくつかあると思います。エンジンマネージメントの微調整も同様に必要です。」
「今は自分のライディング・スタイルを改造中で、コーナーのライン取りをもう少しバイクに合わせるようにしている所です。理想的にはもう1回ドライのセッションが欲しいところですが、レースまでにはうまく出来るようになると思います。」
前回の中国での順位と同じ4番手タイムを記録したのは、中野選手と同じくブリヂストンタイヤを履くリズラ・スズキのジョン・ホプキンス。タイムは1分35秒461。午前と午後のセッション中、ホッパーは一貫して5番手タイム以内を維持しており、マシンの安定度の高さをアピールする一日となった。午後にはこの日のトップスピードとなる288km/hも記録している。
ブリヂストンタイヤのレースでの耐久性を確認するために20周のロングランを行ったジョン・ホプキンスは、以下の通りコメントしている。
「初日2つのセッションがドライで嬉しかったです。」とホッパー。
「今日できるベストのセッティングを目指しましたので、明日はこれをベースにして作業を進められます。1日の最初からすごくマシンは仕上がっている感じでしたので、今日はサスペンションのセッティングをちょこちょこと数回行っただけです。」
「レースタイヤの状態を確認する為にできる限り多くコースに出てたくさん周回しましたが、なんだか今日は凄く簡単に事が運ぶ感じで、走る度に進展がありました。明日はもっと色々改善できるように頑張って、日曜は初の表彰台を追っかけますよ。」
■ウェットでも速く走れると玉田選手
5番手タイムはホンダLCRのケーシー・ストーナーが記録した1分35秒546。この日ケーシーは、午前と午後の両方のセッションで5番手タイムを記録している。
ルマンとは相性が悪く、125cc時代と250cc時代を通して表彰台を逃しているストーナーだが、初日はホンダ勢の中ではトップタイムだ。
初日総合で6番手となったコニカミノルタ・ホンダの玉田誠選手は、ホンダ勢では2番手タイムとなる1分35秒625を記録した。トルコGP翌日のテストで調子を取り戻したという玉田選手は、前回の中国では決勝を6位で終えている。
玉田選手は第2区間から最後の第4区間までのタイムは速いが、高速右カーブからシケインを含む第1区間だけで大幅にタイムを落としている。これは不調だったトルコまでの直線区間でタイムを稼いでいた状況とは逆の結果だが、チーム責任者のジャンルカ・モンティロンはこの問題を予選までに解析し、残りの3区間と合わせて好タイムが得られるようにしたいとコメントしている。
玉田選手本人はマシンのバランスの良さに満足しているようだ。
「ルマンに戻ってこれて嬉しいです。去年は最初のフリー走行を数周走っただけで右手首がひどく痛くなって走行できなくなりましたからね。」と玉田選手。
「今日は低温の路面でも同じように戦えるか確認する上で重要な日でした。自分のRC211Vは日に日に良くなってますよ。今のところは、イスタンブールで見つけたベースセッティングが正しかった事を証明できてますね。」
「タイヤの調子は凄くいいです。ウェットで走っても快適だと思いますよ。」
■改修後のコースにまだ馴染めないとセテ・ジベルナウ
7番手タイムと8番手タイムにはドゥカティーの2名が続く。2名は日曜日のレースが悪天候になる場合も考慮しながらレース用のセットアップに努めたようだ。
初日7番手タイムを記録したのはドゥカティーのセテ・ジベルナウ。午後に25周回を終えてのタイムは1分35秒628。セテは改修されたセクションに慣れるのに少し時間を要し、初日のタイムアップには若干苦しんでいる。
「両方のセッションでドライを期待していたので、今日はいい結果がいくつか得られました。」とジベルナウ。
「レースに向けたタイヤ選択に集中できましたから、今日はそんなに悪い日じゃないです。自分たちの持ち物は把握できましたので、あとは雨がどう影響してくるかでしょうね。」
「コースの小さな改修ですが、走ると大きく違いますよ。レイアウトの最初の部分にまだ馴染めません。ゆっくり着実に調整していかないといけませんね。」
8番手タイムはドゥカティーのロリス・カピロッシが記録した1分35秒662。カピロッシはフリー走行2の殆ど半分の時間を2番手タイムで走行している。午後の24周回を終え、カピロッシは以下の通りコメントした。
