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2006年5月18日
フランスのルマン・ブガッティ・サーキットは、パリから約200Kmの距離の南西に位置し、TGV(フランスの新幹線)を使えばパリから約1時間の所要時間で到着する。
■改修の進んだルマン
24時間レースやFIA3000チャンピオンシップ、およびフランス・ツーリング・カー選手権など、多くのGTカー選手権で有名な伝統あるこのサーキットだが、近年は最新のマシン性能にあった安全面を確保する上での改修工事が絶え間なく続けられている。
MotoGPアカデミーの主催、および現在のダニ・ペドロサのアドバイザーとしても有名なアルベルト・プーチが1995年に1コーナーで起こした悪名高い事故をきっかけに、1コーナーは延長され、さらにその影響により速度が上がる事を考慮し、ランオフエリアの拡張およびシケインによる加速防止策が取られた。2003年にはコース全長がより短くなり、2004年にアスファルトを全て舗装し直している。
典型的なストップ・アンド・ゴーのレイアウトはテクニカルではないが、ライダーにとって挑戦的な度胸試しとも言えるコーナーが続く。特に1コーナーからシケインの飛び込み部分は、多くの新人ライダーが止まりきれずにコースアウトをする事でも有名だ。
ここでは、前回の中国GPで1・2フィニッシュを飾ったレプソル勢と、予想外の活躍を見せるLCRチーム、およびチームロバーツのフランスに向けてのコメントを紹介する。
■ホンダワークス復活の鍵を握る若き2名のライダー
バレンティーノ・ロッシがヤマハに移籍して以来、苦汁を味わい続けたホンダワークスだが、フランスで9回の連続表彰台および優勝を狙うアメリカ人エースのニッキー・ヘイデンと、デビューイヤー4戦目にして優勝を成し遂げたMotoGPルーキーのスペイン人、ダニ・ペドロサの活躍により、唯一のホンダワークスであるレプソルチームは現在までにチームランキングのトップに復帰している。
チームランキングの2位はトルコで優勝を遂げたマルコ・メランドリを擁するフォルツナ・ホンダチームであり、ホンダ勢が06年序盤に幸先の良いスタートを切っている。
中国GPではファーステストを互いに連発し、他を寄せ付けないチームメイト同士の緊張感溢れる激戦を見せたニッキーとペドロサだが、フランスGP以降のヨーロッパ・ラウンドに向けて、戦闘意欲をより一層高めている。
前戦の中国で劇的な初優勝を果たしたダニ・ペドロサは、ライバルたちが今後は自分を叩きに来る事を楽しみにしていると強気な発言を見せた。
「やっとヨーロッパに戻れました!」とペドロサ。
「前回のレースから休憩する時間はありませんでしたが、これからしばらくのレースが凄く楽しみです。シーズン開始時点は苦しい戦いでしたが、ここまでの成績は満足できますね。」
「上海以降、ライバルが自分を叩きに来る事は容易に予想できます。彼らの今後の反応は楽しみですが、自分の目標は何も変わっていません。仕事にこのまま集中して、上海での出来事は忘れる事です。どのレースも毎回異なりますから気を緩める事はできませんからね。」
「ルマンはスペインに凄く近いので、いつも通り(スペインの)地元ファンがたくさん見に来てくれるといいですね。」
「技術面の話をすると、ルマンは上海とはだいぶ異なります。加速力が重要ですし、ハードブレーキングが必要な箇所が多いですね。ストレートの後に長い高速コーナーもあります。」
「速いラップタイムを出すにはコーナー出口での操作が大切ですし、ギアのセッティングを上手くやる必要がありますね。」
チームメイトに一歩及ばず、悔しい中国での2位表彰台を獲得したニッキー・ヘイデンの目標は、昨年のホームGPでのラグナ・セカに続くMotoGPクラス2勝目だ。現在32ポイント差で2位のロリス・カピロッシを抑えてランキングのトップを走るニッキーはヨーロッパラウンドの始まりを歓迎している。
「ヨーロッパに戻るのを楽しみにしてました。こっちがホームレースになるライダーが多いのでレースのペースが全体的に速いですよね。」とニッキー。
「それにヨーロッパの観衆は面白いですよ。ここはレースになると本当に活気があります。ルマンは再舗装されてから凄く良くなりました。ストップ・アンド・ゴーはあまり好みのサーキットとは言えませんが、結構ここは好きですよ。」
「ここでは以前からいい走りをしていますが、運が悪くて成績が残せていません。今回はその傾向を修正したいですね。ランキングトップは気分がいいし、前回はさらに差を広げられました。誇りに思いますし、このままの調子を保って馬鹿なミスをしないようにしたいと思います。でも本当は勝ちたいんですよね。」
「まだいくつか改善作業は残っていますが、何が課題かははっきりしています。エッジのグリップ力とエンジンブレーキの制御ですが、これが解決すればさらに強くなれますよ。」
「まだシーズン序盤ですから先は長いです。多くのライバルが前に立ちはだかろうと必死で仕掛けてくるでしょうね。まだ忙しい日が続きますが、いい夏にはなりそうですよ。」
■新シャシーを投入するロバーツ、ルマンとは相性の良くないケーシー
前回の中国からルマンから投入されるシャシーを心待ちにしていたチーム・ロバーツのケニー・ロバーツ・ジュニアだが、無事に今週からはイギリスの本拠地で開発された新型シャシーを持ち込んでいる。
本来のRCVエンジンパワーを使うにはどうしても今回の改良が必要だったと述べたケニーは、イギリスに近いヨーロッパでのレースは開発に有利に働くとコメントしている。
「ヨーロッパラウンドはマシン開発に有利ですよ。必要な変更を早く反映できますからね。こっちでレースを行えば改善速度が急速なカーブのように上昇しますよ。」
また、LCRホンダのルーキーであるオーストラリア人のケーシー・ストーナーにとって、過去の戦績を見る限りではルマンはあまり相性のいいサーキットとは言えないようだ。前回の中国とトルコは250cc時代に両方とも優勝している得意なサーキットだったが、ルマンでは125ccから250cc時代を通して一度も表彰台に上がっていない。
「いつもルマンでは速く走れるんですが、結果がついてこないんです。ずっと運が悪いんですよ。」とケーシー。
「でもここまでの海外レース3戦で少なくともホンダの経験を積んだ上で、ヨーロッパラウンド本番は開始できます。もし開幕前に今までの成績を誰かに予告されたとしても、絶対信じなかったでしょうね。」
「MotoGPクラスは最もレースが激しいクラスですし、ルーキーでランキング5位には喜ぶべきですね。中国ではトップライダーのロリス・カピロッシやセテ・ジベルナウ、それにマルコ・メランドリの前でフィニッシュできましたし。みんな優勝経験者です。」
「一部の評論家たちに、僕はタイヤが減ってから遅いと言われてましたが、その答えを彼らに見せてあげられたと思います。」
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