|
|
|
|
新型 Kawasaki Ninja ZX-RR について
|
|
|
|
|
2006年4月21日
1985年より川崎重工に所属している古橋賢一氏は、当初からカワサキの市場向け高性能オートバイのシャシー開発を担当していた。後に古橋氏はカワサキの最高峰市販スポーツモデルであるNinja ZX-10R や Ninja ZX-6RR の設計および開発を担当するようになる。
2005年には、彼はカワサキMotoGPプロジェクトのリーダーとなり、MotoGPマシンの2006年型Ninja ZX-RRの開発責任者となった。ここでは彼の視点でバイクについて語ったインタビューを紹介したい。
新型NinjaZX-RRの開発方針を決めたのはいつ頃ですか?
2005年の2月から開発をスタートしました。2006年シーズンを他のチームと戦えるレベルにするには、全てを新しくする必要があると思っていましたから。
本当は2005年の最終レースで新型を投入するつもりだったのですが、まだ目標レベルに到達していなかったんです。バレンシアには新型も持ち込んでいましたが、実際にコースを走らせたのはレースの3日後でした。その時にはじめてオリビエ・ジャックがバレンシアで新型をテストしたんです。
2006年型Ninja ZX-RRを開発するにあたっての最も大きな設計上の目標は何でしたか?
新型バイクにはいくつかの開発目標を掲げていましたが、一番狙ったのはパッケージ全体の性能向上です。エンジン、シャシー、それに電子制御部など全部含めてです。
旧型よりもエンジンパワーが必要なのは明らかでしたし、それと同時に操舵性(ドライバビリティー)の向上も目指し、真矢とランディーにとって乗りやすいバイクを作りたかったんです。
また、リアタイヤへの負担も減らし、2006年のレースではタイヤ選択の自由度を高めようと思っていました。
シャシーについての目標は、2005年のシャシーよりも癖の無いもの(ニュートラル)にする事でしたね。
それらの目標は新しいエンジンと共に達成できたでしょうか?
新型エンジンは全長を短くしています。ギアボックスの位置を回転させて、それをシリンダーのすぐ下に配置する事で実現しました。エンジンがコンパクトになった事で、シャシーにレイアウトする上での自由度が増し、シャシー全体のニュートラル感を増す事に成功しました。
また、この新エンジンはより高速回転に耐えられるようになっており、以前のものより高い出力特性を実現しています。シーズンを通して開発を続ける事で、もっと出力を高める自信はありますが。
もちろん最初にどのくらいの目標が達成できていたかは、バレンシアで最初のプロトタイプをオリビエ・ジャックがテストするまでは謎でした。最初にジャックのコメントを聞き、その後で真矢とランディーからも聞き、そこでやっと一年前に掲げた目標は達成できた事が分かりました。
旧型と比べて新型のエンジンはどのくらいパワーアップされているんですか?
正確な数字をここではお答えできませんが、一つ言えるのは旧型よりも大幅にアップしているという事です。でも出力が全てではありませんからね。
重要なのはライダーにとって扱いやすい出力特性である事です。エンジン出力が上がり、操舵性も同時に向上できるように多くの時間を費やして最適化しました。
信頼性も重要な課題でした。エンジンからより多くの出力を引き出そうとすると信頼性が問題になります。この問題にも多くの時間を費やしてきました。私たちの日本でのテストライダーの松戸直樹選手が実際にコースに出て、広範囲に渡るテストを行い信頼性を確保しています。
2006年型のシャシーにはどのような変更を加えましたか?
シャシーそのものについては2005年型と比べて大きな違いはありません。2005年型のシャシーは多くの点で優れていました。ただ、全体のレイアウトや形状(ジオメトリー)は非常に似ていますが、サイズはよりコンパクトになっています。これはエンジンが小さくなった事で実現できました。
さらにバイクの空力特性向上にも時間をかけています。バイクの空力に関する追求はいつも妥協との戦いですよ。オートバイは垂直軸を通ってコーナリングするので、どちらかと言えば自動車よりも飛行機のそれに近いんです。
(記事原文・写真提供:motogp.com)
|
|
|
|
|
|
|
|
|