「午前も午後も新しいタイヤを試しました。まだ明日もテストする事が残っていますが今日と大きな違いはありません。」とカピロッシ。
「天気予報によると明日も日曜も雨です。でも、仮にウェットでのレースがギャンブル(セッティングが)になったとしても、雨の方が自分たちには有利でしょうね。」
「先頭の2台のヤマハは速すぎますが、他のチームとのタイムは接近しています。今日は1回の周回で速いタイムを出す事よりも、長距離走行時にタイヤがどんな挙動を示すかを確かめながら、セッション全体を通してマシン調整する事に集中しました。」
■セッティングに集中するペドロサ、体調を崩すニッキー
中国GPでは表彰台の1位と2位に揃って立ったレプソルホンダ勢だが、初日は低温路面を嫌い、リスクを犯さず慎重に走る事を決めていたようだ。
前回は初優勝を飾ったレプソル・ホンダのダニ・ペドロサが記録した初日の9番手タイムは1分35秒796。タイムにはあまり納得がいかないが、まずはセッティングを煮詰める事が先決とペドロサは語る。
「今日は楽な日ではありませんでしたが、MotoGPバイクでここを走るのは初めてですので特に驚きませんよ。」とペドロサ。
「2つのセッションの間に雨が降ったのに走行中はずっとドライで今日はラッキーでした。ラップタイムは期待外れでしたが、今はセッティングの改善作業をこのまま続けます。マシンの感触を改善してコーナリングを良くしたり、グリップ力を上げるなど、いくつか取り組んでる事もありますしね。」
「このコースはMotoGPバイクには狭くて自分には難しく感じます。低速コーナーも多いのでバイクが閉じ込められてるような感覚になりますね。それと1コーナーの改修部分は以前より難しくなった気もします。1コーナーの入り口が最初から高速になりましたし、シケインがトリッキーです。」
10番手はフォルツナ・ホンダのマルコ・メランドリ。中国では天候に振り回され、希望通りのセッティングを得られないままレースに臨み、納得のいかない結果に落ち込んだメランドリだが、ルマンでの初日は理想のセッティングを探して多くの調整を行い、満足のいく結果が得られたようだ。この日メランドリの記録したタイムは1分35秒935。
「今日の内容には満足してますよ。色んな種類のセッティングが試せましたからね。」とメランドリ。
「不安は走行中に解消されてきましたし、明日も同じように作業を続けたいですね。2日目はもう少し違うセッティングも試してフロントまわりの感触が良くなるようにするつもりです。」
「まだブレーキングが自分の思い通りにいかず、それがコーナリングを難しくしています。でもいい仕事をしてくれる頼もしいチームがいますから、明日は解決できると思います。」
初日の11番手タイムは、ランキングトップのレプソル・ホンダのエース、ニッキー・ヘイデンが記録した1分35秒971。
クリニカ・モバイルの公式ページによれば、この日ニッキーはウイルス性の風邪をこじらせており、診察を受けている。あまり言い訳はしたくないと言うニッキーだが、初日は本調子の走りではなかったらしい。
「今日はあんまりいい日じゃありませんでした。ずっと後ろの方にいましたしね。」とニッキー。
「バイクと、それと乗り手が何やってんのかじっくり究明します。明日はもっと良くなる筈です。言い訳はしたくありませんが、今日は具合が良くなく気分も悪いんです。もちろんそれでも戦えますけど。」
「今はもっとトラクションと、いくつかの長いコーナーでエッジのグリップが良くなるようにしている所ですし、それとクラッチの問題も調査中です。ただ、まだ初日ですし挽回は可能ですから、明日はもっと調子を上げたいです。」
「明日は新しくなったセクションをしっかり攻略します。以前の方が凄く速くて好きでしたけどね。」
■ド・ピュニエとトニ・エリアスが衝突
地元期待の最高峰クラス唯一のフランス人、カワサキのランディー・ドピュニエは、初日はコースアウトや転倒を数回喫している。タイムは初日12番手となる1分36秒159。
午後のフリー走行で自身の走行リズムを確かめていたランディーは、セッション序盤にトニ・エリアスと接触してメインマシンを大破。セカンドバイクに乗り換えてからは調子を崩し、コーナーで止まりきれずにコースアウトをしているが、その後にリアタイヤを変更して速いペースを取り戻したようだ。
本当はメインマシンとスペアの2台を交互に使ってエンジンセッティングを見極めるつもりだったとランディーは語る。
「今日の午後のセッション序盤は好調でした。」とランディー。
「数周回走ったところでバイクからいい感触が得られるようになり、ラップタイムも良くなりました。でもダンロップシケインを越えたあたりでトニ・エリアスと衝突して転んでしまい、バイクが大破してそれ以上使えなくなってしまいました。」
「スペアバイクでコースに戻ってからは、コーナーで曲がりきれずにコースアウトをして、グラベルに埋まりました。みんなでバイクを運び出すのに10分くらいかかってしまい、その後は冷静さを保ってスムーズに走行するのに少し苦労しました。」
「セッションに復帰した時は序盤のタイムよりもペースが落ちてしまいましたが、リアタイヤを変更した後は速いペースで走れるように戻りました。2台のバイクはエンジンの仕様をそれぞれ変えていたので、両方のバイクを同じように試せなかったのが残念です。2台のどっちがルマンにあってるかを比較するにはもう少し時間が必要でした。」
「明日がドライになってもう一度テストできればいいのですが、天気予報によればダメっぽいですね。いずれにしろ、今日の成績には満足しています。」
13番手タイムはフォルツナ・ホンダのトニ・エリアスが記録した1分36秒191。トニ・エリアスもチームメイトのメランドリ同様、初日は多くのセッティングを試している。
「ルマンは大好きなサーキットです。いつも速く走れますから。ただ、バイクの感触を良くするにはもう少しいいセッティングを探す必要があります。」とエリアス。
「まだ中国と同じ問題を抱えたままです。こういうサーキットでは、思っている以上にコーナーにハードブレーキングで飛び込めるセッティングが必要なんです。でもまだ自信はあります。」
■ダンロップへの要求を厳しくするチェカ
この日14番手タイムとなる1分36秒306を記録したTECH3ヤマハのカルロス・チェカのトップスピードは、リズラ・スズキのジョン・ホプキンスに続く初日の2番手だ。
ダンロップタイヤを履くTECH3ヤマハは、エースライダーのカルロス・チェカが初日トップのコーリン・エドワーズに凡そ1秒差まで迫った事を明るい兆しとして報じている。しかしながらチェカ本人は、まだダンロップタイヤに関する問題が多いとのコメントを残した。
「ここではヤマハの調子がいいですね。過去の2戦と比べてこのコースではトップとの差も小さくなりました。」とチェカ。
「まだタイヤによる制限は色々あり、側面のグリップが十分得られずリアまわりにも問題があります。今もダンロップのスタッフは問題の改善に躍起になっていますし、彼らがここに遊びに来ているわけじゃないのは確実です。みんな真剣ですが、私の希望と望みは、できるだけ早く自分たちの問題視している重要な部分から改善する事です。今はリアタイアの感触を高める事を急がせています。」
「まったく逆の事を言うようですが、現実的にはまだ多くの問題を抱えており、もっとトップとの差を縮められるような改善策が必要です。今日は多くのタイヤをテストして1つ気に入ったタイヤを見つけましたが、まだレースに向けた耐久性のテストは必要です。」
「明日もドライならその予定通り進めたいと思います。」
今回よりKR211Vに新型シャシーを導入したチーム・ロバーツのケニー・ロバーツ・ジュニアは15番手タイムと低迷している。2日目の予選までに新シャシーの特性を活かし、どこまで調子を上げてくるかが注目される。初日のタイムは1分36秒483。
尚、イタリアのロードレースサイトのmotograndprix.itによれば、チーム・ロバーツは、来年のエンジン供給に関してホンダとの交渉を上海で行った模様だ。
16番手タイムはリズラ・スズキのクリス・バーミューレンが記録した1分36秒904。クリスにとってはルマンは今回が初めてであり、彼は初のコースレイアウト攻略に向けて地道な走り込みを行っている。
「初のルマンの走行セッションが両方ともドライになってくれましたので、今日は自分に必要なだけ走る事ができました。」とクリス。
「午前は少しタイムをロスしましたが、色々試す時間は十分にありました。コースも把握できましたしね。明日のためにセッティングを変更する案がいくつかありますので、もっとスピードは上げられそうです。」
■タイヤは大幅に改善されたとエリソン、予選タイヤは改善なしとカルドソ
最後尾からの3名は、14番手となったカルロス・チェカを除く3人のダンロップ勢となった。
プラマック・ダンティーンのアレックス・ホフマンとホセ・ルイス・カルドソの2名は、ドライ環境でのダンロップタイヤまわりのセッティングに初日は集中しており、2日目もそのままドライでのセッティングが続けられる事を祈っている。
17番手タイムの1分37秒173を記録したのはプラマック・ダンティーンのアレックス・ホフマン。常にダンティーン勢の中でのトップを目指すホフマンだが、初日のルマンでは難しかったようだ。改修後のルマンが気に入ったとするアレックス・ホフマンは以下の通りコメントした。
「今日は雨が降らなかったおかげで仕事がはかどりました。他のカテゴリーには少し影響が出ていたようですね。」とホフマン。
「新しいタイヤをテストするのに好都合でしたが、テストの結果はいい面と悪い面の両方です。明日はこのままテストを続けて、より具体的な判断をしたいと思います。」
「コースの改修についてはいい感じと言えますね。こういうシケインなら悪くないです。明日も頑張って日曜日に向けて最適と言えるセッティングを探しますよ。方向性は凄く良くなりましたので集中できますし、先は明るいですよ。」
初日18番手はTECH3ヤマハのジェームス・エリソン。エリソンにとって、ルマンは24時間耐久レースの出場経験から多くの周回数を重ねた事のあるサーキットだ。エリソンは、ライバルたちの進化によりあまり目立たないが、ここまでのダンロップタイヤの進化は大きいと強調する。
「ヤマハのハンドリングはルマンで凄く調子がいいです。」とエリソン。
「コーリンとバレンティーノがトップにいるのが何よりの証拠ですね。ヤマハにあってるんです。このコースは24時間レースでたくさん走ってますから好きです。新しいシケインもそれほど以前のコースレイアウトと変わりませんね。」
「今は3種類のコンパウンドを試しています。それぞれのタイヤに2〜3点要求したい事があるんですが、もし希望のタイヤが1つも絞れない場合はバイクのセッティングを変えて、それに合わせなきゃいけなくなります。」
「まわりが同じように進化しているので目立ちませんが、今年の初めと比べればタイヤはものすごく進化してますよ。まだ希望していたレベルではありませんが、これまでを振り返れば本当に大きな仕事が進んだと思います。ラップタイムを見ればわかりますよ。」
「自分はカルロスのタイムに近づいてるし、カルロスはトップとのタイム差を縮めています。トップも同じマシンに乗ってる事は認めざるを得ませんが、自分もカルロスと同じようにいい方向に進みたいですね。」
「ダンロップは高温だといい動きをするので、路面温度がもう少し高くなって欲しいです。今は新型タイヤをテストしていますが、それほどすげぇ!(hot)て感じでもありませんので、明日また様子を見るつもりです。」
19番手タイムはプラマック・ダンティーンのホセ・ルイス・カルドソの記録した1分38秒509。カルドソは、ダンロップが今回持ち込んだ新開発のレースタイヤに好感触を示したが、予選タイヤについては以前と同様に疑問を示している。
「今日はタイヤまわりの作業をしました。チームの公式タイヤ供給元のダンロップが新型タイヤをたくさん持ち込んでくれています。微妙に良くなってますね。」とカルドソ。
「お陰でドゥカティーのセッティングに集中する事ができました。最初のフリー走行から午後のセッションを通してバイクの感触は良くなってきました。作業は一貫した方向性で行っていますので、明日も同じように作業を続けるつもりです。バイクのセッティングの方がラップタイムよりも今は重要ですからね。」
「話は変わりますが、セッションの最後に予選タイヤをテストしたんですが、あまりそれらしい効果は得られません。明日は別のをテストしますが、チームメイトが言うにはもう少しマシらしいです。」
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